Peel Dream Magazine(ピール・ドリーム・マガジン)は、ノスタルジックなチェンバーポップ/バロックポップをエレクトロニックと融合させ、独特な音楽的な世界観を構築する。
4枚目のアルバム『Rose Main Reading Room』 のリリースに先駆けて、2曲の新曲「Central Park West」と「Dawn」を公開した。ピール・ドリーム・マガジンのジョー・スティーヴンスはプレスリリースで次のように語っている。
「『Central Park West』は、私が一人でマンハッタンを散歩した時の一人称の記録だ。この曲の多くは自然史博物館を題材にしている。自然史博物館は、奇妙なジオラマと静かな低い照明でいつも私を魅了してきた。また、セントラル・パーク、アッパー・ウエスト・サイド、42丁目にあるニューヨーク市立図書館のローズ・メイン閲覧室(このアルバムの名前にちなんでいる)なども歩いた」
「Central Park West」
ミュージック・ビデオでは、アナログの時代のマンハッタンやニューヨーク、そしてバックストリートの情景が映像に収められている。その中には、セントラルパークを闊歩する騎馬兵、広場でスケートをする人々、エンパイア・ステート・ビル、馬に乗ったジョン・レノン、ブロードウェイのネオンサイン、子供を引き連れて歩くジョン・レノン、戦前は億万長者の街だったバワリーにあるCBGB、パンクバンドのステージ、チャイナ・タウン、ダウンタウンにあるヒップホップアート、ストリートに屯する人々をはじめとする、貴重なカットが収められている。 撮影時期は1970年代の終盤の映像であると推測される。ノスタルジックな雰囲気がある。
「この曲は、フルート、バンジョー、アコースティック・ギターによる一種の森のサウンド・パレットを想起させ、コスモポリタンなものとの並置が楽しく感じられる。『Central Park West』のバックには、ニューアルバムからのもう1曲、フィリップ・グラスにインスパイアされたような「Dawn」が続く。Dawnは本当にシンプルな曲で、始まりについて歌っているんだ。」
「Dawn」はスティーヴ・ライヒの「Octet」の系譜にあるミニマルミュージックにインスピレーションを受けていると推測される。
余談として、ライヒは2008年に日本の武満徹作曲賞の審査員を務めた際、無名のテープミュージック制作者に賞を与えた。「Dawn」については、木管楽器をサンプリングし、反復させる。アナログのテープ・ミュージックのようなレトロな音の質感がある。途中からボーカルが入るが、グロッケンシュピールを重ね合わせ、重層的なミニマル・ミュージックを構築している。
ライヒの音楽の多くは、モチーフの音形を組み替えたり、リズムの配置を組み替えたりする「variation」の手法により構築されている。電子音楽という側面で後世のミュージシャンに大きな影響を及ぼしたのは自明だが、依然として作曲の観点で学ぶべき点は多いように思える。
コードを分散和音として処理したり、連続した駆け上がりの旋律に組み上げたり、音形から一つの音を抜いたり、付け加えたり、音形をスラーで引き伸ばしたり、逆向きに音形を配置したり、主旋律に対して、鏡形式のカウンターポイントを配置したり、装飾音を加えたりという技法はドイツ/オーストリアの古典派の墓にある。その一方、作曲に行き詰まったときに活用できる。
「Dawn」
Peel Dream Magazineの新作アルバム『Rose Main Reading Room』は9月4日にTopshelfからリリースされる。