米/フィラデルフィアのシンガーソングライター、Greg Mendesz(グレッグ・メンデス)は、時々、主要産業の地域ではない場所から優れたソングライターが登場する事例に該当する。彼が奏でるのは、都会のフォークソングではなく、郊外の音楽である。メンデスは、正真正銘の叩き上げの音楽家で、苦労人の表情を持つ。彼がようやくその才能を発揮し始めたのは、実に主要な音楽制作を始めてから15年が経った時である。そういった日の当たらない日々、彼は肉体労働などに従事しつつ、音楽の才能を磨いた。

 

レーベルが紹介しているところでは、グレッグ・メンデスは、無駄のないソングライターであり、抑制と簡潔さを武器として使いこなし、その楽曲の核心をシンプルかつ鋭い真実へと研ぎ澄ましているという。昨年、彼は、デッド・オーシャンズと契約を交わし、大手メディアの注目を集めることになったが、おそらく見かけ倒れにはならない。レーベルのスカウトの慧眼が正しかったことが後に明らかとなるだろう。メンデスのソングライティングは、アレックス・チルトンやエリオット・スミスといったUSインディーフォークの直系に属し、また、その中核を担う。ビートルズからの影響もありそうだが、飽くまでインディーズの側面に軸足が置かれている。 

 

本日発売される通算二作目となる新作アルバム『Beauty Land』では、皮肉ながらも寛容な語り手――シニシズムと信仰のバランスを学んだ弱者――に導かれていく。これらの楽曲は、自己憐憫を排した謙虚さを持ち、ポップなメロディー、きらめきつつも切迫感あるギター、そして聖歌隊の少年のような無垢さを湛えた歌声を通じて、不完全さを丁寧に構築した祭壇となっている。


『Beauty Land』の大部分は、フィラデルフィアにあるメンデスの即席ホームスタジオ――自然光の差し込まない小さな部屋――で、ほぼ独りでテープに直接レコーディングされた。これは、2023年に突如としてブレイクしたセルフタイトルのデビュー作以来となる初のフルアルバムだ。


そのデビュー作は、フィラデルフィアとニューヨークを行き来しながら15年間にわたり、比較的無名のまま楽曲制作とレコーディングを続けてきた末に、徐々に火がついたような成功を収めた作品だった。『Beauty Land』は、3年前に私たちが置き去りにした場所――悲しみ、愛、そして依存症の深淵――から物語を再開する。しかし、その強烈で静謐な明快さは、メンデスのソングライティングが最高潮に達していることを示している。


『Beauty Land』の一部は、まるで明晰夢のようだ。傷ついたキャラクターたちが、漫画的で歪んだ世界を切り拓いていく――「I Wanna Feel Pretty」の壊れた時計のような行進、「Gentle Love」の鈴のような音色のおもちゃのピアノ。「Mary / Dreaming」は、指弾きのシンプルな哀歌として始まり、突然、気力を失ったような、ビーチ・ボーイズ風でありながらどこか歪んだ結末へと切り替わり、憂鬱と喜びの両方が共存している。すべてのことが同時に真実になり得るという感覚だ。収録された14曲はいずれも3分を超えないが、それらは一生に及ぶ物語を語っている。


『Beauty Land』は、時に、信じられないほど孤独に感じられる。だからこそ、そうではない瞬間が際立つのだ――例えば「So Mean」の終盤で、メンデスが妻でありバンドメイトのヴェロニカとハーモニーを奏でる場面。それはまるで、愛おしい再会であり、一瞬の救済であり、海が一時的に割れるような瞬間のように感じられる。



Greg Mendez 『Beauty Land』- Dead Oceans



グレッグ・メンデスの音楽には、文学的なテーマが感じられる。それは郊外の若者、あるいは壮年期以降の何に則して生きるのかという主題である。現代以降、何かを規範に生きるということはほとんど難しくなり、ゆえに、自らなにかを探し求めなくてはいけなくなった。自己は何に属するのか、属さないのか。これはミレニアム世代以降のアメリカのヒップホップソングにも通底するテーマでもある。つまり、吾は何のために生きていくのかというテーマなのである。

 

また、それはコミュニティ、宗教意識、他者との人間関係などに還元されることが多かったが、グレッグ・メンデスの音楽的な詩にもそれは共通していることではないかと思う。メンデスの音楽には、郊外の若者にありがちな孤立感、そして、旧来の宗教意識に対する自分の意識、そういった内容がさりげなく盛り込まれている。それは内的な悪魔を打破するべく、祓いとして音楽や歌が機能しているのだ。彼の音楽的な意識、あるいは、そこに通底する哲学的な意識は、間違いなくニューヨークとフィラデルフィア、都会と郊外の行き来によってもたらされたものだろう。メンデスは、群衆と個人を行き来しながら、自己とはなにかという意識を探索するのである。個人は聡明であっても群衆は愚かである、というギュスターヴ・ル・ボンが指摘した社会学のテーマ『群衆の心理』が、グレッグ・メンデスの音楽には感じられることがある。しかし、それは優越感を意味するわけではない、どちらかと言えば、孤立感を意識させる。

 

メンデスは、それをフォークミュージックを通じて行う。彼の音楽は、単なるメロディの美しさや構成的な機能だけを追求するものではない。通常の意識の中からまれに汲み出される清淨な雰囲気、それは彼の場合、賛美歌なのだが、それがインディーフォーク・ソングから立ち上る時、精妙な感覚が立ち上ってくる。これはグレッグ・メンデスによる信仰や神々に対する祈りに近い。


結局、アメリカという国家は、法律や社会規範そのものが宗教や神に対する関係から生まれる。旧来のカトリック精神からは乖離しているが、結局はまだこういった宗教観念を基底に生きざるを得ない。法廷でも、アメリカはまず神に対する誓いを述べる、こういった事からも分かることである。それは近代や現代になっても、不変の事実といえる。また、彼の音楽に凄みのような箇所が出てくるのは、自力が窮まり、大きな別の存在、いわばスタンドのようなものがふと出てくる時である。これらは特に、シンセ、ドラムや賛美歌のような箇所で立ち表れる。

 

『Beauty Land』は、そういった孤立する現代的な個人意識の中で、汲み出される美しい情景を歌おうという試みである。それは言ってみれば、足元の水たまりの泥の中から、一滴の清らかな水滴を彼自身の手ですくい上げる行為でもある。そしてデビューアルバムから一貫しているホームレコーディングをベースにしたささやかなフォークソングは、小さな領域を越え、大きな領域に響きわたることがある。

 

「I Wanna Feel Pretty」は4カウントから始まり、ビートルズを彷彿とさせるフォークソングが続いている。メンデスの音楽は、小さな扉を開き、そしてこわごわとその先を覗き込み、そして大きな世界を垣間見るような感覚に満ちている。

 

クールだが温かみを感じさせる歌声、ナイロン弦によるアコースティックギター、ベース音に対してなめらかに鳴らされる和音、そして主旋律を描くメンデスのボーカル、これらが渾然一体となり、小さくも大きなフォークミュージック・ワールドが形成されていく。これらは日本の戦後に隆盛を極めた下町の風景を歌ったフォークミュージックと共鳴するもので、まるで四畳半の世界から大きな世界を眺めるような不思議なエモーションに縁取られている。メンデスのボーカルのメロディの旋法は、賛美歌からの影響が含まれている。しかし、彼には、巨大なオルガンは通常必要ない。反復的なフレーズを繰り返しながら、トイピアノとティンパニのような効果を持つドラムを用い、奇妙なほどエモーショナルで、壮大な音楽的な世界を描写する。

 

 「I Wanna Feel Pretty」

 

 

 

「Looking Out Your Window」は、ビートルズに加え、アレックス・チルトン(Big Star)やエリオット・スミスを彷彿とさせる。特別な音楽的な要素はないのだが、メンデスのボーカルは、70年代のニルソンのようなじっくりと聴かせる響きがあり、また、それらがアコースティックギターの演奏と上手くハマっている。これらは彼が熟成してきた音楽性がようやく完成された瞬間でもある。暗さ、明るさ、悲しみ、喜びを交差しながら、切なげな音楽が象られる。しかし、こういったささやかなフォークソングが中盤以降にオルガンが入るだけで、奇妙なほど壮大な感覚を帯びてくる。いわば、悲しみや暗さの領域から明るい領域へと踏み込んでいくのである。かれの音楽はまた、フィラデルフィアの郊外の風景の素朴さから始まり、ニューヨークのような、きらびやかな地域の風景へ、少しずつ移り変わっていくような感覚がある。この曲もまた、小さな世界から徐々に大きな世界へと変遷していくような瞬間が切り取られている。

