1957年9月15日、ジョン・コルトレーンは、ニュージャージー州ハッケンサックにあるルディ・ヴァン・ゲルダー氏のリビングルームのスタジオに入り、「ブルー・トレイン」を録音した。
この作品は、ジョン・コルトレーンがアルフレッド・ライオンと交わした握手契約の成果であり、伝説のサックス奏者がブルーノート・レコードのリーダーとして行った唯一のセッションとなった。
ブルージーなタイトル曲に象徴される歴史的傑作は、トランペットのリー・モーガン、トロンボーンのカーティス・フラー、ピアノのケニー・ドリュー、ベースのポール・チャンバース、ドラムのフィリー・ジョー・ジョーンズというダイナミックなセクステットが参加して5曲を収録した。『ブルー・トレイン』は、ジョン・コルトレーンを自然なる力の存在として確立し、史上最も尊敬され、影響力のあるジャズ・アーティストの一人になるための道筋を示したのである。
このオリジナルアルバムの録音から65周年を記念し、ブルーノートのTone Poet Audiophile Vinyl Reissue Seriesの一環として、「Blue Train」は2種類の特別版で9月16日にリリースされる。
オリジナル・アルバムの1LPモノラル盤は、豪華なゲートフォールド・チップオン・ジャケットに収められる。2LPステレオ盤、『Blue Train: The Complete Masters』には、7つの未発表テイクが収録される。そのうち、4つが未発表音源となる。また、コンプリート・マスターズ・バージョンには、フランシス・ウルフによる未公開のセッション写真、ジョン・コルトレーンの専門家であるアシュレイ・カーンによるエッセイが掲載されたブックレットが特典として付属している。
”Tone Poet Vinyl Edition”は、いずれもJoe Harleyがプロデュースし、Kevin Grayがオリジナルのアナログ・マスターテープからマスタリング、RTIで180gのビニールとしてプレスされる。『Blue Train: The Complete Masters』は、2枚組CDとデジタルコレクションとしてもリリースされる予定だ。
『ブルー・トレイン』のオリジナル・マスターテープ(モノラル、ステレオ、別テイク)を聴くことのスリルに匹敵するスタジオ体験は他では得ることが出来ない」とジョー・ハーレイは話している。「私はこの2つの新バージョンを、ジョン・コルトレーンのこの名演の決定版であると考えています」
『ブルー・トレイン』は、ジョン・コルトレーンのキャリアにおいてきわめて重要な瞬間に誕生した。1957年、ヘロイン中毒のため、マイルス・デイヴィス・クインテットを解雇され、ジョン・コルトレーンは精神的などん底にあった。しかし、その後、セロニアス・モンクとファイブ・スポット・カフェで夏の長期滞在をしたことを契機に、ヘロインをすっぱり断ち切ったコルトレーンは劇的な復活を遂げ、再び、情熱的で、神がかりの演奏をするようになったのである。
1957年の終わり、ジョン・コルトレーンは、マイルス・デイヴィスのカルテットに再雇用され、最初の代表作、本人も深く誇りに思うアルバムを制作した。この作品を自身のカタログの中で、コルトレーンはどのように位置づけているのか、それは、コルトレーンの専門家であるアシュレイ・カーンが自らのエッセイで次のように語っていることからもわかる。「ブルー・トレインは、常に、自己批判的で控えめなコルトレーンが最も高く評価する録音であった。1960年、マイルス・デイヴィスとの最後のツアー中、スウェーデンのDJがコルトレーンに、彼のカタログの中でどの作品が一番好きかという質問に対して、コルトレーンは即座に答えた。『ああ、自分はブルートレインが好きだよ。いいバンドが入ってるんだもの。いい録音だったな」と。
John Coltrane – Blue Train: The Complete Masters
Label: Blue Note
Release: 2022年9月16日
Side A
Blue Train (Coltrane) – 10:43
Moment’s Notice (Coltrane) – 9:10
Side B
Locomotion (Coltrane) – 7:14
I’m Old Fashioned (Kern-Mercer) – 7:58
Lazy Bird (Coltrane) – 7:07
Side C
Blue Train false start * – 0:21
Blue Train alternate take 7 * – 7:09
Moment’s Notice alternate take 4 * – 7:19
Side D
Lazy Bird alternate take 1 – 9:22
Blue Train alternate take 8 – 10:27
Moment’s Notice alternate take 5A (incomplete) * – 5:08
Lazy Bird alternate take 2 – 7:29
*previously unreleased
John Coltrane, tenor saxophone
Lee Morgan, trumpet
Curtis Fuller, trombone
Kenny Drew, piano
Paul Chambers, bass
Philly Joe Jones, drums
Original Session Produced by ALFRED LION
Recorded on September 15, 1957, at Van Gelder Studios, Hackensack, New Jersey
Recording Engineer RUDY VAN GELDER
Cover Design by REID MILES
Photography FRANCIS WOLFF
LP Supervision by JOE HARLEY
LP Mastering by KEVIN GRAY, Cohearent Audio