グラストンベリー・フェスティバル 2024が開催  注目のライブアクトをピックアップ

 Glastonbury Festival 2024



6月28日、例年と同様、グラストンベリー・フェスティバルがサマセットのピルトンで開幕した。デュア・リパ、コールドプレイ、SZAをメインラインナップに迎え、2024年度のグラストンベリーは3日間にわたって開催される。デュア・リパを始めとするメガスターの出演も注目したいが、NMEによると、IDLESとFountaines D.Cが楽屋で鉢合わせとなったという情報もある。

 

また、今年のフェスティバルでは、フリー・パレスチナのキャッチフレーズが掲げられ、ステージのモニターにもこれに関するワードが出現し、観客の間ではパレスチナの国旗がはためく瞬間もあった。政治的な発言で知られるIDLESもライブステージでガザに対する発言を欠かさなかった。初日のコールドプレイのステージでは、マイケル・J・フォックスがギターを披露した。

 

 

ここでは2024年度のグラストンベリーの注目のライブパフォーマンスを簡単に取り上げていきます。



Dua Lipa 


グラストンベリーに詰めかけた10万人もの観客が初日のアクトで最も楽しみにしていたのがデュア・リパ。

 

午後10時にピラミッドステージに登場したシンガーは、この日のフェスティバルを「ナイト・クラブのように変えることだ」とMCで述べた。その言葉に違わず、シンプルなダンスナンバーを中心に、この日、デュア・リパは、15曲のヒット曲を披露した。官能的なステージ演出が、サマセットの温かい空気とデュア・リパのメゾ・ソプラノと混ざりあい、心地よい音楽の空間を作り上げている。デュア・リパは最初のライブで、「観客が10人だった」ことを回想し、今やそれが10万人に膨れ上がったことをMCで明かし、そのことに驚いているようだった。

 



Coldplay 


UKの象徴的なロックバンド、コールドプレイは、2016年以来のグラストンベリーの出演となり、ピラミッドステージのヘッドライナーを務めた。コールドプレイは1999年にグラストンベリーにデビューし、2002年、2005年、2011年、2016年にもプレイしている。

 

今回、彼らは、マイケル・J・フォックス、パレスチナのスター、エイリアンナ等をサプライズゲストとしてステージに登場させた。2010年頃からパーキンソン病の闘病中である俳優マイケル・フォックスは、「Humankaind」、「Fix You」を始めとする代表曲をバンドとともに演奏している。他にも、サプライズゲストとして、UKのマーキュリー賞を受賞したラッパー、リトル・シムズが登場している。「そして私達は祈る」という歌詞をフィーチャーした曲を披露した。


コールドプレイは、2021年以来の待望の新作アルバム「Moon Music」を10月4日にリリースする。このレコードな環境保護の観点から制作された。CD/LPともにエコ仕様で発売される。



 

 

 

 

Little Simz



30歳のイギリスのラッパー、Little Simzはコールドプレイのステージにもゲストとして登場したが、ソロアーティストとしても出演。

 

マーキュリー賞の栄冠に輝いたラッパーは、土曜日のピラミッドステージに登場し、『Someone I Might Be Introvert』と最新作『No Thank You』の楽曲を中心に披露している。この日、ラッパーは、DJセットを中心に、バックバンドやバッキングコーラスなしで文字通りソロシンガーとしてのステージをこなし、観客に驚きを与えた。


「No Merci」、「I Love You, I Hate You」等のハイライト曲を演奏したリトル・シムズは、MCの中で「傲慢からこのようなことをいうのではなくて、自信や私の自己価値に基づいて言いたい」といった。


「このピラミッドにたどり着くまでにかなり時間がかかったが、ついに私はここにいる。私が素晴らしいのと同時に、あなたがたも本当に素晴らしいです」と述べた。さらにリトル・シムズは「私のアジェンダは、私のハートが燃えているということだけ」とクールに述べた。ライブステージでのラップも素晴らしい。リリックさばきにハリがあり、最高のフロウが披露された。

 




Jessie Ware


2020年代のディスコソウルの女王であるジェシー・ウェアは、土曜日のWest Holt Stageに登場、観客を湧かせた。ステージにはRomyがサプライズゲストとして登場した。


「私は彼女を友人と呼ぶことを誇りに思っている、私は一緒に曲を作る機会を待っていた」とジェシー・ウェアは「Lift You Up」の曲紹介をする際に述べた。今年のグラストンベリーフェスティバルでは最新作『That! Feels Good!』の曲を中心に、20曲という圧巻のセットリストを組んだ。シンガーソングライターのジャック・ペニャーテ、そしてバックバンドとともに迫力あるライブパフォーマンスを披露。実際の演奏に関しても聴きごたえたっぷりのディスコソウル。

 

ジェシー・ウェアは他の出演者にも敬意を欠かさなかった。「私はしばらくこのフェスで演奏してきましたが、クールなインディーズバンドの中に友人がいるのを見て、観客がサーフィンをするのを見るのは嬉しい」と語った。ジェシー・ウェアは週末にCharli XCXのライブステージにも出演する。

 

 




Cyndi Lauper

1980年代のポップシーンを牽引した米国の伝説的なシンガーソングライター、シンディー・ローパーはチャカ・カーンと同様、今年かぎりでライブツアーからの引退を宣言している。

 

現在、シンガーは71歳であるため、確かに全盛期のハイトーンのビブラートは披露できなくなっているものの、落ち着いたトーンのボーカルをパフォーマンスし、グラストンベリーに訪れたファンの心を和ませた。

 

