「この曲は1年ちょっと前に作ったんだ」とバンドは語る。「プロデューサーとの打ち合わせでLAに滞在していた時のこと。ある日のこと、ニックが後に『one’n a million』となる曲を披露してくれたんだ。普段、プロデューサーやエンジニアとスタジオに入る時は、各パートの構成も決まっていて、曲のあらゆる方向性を検討し尽くしている。
近年は映画音楽の世界でも圧倒的な存在感を放っており、A24製作のアカデミー作品賞受賞作『Everything Everywhere All at Once』の劇伴を担当。アカデミー賞2部門と英国アカデミー賞へのノミネートを果たし、世界的な注目を集めた。その勢いは留まることなく、マーベル・スタジオの『Thunderbolts*』(2025年)や今年公開予定の映画、『Your Mother Your Mother Your Mother』(2026年)の音楽も手掛けている。
この夏、ロサンゼルスを拠点とするシンガーソングライター、Shannon Lay(シャノン・レイ)が5枚目のアルバム『Past the Veil』で復帰する。7月28日にAll the Bestよりリリースされる。シャノン・レイは涼しげなフォークミュージックを提供する良質なシンガーソングライターである。
『Past the Veil』はそうした満ち引きに満ちています。曲の展開ごとに軽やかになったり深みを増したりし、最終的には、私たちが本当に必要なのはただ踊り、水分を補給し続けることだと気づかせてくれるのです」
『Past the Veil』の構想は2024年、レイがプロデューサーのシェルトンがアルハンブラにある自身のスタジオ「アルタミラ・サウンド」で出会ったことに端を発する。シェルトンは、このソングライターが過去の音楽的アイデンティティを脱ぎ捨て、新たなスタイルへとスムーズに移行できるよう手助けした。「このアルバム制作において、新しい視点を得られたことはとても新鮮でした」と彼女は語る。
『Past the Veil』は、レイにとってこれまでで最も広がりのあるアルバムであり、大きな変化を乗り越える中で彼女が自ら選んだ「豊かさへのマインドセット」の延長線上にある作品だ。文字通り、そして比喩的な「地獄の炎」(2025年1月のアルタデナとパシフィック・パリセーズでの山火事、トランプ大統領の2期目の任期全体)に加え、レイは以前のレコードレーベルとも決別し、それによって自分自身とコミュニティを信じる姿勢を強めるきっかけとなった。『Past the Veil』は、彼女が自ら運営する新レーベル「All The Best」からの初リリースであり、ここでは自身の音楽だけでなく、友人たちの作品も発表していく予定だ。
この新作アルバムで、レイはアラン・ワッツの「変化を理解する唯一の方法は、その中に飛び込み、流れに乗り、そのダンスに加わることだ」という思想を受け入れている。もし前進する唯一の道が「その中を通り抜けること」であるなら、私たち全員が『Past the Veil』を越えていかなければならないということになる。
「Mirrors」
ロサンゼルスのシンガーソングライター、Blondshellが新曲「Heart Has To Work So Hard」をリリースした。ポップとロックの中間にあるキャッチーな一曲で、よりメインストリームの音楽へと傾倒している。
Alex Gonzales(Matte Blvck)とJohn Kunkel(The New Division、John Grand)が率いるUNTER STRØMは、テクノ、メロディック・ハウス、そしてインダストリアル・サウンドの境界を未知の領域へと押し広げたいという共通の情熱から生まれました。 その結果生まれたのは、陰鬱な緊張感と陶酔的な解放感の間を行き来する、映画的で本能に訴えかけるサウンド。倉庫のような閉ざされた空間と、ワイドスクリーンのような広大な空間を等しく感じさせる作品です。
「Orynth」は、その瞬間の強烈な創造性を捉えています。このシングルは、アーロン・ショート(Madison Beer、The Naked and Famous、So Below)がミックスを担当し、すでに没入感のあるサウンドに、洗練された広がりのある仕上げを加えています。ありがとうございます
UNTER STRØMは、ロサンゼルスとサンディエゴの陰で結成されたエレクトロニック・ミュージック・デュオであり、生々しいインダストリアル・サウンドとメロディックな洗練さを融合させている。
アレックス・ゴンザレス(Matte Blvck)とジョン・クンケル(The New Division、John Grand)が率いるこのプロジェクトは、エレクトロニック・ミュージックやオルタナティブ・ミュージックの暗黒面に深く根ざした、多作なクリエイターであり長年のコラボレーターである二人の衝突から生まれたものだ。ゴンザレスはMatte Blvckとして急成長を遂げ、絶え間ないツアーと全米各地での連続ソールドアウト公演を通じて世界的なファンベースを築き上げてきた。
一方、クンケルはJohn Grandとしての活動で、『A State of Trance』のアーミン・ヴァン・ブーレンをはじめとするトレンドセッターからの支持を獲得し、Group Therapy Radioでのゲストミックスも担当している。二人は、アンダーグラウンドの激しさと、メロディックでダークなエレクトロニック・サウンドの洗練さが交差する地点で出会った。
