PVA デビューアルバム『Blush』をNinja Tuneから10月14日に発売

 

PVA Via Ninja Tune Official Profile
 

 サウスロンドンのトリオ、PVAが今年10月にデビューアルバム「Blush」をNinja Tuneよりリリースする。(特集記事はこちら)


PVAは、Ella HarrisとJosh Baxter(ボーカル、シンセ、ギター、プロダクション)、Louis Satchell(ドラム、パーカッション)で構成されている。

 

デビュー・アルバムとなる『Blush』は、アシッドハウス、ディスコ、エーテル系シンセサイザー、ポストパンクを組み合わせた個性的な作品となっている。


この新作アルバムは、Big Dadaからリリースされた2020年のEP『Toner』のフォローアップとなる。10月14日のリリースに先立ち、『BLUSH』のプレオーダーが開始されています。ここで、このサウスロンドンの新星、PVAの経歴、このデビュー作完成までの大まかな経緯を以下にご紹介します。

 

 

 ニンジャ・チューンからリリースされるサウスロンドンのバンド、PVAの素晴らしいデビューアルバム『BLUSH』は、エレクトロニックミュージックの鼓動と人生を肯定するライブギグのエネルギーを巧みに統合し、これまで語られてきた以上のトリオの姿を明らかにするものとなるだろう。



エラ・ハリスとジョシュ・バクスター(リード・ボーカル、シンセ、ギター、プロダクションを担当)、そしてドラマーとパーカッショニストのルイス・サッチェルによる11曲は、アシッド、ディスコ、強烈なシンセ、ダンスフロア、クィアコード・シュプレヒゲサングのポストパンクで構成されている。



この緊密なトリオは、ハリスとバクスターが2017年に一緒に「カントリー・フレンド・テクノ」と名づけたものを作り始めたことから始まった。最初の曲のひとつは、ハリスが自分の夢を新しいバンドメイトに口述したことから生まれ、最初のライヴは、ニュークロスのThe Five Bells pubで行われたNarcissistic Exhibitionismという伝説の一夜であり、彼らが出会ってからわずか2週間後に開催された。このショーはエラ・ハリスのキュレーションによるもので、2階は絵画、彫刻、写真、1階はバンドがフィーチャーされていた。彼女は、PVAをヘッドライナーとしてブッキングした。

 


 この初期の段階を経て、彼らはライブショーに新しい次元をもたらすためにルイス・サッチェルを採用した。このように、より硬派なライブを行うことで、PVAはロンドンのギグファンの間でカルト的な評判を確立した。その時点ではライブをおこなことが彼らの唯一の選択肢であった。トリオは、Squid、black midi、Black Country、New Roadと並んで、南ロンドンの熱狂的なインディー・シーンにおける最重要アーティストとしての地位を確立する。その後、「SXSW」、「Pitchfork Music Festival」、「Green Man」に出演し、Shame、Dry Cleaning、Goat Girlと共に国内ツアーを行うようになった。だが、初期の段階から、従来のバンド編成の枠を超えた存在であることは明らかだった。ブリクストンのスウェットボックス「The Windmill」と、デプトフォードの地下クラブ「Bunker」で早朝からDJをする彼らを一晩で2回も見ることも珍しいことではなかったという。



彼らは、2019年末、Speedy Wundergroundからデビュー・シングル「Divine Intervention」をリリースし、その1年後には、Young FathersやKae Tempestといった同様に、イギリス国内の象徴的なアーティストが所属する”Ninja Tune”からデビューEP「Toner」をリリースしている。このEPには、ムラ・マサの「Talks」のリミックスが収録されており、2022年のグラミー賞のベスト・リミックス・レコーディング部門にもノミネートされた。



デビュー・アルバムでは、ライブ・サーキットのエネルギーをそのままに、テクスチャーとハートに満ちたホリスティックな世界を構築する。『BLUSH』は、重厚なパンチを放つインダストリアル・サイズのビート、パンク・スピリット、エラ・ハリスの詩的な歌詞による静かな瞑想の瞬間に溢れている。Portishead、PC Music、Laurie Anderson、カルト的なレイブポップデュオ”The Pom-Poms”などの影響を簡単にリンクさせながら、全編を通して疲れを知らずに疾走している。