ライブではモニターの返しに問題が生じ、代表曲「Girl Just Wanna Have Fun」のボーカルはスピーカーの低音にかき消される場面もあった。「Rocking Chair」でも、シンガーはピッチとタイミングを合わせるのに苦労していた。実際的には、イアーモニターに問題があることをローパーは指摘した。この日は会場の騒音性に問題があったとの一般的な指摘もなされた。ただ少なくとも、ローパーのステージを見る機会に恵まれたファンはとても幸運であったと言える。

 


 

 


 IDLES


ライブの出番がないとき、子犬と戯れるオフショットを撮影したIDLESのボーカリストのジョー・タルボット。また、バンドは最大のライバルとも言えるFontaines D.Cと楽屋で遭遇したといい、一瞬の緊張が走った。ロンドンのバンド、IDELSは、最新作『TANGK』をリリース後、ライブも絶好調、間違いなく現在の世界最高のライブバンド。


前回のグラストンベリー・フェスティバルでの政治的な発言に批判があったもののお構いなし。タルボットは今回も「フリー・パレスチナ」を訴え、ガザへの支持を表明した。

 

ライブアクトでは最高のポストパンクバンドとしての実力を遺憾なく発揮している。現代芸術家、バンクシーのゴムボートも登場した。

 




James Blake 




昨年、最新アルバム『Playing Robots Into Heaven』をリリースし、グラミー賞にノミネートされたジェイムス・ブレイクは今年、Woodies Stageに出演した。
 
 
リル・ヨッティとのコラボレーション・アルバム『Bad Cameo』をリリースしたばかりのエレクトロニックプロデューサー/シンガーソングライターのジェイムス・ブレイクは、新旧のセットリストを織り交ぜながら、13曲をステージで披露している。その中には、Feist,Dave,Frank Oceanのカバーも含まれていた。「Say What You Will」はオーディエンスとともに歌われた。『Playing Robots Into Heaven』からは「Loading」、今年5月にリリースされたばかりのニューシングル「Throwing Around」もグラストンベリーのセットリストに含まれていた。
 
 
 



SZA
 

SZAはグラミー賞にもノミネートされ、プログレッシブR&Bアルバムを獲得。米国では人気のシンガーであることに変わりがないが、イギリスで不動の人気を獲得しているとまでは言い難い。
 
 
デュア・リパ、コールドプレイに続いて、三日目のヘッドライナーに抜擢されたSZAは、インディペンデントの報告によると、期待したほどの集客に繋がらず、「観客はまばらに見えた」という。
 
 
少なくとも、ストリーミング再生数としては天文学的な数字を記録しているシンガーではあるものの、イギリスではヘッドライナーに決定するまで、その名を聞いたことがなかったファンもいた。SZAの出番直前に、「会場を離れる驚くべき多数の人々を見た」とインディペンデントは報告している。集客が思ったほどではなかった理由として、ジェイムス・ブレイク、ロンドン・グラマー、ナショナル等、魅力的なアクトとタイムテーブルが重なったことを指摘している。
 
 
グラストンベリーでは、三日目のヘッドライナーだけは特別視され、英国の音楽ファンが”このアーティストであれば納得”というアクトが期待される。しかしながら、BBCの報道にもある通り、他の魅力的なアクトが他のステージに追いやられたことに関して疑問を呈する意見も挙がっている。

 
 
 



The National 



同時間帯に、一定の年齢層だけではなく、全般的な年齢層に支持を得そうなライブアクトを行ったのが、ニューヨークのインディーロックバンド、The Nationalである。確かにパフォーマンス自体は派手ではないものの、ザ・ナショナルは豊富なバックカタログとライブアンセムを持ち、良質なロックソングを複数持っている。マット・バーニンガー、アーロン・デスナーの二人はこの日のライブをリードし、渋みのあるインディーロックワールドを多数のファンに提供した。
 
 
安心して聴くことができるロックソングという面で、ナショナルほど最適なバンドはいないかもしれない。安定感のあるライブパフォーマンスはベテラン・バンド特有。ヘッドライナーではなかったものの、ナショナルのライブを選んだロックファンは存外な幸運にあやかった。彼らの渋いインディーロック・バラードは、射幸性とは対極にある音楽のリアルな魅力を体現している。
 
 
 
 
 
 
 
Fontaines D.C 
 
 
アイルランド/ダブリンのロックバンド、Fontaines D.Cは、メインとは異なる会場”Park Stage”のヘッドライナーを務めた。
 
 
四人組は荒削りながら良質なライブアクトを披露し、次のピラミッドステージへの出演への期待度を高めた。バンドは2022年以来のグラストンベリーへの出演となる。「Dogrel」、「Skinty Fia」、そして、今年の夏に発売予定のニューアルバム『Romance』の収録曲「Starbuster」、「Favourite」を中心に魅力的なセットリストを組んでいる。
 
 
ライブ前にはパークステージに押し寄せる群衆が確認された。バンドの根強い人気を伺わせる。フロントマン、グリアン・チャッテンのマイクをぐるぐると手に巻き付けながら歌う硬派なスタンスは変わらず。グラストンベリーのステージでは16曲が披露され、アンコールはなし。セットリストの最後に、新作の先行シングルの2曲がパフォーマンスされた。この日のFontaines D.Cのパフォーマンスは、新作アルバム『Romance』のスマッシュヒットを予感させる。
 
 
 
             





お忍びでグラストンベリーを観にきているビッグ・アーティストの目撃情報は、現時点ではそれほど多くは報告されていません。


毎年のように凄まじいチケット争奪戦が繰り広げられ、発売開始から数時間で完売するほどの人気を誇る世界最高の音楽の祭典"グラストンベリー"。ステージの演出も年々豪華になって来ています。今年もラインナップが豪華で幅広く、圧巻と言うべきイベントであったことに変わりはありません。来年度もまた楽しみにしたいところです。


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