「Looking Out Your Window」は、ビートルズに加え、アレックス・チルトン(Big Star)やエリオット・スミスを彷彿とさせる。特別な音楽的な要素はないのだが、メンデスのボーカルは、70年代のニルソンのようなじっくりと聴かせる響きがあり、また、それらがアコースティックギターの演奏と上手くハマっている。これらは彼が熟成してきた音楽性がようやく完成された瞬間でもある。暗さ、明るさ、悲しみ、喜びを交差しながら、切なげな音楽が象られる。しかし、こういったささやかなフォークソングが中盤以降にオルガンが入るだけで、奇妙なほど壮大な感覚を帯びてくる。いわば、悲しみや暗さの領域から明るい領域へと踏み込んでいくのである。かれの音楽はまた、フィラデルフィアの郊外の風景の素朴さから始まり、ニューヨークのような、きらびやかな地域の風景へ、少しずつ移り変わっていくような感覚がある。この曲もまた、小さな世界から徐々に大きな世界へと変遷していくような瞬間が切り取られている。
この曲は、二つの曲をつなぎ合わせたような構成を持ち、一曲目はボブ・ディラン風のフォーク・ソングで、二曲目の方はビートルズのデモソングのような感じで続いている。時代をさかのぼるような感覚があり、これはまたホームレコーディングの没時代性からもたらされるものだろう。「Everybody Wants To Be Your Friend(Except Me)」はシニカルな意味合いをにじませ、飄々としたフォークミュージックを紡いでいる。序盤から中盤の流れを安定化するような曲で、田舎性を思わせるサウンドから孤立感をシンガーは歌うが、それは柳に風といった感じだ。
「It Breaks My Heart」のような曲は、『Beauty Land』の印象的な箇所となるだけではなく、グレッグ・メンデスというシンガーソングライターのシンボリックな音楽性を形成する。どことなく内省的な雰囲気を持つフォークミュージックから、メロトロンのようなシンセの音色が流れてくると、こころなしか、ノスタルジックな感覚を帯びてくる。それは都会から郊外に帰ってきたときにふと感じるような安堵感、また、ほっとするような感覚を体現しているのである。
「Geranium」以降の楽曲でも、音楽的な方向性に変化はなし。それは人間の苦難や困難、その泥の中から本当に美しい一滴をすくい上げようという行為である。繊細な趣を持ち、ときに脆さ以上の崇高さを提示するフォークソング「Geranium」、ビンテージなアコースティックピアノの響きを追求したささやかな間奏曲「Interlude in D Minor」に続いて、アルバムのクライマックスが到来する。「Serving Drink」では、依然として、ビートルズ、エリオット・スミス、アレックス・チルトンといったフォークソングの名手たちの音楽性を踏襲し、彼らに肩を並べる。
「Safe Place」は、自分自身が自分の安全基地になるという宣言の楽曲です。自分が自分の一番の味方になること、それは簡単ではないけれど、だからこそ挑戦したいと思いこの曲を書きました。苦しかった時期に、Jamila Woodsの「Holy」の一節「I'm not lonely, I'm alone and I'm holy by my own」に深く支えられました。
最近、ソウルシーンではコラボレーションが活発化している。今回、ご紹介する「Dream of Summer」は、フィンランド出身のプロデューサー/アーティストMishaが、Phil Beaudreauとcocabonaを迎えて制作したニューシングルである。それぞれの個性は共同制作によりどんな化学反応をおこすのか。
新曲「Dream of Summer」は、今後リリース予定のアルバムへと続くサウンドと感情の世界観を拡張する作品であり、淡いサイケデリアと静かな内省が溶け合う、没入感のあるR&Bトラックに仕上がっている。
Mishaは、オルタナティブR&B、ヒップホップ、Nu-Funkを横断するジャンルレスなサウンドで知られるアーティスト/プロデューサー。これまでにSpotifyで9,000万回以上の再生を記録し、SoulectionやBBC Radio 1Xtra、Okayplayerといったメディアからのサポートを受けるなど、グローバルなオルタナティブR&Bシーンで存在感を高めている。
Phil Beaudreauはロサンゼルスのミュージシャン。Dr. Dre、Justin Bieber、Lalah Hathaway、Common、Michael McDonald、The Game、Travis Barkerらとの仕事で知られ、楽曲に確かな音楽的深みをもたらす存在。本作では、空気のように広がるサウンドスケープに芯のあるグルーヴを与えている。
ソロ活動を開始した後、リンは『LAYERS』(2010年)、『IN THE BALANCE』(2014年)、『LOOK UP』(2024年)など、高い評価を受けたアルバムを数枚リリースし、国内外のラジオでオンエアされるほか、インターナショナル・フォーク・アライアンスの「トップ・アーティスト/トップ・アルバム」に選出されるなど、数々のソングライティング賞を受賞した。
パンデミック期間中には、児童書『The Tree, The Ship and Me』を出版し、同書に収録された楽曲はミッドアトランティック・ソングライティング・コンテストのファイナリストに選出された。
Blend a beautiful alto voice, crisp acoustic guitar, and a heartfelt perspective on the world, and you have Lynn Hollyfield. Known for her warm stage presence and emotionally rich songs, she connects effortlessly with audiences. Writing in a contemporary folk style, Lynn weaves in jazz-influenced chords and bluesy guitar alongside passionate vocals, think Mary Chapin Carpenter meets Bonnie Raitt with a touch of George Gershwin. The result is her own distinctive voice, witty, soulful, and reflective.
