現在、イギリスのミュージックシーンでさり気なく再燃しているのがポスト・パンクムーブメント。そして、このロンドンを拠点に活動するSport Teamもまたそのコンテクストの中で語られるべきバンドである。
スポーツ・チームは、ケンブリッジ大学の学生として出会った六人組であり、ペイブメントやザ・ファミリー・キャットといった、アメリカの1990年代のカレッジ・ラジオで流れていたロック(カレッジ・ロック)をポスト・パンクやディスコパンクの要素を交えて再構築しようと試みている。スポーツ・チームは、2020年、ユニバーサル・ミュージックから1stアルバム「Deep Down Happy」をリリースし、デビューを飾った。このデビュー作は、カレッジ・ロックをニューウェイブ/ポスト・パンクの風味で彩ってみせた快作だった。その後、順調に、スポーツ・チームはシングル作をリリースを重ね、遂に2ndアルバム「Gulp!」の詳細を先日発表した。
新作「Gulp!」は10曲収録のアルバムで、アイランドレコードから、9月23日にリリースが決定。オックスフォードのスポーツ・チームは、最新の先行シングル「R Enterainment」において、ファンに、この新作アルバムの雰囲気を伝えようとしている。パンクであり、ローファイであり、ポップであり、ディスコでもあり、SFチックでもある。このなんともカオスにまみれた音楽性については、全てこの六人組が意図的に計画したものであり、これは、まさに現代の文化、デジタル文化についての痛撃な皮肉、イングリッシュージョークが込められているのだ。もちろんそれをユーモアのセンスで否定的ではなく肯定的に捉えているのがこの六人組なのである。
「Gulp!」には、現代のSNS文化等に対するバンドのシニカルな風刺が込められている。そして多彩化する情報、増加しすぎた情報の限界性のようなものが、現実の社会、人々にどのような影響を及ぼすのかに着目している。オックスフォードの六人組は、現代の問題を的確に把握し、その問題を軽やかに我々の前に提示している。この先、時代が進んで、デジタル情報の供給が限界に達すれば、その先にはSFの世界しか存在しえないと暗示を込めているようにも思える。2000年以後から、世界中の人々は、多くの情報、多くの考え、多くの快楽を求め、デジタルのはてない海の中を漂ってきたが、この六人組はそれが限界に達していることを教唆してくれている。私達にとって、ほんとうに大切なものはなんなのか、今一度、再確認する時が来たのかもしれない。
スポーツ・チームは、最新アルバム「Gulp!」について語っている。「ソーシャル・フィードの無限スクロール、毎日検索した後にヒットする画像の無形性に突き動かされた全ての人間の経験を、エンターテインメントとしてパッケージすることを試みている。それらは、ボディーガードのシーズン17の広告で中断されたグラフィック・ニュース、野次馬としてのニュース・・・」
・pre-single 「R Entertainment」
Sport Team「GULP!」 Release Date 2022 7/22
Tracklist
1. The Game
2. Dig!
3. The Drop
4. Cool It Kid
5. Unstuck
6. R Entertainment
7. Kool Aid
8. Getting Better
9. Fingers (Taken Off)
10. Light Industry