Ryuichi Sakamoto : Music Smash公式ホームページより |
坂本龍一のピアノ・ソロ・コンサートの映像が、12月11日から12日にかけてチケット購入者にのみ配信されることが分かった。この60分間に及ぶ配信は、2020年に行われた坂本龍一のNHKの伝説の509スタジオでのソロピアノのライブ・パフォーマンスにより構成されている。
本配信は、日本国内、ドイツ、フランス、スペイン、ポーランド、イギリス、台湾、韓国、香港、マカオ、シンガポール、タイ、インドネシア、フィリピン、オーストラリア、ニュージーランド、アメリカ、ブラジル、カナダで行われる。中国本土の配信については未定であり、現在調整中とのことです。
チケットは、10月25日から12月12日にかけて販売される。詳細は下記よりご確認下さい。この配信に関し、日本の編集者、元Go Japanの編集長の鈴木正文氏のコメントが寄せられています。
2022年12月11日、坂本龍一のピアノ・ソロ・コンサートが、世界に向けて配信される。
日付が1日ちがうだけの2年前、すなわち2020年の12月12日、コロナ禍の、視界不良のトンネルをさまよっていた世界に向けて、坂本は、東京のスタジオで、無観客のピアノ・ソロ・コンサートをおこなった。ライヴストリーミングされたその映像は、しかし、アーカイヴ化されることはなかった。
ことしの12月11日の配信は、それゆえ、2年ぶりに私たちのまえに帰還した「演奏する坂本龍一」の姿を、私たちに見せることになる。
その日に私たちが視聴するのは、前もって、1日に数曲ずつ、ていねいに収録された演奏とその映像を、十分な時間をかけて編集したものになるという。
「ライヴでコンサートをやりきる体力がない――。この形式での演奏を見ていただくのは、これが最後になるかもしれない」と、坂本は語る。前にはできたことがいまはできなくなっているという「現実」を、そのようなものとしてそのまま受け容れ、呑み込んだうえで、坂本はその「あたらしい現実」に立脚して、みずからのあらたな能動性と積極性を、引き出そうとしているのではないか。
じっさい、今回の「コンサート」は、それを可能とする条件をそなえている。
ひとつには、今回の演奏スタジオが、NHK の、伝説の509スタジオである、という事実。坂本が臆せず、「日本でいちばんいいスタジオ」と折り紙をつける東京・渋谷の、NHK放送センターの509スタジオで、十分な時間をかけて演奏が収録されている。
そしてもうひとつには、これを機会に、主要メンバーをニューヨークから招集した映画制作チームが結成され、かれらは、たんに配信映像をつくるためだけでなく、のちに別に編集する予定の「コンサート映画」のためにも、「演奏する坂本龍一」を丹念に撮影している。
いずれも、「ライヴでコンサートをやりきる体力」が坂本にあったとすれば、現実化しなかったことにちがいない。
配信は、約60分の509スタジオでのパフォーマンス本編からなる。
また配信と同日、全2回、109シネマズのプレミアムサウンドシアター「SAION」でライブビューイングも開催される。そこでは、最上の音で、坂本龍一の演奏を楽しむことができるであろう。
文:鈴木正文
配信チケットの詳細は、Music Slashの公式ホームページより: