来る5月22日(金)に待望のセカンド・ソロ・アルバム『ブルー・モルフォ』をリリースするエド・オブライエン。すでにアルバムから2枚のシングルが公開となっているが、この度アルバム制作秘話に触れた短編映画『Blue Morpho: The Three Act Play』の上映会が来週都内にて開催されることが急遽決定した。


今年のSXSWで初公開され、ロンドン、オックスフォード、パリでも上映された同映画は、ウェールズにて撮影され、キット・モンティス監督によってエドの率直で親密な姿を描いている。


短編映画『Blue Morpho: The Three Act Play』のトレイラー


なお、このイベントでは英国のスピーカー・メーカー「KEF(ケーイーエフ)」のハイエンド・スピーカーReferenceシリーズとサブ・ウーファーをご用意。


加えてアルバム試聴時には「オーディオ史100年で最も重要な製品」と称されるターンテーブル LP12やマーケットをリードするストリーミング・プレーヤー SELEKT DSM、そしてスタイリッシュなハイパワー・アンプ KLIAMX TWINなど、スコットランド・グラスゴーに生まれたLINNの実力機のセレクションによる本格的なサウンドでイベントを楽しんでもらえる内容となっている。


さらに開演までの間、会場ではオーディオ・ファンや評論家に定評のある高音質が特徴のストリーミング・サービス[Qobuz]のハイレゾ音源でエドの過去作品の音源体験もできる。


アルバム発売週の5月19日(火)に恵比寿のKATA GALLERYにて行なわれる同イベントは、先着40名限定となっているので、気になった方は早めに参加申し込みしよう!


【エド・オブライエン 短編映画『Blue Morpho: The Three Act Play』上映&アルバム試聴会】


日時:5月19日(火)19:00開場/19:30開演/21:00終演(予定)

場所:KATA GALLERY(東京都渋谷区東3-16-6 LIQUIDROOM 2F)

参加人数:先着40名(定員に達し次第、応募は締め切らさせていただきます)

参加費:無料、1ドリンク制

 

申し込みフォーム:

https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSeWDuNQ6O1orqIi0AR2Hk2qoenveVBwFxCPpBYVhF-4RGm0ew/viewform?usp=header



エドのニュー・アルバム『ブルー・モルフォ』はプロデューサーにポール・エプワース(ポール・マッカートニー、アデル)、ゲストにギタリストのデイヴ・オクムやフルート奏者のシャバカ・ハッチングスといった、ジャズの素養を持つ極めてスキルの高いバック・ミュージシャンたちを迎えている他、レディオヘッドのフィリップ・セルウェイも2曲でドラムを叩いている。


エド自身が経験した鬱という闇に向き合い、再び聴くこと、働くこと、生きることといった新たな道を模索する地図のようなアルバムを完成させた。初心に立ち返り、新たなソングライターとしてようやく自身のアプローチを見出し始めたことに気づいたエド。今回の短編映画はそういった道のりを辿っている。


1stシングル「Blue Morpho」のミュージック・ビデオ:


2ndシングル「Incantations 」のミュージック・ビデオ:



【アルバム情報】



アーティスト名:Ed O’Brien(エド・オブライエン) 

タイトル名:Blue Morpho(ブルー・モルフォ) 

発売日:2026年5月22日(金) 

品番:TRANS955CDJ (CD) / TRANS955XXJ (LP) 

定価:¥2,900 +税 (CD) / ¥7,200 +税 (LP) 

※世界同時発売、解説付、限定カラー盤 (LP)  

レーベル:Transgressive 

販売元:ビッグ・ナッシング/ウルトラ・ヴァイヴ


<トラックリスト> 

1. Incantations 

2. Blue Morpho 

3. Sweet Spot 

4. Teachers 

5. Solfeggio 

6. Thin Places 

7. Obrigado



アルバム『ブルー・モルフォ』配信予約受付中!

https://transgressive.lnk.to/bluemorphoalbum



世界最大のバンドの一員であり、ロック界で最も称賛されるギタリストの一人であるエド・オブライエンが、本名としては初の作品となるセカンド・ソロ・アルバム『ブルー・モルフォ』を完成させた。プロデューサーにはポール・エプワース(ポール・マッカートニー、アデル)を迎え制作過程においてエドは原点に立ち返り、新たなソングライターとしてようやく自身のアプローチを見出し始めたことに気づく。そして、自身が経験したうつという闇と向き合い、再び聴くこと、働くこと、生きることへの新たな道を模索する地図のようなアルバムが完成した。

2020年の秋から冬へと移り変わる頃、エドはこれまで経験したことのない深い鬱の淵へと転落した。新たなロックダウンの波が押し寄せる中、彼はほとんど機能不全に陥った。生涯にわたるダムがついに決壊したのだ。妻のスージーは、この感情の炎の中に身を置くよう彼を励まし、抜け出す唯一の道は「通り抜けること」だと気づかせた。隣の部屋で子供たちがオンライン授業を受ける中、エドは小さなロンドンのスタジオにギターと共に閉じこもり、昼食時頃に脳がほつれ始めるまで演奏を続けた。


自身の過去、自然との精神的なつながり、癒しの可能性への信念を奏でながら、作り上げたものを記録し続けた。そしてそれらは、彼のセカンド・ソロ・アルバムとなる『ブルー・モルフォ』の圧倒的な7曲へと進化した。アデルやリアーナらと共に数々の大ヒットを生み出した本作のプロデューサーでもあるポール・エプワースとの出会いは、彼らの子供たちが同じ学校に通っていたことがきっかけだったという。


レコーディングはウェールズにあるエドのスタジオと、200年の歴史を持ち、音楽史に残る数々の名盤を生み出したロンドンのスタジオ「ザ・チャーチ」で行われ、ベン・バプティがミキシングを担当した。また、グラストンベリー・フェスティバルで出会ったシャバカ・ハッチングスがフルート演奏を提供。さらに、エドがエストニアへの旅で親交を深めたという作曲家トヌ・コルヴィッツが弦楽アレンジを担当し、エストニアのタリン室内管弦楽団が演奏した。曲順の構成には、U2、PJハーヴェイ、ナイン・インチ・ネイルズとの仕事で知られるフラッドが協力している。


【バイオグラフィー】


イギリス・オックスフォード出身のミュージシャンで英国のロック・バンド、レディオヘッドのギタリスト。名門マンチェスター大学の政治/経済学を専攻。学生時代はサッカーやクリケットクラブに在籍。現在でもサッカー観戦を趣味にしている。


レディオヘッドではメイン・ボーカルであるトム・ヨークに負けないほどの歌声の持ち主で、バック・ヴォーカル・コーラスも担当している。明るく人当たりの良い人柄で、フロントマンのトムに次いでメディアのインタビューを受ける機会が多い。


2020年、自身のイニシャル(EOB)を冠した初のソロ・アルバム『アース』を発表。そしてその年の後半、エドは人生で最も深刻な鬱状態に陥った。妻に「感情の炎の中に身を置くよう」に勧められた彼は、ヴィム・ホフの呼吸法や寒冷療法の教えに没頭する日課を始め、その後、ロンドンの小さなスタジオに引きこもり、脳が摩耗し始めるまで何時間もギターを弾き続けた。


ついに表面化してしまった50年にわたる感情的なトラウマや混乱を乗り越えるために、自らの楽器を奏で、作り出したものをレコーディングし続けた。その後4年間で、それらの瞬間は今年リリースされるニュー・アルバム『ブルー・モルフォ』へと進化し、過去の後悔から完全に解き放たれた彼の初のアルバムとなった。

Deb Never 『Arcade』


Label: Giant Music

Release: 2026年5月8日

 

 

Review

 

デブ・ネヴァーは、グランジ、エレクトロ、エモ、ポップをかけ合わせたニューオルタナティヴとして近年シーンで注目を集めつつある。ガレージバンドでの音楽制作から始まったアーティストで、徐々に音楽性に磨きをかけてきた。基本的にはギターを中心とするソングライティングに根ざしている。最新アルバムは、全体的に、ポップソングに根ざした音楽性が際立つ。ただ、近年のポップアーティストと同様に、リサンプリング的な処理が施されることもある。

 

