Jeff Parker
ジェフ・パーカーは、LAを拠点に活動するアメリカのジャズギタリスト兼作曲家。コネチカット州出身、バージニア州ハンプトンで育ったジェフ・パーカーは、カルフォルニアのバークリー音楽院でギターを学んだ後、1991年からシカゴを拠点に、実験音楽家、ジャズプレイヤーとして活動しています。
現在も、ジャズ、エレクトニック、ロックと様々な音楽を融合した斬新なギター音楽を紡ぎ出しているアーティストです。
これまでジェフ・パーカーは、シカゴのインディーシーンの象徴的なポスト・ロックバンドの活動、作品制作に数多く携わっています。
Tortoiseのギタリストとしての活動をおこなっているほか、シカゴのインディーシーンの重要なバンド、Isotope 217°の、ジャズ・アンサンブル、Chicago Undergroundの発起人でもあり、2000年代には、クリエイティヴミュージシャンの進歩を助ける協会”AACM”の会員に名を連ねています。
上記のバンドとは別に、Andrew Bird、Yo La Tengoをはじめ、数多くの秀逸なアーティストとの共同制作を行い、ならびに、Jeff Parkerとしてのソロ名義での活動も行っています。
2021年までにジェフ・パーカーは、通算7枚のスタジオ・アルバム
「Like-Coping」2003、
「The Relatives」2005、
「Bright Light in Winter」2012、
「New Bread」2016、
「Slight Freedom」2016、
「Suite for Max Brown」2020
「Forfolks」2021
を発表しています。
特に、ジェフ・パーカーのソロ作品は、モダンジャズとしての国内外のメディアにきわめて高い評価を受けています。
「New Bread」「Slight Freedom」の二作はThe New York Timesが2016年のトップジャズリリースとして選出しています。また、「Suite for Max Brown」は、英国ガーディアンの日曜版「The Observer」の紙面において、2016年のトップジャズアルバムに選出されていることにも注目です。
「Forfolks」 International Anthem 2021
これまで、Tortoise、Isotope 217°、といった実験的ロックバンドの活動において、また、Chicago Undergroundでのジャズ・アンサンブルにおいて、コンピューター・テクノロジー、ロック、ジャズ、電子音楽を交えて、様々な音楽の混淆、未知なる音楽へのアプローチに三十年もの間、挑戦しつづけてきたジェフ・パーカー。
2021年12月10日にリリースされたソロ・ギター作品は、ジェフ・パーカらしい前衛性が垣間見える作風で、音楽本来のプリミティヴな魅力を楽しんでいただけるでしょう。
「Forfolks」は、これまでのジェフ・パーカーの作品に比べ、ジャズ・アンサンブルというより、ジャズ・ギターに焦点を絞った硬派なギタリストとしてのアプローチが貫かれた傑作といえ、ジェフ・パーカーのジャズギタリストとしての並々ならぬ情熱が感じていただけるはずです。
このスタジオ・アルバムには、ウェス・モンゴメリーのようなジャズギターの巨人に対するリスペクト、フォーク音楽を始めとするアメリカのルーツミュージックに対する憧れに近い、内側の熱情を外側に静かに表出した作品です。
今回のスタジオアルバムには、セロニアス・モンクのカバー「Ugly Beauty」、ジャズ・スタンダードの「My Deal」のほか、1997年にIsotope 217°、Tortoiseと制作を行った「La Jetee」をはじめ、六曲のオリジナル曲が収録されています。これらの楽曲は、2021年6月、カルフォルニア州のジェフパーカーの自宅にあるスタジオSholo Studioで僅か2日間で録音されました。
このスタジオアルバムに収録されている楽曲は、ジャズ・ギターの原始的なみずみずしい演奏の魅力が宿っています。しかし、その中に、いかにも、これまでシカゴのインディーシーンの中心人物として活躍してきたジェフ・パーカーらしい前衛性が発揮され、楽曲中にループを多用し、それを層状に連ね、メロディックな即興のギター演奏、電子音楽のテクスチャーが融合、実験音楽としての意義を失わせない斬新なアプローチをジェフ・パーカーは本作において図っているのです。
「私は、自分が彷徨うための音の世界を生み出そうとしている」とパーカー自身が語っているように、今作品は、一度、そのジャズ・ギターの世界に踏み入れた途端、めくるめく音楽の大迷宮に迷い込んでしまうかのような、驚き、そして、深み、厳かさを存分に感じていただけるはずです。
また、ジェフ・パーカーと長年コラボレーションを行ってきた彼の音楽性を最もよく知るMatthew Luxは、この新作「Forfolks 」について、ライナーノーツに以下のように書き記しています。
”ジェフがソロで演奏するのを聴くのはとても特別なことだ。彼は、異常なほど無欲な即興演奏家であるし、しばしば、自分ではなくて、他のバンドメンバーの貢献をことのほか強調したりする奥ゆかしい人物なんだ。
もちろん、本来、ジェフは、全く何の音も鳴らない空間で、3つのコードを演奏するような器用なミュージシャンではない。それでも、今回のレコーディングについては、すべて彼一人の力によって演奏されているのは確かなことだよ。ジェフの頭の中で組み立てられた音楽を具体化していくため、アイディアが何度も入念に繰り返され、それがようやく確かなギターのフレーズとして固定化されていった作品なんだ。
今回のアルバムの8つのセクションにおいて、ジェフが音の世界を入念に作り上げていくことを聴くことで、これまでまったく知られていなかった事実、彼がどのようなプロセスでこういった実験的な音楽を生み出しているのか知ることができるはずだ。
.....彼は、実は、今回のレコーディングにおいて単一のジャンルとして音楽を落とし込み、その枠組内で演奏することを避けていた。 どちらかといえば、音楽を色彩的にいろどるため、あえて絵画的なアプローチを選択し、いかにも商品らしい音楽を生み出そうとはせずに、内面的な深い声を音楽として表現するように努めていたんだ”
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