ウィリアム・バシンスキーが未発表音源を収録したアーカイヴシリーズ「September 23rd」を発表 ショートバージョンを公開



ウィリアム・バシンスキーの新アルカディア・アーカイヴ・シリーズ第1弾が9月23日に発売される。このアーカイヴシリーズからショートバージョンが公開された。この作品では彼の2003年の初期の傑作「Melanchomia」の音楽性の萌芽を見出すことができる。下記よりご視聴ください。


1982年9月、ニューヨーク・ブルックリンの高級住宅地として知られるダンボ地区にある彼の最初のロフトで録音された『September 23rd』は、大きなインスピレーションと影響力を持つようになったカタログの初期の作品であり、最近発掘されたものである。


バシンスキーが1970年代半ばの高校時代に作曲したピアノ曲をもとに作られた『セプテンバー23rd』は、すぐに大きく異なる作品へと進化した。バシンスキーはこう説明する。


「オリジナルのピアノ・レコーディングは、私の階下の隣人、ジョン・エパーソン(後に世界的に有名なドラッグ・アーティスト、リプシンカとして知られる)のピアノで行われた。高校時代から取り組んでいた曲を即興で演奏しながら、ピアノの上に置いた小さなポータブル(おそらくラジオシャック製)カセットデッキで録音した。かなりひどいものだったけど、ジョン・ジョルノ/ウィリアム・バロウズのカットアップ奏法をやったとき、突然、フリッパートロニクスのループとフィードバック・ループのテープ・ディレイ・システムにかけるものができたんだ。ニューヨークの若くてイカれたクイーンにとって、とても多作な時期だった」


ウィリアム・バシンスキーの音楽キャリアは50年近くに及び、偉大なメランコリーの共感的な作品を取り上げ、深淵な悲劇的世界を作り上げるという不思議な才能を発揮してきた。9月23日の発見は、バシンスキーの出自と拡大する歴史的遺産に魅惑的な輝きを与えている。






ウィリアム・バシンスキーはテキサスの大学でジャズ(サックス)を専攻したのち、ニューヨークに移住し、未曾有の実験音楽をフィールドを切り開き、同地の前衛音楽シーンの象徴的なアーティストとなった。


遅咲きのミュージシャンで、彼の作品が最初に公にリリースされたのは40代以降であった。このエピソードはバシンスキーがブライアン・イーノよりも弟のロジャーに近い大器晩成のタイプであることを示唆する。そして彼の音楽は何かに似ているようでいて、実際はどの音楽にも似ていない。


ウィリアム・バシンスキーの代表作には、水の中をイメージしたデビュー作「Water Music」(2001)、アメリカの同時多発テロを題材にした「The Disintegration Loops」(2003)、ループと逆再生を駆使し、都市的な音響をアンビエントとして解釈した「92982」など枚挙にいとまがない。ミュージシャンとしては、カセットテープを使ったアナログの制作方法を図ることで知られている。



また、バシンスキーはヒップホップの伝説デラソウルと並んで、サンプリングの名手であり、彼の作品にはラジオの交響楽団のオーケストレーションを再編集したものまで存在する。最近ではノイズミュージックや近未来的な質感を持つ実験音楽も制作している。




William Basinski 「September 23rd」


Label: Temporary Residence
Release: 2024年9月23日


Tracklist:

1. September 23rd