一曲目「are you out of your mind?」はアンビエント風のシークエンスで始まり、その後、心地よいインディーポップソングへと移行していく。未知のリスナーに語りかけるかのようなボーカルが特徴で、それらがこのアーティストのルーツでもある教会音楽のようなゴスペル風のサウンドがメインである。それらをヒップホップ風のブレイクビーツのビートが牽引していく。またシンセストリングスがリズム的な効果を発揮し、全体的なグルーブのようなものを形成していく。現代的なポップソングといえば、それまでだが、その音楽には静かに耳を傾けるべき何かがある。例えば、全体的にはヴァースとサビの対比で構成されるが、サビのフレーズでは美麗なストリングスに導かれるようにして、精妙な音楽性が立ち上ってくることがある。また、現代的なポップネスを踏襲しつつも、バロックポップのような旋律が光るタイトル曲は素晴らしい一曲である。カーペンターズのようなメロディセンスを、ヒップホップやチルウェイブ、あるいはローファイのようなリズムと結びつけ、モダンなポップソングを抽出している。この曲の優しげで包み込むようなボーカルは、アルバムの序盤の聞き所となるに違いない。

 

Deb Neverのサウンドはエモポップとも称されることがある。「Blue」のような曲は、シンセ・ポップのような音楽性に導かれるようにして、どことなくエモーショナルな雰囲気が立ち上る。現代的な西海岸のヨットロックのような音楽性を踏襲し、それらをセンス溢れるサウンドに仕上げている。 また比較的アップテンポな音楽性だけではなく、ネオソウルのように静かで聴かせる箇所も含まれている。こういったメリハリのあるソングライティングが本作の魅力でもある。ローファイの音楽性を、ギターロックの観点から解釈した「all the time」も独特なデモソングのような雰囲気を放つ。しかし、一貫して心地よい感じのソングライティングが続く。

 

アルバムの中盤には、「Design」と称されたピアノバラードも収録されている。基本的にピアノとユニゾンで紡がれるボーカルはセンチメンタルな響きがある。また、オートチューンを通過したインディーポップソングをバラードソングという旧来のスタイルと融合を図った一曲でもある。「i need more」はアルバムの一曲目と同様、アンビエント風のシークエンスからフォークポップへと移行していく。 アコースティックギターをミュージック・コンクレートのように配し、そしてコラージュ的なボーカルをメインボーカルと並置したりしている。こういった曲は、今や2020年代のポップソングには不可欠な王道の音楽性になりつつあるのを感じる。

 

このアルバムではシンセポップの音楽性がこういったモダンなベッドルームポップに紛れ込んでいる。「Another Life」のような曲は、Deb Neverのメロディの側面のセンスが遺憾なく発揮された瞬間である。 テクノのようなリズムトラックに、Ashnikkoのようなキュートなインディーポップサウンドが乗せられる。現代的なポップサウンドの象徴とも言える曲である。また、西海岸のヨットロック/チルアウト的なサウンドは「Heavensake」で最高潮に達する。風景的なロマンティックな雰囲気は『Arcade』の象徴的なサウンドと言える。また、この曲には、ジャズ/ファンクの要素が付加されている。ボーカルだけではなくベースにも注目したい。アルバムのベストトラックは、タイトル曲とならんで、「Not In Love」ということになるだろう。ヨットロックのようなサウンドとDeb Neverの持つギターロックのセンスが融合した、聴き応え十分の曲となっている。

 

 

あえて核心から外し、少し本題から遠ざかるようなインディーポップサウンドが主な特徴である。こういったぼかしたような抽象的なサウンドもまた、現代的なアーティストの主題でもある。また、Deb NeverはR&B風のポップサウンドに傾倒することもある。アルバムの最後を飾る「KNOW ME BETTER」はシンガーとしての本格的な存在感を感じさせる力強い楽曲である。

 

 

78/100 

 

 

「Not In Love」

 

 

LISTEN/STREAM : Deb Never 『Arcade』



グラハム・コクソンの未発表ソロ・スタジオ・アルバム『Castle Park』から2枚目のシングルとしてリリースされた。「Alright」は、飄々とした初期のビートルズ風のインディーロックソングである。グラハム・コクソンの口笛が良い雰囲気を醸し出している。これぞUKロックの真髄である。


2011年にレコーディングされた『Castle Park』は、2026年6月19日に初リリースされる予定であり、今後12ヶ月にわたって行われるコクソンのソロ作品全カタログ(スタジオアルバム9枚とオリジナル・サウンドトラック3枚)の包括的な再発プロジェクトの一環としてリリースされる。


NME誌が「アルバムのクラシックなモッズ・サウンドを彷彿とさせ、ザ・キンクスへのオマージュと、甘くシンプルなギター・ポップのフックを生み出すギタリストならではの類まれな才能が垣間見える、最初の試聴曲」と評した1曲目『Billy Says』に続き、『Alright』のイーヨーのような目をしたストロークは、『Coffee & TV』でコクソンが披露したものと同様に、ほろ苦くも完璧なメロディーの一片を届けてくれる。


ベン・ヒリアー(ブラー『Think Tank』)がプロデュースを手掛けた『Castle Park』は、2011年に『A+E』(2012年)のレコーディングセッションの一環として録音された。


当初は『A+E』の続編としてリリースされる予定だったが、2012年のブラーの活動により延期され、その後コックスンは他のプロジェクトへと移った。『Castle Park』は、アーティストのクラシックなモッド・サウンドを色濃く反映した10曲のコレクションであり、リードシングル「Billy Says」は、コックスンのライブセットで長年演奏されてきた曲で、ファンにはお馴染みの楽曲だが、今回初めて正式にリリースされることになった。「Alright」のストリーミングはこちらから。


「Alright」 


【先行情報】

・グラハム・コクソン(BLUR)が未発表のソロアルバム『CASTLE PARK』を発表 O2フォーラム・ケントイッシュ・タウンにてスペシャルヘッドラインショーを開催

 

Graham Coxon:



イギリスのミュージシャン、シンガーソングライター、マルチプレイヤー、そしてビジュアルアーティストであるグラハム・コクソンは、同世代で最も革新的なギタリストの一人であり、ブラーの創設メンバーとして最もよく知られている。


コクソンはこれまでに8枚のソロアルバムをリリースしており、映画やテレビ番組のための楽曲制作も頻繁に行っている。 実験音楽やインディー音楽への情熱は、ブラーが絶大なヒットを連発していた時期を通じて、バンド特有のサウンドを形作る一因となった。この時期、チャート1位を獲得するアルバムが次々と生み出され、バンドは英国をはじめ世界中で大衆的な人気を博した。その冒険心はソロ活動にも表れており、フォークやクラウトロックに影響を受けたアルバムからサウンドトラック作品まで、その活動範囲は多岐にわたる。


コックスンのソロ作品には、スタジオ・アルバム『The Sky Is Too High』(1998年)、 『The Golden D』(2000年)、『Crow Sit on Blood Tree』(2001年)、『The Kiss of Morning』(2002年)、『Happiness in Magazines』(2004年)、『Love Travels at Illegal Speeds』(2006年)、『The Spinning Top』(2009年)、『A+E』(2012年)などがある。作曲家としての活動には、『The End of the F***ing World』(2018年)、『The End of the F***ing World 2』(2019年)、『I Am Not Okay with This』(2020年)、そしてZ2コミックスと共同でリリースされた『Superstate』(2021年)のオリジナル楽曲およびサウンドトラックが含まれる。


また、ポール・ウェラーとのシングル『This Old Town』や、ピート・ドハーティの2009年アルバム『Grace/Wastelands』など、数多くのアーティストとのコラボレーションも行ってきました。


2017年には、コックスンは(デイモン・アルバーンと共に)ラットボーイのデビューアルバム『Scum』に参加し、同年、Campaign Against Living Miserably (CALM)のチャリティー・シングルとしてリリースされた。さらに最近では、War Childを支援する2026年のアルバム『HELP(2)』のために、イングリッシュ・ティーチャーと新曲「Parasite」をレコーディングしたほか、同アルバムに収録されたオリビア・ロドリゴによるザ・マグネティック・フィールズの曲「The Book of Love」のカバーにギターで参加した。


グラハム・コクソンとローズ・エリノア・ドゥガルからなるザ・ウェイヴ(The WAEVE)の同名デビュー・アルバムは2023年にリリースされた。バンドの2枚目のスタジオ・アルバム『City Lights』は2024年にリリースされた。


 沖田×華による原作コミックをもとに、2024年放送の第1シリーズが大きな反響を呼び、続編として制作されたドラマ『お別れホスピタル2』。劇伴音楽を手掛けた清水靖晃によるオリジナル・サウンドトラックが本日配信。


