テリー・ライリー、88歳の米寿を祝うバースデー・コンサートが6月24日に水戸芸術館コンサートホールATMで開催

 

 
昨年、フジロックフェスティバルに最年長で出演したミニマル・ミュージックの音楽家、キーボード奏者、テリー・ライリー氏が水戸芸術館で88歳(米寿)のバースデーを記念するイベントを開催します。昨年のフジロック公演では、宮本沙羅とともに素晴らしいパフォーマンスを行いました。
 
 
現在、テリー・ライリー氏は山梨に在住し、定期的に小規模のワークショップを開催しています。これらのワークショップはどなたでもご参加いただけますが、定員の上限を設けて開催されます。地元のお寺などで開催される場合もあるようです。
 
 
テリー・ライリー氏は、スティーヴ・ライヒ、フィリップ・グラスと並んでミニマル・ミュージックの元祖とも称するべき音楽家。特に、上記2人の音楽家とは異なり、インドのラーガ音楽に触発されているのが特徴です。彼はパンデミック時に来日しており、ロックダウンのため帰国が困難となりましたが、以後、日本に定住しています。今年88歳の誕生日を迎えるライリー氏ですが、ボーカルを交えたキーボードの即興演奏におけるクリエイティビティは未だ衰えを見せません。
 
 
テリー・ライリー 88th バースデイ・コンサートは水戸芸術館コンサートホールATMにて6月24日(土)17:00から開催されます。ぜひ、テリー・ライリーさんのファンは演奏と共に彼の誕生日をお祝いしてみてはいかがでしょう。コンサートは16:30に開場、17:00開演、18:00に終演予定となっています。東京からの日帰りも可能です。
 
 
本イベントの詳細は下記の通りです。



マックスがあるわけではない。

始まりと終わりは、たしかにある。けれど、始まる前からすでにどこかで始まっていたようでもあり、終わってもまだどこかに漂っているような、まるで大気のように、雲や星空のように、私たちを包む音楽。コンサートのプログラムやセットリストすら決まっていないこともある。

テリー・ライリーの音楽を聴くことは、その響きのなかに身を浸し、流れのなかに自分を同化させるような体験ではないだろうか。

たとえば、ミニマル・ミュージック初期の傑作で、ライリーの代表作となった〈In C〉(1964)の、反復パターンの重なりとずれによって少しずつ変化していくハ調のヘテロフォニー――彼は星空にインスピレーションを得てこの作品を作ったという。あるいは、テープの録音/再生システムを活用して作られた〈A Rainbow in Curved Air〉(1967)などに聴かれる催眠的な反復パターン。それらの響きに包まれて、私たちは忘我の境地にいざなわれるだろう。
1970年代以降、ライリーはインド古典音楽ラーガに傾倒し、創作においてもさらに自由な即興性が開花することになった。楽譜に書き記されることなく、純正調の音律や旋法の響きをもとに、何十分も、ときには何時間も、即興で奏でられる音楽。自分以外の人や団体が演奏するための曲でさえも、基調にあるのは彼自身の即興演奏であるという。80年代以降には、親交の深い演奏団体とのコラボレーションからも充実した作品が生まれている。
なかでも、NASAの委嘱により、アメリカを代表する弦楽四重奏団クロノス・クァルテットのために作曲された〈Sun Rings〉(2002/収録アルバムがグラミー賞受賞)は、特に注目を集めた一作であろう。
 20203月、アートプロジェクトで佐渡島を訪れていたライリーは、新型コロナウイルス感染拡大にともなうニューヨークとカリフォルニアのロックダウンにより、突如、帰国不能の事態に陥った。ライリーは日本移住を決断。現在は山梨県で暮らし、今も日々キーボードを弾き、歌い、作曲する生活を送っているそうだ。

2023624日、ライリーは日本で4度目の誕生日を迎える。日本の空や風景は、彼にどんなインスピレーションを与えているのだろうか。

88歳。ライリーの米寿を言祝ごう。
 
「鍵盤の数と同じになるね」と、彼は微笑んだという。
 
 
 
 テリー・ライリー 88th バースデイ・コンサートの詳細は下記よりご確認下さい。