スコットランドのシンガーソングライター、Tom Walkerは、常にポピュラーソングによって人々に勇気を与える稀有な存在である。
トム・ウォーカーは、先日、パワフルなニューシングル「Number 10」を発表した。この曲は、英国政府をターゲットにしたもので、妥協のない歌詞が、政権の権力者の偽善を打ち破ろうとする。他でもない、その標的とは、現在の首相、ボリス・ジョンソンである。首相は、以前から、国民に自粛を要請しているさなか、ロックダウン中にパーティーへの参加を始めとする身勝手な振る舞いが取り沙汰された。それはここ日本でも報道されていたものである。トム・ウォーカーは、勇敢にも、英国政府に対する不信感を、このシングルであけすけに表現している。
パーティーゲート、生活費の危機、そして、多くの人々が感じている奇妙な無力感について言及したこの曲は、多くの政府に対する不信感を持つ人達に共感を呼び、英国のチャートで急上昇をはたして、現時点では11位にランクインしている。
トム・ウォーカーは、不満の雰囲気を表現して、こう歌っている。「私たちのルールはひとつ/彼らのルールはない...」。さらに、英国首相のボリス・ジョンソンの部屋は、常に「満員御礼だ」と言いはなち、ユーモアのニュアンスの込められたコーラスが鳴り響く。"東党の歌声が聞こえて来る。ああ、生活費危機なんてクソくらえ.....」と。それほどボーカルとしては過激ではなく、それらの言葉は爽やかに歌われているのも特徴である。この曲には、痛烈な政権批判が込められているにとどまらず、次にやってくるであろう世界的な食糧危機に対する警鐘を鳴らしている。又、その現状を一瞬で変えがたいものという皮肉や諦めのような思いも込められている。
トム・ウォーカーは、言葉だけではなく、実際の行動が伴う素晴らしいミュージシャンである。現在、発売中のこの曲の印税は、英国の飢餓と貧困を食い止めるため活動している英国のフードバンクに寄付される。ウォーカの行為は、腐敗した政治家よりもはるかに褒め称えるべき行為なのだ。
Tom Walker 「Number 10」 Single
Listen/Stream Official: https://tomwalker.lnk.to/number10