人生の最期を迎える療養病棟を舞台に、人と人の関係や「生きる」ことの意味を静かに問いかけるドラマ『お別れホスピタル』。沖田×華による原作コミックをもとに、2024年に放送された第1シリーズが大きな反響を呼び、『お別れホスピタル2』の続編制作へとつながった。


音楽制作にあたり、清水は前作の質感やモチーフを踏襲しながら、新たに登場する人物一人ひとりに寄り添うようなかたちで楽曲を構想。


真面目一筋に生きてきた100歳の元県議会議員・安斎正助の歩みを刻む〈トータス・マーチ〉。安斎と過去に訳ありな?縁を持つ、スナックの美枝ママの佇まいを映す「マーマレード」。ベストセラー作家・桜田美々の内に潜む記憶に触れる「サクラ・ワルツ」など、それぞれの人物像や記憶、過去に呼応する楽曲が並ぶ。


また、〈遊歩〉は、清水の即興演奏から立ち上がった音の一部を収録。本作の音楽は、観る者それぞれの記憶に触れ、余韻を残していく。


清水靖晃「土曜ドラマ「お別れホスピタル2」オリジナル・サウンドトラック」



Yasuaki Shimizu「Doyou Drama Owakare Hospital 2 Original Soundtrack」

Digital (UPC : 4580789766862) 2026.05.14 Release | DDCB-12804 | Released by SPACE SHOWER MUSIC

[ https://ssm.lnk.to/OwakareHospital2 ]


01. まぼろし  マボロシ Maboroshi

02. ヘンミのテーマ II  ヘンミノテーマ II Henmi’s theme II

03. よいこと  ヨイコト  Yoikoto

04. 残された時間  ノコサレタジカン Nokosareta jikan

05. Sakura Waltz  サクラ・ワルツ Sakura waltz

06. 延命  エンメイ Enmei

07. Je te veux  ジュ・トゥ・ヴ Je te veux

08. Tortoise March I  トータス・マーチ I Tortoise march I

09. Tortoise March II  トータス・マーチ II Tortoise march II

10. Marmalade  マーマレード Marmalade

11. 遊歩 II – ピアノ  ユウホ II – ピアノ Yuho II – piano

12. 遊歩 II – サクソフォン  ユウホ II – サクソフォン Yuho II – saxophone


作曲・演奏:清水靖晃

「延命」 編曲:清水靖晃(原曲「ジュ・トゥ・ヴ」作曲:エリック・サティ)

「ジュ・トゥ・ヴ」 作曲:エリック・サティ、編曲:清水靖晃


清水靖晃:テナーサクソフォン、ピアノ、キーボード、プログラミング


レコーディング:清水靖晃(サブマリンスタジオ)

アディショナル・レコーディング:NHK CR-505スタジオ、ミキシング:NHK CP-604スタジオ

コンピューター・オペレーター:斎藤茂彦

録音:2025年12月~2026年2月

マスタリング:木村健太郎(キムケン・スタジオ)


土曜ドラマ「お別れホスピタル2」


【放送情報】

総合:2026年4月04日(土)夜10:00~10:45〈前編〉、4月11日(土)夜10:00~10:45〈後編〉

BSP4K:2026年3月22日(日)午後6:45~7:30〈前編〉、3月29日(日)午後6:45~7:30〈後編〉

[ https://www.web.nhk/tv/an/owakarehospital2/pl/series-tep-Z9WR7GN67X ]


【原作】  沖田×華「お別れホスピタル」(小学館「ビッグコミックスピリッツ」連載中)

【脚本】  安達奈緒子

【音楽】  清水靖晃

【出演】  岸井ゆきの、松山ケンイチ 他  

【演出】  柴田岳志

【制作統括】小松昌代(NHKエンタープライズ)、谷口卓敬(NHK)



・関連作品・前作リリース情報


NHK土曜ドラマ「お別れホスピタル」(2024年2月放送)

[ https://www.web.nhk/tv/pl/series-tep-1ZN13MQ53W ]

清水靖晃「お別れホスピタル」オリジナル・サウンドトラック

CD / Digital 2024.04.10 Release | RBCP-3534 | Released by Rambling Records

[ https://www.rambling.ne.jp/catalog/owakare-hospital ]

[ https://orcd.co/y5280qe ]


清水靖晃(Yasuaki Shimizu)


作曲家、サキソフォン奏者、音楽プロデューサー。ソロ活動のほか、実験的バンド「マライア」や「サキソフォネッツ」プロジェクト、コラボレーションなどを通じ、これまでに50作以上のアルバムを発表している。


J.S.バッハ《無伴奏チェロ組曲》を独自の解釈でテナーサキソフォンのために編曲・演奏した『チェロ・スウィーツ』(1996/1999)や、サクソフォン5本とコントラバス4本という特異な編成で取り組んだ《ゴルトベルク変奏曲》など、既存の音楽に新たな視点をもたらす試みでも知られる。2006年『ペンタトニカ』では、西洋音楽と対位するオリジナルの五音音階による作品を提示。


さらに、空間そのものを楽器と捉える独自のコンセプトのもと、地下採石場や美術館など、従来のコンサートホールとは異なる場での録音やパフォーマンスを行う。


近年は、80年代作品のアルバム『案山子』や『うたかたの日々』の再評価を背景に欧米での関心が高まり、2018年にヨーロッパツアー、2025年の北米ツアーでは全公演ソールドアウトを記録するなど、大きな反響を呼ぶ。


ジャンルにとらわれず、多様なアーティストへの楽曲提供やプロデュースを行う一方、第86回アカデミー賞にノミネートされた米国映画『キューティー&ボクサー』(2013)では、第7回シネマ・アイ・オナーズにてオリジナル作曲賞を受賞。映像音楽の分野でも高い評価を確立している。


NHKテレビドラマでは『透明なゆりかご』(2018)、『神の子はつぶやく』(2023)、『八月の声を運ぶ男』(2025)など、柴田岳志氏が演出を手がけた作品で音楽を担当し、その数は10作を超える。



イタリア/マルケのエレクトロニックロックバンド、Designが今週末、新作アルバムをリリースする。『Faithless』は、意味を失った現代を解き明かす鍵として、象徴的な「喪失」の主題を扱ったコンセプチュアルな作品。それは、拠り所の欠如、神の沈黙、イデオロギーの崩壊から生まれ、さらには愛と自覚の中に救済の可能性を見出そうとする人間の欲求から生みだされた。


「faithless」という言葉は宗教的な信仰の欠如を指すだけでなく、社会に対する不信、そして尊重と平等のあらゆる約束を裏切ったかのような世界に対する不信を意味している。


アルバムは、夢のような内面への旅として展開し、喪失を乗り越えるという小宇宙が、息苦しく、暴力的で、理解不能な現実という大宇宙を映し出している。


物語の旅路は、本作の中心的な象徴であるクジラの腹の中で頂点に達する。そこは、避難所であり、待ちの場であり、闇との対峙の場である。コッローディからメルヴィル、そしてオーウェルに至るまで、クジラは絶対、喪、そして宙吊り状態のメタファーとなる。


この空間を通り抜け、変容してそこから抜け出すことによってのみ、Faithlessは再生の可能性を切り開くのである。サウンドの面では、このアルバムは、ポストパンク、ダークウェーブ、エレクトロニックロックの境界線を往来し、雰囲気の構築と感情的な強さを重視している。


本作は2024年2月から10月にかけて作曲され、2025年5月にカステルフィダルド(イタリア)とベルリンで録音された。


エンリコ・ティベリ(Nrec、The Shell Collector)がプロデュース、レコーディング、ミキシングを担当し、ロンドンにて、ニック・ケイヴ・アンド・ザ・バッド・シーズ、デペッシュ・モード、ナイン・インチ・ネイルズ、ザ・ジーザス・アンド・メリー・チェーン、U2、ピクシーズ、ザ・キラーズを手がけてきたピート・メイヤーによってロンドンでマスタリングが行われた。

 

シンセの重層的な音色と電子的なテクスチャーが、鋭いギターとタイトなリズムと絡み合い、『Model/Actriz』の緊張感、『Crosses』の感情的な浮遊感、そしてナイン・インチ・ネイルズを彷彿とさせるインダストリアル・ロックの感性に近い、直接的で身体的な表現を生み出している。


