©︎JJ Geiger |
TIME誌がWoman Of The Yearを発表し、実業家からスポーツ選手まで様々な分野で活躍する女性が選出された。その中にロックシンガーのフィービー・ブリジャーズが選ばれている。
これはTIME誌の記者が近年のロックシンガーのソーシャル・メディアでの活動や、ステージでの発言を高く評価したことによる。特に、昨年、フィービー・ブリジャーズは、ロー対ウェイド裁判の判例が最高裁で覆されたことに怒りを示し、女性の権利保護に対する意見を表明したことで知られる。TIMEはフィービー・ブリジャーズの取り組みについて以下のように説明している。
「ブリジャーズは、何かを気にかけるなら、それを守るのは自分の責任と考えている。ジャクソン女性保健機構の判決案が流出した翌日、ブリジャーズは2021年10月に中絶したことをTwitterに投稿し、寄付を受け付けている基金のリストへのリンクも掲載した」
また、TIMEはこうしたソーシャルメディアの発言にとどまらず、実際のライブステージで女性の中絶禁止や、トランスジェンダーへの支持、警察の権力濫用に対する私見をMCを通じて訴えていることに関しても次のように評価している。
「翌月、ロー・ヴァー・ウェイドが正式に覆されると、彼女はグラストンベリー・フェスティバルで数千人の観衆を前に、"F-ck the Supreme Court "と唱和した。このような直接的な発言は彼女にとって目新しいことではなく、これまでにも自分のプラットフォームを使って、反対する政治家に対して発言し、警察廃止を訴えたり、トランスの権利を支持することを表明してきました」
また、大統領選に関しての行動もTIMEは次のように評価している。「2020年の大統領選の日、彼女はドナルド・トランプが負けたら、グー・グー・ドールズの『Iris』をカバーするとの約束をツイートしていた。ジョー・バイデンの当選が確定した後、彼女はマギー・ロジャースと録音したこの曲をドロップし、すべての収益をステイシー・エイブラムスの投票権獲得団体に向けた」
また、TIMEはロックアーティストの曲が現代の米国社会を象徴する内容により表現され、若者の心に寄り添い、勇気を与えていることを評価している。
「ブリジャースのアルバムは、しばしば崩壊しそうになる世界で青春を送る人々に、カタルシスを与えるサウンドトラックを提供する。メローな曲から爆発的な曲まで、心に響く曲を通して、彼女は圧倒的な時代に生きることに伴う悲しみ、そしてそれが人の精神的健康に与える影響を示唆している」
さらに、今回の今年の女性の選出に際して、元パートナー、ライアン・アダムスとの困難な関係にもめげることなく、秀逸なロックソングを勇敢に書きつづけたことに言及している。
「彼女の曲は、愛、喪失、成長といった普遍的な感情を語る一方、深く個人的なものでもある。彼女は、デビューアルバム『Stranger in the Alps』のブレイクスルーシングル「Motion Sickness」を、元パートナーでコラボレーターでもあるライアン・アダムスとの関係について述べた。"I hate you for what you did/ And I miss you like a little kid" という冒頭のセリフ。2019年、彼女はニューヨーク・タイムズ紙に、アダムスは "強迫観念的で感情的に虐待していた "と語っている。(アダムスはTimesに "短時間の、合意の上での交際 "だったと語っている)」
また、この個人的な人間関係を通じて書き上げられた曲の中で、一般的には隠しておきたいと思えるような内容をブリジャーズが正直に告白し、親しみやすい音楽として昇華していることに関して、TIMEは次のように称賛している。実際、記事の中には書かれてはいないものの、それらの表現の中に現代の米国社会を象徴するような内容が見いだされると同時に同世代の若者に共感と希望を与えるものであると指摘し、アーティストの実際の発言内容を引用している。
「その関係は彼女の芸術に形成的な影響を与え、人生の挑戦を受け止め、それを光にかざす彼女の能力を物語っている。
「ライアン・アダムスは私に真実を書く必要がある、それが私にとって唯一興味深いことだから、という内容の長いメールを送ってきた。そのアドバイスは、当時の彼女にとって衝撃的で、人生を変えたという。彼女の創作活動は、自分自身にさえ隠している秘密を掘り起こすことで、強力な効果を発揮する。正直であればあるほど、世界はどんどん広がっていくのです”と彼女は言う」
TIMEのWoman Of The Yearの全リスト、及び、フィービー・ブリジャーズに関する記事はこちらからお読み頂くことが出来ます。