昨日、ジャック・アントノフが提起したコンサート問題は今後、さらに多方面に波及していく気配があります。アントノフはアーティストに対する正当な報酬が支払われないことを是正してほしいとグラミー賞でメディアに対して訴えたわけですが、どうやらテキサスの大規模なミュージックフェスティバル、サウスバイサウスウエストも同様の根深い問題を抱えているようです。
ローリング・ストーンの親会社ペンスキー・メディア・コーポレーションが2021年にMCRエンターテインメント(ビルボード、ハリウッド・レポーターなど)と共同で株式の過半数を取得したSXSWは、近年同額のアーティスト報酬を提供しています。
SXSW: 3日10から19日にかけてテキサス州オースティンで開催される |
しかし、報酬の内約は国内のアーティストには250ドルの支払い(ソロアーティストとデュオは100ドル)、またフェスティバルのリストバンドの選択肢しかなく、海外のアーティストには支払いが提供されていないようです。この点について国内および海外のアーティストに対して同等の報酬があって然るべきとの指摘がなされています。
ミュージシャンのための支援団体、UMAWの主催者、Joey La Neve DeFrancesco氏は声明を公式サイトで発表しています。彼は次のように述べています。「過去10年間でツアーにかかる費用全般が高騰していますが、SXSWはアーティストに対して同様の取引を続けてきました。このテキサスのフェスティバルは年々拡大成長を続けており、オースティンに何億ドルもの利益をもたらしていることを公にしています。ところが、フェスティバルの屋台骨であるアーティストたちは不当に扱われ続けているのです」と批判しています。さらに同ホームページには以下のような公式書簡が掲載されています。
UMAWからSXSWへの公開書簡の全文
1987年にSXSWが始まって以来、ミュージシャンはフェスティバルの屋台骨であり、主要な呼び物となってきました。しかし、SXSWが過去30年以上にわたって常に利益を上げ、プログラムを拡大し続けてきたにもかかわらず、フェスティバルで演奏するミュージシャンは、低賃金、高い申請料、その他の侮辱によって搾取されてきたのです。
少なくともこの10年間、SXSWは出演アーティストに、リストバンドでフェスティバルに参加するか、250ドル(ソロアーティストの場合は100ドル)の一時金を受け取るかという、不当な報酬の選択肢を提示してきました。国際的なアーティストにはこの選択肢すら与えられることはなく、リストバンドが提供されるだけで、報酬はない。
SXSWは、2012年以降、このような低賃金を維持する一方で、申請料を定期的に値上げしてきました。例えば、2012年は40ドルだったが、現在は55ドルであり、37.5%の値上げとなっている。高騰するインフレを考慮せずとも、こうした賃金の停滞及び料金の上昇は、過去10年間におけるSXSW出演者の賃金の実質的な減少を意味している。
もうこれで十分です。SXSWを築き上げてきたのはアーティストなのですから、自らの仕事に対して公正な報酬を受けとらなければなりません。署名アーティストは、SXSWに対して以下の事項を要求します。
1. ショーケースの出演料を250ドルから最低でも750ドルに引き上げること。(これは、フェスティバルに参加するためのミュージック・バッジ1枚分の料金よりもまだ安い金額です)。
2. 金銭的な報酬に加えて、フェスティバルのリストバンドを付けること。出演料と出演するフェスティバルへの参加のどちらかを選択するようアーティストに強いることはやめてください。
3. 海外のアーティストとアメリカ国内のアーティストに同じ報酬+リストバンドを提供すること。
4. 参加費を無料にすること。
SXSWは、オースティン経済に数億ドルをもたらすと公言しており、現在、ローリングストーン、ビルボード、バラエティ、ハリウッドの業界紙を所有するペンスキー・メディアの傘下に入っています。当該企業のCEOであるジェイ・ペンスキーは、億万長者ロジャー・ペンスキーの息子で2億5000万ドルの資産家であるとも言われています。同フェスティバルには世界中から著名な政治家や企業家が集い、ハイレベルなスピーチやパネルディスカッション、ネットワーキングを行う。しかしながらSXSWは、企業の屋台骨を支えるアーティストを不当に扱い続けています。私たちは改めてミュージシャンに公正な報酬を要求します。