【Interview】 Passepartout Duo  〜音楽は言語外にあるアイデアの伝達者として存在する〜

Interview- Passepartout Duo 



 

~  Music exists as a communicator of ideas outside of language~(音楽は言語外にあるアイデアの伝達者として存在する)  - Passepartout Duo(Nicoletta Favari)



Passepartout Duoは、ニコレッタ・ファヴァリ(イタリア)とクリストファー・サルヴィト(イタリア/アメリカ)により結成され、エレクトロ・アコースティックのテクスチャーと変幻自在のリズムから厳選されたパレットを作り上げる。2015年から世界中を旅しながら「スローミュージック」と呼ぶ創造的な楽曲を発表している。環境音楽から実験音楽まで幅広いですが、共通するのは、デュオの音楽は従来の系譜に属するものではなく、未知の体験に溢れていることです。

 

著名なアーティスト・レジデンスのゲストや文化スペースでのライブ・パフォーマンスなど、カテゴライズされる事なく活動を続ける。ウォーターミル・センター(米国)、スウォッチ・アート・ピース・ホテル(中国)、ロジャース・アート・ロフト(米国)、外国芸術家大使館(スイス)など、世界各地で多数のアーティスト・レジデンスの機会を得た。また、2023 年には「中之条ビエンナーレ」に参加、同年4月には「Daisy Holiday! 細野晴臣」に出演。2024 年には”ゆいぽーと”のアーティスト・イン・レジデンスとして来日し、東北・北海道を訪れています。

 

Passepartout Duoは、2020年のグラミー賞の最優秀ヒストリカルアルバム部門にノミネートされた『KANKYO ONGAKU』にも参加しています。2024年の夏にリリースされたイノヤマランドとのコラボレーション・アルバム『Radio Yugawara』に続き、ニューアルバム『Arogot』を11月29日にリリースする。本作は、ストックホルムのレジデンス開催中に考案され、モジュラーシンセのBuchla、Sergeとの出会いを通じて制作された。今回、デュオのメンバーでピアニスト、楽器の開発者でもあるニコレッタ・ファヴァーリに話を聞いた。

 


ーー前作『Radio Yugawara』が環境音楽を中心に構成されていたのに対し、『Argot』の作風は大きく異なります。アルバムでは、アコースティック・ピアノとアナログ・シンセによる前衛的なライブ・セッションを聴くことができました。このアルバムの制作のインスピレーションと全体的な構想について教えていただけますか?

 

Passepartout Duo(Nicoletta Favari):  私たちの活動は非常に雑食的であることを目指しているので、私たちの異なるプロジェクトが異なるスコープに分類されることは、それほど驚くことではありません。『Argot』は一種のサウンド・リサーチであり、私たちが数年間追求し、培ってきたもので、非常に原始的で高品質なサウンド・レコーディングにも努めている。


このアルバムは、『エピグラム』というタイトルの前作EPにつながるもので、ユニークなアナログ・シンセサイザーと、私たちが演奏するアコースティック楽器、アコースティック・ピアノやパーカッションを組み合わせるというアイデアなんだ。


このアルバムでは、特定の''Buchla''や''Serge''のシンセサイザーを初めて使う機会があったので、マシンのロジックやどのような音を作ることができるのかについて多くを学ぶことができた。そのおかげで、ピアノのための作曲の新しい可能性を想像するようにもなった。『ラジオ湯河原』では、イノヤマランドとの初めてのコラボレーションで何が可能かを想像していたし、他方『アルゴット』では、シンセサイザーとピアノの組み合わせで何が可能かを想像している。



ーーBuchlaやSergeなどのシンセサイザーはどのような機材ですか?普通のモジュラー・シンセサイザーとの違いはありますか?  大まかに教えてください。


Passepartout Duo(Nicoletta Favari): 現在のシンセサイザーは、何百という先代のシンセサイザーを参考にして、インターフェースや素材、機能性を決定することができますが、BuchlaやSergeにはそのような余裕はありませんでした。これらのモデルが作られた60年代や70年代には、純粋なエレクトロニック・ミュージックを作ることは可能でしたが、ミュージシャンにとって理にかなったアプローチを作るには時間と労力が必要でした。古いBuchlaやSergeのシステムで興味深いのは、これらの新しい疑問のすべてに答えようとする非常にユニークな試みだということだ。