 

ギターのテクニックにも注目したい。「Mary/ Dreaming」では上部の和音のアルペジオを維持したまま最低音部だけを変更し、音楽的な流れを付けるアコースティックギターの演奏法が取り入れられている。しかし、それは単にビートルズやディランの復刻だけとはかぎらない。賛美歌からのボーカルのメロディを受け継ぎ、時折、クラシックギターの演奏を感じさせる上品なギタープレイが、単調と長調を鋭く交差する作曲により、流れるようにスムーズな展開を作る。


この曲は、二つの曲をつなぎ合わせたような構成を持ち、一曲目はボブ・ディラン風のフォーク・ソングで、二曲目の方はビートルズのデモソングのような感じで続いている。時代をさかのぼるような感じがあり、これはまたホームレコーディングの没時代性からもたらされるものだろう。「Everybody Wants To Be Your Friend(Except Me)」はシニカルな意味合いをにじませ、飄々としたフォークミュージックを紡いでいる。序盤から中盤の流れを安定化するような曲で、田舎性を思わせるサウンドから孤立感をシンガーは歌うが、それは柳に風といった感じだ。

 

中盤に収録されている「Gentle Love」はソングライターの旋律的な秀逸さがオルタネイトなベースの進行と合致している。序盤から中盤にかけてのハイライト曲と見て間違いないだろう。特に、基本的な和声に、シャープ/フラットを追加し、半音階進行を多用し、通過音を多用しているのが特徴である。


60年代後半のポップ/ロックソングの階段状に半音階進行を続けるベース進行に対し、ボーカルメロディーは伸びやかな上昇の旋律曲線を描いている。これが憂鬱を象徴する低音部と、それとは対象的に明るい領域へと伸びていこうとするボーカルの中音部と高音部が旋律的に見事なコントラストを導き出す。


作曲として注目したいのは、90年代以降のポップスやロックで使用されたクラシックのカノンの「グラウンドベース」の進行がビートルズ風のソングライティングと混在している。この曲のボーカルと作曲こそ15年という歳月を通じて培われた独自のソングライティングの賜物であろう。この曲の印象を決定付けるのが、メンデスによる口笛、それからトイピアノの音色である。また、グレッグ・メンデスはアコースティックギターだけではなく、鍵盤楽器も演奏する。

 

「Frog」では、エレクトリック・ピアノ/ローズ・ピアノを使用し、夢想的で時間を忘れさせるようなイントロを作り上げる。長めのイントロのセクションの後、バックコーラスを交えて、賛美歌のような神妙なバラードソングへと移行していく。中盤の最も印象的なシークエンスである。

 

 

「Gentle Love」

 

 

 

「It Breaks My Heart」のような曲は、『Beauty Land』の印象的な箇所となるだけではなく、グレッグ・メンデスというシンガーソングライターのシンボリックな音楽性を形成する。どことなく内省的な雰囲気を持つフォークミュージックから、メロトロンのようなシンセの音色が流れてくると、こころなしか、ノスタルジックな感覚を帯びてくる。それは都会から郊外に帰ってきたときにふと感じるような安堵感、そしてほっとするような感覚を体現しているのである。恋愛にまつわるこのフォークバラードは、過去と現在を交差しながら、過去の思い出を嘆くような感覚に縁取られていく。メンデスの音楽には全般的に時間の流れが存在し、その流れに合わせてふさわしい歌詞や演奏が繰り広げられる。いわば追憶が走馬灯のように駆け抜ける。しかし、それは必ずしも痛みを呼び覚ますものではなく、それらを癒しで包み込むのである。

 

「Sunsick」は、どことなく黄昏と田舎性を思わせる楽曲で、繊細なアコースティックギターのアルペジオ中心に構成されている。この曲では、ロートーンの渋いボーカルで歌い、ディラン風の空気感を少し漂わせている。2026年版の風に吹かれてといったら大げさかもしれない。しかし、そういった雰囲気もある。グレッグ・メンデスは、現代的なギタリストの中でも調性感覚に優れていて、短調のフレーズの中から当然ひらめきのある長調のフレーズを導き出す。暗がりと明るさという、このソングライターの対極的な音楽性を見事に表現するのである。そういった中で、彼はダンディズムを発揮し、嘆きや憂いを端的に歌として紡ぎ出していく。こういったクールなかっこよさが、この曲、ひいてはアルバムの真骨頂となるに違いない。そして、こざっぱりとしたスタンスが、グレッグ・メンデスのセカンド・アルバムのテーマでもある。


人生の中の汚泥をするりと交わしながら、彼は軽やかに音楽を奏で、それらを通り過ぎていく。こういった物事を上手くかわすような姿勢が、さっぱりとした音楽に反映される。彼の音楽は情念とは無縁であり、歌われる対象に対して、適切な距離を取っているのである。これはまた、メンデスという人物がおそらく繊細な側面があるからこそ、ぜひとも必要なことなのだろう。

 

レビューの冒頭で述べた宗教意識のような一面が、「No Evil」において登場する。宗教的な意識の中で、''悪魔を見なくなるまで''と歌うのは、彼が空想主義の人物であるからではない。ましてや、古い概念に束縛されているからでもない。それは人生からにじみ出された独自の表現なのであり、他にふさわしい言葉が存在しないからなのだろう。依然として内省的な雰囲気を持つフォークソングであるが、思ったよりも曲風は暗くなく、そのなかには奇妙な爽快感もある。裏拍を強調するフォークソングの基本的な「ⅣーⅠーⅥ」という進行はその後、驚くほど多彩な音楽性を反映させながら続いていく。これらは一般的な社会規範の中で生きる上でどのように自由な創作性や創造性を発揮するのかという、グレッグ・メンデスの生き方の暗示でもある。


しかし、その中で奇妙な開放感が感じられるときもある。1分40秒以降の掻きむしるようなアコースティックギターの演奏から、曲のイントロでは想像できないような核心が出てくる。悪魔を見なくなるまで、というフレーズが、高揚感のあるギター、ピアノとともに舞い上がっていく。音楽が一つの定点を離れて、別の高い場所へと飛び上がるような瞬間が刻印されている。

 

今週発売されたアルバムの中で、『Beauty Land』は最も地味な部類に入る。しかし、しっかりとした審美眼が備わっているリスナー諸賢であれば、本作の真価がおわかりいただけるはずである。アルバム全体には、音楽家としての切実な音の響き、叫びにならぬ声、そして人生観などが凝縮され、作品全体を重層的な入道雲のように包み込んでいる。それはまだ雪解けがあって間もない早春の季節や、夏の前の唐突な驟雨など、季節を感じさせる音楽によって縁取られている。その中で見えてくるのはなにか、あるいは浮かび上がってくるものはなにか? フィラデルフィアのミュージシャンが描こうとする実際的な、あるいは架空の国家ビューティ・ランドがその素朴で温かみのあるフォークソング集から、ぼんやりと浮かび上がってくることがある。

 

「Geranium」以降の楽曲でも、音楽的な方向性に変化はない。ひとりの人間の苦難や困難、その泥の中から本当に美しい一滴をすくい上げようという行為である。繊細な趣を持ち、ときに脆さ以上の崇高さを提示するフォークソング「Geranium」、ビンテージなアコースティックピアノの響きを追求したささやかな間奏曲「Interlude in D Minor」に続いて、アルバムのクライマックスが到来する。「Serving Drink」では、依然として、ビートルズ、エリオット・スミス、アレックス・チルトンといったフォークソングの名手たちの音楽性を踏襲し、彼らに肩を並べる。


「So Mean」はアルバム終盤の名曲で、ほろりとさせるようなハートフルなフォークバラードである。メンデスは、現代的な人々が忌避する、神々や大いなる存在に向け、ささやかな賛美歌を紡ぐ。さらに封印していたドラムが入った時、この曲は小さなものから大きなものへ変化する。そして、その音楽から印象的に立ちのぼってくるのは、フィラデルフィアの郊外のささやかな光景である。どこにでもある何の変哲もない光景......、しかし、その中には、ささやかな美しさがほんのり宿っている。それは都会的な脚色的な美しさではない。日常的な人々のいとなみの中に見出されるような、誰もが見落としてしまいそうな、本質的な麗しさや美しさなのである。

