Friko 『Something Worth Waiting For』


 

Label: ATO

Release: 2026年4月24日

 

 

Review

 

今年、フジロックに出演予定のシカゴのインディーロックバンド、Friko(フリコ)は先週末にセカンドアルバム『Something Worth Waiting For』をリリースした。じんわりとした温かさを感じさせるエバーグリーンな良作である。 


音像の大きなディストーションのギターワーク、ニコ・カペタンの抒情的なボーカルは多彩さを持つ。テレビジョンやレディオヘッド的な繊細さと知性を併せ持ち、ときに激情的になることも。2ndアルバムの冒頭を飾る「Guess」は、基本的なアルトロックの形式を踏襲しつつも、意外なノイズロック的な展開を見せることもある。しかし、少なからず、アヴァンギャルドな性質があるとはいえ、基本的にはエバールグリーンなロックソングが通じている。そこには最近、主流のバンドにありがちな感情の抑制ではなく、原始的なパンクのような荒削りなボーカルや叫びがジョン・コングルトンが得意とする奥行きのあるサウンドワークに反映されている。

 

手探りで聴き進めていくと、意外にもガレージロック風のサウンドが印象に残る。「Still Around」はニューヨークのプロトパンクを意識しつつも、ボーカルにはメロディアスな性質がある。これが彼らのロックソングを聴きやすくしている理由かもしれない。そしてこのロックソングはたしかに、80−90年代前半期のレディオヘッドのような哀愁をどこかに漂わせている。カペタンのボーカルは、『Bends』時代のトム・ヨークのつややかなボーカルを彷彿とさせる。バンドアンサンブルも強固である。フロントマンのボーカルを際立たせるために、ドラマーのベイリー・ミンゼンバーガー、ギタリストのコーガン・ロブ、ベーシストのデヴィッド・フラーは縦横無尽に躍動する。明らかにスタジアムレベルでのライブを意識したナンバーである。さらに、アンセミックなコーラスワークも魅力で、この曲のハイライトとなるに違いない。

 

ただ、個人的なイチオシは続く「Choo Choo」のような陰影を感じさせるアルトロックソングである。テレビジョンに比する詩情とロック精神を兼ね備えたフリコのソングライティングは、フリコのアンサンブルとたくみに合致し、バンドとして不可欠な一体感を呼び起こすことに成功している。静と動のセクションを交互に配置したり、メインボーカルとコーラスを対比させるなど、随所に工夫が凝らされている。この曲はインディーロックとして新風を呼び込むことに成功している。ライブなどでも注目してほしいが、ドラムワークが秀逸で、この曲に強いハネを与えている。メロディとリズム、そして熱量などがバランスよく溶け合った一曲となっている。また、もう一つ注目すべきは、この曲に漂う若さや青さに象徴されるエモの雰囲気である。


「Alice」も良い曲で、ここでもレディオヘッドの『OK Computer』時代のロックバラードからの影響を読み取ることが出来る。しかし、90年代のデジタルなサウンドとは異なり、自然味溢れるアナログ風のサウンドが押し出されている。それゆえ、ラフさや粗さのような要素も一つの魅力となる。続く「Certainly」は70年代のシンフォニックバラードの影響が反映された形である。ピアノを中心として、ボーカルと掛け合うように、ストリングスが爽やかな旋律線を描く。

 

こういった冒険心のある音楽的なアプローチに加えて、タンダードな「Hot Air Baloon」のような楽曲が強い印象を残す。ここでもニューヨークのプロトパンクや、2000年前後のガレージ・ロックリバイバルを踏襲し、テレビジョンやストロークスのようなギターワーク、そしてボーカルを通じて、クールなロックサウンドを紡ぎ出している。これらは、ニューヨークのロックシーンからの影響が特に色濃いことを伺わせる。しかし、それをシカゴのバンドらしくしている理由は、全般的なフォークミュージックからの影響が込められているからである。曲をぼんやり聴いていると、そのサウンドからは自然味溢れる爽快感を感じ取ることが出来る。これはデビュー・アルバムから引き継がれた要素ではないだろうか。また、いくつかのセクションを経て、曲の後半でハイライトがやってくる。静かで落ち着いたロックソングのイントロからシンガロングを誘発するパッションとエナジーが奔流する終盤の展開は聴き逃がせない。前の曲で指摘したようなフォークミュージックからの影響は、続く「Seven Degree」に表れる。ここではアコースティックギターによるフォーク・ロックで、スプリングスティーン的な雰囲気を放つ。


フリコはアメリカの音楽だけではなく、UKロックを吸収し、それらを上手く混合させる。タイトル曲「Something Worth Waiting For」のような曲は、シガー・ロスからの影響が滲み出ている。ビョークとのライブでのコラボ曲のような感じで、この曲はアルバムの中で、唯一、北欧(アイスランド)のフォークミュージックからの影響を捉えることが出来る。そしてどことなくさわやかである。恬淡としたアルトロックソングやバラード、あるいはフォークが中心となっているセカンド・アルバムであるが、前作よりもはるかに音楽的な間口が広くなっている。

 

さらに、2ndアルバムのクローズ「Dear Bycycle」では大掛かりな仕掛けを持つ一曲に仕上げている。ここでは、Wilcoのようなバンドの次世代の実験的なフォークロックのアプローチをもとに、エレクトロニクスやポストロック/マスロックのような文脈を加え、新鮮味のあるサウンドを確立している。最後の曲はかなり力が入っている。インディーロックバンドという表向きの呼称とは裏腹に、広角に聴き込めるようなアルバムである。ライブに行く人はぜひ聴いていこう。

 

 

 

82/100 

 

 

 

「Still Around」 

 

 ▪Listen Here:  Friko 『Something Worth Waiting For』


 

The Menzingersは、8thアルバム『Everything I Ever Saw』のリリースを発表した。本作は7月17日にエピタフ・レコードより発売される。プロデュースとレコーディングはウィル・イップが担当した。メンジンガーズはロック寄りのパンクロックソングを特徴とするが、最新シングル「Chance Encounter」ではカラリとした爽快感のあるギターロックソングを聴くことが出来る。


「このアルバム制作中に、僕たちの生活も世界も大きく変わった。でも、どういうわけか、そのすべてが僕たちをバンドへの絆と友情のより深いところへと引き込んでくれた」と、ボーカル兼ギタリストのトム・メイは語る。


「結成から20年、今ほど自分たちの活動と深く繋がっていると感じたことはない。『大人になれば、問題も大きくなる』とはよく聞くが、そこには真実がある一方で、より大きな答えや深い意味も存在する。本当の変化の向こう側でしか見つけることのできない、苦労して手に入れた希望のようなものがある。人生や世界の不確実性の中で、すぐに皮肉屋になってしまうのは簡単だ。『全部クソ食らえ』と言いたくなるのも簡単だ。『Everything I Ever Saw』では、僕らはそのすべてに真正面から向き合いたかった。このクソみたいな世界全体とね。」


ブリテン・ウェイアントとザ・メンジンガーズが監督を務めたミュージックビデオをご覧下さい。



「Chance Encounters」


The Menzingers 『Everything I Saw』


Label: Epitaph

Release:  2026年7月17日

 

Tracklist: 

1. Chance Encounters

2. Better Angels

3. Romanticism

4. Other People’s Money

5. Gasoline & Matches

6. The Fool

7. Nobody’s Heroes

8. Breathe With Me

9. When She Enters My Dreams

10. Parade Day

11. Everything I Ever Saw


 

