©Nate Lemuel |
米国/ポートランドを拠点とするシンガーソングライター、Katherine Paulによるプロジェクト、Black Belt Eagle Scoutがニュー・アルバム『The Land, The Water, The Sky』を2/10にSaddle Creekからリリースします。この次回作は、2019年の前作『At the Party with My Brown Friends』に続く3rdアルバムで、Katherine PaulとTakiaya Reed による共同プロデュース作です。
このアルバムには、新しく発売となったニュー・シングル「My Blood Runs Through This Land」、及び、10月にリリースされた先行シングル「Don't Give Up」が併録されます。以下、ニュー・アルバムの作品紹介です。
この土地は、キャサリン・ポールの血を受け継いでいる。そして、それは彼女に呼びかけた。夢の中で、彼女は川を、祖先を、そして故郷を見たのだった。土地が呼べば、あなたは耳を傾ける。そして、キャサリン・ポールは、世界が傷つき、癒しを必要としている集団的トラウマの時代に、先祖の土地から遠く離れている自分に気づいた。2020年、彼女はポートランドからスカジット川へ、霧に包まれて高くそびえる杉の木へ、干潟や山々へ、スウィノミッシュへ戻る旅に出たのだ。
先祖代々の土地に戻ることは力強いことだが、その旅は往々にして容易ではない。サケが潮流にもまれるように、潮が岸に這い上がってくるように、この物語は「帰還」の物語である。それは、呼びかけと応答。先人たちが手を広げ、彼女を家に迎え入れる。『The Land, The Water, The Sky』は、血統と強さを讃える。孤独と悲しみ、植民地時代の暴力と苦痛に満ちた世界に対する苛立ちが最も深い瞬間であろうとも、この歌は、私たちがゆっくりと波や木々の間を通り抜ける風に耳を傾ければ、呼吸することを思い出すだろう、と私たちに気づかせてくれるのだ。
どの曲にも物語があり、知識と教えを思い出し、知恵が受け継がれ運ばれている。海に捧げられたセドナの再創造、犠牲と人間性、何かを教えるために働く物語を持つことの意味についての美しい考察がある。
悲しみと孤独の瞬間から生まれたコード進行は、水平線に沿って青く浮かぶ島々へと変化していく。セイリッシュ海は、彼女の故郷に沿って湾曲しており、シンガーはこの水に近づくと、祖母が同じ島々を眺めていたことを思い出し、精神と記憶に抱かれるのだ。
『The Land, The Water, The Sky』は、暗闇と光の中で浮き沈みするが、最もメランコリックな瞬間でさえ、決して絶望的であるとは限らない。それが、故郷に帰ることの素晴らしさなのである。先祖代々の土地に立つと、一人になることは不可能。自分を支えてくれる腕と手を感じ、悲しみや見捨てられに落ち込まないようにする。Katherine Paulは、その抱きしめられる感覚を歌に託している。すべての音に、彼女は土着の強さと癒しへのラブレターを書いている。
川沿いの小道を歩き、砂や石を足下に感じることで得られる喜び、激しい至福がここにある。彼女の祖先が同じ土地を歩き、同じ水に手を浸し、同じ杉の木の皮に指先を走らせたことを知ることで得られる誇りと確信・・・。
これは、帰還への喜びを綿密に描いた、一連なりの希望のストーリーである。しかし、キャサリン・ポールの帰路は一人ではなく、愛する人や親族が一箇所に集い、まるで楽しいパーティーのようである。そして、歌は、私たちに、この土地を歩かせ、イメージや美しさ、このアルバムが特定の土地であることを示す瞬間に目を向けさせる。この土地の持つパワーは、狭い水路、筆の跡、サーモン・スティンタ、そして、何より、癒しの物語として、全体に織り込まれている。このアルバムに身をゆだねてみてほしい。それは贈り物であり、歓迎されるものなのである。
Black Belt Eagle Scout 『The Land, The Water, The Sky』
Label: Saddle Creek
Release Date: 2023/2/10
Tracklist:
1. My Blood Runs Through This Land
2. Sedna
3. Salmon Stinta
4. Blue
5. On the River
6. Nobody
7. Fancy Dance
8. Sčičudᶻ (a narrow place)
9. Tree Line
10. Understanding
11. Spaces
12. Don’t Give Up