Hollie Kenniff  新作アルバム『We All Have Places That We Miss』を発表 Western Vinylから2月10日に発売


Hollie Kenniff(ホリー・ケニフ)は、新作アルバム『We All Have Places That We Miss』を発表した。この内、3つの収録曲には、夫のキース・ケニフ(Goldmund)がピアノで参加している。ニューアルバムは2023年2月10日に、テキサスのレーベル、”Western Vinyl”から発売される予定だ。この新作から2曲のシングルのMVが公開されています。下記よりご覧ください。

 

ホリー・ケニフは、2019年に最初のアルバム『The Gathering Down』をn5MDよりリリースし、昨年に2ndアルバム『The Quiet Drift』をリリースし、アンビエント・ギターの新たな領域を切り開こうとしている。ギターのトレモロを薄く幾重にも重ね、トラックに深いリバーブをかけ、空間的な広がりや奥行きを作ることにより、緻密なドローン・ミュージックを構築する。

 


『We All Have Places That We Miss』で、ホリー・ケニフは回想の世界へと歩みを進め、人生の時間が経過するにつれて失われた、半ば記憶された故郷に纏わる懐かしく悲劇的な痛みを訪ねようとする。10代の曖昧な言葉で飾られる祖父母の薄暗いリビング・ルーム・・・、既に歩いたのか夢だったのかでさえ定かでない小道の傍らにある寂しげな空き地・・・、生まれる前に撮影された映像の穏やかで幽かな光・・・、彼女はそれらのおぼろげな記憶をこの作品制作を通じて探し求めようとしているのだ。


アルバムは 「Shifting Winds」で始まり、すぐに「Salient」に移り、感情的な序章を形成し、Kenniffのボーカルとピアノに反響するギターノートを包み込む。ホリーの夫であるキース・ケニフのピアノの音色に包まれた「Eunoia」は、感覚的な音楽を重んじようとするホリー・ケニフの美学をより確固たるものにしている。この曲は、感傷を遠ざけないで、それを真正面から受け止めようとする2人の性質の共通点を見事に体現しており、安易なスウィートネスを上手く回避しつつ、深い感動を巻き起こそうとする。 

 

 「Shifting Winds」

 

 

 

 さらにアルバムの中盤に収録されている 「Momentary」は、デジタル化されたヴォーカルと流動的なシンセサイザー・シーケンスの融合によって、『We All Have Places That We Miss』の宇宙的な側面を表現しようとしている。

 

「Carve The Ruins」では、このアルバムで唯一パーカッションが使われ、コーラス的なギターの下に柔らかく低いキックドラムが響く。この瞬間、アルバムのゴージャスなニューエイジ・テイストは、微妙に不穏な領域へ移行し、時間の経過によってもたらされる難しい感情を伝えるために必要なエッジをもたらすことに成功している。 

 

  「Carve The Ruins」

 

 

ホリー・ケニフは、幼少期からパンデミックの発生まで幾度となく訪れたという思い入れのあるオンタリオ州の湖について、「これらの場所の風景や生活のペースは、いつも私の心に残っています」と語る。この時、ケニフは家族が何世代にもわたって住んでいた故郷を手放すという難しい決断を下したのだった。「大切な場所を失っている人がいかに多いか、私は考えた。悲しみは時に孤立感をもたらし、自分にとって重要な場所の喪失を嘆いているように感じられた」

 

これらのことを念頭に置き、『We All Have Places That We Miss』は、スクラッチされたポラロイドを音の力で立体化し、現在の曖昧なレンズを通し、逆に過去の確かな記憶を呼び覚ます。


このアルバム製作時のインスピレーションとなったオンタリオ州の湖畔の隠れ家は、ホリーが語るように、家族の歴史が詰まった神聖な場所である。彼女の祖父母の時代に建てられたというこの湖畔のコテージで、彼女の両親は10代の頃に出会った。現在、ホリー・ケニフの父親は、その場所から少し離れた地中に埋葬されているという。昨今、ケニフは、自分の家族の面倒を見ることになり、生命の営みを以前より強く感じるようになった。それは実際の音楽制作にも感覚的な側面で影響を及ぼしている。「あの湖を訪れるたび、父の存在が未だそこにあるように感じ、子供たちは父がどこよりも愛した場所を経験したのだと思う」と彼女は説明している。


この新作アルバムの多くは、ホリー・ケニフが貧血による慢性的な不眠症に悩まされながら、ほとんどのトラックが早朝に制作された。

 

しかし、彼女はそのことにより、目覚めと眠り、記憶と歴史、そして、生と死の狭間の境界をより深く丹念に追求することが出来たのだった。「We All Have Places That We Miss」は、この中間の幽かな領域と、その中で明らかにされる複数の概念、時、死、喪失、成長、愛、憧れについて直接的に物語ろうとする「オーディオ・ストーリー」となっている。ホリー・ケニフは、このような、手の届かない場所への理想的なガイドであることを証明しようとしている。



Hollie Kenniff  『We All Have Places That We Miss』




 
Label: Western Vinyl

Release:2023年2月10日
 
 
Tracklist:
 
 
1.Shifting Winds
2.Salient
3.Eunoia ft. Goldmund
4.Momentary
5.Start Where We Are
6.No End To The Sea
7.Carve The Ruins
8.Amidst The Tall Grass
9.Between Dreams ft. Goldmund
10.This Division
12.Remembered Words ft. Goldmund