ヴィンス・ステイプルズは、4月25日(土)にロック調のリードシングル「Blackberry Marmalade」をリリースしたのに続き、Loma Vista Recordingsとの提携により、6月5日にニューアルバム『Cry Baby』をリリースすることを発表した。これまでヒップホップの次世代アーティストとして期待されてきたミュージシャンだが、今回はロックソングを交えた新曲となっている。


全10曲からなる本作は、現代アメリカの課題を浮き彫りにする。ステイプルズの過去2作に見られた内省的な作風とは対照的に、外向きの視点に立ち、「終わりのないアメリカの混乱のサイクルを処理し、研ぎ澄まされた明快さと意図をもってそれを反映」しているという。


『Cry Baby』の各楽曲は、生楽器演奏を軸に構成されており、「アメリカの緊張感、不条理、そして感情的な重みを捉えた、ダイナミックで対立的な作品群」を形成している。このアルバムは、単に時代とその前例を記録するだけでなく、それらと格闘する作品となっている。


「Blackberry Marmalade」は、「反体制、白人連中はあの怪しげなやり方に便乗してる/白人連中は俺が働くのを見て、俺を酷使し、マジで狂ってる/白人連中は税金で俺の懐を搾り取り、お前を金持ちにしてやったなんて言う」といった歌詞を歌い上げる。ステープルズとブラッドリー・J・カルダーが監督した楽曲のミュージックビデオは、一人称視点シューティングゲームの視点で撮影されている。





Cry Baby Tracklist:

1. Blackberry Marmalade

2. Go! Go! Gorilla

3. White Flag

4. The Running Man

5. TV Guide

6. The Big Bad Wolf

7. Only in America

8. Do You Know the Devil?

9. Cotton

10. 7 in the Morning



この度Acne Studios(アクネ ストゥディオズ)は、厳選されたワードローブとして構成された2026年春夏ミッドサマーカプセルコレクションを発表いたします。流れるようなシルエットやトロンプルイユの表現、柔らかなテーラリングが、季節感のあるモチーフと繊細なカラーパレットによって表現されています。

 

薔薇は繰り返し登場するモチーフとして、シルクスカーフやジャージーに繊細に描かれ、ひねりの効いたエレガンスをコレクション全体に与えています。また継続的に用いられるチェック柄は、軽やかなブラウスやスイムウェア、パッチワークアイテムへと再構築されています。

 

スプレーロゴやアシッドウォッシュ加工、トロンプルイユのデニム表現といったディテールが、さりげない変化と奥行きをもたらします。軽やかな夏らしさを保ちながら、見慣れたシルエットに新たな表情を加えています。

 

アクセサリーには、シーズンカラーで展開されるシグネチャーシューズやローズプリントのシルクスカーフ、そして本コレクションのチェック柄を用いた新作のCamero Kitバッグが揃います。

 

 2026年春夏ミッドサマーカプセルコレクションは、4月30日(木)より世界各国の店舗およびオンラインサイトにて発売されます。コレクションのサンプルは以下の通りとなっています。

 

 


ロゴポロTシャツ¥73,700(税込)

トロンプルイユジーンズ - 1981 ¥138,600(税込)



キトゥンヒールサンダル¥106,700(税込)


レースアップスエードシューズ¥96,800(税込)


レイヤードロゴタンクトップ ¥49,500(税込)


プリントデニムミディドレス ¥157,300(税込)


Camero Kitチェッククロスボディバッグ¥269,500(税込)

【クレジット】

Acne Studios | アクネ ストゥディオズ

 

【お問い合わせ先】

Acne Studios 【クレジット】

Acne Studios | アクネ ストゥディオズ

 

【お問い合わせ先】

Acne Studios Aoyama | アクネ ストゥディオズ アオヤマ

Tel: 03-6418-9923

 

Momoko Ohori /大堀桃子

Head of Communication & Marketing APAC

m.ohori@acnestudios.com | アクネ ストゥディオズ アオヤマ

Tel: 03-6418-9923

 

Momoko Ohori /大堀桃子

Head of Communication & Marketing APAC

m.ohori@acnestudios.com

▪ブラックミュージックの権利獲得のための長い時代
 Mamie Smith(Queen of The Blues)


音楽とは、たしかに、理論、構成や旋律の要素、ハーモニー、楽器の演奏や歌の技術が不可欠である。しかし、同時に、その表向きの内容だけで成立している訳ではない。結局のところ、民族音楽であれば、その土地の習性や風土、儀式的な要素、伝統性など、様々な要素が混在している。リアルな音楽に触れる必要がある理由は、こういった要素が含まれているからである。

  

今回、コラムで取り上げるのは、ブラック・ミュージックがポピュラー化されるための始まりとなった「レイス・ミュージック(Race Music)」という内容である。この音楽に関しては、どうしても差別意識(レイシズム)という観念や概念を避けて通ることができない。そもそも、ポピュラー音楽が産業として確立されようとしていた時代、1920年代には、黒人音楽と白人音楽が明確に分割されていた。これは社会的に言及すれば、この両者の人種の生活空間も分かたれていたのである。白人音楽は、カントリーソングの前身であるヒルビリー、対して黒人音楽は、ブルース、ゴスペル、最初期のロックンロールを示唆した。これらはWW2の後にはすっかり個別のジャンルとして確立されていき、”Race Music”という呼称は衰退し、ビルボードが使用した”R&B”という呼称が一般的に浸透していったため、ほとんど使用されなくなった。

 

それと同時に、キング牧師の公民権運動の時代をきっかけにして、人権的な意識がアメリカに根付くと、ブラックミュージックは表向きには一般化されていった。その背景には、1980年代を通じて、ダンスミュージックやソウルが盛んになり、ブラックミュージックが一般的な市民権を獲得したことが挙げられる。しかし、その権利の獲得のための道筋は一筋縄ではいかなかった。ラジオから排斥されたり、また、市民権が得られない不毛の時代が長く続いた。サム・クックのような伝説的な存在が「Change Gonna Come」と歌ったのには理由があったのである。

 

当初、ブラックミュージックとホワイトミュージックは、音楽市場のジャンルとして分割されていたが、実際には、カントリー・ブルースや、ロックンロールを見ると、これらの人種的な隔壁を越えてクロスオーバーするようなケースは少なくなかった。正確に言えば、音楽でしか示せない概念やフレンドシップが存在したとも言える。ただし、少なくとも、音楽市場としては、そのかぎりではなかったことが分かる。1920年から1930年代にかけて、 レコード会社はアフリカ系アメリカ人の音楽をレイス・ミュージックとして売り出し、産業的に確立しようとした。

 

この独自音楽の出発は、どちらかと言えば、ブラックミュージックを個別で売り出したほうが音楽ファンにも伝わりやすいという、親切心やサービス精神ではないかと推測される。ブラックミュージックとホワイトミュージックの明確な違いというのは、その成り立ちに求められる。

 

ブラックミュージックは基本的に、アフリカの儀式的な音楽に最初のルーツがあり、これらは、複合的なリズム(対旋律法を用いた複数のリズム(二つ以上のリズムをかけ合わせる)、それから、教会音楽に象徴されるような黒人霊歌としてのメロディーの側面、あるいは、それ以降のジャズのコール・アンド・レスポンスに代表されるようなメインの歌手に手拍子で答えながら、合いの手を入れる「グリオ」という形式である。アフリカ系の人々がリズム感に長けているのは、これらの伝統性に根ざしている。リズム感が弱い自分としては羨ましい限りである。

