MTV Newsが約30年に及ぶ膨大なデジタルアーカイブ、コンテンツをウェブから削除

 



主要メディアのコンテンツ縮小に歯止めがかからない。昨年5月のVariety誌の最初の報道に続いて、MTV Newsが約30年にわたる膨大なコンテンツーーデジタルアーカイブをウェブから削除したことが判明した。MTVの親会社のパラマウント・グローバルが従業員の25%を解雇し、MTVニュースが閉鎖されてからおよそ一年、MTVは一企業として事業縮小を余儀なくされている。


記事掲載時点で、パラマウント・グローバル社は、コンテンツが削除された理由についての声明は出ていない。しかし、Consequenceは、”MTVニュースのような大規模なサイトにとって、権利許諾やE&P(errors and omissions)保険の費用は莫大な額にのぼる”と指摘している。


MTVは1980年代のミュージックビデオ全盛期に音楽専門チャンネルを持つ放送局として有名となり、終日に渉ってプロモーションビデオやミュージックビデオを専門チャンネルで放映していた。近年、ストリーミングサービスが優勢になるにつれ、ミュージックビデオの宣伝効果は従来ほどではなくなったとの指摘もある。

 

Showtime/MTV エンターテイメント・スタジオとパラマウント・メディア・ネットワークの社長であるChris McCarthy(クリス・マッカーシー)は、スタッフに充てたメモの中で、「ストリーミングの成功にもかかわらず、我々は他の多くの同業者と同様、より広い経済の逆風からプレッシャーを感じている」「人事部と連携したシニア部門の責任者は、我々のビジネスの現在と将来の需要に最適な組織を決断するため、過去数ヶ月間懸命に働いてきた」と記していた。 

 

昨年、マッカーシーは、「これは、当社グループの厳しいが重要な戦略的再編である。いくつかの部門を廃止して、他部門を合理化することで、コストを軽減させ、より効果的なビジネスアプローチを構築し、前進することが可能となるはずです。今日、私たちは、ポジションに影響を与える従業員に通知し、リーダーがそのチーム、または個人に直接ニュースを伝えます。このミーティングに続いて、人事パートナーとの個別の1:1が行われる予定です」と述べていた。


MTV Newsは、1987年にベテランジャーナリストのカート・ローダーが司会を務める「The Week in Rock」という単独の番組でスタートしている。ロダー、タビサ・ソーレン、スーチン・パク、ギデオン・ヤゴ、アリソン・スチュワートなどの特派員が、ポップ・カルチャーや政治の分野に進出する中で、既存メディアの代替となる若々しい視点をもって報道を行ってきた。

 

1994年4月8日、カート・ローダーがカート・コバーンの死去を先んじて確認したことが、MTV Newsがレギュラー番組に進出する契機となった。2015年、MTV Newsはオンライン報道に大掛かりな投資を行い、長編ジャーナリズムに注力するようになった。2017年、同社が映像や短編コンテンツに重点を置くようになったため、同社のライターの多くがレイオフされた。