J-POP TRENDS   5月のJ-POPの注目作をピックアップ

 



今月のJ-POPの注目のシングルをピックアップするコーナー。今月は、Luby Sparksの新作EPがリリースされたほか、J-Rapの期待の新星、Aru-2がDaichi Yamamoto(ダイチ・ヤマモト)とのコラボレーションシングルをリリース。また、Joe Cupertinoのコラボレーション企画もChelmicoの鈴木真海子、シカゴ在住のSen Morimotoの作品にも参加したことがあるLil Leise But Goodを起用する等、ミステリアスな様相を呈してきているようです。次に何が起こるかわからないのが日本のミュージックシーンなわけですが、先月のベストトラックも合わせてチェックしてみましょう。

 

 

Luby Sparks 『Songs For A Daydreamers』 EP


 

年明けからYYY'sのカバーシングル「Maps」をリリースしたりと慌ただしい動きを見せていたLuby Sparksは『Songs For A Daydreamers EP』を準備していました。バンドはシューゲイズ風のギターからドリームポップ風のメロディアスな楽曲、J-POPの系譜にある親しみやすいポップソングまで幅広いアウトプットを持ってますが、新作EPは、そういった多彩な音楽性を楽しめるミニアルバムとなっています。

 

オープナーを飾る「Stayaway」はシティポップとドリームポップをミックスしたようなムードのあるナンバー。そして「Somebody Else」は平成時代のJ-POPを踏襲したキャッチーなナンバー。キラキラしたポップネスがノスタルジックな感覚を呼び起こす。


「Not Okay」はシューゲイズギターのイントロからUnderworldを思わせるダンサンブルなロックに移行していき、中盤では、ギターロックでアヴァンギャルドの領域を開拓する。EPのクローズを飾るYeah Yeah Yeah'sのカバーソング「Maps」に関してはサイケガレージの原曲とは異なり、ポピュラーな音楽にアレンジされています。スパークスの魅力が凝縮された一枚です。


「Stay Away」

 

 

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・Joe Cupertino 「Ruby」 (Featuring Lil' Leise But Good)


 

カルフォルニアにいるのか、日本にいるのか定かではないジョー・クペルティーノは、Chelmicoの鈴木真海子とのコラボシングル「わがまま」ではチルウェイブ風のリラックスしたナンバーに取り組んでいますが、続いて、Lil' Leise But Goodを起用したニューシングル「Ruby」では一転してディープハウス風のダンサンブルでグルーヴィーな楽曲を制作しています。

 

ジョー・クペルティーノは海外のポップスをよく知り尽くしており、ニューシングルでは、Charli XCX、Rosalia、FKA Twigsに象徴付けられる、DJセット向きのクリアなダンスポップを志向している。ディープハウス風のビートに加えて、ラテンディスコ、アーバンフラメンコのようなエキゾ性を付け加えたナンバー。一貫してトロピカル風の雰囲気が漂うのも、音楽のトレンドに敏感であることを示す。クペルティーノのフロウも巧みですが、一方のコラボレーターのLil' Leise But Goodもワールドワイドな音楽を知り尽くしているという印象です。すでにSen Morimotoの作品にも参加経験のあるMCですが、トラックに色彩的なニュアンスを付け加えている。


 

 

「Ruby」

 

 

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Cwondo Cwondo 「Sorawo」

 


日本のエレクトロニックプロデューサーといえば、食品まつりが有名ですが、Cwondo Cwondoも負けてはいません。No BusesのGt/Voとして活動していた近藤大彗によるソロ・プロジェクト。

 

北欧エレクトロニカの要素に加えて、Aphex Twin/Squarepusherのドリルンベースやグリッチ等を散りばめ、エクスペリメンタルポップを作り上げています。リズムはきわめて複雑ですが、幻想的な雰囲気が漂うのはMUMの影響なのか。今後の日本のエレクトロニカ/アヴァン・ポップをリードしていく存在。ロンドンの”PC MUSIC”辺りが好きな方にはストライクの音楽でしょう。



「Sorawo」




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yomm   「alice」


 

yommは韓国出身のシンガーソングライタそれほど洋楽贔屓というわけでもなく、アジアンテイスト漂うナチュラルなポピュラーミュージックという感じでしょうか。今月、yammは恋愛をテーマにした甘い感じのポップソング「初恋 Hatsukoi」という心惹かれる曲をリリースしています。


今回、ご紹介する「Alice」は、邦楽のテイストを漂わせる親しみやすいシティポップ。AKAIのミニシンセを駆使し、キャッチーなナンバーを披露している。それほど肩肘をはらずに聴けるくつろいだナンバーとなっています。



「Alice」




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UQIYO 「giiirl」



2024年5月9日、丸1年の休止から活動再開を発表した音楽ユニット、UQiYO。前向きなエネルギーと静かな覚悟を感じる魂の一曲は、新生UQiYOとしての進化と真価が凝縮された新曲です。アーティストのコメントは以下の通り。


--「Giiirl」は、コロナ禍を経てYuqiが陥った困難の中で誕生した楽曲です。外界との隔絶を余儀なくされ、鬱症状に苦しむ中で、妻と二人の娘たちの存在が唯一の救いとなりました。葛藤しながらも力強く生きる家族への愛と感謝のメッセージが込められています。朝日が差し込むような前向きなエネルギーを感じさせながらも、不確かな未来に対する覚悟も込められた、力強い一曲--




 

 
 
 
 
The Wisely Brothers  『その前夜』(New Album)



愛知県で結成されたスリーピース、The Wisely Brothersはインプロヴァイゼーションをもとにしたアルバム『その前夜』をfrindship.からリリースしました。本作には即興演奏の緊張感に満ちています。

 

ポストロック/マスロック/スロウコア的なアプローチを取り、ボーカルのニュアンスの中にアトモスフェリックな要素を付け加える。アートワークからも分かる通り、ルイヴィルの伝説的なポストロックバンド、Slint(スリント: シカゴのTouch& Goからすべてのリリースを行い、スティーヴ・アルヴィニがプロデュースを手掛けた)からの強いフィードバックを感じさせます。

 

本作のレコーディングは、TAGO STUDIO Takasakiにて行われた。サウンドエンジニアは池田洋。アートワークは、真舘晴子(Gt. Vo)が担当しています。バンドはレコ発ライブを予定しており、6月22日に京都 外 Soto、7月6日に東京/東向山梁田寺でイベント「Study for improvisation "その前夜”」を開催する。”Ratel”と並んで、注目しておきたい日本のアートロックバンド。

 

 

「海風と陸風」

 

 

 

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 aru-2「Ase Featuring Daichi Yamamoto」


ミックステープのようなユニークなトラックメイクを行うaru-2。詳しくはないですが、レゲエ、アフロ・ビート、フューチャー・アフロ、ダウンビートなどをテクニカルに織り交ぜ、ダンスフロアで親しまれるヒップホップを提供するプロデューサーです。 


ニューシングル「Ase Featuring Daichi Yamamoto」はシンプルなビートで構成されるトラックですが、メロウなイメージを付け加えているのがコラボレーターとして参加したダイチ・ヤマモトです。曲の後半ではエレクトリックピアノのハーモニーが混ざりあい、チルウェイブ風のテイストを醸し出す。ホームリスニングはもちろん、夜のドライブのお供にも最適なシングルとなっています。

 

 

 「ase (Featuring. Daichi Yamamoto)」

 

 

 

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