 

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・レイス・ミュージックの進化  

Race Musicを年代別にチャート化

レイス・ミュージックは大まかに二つの段階に分けて進化していく。最初の段階は、ブルース、ジャズ、そしてゴスペルである。

 

レイス・ミュージックは、アフリカの伝統や民謡を伝えるために始まった。ブルースは、特にレイス・ミュージックとして最初に出発したジャンルであり、R&Bと並び、白人の伝統的なロックミュージシャンが最も敬愛する音楽といっても過言ではない。ブルース音楽は、アコースティックギターひとつ、歌、ピアノやブルース・ハープしか出てこない。音楽制作における最低限の費用効果で、ボーカルの声色やギタープレイの変化だけで驚くべき多彩な音楽性もたらす。

 

なおかつ、ブルースミュージックは民謡的な要素が強い。アメリカに移民したアフリカ系ミュージシャンたちは、自らの過去の遺産から何かを汲み出し、それらに敬意を以て歌を紡いだのである。当初、ブルースのミュージシャンは、アフリカ系アメリカ人が直面する困難を音楽という鏡に映し出していた。これらのミュージシャンの複数が宣教師のような職業にあったことを見ると、ブルースというのは本物のストリート音楽で、伝道的な性質が強かったことを伺わせる。一方、基本的には室内楽として出発したゴスペル。日曜の礼拝で儀式的に歌われるが、これもまた単なる宗教音楽の役目を果たすにとどまらず、人種差別に対する抗議や表現形態の意味が込められていた。それはまたキリスト原理主義における信仰者の疑念を映し出していた。

 

以後、ゴスペルとブルースに端を発するレイス・ミュージックは一般的なリズム・アンド・ブルースに移行していった。2000年代にヒップホップが主流になるまで、R&Bの黄金期が続いたといえる。これらは伝道的な性質を持つ形式主義の音楽がさらにポピュラー化/民衆化した段階である。しかし、依然としてリズムという性質は失わずに、それらを急進的に打ち出していき、全般的なポップソングの基礎にもなった。しかし、これらは同時に権利獲得のための時代でもあった。1960年から70年代にかけてのスティーヴィー・ワンダーを中心とするニューソウル運動。これは黒人音楽が権利を獲得するための時代でもあった。

 

R&B以降に登場したロックンロールは、今やどのような人種も楽しむ音楽となっているが、最初は一つのブラックミュージックから出発している。特に、リズム・アンド・ブルースとカントリー・ミュージックの複合として誕生し、その後、世界的に人種を越えて親しまれるようになった。チャック・ベリーやリトル・リチャードといった大家が先駆者である。これらはエルヴィス・プレスリーが登場する前夜の1950年代に盛んだった。また、当初は座って鑑賞するタイプの音楽が多かったが、50年代以降はダンスするための音楽の性質を強めていく。

 

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・レイスミュージックの業界的なアプローチ 南部の市場の開拓   レイスに対する「ヒルビリー」が登場



音楽業界がレイス・ミュージックを売り出したのは理由があった。アメリカでは、1914年に蓄音機の売上が大幅に増加、1919年になると、200万台の売上を記録した。しかし、翌年以降は、レコードの売上が少しずつ減少していった。なぜかといえば、ラジオが一般的な家庭に普及しはじめたからである。


1922年以降になると、ラジオの普及がレコードの売上を奪ったため、レコード会社は大慌てだった。20世紀の初頭、アメリカのレコード会社は、ニューヨーク、シカゴ、アトランタ、ロサンゼルスに点在していたが、レコード会社は南部地域の音楽市場を開拓し、ソウル専門のレーベルも設立されるようになった。ここから、テネシーのStax Recordsのようなレーベルが出てきた。

 

このレイス・ミュージックを爆発的に普及させたのが二人のスミスだった。そのうちの一人は、ハーレムの歌手、Mammie Smith(メイミー・スミス)で、一般的に有名なBassie Smithより三年早く登場し、コロンビアレコードからレコードを発売した。最初の「ブルースの女王」と称される。 もうひとりのレイスミュージックの立役者べッシー・スミスは、「ブルースの女帝」と呼ばれている。どちらのほうがすごいのかは読者諸賢のご想像にお任せしたい。

 

メイミー・スミスはコロンビアの子会社であるOkeh Recordsに所属し、「Crazy Blues」「It's All Right Here For You」など、シンボリックな楽曲を相次いでリリースした。音楽的には、ブギウギやジャグ、ジャズにも比する雰囲気が込められている。会社のレコード・プロデューサー、ラルフ・ピアが、ハーレムの人気歌手であったメイミー・スミスと白人の伴奏バンドに共同でレコーディングに起用。コロンビアは、レイス・シリーズの第一弾として銘打った。ピアは、黒人新聞が黒人のことをRaceと呼んでいたことから、この名を思いついたという。

 

ラルフ・ピアは、メイミー・スミスのレコードの売れ行きが南部を中心に好調であることから、レコード市場として南部の地域を開拓しようと思いついた。その後、テネシーを筆頭に、この地域は北部のデトロイトと並んで、重要なソウルミュージックの中心地になっていく。しかし、これらのレイス・シリーズの問題点は、黒人音楽が白人の管理下に留まっていたということである。これらは、キース・リチャーズがシカゴのある伝説的なブルースマンに最初に出会った時、レコード会社で下働きをしていてびっくりしたというエピソードを見ても明らかだろう。


また、こういった人種的な問題は、1980年代以降もくすぶり続け、その独立性を阻害していた。しかし、少なからず、ブルース、ジャグバンド、ジャズピアノ、ゴスペルの普及に役立った一面もあるだろう。

 

言うまでもなく、南部ではレイス・ミュージックに対抗して白人音楽が登場した。ラルフ・ピアがアトランタの家具、レイスの音楽を中心に棚卸ししていたポーク・ブロックマンのところに出張した時、ブロックマンは白人フィドル奏者ジョン・カースンを紹介した。ジョンは1923年に、地元アトランタで黒人シンガーと一緒に録音したレコードをリリースし、500枚を売り上げた。これが俗に言われる''ヒルビリー・ミュージック''として売り出されるようになったきっかけだ。ヒルビリーは、山間部の男性的な音楽として知られているが、これらがカントリー/ウェスタンと連結していく。黒人音楽と白人音楽はどの時代もクロスオーバーする側面があったことがわかる。

 

記事の冒頭に述べたように、音楽というのは、構成、旋律、拍動、ハーモニーだけを伝えるためだけのものではない。さりとて個人の感情や内面の吐露に終始するわけでもない。その人々が持つ伝統や文化、思想、ないしは、その人しかもちえない何か、独自の表現を伝えるためのものでもある。

 

その音楽は、今では”スタンダード”となったかもしれないが、それらは先人達が苦闘し、権利獲得のため闘争し、苦心して獲得してきたのである。ヒップホップも、J-POPも、K-POPも然りだろう。音楽及び芸術は、いかなるジャンルにおいても市民権を得るための”潜伏的な時期”が必要である。今ごく普通に巷で聴かれている音楽も、マイノリティの時代があったと言える。その音楽は誰がどんな思いを込めて作ってきたのか。そんな考えを巡らせながら、音楽を聴いたり、演奏してみると、きっとその音楽に対する見方が変わってくるに違いない。

 

 

