カナダのアンビエント・プロデューサー、Loscil(ロスシル)がニューシングル「Shadow Maple」をリリースした。5曲入りのアルバム『Umbel』に収録され、5月31日に自主制作として発売される。
今回、ヴァンクーバーの電子音楽家、ロスシルは従来のドローン・アンビエントの形式を採っているが、イントロのチャーチオルガンを彷彿とさせるサウンドテクスチャーに加え、徐々に渦巻くようなドローンが音像をランタイムごとに拡大していく。イントロの瞑想的な静けさが聴覚的な空間性を増していき、マクロコスモスのサウンドスケープを描くプロセスを見事に捉えている。
昨年のTim Hecker(ティム・ヘッカー)の『No High』、次いで、今年に入ってから、Rafael Anton Irissari(ラファエル・アントン・イリサーリ)のセルビアの無名の音楽家とのコラボなど、近年、著名なアンビエントプロデューサーは、”ダーク・アンビエント/ダーク・ドローン”とも称するべき流れを作りつつある。ロスシルもニューシングルで暗鬱であるものの、マクロの荘厳な音楽世界を構築する。モジュラーシンセで演奏される均一の通奏低音の波形がどのように拡大と縮小を重ねるのかに注目である。アウトロにかけてのチャーチ・オルガンのような静謐な瞬間に戻る瞬間は鳥肌ものである。
このシングルを聴くかぎりだは、アンビエントの今年の注目作となりそうな雰囲気のある『Umbel』の詳細については下記の通りとなっている。ロスシルのコメントはこちら。
Loscil 『Umbel』
Label: Loscil
Release; 2024/05/31
Tracklist
1.Shadow Maple
2.Umbel
3.Kamouraska
4.Dusk Gale
5. Cyme
ニューアルバム『Umbel』は、loscilことスコット・モーガンによる写真/音楽プロジェクトの第3弾。フォトジンと音楽アルバム(CDとデジタル)を組み合わせた『Umbel』は、前回のFaults、Coasts、Lines、Luxに続く作品である。
写真とロングフォームのエレクトロニック・ミュージックを組み合わせた作品である。ジン『Umbel』には、花咲くカエデの木の下で、夕暮れの薄明かりの中で撮影された一連のフルカラー写真が収められている。
長時間露光で、薄暗くなる空の下、描かれた光と影のような樹冠をとらえている。画像はジェスチャーに富んでおり、光が重なり、にじんでいる。何の変哲もない一瞬の時間が、隠れたノイズ、影、奥行きを見せている。音楽も同様に、実時間から切り離されている。シンセサイザーのパッセージはループし、重なり、繰り返され、収縮する密度を形成する。
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