Four Tet 新作アルバムの発表が間近?? ニューシングル「Loved」により2024年の始まりを告げる

 

©Gracia Villamil


Four Tet(ロンドンを拠点に活動するキーラン・ヘブデンによるプロジェクト)は、オウテカと並んでテクノ・ムーブメントにとって不可欠な存在。ノンリズムを特徴とする”Autechre”と同じように、アヴァンギャルドなテクノのアプローチを行うことで知られている。リズムの画期的な変革、音階の前衛性に重点を据えるフォー・テットの電子音楽には、テクノ、ジャズ、ヒップホップ、UKグライム、フォークというように驚くべき多彩なクロスオーバーが敷かれている。

 

Four Tetは、クロスオーバーが隆盛である現在のロンドンの音楽シーンの先駆的な存在であるといえるかも知れない。新曲「Loved」は、改めてプロデューサーの魅力の一端に触れるための良い機会となるに違いない。現在、ヘブデンは、新作アルバムのリリースを準備中とのことであり、今回公開された「Loved」はそのニューアルバムに収録予定とのことである。続報に期待すべし。

 

「Loved」はテクノ/ブレイクビーツの影響をもとに、ジャズの変則的なビートを織り交ぜている。しかし音楽そのものが前衛的になりすぎないのは、90年代のテクノのメロディーの懐かしさが散りばめられているのが理由。シンセのパーカッシブな効果は曲にキラキラとした輝きをもたらす。曲全般にどっしりとした安定感すら感じられるのは、経験豊富のプロデューサーの作品ならでは。Bibiloを思わせるエモーショナルな感覚が漂い、リスナーを電子音楽の幻惑に誘う。


昨年、フォー・テットのヘブデンは、単発のシングルトラック「Three Drums」をリリースし、ギタリストのウィリアム・タイラーと2曲入りのEPでコラボレーションを行ったことは記憶に新しい。