Le  Makeup

本日(4月29日)、Le  Makeupのニューアルバムがついにリリースされる。人とのつながりをテーマにした新作で彼は現代的な若者の心情を巧みに表現する。また、人間としての成長の過程が込められた新作といえるかしれない。多くのリスナーはそこに自分に似た誰かを発見することだろう。


ニューアルバム「The Crying Xpress」は、SNSで呟くみたいに、誰に話すまでもないけど聞いてほしい自分の話である。ルメイクアップは今作で若者らしい繊細さや脆さを巧みに表現している。従来培われたヒップホップやビートの表現は今ようやくJ-POPらしい音楽として体現されることになった。


ルメイクアップの楽曲は一曲の中で時間が変遷して行き、ミクロとマクロの視点を変幻自在の行き来する。各楽曲に取り巻くエモーション、日本語によるボーカルの表現、そしてメロディセンスの探求。前作に比べると、ソングライターとして磨きがかけられた楽曲が増えてきている。


曲名にも記号論のようなメーセージが込められていそうだ。しかし、そこから何を汲み取ることができるだろう? 今作にはゲストボーカルとして柴田聡子さんが参加している。両者はテレビ東京のプレミアムドラマのオープニング曲のリミックスでも関わりがあった。どのようなケミストリーを起こしたのか? アルバムより「hold on」のミュージックビデオが初公開された。さらにレコ発のライブイベントも7月22日に開催。こちらも合わせてご確認ください。



・Le Makeup - hold on (Official Music Video)



Director : jvnpey

Starring : Le Makeup, yilin

Director of Photography : sliceofbluelife


Youtubeでのご視聴 :[ https://youtu.be/aN4eYUFbqHU ]


【楽曲紹介(レーベルによる)】


ミニマルなシンセ、エモーショナルなヴォーカル、クリーントーンのギター、オルタナティヴ・アンビエント・ポップ、独自の世界を構築するシンガーソングライター 【Le Makeup】のニューアルバム。Telematic Visions、柴田聡子、Doveが参加。アーティスト写真、カヴァーアートは、佐藤麻優子。マスタリングは、木村健太郎が手がけた。


アルバムから最初のシングルとしてリリースされたミニマル・アンビエント・ポップ「はじまり」。Telematic Visionsの楽曲「each dreams」をそのままサンプリングした「each dreams riddim」。


「The Crying Xpress」リード曲でもある「hold on」は、親密さと隣り合わせの孤独を表現。シンガロング出来そうなサビが印象的な「block party」。トラウマと現実。何を受け入れて、何を拒絶して自分になっていくかという過程をテーマにした「傷」には、柴田聡子が参加。柴田聡子の楽曲のメロディを引用もしている。


ドリーミーな「c 4eva」は、みんなあたりまえに1人だということ。だけど繋がりをもとめてることがテーマ。徐々に夜が深まっていくイメージだというアルバムのブレイク的な曲「venus」。


Doveが参加した「ivory recording」は、印象的なシンセのフレーズとDoveのヴォーカルを配した壮大な印象の楽曲。「一人で迎えられない夜を一人で迎える夜に」エレクトリック・ギターのアルペジオ、ヴォーカル/シンセサイザーがシンクロする夜を想わせる涼しげな楽曲「この夜が終わるまで」。淡々と日々を過ごすなかで、起きる突風を感じさせるようなポジティブさを感じる「声」。


深い夜と進んでいく先の光を表現した「息」。孤独な社会生活、人間社会で他人とどう生きていくか、小説からインスピレーションを受けたという「glo」。言葉にすることの躊躇とかを超えた、音楽へのラブレター「crying ex」の全13曲。




【【新譜情報】Le Makeup「The Crying Xpress」

Le  Makeup 『The Crying Xpress』アルバムジャケット


Digital (UPC : 4580789762970) | PURE015 | 2026.04.29 Release | Released by AWDR/LR2

[ https://ssm.lnk.to/TheCryingXpress ]


1. はじまり  ハジマリ hajimari  Lyrics, Music, Arrangement : Le Makeup / Vocal, Guitar, Synthesizer, Programming : Le Makeup

2. each dreams riddim feat. Telematic Visions  イーチ ドリームス リディム フィーチャリング テレマティック ビジョンズ  Lyrics, Arrangement : Le Makeup / Music : Telematic Visions, Le Makeup / Vocal, Guitar, Synthesizer : Le Makeup / Programming : Le Makeup, Telematic Visions

3. hold on  ホールドオン  Lyrics, Music, Arrangement : Le Makeup / Vocal, Guitar, Bass, Synthesizer, Programming : Le Makeup

4. block party  ブロックパーティー  Lyrics, Music, Arrangement : Le Makeup / Vocal, Guitar, Synthesizer, Programming : Le Makeup

5. 傷 feat. 柴田聡子  キズ フィーチャリング シバタサトコ kizu featuring Satoko Shibata  Lyrics, Music : Le Makeup, 柴田聡子 / Arrangement : Le Makeup / Vocal, Guitar, Synthesizer, Programming : Le Makeup / Vocal : 柴田聡子

6. c 4eva  シー フォーエバー  Lyrics, Music, Arrangement : Le Makeup / Vocal, Guitar, Bass, Synthesizer, Programming : Le Makeup

7. venus  ヴィーナス  Lyrics, Music, Arrangement : Le Makeup / Vocal, Synthesizer, Programming : Le Makeup

8. ivory recording feat. Dove  アイボリーレコーディング フィーチャリング ダブ  Lyrics : Le Makeup, Dove / Music, Arrangement : Le Makeup / Vocal, Synthesizer, Programming : Le Makeup / Vocal : Dove

9. この夜が終わるまで  コノヨルガオワルマデ untill this night ends  Lyrics, Music, Arrangement : Le Makeup / Vocal, Guitar, Bass, Synthesizer, Programming : Le Makeup

10. 声  コエ koe  Lyrics, Music, Arrangement : Le Makeup / Vocal, Guitar, Bass, Synthesizer, Programming : Le Makeup

11. 息  イキ iki  Lyrics, Music, Arrangement : Le Makeup / Vocal, Guitar, Bass, Synthesizer, Programming : Le Makeup

12. glo  グロー glo  Lyrics, Music, Arrangement : Le Makeup / Vocal, Guitar, Bass, Synthesizer, Programming : Le Makeup

13. crying ex  クライングエックス crying ex  Lyrics, Music, Arrangement : Le Makeup / Vocal, Guitar, Bass, Synthesizer, Programming : Le Makeup


Mixing : Le Makeup

Mastering : Kentaro Kimura

Photography, Cover Art : Mayuko Sato



7月22日(水)には、渋谷WWWにてOne Man Live 「The Crying Xpress」を開催。

アルバムに参加した柴田聡子、Doveのゲスト出演も発表されている。

チケット発売中。


【イベント情報】Le Makeup - One Man Live 「The Crying Xpress」at WWW, Shibuya



2026.07.22 [Wed] Open 18:30 / Start 19:30

Guest : 柴田聡子、Dove and more

[ https://www-shibuya.jp/schedule/019763.php ]

Adv. 3,500 Yen [+1D]

Ticket : e+ [ https://eplus.jp/LeMakeup ]

Ticket : LivePocket [ https://livepocket.jp/e/le-makeup ]





Le Makeup:


シンガー/プロデューサー。関西学院大学在学中に作曲へと本格的に取り組みはじめ、以降国内外の様々なレーベルから作品を発表する。2020年にアルバム「微熱」をリリース。

中国・韓国・オランダ・デンマーク・ドイツでもパフォーマンスを行う。2023年2月にDove、gummyboy、JUMADIBA、Tohji、環Royが参加したアルバム「Odorata」をリリース。Pitchforkで取り上げられるなど話題となった。

2024年5月にオノ セイゲンがマスタリング・エンジニアとして参加したアルバム「予感」をリリース。東京・大阪で初のワンマン公演「予感」を行った。2026年にニューアルバム「The Crying Xpress」を4月29日にリリース。


▪️EN


Singer/Producer. Began seriously pursuing composition while attending Kwansei Gakuin University, subsequently releasing works on various domestic and international labels. Released the album “Binetsu” in 2020.Has performed in China, South Korea, the Netherlands, Denmark, and Germany.