Lynn has been writing songs since her teenage years, growing up on Staten Island, NY, surrounded by a wide range of musical influences, from jazz greats like Ella Fitzgerald and Frank Sinatra to artists like The Beatles and Neil Young. She began performing locally at a young age and later gained recognition as part of the duo Hollyfield & Spruill, appearing at festivals such as the Falcon Ridge Folk Festival.
After launching her solo career, Lynn released several acclaimed albums, including LAYERS (2010), IN THE BALANCE (2014), and LOOK UP (2024), earning national and international airplay along with multiple songwriting awards including being listed in the Top Artists/ Top Albums for the International Folk Alliance. During the pandemic, she also published a children’s book, The Tree, The Ship and Me, with its accompanying song recognized as a finalist in the Mid-Atlantic Songwriting Contest.
Lynn is getting ready to release her fourth album, Diving In, produced by Grammy-nominated Seth Glier. A Spring Songwriting challenge and a Summer Songwriter’s retreat led to a serendipitous meeting with Seth, that resulted in recording 11 songs in 5 days, at Ghost Hit Recording Studios, West Springfield, MA, a week before Christmas, 2025. Snow falling, blessing the first day, they played in a circle, in a historic New England Church turned studio, with these incredible artists: Seth Glier, Abbie Gardner, Reed Sutherland and Rob Griffith. Kelly Halloran joined mid-week.
Diving In is a collection of songs revealing the twists and turns in lives, our humanness, loss, love, the times we were in and the path we choose to go through it. There’s a range of styles on this album, mostly contemporary folk, a few with a little bit of traditional feel and timeless vibe. “There’s a quiet beauty in tradition. A delicate sacred space in folk music where songs can paint landscapes. Where melodies and arrangements sit comfortably inside the roots of Americana without ever feeling dated. Instead, they feel like a reminder. A breath. A return to something real in a world that constantly forces us to live too fast, want too much, and never be satisfied.”
The song, “Blindspot” was written after losing a family member and a friend to the fentanyl crisis. “Afterwards, I couldn’t help but wonder if I had been truly open and caring when I was with them. Was there anything I could have done to help them? I’ll never know and it’s one of those hard life lessons - too little too late. I worked on this song with Seth Glier at the Dar Williams Songwriter’s Retreat, August, 2025 and it was the first we recorded for the upcoming album.” Her music doesn’t demand your attention but earns it with patience and grace.
Lynn continues to perform and tour along the East Coast while supporting the music community as a host for the Songwriter’s Association of Washington open mic and as Music Director at the Celebration Center for Spiritual Living in Falls Church, VA.
