米国と英国で2021年のレコードの売上が30年ぶりの高水準に

 


 

レコードの売上を集計するMRC Dataによると、アメリカ国内でのレコード(ヴァイナル)の販売数が過去最高に達した。

 

2021年には4,172万枚のビニールLPが販売された。前年度の2020年の販売数2,755万枚から51.4%上昇率を示している。また、MRCデータが、1991年にフォーマットの追跡を開始して以来、米国内でのビニールレコード売上は最高益を記録した。

 

現在、ビニールレコードは米国の全てのアルバム売上の50.4%を占め、1991年以来初めてビニールLPがCDの売上を上回った。

 

アメリカ国内において、昨年、女性アーティストが米国のチャート上位を独占した。英国のシンガーソングライター、アデルの最新作「30」は、年間で最も好調なLPの売れ行きを記録し、318,000枚のLPを販売。オリビア・ロドリゴの「サワー」は2位にランクインし、LP盤として268,00枚、テイラー・スイフトの「レッド」は3位にランクインし、260,000枚のLPを販売した。

 

このLPフォーマットの成長率は、世界的にも反映されている。 英国レコード産業協会(BPI)のデータによると、英国内でのレコードの売上は、アメリカ国内と同様の動きを見せ、2021年に30年ぶりの高水準に達した。さらに、BPIのデータによると、昨年、英国内では500万枚以上のレコードが販売されている。この数字は2020年から8%の上昇率を見せている。LPフォーマットでの売上は14連続増加し、2021年に販売された全てのアルバムの23%をレコード盤が占めている。

 

昨年、イギリスで最も売れ行きの良かったレコードはABBAのカムバックレコード「Voyage」で、アメリカと同様、Adeleの最新アルバム「30」もロングセラーとなった。急増するプラントの遅延とヴァイナル製造業界内のコスト率が上昇に対する懸念が高まっているにも関わらず、昨年、レコードは好調な売上を記録しているのは驚きだ。

 

BPIの最高経営責任者であるGeoff Taylor氏は、昨年度のLP盤の販売数の上昇について以下のように述べている。


「新たな音楽や才能へのレコード・レーベルの投資の恩恵によって、今日、多くの音楽ファンは、ビニール、CD,さらにカセットで、最も好きな音楽を購入し、収集することができるようになりました。

 

また、7000万曲以上にアクセスし、いつでも、好きな頻度で即座にデジタルでストリーミングすることもできるようになっています。新世代のアーティストが音楽を制作し、グルーバル市場で成功するキャリアを維持できるようになっているのは大変喜ばしいことです」

 

今回の英国でのレコードの売上の増加は、アメリカの2021年の上半期のレコード販売が前年度に比べ108%増加したという数字に連動している。さらに、このレコード売上について、昨今、十代の若者の間で、LPの売上が上昇しているというアンケート結果が見られる。以上のことから、ホワイト・ストライプスのジャック・ホワイト氏が語っているように、昨年に発生したレコード生産の遅滞をどのように解消していくかが、今後のLP産業の課題といえる。レコードプレスにおける供給と需要のバランスを上手く維持出来れば、今後レコード業界の先行きは明るい。