来る5月22日(金)に待望のセカンド・ソロ・アルバム『ブルー・モルフォ』をリリースするエド・オブライエン。すでにアルバムから2枚のシングルが公開となっているが、この度アルバム制作秘話に触れた短編映画『Blue Morpho: The Three Act Play』の上映会が来週都内にて開催されることが急遽決定した。
一曲目「are you out of your mind?」はアンビエント風のシークエンスで始まり、その後、心地よいインディーポップソングへと移行していく。未知のリスナーに語りかけるかのようなボーカルが特徴で、それらがこのアーティストのルーツでもある教会音楽のようなゴスペル風のサウンドがメインである。それらをヒップホップ風のブレイクビーツのビートが牽引していく。またシンセストリングスがリズム的な効果を発揮し、全体的なグルーブのようなものを形成していく。現代的なポップソングといえば、それまでだが、その音楽には静かに耳を傾けるべき何かがある。例えば、全体的にはヴァースとサビの対比で構成されるが、サビのフレーズでは美麗なストリングスに導かれるようにして、精妙な音楽性が立ち上ってくることがある。また、現代的なポップネスを踏襲しつつも、バロックポップのような旋律が光るタイトル曲は素晴らしい一曲である。カーペンターズのようなメロディセンスを、ヒップホップやチルウェイブ、あるいはローファイのようなリズムと結びつけ、モダンなポップソングを抽出している。この曲の優しげで包み込むようなボーカルは、アルバムの序盤の聞き所となるに違いない。
Deb Neverのサウンドはエモポップとも称されることがある。「Blue」のような曲は、シンセ・ポップのような音楽性に導かれるようにして、どことなくエモーショナルな雰囲気が立ち上る。現代的な西海岸のヨットロックのような音楽性を踏襲し、それらをセンス溢れるサウンドに仕上げている。 また比較的アップテンポな音楽性だけではなく、ネオソウルのように静かで聴かせる箇所も含まれている。こういったメリハリのあるソングライティングが本作の魅力でもある。ローファイの音楽性を、ギターロックの観点から解釈した「all the time」も独特なデモソングのような雰囲気を放つ。しかし、一貫して心地よい感じのソングライティングが続く。
アルバムの中盤には、「Design」と称されたピアノバラードも収録されている。基本的にピアノとユニゾンで紡がれるボーカルはセンチメンタルな響きがある。また、オートチューンを通過したインディーポップソングをバラードソングという旧来のスタイルと融合を図った一曲でもある。「i need more」はアルバムの一曲目と同様、アンビエント風のシークエンスからフォークポップへと移行していく。 アコースティックギターをミュージック・コンクレートのように配し、そしてコラージュ的なボーカルをメインボーカルと並置したりしている。こういった曲は、今や2020年代のポップソングには不可欠な王道の音楽性になりつつあるのを感じる。
このアルバムではシンセポップの音楽性がこういったモダンなベッドルームポップに紛れ込んでいる。「Another Life」のような曲は、Deb Neverのメロディの側面のセンスが遺憾なく発揮された瞬間である。 テクノのようなリズムトラックに、Ashnikkoのようなキュートなインディーポップサウンドが乗せられる。現代的なポップサウンドの象徴とも言える曲である。また、西海岸のヨットロック/チルアウト的なサウンドは「Heavensake」で最高潮に達する。風景的なロマンティックな雰囲気は『Arcade』の象徴的なサウンドと言える。また、この曲には、ジャズ/ファンクの要素が付加されている。ボーカルだけではなくベースにも注目したい。アルバムのベストトラックは、タイトル曲とならんで、「Not In Love」ということになるだろう。ヨットロックのようなサウンドとDeb Neverの持つギターロックのセンスが融合した、聴き応え十分の曲となっている。
あえて核心から外し、少し本題から遠ざかるようなインディーポップサウンドが主な特徴である。こういったぼかしたような抽象的なサウンドもまた、現代的なアーティストの主題でもある。また、Deb NeverはR&B風のポップサウンドに傾倒することもある。アルバムの最後を飾る「KNOW ME BETTER」はシンガーとしての本格的な存在感を感じさせる力強い楽曲である。
コックスンのソロ作品には、スタジオ・アルバム『The Sky Is Too High』(1998年)、 『The Golden D』(2000年)、『Crow Sit on Blood Tree』(2001年)、『The Kiss of Morning』(2002年)、『Happiness in Magazines』(2004年)、『Love Travels at Illegal Speeds』(2006年)、『The Spinning Top』(2009年)、『A+E』(2012年)などがある。作曲家としての活動には、『The End of the F***ing World』(2018年)、『The End of the F***ing World 2』(2019年)、『I Am Not Okay with This』(2020年)、そしてZ2コミックスと共同でリリースされた『Superstate』(2021年)のオリジナル楽曲およびサウンドトラックが含まれる。