シンセサイザーのパッドのフェードインから始まる「The Fires At Night」では、一曲目の風景的な印象は維持されている。タイトルにちなんで言えば、夜のキャンプのように遠くに見える熾火の炎が揺らめき、消えかけたり、燃えたぎったりする。そういった風景的な描写が行われている。その中で、メインとなるメロディーが主題的に立ち上る。風景的な動きを旋律的なモチーフとして使用している。ごくシンプルなタイプのアンビエントであるが、短いシークエンスを音量的なダイナミクスを用いながら、副次的な旋律の主題を登場させたりする。この曲では、地球より大きな宇宙的なロマンチシズムを表現することに成功している。
リードシングル「Never Let You Go」は、結婚直後にOli-Jとの即興セッションから生まれた、愛と献身をテーマにしたR&Bナンバー。「Deep Dive」はBox DreamsのAdam Rhodesと制作され、新たな恋に落ちる脆さを描いた、より内省的でインディー色の強い一曲となっている。
南カリフォルニアの海岸線を走る鉄道に着想を得た「Surfliner」では、ネオソウルとジャズが溶け合い、Braxton Cookの温かく表現力豊かなサックスが響く。「Clouds」ではReuben Jamesの卓越したピアノとソウルフルなボーカルが際立ち、「You Are Loved」ではNao Yoshiokaが参加し、軽やかに自己愛をテーマにしたメッセージを届ける。
さらに、「Pulse」ではCoastalとGlen Turner IIを迎え、ローファイでダンサブルな質感を展開。「Santa Fe Peanut Co.」ではJoy Guerrillaとの共作により、セミライブ感のあるグルーヴ重視のジャズフュージョンが展開される。
本作の冒頭では、イギリスのマージー・ビートが炸裂し、「Look For Your Mind!」が始まる。60年代のビートルズ的なアプローチだけではなく、The Whoのモッズロックのようなサウンドが融合している。しかし、単なる懐古主義とも言いがたい。シャリッとしたハイハット/シンバルやクリアなギターの音像、そしてボーカルのほんのりと甘いテイストなどは、『Rubber Soul』時代のビートルズが蘇ったかのようだ。そして今回は、やや激しい唸るようなシャウト気味のボーカルも披露する。ダダリオ兄弟のロック観のようなものがアルバムの冒頭から明哲になる。続く「2or 3」はどちらかと言えば、従来になくエバーグリーンな感覚を押し出したセンチメンタルなパワー・ポップソングである。相変わらず、良いメロディーやハーモニーに焦点を絞り、60年代から70年代のレコードからそのまま飛び出てきたかのような素敵な旋律を奏でる。
そういった中で、メロディアスなロックソングの真骨頂が出てくる。「Nothin’ But You」は、たった3つのコードを中心に進行していく。しかし、ダダリオ兄弟のボーカルのメロディーセンスは依然として秀逸であり、センチメンタルなエモーションに縁取られている。十代の思い出を綴るようなどことなく切ない感覚が滲んでいる。ゆったりとしたリズムの中で、Nilssonのような琴線に触れるメロディーを書く才能においては、レモン・ツイッグスに叶うバンドはいないかもしれない。
「I Just Can't Get Over Losing You」は勇気づけられるような曲で、レモン・ツイッグスの代名詞的な一曲である。どことなく爽快感というか、青春のテイストを残しつつ、やはりダダリオ兄弟らしいグッドメロディーが満載である。こういったサウンドはビーチ・ボーイズというよりも、以前のレビューでも挙げたラズベリーズやルビノーズのサウンドに近いニュアンスである。しかし、60年代のロックソングが現在でも通用するのか。通用してしまうのがレモン・ツイッグスの凄さである。これはロック・バンドとしてのグルーヴィーな演奏の賜物でもある。
「Fire and Gold」はどちらかと言えば、イギリスのモッズロックの雰囲気に近く、The Whoの最初期やThe Jamに近い音楽的なアプローチである。こういった小気味よいジャッキとしたギターの音色は、フリークならばニヤリとほくそ笑んでしまうような内容だ。また、アナログからデジタルに切り替わるようなサウンドにも注目しておきたい。また、Cメロのような箇所では、転調を交えたりして楽曲に変化を加えている。これもまた彼らのソングライティングの持ち味である。
ほろりとさせるバラード「Mean to Me」のあと、一転してサーフロック調のアップテンポなロックソングが続いている。楽曲のタイプとしては古いといえば古いのだが、レモン・ツイッグスがこういった古典的なロックンロールをやるとなぜかダサくはならないのが本当に不思議である。いや、むしろ、スタイリッシュな印象すら感じられる。 ジョージ・ルーカスの名画『アメリカン・グラフィティ』から飛び出てきたような曲で、レモン・ツイッグスが出演していないのが残念でならない。もちろん、おそらくまだ彼らは生まれていないと思われるが。「Yeah I Do」はビートルズのポール・マッカトニー風のバラード風のロックソングである。それほどほろりとさせる旋律はないが、なぜか彼らの曲には、琴線に触れるようななにかがある。
また、ジャグリーなギターロックソング「My Heart Is In Your Hands Tonight」は、特にパーカッションの点で同じくキャプチャードトラックスからデビューしたBeach Fossilsの最初期のシングルを少しだけ彷彿とさせる。ローリング・ストーンズの荒削りさとビーチ・ボーイズが融合したような良質な楽曲である。前作よりも堂々たる雰囲気を持ったロックソングを聴くことが出来る。
来る5月22日(金)に待望のセカンド・ソロ・アルバム『ブルー・モルフォ』をリリースするエド・オブライエン。すでにアルバムから2枚のシングルが公開となっているが、この度アルバム制作秘話に触れた短編映画『Blue Morpho: The Three Act Play』の上映会が来週都内にて開催されることが急遽決定した。