 

 

 

90/100

 

 

 

Best Track- 「So Mean」



▪️Greg Mendezによるニューアルバム『Beauty Land』は本日Dead Oceansからリリース。ストリーミング/購入(HMV/Tower Records/Ultra Shibuya)はこちらから。

Nao Yoshioka × Jamila Woods「Safe Place」 グラミー受賞チームとシカゴで生まれた、ソウルミュージックの安全地帯


自分の心の安全基地はどこにあるか、その答えを楽曲につめこんだ。私が私の居場所になるとシンガーは宣言する。Nao Yoshiokaは孤高のソウルシンガーの名をほしいままにし、日本では英語を歌うシンガーとして、また、海外では、アジア人のソウルシンガーとして、極めてユニークな存在である。人と違うキャリアや方向性を持つことで、ときにとてつもない孤独感に襲われる。しかし、その孤独こそが、Nao Yoshiokaの音楽を唯一無二たらしめる源泉でもある。


 

Nao Yoshioka



今年夏にリリース予定のアルバムに収録される多くの楽曲は、富士山の麓に広がる山中湖で書かれた。本作のアルバム制作における精神的拠点とも言えるこの場所で、Naoは何度も筆を執った。ファーストシングル「In the Rain」でも語られたように、自然がさまざまなことから彼女を癒すからだ。


その日も山中湖で過ごしていた。孤独感に押しつぶされそうになったその瞬間、彼女を支えたのはJamila Woodsの楽曲だった。オバマ元大統領のプレイリストにも選ばれ、シカゴを代表するシンガーソングライターであるウッズの歌声が、Naoの心に深く届いた。その言葉との出会いが、「自分が自分自身の安全基地になる」という楽曲のテーマへとつながっていく。


 

Jamila Woods



 

その後、幸運にもシカゴを訪れる機会を得たNaoは、SNS経由でJamila Woodsにコンタクトを取り、面会を取り付けた。そのときはスケジュールが合わなかったものの、帰国後にビデオチャットで初めて対話し、想いを伝えたことでコラボレーションが実現した。


プロデュースを担当したのは、Chance The Rapperのグラミー受賞アルバム『Coloring Book』のプロデューサー兼ミュージックディレクターであるPeter CottonTale。同じくシカゴ訪問時に彼のスタジオを訪れたことがきっかけで生まれた楽曲だ。

 

シカゴ勢の強力なバックアップのもと完成した「Safe Place」は、自分の安全基地がどこにあるのかという問いへの、Nao Yoshioka自身による最も誠実な答えとなる。同楽曲は、6月5日(金)に配信開始となる。


 

▪️Nao Yoshiokaメッセージ 



「Safe Place」は、自分自身が自分の安全基地になるという宣言の楽曲です。自分が自分の一番の味方になること、それは簡単ではないけれど、だからこそ挑戦したいと思いこの曲を書きました。苦しかった時期に、Jamila Woodsの「Holy」の一節「I'm not lonely, I'm alone and I'm holy by my own」に深く支えられました。


一人でいることが必ずしも寂しいわけではなく、すでに満たされているものがあるーその言葉から、私が私自身の安全基地になりたいという想いが生まれました。そのJamilaがこの楽曲に参加してくれたことは、本当に夢のようです。私は私のために戦い、私を大切にする。そんな宣言の楽曲に仕上がりました。



Nao Yoshioka 「Safe Place feat. Jamila Woods」- NEW SINGLE




アーティスト:Nao Yoshioka

タイトル:Safe Place feat. Jamila Woods

ジャンル:R&B, Soul

発売元・レーベル:SWEET SOUL RECORDS 


 

▪️「Safe Place feat. Jamila Woods」配信URL

 

[ 公演情報 ] Nao Yoshioka “self” World Tour


・福岡公演

日時:2026年10月18日(日)

場所:ROOMS

 

▪️福岡公演詳細

 

・東京公演

日時:2026年10月21日(水)

場所:LIQUIDROOM

 

▪️東京公演詳細

 

・大阪公演

日時:2026年10月22日(木)

場所:Yogibo META VALLEY

 

▪️大阪公演詳細

 

・北海道公演

日時:2026年10月23日(金)

場所:札幌近松


▪️ 北海道公演詳細

Misha/Phil Beaudreau/cocabona


最近、ソウルシーンではコラボレーションが活発化している。今回、ご紹介する「Dream of Summer」は、フィンランド出身のプロデューサー/アーティストMishaが、Phil Beaudreauとcocabonaを迎えて制作したニューシングルである。それぞれの個性は共同制作によりどんな化学反応をおこすのか。


新曲「Dream of Summer」は、今後リリース予定のアルバムへと続くサウンドと感情の世界観を拡張する作品であり、淡いサイケデリアと静かな内省が溶け合う、没入感のあるR&Bトラックに仕上がっている。


浮遊感のあるプロダクションと豊かなハーモニーによって構築されたサウンドは、ゆっくりと流れる夢のように展開していく。静けさの中にわずかな感情の揺らぎが織り込まれ、沈み込むような感覚と浮かび上がるような感覚のあいだを行き来する。時間が止まったかのような緊張感を内包しながら、内省的かつシネマティックな質感を際立たせている。


Mishaは、オルタナティブR&B、ヒップホップ、Nu-Funkを横断するジャンルレスなサウンドで知られるアーティスト/プロデューサー。これまでにSpotifyで9,000万回以上の再生を記録し、SoulectionやBBC Radio 1Xtra、Okayplayerといったメディアからのサポートを受けるなど、グローバルなオルタナティブR&Bシーンで存在感を高めている。


Phil Beaudreauはロサンゼルスのミュージシャン。Dr. Dre、Justin Bieber、Lalah Hathaway、Common、Michael McDonald、The Game、Travis Barkerらとの仕事で知られ、楽曲に確かな音楽的深みをもたらす存在。本作では、空気のように広がるサウンドスケープに芯のあるグルーヴを与えている。

 

Cocabonaは、ヘルシンキを拠点に活動するアーティスト/プロデューサー/マルチインストゥルメンタリスト。ジャズ、ヒップホップ、R&Bを横断する自由な音楽性を持ち、Mishaとの長年のコラボレーションを通じて培われた感性が、本作に有機的で温かみのある質感を加えている。


Misha, Phil Beaudreau, cocabona   「Dream of Summer」- NEW SINGLE


[作品情報]

アーティスト:Misha, Phil Beaudreau, cocabona

タイトル:Dream of Summer

ジャンル:R&B, Alternative R&B 

発売元・レーベル:SWEET SOUL RECORDS

ストリーミングURL: https://lnk.to/misha-dream-of-summer

Lynn Hollyfield

ニューヨーク(スタテン島)のシンガーソングライター、Lynn Hollyfield(リン・ホリーフィールド)は、エラ・フィッツジェラルド、ビリー・ホリデイやビートルズ、CSN&Yなどの新旧の名バンドやシンガーの影響を受けながら、ブルース、フォーク、ポップ、ジャズという音楽的な間口の広さを通じて、アコースティックギター中心とするソングライティングを行ってきた。


美しいアルトボイス、クリアなアコースティックギター、そして世界に対する心からの視点を融合させれば、そこにリン・ホリーフィールドがいます。彼女は、温かなステージ・プレゼンスと情感豊かな楽曲で知られ、観客と自然と心を一つにする。

 

コンテンポラリー・フォークのスタイルで楽曲を紡ぐリンは、ジャズの影響を受けたコードやブルージーなギターを、情熱的なボーカルと共に織り交ぜる。まるでメアリー・チャピン・カーペンターとボニー・レイットが、ジョージ・ガーシュウィンのエッセンスを加えて融合したような世界観。その結果、ウィットに富み、ソウルフルで、内省的な、彼女独自の歌声が生まれている。