日本の作曲家/編曲家による清水靖晃によるNHK土曜ドラマ「お別れホスピタル 2」のサウンドトラックのアルバムがスペースシャワーから発売決定。デジタルで5月13日に配信開始され、次いで6月10日にはCDのフィジカルが発売されます。サウンドトラックにはサティの名曲「Je te veux」のアレンジも収録されます。
ただ、前作のダンサンブルなポップソングが完全に放棄されたわけではない。「Say My Name In Your Sleep」では、シンセ・ポップを土台としたインディーポップソングに取り組んでいる。アルペジエーターを中心にミニマル・ミュージックとポップを組み合わせ、新鮮味のある楽曲を制作している。しかし、外交的なエネルギーを奔流させていた前作アルバムとは裏腹に、どことなく内省的でしっとりとした音楽性を追求している。いわば、内面的な脆さに焦点を当て、それらをまだ見ぬ聴衆と共有する、あるいは、したいという願望を示すような楽曲である。これらはダンサンブルなビート、そしてフォーク・ミュージックをベースにしたミニマル・ミュージックという反復的な構成を取りながら、静かなエネルギーを増幅させていくような感じで、曲そのものが盛り上がっている。今回のアルバムの序盤の楽曲で、メイジー・ピーターズは構成主義を選ばず、ループを中心に反復的な構成から核心となる箇所を汲み出そうと試みる。そしてその効果も相まってか、耳に残るリズムとメロディが出てくることがある。
アルバムの後半で注目したいのは「Flat Earther」、「Questions」の二曲である。前者はバンジョーの音色を導入し、ピーターズは独自のバラードソングのスタイルを追求している。実際的に少しほろ苦く、切ないような雰囲気を感じさせる楽曲である。一方、対象的に爽快感のある明るさを押し出した「Questions」こそ、メイジー・ピーターズのポップソングの真骨頂であろう。この曲でも一貫してミニマル・ミュージックをベースにしたポップソングを提示するが、アルバムでは珍しくドラムを導入し、ダイナミックな音響性を獲得している。 そしてこのアルバムの最も特徴的なスタイル、ボーカルの対比により、このジャンルに新しい風を呼び込もうとしている。こういった清新な感覚を持つポップソングが、歌手の長所の一つなのである。その形が最もわかりやすく昇華されたのが、「Girl's Just Flying」である。この曲では、シンディ・ローパーのカラフルな印象を持つポップソングをモダンな形で受け継ごうとしている。 アコースティックギターを中心とするフォーク・ソング、そしてアンセミックなサビを対比させ、新しい時代のUKポップのスタイルを示そうとしている。実際的にカタルシスもある。
『Florescence』の良い点は、音楽的な構成的な箇所に注力しつつも、情感を失わないことである。それらはフォーク/カントリー、ミニマル・ミュージック、バラード、現代的なエレクトロニックを通過したポップという多彩な形で展開される。という意味では、最もカラフルな印象を持つポップアルバムが登場したといえるかもしれない。アルバムの全15曲を聴いてくれた音楽ファンへの最も美しい捧げ物が終曲を飾る「Nothing Like Being In Love」である。王道のバラードに挑戦したメイジーは、この曲で愛の尊さについて歌おうとしている。個人的な愛情にとどまらず、他者との関係で育まれる感情への言及、これこそシンガーの人間性の成長を表している。それはポップソングとして最も美麗な結晶となったのは言うまでもないことだろう。
彼女の真価はライブで発揮される。YouTubeで520万回以上再生されたライブ映像は世界中で話題を呼び、Blue Note New YorkやLondon Jazz Cafeでの単独公演、Java Jazz FestivalやCapital Jazz Festなど各地の大型フェスティバルへの出演を重ねてきた。日本人アーティストとして初めてBillboard UACチャート32位に入ったことも、彼女の音楽が国境を越えて届いていることの証のひとつだ。
UKブライトンのピアニスト/アーティストThe Vernon Springが、最新アルバムの収録曲「Requiem For Reem」の映像と音源を本日リリースしました。この楽曲はアイスランドの首都レイキャヴィックのÓlafur Arnalds(オーラヴル・アーノルズ)のスタジオでライヴ録音されました。
▪️The Vernon Spring (ザ・ヴァーノン・スプリング)「Requiem For Reem (Live from Reykjavík)(レクイエム・フォー・リーム(ライヴ・フロム・レイキャヴィック))」- NEW SINGLE
発売日:2026年5月26日(火)
フォーマット:デジタルダウンロード/ストリーミング
ジャンル: ポスト・クラシカル / ジャズ / アンビエント
レーベル:p*dis
UKブライトンのアーティストThe Vernon Springの2025年作『Under a Familiar Sun』の中でも随一の名曲「Requiem for Reem」。アイスランド・レイキャヴィックのÓlafur Arnaldsのスタジオでのライヴ・レコーディングの音源と映像がリリース。シンプルでありながら深みがあり、静かなカタルシスを感じさせてくれます。
2019年までに、彼はザ・ヴァーノン・スプリングとしてソロ活動を開始し、自身のジャズのバックグラウンドと現代的なエレクトロニック・プロダクションを融合させた独自のサウンドを確立した。デビューEPや、高く評価された『A Plane Over Woods』や『Earth, On A Good Day』を含むその後のリリースにより、ザ・ヴァーノン・スプリングの代名詞となるサウンド——情感豊かなボーカルと繊細なエレクトロニクスが重なり合う、幽玄なピアノ演奏——が確立された。