ある種の音楽がまったく忘れされていた子供時代の記憶を呼びさますことがある。それは物置小屋の隅に置き捨てられていた一枚の写真アルバムを、十数年、いや、ときに二十年以上の時を経てふいに発見するようなものだ。
電子音楽のマエストロ、Caribouがニューシングル「Volume」で活動を再開。「Volume」は、エレクトロニックシングル、M/A/R/R/Sの「Pump Up The Volume」を思い起こさせる。それはダン・スナイスの忘れがたい子供の頃の麗しい思い出と分かちがたく結びついている。
ポップ・ミュージックの文脈を広げる役割を果たしたサンプル・デリックの饗宴、「Pump Up The Volume」はクラブ・クラシックであり、カリブーの最新作にもその精神が宿っている。
現在リリース中の「Volume」は、夏のエネルギーに満ち溢れ、壮大なフェスティバルのセットへの呼び水となっている。
「Pump Up The Volume」は、僕が生まれて初めてエレクトロニック・ミュージックを聴いた曲なんだ。子供の頃、家族のステレオ・システムの前に座って、ラジオのトップ40のカウントダウンを聴いていた。それ以来、ずっと心に残っていて、いつも何らかの方法でこの曲を作り直したいと思っていた。この曲に取りかかったときは、意識してそのことを考えたわけではなかったけれど、この曲を作るにあたって、初心に戻ることができたのは本当によかったと思う。
「Volume」