これらのシステムは大部分がアナログであるため、非常に特殊な特性と不安定性を持っており、それが私たちの音の扱いや機械との共同作業のプロセスにとって非常に重要なのです。システムには(Buchlaタイム・ドメイン・プロセッサーのような)デジタルの要素もありますが、同様にテクノロジーの初期バージョンを探求しているため、興味深いアーティファクト(人工物)があります。



ーーレコーディングではインプロヴァイゼーション(即興性)が強調されているように感じました。どのようなサウンドを目指したのでしょうか? また、制作の中で最もエキサイティングな瞬間を挙げるとしたらそれはどんな瞬間にありましたか?


Passepartout Duo: 私たちは主に、シンセサイザーと一緒に作曲することで、シンセサイザーをそのプロセスにおけるもう1つの能動的なエージェント(代理)として扱い、独自の決定を下していくことをアルバムのプロセスとして考えていました。


これはマシンとのインタビュー(対話)のようなもので、パッチ(データやモジュール)を設定し、音符のセットを確立することで、いくつかの質問を投げかけます。マシンは、私たちが完全に予測できず、時には理解できないような答えを返してくる。これによって、レコーディング時に私たちが反応する会話が生まれ、すべての音響パートは、そうした音楽的会話から派生したものなのです。


実は、ピアノ・パートは、シンセサイザー・パートからトランスクリプション(曲ないしは音を譜面に起こすこと(記譜のこと)によって抽出されたコンポジションです。私たちは、シンセサイザーの音の最もメロディアスでハーモニックな要素を際立たせるため、主にユニゾンのテクスチャーに焦点を当てたいと思い、聴こえたものをできるだけ正確に記譜し、また、興味深い予測不可能な結果を生み出すことができるトランスクリプション・ソフトウェアも活用しました。


この2番目のステップによって、私たちの耳は、次に録音するアコースティック楽器のパートで、より精巧にしたり、より装飾的にしたりするような、作品のさまざまな方向性を聴き取ることができました。さらにフルート、コントラバス、弦楽四重奏など、ゲスト・ミュージシャンがさまざまなトラックに参加したことで、即興の世界がより鮮明になりました!  


まず第一に、私たちは彼ら全員を素晴らしいミュージシャンと見ていますので、完全な信頼を置いて決断しました。そして第二に、これらのトラックがまったく新しい次元で生き返ったのを聴くのは本当に信じられないことでした。


ーーこのアルバムでは、日本人の打楽器奏者の住吉さんが和笛を吹いています。彼をコラボレーターに選んだ理由はなぜでしょうか?


Passepartout Duo: 今年の初め、私たちはアーティスト・イン・レジデンスとして新潟で数カ月を過ごしました。思いつきの旅行で佐渡の鼓童村を訪ねたのですが、裕太はとても素晴らしいホストとして私たちを迎え入れてくれました。


彼はまた、自身の0onプロジェクトや、音楽レーベル、自身の音楽、そしてレコーディングのセットアップについて少しだけ話してくれた。

 

その後すぐに、新潟での小さなライブ・セットで即興演奏をする機会があったのですが、裕太がいかに簡単にプロジェクトに飛び込み、彼自身のユニークな声をシームレスに織り交ぜることができるのかと、信じられませんでした。ですから、私たちは、一緒に仕事をする機会を与えてくれたことに感謝していますし、このような寛大な心の持ち主に出会えたことに感謝しています。


『Argot』のためにコラボレーターに声をかけることを決めたとき、私たちはフルートが興味深いレイヤーを加えてくれるだろうとも考えました。フルートのフレージングは言語と同じように、呼吸(ブレス)の持続時間と強く結びついているからです。


ーーお二人は以前、細野晴臣さんのラジオ番組に出演されたことがあり、最後のアルバムは湯河原の温泉地でレコーディングされたそうですね。日本との関係はどのように始まりましたか? また、日本文化のどこに魅力を感じますか?


