Gang of Four
ギャング・オブ・フォーは、一般的にニューウェイブ・ポスト・パンクの代表格としてよく挙げられる英国の四人組のロックバンドです。
ギャング・オブ・フォーの中心メンバー、ギタリストのアンディー・ギルは、前年、多くのファンに惜しまれつつ亡くなりました。
今、思えば、彼というギタープレイヤーは、ジェフ・ベックやヴァン・ヘイレン、もしくはアンガス・ヤングのようなテクニカルタイプのギタリストではないです。しかし、ギターの独特な新しいストローク法を生み出し、”カミソリのようなギター”と一般に称されるソリッドで硬質な斬新な技法を追求し、性急なジャキジャキというカッティングを特徴とする歴史的な名プレイヤーでした。
また、このバンドでアンディーギルの硬質なギターと共に、主要なバンドイメージを形作っているのが、ベーシスト、デイブ・アレンでしょう。彼の、ファンクを下地にしたフレージングは、パンク・ロック界隈にとどまらず、音楽史としても革新的な意味をもたらしたのは事実でしょう。
アレンのベース演奏というのは、レッド・ホット・チリ・ペッパーズのフリーに引き継がれていき、彼のベースのスラップ奏法(指弾で弦をビンとはじくように奏でる演奏法)に影響を与えたことでも有名です。
「entertainment!」1979
このアルバム、一曲目の「Ether」から炸裂する跳ねるようなベースのクールさには打ちのめされること間違いありません。
アンディ・ギルのおよそ他のレスポールとかでは醸し出し得ないジャズマスターのような硬質なカッティングギターもスタイリッシュな響きがある。そして、ドラムの巧みなタム回しによって曲がスリリングに展開されていきます。
「Natural's Not It」
アンディーのカッティングが非常に癖になる曲で、どことなくスカやダブ的な味わいのあるトラック。 ここに掛け合いのうに乗ってくるディーヴォのようなコーラスというのもどことなく爽やかさが感じられて、からりとした質感があります。シンプルなのにかっこよいというのがこの楽曲の良さでしょう。
「Not Great man」
バス・ドラムのリズムからはじまり、そして、アンディ・ギルの尖ったギターが非常に印象的な曲。ロックファンクという新しいジャンルを開拓した曲であり、この曲というのはレッチリあたりのバンドに与えた影響というのは計り知れないでしょう。
すべてが完璧! としかいいようがなく、実に音楽をよく知る演奏者にしか紡ぎ得ない玄人好みの音、そしてそれが先鋭的なニュアンスを持って表現されてます。
そして、このアルバムで独特な雰囲気を醸し出しているのが、最後の収録曲「Love Like Anthrax。
ここではロックバンドとして、ノイズのクールな響きというのを追求している。しかし、ここにありありと聴こえるのは、騒音としてのノイズではなく、それと正反対の正確のあるノイズの静寂性という何か。
そこには、異常な緊迫感に富んでおり、この格好良さというのは比類なく、Public Image Limitedであったり、もしくは、NO NEW YORK界隈のノイズバンドのような実験性があり、他のニューウェイブあたりのバンドも見渡してもかっこよさは頭一つ抜きん出ています。
このGang Of Fourの名盤「entertainment!」は、未だ他のバンドとはどれとも似ていないオリジナリティの高い音楽性を有している。
また、故、アンディ・ギルの往年の鋭いクールで洗練されたギタープレイのクールさというのが心ゆくまで堪能できる作品となっています。