リンは10代の頃から曲を作り続けてきました。ニューヨーク州スタテン・アイランドで育った彼女は、エラ・フィッツジェラルドやフランク・シナトラといったジャズの巨匠から、ビートルズやニール・ヤングといったアーティストまで、幅広い音楽的影響に囲まれて育った。幼い頃から地元で演奏を始め、後にデュオ「ホリーフィールド&スプルイル」の一員として注目を集め、ファルコン・リッジ・フォーク・フェスティバルなどのフェスティバルに出演した。


ソロ活動を開始した後、リンは『LAYERS』(2010年)、『IN THE BALANCE』(2014年)、『LOOK UP』(2024年)など、高い評価を受けたアルバムを数枚リリースし、国内外のラジオでオンエアされるほか、インターナショナル・フォーク・アライアンスの「トップ・アーティスト/トップ・アルバム」に選出されるなど、数々のソングライティング賞を受賞した。

 

パンデミック期間中には、児童書『The Tree, The Ship and Me』を出版し、同書に収録された楽曲はミッドアトランティック・ソングライティング・コンテストのファイナリストに選出された。


リンは現在、グラミー賞ノミネート経験のあるセス・グリアがプロデュースを手掛けた4枚目のアルバム『Diving In』のリリースを控えている。春のソングライティング・チャレンジと夏のソングライター・リトリートがきっかけとなり、セスとの運命的な出会いが実現。その結果、2025年のクリスマス1週間前、マサチューセッツ州ウェストスプリングフィールドにあるゴースト・ヒット・レコーディング・スタジオにて、5日間で11曲をレコーディングすることとなった。


初日を祝福するかのように雪が舞い落ちる中、ニューイングランドの歴史ある教会を改装したスタジオで、セス・グリアー、アビー・ガードナー、リード・サザーランド、ロブ・グリフィスという素晴らしいアーティストたちと円陣を組んで演奏が行われました。ケリー・ハロランは週の半ばから参加しました。『Diving In』は、人生の紆余曲折、私たちの人間らしさ、喪失、愛、私たちが置かれた時代、そしてその中を歩むために選んだ道筋を映し出す楽曲集です。 


『Blindspot』は、フェンタニル危機によって家族と友人を失ったことをきっかけに書き上げられました。この曲はコンテンポラリーなアコースティックギターのフォーク・ソングのソングライティングを通じて、リンはハートウォーミングな歌声を披露しています。同楽曲について、リンは次のように語っています。

 

「あの後、私は彼らと一緒にいた時、本当に心を開いて思いやりを持って接していたのだろうか、どうしても考えてしまいました。彼らを助けるために、私にできたことは何かあったのだろうか?その答えは永遠に分からないでしょう」

 

「それは『手遅れで、あまりにも遅すぎた』という、人生で学ぶ辛い教訓の一つです」と語る。このシングルは、グラミー賞ノミネート経験のあるセス・グリアがプロデュースした。


シングルには、胸が締め付けられるような感動的なミュージックビデオも併せて公開された。「Blindspot」は、彼女の待望のニューアルバムからの先行シングルとなる。リン・ホリーフィールドの音楽は、無理に聴くよう迫るのではなく、忍耐と優雅さをもって聴く者の心を掴く。

 

 

「Blindspot」


▪EN

Blend a beautiful alto voice, crisp acoustic guitar, and a heartfelt perspective on the world, and you have Lynn Hollyfield. Known for her warm stage presence and emotionally rich songs, she connects effortlessly with audiences. Writing in a contemporary folk style, Lynn weaves in jazz-influenced chords and bluesy guitar alongside passionate vocals, think Mary Chapin Carpenter meets Bonnie Raitt with a touch of George Gershwin. The result is her own distinctive voice, witty, soulful, and reflective.


Lynn has been writing songs since her teenage years, growing up on Staten Island, NY, surrounded by a wide range of musical influences, from jazz greats like Ella Fitzgerald and Frank Sinatra to artists like The Beatles and Neil Young. She began performing locally at a young age and later gained recognition as part of the duo Hollyfield & Spruill, appearing at festivals such as the Falcon Ridge Folk Festival.


After launching her solo career, Lynn released several acclaimed albums, including LAYERS (2010), IN THE BALANCE (2014), and LOOK UP (2024), earning national and international airplay along with multiple songwriting awards including being listed in the Top Artists/ Top Albums for the International Folk Alliance. During the pandemic, she also published a children’s book, The Tree, The Ship and Me, with its accompanying song recognized as a finalist in the Mid-Atlantic Songwriting Contest.


Lynn is getting ready to release her fourth album, Diving In, produced by Grammy-nominated Seth Glier. A Spring Songwriting challenge and a Summer Songwriter’s retreat led to a serendipitous meeting with Seth, that resulted in recording 11 songs in 5 days, at Ghost Hit Recording Studios, West Springfield, MA, a week before Christmas, 2025. Snow falling, blessing the first day, they played in a circle, in a historic New England Church turned studio, with these incredible artists: Seth Glier, Abbie Gardner, Reed Sutherland and Rob Griffith. Kelly Halloran joined mid-week. 

 

Diving In is a collection of songs revealing the twists and turns in lives, our humanness, loss, love, the times we were in and the path we choose to go through it.  There’s a range of styles on this album, mostly contemporary folk, a few with a little bit of traditional feel and timeless vibe. “There’s a quiet beauty in tradition. A delicate sacred space in folk music where songs can paint landscapes. Where melodies and arrangements sit comfortably inside the roots of Americana without ever feeling dated. Instead, they feel like a reminder. A breath. A return to something real in a world that constantly forces us to live too fast, want too much, and never be satisfied.”


The song, “Blindspot” was written after losing a family member and a friend to the fentanyl crisis. “Afterwards, I couldn’t help but wonder if I had been truly open and caring when I was with them. Was there anything I could have done to help them? I’ll never know and it’s one of those hard life lessons - too little too late. I worked on this song with Seth Glier at the Dar Williams Songwriter’s Retreat, August, 2025 and it was the first we recorded for the upcoming album.” Her music doesn’t demand your attention but earns it with patience and grace.


Lynn continues to perform and tour along the East Coast while supporting the music community as a host for the Songwriter’s Association of Washington open mic and as Music Director at the Celebration Center for Spiritual Living in Falls Church, VA. 

 


日本の作曲家/編曲家による清水靖晃によるNHK土曜ドラマ「お別れホスピタル 2」のサウンドトラックのアルバムがスペースシャワーから発売決定。デジタルで5月13日に配信開始され、次いで6月10日にはCDのフィジカルが発売されます。サウンドトラックにはサティの名曲「Je te veux」のアレンジも収録。


沖田×華による原作コミックをもとに、2024年放送の第1シリーズが大きな反響を呼び、続編として制作されたドラマ『お別れホスピタル2』。音楽を手掛けた清水靖晃によるオリジナル・サウンドトラックは、5月13日より各主要配信サービスにて先行配信中。さらに、6月10日にCDパッケージとして発売されることが決定しました。



清水靖晃「土曜ドラマ「お別れホスピタル2」オリジナル・サウンドトラック」



シミズ ヤスアキ「ドヨウドラマ オワカレホスピタル ツー オリジナル サウンドトラック」Yasuaki Shimizu「Doyou Drama Owakare Hospital 2 Original Soundtrack」

Digital (UPC : 4580789766862) 2026.05.13 Release | DDCB-12804 | Released by SPACE SHOWER MUSIC

CD (JAN : 4543034054305) 2026.06.10 Release | DDCB-12804 | Released by SPACE SHOWER MUSIC

[ https://ssm.lnk.to/OwakareHospital2 ]


01. まぼろし  マボロシ Maboroshi

02. ヘンミのテーマ II  ヘンミノテーマ II Henmi’s theme II

03. よいこと  ヨイコト  Yoikoto

04. 残された時間  ノコサレタジカン Nokosareta jikan

05. Sakura Waltz  サクラ・ワルツ Sakura waltz

06. 延命  エンメイ Enmei

07. Je te veux  ジュ・トゥ・ヴ Je te veux

08. Tortoise March I  トータス・マーチ I Tortoise march I

09. Tortoise March II  トータス・マーチ II Tortoise march II

10. Marmalade  マーマレード Marmalade

11. 遊歩 II – ピアノ  ユウホ II – ピアノ Yuho II – piano

12. 遊歩 II – サクソフォン  ユウホ II – サクソフォン Yuho II – saxophone


人生の最期を迎える療養病棟を舞台に、人と人の関係や「生きる」ことの意味を静かに問いかけるドラマ『お別れホスピタル』。沖田×華による原作コミックをもとに、2024年に放送された第1シリーズが大きな反響を呼び、『お別れホスピタル2』の続編制作へとつながった。