メロディ面では、ニュー・オーダーやデペッシュ・モードの系譜への言及が垣間見え、ノスタルジーを排した現代的な視点で再構築されている。そこから浮かび上がるのは、制作上の選択において本質的であり、ダイナミクス、雰囲気、そして表現の切迫感を重視した、国際的な視点に立った、確固として認識可能なサウンドだ。


『Faithless』のジャケットは、パオロ・マッジャーニが作品『Vette scalfite』で撮影した巨大な大理石の塊が支配している。孤立し、威容を放つその大理石は、アルバムで描かれる個人のメタファーとなり、閉ざされた、感情的な重みを持った小宇宙となっている。


背後には、サラ・トリンガリによる儚げなクジラのドローイングが、精神的かつ象徴的な存在として画像を印象づける。写真とドローイングの対話は、作品の核心を視覚的に表現している。

 

それは、喪失から始まり、不信仰と沈黙を経て、再生の可能性へと至る道のりである。アルバム『Faithless』はイタリアのレーベル、Overdub Recordingsから5月15日にリリースされる。2作の先行シングル「Red Dragon」、「Blame」のミュージックビデオが先行公開されている。

 

「Red Dragon」 

 


「Blame」


Track By Track (Design):



1. Faithless: 

旅の出発点:喪失と神の沈黙。死を前にして信仰は崩れ去り、残るのは何か手触りのあるものを求める欲求だけだ。超越的な答えがない中、人間の愛こそが唯一の救いとなる。

2. Cold War :

家庭内、内面、そして歴史的な側面を併せ持つ、静かで遍在する緊張を描き出す。「冷戦」は、痛みが隠されたまま、あらゆる空間が意思疎通の不可能性に支配される、抑圧された普遍的な葛藤のメタファーとなる。


3. Sweet Surrender:

排除と不調和の物語。崩壊へと突き進む世界において、「甘い降伏」は自由と感情的な生存の行為となる。廃墟の上で踊り、画一化を拒絶し、もはや帰属感を与えない帝国の終焉に冷静に乾杯する。


4. Deep Dive:

内なる深淵への潜行。悪魔と向き合い、記憶を掘り下げ、癒えない傷を受け入れる。
痛みは解決されるのではなく、通り抜けるものとなる、必要な潜行。


5. Blame:

個人の責任と罪悪感についての考察。抑圧とは逆行する自らの過ちの認容は、痛みを乗り越え、内なる静寂に到達するための必要な通過点になる。


6. 12 I 12:

インストゥルメンタルの間奏、物語の休止。先へ進む前に息を止めるような、過渡期のひととき。


7. Evil Eye:

有害な絆の断絶。嫉妬、執着、操作が暴かれ、断ち切られる。これは自己防衛と解放の行為である。人を蝕む視線から逃れ、自らの空間を取り戻すこと。


8. Red Dragon:

貪欲と暴力に蝕まれた人類の終末的なビジョン。聖書的なイメージと現代の荒廃の間で、この曲は、自らが蒔いたものを刈り取る世界を告発し、無垢が犠牲にされる様を描き出す。


9. Loner’s Dream :

親密で儚いひととき。愛とは、夢と世界の終焉の間に浮かぶ、深く、ほとんど非現実的なつながり。それは、死にかけている神の最後の夢かもしれないし、無を耐えうるものにする唯一の
ものかもしれない。


10. Keyhole :

 現実の操作に対する批判的な視線。真実は画面の外に留まり、観察者は知らず知らずのうちに、暴力的な演出の共犯者となってしまう。映像や、自ら演じようと選んだ役割を疑うよう促す一曲。


11. The Belly of the Whale:

アルバムの象徴的な核心となる。クジラの腹は、避難所であり、喪であり、記憶であり、そして父の不在との対峙である。痛みと愛が共存する、宙に浮いた空間。そこから——変容して——抜け出すことで初めて、再生が可能になる。




Design Biography:

Designは2008年にマルケ州で結成された。ダニエレ・ストラッパト(ボーカル&プログラミング)、サラ・トリンガリ(ベース)、ニコラ・チェラーザ(ギター&キーボード)、ロベルト・カルディナーリ(ドラム&プログラミング)で構成されている。

バンドネームは、既存のものを再解釈し刷新するという発想から生まれた。それは、結成当初から彼らの楽曲制作やサウンド・アイデンティティの構築に貫かれている創造的な緊張感である。


EP/デモ『4 Little Hanged Toys』(Copro Records/Casket Music)を経て、2012年に『Technicolor Noise』(Zeta Factory)でデビュー。この作品は、オルタナティヴ・ロック、エレクトロニカ、そしてインダストリアル的な要素を融合させたものである。2015年にはThis Is Coreより『Daytime Sleepwalkers』をリリースし、よりダークな雰囲気への進化を遂げた。

この作品では、ダークやニューウェーブの要素が意識的に組み込まれている。翌年にはリミックス集『DSRMX』がリリースされ、プロジェクトのエレクトロニックな側面をさらに広げた。
 
個人的な事情による活動休止を経て、Designは2026年にOverdub Recordingsから『Faithless』をリリースする。この作品は強烈でコンセプチュアルかつ政治的なアルバムであり、彼らの経験に深く影響を受けた新たな芸術的章の幕開けとなった。
イタリア・クレモナ


ヴァイオリンは16世紀に登場した楽器である。その後、17世紀から18世紀にかけて器楽として発展していった。ヴァイオリンは、小さなヴィオラという意味。最初の時期に制作されたものを、オールドヴァイオリンといい、その後、改良が加えられたものをモダンヴァイオリンと呼びます。

 

ヴァイオリンのルーツには諸説あるが、西アジアのラバーブやカマーンチェが原型であるという説が一般的です。これは弓奏楽器の一つで、動物の皮張りを施したリュートのことを言います。


この楽器は、アフガニスタンやウズベキスタン、タジキスタンの地域に存在し、他の多くの楽器と同じように、海上貿易によって西洋にもたらされたと見るのが妥当でしょう。ちなみに、スペイン王宮のアルフォンソは、イスラムやアジア圏の楽器に拠るエキゾチックな音楽を作曲している。これが数世紀を経て、職人たちの手により、ヨーロッパ独自の楽器となったと推測されます。

 

一般的な楽器は原型が存在し、それに似せて作られることが多い。しかし、問題は、北イタリアの名工アマティ家の職人たちがどのような楽器を参考にしたのかという点に不分明な箇所が残されていることでしょう。それゆえ、まったくのオリジナル制作だと言われる場合もあります。

 

ヴァイオリンの最初の名産地となったのが、イタリア北部のクレモナという地域。現在は、ポー川の近郊に博物館もある。ヴァイオリンの制作の黄金期は、17世紀から18世紀のイタリアに到来した。一般的にはストラディヴァリが有名ですが、それ以前にアマティ家の職人達が活躍した。彼らはカエデ材などを用い、ほとんど高級な家具のような楽器、そして、魂柱を仕上げ、器楽の歴史に革新をもたらしました。世界最古と言われるヴァイオリンは、アンドレア・アマティが考案した1565年頃の作品です。アンドレア・アマティの出身地である北イタリアのクレモナにヴァイオリンの工房を設立し、ここから彼の弟子たちが数々の名器を生み出しました。

 

ニコロ・アマティ

 

アマティ家の中で最も優れた名工として名を馳せたのが孫のニコロ・アマティでした。彼が活躍した時代には、ジュゼッペ・ガルネリ、そしてアントニオ・ストラディヴァリなど名工が次々に登場し、ヴァイオリンの黄金時代が到来。その後、ヴァイオリンは16世紀ごろまでは、伴奏楽器として使用されていました。

 

17世紀以降になると、ヴァイオリンは器楽の支柱的な存在となり、華やかな地位を獲得するようになった。この頃、コレッリ、トレッリ、ヴィヴァルディ、ジェミアーニ、タルティーニが、トリオソナタ、合奏協奏曲、独奏協奏曲を作曲し、バロック/古典の最盛期が形成された。より美しい音色を音楽に込めたいという作曲家や演奏家の願望が、実際の器楽に取り入れられたことで、新しい楽器が生み出され、そして新しい演奏法や楽器の発声法が発展していく契機ともなった。

 

 

