ベス・ギボンズ、ソロデビューアルバム『Lives Outgrown』を発表   5月17日にDominoから発売   

 

©︎Netti Habel

先週、予告されていた通り、ポーティスヘッドのボーカリスト、ベス・ギボンズが待望のアルバム『Lives Outgrown』でソロ・デビューを果たす。5月17日にDominoからリリースされる。


ギボンズとジェームス・フォードが共同プロデュースし、トーク・トークのリー・ハリスがプロデュースを担当。アルバムには、10年間に渡ってレコーディングされた10曲が収録されている。トニー・アウスラーによる新曲「Floating on a Moment」のビデオを以下よりご覧下さい。


『Lives Outgrow』の収録曲の中でギボンズは、自らの人生についての考察を的確に交え、とくにそれは内的な感覚が年齢を重ねるごとにどう変化していくのか、その飽くなき音楽家としての真摯な眼差しで捉えようとする。普通の人ならば見過ごしてしまうか、目をそらしてしまうテーマ、誰もが持っている人生の主題を的確な視点から捉え、ーー不安、母性、死ーーを音楽によって表現しようとする。あるいはアーティストにとって、それは内側に秘めたままではいられぬものでもある。

 

ギボンズは声明の中で、「私は希望がない人生がどのようなものかを悟りました。そして、それは、私が感じたことのない悲しみだった。以前は、自分の未来を変えることができた。でも、自分の体と向き合ったとき、体が望んでいないことをさせることはできないことがわかったんです」


このアルバムはまた、"数多くの別れの時期 "から生まれた、とギボンズは述べている。「人が死にはじめたと私は悟った。若いときは、未来の結末なんてちっともわからないのだし、どうなるかなんて皆目見当もつかない。私たちは、たぶん、これを乗り越えられるだろうし。きっと良くなるのだ、と。それでも、生きていると、消化するのが難しいような結末もある......。今、私はもう一つの終わりから抜け出して、勇気を出さなければならないときが来たんだと思う」


「Floating on a Moment」のビジュアルについて、監督のトニー・アウスラーはこうコメントしている。


「''Floating On A Moment "を初めて聴いたとき、文字通り、私をあちこちに連れて行き、万華鏡のような多彩な感情とビジョンで満たしてくれました。可能であれば、このビデオによってその精神的な流動性のようなものを捉えたかった。そもそも、ベスの作品はとてもパワフルなのです。私たちを人生の森や火の中へと導き、可能性のある未来を垣間見せてくれます。そのような声と音楽があるのならば、オープンで、どことなく思索的な映像を作らなければと思っていた」

 

「Floating on a Moment」




2nd Single  「Reaching Out」

©Netti Habel


ベス・ギボンズ(Beth Gibbons)が新曲「Reaching Out」を配信した。シンガー・ソングライターは、エイフェックス・ツインのコラボレーターであるWeird Coreと共同で、この曲のインタラクティブビデオを制作したという。以下からご覧下さい。

 

 

「Reaching Out」

 

 

3rd Single 「Love Changes」

©︎Netti Habel

ポーティスヘッドのベス・ギボンズが、待望のソロデビューアルバムを金曜日にリリースする。「Love Changes」は、壮大かつ哀愁を帯びた、ベスの曲に求めるものすべてを詰め込んだようなナンバー。 またインディーフォークを基調とした美しい曲でもある。


彼女は、このシングル曲のなかでストリングスのテクスチャに相対して、「私たちはみんな一緒に迷っている/私たちはお互いを騙している...。私たちは努力するけれど、説明できない/私たちはあるフィーリングを引き受けた/輝く瞬間/そして、ゲームは何だと言った」と歌っている。


ベス・ギボンズの新作アルバムは、最初の発表時に説明されていた通り、大掛かりな音楽や装置や舞台ではなく、ギボンズがミュージシャンとして、あるいは独立系のアーティストとして今、何が出来るかを考えたというものである。『Lives Outgrown』はタイトルにも見える通り、ミュージシャンだけにとどまらず、家庭人としての人生も部分的に反映されているのかもしれない。こういったアウトプットについては、男性よりも女性の方が向いているという気がする。女性は人生の節目で現実を見つけるが、男性は現実という名の幻想の中に生きる生き物なのだ。