音楽制作にあたり、清水は前作の質感やモチーフを踏襲しながら、新たに登場する人物一人ひとりに寄り添うようなかたちで楽曲を構想。


真面目一筋に生きてきた100歳の元県議会議員・安斎正助の歩みを刻む〈トータス・マーチ〉。安斎と過去に訳ありな?縁を持つ、スナックの美枝ママの佇まいを映す「マーマレード」。ベストセラー作家・桜田美々の内に潜む記憶に触れる「サクラ・ワルツ」など、それぞれの人物像や記憶、過去に呼応する楽曲が並ぶ。


また、〈遊歩〉は、清水の即興演奏から立ち上がった音の一部を収録。本作の音楽は、観る者それぞれの記憶に触れ、余韻を残していく。


作曲・演奏:清水靖晃

「延命」 編曲:清水靖晃(原曲「ジュ・トゥ・ヴ」作曲:エリック・サティ)

「ジュ・トゥ・ヴ」 作曲:エリック・サティ、編曲:清水靖晃


清水靖晃:テナーサクソフォン、ピアノ、キーボード、プログラミング


レコーディング:清水靖晃(サブマリンスタジオ)

アディショナル・レコーディング:NHK CR-505スタジオ、ミキシング:NHK CP-604スタジオ

コンピューター・オペレーター:斎藤茂彦

録音:2025年12月~2026年2月

マスタリング:木村健太郎(キムケン・スタジオ)



土曜ドラマ「お別れホスピタル2」


【放送情報】

総合:2026年4月04日(土)夜10:00~10:45〈前編〉、4月11日(土)夜10:00~10:45〈後編〉

BSP4K:2026年3月22日(日)午後6:45~7:30〈前編〉、3月29日(日)午後6:45~7:30〈後編〉

[ https://www.web.nhk/tv/an/owakarehospital2/pl/series-tep-Z9WR7GN67X ]


【原作】  沖田×華「お別れホスピタル」(小学館「ビッグコミックスピリッツ」連載中)

【脚本】  安達奈緒子

【音楽】  清水靖晃

【出演】  岸井ゆきの、松山ケンイチ 他  

【演出】  柴田岳志

【制作統括】小松昌代(NHKエンタープライズ)、谷口卓敬(NHK)



・関連作品・前作リリース情報


NHK土曜ドラマ「お別れホスピタル」(2024年2月放送)

[ https://www.web.nhk/tv/pl/series-tep-1ZN13MQ53W ]

清水靖晃「お別れホスピタル」オリジナル・サウンドトラック

CD / Digital 2024.04.10 Release | RBCP-3534 | Released by Rambling Records

[ https://www.rambling.ne.jp/catalog/owakare-hospital ]

[ https://orcd.co/y5280qe ]



清水靖晃(Yasuaki Shimizu):

作曲家、サキソフォン奏者、音楽プロデューサー。ソロ活動のほか、実験的バンド「マライア」や「サキソフォネッツ」プロジェクト、コラボレーションなどを通じ、これまでに50作以上のアルバムを発表。


J.S.バッハ《無伴奏チェロ組曲》を独自の解釈でテナーサキソフォンのために編曲・演奏した『チェロ・スウィーツ』(1996/1999)や、サクソフォン5本とコントラバス4本という特異な編成で取り組んだ《ゴルトベルク変奏曲》など、既存の音楽に新たな視点をもたらす試みでも知られる。2006年『ペンタトニカ』では、西洋音楽と対位するオリジナルの五音音階による作品を提示。


さらに、空間そのものを楽器と捉える独自のコンセプトのもと、地下採石場や美術館など、従来のコンサートホールとは異なる場での録音やパフォーマンスを行う。


近年は、80年代作品のアルバム『案山子』や『うたかたの日々』の再評価を背景に欧米での関心が高まり、2018年にヨーロッパツアー、2025年の北米ツアーでは全公演ソールドアウトを記録するなど、大きな反響を呼ぶ。


ジャンルにとらわれず、多様なアーティストへの楽曲提供やプロデュースを行う一方、第86回アカデミー賞にノミネートされた米国映画『キューティー&ボクサー』(2013)では、第7回シネマ・アイ・オナーズにてオリジナル作曲賞を受賞。映像音楽の分野でも高い評価を確立している。NHKテレビドラマでは『透明なゆりかご』(2018)、『神の子はつぶやく』(2023)、『八月の声を運ぶ男』(2025)など、柴田岳志氏が演出を手がけた作品で音楽を担当し、その数は10作を超える。

  Masie Peters  『Florescence』

Label: Warner Music

Release: 2026年5月22日

 

Review

 

2023年から三年を経て、ブライトンのシンガーソングライター、メイジー・ピーターズのニューアルバム『Florescence』がリリースされた。ソングライターとして大きな成長を感じさせる新作である。前作では、年齢的な若さを発揮し、ダンサンブルなインディーポップソングを主体とした音楽を制作していたメイジー・ピーターズであったが、今作では、フォーク・ミュージックの音楽性を全面的に押し出し、円熟味あふれるソングライティングを行っている。

 

今回のアルバムで、メイジーは内省的なフォークソングを従来のポップソングと融合させている。「Mary Janes」を聴けば、その違いは一目瞭然だろう。ノイジーなポップソングの面影はほとんどなく、ソングライターは、エレクトリックギターによる弾き語りのスタイルを選び、落ち着いて瞑想的な趣のあるバラードソングを冒頭に据え置いている。ソロシンガーソングライターとしての飛翔を意味するのが前作であるとするなら、今作は大いなる変貌を表しているのだ。語りかけるようなボーカル、そしてときに古典的なフォーク/カントリーへの親愛をにじませながら、温かく、そして癒やされるような歌声で、このアルバムのオープナーをリードしている。さらにバックボーカルを交えて、ユニゾン/コーラスのボーカルが導入されると、琴線に触れるような切ない情感が楽曲から立ち上ってくる。やはり、この曲でもオートチューンは、機械的な印象を押し出すわけではなく、人間的な情感を印象付けるために導入されている。また、ダイナミックなホーンといった、おそらく今まで使用しなかったオーケストレーションの試みを取り入れることで、スケールの大きなポップソングが形作られているのである。

 

今回のアルバムでは、古典的なフォーク/カントリーの音楽性を冒険的に取り入れている。「Audrey Hepburn」は、ローマの休日のような優雅な雰囲気を、古典的なカントリー/フォークのソングスタイルで包み込んでいる。アルペジオを用いたアコースティックギター、そしてトロットのような駆け足のリズムと旋律を奏でるスタンダードなカントリーソングを踏襲しながら、それらを現代的なポップソングの形に落とし込んでいる。この曲では、ジョン・デンバーや、ロレッタ・リンのような21世紀初頭のルーツ・ミュージックのスタイルをシンガー持ち前の甘いヴォーカルと融合させている。すると、どっしりとしたワイルドなカントリーソングがややキュートな趣を持ち、本来の形とは違ったポピュラーソングのテイストが滲み出てくる。

 

ただ、前作のダンサンブルなポップソングが完全に放棄されたわけではない。「Say My Name In Your Sleep」では、シンセ・ポップを土台としたインディーポップソングに取り組んでいる。アルペジエーターを中心にミニマル・ミュージックとポップを組み合わせ、新鮮味のある楽曲を制作している。しかし、外交的なエネルギーを奔流させていた前作アルバムとは裏腹に、どことなく内省的でしっとりとした音楽性を追求している。いわば、内面的な脆さに焦点を当て、それらをまだ見ぬ聴衆と共有する、あるいは、したいという願望を示すような楽曲である。これらはダンサンブルなビート、そしてフォーク・ミュージックをベースにしたミニマル・ミュージックという反復的な構成を取りながら、静かなエネルギーを増幅させていくような感じで、曲そのものが盛り上がっている。今回のアルバムの序盤の楽曲で、メイジー・ピーターズは構成主義を選ばず、ループを中心に反復的な構成から核心となる箇所を汲み出そうと試みる。そしてその効果も相まってか、耳に残るリズムとメロディが出てくることがある。

