TOLEDO Photo Credit :Pond Creative |
ニューヨーク・ブルックリン出身のデュオ、TOLEDOがおよそ1年ぶりに2022年のファーストシングルを携えて帰ってきた。ニューヨークのGrand Jury Musicとの契約開始を記念してのこととなる。
6月7日にドロップされたTOLEDOの最新作 「L-Train 」の至福の雰囲気を考えると、この切ないリリックはほとんど皮肉のように感じられる。この矛盾撞着は、バンドにとってそれほど目新しいものではない。前作、2021年の『David』は、ジョーダン・ダン=ピルツと彼の実弟である主人公のデイヴィッドが経験する家族の緊張を探り、同様の領域を占めていた。ジョーダンは、フルネームであるアルバレス・デ・トレドの姓がバンド名の由来となったダン・アルバレスと共にバンドの片割れを構成している。
ニューヨーク・ブルックリンを拠点とする二人は、ブッシュウィックに引っ越して、ライブのスケジュールを詰め込んだ後、「飲んで騒いで、自分を見失っていた」、「二人にとってのどん底」から ニューソング「L-Train」が誕生した、と説明しています。このある種の社会的無気力感は、この曲の歌詞の内容にも反映されており、二日酔いの後悔と自分の居場所への疑問を、「L-Train」というタイトルを通じて未来への道筋を表現している。「この曲は、2020年代に自立していく過程でのアイデンティティと居場所の危機を表現しています」と二人は説明している。
夏らしいフォーキーなトラック "L-Train "が、バンドがGrand Jury Musicと契約したことを表している。TOLEDOは、Hovvdy、Hippo Campusのインディー・ポップと同様の音場を共有しながらも、バンドが5年間の活動の中で慎重に作り上げてきた独自のサウンドを維持し、新しいレーベルメイトと共に心地よく存在している。2010年代後半の軽快なジャングル・ポップに似通っている部分もなくはないものの、アコースティック・ギターの弾き語りを重視し、目立った電子音を使わずに曲を構成することで、ヴィンテージでライブ感のある独自の音楽が完成している。
「L-Train」のミュージックビデオは、この曲のトーンを見事に表現している。手描きのアートスタイルは、メロウでシュールな質感を持ち、このトラックが生み出すゆったりとした楽しいトーンと同時に、この曲のインスピレーションとなった「混乱と無力感」が見事に視覚化されている。