また、ポール・ウェラーとのシングル『This Old Town』や、ピート・ドハーティの2009年アルバム『Grace/Wastelands』など、数多くのアーティストとのコラボレーションも行ってきました。
2017年には、コックスンは(デイモン・アルバーンと共に)ラットボーイのデビューアルバム『Scum』に参加し、同年、Campaign Against Living Miserably (CALM)のチャリティー・シングルとしてリリースされた。さらに最近では、War Childを支援する2026年のアルバム『HELP(2)』のために、イングリッシュ・ティーチャーと新曲「Parasite」をレコーディングしたほか、同アルバムに収録されたオリビア・ロドリゴによるザ・マグネティック・フィールズの曲「The Book of Love」のカバーにギターで参加した。
ブライトンの作曲家/プロデューサー、ジャスティン・バーノンのソロ・プロジェクト、The Vernon Springによる『Under a Familiar Sun』のリワークプロジェクト『UnFamiliar Sun』。2025年秋から単独シングルが続々とリリースされてきましたが、ついにリリース。本作は2025年に発売されたオリジナル・アルバムのリワーク作品となっている。
The Vernon Springの幽玄で静謐なアンビエント・サウンドを、エレクトロニック・ミュージック、アンビエント・シーンの注目のアーティスト、Rosie Lowe、Oliver Coates、H.Takahashiなどが再構築しました。
伝説的な歌手、ドナ・ルイスは、ウェールズ出身の歌手として異例の成功を収めた。1995年にアトランティックからデビューしたあと、アメリカのビルボード・チャートで9週連続で一位を記録した。デビュー・アルバム『Love Always』がミリオン・セラーを記録し、イギリスとアメリカでは著名なミュージシャンとなった。ルイスは、1990年代後半からおよそ30年にわたり、優雅さと確固たる信念を持って独自の道を切り拓いてきた。彼女の象徴的なラブソング『I Love You, Always Forever』は、世代を超えて人々の心に響き続けている。
『I Love You, Always Forever』は、米国と英国の両チャートで1位を獲得し、今もなお歴史上最も愛される普及の名曲としての地位を不動のものにしている。最近では、英国のダンス・ミュージックシーンの象徴的な存在、The xxのROMYがFred Againと協力し、同楽曲をサンプリングした。これにより『I Love You, Always Forever』は再び注目を集めることになった。
今日のドナの物語はかつてないほどパワフルなものになり、乳がんとの闘病を乗り越えた彼女の人間的なたくましさと不屈のスピリットは、楽曲の一つ一つの音から滲み出ている。『THE SUN』紙から「エイジレス・ビューティー」と称されたほか、『People』誌でも特集された彼女のアルバム『Rooms With a View』(2024年)は、今なお人々にインスピレーションを与え続けている。ホームズ・アイヴスと共同制作された『Rooms With a View』は、人生最大の試練を乗り越えるために必要な勇気を親密かつありのままの姿で聴き手に伝えています。
今回のアルバムも同じコンセプトが受け継がれているが、友情の記憶や対話という要素が加わった。全体的に感じられる温かな雰囲気は、このテーマが反映されているからだろう。ルイスは、BBCラジオのパートタイマーから、その後象徴的な存在となった、伝説的な作曲家兼プロデューサー、デヴィッド・ロウ(BBCニュースのテーマ曲「Touch and Go」などを制作)とタッグを組み、最新作『Wanderlust』の制作に取りかかった。彼女は次のように明かす。
NYのクラブシーンで存在感を放つ808 BEACH(ジョン・“J-C”・カー&ビル・コールマン)と、マルチソングライター、ホリスティック・サウンド・プラクティショナーでもあるベル・ハンブルによる『Here's Where The Story Ends』のデラックス・バージョンが5月8日にリリースされた。本作は、一つのシングルになんと16ものアレンジやリミックスが施された異例の作品だ。
本作は、イギリスのオルタナティヴロック・バンド、The Sundaysの大ヒット作を、ベル・ハンブルの魅惑的でカラフルなボーカルと、808 BEACHの高揚感あふれる魅力的なプロダクションで再構築した圧倒的でアンセム的なダンス/EDMリワークだ。The Sundaysは、1980年代後半から1997年まで活動し、三作のアルバムをリリースした。ちなみに「Here's Where The Story Ends」は、本国のUKのヒットチャートでは圏外だったが、US ALTチャートで一位を記録した。
