Passepartout Duo(パスパルトゥー・デュオ)の新しいヴィルトゥオーゾ・スタジオ・アルバムであり、4枚目のフルアルバムとなる「Argot」は、シンセサイザーを通してアコースティック・ピアノのために作曲する可能性について深く再考している。このフルレングスはスウェーデン/ストックホルムのエレクトロニック・ミュージック・スタジオでのレジデンス期間中に書かれた。
この音楽には、米国の弦楽四重奏団インヴォーク、米国のコントラバス奏者アレックス・フルニエ、日本の和太鼓奏者でフルート(和楽器)奏者の住吉佑太(Yuta Sumiyoshi)も参加している。
エレクトロニック・ミュージックとアコースティック・ミュージックの境界線を曖昧にするパスパルトゥ・デュオは、音楽テクノロジーの非定型的な会話の中に新たなヴィルトゥオーゾ的リリシズムを見出す。
パスパルトゥー・デュオの4枚目のフル・アルバムであり、私たちが電子機器とどのようにコミュニケートし、コラボレーションするのかを深く追求した『アルゴット』は、シンセサイザーを知的なおしゃべりマシーンとして再解釈した作品である。
アルバムの各トラックは、アコースティックなグランドピアノの表面に神秘的な電子テクスチャーが万華鏡のように映し出される。シンセのヴォイスは、古代の空気と時代を超えた瞑想の感覚を呼び起こすシンプルなハーモニーのアドリブが特徴である。典型的なリズムの裏打ちがないため、マシンの未知の言語は不正確で予測不可能。他方、アコースティック楽器は、これらの非定型的なサウンドの中にリリシズムの探求を反映し、視界から遠ざかることはほとんどない。
ストックホルムのエレクトロニック・ミュージック・スタジオでの滞在中にスタジオ・アルバムとして企画された『Argot』は、1970年代のサージ・システムで録音された。これらの作品には、音声メロディーの転写技法が多用され、ピアノ・パートに複雑で、しばしば非慣用的な出発点を与えている。
このアルバムは、風変わりなもの、ドラマチックなもの、悲しげなもの、そして甘美なものの間を行き来し、時にはペルト(Arvo Part)のようなシンプルさを呼び起こす。アンセミックで明るい、あるいは運動的な瞬間は、「Get Along」や「Imitates a Penguin」の静謐な空間とは対照的である。
デュオの過去のリリースとは異なり、『Argot』では世界各地のミュージシャンの友人たちが参加している。「Colorful Quartz」では、日本の伝統的なフルートの名人芸がシンセサイザーの俊敏さに匹敵し、その調性の不安定さを繊細に際立たせている。
曲のタイトルは、それが象徴する音楽よりも明らかにシリアスではない。音楽の言語的性質に言及したクロスワードのヒントから生まれたこのフレーズは、別の意味を取り除けば一行詩となる。
Passepartout Duoのニューアルバム『Argot』は11月29日にリリースされる。 デュオの最新作は『Radio Yugawara』。この作品において両者は、Inoyama Landとコラボレーションしている。
Passepartout Duo 『Argot』
Tracklist:
1.Get Along
2.Much of a Sunflower
3.Colorful Quartz
4.Imitates a Penguin
5.Back in Time
6.Uncommon
7.Kissing in the Park, Briefly
8.It’s Just a Thought
9.Viols and Violas, in Mus. 03:
Passepartout Duo(パスパルトゥー・デュオ):
ニコレッタ・ファヴァリ(イタリア)とクリストファー・サルヴィト(イタリア/アメリカ)によって結成され、エレクトロ・アコースティックのテクスチャーと変幻自在のリズムから厳選されたパレットを作り上げるデュオ。2015 年から世界を旅して「スローミュージック」と呼ぶ創造的な楽曲を発表している。
アナログ電子回路や従来のパーカッションを使って小さなテキスタイル・インスタレーションからファウンド・オブジェまで様々な手作り楽器を駆使して専門的かつ進化するエコシステムを開発し続ける。著名なアーティスト・レジデンスのゲストや文化スペースでのライブ・パフォーマンスなどカテゴライズされる事なく活動。ウォーターミル・センター(米国)、スウォッチ・アート・ピース・ホテル(中国)、ロジャース・アート・ロフト(米国)、外国芸術家大使館(スイス)など世界各地で数多くのアーティスト・レジデンスの機会を得ている。また 2023 年には中之条ビエンナーレに参加し、4 月には”Daisy Holiday! 細野晴臣”に出演。2024 年には”ゆいぽーと”のアーティスト・イン・レジデンスとして来日し東北・北海道を訪れています。