初期のヴァイオリンは現在のような音量が出なかった。その後、16世紀から19世紀にかけて、楽器の改良が行われ、コンサートホールのような大きな会場での音響性にふさわしい音量を得るようになった。ピアノの音階が時代の経過と合わせて増加していったように、指板が長くなり、駒の位置が高くなり、豊かな響きと華麗な音色が導き出せるように工夫が施されました。

 

また、楽器の発展に即して、優れた演奏家や作曲家が登場し、ヴァイオリニストは花形の演奏家になった。改良されたバイオリンを活かして、超絶技法を駆使する演奏家パガニーニが登場し、その後、ヴァイオリン教本を記したルイ・シュポーア、ブラームスと親交を持ったヨーゼフ・ヨアヒム、『トィゴイネルワイゼン』など名曲を残したサラサーテなどが活躍するようになった。音楽としてもヴァイオリンは全般的な表現性を押し広げた。風のように微細なアンビエントのような内容から、陶然とした美しい音色、また、落ち着いた平和な音色、それとは対照的な激しい感情性、より深遠な響きにいたるまで幅広い音楽的な表現をもたらすことになった。

 

一般的に、古い時代に生産されたヴァイオリンに高価な値段が付けられるのは、その作品に希少性があり、現在の素材で再現することが難しいからです。また、伝統的な歴史が込められているというのも要因でしょう。また、ギターやピアノなどのヴィンテージの楽器は、新品に比べると、その個体しか持たない独自の音色を生み出すことがある。

 

例えば、同じ楽器でも、演奏したり、使い込んでいくうちに、新品の時期とは異なる響きが出てくることがあります。ヴィンテージ楽器ならではの特性でしょう。これが俗に言われるように、”味のある音色”を象徴づけるのかもしれません。こういった理由により、物理的には、再現可能であろうとも、ヴィンテージ楽器には、説明しがたい神秘的な音色が宿ると広く信じられている。21世紀でも、16世紀に制作されたクレモナのヴァイオリンが最も優れていると言われます。ただ、現在市場に出回っているヴァイオリン楽器もそのほとんどが改良が施されています。

 

ぜひ、ヴァイオリンの演奏を聞くときには、 こういった数世紀に及ぶ歴史に思いを馳せてみて下さい。下記にご紹介しますのは、Voice of  Musicによる「四季」。小規模の室内楽ながら迫力のある演奏をお楽しみいただけます。

 



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ブライトンの作曲家/プロデューサー、ジャスティン・バーノンのソロ・プロジェクト、The Vernon Springによる『Under a Familiar Sun』のリワークプロジェクト『UnFamiliar Sun』。2025年秋から単独シングルが続々とリリースされてきましたが、ついにリリース。本作は2025年に発売されたオリジナル・アルバムのリワーク作品となっている。


The Vernon Springの幽玄で静謐なアンビエント・サウンドを、エレクトロニック・ミュージック、アンビエント・シーンの注目のアーティスト、Rosie Lowe、Oliver Coates、H.Takahashiなどが再構築しました。

 

この作品では、最近のアーティストの制作に頻繁に取り入れられるミュージック・コンクレートの手法が発見出来るはずです。また、ボーカリストはこのアルバムに、現代的なネオソウルのテイストを添えています。どことなくおしゃれで、スタイリッシュなサウンドに仕上がっています。

 

再構成アルバム『UnFamiliar Sun』には、ハロルド・バッドのようなピアノのリサンプリング、アトモスフェリックなエレクトロニックのシークエンス、そして、女性ボーカルの配置など、新鮮味のある音楽性を楽しめる。それぞれのミュージシャンによる編曲のアレンジの多彩な魅力に触れることが出来るはずです。


リリースから丸1年となるアルバム『Under a Familiar Sun』を加えたデラックスエディション仕様。デジタルのみでのリリースです。

 



【リワーク作品:デラックスエディション仕様】

 


アーティスト:The Vernon Spring (ザ・ヴァーノン・スプリング)

タイトル: UnFamiliar Sun(アンファミリア・サン)

発売日:2026年5月8日(金)

フォーマット:デジタルダウンロード/ストリーミング(デジタルオンリー)

ジャンル: ポスト・クラシカル / ジャズ / アンビエント

レーベル:p*dis


<トラックリスト>

Disc 1: Under a Familiar Sun

1. Norton

2. The Breadline (feat. Max Porter)

3. Mustafa (feat. Iko Niche)

4. Other Tongues (feat. aden)

5. Under a Familiar Sun

6. Fume

7. In The Middle

8. Fitz

9. Esrever Ni Rehtaf (feat. aden)

10. Counted Strings (feat. aden)

11. Requiem For Reem

12. Known


Disc 2: UnFamiliar Sun

1. ⁠Roaring Flame of The Sun (Under a Familiar Sun - Saoirse-Juno Rework)

2. Fitz (Dot Never Rework)

3. Say Her Name (Requiem for Reem - Loa Rework)

4. The BL II - feat. Max Porter & Confucius MC (The Breadline - Iko Niche Rework)

5. Esrever Ni Rehtaf (Rosie Lowe Rework)

6. Other Tongues (Oliver Coates Rework)

7. Counted Strings feat. aden (Sweet Bandit Rework)

8. Norton (H.Takehashi Rework) 


・ストリーミングURL: https://pdis.lnk.to/UnFamiliarSun

 



カーディフ出身のシンガー、ドナ・ルイス、作曲家兼プロデューサー、デヴィッド・ロウによる共同制作が行われたニューアルバムが5月8日についに発売された。『Wanderlust』の楽曲はすでに70万回以上ストリーミング再生され、人気を博し、世界中のリスナーの心に共鳴し続けている。

 

『Wanderlust』は、優しさ、失恋後の自己覚醒、再会、自由、そして絆といったテーマを織り交ぜた、輝かしいドリームポップとインディー・エレクトロニカが融合した楽曲集となっています。ドナ・ルイスのニューアルバム『Wanderlust』は、エレクトロ・ポップを中心に構成され、ダイナミックな力強さと叙情的な繊細さを併せ持つ。清涼感のあるダンス・ポップでは、今後暑くなる季節に最適である。80年代のニューウェイブやディスコポップのバブリーでノスタルジックな雰囲気も漂っている。幅広い年代に親しまれるであろうアルバムとなっている。


伝説的な歌手、ドナ・ルイスは、ウェールズ出身の歌手として異例の成功を収めた。1995年にアトランティックからデビューしたあと、アメリカのビルボード・チャートで9週連続で一位を記録した。デビュー・アルバム『Love Always』がミリオン・セラーを記録し、イギリスとアメリカでは著名なミュージシャンとなった。ルイスは、1990年代後半からおよそ30年にわたり、優雅さと確固たる信念を持って独自の道を切り拓いてきた。彼女の象徴的なラブソング『I Love You, Always Forever』は、世代を超えて人々の心に響き続けている。

 

『I Love You, Always Forever』は、米国と英国の両チャートで1位を獲得し、今もなお歴史上最も愛される普及の名曲としての地位を不動のものにしている。最近では、英国のダンス・ミュージックシーンの象徴的な存在、The xxのROMYがFred Againと協力し、同楽曲をサンプリングした。これにより『I Love You, Always Forever』は再び注目を集めることになった。

 

今日のドナの物語はかつてないほどパワフルなものになり、乳がんとの闘病を乗り越えた彼女の人間的なたくましさと不屈のスピリットは、楽曲の一つ一つの音から滲み出ている。『THE SUN』紙から「エイジレス・ビューティー」と称されたほか、『People』誌でも特集された彼女のアルバム『Rooms With a View』(2024年)は、今なお人々にインスピレーションを与え続けている。ホームズ・アイヴスと共同制作された『Rooms With a View』は、人生最大の試練を乗り越えるために必要な勇気を親密かつありのままの姿で聴き手に伝えています。


今回のアルバムも同じコンセプトが受け継がれているが、友情の記憶や対話という要素が加わった。全体的に感じられる温かな雰囲気は、このテーマが反映されているからだろう。ルイスは、BBCラジオのパートタイマーから、その後象徴的な存在となった、伝説的な作曲家兼プロデューサー、デヴィッド・ロウ(BBCニュースのテーマ曲「Touch and Go」などを制作)とタッグを組み、最新作『Wanderlust』の制作に取りかかった。彼女は次のように明かす。

 

「『Wanderlust』の各楽曲には、デヴィッドと私の長年の友情によって紡がれた瞬間が形作った記憶が込められています。これらの曲は、私たちが創造的かつ感情的に交わった場所の痕跡です。強要されたわけではなく、それぞれの曲が独自の道を見出したわけです」


