【J-POP TRENDS】 9月の邦楽のシングルをピックアップ

 【J-POP TRENDS】 9月の邦楽のシングルをピックアップ


 

9月に発売されたシングル情報をご紹介するコーナーです。2024年も後半にさしかかるにあたって、総括をしますと、現在の邦楽は、依然としてスタンダードなポップスが主流という印象です。

 

さらに、ポピュラーというぼんやりとした枠組みの中で多彩な音楽がひしめいているという印象を覚えています。また、その反面、アヴァンギャルドなものやオルタネイトな音楽の波は極めて限定的にとどめられているようです。社会と音楽は連動せざるをおえず、無関連ではありえないということ。そしてまた、日本国内の情勢を考え合わせますと、「ほっと息をつけるような安心感のある音楽を聞きたい」というのが、聞き手側の主な需要であるという気がしています。社会的な不安を和らげるような音楽が今後の邦楽のトレンドになっていくかも知れませんね。



1. 柴田聡子 「素直 My Favorite Things Ver.」(Best New Track -J-POP)

 

柴田聡子さんは、10月23日に最新アルバムのリミックス・アルバム『My Favorite Things』のリリースを予定しています。最新アルバムのハイライト曲である「素直」のリミックスバージョンが発売されました。

 

原曲はトロピカル調のトラックで、オルガンの裏拍を生かしたレゲエやスカのリズムが特徴でしたが、リミックス・バージョンでは、柴田さんのアコースティックの弾き語りが押し出された切ないフォークナンバーに生まれ変わっています。曲の持つメロディーの魅力が上手く引き出されたリミックスシングルで、途中に登場するハミングを生かした甘美的なコーラスに注目です。

 

 

 

 

配信リンク:https://ssm.lnk.to/Selfish

 

 

 

 

2.  北里彰久(Akihisa Kitasato) 「Oblivision」

 


北里彰久は作曲家/シンガー/マルチ奏者です。ブラジル音楽、ブルース、ソウルから影響を受け、新鮮味のあるJ-POPを提供しています。先月リリースされたニューシングル「Oblivision」は、セルフプロデュースの作品で、ボーカル、ギター、ベース、キーボードを北里本人が担当しています。ドラム、パーカッションにはサポートメンバーとして旧知の光永渉が参加。レコーディング、ミックスは内田直之が手がけ、シンプルながらも力強い楽曲の音像に色を添えています。

 

 ”Oblivision- 忘却”のタイトルが彷彿とさせる、モノクロ映画のような儚く幽玄なイメージを、どこか朴訥としたぬくもりとともに絶妙なアレンジで描きだしています。フォーク、ソウルを中心にぼんやりとした感覚を美麗な感覚で縁取ったシングル。秋の夜長に聴くのに最適なナンバーでしょう。

 

 

 


配信リンク:https://ssm.lnk.to/Oblivion

 

 

 

3.yomm 「本で読んだだけ」

 



韓国のシンガーソングライター、yommは10月16日に新作EPのリリースを控えています。5thシングル「本で読んだだけ」は”キセル”の辻村豪文が作詞作曲を手掛けた話題作。基本的には、キセルの系譜にあるフォークサウンドですが、今回の新曲ではベースラインを聴くとわかるように、ジャズのアレンジが施されています。今回のシングルでは、yommは軽快なポップスの楽曲の歌唱法とは対象的にマイルドで、アンニュイな感覚を持つボーカルを披露しています。

 

 

 

 

 

 配信リンク: https://yomm.lnk.to/Hondeyondadake

 

 

 

 

4.  Qnel 「サマーエンドロール feat. 」

 



 Qnelは高橋健介のソロ・プロジェクト。 LUCKY TAPESのアルバム『BITTER!』に収録された楽曲「脚本」のトラックメイク及び、「NO AID」のリミックスを手がけたことをきっかけにQnelとしての活動を本格化。 2022年4月にデビュー曲「Hikiai」をリリース。

 

ニューシングル「サマーエンドロール」は細野晴臣さんの「ハネムーン」の夏バージョンと言えそう。日本の昭和のフォークミュージックに軸足を起きながらも、モダンなJ-POPのテイストを付け加えています。この曲を聴いて、ひと夏の思い出にじっくり浸ってみてはいかがでしょうか。






配信リンク:https://www.youtube.com/watch?v=-QonXQAjBrg

 

 

 

 

5. Naive Superβ 「On Cloud 9」- Best New Tracks(J-POP)



 

シンセ/キーボード奏者として活動するYushi Ibukiによるホームメイド・シンセポップ・プロジェクト。ダンサンブルなナンバーからノスタルジア溢れる邦楽まで幅広いアウトプットが魅力です。


「On Cloud 9」はドラゴンボールのエンディング・テーマのようなイントロで始まり、シティ・ポップへと移行していく。アメリカのヨット・ロックにも近いまったりとしたシングル。テクノのビートの打ち込みも聞き所ですが、90年代のエイベックス・サウンドの系譜にある女性ボーカルにも注目です。


 

 

 


配信リンク: https://ssm.lnk.to/OnCloud9

 


前回の記事はこちら:  【J-POP TRENDS】 8月のJ-POPの注目作をピックアップ