ブライアン・イーノの弟であるロジャー・イーノは、9月下旬にドイツ・グラモフォンから発売予定のアルバム「The Skies: Rarities」のセカンドシングル「Above And Below」を公開した。最初のリードシングルでは、音数の少ない清涼感のあるピアノ曲を聴くことが出来た。この曲では、アンビエントシリーズのイーノの作曲に依拠し、瞑想的な音楽を組み上げている。
ブライアン・イーノのアンビエントの概念は、今は亡きハロルド・バッドのピアノの演奏と分かちがたく結びついていた。弟のロジャー・イーノは、「Above And Below」において、上記の二人の作曲家のイデアを受け継いで、それらを瞑想的な作曲として昇華させている。おそらく、イーノの名作『The Plateaux of Mirror』に触発されたと推測される。その中には、神秘的な音の要素が含まれ、映画のような音響効果、ドローンのような抽象的な音像の中から、ダークでありながら静謐な音楽がぼんやりと立ち上ってくる。アンビエントの名品の登場である。
ロジャー・イーノは、現代の精神性を失った作曲家とは異なり、思弁的な感性を持ち合わせている。それは実際的に、ピンク・フロイドのようなサウンドに反映されている。
「Above And Below」