 

そういった中で、注目曲が出てくる。「Old Fashioned」 はポップソングとして素晴らしい一曲で、メイジー持ち前の中音域の語りかけるようなボーカルから、リズミカルな箇所を経て、徐々に曲が盛り上がっていき、多幸感のあるコーラスを交えたお約束のサビが登場する。この瞬間、このシンガー特有の爽快感に満ちた感じや、カタルシスを感じさせる箇所が出てくる。 また、1番と2番ではよりコーラスの分厚さが増し、重厚感のあるポップサウンドを形成する。このアルバムで最も歌いやすく、そしてキャッチーなポップソングとしておさえておきたい。アルバムの中盤では、フォーク・ミュージックに依拠した曲が多いという印象である。「Houses」ではオーガニックな質感を持ったアコースティックギターによるフォーク・ソング、ジュリア・マイケルズをフィーチャーした「Kingmaker」では、ミニマル・ミュージックとフォーク・ミュージックを融合させている。このあたりの変化球の音楽的なアプローチの中に、メイジーピーターズはインテリジェンスをさりげない形で示そうとしたのは事実であろう。一転して「Vampire Time」ではカントリーを基礎にした古典的なスタイルへと回帰している。 

 

アルバムの後半で注目したいのは「Flat Earther」、「Questions」の二曲である。前者はバンジョーの音色を導入し、ピーターズは独自のバラードソングのスタイルを追求している。実際的に少しほろ苦く、切ないような雰囲気を感じさせる楽曲である。一方、対象的に爽快感のある明るさを押し出した「Questions」こそ、メイジー・ピーターズのポップソングの真骨頂であろう。この曲でも一貫してミニマル・ミュージックをベースにしたポップソングを提示するが、アルバムでは珍しくドラムを導入し、ダイナミックな音響性を獲得している。 そしてこのアルバムの最も特徴的なスタイル、ボーカルの対比により、このジャンルに新しい風を呼び込もうとしている。こういった清新な感覚を持つポップソングが、歌手の長所の一つなのである。その形が最もわかりやすく昇華されたのが、「Girl's Just Flying」である。この曲では、シンディ・ローパーのカラフルな印象を持つポップソングをモダンな形で受け継ごうとしている。 アコースティックギターを中心とするフォーク・ソング、そしてアンセミックなサビを対比させ、新しい時代のUKポップのスタイルを示そうとしている。実際的にカタルシスもある。

 

『Florescence』の良い点は、音楽的な構成的な箇所に注力しつつも、情感を失わないことである。それらはフォーク/カントリー、ミニマル・ミュージック、バラード、現代的なエレクトロニックを通過したポップという多彩な形で展開される。という意味では、最もカラフルな印象を持つポップアルバムが登場したといえるかもしれない。アルバムの全15曲を聴いてくれた音楽ファンへの最も美しい捧げ物が終曲を飾る「Nothing Like Being In Love」である。王道のバラードに挑戦したメイジーは、この曲で愛の尊さについて歌おうとしている。個人的な愛情にとどまらず、他者との関係で育まれる感情への言及、これこそシンガーの人間性の成長を表している。それはポップソングとして最も美麗な結晶となったのは言うまでもないことだろう。

 

 

85/100

 


 「Nothing Like Being In Love」

 

 

▪Maisie Peters 『Florescence』 

Listen/Stream:   https://maisiepeters.lnk.to/florescenceDE 

北里彰久

日本のソウルミュージシャン/シンガーソングライター、北里彰久はR&BやファンクをJ-POPの形に見事に落とし込む。ニューシングル「April Child」を、Le Makeupがリミックスを手がけた。ストリーミングURLより楽曲をご視聴下さい。


"巡る季節=Life"を歌い、アコースティックギターのポリリズムやカリンバのサウンドがアフリカを想起させながらも、都会的なグルーヴも感じさる北里彰久による宅録R&Bの大名曲「April Child」。


ビート・プログラミング/ミックスは、北里がメロディや作詞で参加した「99 Steps (feat. Kohjiya, Hana Hope)」がヒットした盟友のSTUTSが手掛けており、北里自身のライブに加え、STUTSのステージでも度々披露されている。


じわじわと話題を集めている「April Child」を新作「The Crying Xpress」をリリースしたばかりのLe Makeupがミニマルで多幸感溢れるリミックスを作成。名曲に新たな息吹を吹き込んでいる。マスタリングは、木村健太郎(Kimken Studio)。アートワークは、Kazuhiko Fujita (Marfa by Kazuhiko Fujita)が担当している。


北里彰久「April Child (Le Makeup Remix)」



Digital | 2026.05.27 Release | ISRC : JPJ902600510 | UPC : 4580789767104

Released by ABS BROADCASTING / AWDR/LR2

[ https://ssm.lnk.to/AprilChild_LeMakeup ]


Lyrics, Music, Arrangement : 北里彰久

Remix, Arrangement : Le Makeup

Vo, Agt, EGt, Ba, Key, Synth, Kalimba : 北里彰久

Drum Programming : STUTS

Additional Vocal & Programming : Le Makeup

Recording : 北里彰久

Vocal Recording : STUTS

Mixing : STUTS, Le Makeup

Mastering : Kentaro Kimura (Kimken Studio)

Artwork : Kazuhiko Fujita (Marfa by Kazuhiko Fujita)


・Le Makeupさんいつか何かでご一緒できたらと思っていました。自分の曲にまた違った角度から光を当ててもらえて嬉しいです ーー北里彰久


・April Child、リミックスしながら何回も聴いて毎回、あぁ本当に良い曲だなと思うばかりでデータを触れただけで嬉しいです。その喜びを、聴いてください! ーーLe Makeup



北里彰久「April Child」Original Version


キタザトアキヒサ「エイプリル チャイルド」Akihisa Kitazato「April Child」

Digital | 2026.03.11 Release

Released by ABS BROADCASTING / AWDR/LR2

[ https://ssm.lnk.to/AprilChild ]

[ https://youtu.be/AjGLlNL5f0g?si=4aieUEzYnaB7mSe_ ]




Lyrics, Music, Arrangement : 北里彰久

Vo, Agt, EGt, Ba, Key, Synth, Kalimba : 北里彰久

Drum Programming : STUTS

Recording : 北里彰久

Vocal Recording : STUTS

Mixing : STUTS

Mastering : David Kutch (The Mastering Palace)

Music Video Director : 井手健介



北里彰久 / Akihisa Kitazato:



2009年よりフリーフォームなソロユニットAlfred Beach Sandalとして活動開始。2019年のアルバム「Tones」より現在の名義。最新作は2023年の「砂の時間 水の街」。ブラジル音楽やブルース、ソウルなどから影響を受けた独自の日本語ポップスを演奏する。幻想と素面の間。



Le Makeup:



シンガー/プロデューサー。関西学院大学在学中に作曲へと本格的に取り組みはじめ、以降国内外の様々なレーベルから作品を発表する。2020年にアルバム「微熱」をリリース。

中国・韓国・オランダ・デンマーク・ドイツでもパフォーマンスを行う。

2023年2月にDove、gummyboy、JUMADIBA、Tohji、環Royが参加したアルバム「Odorata」をリリース。Pitchforkで取り上げられるなど話題となった。

2024年5月にオノ セイゲンがマスタリング・エンジニアとして参加したアルバム「予感」をリリース。東京・大阪で初のワンマン公演「予感」を行った。2026年にニューアルバム「The Crying Xpress」を4月29日にリリース。

世界のソウルシーンで活躍する表現者たちが集結


フィラデルフィアのネオソウル・レジェンドBilal、グラミー受賞プロデューサーPeter CottonTale、世界的トランペッターKeyon Harrold、シカゴが誇るポエット/シンガーJamila Woods、エミー受賞・グラミーノミネートKhari Mateen、インディーR&Bシーンの最前線を走るDevin Morrison、豪州の鬼才MXXWLL、UKの美声ヴォーカリストSam Wils、ガーナにルーツを持つオランダのBnnyhunna、ベトナムの新星Mỹ Anh、北欧R&Bシーンの新鋭Misha、ドイツのLoFiレジェンドShuko、台湾のヴィブラフォン奏者Chien Chien Lu。


