このニューシングルには、リハーサルの終わりに、ギタリストのハリーが電車に乗る時間に合わせて40分ほどで書き上げたという信じがたいエピソードもある。「Alfred Street」は、表現すべきことがあまりにも多く、それを表現する時間があまりにも少ないというディストピア的な感覚を孕みながら、決定的な緊迫感をもって前進してゆく。
「Alfred Street」は、3分ちょっとの間に喧騒が詰め込まれており、味わい深さがある。トロンボーンが次元を滑り、きらめくポストパンクの角ばったサウンドが、広がりのあるポストロックのブレイクダウン、スポークンワードの官能性、そして高鳴るヴォーカルの巧みさへと変化していく。
7人編成のFlip Top Headは、その分厚くマニアックなテクスチャーと、複数のリード・ヴォーカルによって、実存的な暗黒とガラスの破片のようなギターの熱に取りつかれたツートーン・バンドのようだ。さらに男女のダブル・ボーカルにはニヒリズムとペーソスが漂っている。Squidのアンサンブルにも近い緊張感と熱狂性があり、またZEPのようなクールな決めが後半に訪れる。