Elon Musk/Jack White |
ジャック・ホワイトは、今年、ソロアーティストとして二枚のアルバムをリリースし、アーティストとして最盛期を迎えています。そして、ホワイト・ストライプス時代については定かではありませんが、近年、ホワイト氏は、政治的な発言を積極的に行っています。2022年前半には、レーベルオーナーとしてレコード生産の遅滞について、その後、連邦最高裁が「ロー対ウェイド裁判」の判例を覆した中絶禁止についても活発な発言を行っています。今年、ジャック・ホワイトはサマーソニックで来日公演を行い、日本テレビにも出演し、パフォーマンスを行い、サービス精神旺盛な気前の良いプロアーティストらしい姿を見せてくれました。しかし、ホワイトは、少なくとも、アメリカ国内での問題については思想的な一面を持ち、その発言は過激な様相を呈する場合もあるようです。
今回、ジャック・ホワイトは、世界的な関心事となっているTwitter買収騒動に際し、CEOのイーロン・マスクに厳しい言葉を投げかけたことで、大きな話題をもたらしています。
ホワイトは、特に、1月6日の議会襲撃事件後に停止されたドナルド・トランプの公式アカウントを投票を通じて復活させるというイーロン・マスクの決定に怒りを示しており、抗議代わりの内容のコメントを公開し、同時に、ホワイトは、自身が主宰するサードマン・レコーズの公式Twitterアカウントも停止させるという行動に出たのです。
ジャック・ホワイト氏の意見では、Twitter社が虚偽のコメントに対して以前のような検閲を行わないこと、虚偽を野放しにしておくこと、ほかにも、巨額の投資をしておきながら、現時点では、その投資金に見合うプラットフォームの水準に達していないことに、激しい嫌悪感と怒りを示しています。
Instagramのコメントを見るかぎりでは、ジャック・ホワイトは、未だ1月6日の議会襲撃事件に対し、激しい嫌悪を示している。元来、上記の写真を見ても瞭然ですが、テスラ社の時代、両者は友好関係にあった。しかし、その怒りの矛先が、今回、Twitterを買収しマキャベリストとも言える社内の大刷新を行うマスク氏に向かい、両者の良好であった関係に亀裂が入り始めているようです。ジャック・ホワイトは、今回のトランプ氏のアカウント復活について、政治的な介入であると断定づけたにとどまらず、アメリカ合衆国の「デモクラシーの危機」と警鐘を鳴らしているのです。
また、ジャック・ホワイトは、メッセージの中で、Twitter社が政治的資金を獲得するため、経営方針を転換させたと指摘、さらにアメリカの秘密結社の”KKK”を支援を受けていると暗示的に揶揄している点は、様々な憶測を呼ぶことになるかもしれません。
Twitterの公式アカウント復活に関して、現時点で、当事者のドナルド・トランプ氏は、自身のソーシャルメディア「Truth Social」を保有していることもあってか、この復活騒動とは距離を取り、「Twitterに興味はない」とコメントしています。イーロン・マスク氏が、Twitter社のCEOに就任し、大規模なレイオフを断行した直後、複数の世界的な企業がこのプラットフォームに広告掲載を取りやめたことは周知の通りですが、今後も引き続き、イーロン氏の企業方針に対する反論が強まる可能性が出てきました。
ジャック・ホワイトがイーロン・マスクに宛てた抗議のInstagramのメッセージの全文は以下の通りです。
「トランプにツイッターのプラットフォームを返したのか。まったくうんざりだ、イーロン。これは公式に愚かな行動です。なぜ本当のことを正直に言わないのでしょう?
あなたやジョー・ローガン(アレックス・ジョーンズのような嘘つきにプラットフォームを提供する)のような人々は、大金を手に入れ、税金の請求書を見て、公平に支払うことを軽蔑し、そして、テキサスに引っ越して、どんな共和党でも支持すれば、富を維持できると考えているのでしょう。(トランプは、何度も暴力を煽り、彼の嘘とエゴの結果、人々が死んだり怪我をしたりし、ツイッターから削除された。民主主義と国会議事堂を破壊しようとするクーデターはさておき・・・)
それは「言論の自由」でも「世論が決めたこと」でもなく、あなたが主張するようなナンセンスなことでもないはずです。つまり、民主主義そのものを危険にさらしてまで、あと何億円必要なのでしょう?
あなたはテスラで多くの素晴らしいことを成し遂げてきました。イーロン、あなたはその部門で多くの賞賛に値します(私は、個人的にそのベンチャーの革新性をこれまで支持していました)。
しかし、あなたは行き過ぎた、恐ろしい、暴力を誘発する虚偽、国家や世界を後退させると、最初の場所であなたを豊かにして成功した民主主義を危険にさらす行為を後押しするためだけに、自らの権限を行使しているように思えます。私は、言論の自由を信じていますが、たとえば、私たちのレコード会社の公演ステージで、KKKに集会を開かせるわけにはいかないのです。
それは、私たちがコントロールし、発言権を持つプラットフォームのひとつで、政府が運営するタウンスクエアではないんです。(同じように)仮に、私がガソリンスタンドを経営していたとしても、KKKに十字架を燃やすためのガソリンを売ったりはしないし、憎しみを助長することに手を貸さなかったかのように手を洗ったりもしない。あなたが購入したものは社会に対する大きな責任を負っており、「言論の自由」はそのことからあなたを守る傘とはなりえません」