Roger Eno ©Cecily Eno |
近年、気候変動をテーマにしたアルバム、Fred Again..とのコラボレーションなど幅広い分野で活躍するブライアン・イーノとともに、音楽家として存在感を示しつつあるのが、彼の弟であるロジャー・イーノである。
2023年、ギリシャ・アテネのアクロポリスでのライブをブライアンと一緒に行い、音楽ファンを驚かせた。このライブの模様はコンサート・フィルム『Live At The Acropolis』に収録されている。
最近の幾つかのソロ・アルバムでは、様々なコンセプチュアルな試みが行われている。「Mixiing Colours」においてブライアンと音による対話を行い、続く『The Turning Year』では、個々のシーンを持つ短編小説、そして、写真のコレクションのような意味を持つコンセプト・アルバムに取り組んでいる。いずれの作品も、音楽の中に何らかの意図が込められている。
今回、ロジャー・イーノは、ドイツ・グラモフォンから新作アルバムのリリースを発表した。タイトルは「The Skies : Rarities」。2枚目のソロ・アルバム『the skies, they shift』のレコーディング・セッションで録音された未発表曲が収録されている。音と静寂の中で、喚起的で示唆に富んだ道筋をたどる。メランコリックなトーンは、『Rarities』でも聴くことができる。
このアルバムは、集約的な農業と気候変動が環境にもたらす脅威と大いに関係があった。(「単なるエコロジカル・スレノディになりかねなかったこのレコードは、その代わりに、今、ここ、そして、気候変動に対する美しい考察となった」- The Line Of Best Fit)
「アルバムとなる作品を録音する際、私はたいていアイデアがあり余っている」とロジャー・イーノは言う。
「こうすることで、プロセスの最後に、深く検討した順序で決定的な 「コレクション 」を作ることができるんだ。後者は私にとって非常に重要だ。こうして、私はしばしば、1枚だけでなく2枚分の満足のいく音源を持っているという贅沢な立場にいることに気づく」
ベルリン・スコアリングの楽器奏者はスコアを元に即興演奏をするよう依頼された。一方、ギタリストのジョン・ゴダードは 「Into Silence 」で参加。イーノは 「Into Silence 」について「特別な曲」と呼ぶ。この曲は、イーノ曰く「そうでなければ欠けていた特別な風味」を添えている。
アルバムのリードシングルとして公開された「Changing Light」は、リスナーの心をその場に留め、静かな瞑想を促すピアノ曲となっている。Peter Borderickのピアノの小品を彷彿とさせる美しい一曲。
「Changing Light」
Roger Eno:
ロジャー・イーノは、イギリス・サフォークのマーケットタウンであるウッドブリッジで生を受けた。彼は学校で音楽に没頭し、毎週土曜日に精肉店で稼いだお金でボロボロのアップライトピアノを購入しました。その後、ロジャー・イーノの音楽教育は、コルチェスター・インスティテュート・スクール・オブ・ミュージックへと引き継がれた。ロンドンのプライベートクラブでジャズ・ピアノを弾く短い活動を行った後、彼はイースト・アングリアに戻った。