Dead Oceansとの契約を発表したばかりのCassandra Jenkins(カサンドラ・ジェンキンス)はこのレーベルの新たな看板アーティストに目され、エレクトロニックとポップスを融合させ、新しいフェーズへと進めるシンガーである。カサンドラ・ジェンキンスの楽曲は、エクスペリメンタルポップやアヴァン・ポップ、あるいはアートポップに該当すると思われるが、実際のトラックを聴くとわかるように、ジャンルという概念を超越した音楽的な表現性が含まれている。
カサンドラ・ジェンキンスの「Delphinium Blue」は、ダイナミックなスケールを持つアートポップソングである。シンセサイザーのシネマティックな背景を駆使し、ジェンキンスはそれを舞台の書き割りのように見立て、フローレンス・ウェルチのような壮大なスケールを持つポップネスを体現させる。その合間にスポークンワードも織り交ぜられている点を見るかぎり、ジェンキンスは現代のポップソングの最前線に歩み出ようとしている。シンガーは言語と花という二つの得難い概念を基に、最終的にそれを音楽というもう一つの語法として昇華させる。驚くべきことに、それは、フラワーショップの店員という個性的な仕事から得られた産物であった。
ソングライターが2021年に発表したブレイク・アルバム「An Overview On Phenomenal Nature」に続き、以後2年間にわたる大規模なツアーが開催された。スタジオに戻ったジェンキンスは、事実上、彼女を蝕んだアルバムの後を追う仕事を任された。この期間、ジェンキンスは精神的な疲弊を感じていた。しかし、傑出したアーティストにとって活力を取り戻す方法は、因果なことに、以前よりも良い曲を書き、みずからを納得させるということだった。
「デルフィニウム・ブルー」はカサンドラ・ジェンキンスを世界の構築者として包み込んでいる。この曲の制作についてのメモの中で、彼女はこう語っている。
「どこに向かえばいいのかわからなくなったとき、確実に美しいものを探すことがある。地元のフラワーショップの仕事に応募したとき、生存本能が働いたような気がした。その仕事は、私の人生で最も青かった時期を乗り切らせてくれた。花に囲まれていると、その重みに耐えるのが楽になるだけでなく、花と自分自身を十全に理解できた。花は私の潜在意識の言語となった。花々は、私が耳を傾けようと思えば鍵を握っているような、私の悲しみを運ぶポーターであり、気づきへの繊細なポータルであるような、すべてを知り尽くしているような質を帯びていた。
カサンドラ・ジェンキンスのアルバム「My Light, My Destroyer」は7月12日にリリースが予定されている。プロデューサー、エンジニア、ミキサーのアンドリュー・ラッピン(L'Rain, Slauson Malone 1)を含む、親密なコラボレーターと共に制作された。スラウソン・マローンはWarpに所属するエレクトロニック・プロデューサーで、最も先鋭的な作風で知られている。
「Delphinium Blue」