テイラー・スウィフトのEras Tourが英国で開催 観客動員は70万の見込み、3億ポンドの収益の概算

Taylor Swift in Cardiff
カーディフでの公演


アメリカのスーパースター、テイラー・スウィフトがついに『Eras』ツアーを英国で開催する。現在、このことによる経済的影響について多数の議論がなされている。エラス・ツアーは単なる興行ではなく、音楽業界がもたらした社会現象と見るべきだろう。


英国を訪れる大規模ツアーの全体的な影響については、エコノミストによって意見が分かれている。昨年は、ビヨンセのツアーがインフレの一因になったという指摘があった。しかしながら、経済的には接待への支出のメリットと並んでマイナスの影響があったということ。当然、メガスターの招聘はギャラのみならず、宿泊費、宣伝費、滞在費など多額の費用が嵩む。興行が成功しなければ、初期投資は水泡に帰すため、イベント開催側の頭の悩ませどころとなる。


また、コンサートのチケット代や公演中のもてなしへの支出が、この夏、さまざまなイベントや社交に費やされ、結果的にニュースにはならないまでも、同様の経済効果をもたらしたのでは、という疑問もあるようだ。


とはいえ、テイラー・スウィフトのErasツアーは、チケット需要が旺盛で各都市での公演期間が長いため、地域経済に特定の好影響を与えているとの指摘もある。アメリカの都市では、ホテルの売上が伸びたと報じられている。


ロンドンでのErasツアーのウェンブリー・スタジアム公演は、6月21日を皮切りに8夜にわたって行われる。観客動員数は70万人と推定されている。内約の多くの割合が海外からのインバウンドの観光客で占められている。英国で資金を使い、首都ロンドンの経済市場を活性化させることが見込まれる。


今回のツアーに期待するのはアーティストを招聘したイベント主催者にとどまらない。ロンドン市長は、メガスターの経済活性化に大きな期待をかけているようだ。市長はテイラー・スウィフトの首都ロンドンでのコンサートで生み出される予想利益として、3億ポンドの数値を見込んでいるという。


当該の暫定試算は、UKInboundの2018年観光統計のデータを用いて算出されたもので、日帰り観光を除けば、2018年に英国を訪れた国内外の観光客1人あたり約396ポンドが英国経済にもたらされたことが示唆される。


これをインフレ調整(住宅を含む消費者物価指数を使用)すると、2023年には471ポンドになる。この数字に、ウェンブリー・スタジアムでのライブの予想観客数を控えめに見積もって64万人をかけた。合計で3億100万ポンドに上る。


しかし、今夏のロンドンにおける「テイラー・スウィフト・エフェクト」については、ロンドン市長室が明確な予測をしている。もちろん、政治家や政府機関がこのような音楽現象と結びつける理由は容易に理解できる。


より正確な経済効果の分析には、首都におけるABBA Voyageの初年度の分析と同じ厳密さが必要でチケット代に加えて地元での消費という相乗効果も必要だ。しかし、それはイベントの後にしか分析は不可能である。


ウェンブリースタジアムの階段に登場した壁画


スウィフトの来日に合わせて、ウェンブリー・パークは、スペイン階段の巨大壁画を含む2つの新しいパブリック・アートを開催している。


ロンドン交通局は、スウィフトにちなんで地下鉄の路線図を一新し、金曜日のイブニング・スタンダードに記事を独占で掲載した。スウィフトの音楽に言及された首都中の場所を記念し、施設の窓には新しいビニールステッカーが貼られはじめており、これらはテイラー・トレイルと称されている。


英国の首都の夏のライブ・ミュージックは盛りだくさんとなっている。ロンドン・スタジアムでのフー・ファイターズとバーナ・ボーイ、フィンズベリー・パークでのワイヤレス・フェスティバルでのニッキー・ミナージュ、21サヴェージ、Jフス、ドージャ・キャット、BSTハイド・パークでのカイリー、SZA、ストレイ・キッズ、ウェンブリー・スタジアムでのブルース・スプリングスティーンなど見所がたくさんある。