「それは私たちの間で決して終わることのない対話であり、ただ異なる形で響き渡っているだけです。このレコードは、私たちがその中に身を置いた旅の地図なのです」

 

ドナ・ルイスの楽曲は、過去の栄光を物語るものではなく、現在の生きる力を反映する。メロディアスなダンスポップ集は、依然として、シンガーソングライターの力が健在であることを物語る。

 

ルイスのボーカルはきっと、多くの人に勇気と活力を与えてくれるはずだ。同じような健康上の闘いに直面する数百万の人々にとって、ドナ・ルイスの物語は単なるフィクションではない。それは希望の灯台であり、ありきたりな瞬間でも強さを見出せることを思い出させてくれる。世界が従来以上に回復力と美しさの物語を必要としている今、ルイスの歌声はかつてないほど輝かしい。

 

「Meet Me」 




NYのクラブシーンで存在感を放つ808 BEACH(ジョン・“J-C”・カー&ビル・コールマン)と、マルチソングライター、ホリスティック・サウンド・プラクティショナーでもあるベル・ハンブルによる『Here's Where The Story Ends』のデラックス・バージョンが5月8日にリリースされた。本作は、一つのシングルになんと16ものアレンジやリミックスが施された異例の作品だ。

 

本作は、イギリスのオルタナティヴロック・バンド、The Sundaysの大ヒット作を、ベル・ハンブルの魅惑的でカラフルなボーカルと、808 BEACHの高揚感あふれる魅力的なプロダクションで再構築した圧倒的でアンセム的なダンス/EDMリワークだ。The Sundaysは、1980年代後半から1997年まで活動し、三作のアルバムをリリースした。ちなみに「Here's Where The Story Ends」は、本国のUKのヒットチャートでは圏外だったが、US ALTチャートで一位を記録した。

 

デラックス・バージョンには、ザック・サミュエル、808 BEACH、バイロン・ザ・アクエリアス、DANK & GLADIUS、スローズ、フアン・フォン・カルロスによる複数のリミックスが収録されています。808 BEACHのビル・コールマンは次のように語っています。

 

「ザ・サンデーズは、私がこれまでで最も好きなバンド。彼らの1990年のデビューアルバム『Reading, Writing and Arithmetic』は、紛れもないオルタナティブ・ブリット・ポップの傑作なんだ。前回のシングル『WHATEVER DADDY SAYS』の続編を考える際、ジョンと私は、リミックス以外の活動において、自分たちの音楽の異なる側面を披露することが重要だと考えた」

 

「数年前から、彼らの『Here’s Where The Story Ends』を、敬意を払いながらも踊れるカバー曲としてどう仕上げるか、アイデアを練り、方向性について何度も議論を重ねてきました。友人であり、度々コラボレーションしているベル・ハンブルが、その才能を貸してくれると快諾してくれたことで、私たちは大きなインスピレーションを得て、この芽生えつつあったアイデアを明確なビジョンを持って完成させることができました」

 

「”Here’s Where The Story Ends”という曲は、歌詞もメロディも完璧な仕上がりです。ベルの色彩豊かな歌声とアプローチは、ザ・サンデーズのオリジナルを敬意を持って尊重しつつ、私たちのダンスやクラブ志向のプロダクションを自然に融合させる、まさに理想的な雰囲気をもたらしてくれました。この作品を完成させることができて、本当に嬉しかった」  


808 BEACHは、リッツォ、シア、カリッド、レニー・クラヴィッツ、ビリー・ポーター、イレイジャー、アーサー・ベイカー、ソフィ・タッカー、ウルトラ・ネイト、レッド・ホット・オーガニゼーションなど、幅広い人気アーティストの楽曲をプロデュース、リワーク、再編集、またはミキシングしてきました。

 

ベル・ハンブルは、クリエイティブな表現と癒しを結びつけ、フリースタイラーズやフラックス・パビリオン(「Cracks」)、サンダー・ヴァン・ドーン、パロマ・フェイス、ダブ・ピストルズ、レクサー、トム・スウーンらとコラボレーションを行ってきた。彼女たちは、このリメイク作品に感情的な深みとダンスフロアでのエネルギーというユニークな融合をもたらし、ノスタルジックなオルタナティブのルーツと現代的なエレクトロニック・センスを結びつけている。


808 BEACHは、NYCのクラブシーンに精通したマルチタレント、ビル・コールマン(Deee-Lite、Ultra Naté、シネイド・オコナー、レニー・クラヴィッツ、Party Girl)と、英国の音楽界の神童ジョン・“J-C”・カー(ゼイン、クリスティーナ・アギレラ、ジョディ・ワトリー、パット・マグラス・コスメティックス)による、熱狂的な楽曲制作・プロデュース・コラボレーション・デュオです。

 

808 BEACHとして結集した彼らの才能は、リッツォ、シア、カリッド、ブランドン・マーケル・ホームズ、ビリー・ポーター、イレイジャー、ヴァネッサ・ウィリアムズ、ディー・ディグス、ソフィ・タッカー、レッド・ホット・オーガニゼーションなど、多岐にわたる人気アーティストの楽曲をプロデュース、リワーク、再編集、リミックスし、ダンスフロア、プレイリスト、そしてラジオ放送に最適な楽曲へと昇華させてきた。

 

コールマンとカーによる、ジャンルを超越した洗練されつつもエッジの効いたプロダクションやリミックスは、楽曲の躍動感やアーティストの個性を損なうことなく、心地よいスタイルを維持している。

 

デュオは、2024年のデビュー作となるニューディスコの大ヒット曲「WHATEVER DADDY SAYS」(NYCの歌姫エイミー・ダグラスをフィーチャー)で、クラブプレイチャートトップ3入りを果たしました。


ベル・ハンブルは、マルチプラチナ・ソングライター、音楽アーティスト、そしてホリスティック・サウンド・プラクティショナーであり、その作品は芸術性とヒーリングを融合させている。キャリアを通じて、彼女はリスナーが内省し、体を動かし、癒され、喜びと再びつながれるような音楽と体験を創り出すことに強い重点を置いてきた。

 

フリースタイラーズやフラックス・パビリオン(「Cracks」)、パロマ・フェイス、ダブ・ピストルズ、トム・スウーンといったアーティストたちとの長年にわたるコラボレーションは、ジャンルを超越したものとなっている。


音楽を普遍的な言語であると深く信じているベルは、意図を持って創作に取り組み、感情的かつエネルギー的なレベルで共鳴するサウンドスケープ、楽曲、歌詞を紡ぎ出している。彼女の世界的なヒット曲はジャンルを超え、新作のリリースごとに進化し続けるその多才さを示そうとする。その活動範囲が広がる中でも、ベルの作品は変容、つながり、そして人々を元気づけ、インスピレーションを与える音の力に根ざし続けています。






 
Cola


トロントのColaは、どことなく不敵で、アヴァンギャルドな3人組ロックバンドとして君臨する。不条理のテーマを織り交ぜたフランツ・カフカのような文学性と、彼らの言うところのミニマリズムが混在する異質なバンドだ。彼らのサウンドは、メロディがないようで微かに存在し、また、現代的なポストパンクの位置付けにある。そのサウンドから立ち上る、ほのかなエモーションがこの3人組を、カナダ、いや、世界で唯一無二のバンドにしている理由なのである。


『C.O.L.A.』は、彼らが何者かを象徴するような、ある意味、本質的なセルフタイトル・アルバムと言える。これは「Cost of Living Adjustment(生活費調整)」の頭文字をとった、バンドの3作目となる本作のコンセプトとしてふさわしい枠組み。『C.O.L.A.』は、「社会主義対地獄」といったテーマを考察している。そして、人生のサイコロを振る、ということについても考察している。ノスタルジアが引き起こす、不気味でありながら甘美な切なさがある。


しかし、これは、ティム・ダーシー、エヴァン・カートライト、ベン・スティッドワージーにとって、それほど決して新しい試みではない。カートライトの言葉を借りれば、「我々がこれまで行ってきたことの深化」を意味するという。『C.O.L.A.』は、複雑で美しく、奇妙な作品だ。これはバンドにとって最も洗練された作品であり、丹念に磨き上げられた美的な衝動の極致である。


