Interview - Sundae May Club
長崎のウルトラスーパーポップバンド、Sundae May Clubは魅力的なポピュラーセンス、そして巧みなアンサンブルを通して親しみやすい楽曲を制作してきた。2019年に浦小雪(Gt.Vo.)、みやはら(Gt.)、ヒロト(Dr.) により結成。2020年には1st EP「Sundae May Club 1」を発表した。
その後の3年間を通じて複数のシングル、2022年には初のフルアルバム『少女漫画』をリリースし、ディストロ、レコードショップ、さらに一般的なリスナーの間で話題となった。
昨年にはニューシングル「Teenager」を発表し、バンド初となるワンマンライブ「サンデメパレード」を大阪/心斎橋にて開催した。
今年に入ってもなお、''サンデメ''の快進撃は止まることを知らない。日本の著名なアーティストが出演するbaycampのライブでファンベースを徐々に拡大させている。
今回、もっとも勢いに乗るJポップバンド、Sundae May Clubのボーカリスト、浦さんを中心に、バンドの皆さんにお話を伺うことが出来ました。そのエピソードの全容を読者の皆様にご紹介いたします。
Music Tribune: 最近のバンドの近況について教えていただきたいと思います。baycamp、ワンマンライブなど、今年はライブを中心に、大型のイベントに出演するようになって驚いています。二、三年前と比べて、バンドとして大きく変わった、もしくは成長したと実感するような瞬間はありますか?
Sundae May Club: ここ1、2年の間に大きな会場でライブする機会をたくさんいただけました。初めてのワンマンライブも行うことができて沢山のファンの人たちに観て頂きました。活動をはじめた頃は演奏でいっぱいいっぱいだったのですが、今はどうすればお客さんにとって良い日になるかを思ってもらえるように毎回みんなで話し合っています。演奏はもちろんですが1回のステージで何を伝えるかを大事にするようになったと思います。
Music Tribune: Sundae May Clubの皆さんは、長崎にいらした時、音源のリリースを行うようになったと思うんですが、結成のいきさつ、バンドの音源をリリースするに至った経緯などありましたら、あらためて教えてください。また、結成秘話、エピソードみたいなものはありますか?
Sundae May Club: 長崎大学のジャズ研で大学1年生のときに出会いました。メンバー全員がロック好きだったのでE-Rockers という軽音楽部に3人とも移って活動をはじめました。私が弾き語りでライブをしていたのを見たギターのみやはらが「バンド組もうよ!」と声をかけてくれたことがバンドを組んだきっかけです。そのあとドラムのヒロトも入れてバンドがSundae May Clubが結成されました。
音源リリースは「みんなにバンドを聴いて欲しい!」と思い、サークルの練習室や家で録音したデモ曲をネット上に載せてみたのが最初です。その曲に沢山の人から反応を貰えたので、「しっかりした音源を録ろう!」と思って、レコーディングした初めての音源集が「Sundae May Club 1」です。
Music Tribune: 最新アルバムについてご質問します。『少女漫画』というタイトルがついています。アルバムのアートワーク(デザイン)は、どなたが発案したものなのでしょうか。また、音楽や歌詞を通じて、アルバムで表現したかったこと、リスナーに伝えたかったことは何でしょうか?
Sundae May Club: このアートワークはみんなで話し合って決めました。このアルバムは、1stEPの明るさに加えて文学的な要素、切なさやレトロな感じもある楽曲がそろった作品で、ぴったりなジャケットになったと思います。
このアルバムはわたしたちの卒業制作という位置づけでもあるので、思い出や青春をすべて詰め込みました。楽しい気持ち、悲しい気持ち、恋する気持ち、色んな感情が入っているので、「昔こんな気持ちになったな」とか、「こんな友達がいたら楽しいだろうな」という気持ちで聴いてみてほしいです。
Music Tribune: このアルバムをリリースした2022年には、NHK長崎の参院選のテーマソングを制作しています。学生さんとのやりとりを通じてテーマソングを制作してみて、何か勉強になったことはありましたか。また、メディアへの出演後、周囲からの反響などはいかがだったでしょうか?
Sundae May Club: 学生さん達は選挙についての考えをしっかり持っている方が多くて、投票しようという意識も概ね高かったのですが、不在者投票の手続きなど書類のやりとりの煩雑さを嫌う意見もありました。テーマソングでは現時点の制度での投票を促すためのものなので、少しでも足取り軽く投票所に向かえるようにポップな楽曲を制作しました。
放送後は、地元の友達や家族、特に祖父から大喜びしてもらえたので、素敵な機会をいただけて本当に嬉しかったです。
Music Tribune: 続いて、曲の制作について、ご質問したいと思います。Sundae May Clubの曲は、どのように出来上がっていくのでしょうか。曲作りの過程や、秘訣について教えていただきたいです。また、バンド内で、どんなふうに音楽の磨きをかけていくのか教えていただけますか?
Sundae May Club: まず、私が弾き語りのデモを作って、それをみんなに聴いてもらいます。編曲は、バンドメンバー全員でスタジオに入って考えることと、みやはらが宅録で編曲をしていく2パターンが多いと思います。
まず、歌詞を1コーラスくらい考えて、そこにギターのコードを載せてメロディーをつけるというのが多いです。一気にできることもあれば何年もかかったりすることもあります。曲作りの秘訣は本をたくさん読むことかな?