アメリカ、ヨーロッパ、アジアの表現者たちが一つの作品に集結。これはSWEET SOULRECORDSが長年体現してきた「WORLD SOUL COLLECTIVE」の思想の結実でもある。ジャンルや国、人種の境界を越え、ソウルミュージックの現在地を世界規模で鳴らす。ネオソウル、インディーR&B、アフロビーツ、ハウス、スピリチュアルジャズまでを横断しながら、Nao Yoshiokaの声がその全てを一本の糸で繋ぐ。前作『Flow』で11カ国を巡ったツアーで築いた人脈と信頼が、このアルバムを可能にした。


新作『self』とは

『self』は、Nao Yoshiokaがこれまで見せてこなかった“内面”に深く踏み込んだ作品。前作『Flow』のワールドツアーで11カ国を巡ったNao Yoshiokaは、大きな達成の先で、ある感情に辿り着いた。それは、「まだ始まったばかりだ」という感覚だった。これまで前に進み続けることで乗り越えてきた孤独や葛藤。しかし今作では、それらを“克服するもの”ではなく、“自分の一部として受け入れるもの”として見つめ直している。タイトル『self』には、強さだけではなく、弱さや迷いも含めて「本当の自分」を抱きしめるという意味が込められている。Nao Yoshiokaはこの作品で、自らの“シャドウ”と向き合い、その先にある新しい自由を音楽としてアルバムに込めた。


[作品情報]



アーティスト:Nao Yoshioka

タイトル:self

ジャンル:R&B, Soul, Neo-Soul

発売元・レーベル:SWEET SOUL RECORDS

配信リンク:https://naoyoshioka.lnk.to/self



Nao Yoshioka “self” World Tour

最新アルバム『self』を携え、日本・海外を巡るワールドツアーの開催が決定。国内ツアーに加え、ヨーロッパ、アメリカ、アジア各地での公演を予定している。日本ツアーの詳細は以下の通り。

・福岡公演

日時:2026年10月18日(日)

場所:ROOMS

詳細:https://naoyoshioka.lnk.to/20261018-rooms

・東京公演

日時:2026年10月21日(水)

場所:LIQUIDROOM

詳細:https://naoyoshioka.lnk.to/20261021-liquid

・大阪公演

日時:2026年10月22日(木)

場所:Yogibo META VALLEY

詳細:https://naoyoshioka.lnk.to/20261022-meta-valey

・北海道公演

日時:2026年10月23日(金)

場所:札幌近松

詳細:https://naoyoshioka.lnk.to/20261023-sapporo-chikamatsu

[Releases]

2026.02.27: “In the Rain feat. MXXWLL” (Single)

2026.03.20: “You Got to Feel It feat. Bnnyhunna & Braxton Cook” (Single)

2026.04.17: “Shadow feat. Bilal” (Single)

2026.05.15: “Pieces of Me feat. My Anh” (Single)

2026.06.05: “Safe Place feat. Jamila Woods” (Single)

2026.07.17: “self” (Album)

[Events]

2026.05.28: US: Rams Head On Stage (US)

2026.05.29: US: Nublu (US)

2026.05.30: US: BlackRock Center for the Arts (US)

2026.09.18: UK: Ronnie Scott's (UK)

2026.10.18: Japan: ROOMS (Fukuoka)

2026.10.21: Japan: LIQUIDROOM (Tokyo)

2026.10.22: Japan: Yogibo META VALLEY (Osaka)

2026.10.23: Japan: Sapporo Chikamatsu (Hokkaido)


Nao Yoshioka


世界で活躍するソウルシンガーNao Yoshioka。魂を込めた歌声は、言葉も文化も越えて、聴く者の奥深くへ真っ直ぐ届く。単身でニューヨークへ渡った彼女は、本場のソウルミュージックに触れ、サム・クックの名曲と自身の心が重なった瞬間、"人の奥深い部分に届く歌" を生涯の道として選んだ。深く響く歌声と揺るぎない表現力は、Aretha FranklinやWhitney Houstonを思わせる芯の強さを宿しながら、現代の感性に溶け込むモダンなソウルフィールを備えている。アジア人として世界のソウルシーンで活躍する姿とともに、稀有な存在として国際的な評価を集めている。


彼女の真価はライブで発揮される。YouTubeで520万回以上再生されたライブ映像は世界中で話題を呼び、Blue Note New YorkやLondon Jazz Cafeでの単独公演、Java Jazz FestivalやCapital Jazz Festなど各地の大型フェスティバルへの出演を重ねてきた。日本人アーティストとして初めてBillboard UACチャート32位に入ったことも、彼女の音楽が国境を越えて届いていることの証のひとつだ。


2024年には5thアルバム『Flow』をリリースし、アジア・ヨーロッパ・アメリカ11カ国を巡るワールドツアーを成功させた。さらに2026年には、グラミー賞受賞アーティストBilalをはじめ、世代・国境・ジャンルを越えた多彩なアーティストとのコラボレーションを重ね、世界のソウルシーンで独自の地位を築いている。


現在はニューアルバム『self』とともに、新たなワールドツアーへ向けて始動。深く、美しく、人の心を揺さぶる声。Nao Yoshiokaは、世界のソウルシーンに確かな存在感を刻み続けている。


UKブライトンのピアニスト/アーティストThe Vernon Springが、最新アルバムの収録曲「Requiem For Reem」の映像と音源を本日リリースしました。この楽曲はアイスランドの首都レイキャヴィックのÓlafur Arnalds(オーラヴル・アーノルズ)のスタジオでライヴ録音されました。


同時公開されたミュージックビデオでは、ヴァーノン・スプリングが哀感に満ちた演奏を披露しています。オーラヴル・アーノルズのスタジオでは、おなじみの蓋をオープンにしたアコースティックピアノが録音に使用されている。ジャジーなムードたっぷりの演奏をお楽しみください。





▪️The Vernon Spring (ザ・ヴァーノン・スプリング)「Requiem For Reem (Live from Reykjavík)(レクイエム・フォー・リーム(ライヴ・フロム・レイキャヴィック))」- NEW SINGLE




発売日:2026年5月26日(火)

フォーマット:デジタルダウンロード/ストリーミング

ジャンル: ポスト・クラシカル / ジャズ / アンビエント

レーベル:p*dis


UKブライトンのアーティストThe Vernon Springの2025年作『Under a Familiar Sun』の中でも随一の名曲「Requiem for Reem」。アイスランド・レイキャヴィックのÓlafur Arnaldsのスタジオでのライヴ・レコーディングの音源と映像がリリース。シンプルでありながら深みがあり、静かなカタルシスを感じさせてくれます。


・ストリーミングURL: https://opia.lnk.to/RequiemforReemLive


[Credit]

Filmed & Edited by Maximilian König

Recorded & Mixed by Hafsteinn Þráinsson

Mastered by Zino Mikorey (zinomikoreymastering)

Artwork: YANA

Photo by Maximilian König


The Vernon Spring:


ザ・ヴァーノン・スプリングは、ロンドン北部出身のミュージシャン、サム・ベステによるレコーディング・プロジェクトであり、その音楽的軌跡はジャズ、ソウル、アンビエント、そしてソングライティングといった多様なジャンルを横断している。


ベステが最初に音楽に触れたのは、セロニアス・モンクからボブ・ディラン、ディアンジェロからルイジ・ノーノに至るまで、幅広いジャンルを網羅した父親のレコードコレクションを通じてであった。11歳の時、偶然受けたピアノのレッスンがベステの人生を決定的な方向へと導き、即興演奏への情熱を掻き立て、それが彼の人生の軌跡を形作ることとなった。


ベステの献身と才能は、エイミー・ワインハウスの周囲へと彼を導き、彼女のキャリアが上昇気流に乗っていた期間の大部分において、ライブ・ピアニストとして彼女に同行した。彼女との共演は、ガブリエルズ、ケンドリック・ラマーのプロデューサーであるサウンウェーブ、ベス・オートン、カノ、ジョイ・クルックス、マシュー・ハーバート、MF DOOMなど、重要かつ多様なコラボレーションへの道を開いた。


20代半ばにオルタナティブ・ソウル・ユニット「ヘジラ」で楽曲制作とリリースを数年間続けた後、ベステは「リマ・リモ」というコレクティブ兼レーベルの設立に尽力し、そこには互いを支え合うコミュニティと、インスピレーションに満ちた創造的な基盤が築かれた。