「ザ・サンデーズは、私がこれまでで最も好きなバンド。彼らの1990年のデビューアルバム『Reading, Writing and Arithmetic』は、紛れもないオルタナティブ・ブリット・ポップの傑作なんだ。前回のシングル『WHATEVER DADDY SAYS』の続編を考える際、ジョンと私は、リミックス以外の活動において、自分たちの音楽の異なる側面を披露することが重要だと考えた」
「数年前から、彼らの『Here’s Where The Story Ends』を、敬意を払いながらも踊れるカバー曲としてどう仕上げるか、アイデアを練り、方向性について何度も議論を重ねてきました。友人であり、度々コラボレーションしているベル・ハンブルが、その才能を貸してくれると快諾してくれたことで、私たちは大きなインスピレーションを得て、この芽生えつつあったアイデアを明確なビジョンを持って完成させることができました」
「”Here’s Where The Story Ends”という曲は、歌詞もメロディも完璧な仕上がりです。ベルの色彩豊かな歌声とアプローチは、ザ・サンデーズのオリジナルを敬意を持って尊重しつつ、私たちのダンスやクラブ志向のプロダクションを自然に融合させる、まさに理想的な雰囲気をもたらしてくれました。この作品を完成させることができて、本当に嬉しかった」
『C.O.L.A.』は、彼らが何者かを象徴するような、ある意味、本質的なセルフタイトル・アルバムと言える。これは「Cost of Living Adjustment(生活費調整)」の頭文字をとった、バンドの3作目となる本作のコンセプトとしてふさわしい枠組み。『C.O.L.A.』は、「社会主義対地獄」といったテーマを考察している。そして、人生のサイコロを振る、ということについても考察している。ノスタルジアが引き起こす、不気味でありながら甘美な切なさがある。
例えば「Favoured Over the Ride」については、「ティムが歌詞を書くための、薄暗く憂鬱な色調を作りたかった」とスティッドワージーは語っている。曲は孤独で夢見心地なギターリフで始まり、そこにシャープなベースラインが入り、すべてがクリアになる。「天井に何があるんだろう? 君の視線を釘付けにしているのは何?」とダーシーがシニカルに歌う。抽象性を追求した本作において、これは明快な瞬間だ。『C.O.L.A.』にはこうした明快な瞬間が満ちている。渦巻く感情のすべてが、少し痛みを伴うほどはっきりと浮かび上がる瞬間に。
「Much of Muchness」は現代的な価値観に対する疑念とも言える。やはり、ティム・ダーシーのボーカルは、昂ずるわけでもなく、また、猛り狂うわけでもなく、淡々と語りかけるような雰囲気で続いていく。しかし、これらが背景となるバンドアンサンブル、彼らの持つミニマリズムとかっちりとハマると、グルーヴ感や心地よいビートが浮かび上がってくる。極彩色で派手な音楽がメインストリームの音楽シーンを席巻する中、彼らの音楽はどこまでもモノトーンに染まる。しかし、このアプローチは確実に、このアルバムの本質的なかっこよさに直結している。この曲ではどちらかと言えば、リチャード・ヘルのようなプロトパンクのサウンドが際立つ。更にアルバムのもう一つの主題である、メロディアスな叙情性がボーカルとギターを通じて、はっきりとした形で浮かび上がるときがある。これはバンドとしての大きな進歩と言えるか。
不協和音と協和音の共存は「Favoured Over The Ride」 でも健在である。彼らのサウンドには、便宜的に言えば、不調和と調和が共存している。彼らは、世にはびこる善悪のような一般的な概念がどれほど脆く、弱い土台の上に成立しているかを音楽の向こうに投射してみせる。つまり、それらの背後に、対極にある概念や要素が内在しているのだ。フォークソングの哀愁とロックソングの組み合わせは、独特のズレや違和感のような感覚をもとに、彼らなりのオリジナリティとして昇華されていく。そして独特な旋律的なズレから、温かみのあるエモーションが滲み出てくることがある。
しかし、やはりというべきなのか、Colaのサウンドは、Yo La Tengoのようなひねりがあって、一筋縄ではいかない部分がある。どことなく曲がりくねっていて、どこに続くかわからないようなスリリングさ。しかし、同時に、ロックバンドとして起伏に乏しく、すべてが平坦すぎる場合は、それもまた冒険心や面白みに欠けているとも言える。その反面、コーラは珍しくロックソングのスリリングな魅力を教えてくれる、数少ないバンドである。所属レーベルが紹介するように、サード・アルバムは、彼らにとって、代表的な作品になるに違いない。表向きには、明るい音楽とは言えないのに、なぜか奇妙なほど勇気づけられるアルバム。また、オーディオで聞くのと、イヤホン/ヘッドホンで聴くのとでは、ぜんぜん印象が異なる不思議な作品でもある。
88/100
「Conflagration Mindset」
・Cola 『Cost of Living Adjustment』は本日Fire Talkから発売。ストリーミングはこちら。