In February 2023, released the album ‘Odorata’ featuring contributions from Dove, gummyboy, JUMADIBA, Tohji, and Tamaki Roy. It garnered attention, including coverage by Pitchfork.

In May 2024, released the album ‘Premonition’ with Seigen Ono participating as mastering engineer. Held his first solo concerts, titled ‘Premonition’, in Tokyo and Osaka.New album “The Crying Xpress” will be released on April 29, 2026.

Photo: Silken Weinberg

2025年デビューアルバムをリリースした英国の新鋭ロックグループ、The New Eves。スウェーデンのヨーデルのよう民族音楽をザ・フーのようなロックオペラと絡め、テレビジョンやパティ・スミスのようなニューヨークのプロトパンクと融合するとびきりユニークなバンドだ。


2026年、このグループの中心的な存在であるニーナ・ウィンダー=リンドがソロアーティストとして活動を開始する。最近では、有名なロックグループのメンバーがソロアーティストとして活動するのは珍しいことではない。グリアン・チャッテン、キャメロン・ウインターなどが思い当たる。


ブライトンを拠点とするスウェーデン出身のシンガーソングライター兼マルチ・インストゥルメンタリスト、ニーナ・ウィンダー=リンド(ザ・ニュー・イヴズのメンバーとして最もよく知られている)が、本日、Transgressiveよりソロシングル/ミュージックビデオ『This Is Our Life』をリリースした。

 

このシングルは、バンドの曲よりもフォークポップ/ロックに傾倒している。ジャグリーなギター、そして遊び心のあるピアノのアレンジなど、楽しさが満載となっている。


フォーク・ポップの温かみと、アップビートで力強いロックビートを融合させた『This Is Our Life』は、ウィンダー=リンドの魅惑的なボーカルのビブラートと、メロディーに対する確かなセンスを際立たせている。この楽曲は、親密さと奔放さのバランスを保ちながら、彼女の作品の多くに流れる喜びと切実さを捉えている。この曲について、ニーナは次のように語っている。


「『This Is Our Life』は、ほとんど自然に生まれてきたような曲です。スウェーデン北部の実家の山小屋にいた時のことでした。

 

アコースティックギター、バイオリン、ズームマイクを手に、物置小屋に入って手早くデモを作りました。構成はシンプルだったが、同時に必要な要素はすべて揃っていた。自分がポップソングを書いたことに驚いたけれど、どうやらそうなる必要があったらしい・


『This is Our Life』は、私にとって非常に身近な誰かについて書いたものだったが、実は私の人生に関わる多くの人々について歌っているのだと気づきました。この曲は、クリエイティブな人間であることの精神的、時には、肉体的な苦闘を認めつつも、私たちを前進させ続ける力を称えている。バンドで演奏する時、私はとても幸せを感じる。私たちは踊る。喜びに身を委ねる。誇りと奔放な愛を宣言します」


このシングルは、ウィンダー=リンドの3曲入りEP『The Spirit Is Carnal』(2023年)と初の詩集『Röd Ska Jag Leva』(2025年)に続く作品であり、ザ・ニュー・イヴズのデビューアルバム『The New Eve Is Rising』の大成功を受けてリリースされた。


2025年を代表する傑作の一つであるこのアルバムは、『Clash』誌から「忘れがたいデビュー作」と称賛され、『ガーディアン』紙の主要なアルバムレビューでは「彼らの未来と同様に、このアルバムはワクワクさせる」と評された。また、この作品は『Dork』、『Loud & Quiet』、『Hard Of Hearing』の各誌の年間ベスト盤リストにも選出されている。


ソロ作品とコラボレーションの両方において、ニーナ・ウィンダー=リンドの芸術性は、人生の活気と激しさを表現する能力によって特徴づけられている。ザ・ニュー・イヴズでの活動が集団のエネルギーに支えられているのに対し、彼女のソロ作品はより親密で個人的な印象を与えるが、その大胆さや反抗心は決して劣らない。


「This Is Our Life」

 

 

Nina Winder-Lind 『This Is Our Life』- New Single


Tracklsiting: 

1. This Is Our Life


Listen URL: 【https://transgressive.lnk.to/thisisourlife

Robin Katz (MVINTY)

 

ロビン・カッツ(Robin Katz)のギターは、クラシックギター、ジャズギター、フラメンコギターの中間点に位置し、エキゾチックな雰囲気を放つ。スティールギターによる力強く繊細なアルペジオのプレイは一聴の価値があり、唸らせるような魅力が込められている。また、カッツのギター音楽は、ジプシー・キングスのような渋さが感じられるが、薄く重なるエレクトロニックやオルガンが現代的な質感を与え、エモーショナルかつミステリアスな感覚を作り出す。

 

2025年のクリスマスに、坂本龍一の代表曲「Merry Christmas, Mr. Lawrence」のカヴァー曲を配信リリースしたことが記憶に新しい、ギタリスト兼作曲家のロビン・カッツ。アコースティックギターだけで、これほどまで幅広い世界観を作り出せるミュージシャンはそうそう見つからない。彼のギターの演奏そのものが、ロビン・カッツとしての生き方を反映しているとすら思える。


5月にはニューアルバム『ヒプノス』をリリースすることが発表され、すでにファースト・シングル「The Moon」が配信中だが、この度さらなる新曲「Floating World」が配信開始となった。


今回の新曲「Floating World」では、ロビンの軽快なギター・ラインが、幻想的で異世界的なオルガンの音色を彩り、楽曲全体にそのテーマを反映した流動的な雰囲気を醸し出している。同楽曲について、ロビンは次のように語っている。


「この曲のタイトルは、儚く、絶えず変化し続ける世界という哲学を反映しているんだ。儚さの中に美しさを見出せば、僕たちは人生を漂うように生きていけるんだ。"floating world=浮世"とは一種の姿勢であり、悲しみも喜びも等しく畏敬の念を持って、無常を受け入れること。和声の緊張感がもたらす憂鬱と高揚の入り混じった感覚は、ある意味、浮世で生きるというこの概念に対する僕なりの表現なんだと思う」


ジプシー・ジャズ、ノマド・フォーク、フラメンコ、ロック、ブルース、新古典派音楽の狭間に位置するスタイルで、そのサウンドは叙情的で魂に響き、唯一無二の認識性を備えているロビン。幼少期をスペインで過ごした彼は、5歳の頃から母親に連れられてフラメンコのコンサートに足を運んでいた。中でも印象的だったのが、スペインのギタリストでフラメンコやジャズの分野で活躍するパコ・デ・ルシア。その後、13歳の時には、GN'R(ガンズ・アンド・ローゼズ)のスラッシュにハマり、誕生日に母親がギターを買い与えたことから自らも演奏するようになった。