ドラムのルイス・サッチェルは、「僕たちは人々を驚かせたかったし、ギグで自分たちの音を伝える以上のことをしたかったんだ」と説明する。

 

「このアルバムは、精神的な問題に関連することもあるけど、アルバムを作る上での日常的な不安もあるんだ。不安定な道のりだったけど、いつも自分たちを奮い立たせているんだ」

 

期待に応えようとするグループの音であり、トリオは新しい可能性の世界を開くアルバムを提供する。

 

音楽が簡単にカテゴライズされないことは、PVAにとってごくごく普通のことで意図することではないかもしれないが、『BLUSH』はバンドの世界の他の要素をこれまで以上に明確にしている。過去2年間、エラ・ハリスは、”Lime Zoda”としてソロ活動を行い、2冊の詩集を執筆したが、その多くはPVAのデビュー・アルバム『BLUSH』の歌詞のベースとして使用されたものである。


 デビューアルバムのオープニングを華々しく飾る「Untethered」は、「制限的で閉鎖的なストレートな関係の中にいること」について歌われているという。

 

「基本的には、男らしさに対する本当にイライラした怒りと、そのヘテロ規範的な状況から自分を解放して世界を探求することができないことへの憤りを表現している 」とバンドのエラ・ハリスは説明している。一方、「Untethered」は、そのような解放を達成したことから生まれた祝福の瞬間ともいえる。


この曲には、静止していることが不可能になるような流動的なエネルギーに満ちていて、ここに表現されているーー移行、喜び、ネガティブな状況のリフレーミングーーというテーマは、このデビュー作『BLUSH』全体に通底するものである。 エラ・ハリスはロックダウンの期間、数多くのセラピーを受け、人生の多くの大きな状況に折り合いをつけた。

 

「私は自分自身をより幸せに感じていて、それは曲にとっても本当に重要なことでした」と彼女は言います。



これは、もうひとりのメンバーであるジョシュ・バクスターも同じ思いを共有している。「僕は、エラを通して、様々な形で自分のクィアネスをのびのびと表現することができる」彼は「Bunker」とインダストリアル・バンガー「The Individual」の両方のトラックでボーカルを担当しており、これは、アイデンティティと自分自身の中に見えるキャラクターを扱った曲となっている。

 

「このアルバムは、私たちが人間としてどのような存在であるかを探求しているんだ」とジョシュ・バクスターは言う。

 

「僕たちは皆、個人的な成長をしてきたし、このアルバムは僕たちがもっと自分らしくいられるように、そしてそれに心地よくなれるようにということを歌っているんだ」


 

 サウスロンドンは、ラップを始め、パンク、インディーロック、エレクトロニック、おそらくイギリスの中でも最も活発なシーンが形作られており、多くの若い才覚あふれるアーティストがシーンへの登場の機会を虎視眈々と伺っている。まさしく、どれほどディグしようとも探し尽くすことは難しい才能の宝庫のような場所、サウスロンドンからデビューアルバムをリリースするトリオ、PVAにぜひとも着目したいところである。


ニンジャチューンからリリースされるデビュー・アルバム『BLUSH』は、ロックダウン中に書かれている。たしかに、この苦難多き時代は、ステージでのライブで自分たちのサウンドの限界を見いだそうとするバンドにとり大きな試練の時であった。だが、逆境は、PVAを凌駕しない。PVAは、逆境を常に凌駕する存在である。それは、抜きん出た才覚を有する彼らにとって、サウスロンドンの最深部から劇的なデビューを果たすため、”爪を研ぐ期間”---自分たちのソングライティングを磨きそれを強化するための期間ーーに過ぎなかったと言える。






PVA 『Blush』

 

 
 
Label: Ninja Tune
 
Release:  2022年10月14日 
 


Tracklist:

1. Untethered
2. Kim
3. Hero Man
4. Interlude
5. Bunker
6. Comfort Eating
7. The Individual
8. Bad Dad
9. Transit
10. Seven (feat. Tony Njoku)
11. Soap