 

当初は、大きな希望を叶えることが人生の醍醐味であると考えていたギボンズであるようだが、年を重ねるにつれ、それらの中にはどうにも出来ない問題や弊害も存在することが分かる時がある。若い時代に抱いていた希望の多くが幻想だったかもしれず、しかし、それは諦観とも言いがたい、納得や安堵に近い感情へと変遷していくものである。なんらかの出来事に打ちひしがれたことのない人々にとっては、あまりに救いのないようなことに思えるかも知れないが、しかし、それは同時に納得出来るポイントを見出したという、明るい意味も含まれている。

 

人生とは、結局のところ、無数の選択肢のなかで、自分や周囲との関係の中で頷けるポイントを見つけるということである。ギボンズの場合は、自分自身や人生に正直であるということだった。そのことに関してギボンズは言う。「希望のない人生がどんなものかを悟りました。それは、私が感じたことのない悲しみでした。以前は、自分の未来を変える能力があった。でも、自分の体に立ち向かっているとき、その体がやりたくないことをさせることはできなかった」 

 

このシングルには、いかなる人もいつかは体験するであろう不思議な感覚があり、浮き沈みのある人生や音楽的表現を経験したことに対して、ささやかな慈しみの眼差しが注がれている。そして、窓辺の向こうにゆっくり流れていく過去の自らの人生を見つめるような優しい感情に溢れている。それは忙しない人生の流れを止め、ほんの少しだけ時計の針を遅らせる効果がある。

 

 

「Love Changes」

 

 

今作にはシンガーソングライターとしてのキボンズの性質が反映されている。加えて、近年、ヘンリク・グレツキの交響曲、ケンドリック・ラマーの「Mother I Sober』など現代音楽やスポークンワードにも取り組んできたギボンズの音楽的な蓄積がどのように表れるかに着目したい。



Beth Gibbons 『Live Outgrown』


Label :  Domino

Release: 2024/05/17

 

Tracklist:


1. Tell Me Who You Are Today

2. Floating On A Moment

3. Burden Of Life

4. Lost Changes

5. Rewind

6. Reaching Out

7. Oceans

8. For Sale

9. Beyond The Sun

10. Whispering Love


Beth Gibbons 2024 Tour Dates:


May 27 – Paris, FR – La Salle Pleyel

May 28 – Zürich, CH – Theater 11

May 30 – Barcelona, ES – Primavera Sound Festival

May 31 – Lyon, FR – La Bourse Du Travail

Jun 2 – Berlin, DE – Verti Music Hall

Jun 3 – Copenhagen, DK – Falkonersalen

Jun 5 – Utrecht, NL – Tivoli Vredenburg

Jun 6 – Brussels, BE – Cirque Royal

Jun 9 – London, UK – The Barbican Centre

Jun 10 – Manchester, UK – Albert Hall

Jun 11 – Edinburgh, UK – Usher Hall

 

 

・Later with Jools Holland



イギリスのシンガーソングライター、Beth Gibbons(ベス・ギボンズ)がBBCの番組、''Later with Jools Holland''に出演し、先日発売されたばかりのニューアルバムの収録曲「Floating On A Moment」をライブパフォーマンスした。演奏はバンドセットで行われた、渋さのある歌声を披露した。下記よりこのパフォーマンスをご覧下さい。


ジュールズ・ホランドとのLater...(イーブン・ラター...ウィズ・ジュールズ・ホランド、旧名:Later Live... with Jools Holland、...Later with Jools Holland)は、ジュールズ・ホランドが司会を務めるイギリス音楽番組。レイト・ショー』のスピンオフ番組で、1992年10月8日から短いシリーズで放送されている。現在はBBC Twoの『サタデー・ナイト・ミュージック』ブロックの一部となっている。