Soccer Mommy |
カバーソングというのは簡単なようでいて難しい。原曲とかけ離れすぎても問題で、近づきすぎてもカバーの意義が薄れてしまう。その点、サッカー・マミーは今回のカバーで模範的な例を示してくれている。
ソフィー・アリソンは、インディーロックシンガーとして良質なソングライティングを続けてきたが、カバーの選曲や編曲においてもそのセンスの良さは光る。ソフィー・アリソンはかねてからシェリル・クロウを敬愛しており、その音楽性の一であるバブルガム・ポップを研究してきたというが、シェリル・クロウの2002年のヒット曲「Soak Up the Sun」をカバーしている。カラオケ・ビデオと題された映像が公開されているので、ぜひ下記よりチェックしてみてください。
「私の友人は社会主義者なの/彼はRV車の中で、いつも会議をやっている/私は彼の車のガソリン代が払えないから/ここに居座ってTVを観てる」という歌い出しは、シニカルで最高だが、その後、サビで「太陽の日を浴びてね」と続けるあたりも、ちょっと辛辣だけど、優しさもあり、かなりウィットに富んだ内容となっていることに気づく。しかし、このクロウのヒット曲は、2000年当時の時代性を顕著に感じさせるものの、その内容は全く古びていないのに驚愕する。
サッカー・マミーの最新アルバム『Sometimes, Forever』収録の「Bones」にどのような触発を及ぼしたのかを、「Soak Up the Sun」を聞きながら推測してみるのも一興だ。ワイアードなギターが甘美なメロディーラインを彩り、美麗なヴォーカルはソフィー・アリソンのヴォーカルと合致している。ソングライターは、重厚なギター・ファズと電子音で見事に曲を飾り立てている。
昨年、ソフィー・アリソンはニューヨーク・タイムズ紙の特集でシェリル・クロウのソングライティングを賞賛している。
「彼女には大ヒットした曲がたくさんあり、少なくとも私のような年齢の人間にとっては、大人になってこれらの曲を聴かないということはありえない。彼女には、難しいことを言いながらも、それを認める準備ができているように感じさせ、この難しいことを受け入れてクールになるコツがある」と。
「Soak Up the Sun」