ティム・ダーシーによれば、バンドとしてのColaは「上品なミニマリズム」によって定義されるという。ロマンチックで、繊細でありながら、一見してわからないほど強烈な音楽を作ることに深い敬意を払っている。しかし、『C.O.L.A.』は、バンドにとってこれまでで最もマキシマリスト的な作品である。また、これは少し皮肉を込めた表現でもある。「このアルバムの曲がどれも違いすぎてしまうのではないかと、すごく心配していたんだ」とカートライトは語る。


実際、このマキシマリズムとは、「Hedgesitting」のような曲に、生ドラムとサンプリングされたドラム・ループの両方が使われていることを意味する。「Hedgesitting」は、華やかで豊かな曲だ。まるでザ・キュアの『Disintegration』から取り出した、デコンストラクションされ、チョップ&スクリューされたB面曲のようだ。また、サラ・レコード(1995年まで継続していたブリストルのレーベルでネオアコースティックやインディーポップの秀作を輩出)の影響も少し感じられる。「若い頃、君は成功するためにここへ来た」とティム・ダーシーは曲の冒頭で歌う。


『C.O.L.A.』は、このバンドが書くすべての楽曲と同様に、本質的に共同作業の産物だ。メンバーはそれぞれ別々に曲を作り、その後スタジオに集まって共同作業を行う。このプロセスを確認するには、「Hedgesetting」を聴いてみてほしい。この曲はダーシーが送ってきたコード進行から始まり、バンドが共に展開を広げ、スタジオ入り直前にスティッドワージーがリミックスを行った。この分業体制は直感的に機能している。スティッドワージーが書いたアレンジを基に、ダーシーとカートライトがそれを発展させていく、つまりDIYでやっていく点は、バンドのDNAの一部なのだ。


例えば「Favoured Over the Ride」については、「ティムが歌詞を書くための、薄暗く憂鬱な色調を作りたかった」とスティッドワージーは語っている。曲は孤独で夢見心地なギターリフで始まり、そこにシャープなベースラインが入り、すべてがクリアになる。「天井に何があるんだろう? 君の視線を釘付けにしているのは何?」とダーシーがシニカルに歌う。抽象性を追求した本作において、これは明快な瞬間だ。『C.O.L.A.』にはこうした明快な瞬間が満ちている。渦巻く感情のすべてが、少し痛みを伴うほどはっきりと浮かび上がる瞬間に。


『C.O.L.A.』における目標の一つは、メロディーが歌詞を導くようにすることだった。これは、ダーシーの過去の多くの作品を支えてきたシュプレヒザング(語り歌)からの転換である。ここでは、ボーカルのメロディが、アルバム内の他のすべてのメロディと同等の位置づけにある。しかし、歌詞の詩的表現や精緻さは、ダーシーがこれまでに書いたものより決して劣ってはいない。「コクトー・ツインズの曲を作っているわけじゃないからね」と彼は冗談を言う。


その結果生まれたのは、構成要素のすべてを徹底的に意識し、それらをすべて等しく重要視しようとする作品だった。『C.O.L.A.』は、その構成要素すべてが互いに直接対話している。本作は、いわば「自己対話」するアルバムである。音が広がりを見せる場面でも、その輪郭はぼやけない。抽象的で、間接的で、時に奇妙である——。しかし、同時に、古典的な意味での美しさも備えている。まるで絵画が持つような美しさがある。実験的な要素をこれほど意図的に操るその様は、まるで彫刻のように精緻である。例えば「Skywriter’s Sigh」では、音がパチパチと弾け、きらめく。それは崇高な領域に触れている。これこそが、バンドとしてのColaの最高の姿なのだ。

 

 

 Cola 『Cost of Living Adjustment』- Fire Talk



三作目の実質的なセルフタイトル『C.O.L.A』においても、Colaのサウンドは奇妙で、異彩を放っている。いくつかのバンドや音楽の影響は感じさせるが、実のところは似て非なる内容である。


ポストロック/ポストパンク的なアプローチは、Fugaziの1995年から2000年前後の最終盤のサウンドを彷彿とさせる。『Red Medicine』や『Instrument Soundtrack』によく似た独特な緊張感、しかし、そこからほのかにボーカルのエモーションが漂う。また、初期のSonic Youthのような不協和音が前面に押しだされることもある。8ビートを中心にオフキルターのリズムを配したロックソングは、表向きにはヘヴィーなわけではないけれど、奇妙な重力が感じられる。

 

現代社会に生きる人間としてのニヒリズムというべきだろうか。これは、Fugaziの後期の思想性に通じるものがある。 歌うというより、ぼやきやつぶやきにも似たティム・ダーシーのボーカル。これは、抽象的なギターワークや、ミニマリズムとオフキルターを織り交ぜた変則的なビートを刻むドラム、そして、基礎的な和声法を度外視する不協和音のスケールを描くアヴァンジャズのようなベース、これらが渾然一体となり、特異なサウンドが出来上がっていく。

 

しかし、それらに現代的なサウンドの雰囲気を添えているのが、リサンプリングによるミックスの作業で、これらはローファイ/スラッカーの先鋭的な音楽アプローチの一貫でもある。このアルバムの場合、それらはミュージックコンクレートの一貫として制作に組みこまれている。一度録音した素材や音源をミックスの段階で組み直して、全体的な録音の過程の流れに組み入れる行為は、現代のロックバンドに定着しつつある。これらは、Cindy Lee、Homeshakeのようなトロントのローファイ/スラッカーロックの重要な流れを汲んでいると言えるか。

 

Colaの音楽は、お世辞にも聴きやすいとか取っつきやすいとは言えない。アルバムの冒頭から、ベースの意図された不協和音のスケール(旋法)が演奏される。彼らのサウンドは、アヴァンジャズに近似しており、縦の音階を中心に構成されるにとどまらず、横の音階の流れを中心に組み上げられることもある。そのため、明確に意図された和音やコード進行ではなく、ジャズのピアノや金管楽器のようなスケールの流れの中で、全体的な楽節の進行が続いていく。


和声法を中心とする作曲は、音楽史の流れから見るかぎり、後発的に発生したに過ぎない。音楽は旋法の組み合わせを中心に組み上げられるのが基本である。つまり、和声は、旋法の組み合わせを縦に抽出したに過ぎない。和声法だけを頼りに作曲を続けると、どこかで壁に突き当たる。和声は、音の動きを定義し、静止させる。しかし、その一方、旋律は、音の動きを円滑にする働きがある。トロントのトリオ、コーラは、それを逆手に取って、これらの均衡をうまく図りながら、アヴァンジャズとミニマルロックの中間に属する音楽を展開していく。

 

「Forced Position」 は和声と旋法の組み合わせが見事にハマった一曲である。ベースの不協和音のスケールは流れを円滑にし、ギターのコードは、それらを定義するために存在する。それらを強調するかのように、ボーカルが流れを作り出す。ドラムはイギリスのニューウェイブ、ニューヨークのノーウェイブのような前衛性があり、基本的なリズム構成の中、変則的な分数のリズムを組み込み、不思議なグルーヴを作り出す。聴いてみると分かるが、明確な和声的な流れはほとんど存在しない。むしろ本質的には、和声法を度外視した不協和音が際立つ。しかし、表向きには居心地の悪いような音楽の中に、居心地の良さが見出される。不協和音のなかに協和音がとつぜん出てくるとき、不思議な懐かしさを覚えるのだ。

 

ティム・ダーシーのボーカルは、エモーショナルな響きがあり、それらの混沌とした音の流れに規律をもたらす。そして、ボーカルとベースがユニゾンのような関係を持つことで、芯の強いサウンドが生み出される。これはジャズのような音楽で見いだせる内容だと思うが、ロックバンドとしては、見過ごされてきた演奏法である。また、どちらかと言えば、パンクやポストハードコアのアヴァンギャルドな音楽を通過したバンドの演奏にまれに見いだせる内容である。こういった前衛主義の音楽を制作する人々は、意図するか否かに関わらず、ジャズやクラシックのような音楽で使用される演奏法を自らの制作に取り込むことがある。コーラも同様で、二律背反の考え、簡素や複雑、美しさや醜さ、明るさと暗さといった本来は対極にある概念を混在させ、混沌としたサウンドを作り上げる。でも、そういった概念や定義付けは本来はあってないようなもの、主観的にならざるをえない。その脆さを彼らは暗示する訳なのだ。

 

 

 「Forced Position」

 

 