2019年までに、彼はザ・ヴァーノン・スプリングとしてソロ活動を開始し、自身のジャズのバックグラウンドと現代的なエレクトロニック・プロダクションを融合させた独自のサウンドを確立した。デビューEPや、高く評価された『A Plane Over Woods』や『Earth, On A Good Day』を含むその後のリリースにより、ザ・ヴァーノン・スプリングの代名詞となるサウンド——情感豊かなボーカルと繊細なエレクトロニクスが重なり合う、幽玄なピアノ演奏——が確立された。


ザ・ヴァーノン・スプリングのニューアルバム『アンダー・ア・ファミリアー・サン』は、ベステの芸術的進化の幅広さを示している。長期間にわたる作曲と制作プロセスに基づく実験を経て生まれた本作は、彼の馴染み深く直感的なプロダクションから深く入り込んだ複雑なアプローチへの転換を表している。


プロデューサーのイコ・ニッシュとの制作を通じて、ベステはサウンドの幅を広げ、ヒップホップの影響やサンプリングを駆使した手法を取り入れつつ、作品全体を通して彼特有のピアノ作曲スタイルを維持している。 


バージニア州南西部の中心地から登場したMatt Jones & The Bobs(マット・ジョーンズ&ザ・ボブス)は、アメリカーナやルーツ・ミュージックをロック的な文脈から探求するバンドである。バンドは、2011年のラドフォード大学在学中に結成。それ以来、生々しい感情と時代を超えた物語を織り交ぜた音楽を紡いできた。

 

マット・ジョーンズ(ボーカル、ギター)と、親しみを込めて「ザ・ボブス」と呼ばれるバンドメンバーたちは、アメリカーナ、ルーツ・ミュージック、そしてクラシック・ロックへの共通の情熱を、リスナーの心の奥底に響くサウンドへと昇華させた。

 

彼らがまだ大学生だった2014年にリリースされたデビュー作『Brother's Hymn』は、音楽の世界への旅の始まりを告げた。小さな町の生活、愛、喪失、そして成長に伴う日々の葛藤の本質を捉えた楽曲群により、このアルバムは、その誠実な作詞作曲と力強いパフォーマンスで、瞬く間に熱心なファン層を獲得した。

 

しかし、若き日に活動を始めた多くのバンドと同様、彼らの前途も決して平坦なものではなかった。長年にわたり音楽に没頭してきた後、2015年、マット・ジョーンズ・アンド・ザ・ボブスのメンバーは一歩引いて、各々が個人のキャリアやビジネス、起業活動に専念することになる。

 

The Bobsは活動休止期間に入ったものの、長年共に音楽を作り上げてきた中で築かれた絆は、断ち切られなかった。10年間、メンバーはそれぞれの世界で活躍したが、音楽への想いやルーツとのつながり、物語を紡ぐこと、共有した経験への想いは、心の奥底でくすぶり続けていた。

  

2024年、マット・ジョーンズ&ザ・ボブスは再結成し、新たなエネルギーと目的意識を持ち、代名詞とも言えるサウンドを蘇らせた。10年ぶりに音楽の世界に戻ってきたとはいえ、アメリカーナ、フォーク、サザン・ロックに根ざした彼らのルーツはかつてと変わらず強固であり続けた。しかし、この新たな章には新鮮な変化がもたらされている。90年代の影響がさりげなく取り入れられ、グランジの荒々しさが加わり、確立されたサウンドを補完する、さらに広がりのある楽器編成が加わった。編成が変わろうとも、彼らの音楽の核心は不変である。それは、人生、愛、失恋、そして私たちを人間たらしめる勝利や試練の感情的本質を捉えようとする姿勢なのだ。

  

バンドの楽曲制作は象徴的であり、物語性と深い脆弱性が合わさっている。どの曲も一つの物語であり、マット・ジョーンズの極めて個人的な歌詞というレンズを通して、人間の経験の一端を垣間見せてくれる。

 

愛、失恋の物語から、死、苦闘、そして前進するために必要な忍耐力への考察に至るまで、その音楽は聴く者の心に響き続ける。そのサウンドは、親しみやすくも新鮮な感覚を与え、人生の浮き沈みを巡るノスタルジックな旅路は、まるで古い友人が耳元で囁いているかのようである。

  

マット・ジョーンズ・アンド・ザ・ボブスの音楽は、単なる曲の集積とはいいがたい。それは存在の浮き沈みを再び体験するための招待状でもある。彼らのサウンドは、あなたを個人的な意味を持つ瞬間に連れ戻す。そこでは、人生の苦闘や喜びのような感情が単に共感できるのみならず、成長に不可欠であることを感じさせる。一音一音、彼らは、聴衆に自らの物語を受け入れるべく誘い、この旅路で、自分だけが孤独ではないという事実の底に安らぎを見出させる。

 


「The Weight of The World」

 

 

▪EN

Emerging from the heart of Southwest Virginia, Matt Jones and The Bobs have woven a tapestry of raw emotion and  timeless storytelling since their formation in 2011. The band first came together during their time at Radford University,  where Matt Jones (vocals, guitar) and his bandmates—affectionately known as “the Bobs” —took their shared passion  for Americana, roots, and classic rock, and transformed it into a sound that resonated with listeners on a deeply  personal level. 

 

Their debut album, “Brother's Hymn”, released in 2014 while they were still in college, marked the  beginning of their journey into the world of music. With tracks that captured the essence of small-town life, love, loss,  and the everyday struggles that come with growing up, the album quickly gained a loyal following for its honest  songwriting and gritty performances. 


But like many bands that start in their youth, the road ahead was not without its twists and turns. After years of intense  dedication to their music, the members of Matt Jones and The Bobs took a step back in 2015, each pursuing individual  careers, business ventures, and entrepreneurial pursuits. 

 

The band entered a hiatus, but the bonds forged through  years of creating music together remained unbreakable. For ten years, the members thrived in their own respective  worlds, but the pull of music—the connection to their roots, their storytelling, and their shared experiences—was  always there, simmering under the surface.

  

Fast forward to 2024, and Matt Jones and The Bobs have reunited, bringing their signature sound back to life with  renewed energy and purpose. Though they’ve stepped back into the world of music after a decade, their roots in  Americana, folk, and southern rock remain as strong as ever. 

 

However, this new chapter carries fresh twists—a subtle  infusion of 90s influences, a bit of grunge grit, and more expansive instrumentation that complements their established  sound. The heart of their music remains, however, unwavering: a commitment to capturing the emotional essence of  life, love, heartbreak, and the triumphs and trials that make us human.

  

The band’s songwriting is nothing short of iconic, blending storytelling with profound vulnerability. Each song is a  narrative—a glimpse into the human experience through the lens of Matt Jones' deeply personal lyrics. 

 

From tales of  love and heartbreak to reflections on death, struggle, and the perseverance needed to keep going, the music  continues to strike a chord with listeners. It’s a sound that feels both familiar and fresh, a nostalgic journey through the  ups and downs of life that feels like an old friend whispering in your ear.

  

The music of Matt Jones and The Bobs isn't just a collection of songs; it’s an invitation to relive the highs and lows of  existence. It’s a sound that will transport you back to moments of personal significance, where the struggles and joys  of life feel not only relatable, but necessary for growth. With each note, they invite their audience to embrace their own  stories, finding solace in the knowledge that they are not alone in the journey.

  

As they step into this exciting new phase of their career, Matt Jones and The Bobs continue to honor their roots while  exploring new sonic territory. They’ve grown, they’ve evolved, but the heart of the band—the soul of what made them  so beloved in the first place—is as powerful as ever. 

 

Matt Jones and The Bobs aren’t just back—they’re  stepping forward, louder, stronger, and more determined than ever to share their stories with the world. And with  music that is as timeless as it is fresh, they are ready to continue leaving an indelible mark on the hearts of their listeners beginning with their second full studio self titled album "Matt Jones and the Bobs".


Their latest single "The Weight Of The World" is, as Matt Jones confides, "a reflection on life’s burdens and the quiet strength it takes to face them, while honoring the friends who help shoulder what we can’t. The song looks at struggle not as defeat, but as a universal weight we all carry—and the beauty of having someone there to help lighten the load.