そんなロビンの最新アルバム『ヒプノス』は、一聴すると単純そうだが、実に複雑なギター・ラインにゲスト・ミュージシャンのナサニエル・レドウィッジが演奏するハモンド・オルガンが絡み合った、表現力豊かな1枚に仕上がっている。オルガンの演奏は大気的で異世界的でありながら、ロビンの繊細で切ない楽曲に魂のこもった親密な対位法をもたらしている。


「Floating World」



【アルバム情報】



アーティスト名:Robin Katz(ロビン・カッツ)

タイトル名:Hypnos(ヒプノス)

品番:GB4013CD (CD) / GB4013 (LP)

発売日:2026年5月29日(金)

レーベル:Gearbox Records


Credits:

Robin Katz: Guitar

Nathaniel Ledwidge: Hammond Organ

Compositions by Robin Katz

Produced by Robin Katz and FREEMONK

Recorded and Mixed by FREEMONK at The Friary Studios

Mastered by Caspar Sutton-Jones at Gearbox Productions



・アルバム『Hypnos』プレオーダー受付中! 

Pre-order:https://store.gearboxrecords.com/products/pre-order-robin-katz-hypnos

 


<トラックリスト>

(CD)

1. Floating World

2. Kingdom

3. The Moon

4. My Friend Kushi

5.  Stargazer

6. Silent Forest

7. Ukiyo

8. Hypnos


(LP)

Side-A


1. Floating World

2. Kingdom

3. The Moon

4. My Friend Kushi

Side-B


1. Stargazer

2. Silent Forest

3. Ukiyo

4. Hypnos

 


・Robin Katz  バイオグラフィー


ジャズの伝統に根ざし、フラメンコ、ボサノヴァからネオクラシック、ソウルに至る多様な影響を受けながら形成されたギタリスト兼作曲家のロビン・カッツは、ディスクロージャー、ルーベン・ジェームス、ザ・ロンドン・ジャンゴ・コレクティブ、ジョセフ・ローレンスらとイギリス各地で幅広く共演。


2024年にリリースした、トランペッターのガイ・バーカーとの共作によるデビューEP『オーシャンズ・フォー・エロス』で彼の広大な音楽的表現が披露され、その後、Freemonkがプロデュースしたセカンド・アルバム『ロック・ミュー ジック』を2025年にリリース。同年12月には、坂本龍一の楽曲のカヴァー「Merry Christmas Mr.Lawrence」を配信リリースしている。2026年、アルバム『ヒプノス』を発表。

実験芸術を紹介するプラットフォーム「MODE」は、6月29日(月)、30日(火)の二日間にわたり、東京・赤坂に位置する草月ホールにて2つのパフォーマンスプログラムを開催します。先日の最初の発表に続いて追加出演者が発表されました。


注目すべきは、日本のアヴァンギャルドミュージックの重鎮、灰野敬二が6月29日のプログラムに出演します。同日には、ドローン音楽の急進的なアプローチで知られているスウェーデンの鍵盤奏者/ギタリストのEllen Arkbroが出演します。今回、アルクブロは雅楽の音楽と共演し、西洋音楽と東洋音楽を結びつける試みを行います。


そのほか30日のプログラムでは、現代音楽の巨匠シャルルマーニュ・パレスタインが登場するほか、このプログラムの常連といえる石橋英子/ジム・オルークも出演者に名を連ねています。現代音楽を象徴するミュージシャンが複数参加する2026年のMODE。見逃すことは出来ません。


キービジュアルに配置されるテキストはUK拠点の音楽ライターJennifer Lucy Allanによる公演ステートメント、手書き文字はMODEの新アイデンティティを担当したアーティストSakura Kondoによるもの。


【6月29日開催のプログラムについて】 


 

6月29日(月)に開催されるプログラムでは、日本を代表する前衛音楽家であり、2026年の「第70回ヴェネツィア国際現代音楽祭」にて生涯功労金獅子賞を受賞する灰野敬二(Keiji Haino)と、元YUCK(ヤック)のフロントマン、元Cajun Dance Party(ケイジャン・ダンス・パーティ)のリードボーカルであり、『The Brutalist』の劇伴でアカデミー賞を受賞したDaniel Blumberg(ダニエル・ブランバーグ)によるコラボレーション作品が世界初披露されます。


さらに、パイプオルガンやリードオルガンの持続音を用いたドローン作品で国際的に高く評価される作曲家Ellen Arkbro(エレン・アークブロ)が、リードオルガンと、雅楽において中心的な役割を担うダブルリード楽器である篳篥(ひちりき)のための最新作を世界初演として発表します。


Arkbroがリードオルガンを担当し、雅楽演奏グループ伶楽舎(Reigakusha Gagaku Ensemble)に所属する中村仁美(Hitomi Nakamura)、國本淑恵(Yoshie Kunimoto)、鈴木絵理(Rie Suzuki)、田渕勝彦(Katsuhiko Tabuchi)が篳篥(ひちりき)を演奏します。


■ Keiji Haino & Daniel Blumbergについて

Keiji Haino

Photography by Taylor Russell

灰野敬二 (Keiji Haino)は50年以上にわたり、ノイズ、フリージャズ、ブルース、ロック、電子音響、フォーク、ドローンといった多様な領域を横断しながら活動を続けてきた日本の前衛音楽家です。Antonin Artaud(アントナン・アルトー)に触発され演劇を志すも、The Doors(ザ・ドアーズ)に遭遇したことを契機に音楽へと転向。初期ブルースから中世音楽、歌謡曲に至るまで幅広い音楽を吸収し、1970年代より活動を開始しました。 1978年にはロックバンド「不失者」を結成。ソロ活動と並行しながら、灰野を中心にしたプロジェクト「滲有無」、90年代後半に結成したカヴァー・バンド「哀秘謡」など複数のプロジェクトや名義を通じて様々な表現を展開してきました。


1980年代の活動休止を経て復帰以降も、即興演奏を軸に音を身体的な体験へと変容させる実践を深化させてきました。ギターやパーカッションにとどまらず、ハーディ・ガーディや各地の民間楽器、電子機器などを用い、それぞれの特性を極限まで引き出す独自の演奏で知られています。 その革新性は国際的にも高く評価され、2026年にはヴェネツィアで開催される第70回国際現代音楽祭にて、生涯功労金獅子賞を受賞することが決定しています。近年も精力的に作品発表を続け、国内外のアーティストとのコラボレーションを重ねています。


一方、ロンドンを拠点とする音楽家・作曲家Daniel Blumberg(ダニエル・ブランバーグ)は、Cajun Dance PartyやYuckでの活動を経てソロへと移行し、即興音楽や映像、ドローイングなど様々な実践を展開してきました。映画音楽の分野でも評価を高め、2025年には『The Brutalist』のスコアでアカデミー賞およびBAFTAを受賞。日本では2026年初夏に上映予定のゴールデングローブ賞受賞作品『アン・リー/はじまりの物語』でも劇伴を手がけています。Blumbergにとって灰野は非常に重要な存在であり、ロンドンのライブベニューCafe OTOで初めて目撃した灰野の演奏が「人生を変える体験」であったと語っています。翌日も会場に足を運ぶと、灰野の演奏は前日とはまったく異なるものでした。


この体験を通じて、音楽とは常に変化し続けるものであるべきだと確信し、「同じ公演は二度と行わない」というアーティストとしてシンプルな信条を掲げるに至ります。こうした背景のもと、「MODE」は両者のコラボレーション作品を委嘱。本プログラムにて世界初披露されます。