コクトー・ツインズやキュアーを瞬間的に彷彿とさせる曲も確かにある。「Headgesitting」。しかし、影響が示されるのはイントロだけで、その後は、ダンサンブルなロックソングが続き、それらにシュプレヒサングやスポークンワードの新しい要素を加味したサウンドが続いている。前作『Gloss』では、どちらかと言えば、アンチメロディーの立ち位置にあった彼らだが、今作では、ボーカルを聴くと分かるように、メロディアスな音楽を押し出している。また、シニカルなだけではなく、ドリーミーなシンセのテクスチャを加えて、音楽的な優しさをもたせようとしている。さらに、彼らはUnderworldのようにエレクトロとロックを結びつける。ただ、手法はそれに近くても、Kasabianのようなサウンドにならない。彼らの”上品なミニマリズム”は、ニューヨークのプロトパンクのような詩情的なサウンドと組み合わされ、叙情的な気風を呼び込む。コーラは二番煎じでは終わらず、新しい音楽性を示す。

 

カナダのローファイのサウンドが乗り移った「Painting Spelling」は、マック・デマルコの次世代の音楽と言える。 どことなくゆったりとした開けたフォークソングの要素は、ミニマリズムの解釈を通して、おどけたような雰囲気のある曲に昇華されている。しかし、コーラらしさは健在であり、ベースとギターはボーカルに対して不協和音の関係にある。それらがときに、協和音になったり、不協和音を奏でたりしながら、シュールな音楽を作り上げていく。 また、リサンプリングを経過した音楽は、ときおり、IDM/エレクトロニカのようなサウンドに近づくこともある。これらの次々に移り変わる音楽は、まるでコーラの持つ音楽の無尽蔵の魅力を象徴するかのようだ。

 

ただ、こういった難解さだけが彼らのサウンドの特色ではあるまい。「Haveluck Country」では、単純さに焦点が置かれ、ギターの単音/オクターブ反復を中心に曲が組み上げられ、これらのミニマリズムは時々、どことなく夢想的で幻想的なファズギターの音像が組み合わされることで、驚くべき変遷を辿っていく。曲が進むうちに、ダーシーのボーカルは、ジョニー・キャッシュのようなフォーク性を帯びるようになる。曲の冒頭は、あまりにも単純に思える音楽であるが、ベースの音階やスケールがランタイムごとに変化していき、異なる音楽的な情景を作り上げる。ボーカルはダンディズムに対する、ちょっとした皮肉も込められている。それらの中にある脆さのような感覚が混在する。ミニマルから脱却し、マキシマムに至る。曲の後半でのギターとボーカルが織りなす幻想的なコントラストは、本作のハイライトとなるはずだ。

 

「Satore-torial」はニューヨークのプロトパンクが強調され、ルー・リード/トム・ヴァーレンのような雰囲気の楽曲でもある。音楽的には、Velvet Undergroundというより、Televisionを彷彿とさせ、タイトなアンサンブルと少しニヒリズムを感じさせるボーカルが特徴のロックソングである。これらは、Colaのアンチ・メロディの性質がひときわ強く感じられる。そして、これこそが、このアルバムの表向きには見えづらいパンク性を象徴付けている。つまり、平たく言えば、メインストリーム音楽に対する反抗でもある。これらは、結局、このバンドのオルタネイトを象徴づける。つまり、メインストリームのロックとは異なる音楽性を生み出すことに成功している。また、この曲は、最小限の構成の中で、Doorsのような催眠的な音楽性が作り上げられる。曲の後半では、オルガンのような演奏が薄く組み込まれ、神聖な雰囲気を帯びる。

  

 「Much of Muchness」は現代的な価値観に対する疑念とも言える。やはり、ティム・ダーシーのボーカルは、昂ずるわけでもなく、また、猛り狂うわけでもなく、淡々と語りかけるような雰囲気で続いていく。しかし、これらが背景となるバンドアンサンブル、彼らの持つミニマリズムとかっちりとハマると、グルーヴ感や心地よいビートが浮かび上がってくる。極彩色で派手な音楽がメインストリームの音楽シーンを席巻する中、彼らの音楽はどこまでもモノトーンに染まる。しかし、このアプローチは確実に、このアルバムの本質的なかっこよさに直結している。この曲ではどちらかと言えば、リチャード・ヘルのようなプロトパンクのサウンドが際立つ。更にアルバムのもう一つの主題である、メロディアスな叙情性がボーカルとギターを通じて、はっきりとした形で浮かび上がるときがある。これはバンドとしての大きな進歩と言えるか。

 

「Third Double」は、異色の一曲として存在感を放つ。依然としてシニカルで、ニヒリスティックなボーカルが、シューゲイズ風の音像の大きなギターと混在しながら、ニューヨークのバンド、Interpolのような暗澹としながらも、叙情性に溢れる音楽的なイディオムを持つ。ギターとベースの演奏は、ジプシー音楽のような奇妙なテイストに満ち溢れている。さらに曲の後半では、本作では珍しく、轟音のファズ/ディストーションサウンドが敷き詰められる。 これらのサウンドはまるで、内的な感情を、そのまま曲に昇華させたかのようである。


本作の決め手となるのが「Conflagration Mindset」。「憂鬱を悲しみに変える」というフレーズが印象に残るこの曲は、オルタナティヴロックの名曲で、このジャンルの今年度の最高の曲に挙げられる。オルタナティブというのは、基本的にメインとなる概念とは異なる考えや思想を織り交ぜてこそである。それに乏しい場合、アルトとは言えず、メジャーの領域に近づいてしまう。

 

重厚なギター、対旋律を描くベース、シンプルな4/8拍を刻みながら分数的な分割のリズムを刻むドラム、内的な悶々とするやるせない思いを延々と打ち明けるかのような内省的な雰囲気を持つボーカルなど、計算づくのサウンドは、曲が進むごとに、予想だにしない展開に繋がっていく。それらのミクロ(最小)の音楽はだんだんマクロ(最大)に近づいていく。多くの人が言うところの小さなものは、実は意外と大きかったのかもしれないと、ふと気付かされる。このロックソングには、内的な宇宙が混在し、だんだんとそれが拡大していくような奇異な感覚がある。一人の思考が強大な意味を持つような広大さを帯びる変遷でもある。少なくとも、哲学的な雰囲気を持つ、非常に珍しいロックソングとなっている。

 

不協和音と協和音の共存は「Favoured Over The Ride」 でも健在である。彼らのサウンドには、便宜的に言えば、不調和と調和が共存している。彼らは、世にはびこる善悪のような一般的な概念がどれほど脆く、弱い土台の上に成立しているかを音楽の向こうに投射してみせる。つまり、それらの背後に、対極にある概念や要素が内在しているのだ。フォークソングの哀愁とロックソングの組み合わせは、独特のズレや違和感のような感覚をもとに、彼らなりのオリジナリティとして昇華されていく。そして独特な旋律的なズレから、温かみのあるエモーションが滲み出てくることがある。

 

『C.O.L.A』と題されたアルバムは、物事の背後にある本質的な意味をぼんやりと浮かびあがらせる。それが最初に述べたフランツ・カフカのような印象を帯びる理由であると言える。なおかつまた、こういった思索的な要素に加え、叙情的な温かさもまた、このアルバムの魅力となるはずである。アルバムの最後を飾るクローズ曲「Skywriter's Sigh」は、ガレージロックのような荒削りな勢いがあり、そして、本作では珍しく、すがすがしさすら感じさせる。

 

しかし、やはりというべきなのか、Colaのサウンドは、Yo La Tengoのようなひねりがあって、一筋縄ではいかない部分がある。どことなく曲がりくねっていて、どこに続くかわからないようなスリリングさ。しかし、同時に、ロックバンドとして起伏に乏しく、すべてが平坦すぎる場合は、それもまた冒険心や面白みに欠けているとも言える。その反面、コーラは珍しくロックソングのスリリングな魅力を教えてくれる、数少ないバンドである。所属レーベルが紹介するように、サード・アルバムは、彼らにとって、代表的な作品になるに違いない。表向きには、明るい音楽とは言えないのに、なぜか奇妙なほど勇気づけられるアルバム。また、オーディオで聞くのと、イヤホン/ヘッドホンで聴くのとでは、ぜんぜん印象が異なる不思議な作品でもある。 

 

 

 88/100 

 

 

「Conflagration Mindset」 

 

 

・Cola 『Cost of Living Adjustment』は本日Fire Talkから発売。ストリーミングはこちら。