Broken Social Scene
カナダ・トロントで結成された”スーパーグループ”と称されるインディーロックバンド。バンドの略称は”BSS”である。
Broken Social Sceneの殆どのメンバーは、以前から異なるバンドやソロ・プロジェクトで活動しており、一時は20人を超える大所帯のロックバンドだった。各メンバーの持つ個性がこのバンドのサウンドに反映され、多彩な音楽性を感じる事ができるはずだ。多くの楽器を使用するため、一つ一つの楽曲は濃密である。
BSSの中心メンバー、ケビン・ドリュー(Kevin Drew)とブレンダン・カニング(Brendan Canning)が数名のアーティストと共にデビュー・アルバム「Feel Good Lost」を発表したのがバンド活動の始まりである。
このアルバムは、アンビエントとも称され、楽器のみの演奏で構成されたポストロック/インストゥルメンタルロックの性質の強い作風であった。
その後、アンドリュー・ホワイトマン(Andrew Whiteman)、ファイスト(Leslie Faist)がメンバーとして加入し、二作目のアルバム「You Fogot It In People」を発表。このアルバムによって、ブロークン・ソーシャル・シーンは音楽メディアや評論家により高い評価を受けるようになる。
その後も、頻繁にメンバーチェンジを繰り返しながら、
・「Bee Hives」2004、
・「Broken Social Scene」2005
上記二作のアルバムを発表する。
2005年にリリースしたセルフタイトルアルバムは、CMJチャートの一位を獲得。また、同年3月には、東京、及び大阪で開催された音楽イベント「Canada WET」 の出演のため初来日している。
2007年には、新プロジェクト「Broken Social Scene Presents...」を開始している。
また、2010年には、Tortoiseの中心人物、ジョン・マッケンタイア(John McEntire)を共同プロデューサーとして迎え、「Forgiveness Rock Rocord」をリリースし、2006年以来となる「Fuji Rock Festival」への二度目の出演を果たす。
2017年には五作目となるアルバム「Hug of Thunder」をリリース。
2020年には、White Stripesのジャック・ホワイトが主宰するインディーレーベル「The Thirdman Records」で録音されたキャリア初となるライブアルバム「Live At The Third Man Recrods」をリリースしている。
「Old Dead Young B-Sides&Rarities」
Arts & Crafts Productions
Scoring
今年1/14に発売された「Old Dead Young B-Sides&Rarities」はSocial Broken Sceneの20年に渡る長いバンドとしてのキャリアの間に録音されたBサイド収録楽曲、レアリティ、アウトテイクといった作品をひとまとめにしたアルバム。この度、ブロークン・ソーシャル・シーンは、アルバムリリースの間のギャップを埋める幻のトラックリストをファンに提供してくれました。
このレア・トラック集には、2009年のアルバム「Forgiveness Rock Record」のセッション中に録音されていた未発表のドリームポップソング「This Housels On Fire」、プロデューサー、Dave Newfieldと最初のレコーディング制作となった「Death Clock」2001といった幻の楽曲も収録されています。
BSSのフロントマン、ブレンダン・カニングは、このアルバムリリースに際してthe Calgary Heraldのインタビューに対して以下のように回答しています。
「これらのレア・トラック集をリリースできて幸せに思う。改めて分かったのは、もしかすると、これらの曲のいくつかは、本来、A-sideに収録するべきであった素晴らしい楽曲も含まれている。
言ってみれば、クローゼットの中の収納を今回きれいさっぱり片付けられたというような気分でいる」
カニングは、2001年にケヴィン・ドリューと一緒にBSSを結成し、その間の数年間、数多くのミュージシャンをプロジェクトに迎えいれてバンドサウンドを洗練させようと試行錯誤を重ねてきました。中には、Metricのエミリー・ヘインズ、Solo Starのファイスト、Starのエヴァン・クランリーなどが含まれていました。
BSSは2001年にデビュー・アルバム「Feel Good Lost」をリリースし、秀逸なアンビエントアルバムと称されました。その後、2002年の「You Forgot In People」では、21世紀のインディーロックの新基準を打ち立てた。このアルバムにおいて、BSSは、90年代のルーツを飛び越え、音響的な広がりを付加し、ロックミュージックの感情表現の新たな可能性を示してみせました。
今回のレアトラック集「Old Dead Young B-Sides&Rarities」には、従来のBSSの幅広いサウンドアプローチの真価が見られ、そこには、オルタナティヴ/インディーロックの全てのジャンルがここに詰め込まれていると言えるでしょう。
これらの楽曲を未発表曲としてストックしておくことは、上記、カニンガムの言葉にちなむと、既に使わなくなった愛着のある古着をクローゼットに溜め込んでおくようなものだったのかもしれません。今回、リリースされた作品「Old Dead Young B-Sides&Rarities」は、BSSのクロニクルともいえ、また、このインディーロックバンドの新たな魅力を見つける契機となりえるはずです。