■Ellen Arkbro & Reigakusha Gagaku Ensembleについて

Ellen Arkbro Photography by Victoria Loeb

Reigakusha Gagaku Ensemble

Ellen Arkbroはストックホルム出身、現在はベルリンを拠点とする作曲家/ミュージシャン/サウンド・アーティストです。パイプオルガンやリードオルガンの持続音を基盤に、純正律や倍音、共鳴を探求する作品で知られ、アコースティック楽器、電子音、あるいはその両者を組み合わせた作品やインスタレーションを制作しています。La Monte Young(ラ・モンテ・ヤング)に師事し、スウェーデンのエレクトリック・ハープシコード奏者Catherine Christer Hennix(キャサリン・クリスター・ヘニックス)率いるKamigaku Ensembleでも活動するなど、幅広い実践を展開してきました。


伶楽舎は、雅楽の合奏研究を目的に、雅楽の伝承・普及に第一線で尽くし続けた芝祐靖(Sukeyasu Shiba)が1985年に創立し、発足した雅楽演奏グループです。現行の雅楽古典曲の演奏にとどまらず、現代作品の上演にも積極的に取り組み、これまでに湯浅譲二(Joji Yuasa)、一柳慧(Toshi Ichiyanagi)、池辺晋一郎(Shinichiro Ikebe)、猿谷紀郎(Toshio Saruya)、伊左治直(Sunao Isaji)、桑原ゆう(Yu Kuwabara)など多くの作曲家に新作を委嘱してきました。日本を代表する現代音楽家、武満徹作曲の雅楽作品『秋庭歌一具』の演奏でも複数の賞を受賞しています。


<作品紹介>

本プログラムでArkbroは、リードオルガンと篳篥(ひちりき)のための新たな作品を伶楽舎の篳篥奏者たちとともに発表します。篳篥は、日本の伝統的なダブルリード楽器であり、雅楽において中心的な役割を担う音色を持つ楽器です。 本作は、これらの楽器に固有の音色、豊かな倍音構造と共鳴が生み出す音の響きに着目し、7リミットの純正律に基づく精緻に調整された音程や和音を通じて、リードオルガンと篳篥の音の融合を探ります。


その過程で、音の繊細で生々しいテクスチャー、そしてハーモニーを質感を伴う音の重なりとして立ち上がらせ、聴き手の意識をひらいていきます。 演奏者たちは各和音のチューニングに深く関与し、響きの明晰さを追求しながら、ひとつの音として鳴り、ひとつの響きとして聴き合うことを目指します。Arkbroがリードオルガンを担当。篳篥は伶楽舎所属の中村仁美、國本淑恵、鈴木絵理、田渕勝彦が演奏します。こちらも世界初演として披露されます。



【6月30日開催のプログラムについて】


 

6月30日(火)に開催するプログラムでは、約14年ぶりの来日となるCharlemagne Palestine(シャルルマーニュ・パレスタイン)が出演します。Charlemagne Palestineは、反復、持続、倍音、空間の響きを用いた独自の実践を築いてきた音楽家であり、ニューヨーク・アンダーグラウンドを起点に半世紀以上にわたり活動を続けてきました。


La Monte Young(ラ・モンテ・ヤング)、Terry Riley(テリー・ライリー)、Steve Reich(スティーブ・ライヒ)らと並び語られてきた巨匠の一人です。ぬいぐるみを用いたマルチメディア彫刻や空間作品を手がける現代美術作家としても活動し、ドクメンタ8への参加をはじめ、現在も世界各地の美術館やギャラリーで音響作品やインスタレーションを発表し続けています。


客演には、Jim O’Rourke(ジム・オルーク)と 石橋英子(Eiko Ishibashi)のデュオが出演します。Jim O’Rourkeは、シカゴの即興音楽シーンを支えてきた重要人物であり、実験音楽、映画音楽、プロデュースワークを横断しながら独自の活動を続けてきました。Gastr del Sol(ガスター・デル・ソル)での活動や、Sonic Youth(ソニック・ユース)の元メンバーとしても知られるほか、小杉武久(Takehisa Kosugi)とともにMerce Cunningham(マース・カニンガム)舞踏団の音楽を手がけ、Tony Conrad(トニー・コンラッド)、Arnold Dreyblatt(アーノルド・ドレイブラット)、Christian Wolff(クリスチャン・ウォルフ)らとなどの仕事を通じて、現代音楽とポストロックのあいだを横断してきた存在でもあります。石橋英子は、『ドライブ・マイ・カー』(2021年)や『悪は存在しない』(2023年)などの映画音楽も手がけ、2025年には最新アルバム『Antigone』を発表しています。両者はデュオとして、2025年に5作目となるアルバム『Pareidolia』をリリースしています。


■Charlemagne Palestineについて

Charlemagne Palestine Photography by Agnes Gania


1947年ブルックリン生まれのシャルルマーニュ・パレスタインは、ニューヨーク大学、コロンビア大学、マネス音楽大学、カリフォルニア芸術大学で学び、カントール(聖歌の歌い手)やカリヨン奏者としての訓練を経て、1960年代よりニューヨークの前衛芸術シーンで活動を開始しました。


電子音源、鐘楼、パイプオルガン、ピアノ、声などを用いた儀式的な持続音楽を探究し、97鍵のピアノを用いた「Strumming」や、パイプオルガンのための「Schlingen Blängens」といった演奏技法を含む独自の実践を築いてきた作家です。2時間に及ぶ声の作品『Karenina』や、身体の動きや映像を伴うパフォーマンスなども展開してきました。


1980年代初頭から1990年代半ばにかけてはパフォーマンス活動を休止し、ぬいぐるみを祭壇のように配したマルチメディア彫刻やインスタレーションの制作に専念しましたが、その後ステージに復帰し、Pansonic(パンソニック)、Tony Conrad(トニー・コンラッド)、Rhys Chatham(リース・チャタム)らとの共演を重ねました。パフォーマンス活動の傍ら、現在も現代美術作家としても、世界各地の美術館やギャラリーで音響作品やインスタレーションを発表してきました。


現在はブリュッセルを拠点に活動しており、近年も継続的に新作発表と公演を行っています。2024年には、アムステルダムのOude Kerkで開催されたSonic Acts Biennialにてオルガン公演を行い、その記録作品『The Organ is the Worlds Greatest Synthesizer』が2026年1月にリリースされました。2012年には、東京・SuperDeluxeで行われた灰野敬二、Jim O’Rourke、Oren Ambarchiの公演に、石橋英子とともにゲスト参加し、ワイングラスによる演奏で共演しています。今回の来日公演は、約14年ぶりとなります。


■Jim O’Rourke & Eiko Ishibashiについて




Jim O’Rourkeと石橋英子は、日本を拠点に国際的な活動を展開するアーティストです。Jim O’Rourkeは、シカゴの即興音楽シーンを支えた中心人物のひとりであり、数多くの映画音楽や実験作品を手がけるほか、Gastr del SolやSonic Youth(初期)での活動でも広く知られています。石橋英子は、マルチ奏者、シンガーソングライター、作曲家として活動し、2021年の『ドライブ・マイ・カー』、2023年の『悪は存在しない』の音楽を担当。2025年には、7年ぶりとなる歌のアルバム『Antigone』をリリースしました。