Music Tribune: 歌詞についてもお伺いします。浦さんは曲の歌詞をどのような形で書いていくのでしょうか。
Sundae May Club: 「シャングリラ」をはじめとする曲で、「あなた」や「君」といった、第三者に言葉を投げかけるようなフレーズが出てきますよね。こういった共感性のある言葉の表現というのは、どんなふうに出来上がったのか教えて下さい。
歌詞は、日記から膨らませたり、綺麗な風景を見たり、人と会ったりしたときに突然浮かんだりします。本を読んだり映画を観たりして心が動いたときにも言葉が出てきます。
昔から、仲良くしたいのに上手くコミュニケーションが取れないことが多かったのですが、その分楽しく話せた瞬間が忘れられないほど嬉しくて、歌いはじめる前からずっと友達とのやり取りで後悔したことや嬉しかったことなどについて日記と詩を書いていました。人との関わりの中で生まれる気持ちがいちばん強烈だと感じるので、第三者に向けた気持ちが軸になっています。
Music Tribune: 2023年9月にリリースされた最新シングル「Teenager」についてご質問します。この曲は、J-POPの延長線上にありながら、ナンバーガールを彷彿とさせるオルタナティヴなギターサウンドが特徴的です。こういった作風が、今後のバンドのベンチマーク(音楽性の指針)になると考えても構いませんか? もしくは、この曲は1つの通過点に過ぎないのでしょうか?
Sundae May Club: あまり作風に決まった方向を考えたことはありません。曲自身の色を生かしたアレンジを行うので「teenager」も含め、曲がアレンジを導いてくれる感覚です。なので「teenager」は通過点の曲というよりかは、Sundae May Clubのバリエーションの1つだと思います。
Music Tribune: おそらく、現在、東京を中心に活動なさっていると思うんですが、地元の長崎に帰ったりすることはありますか。また、次に帰省する時、どんなことをしたいとお考えでしょうか??
Sundae May Club: ライブや作曲の仕事の時は東京にいるのですが、帰れるタイミングで帰っています。今は、東京と長崎と半分ずつくらいな感じです。節目節目に長崎でライブをすることもあります。
いつかライブだけではなく地域も巻き込んだお祭りみたいなイベントをやってみたいです。例えばフード、アクセサリーや古着、アート作品の販売なども取り入れて盛り上げたいです。
Music Tribune: バンドの皆さんは、今までリリースした曲の中で、どれがいちばんお気に入りでしょうか? ちなみに私自身は「サイダー」が曲構成と歌詞、演奏も含めて素晴らしいと思ってます。
Sundae May Club: ありがとうございます!サイダーも大切な曲です!
浦:晴れるな(今まででいちばん歌詞を素直に書けた曲です。どん底から生まれるパワーが好きです。)
みやはら: 少年漫画(曲自体かっこよくてギターソロが一番お気に入りです。)
ひろと: シャングリラ(大学でMV撮ったのも含めてお気に入りです。)
Music Tribune: Sundae May Clubは「ウルトラスーパーポップ」という、あまり聞き慣れないジャンルをかかげてデビュー当初から活動なさっていますね。スペーシーな(宇宙的な)キーボードに鍵がありそうなんですが、なぜ、このようなジャンル名をつけたのでしょうか?
また、バンドの皆さんの音楽的なバックグラウンドについても、簡単に教えていただけると嬉しいです。
Sundae May Club: ”ウルトラスーパーポップ”というのは、ジャンルというよりはアティチュードとして考えています。
ポップという言葉には誰でも受け入れる懐の深さがあると思っていて、元々サークルの友達同士で組んだバンドなので、聴いてくれたその瞬間に友達になれるようなとっつきやすさで音楽をやりたくてウルトラスーパーポップバンドを自称しています。
全員に共通する音楽的バックグラウンドとしては、日本の90年代~10年代ロックやジャズなどがあります。洋楽も昔から聴いていて、ギターのみやはらは高校の文化祭でBlurのコピーバンドをしていました。
Music Tribune: 長崎出身のバンドですので、ぜひ、この街の良さをアピールして下さい。国内外の観光客におススメしたい場所はありますか??
Sundae May Club: 世界三大夜景のひとつである稲佐山からの夜景がおすすめです。街を歩いているとよく猫ちゃんに出会えるのも素敵です。
長崎市は全体的に坂道と階段が多くて歩くのは大変ですが、狭い石の階段も冒険気分で素敵だし、登った先から見える風景も沁みます。
Music Tribune: 最後の質問となります。新作リリースの予定がありましたら教えてください。また、今後のバンドとしての目標、野望について語って下さい!!
Sundae May Club: 新作のデモは何曲かもう作り終わっていて、近々レコーディングする予定です。リリース時期はまだ未定ですが、今年中には皆さんにお届けできると思います。
バンドとしての目標は、最近、海外のファンも増えて来たので、世界中の人に聴いてもらえる音楽を作りつづけることです。海外でのライブもしてみたいです!