二人は、即興演奏を基盤に独自の音響世界を築くデュオとして、2010年代から活動を続けています。2023年にはフランス、スイス、イタリア、アイルランドを巡るヨーロッパ・ツアーを行い、その録音を再構成したアルバム『Pareidolia』を2025年にDrag Cityからリリースしました。この作品は二人にとって5作目のコラボレーション作品であり、ライブ音源を編集しながら新たな対話として組み立てていく、彼らの方法がよく表れた作品です。


Jim O’Rourkeは、かねてよりCharlemagne Palestineの音楽に深い敬意を示しており、2015年作『Ssingggg Sschlllingg Sshpppingg』を「その年のお気に入りであり、彼の最高作かもしれない」と評しています。


【プログラム概要】

Performance - Keiji Haino & Daniel Blumberg / Ellen Arkbro & Reigakusha Gagaku Ensemble

開催日時:2026年6月29日(月)Doors 18:15 / Start 19:00

会場:草月ホール(東京都港区赤坂7-2-21 / MAP

チケット料金 :¥8,000(税込)

プレイガイド:イープラスZAIKO

出演者:Keiji Haino & Daniel Blumberg / Ellen Arkbro & Reigakusha Gagaku Ensemble

協力:ゲーテ・インスティトゥート 東京


Performance - Charlemagne Palestine / Jim O’Rourke & Eiko Ishibashi

開催日時:2026年6月30日(火)Doors 18:15 / Start 19:00

会場:草月ホール(東京都港区赤坂7-2-21 / MAP

チケット料金 :¥8,000(税込)

プレイガイド:イープラスZAIKO

出演者:Charlemagne Palestine / Jim O’Rourke & Eiko Ishibashi

【MODEについて】

MODEは、ロンドンと東京を拠点に、実験的な芸術を通じた「交換・交流」のためのアートプラットフォーム。坂本龍一がキュレーターを務めた2018年の初開催以降、「音」を軸とした国際的な文化交流の場として展開している。都市の余白や歴史的な音楽芸術ベニューを舞台に、空間の建築的特性や場所がもつストーリーに呼応する多様なプログラムを実施。アーティストとオーディエンスが音楽や芸術文化、その歴史的背景を分かち合い、インスピレーションを交わすことで、新たな体験や実験的表現が生まれる場を創出している。

 

▪️過去の主な出演者(抜粋)

・2018 LONDON (The Barbican Centre / The Silver Building / Camden Art Centre)

坂本龍一 + Alva Noto / 坂本龍一 + David Toop / Beatrice Dillon / 空間現代 / 細野晴臣 + Acetone / Curl / 毛利悠子 + 鈴木昭男

 

・2019 LONDON (Round Chapel / 55-57 Great Marlborough Street / South London Gallery)

Rashad Becker / Eliane Radigue / Julia Eckhart / Bertrand Gauguet / Yannick Guédon / Wolfgang Voigt / Laurel Halo / Ellen Arkbro / Tomoko Sauvage / John Also Bennett + Amospheré / Loraine James


・2023 TOKYO (淀橋教会 / Vacant Space in Aoyama / WWW)

Eli Keszler / Kafka’s Ibiki (Jim O'Rourke, 山本達久, 石橋英子) / Park Jiha / 伶楽舎 / Posuposu Otani / Merzbow / Kali Malone featuring Stephen O'Malley & Lucy Railton / Laurel Halo / Tashi Wada with Julia Holter / 日高理樹


・2024 TOKYO (草月ホール / 伊藤邸(旧園田高弘邸) / LIQUIDROOM)

INCAPACITANTS / Puce Mary / Yuko Araki / FUJI|||||||||||TA / Okkyung Lee / 坂田明 / Bendik Giske / Valentina Magaletti / Still House Plants / goat

 

・2025 TOKYO (新国立劇場 オペラパレス / 東京都現代美術館 / 公園通りクラシックス / GASBON METABOLISM / ゲーテ・インスティトゥート東京)

Soundwalk Collective & Patti Smith / Marginal Consort / Carl Stone / 立石雷 / 恩田晃 / Park Jiha / Aura Satz / 斎藤玲児 / Ka Baird / Arnold Dreyblatt & The Orchestra of Excited Strings (Konrad Sprenger / Joachim Schütz / Jim O’Rourke / 石橋英子)


バルセロナの作曲家、エレクトロニックプロデューサー、Sylvain Shauveauが新作アルバム 『Complexity of the Simple』を発表。京都の寺にインスピレーションを受けて制作された本作は6月5日にリリースされる。


発表に合わせてニューシングル「Le zen dans l'art du tir à l'arc」が公開された。禅的な静けさを持ち、枯山水の庭の意匠のように落ち着いたマレット/シンセが点描画さながらにパルス音を形成、スティールパンの音色が瞑想的に鳴り響き、美麗なハーモニーを描く。まるでサウンドデザインのようだ。


ニューアルバム『Complexity of the Simple』は日本語で「単純さの中に潜む複雑さ」を意味している。このアルバムにはシルヴァン・ショーヴォーが日本旅行をした際の直覚的な気づきが盛り込まれ、それらが近年の地球のエネルギー、資源問題と結びつけられている。



このアルバムについて、シルヴァン・ショーヴォーは次のように説明しています。


この物語は、数年前、一般公開されていなかった京都の東海庵(妙心寺)の禅庭園に描かれた白砂の線を見つめていたことから始まりました。時が止まったかのような、その一瞬の体験から、私の新作アルバム『The Complexity of the Simple』のインスピレーションが生まれました。

 

本作は2026年6月5日、レーベル「130701」(Fat Cat Recordsの傘下)よりリリースされます。これは、2022年の『L’effet rebond』以来となる、私の初のソロ・スタジオ・アルバムです。


私は、ミニマリズムへの道を歩み続けながら、2016年から2025年までの約10年間にわたり、細心の職人技を以てこれらのインストゥルメンタル曲に取り組みました。この美学は視覚芸術、特に彫刻家ピエール・ラバから影響を受けており、彼は本作のジャケット写真も手掛けています。


この新作を通じて、今後数年から数十年にわたり極めて重要になると私が考える問題に注目を集めたいと思います。音楽産業は、化石燃料(石油、石炭、ガス)のおかげで誕生しました。これらは私たちが日々排出する過剰なCO²の原因であり、産業のあらゆる段階においてこれらに依存しています。

しかし、これらのエネルギーの利用は将来、急激に減少する運命にあります。気候変動を抑制するために社会を脱炭素化する必要があるから、あるいは単にそれらが非再生可能であり、ピークアウトと衰退が避けられないからという理由からです。
この移行は、生態系への逆風が吹き荒れる現代において、途方もなく長期にわたる取り組みです。何年も、おそらく何十年もかかるでしょう。そして、いずれにせよ、早ければ早いほど良いということはわかっています。

こうした状況下で、私たちはいつ行動を起こすべきでしょうか?いつから、炭化水素のない、おそらくはより質素な未来の世界に向けた準備を始めるべきでしょうか?音楽の制作、演奏、鑑賞において、どのような新しい形が生まれてくるのでしょうか?





Sylvain Shauveau 『The Complexity of the Simple』



Tracklist:
 
1 01 - Le zen dans l'art du tir à l'arc 
2 02 - The Guitar Piece I Wrote for Masumi 
3 03 - Wabi Sabi for Beginners 
4 04 - Sen No Rikyu 
5 05 - Lignes Tranquilles Dans Le Gravier Blanc