Passepartout Duo:  日本的な文化が好きな友人が、文学やさまざまな証言を通して彼女が心に描いてきた日本が、現実には存在しないことに気づくだろうから、日本には絶対に行きたくないな、と言ったことがありました。


たまたまクリスと私はここ数年のあいだ、何度も日本を旅行する機会があったけれど、その度に私たちの日本への想像は現実と出会い、そして離れている間に独自の成長を遂げ、再び現実に引き戻されたような気がしました。それはある種、興味深いダイナミックな関係を意味します。


ーー思っていたのと違った箇所もあったけれど、実体験によって、より深い理解を得たということですね。日本文化に対する見方について具体的に、どのようなときに予想外だと感じましたか?

に対する見方について。具体的に、どのようなときに「思ってい

Passepartout Duo: 地理的に日本のさまざまな地域を訪れることができ、その違いを感じることができたと思います。青森から佐渡まで、東京から京都まで、長野から徳島まで、地域によってリズムが違ったり、季節によって生活の意味合いが違ったりするのは、いつも驚きましたし新鮮でした。


ーーPassepartout Duoの音楽性を「スロー・ミュージック」と表現していますね。この音楽は「くつろげる、ゆったりとした音楽」と定義されるのでしょうか? この考えを「Argot」にも当てはめることはできますか?


Passepartout Duo:  私たちが "スロー・ミュージック "と言う場合、一般的には、構想や楽器の設計から最終的な音楽の完成に至るまで、多くの時間を要する段階からなるプロセスとしての音楽制作に対する私たちの全般的なアプローチを指しています。


実際、私たちが音楽制作をコントロールする上で、一方ではかなり具体的であるとしても、他方では、人々が私たちの音楽を聴くときの心の状態について、本当に予測することはありません。Argotでは、いくつかの曲を聴いた後の感情の状態をどう表現したらいいのか本当にわからない。私たちが音楽を聴くとき、特に興味があるのは、音楽を理解することと理解しないことの間の押し引き(境界線)なのかもしれない。私たちの考えでは、音楽は言語の外にあるアイデアの伝達者として存在し、楽曲の目的、反応、感覚を表現するのに通常の言語では不十分と感じています。しかし、私たちの側からアルゴについて確実に言えることは、「妥協のない音楽」ということです。


Argotは私たちが話していた「スローミュージック」のプロセスに入るのでしょうか?というのも、このプロジェクトは、私たちが新しい楽器を発明したり、作ったりする必要がなかったからです。また、ライブ・パフォーマンスという形式をとっていないため、聴く人それぞれが、どこでどのように聴くかによって、自分自身のリスニング体験を作り上げることになるからです。


ーーさて、お二人は頻繁に世界中を旅していらっしゃるようですね。旅先で出会った人々や文化、風景は、あなたの作品に影響を与えていますか? 旅の素晴らしさや醍醐味について教えてくださいますか。


Passepartout Duo:  私たちはこの7年間、旅を続けていますが、本当に幸運なことだと思います。この旅はまず私たちを人間として変化させましたし、そうして音楽にも浸透させている。作品を発表するために呼ばれる場所や状況が絶えず移り変わるので、私たちは常に練習方法を見直したり、新しく発見した音楽のテクニックや楽器の素材、リズムやアイデアに触発されることがよくあります。私たちは行く先々で、素晴らしいアーティストやミュージシャンに出会うだけでなく、美しいコミュニティやアーティスト・スペースの運営方法にも出会うこともある。


『Argot』に関しては、この微妙なプロセスを如実に表しています。というのも、もともとオーストリアのレジデンスでのブクラ・シンセサイザーとの出会いに触発され、スウェーデン、フランス、アメリカでのレジデンスのおかげで実現したものだし、中国や日本での旅からのインスピレーションも含まれています。もっと多くの人が旅行や旅をする機会を持てば、社会はもっと良くなると私たちは心から思っています!


ーーArgotは音楽として聴くことも、芸術作品として解釈することもできます。このアルバムに接した人たちに、どのような面白さを感じてほしいですか?


『Argot』のリスナーが、エレクトロニック・ミュージックとアコースティック・ピアノの両方に対する新しい考え方を発見できるような、新鮮なアルバムだと感じてくれることを願っています。


ーーPassepartout Duoの今後について教えてください。また、あなたにとって最も理想的な音楽と芸術の形は何ですか?


新しい旅の計画は続けていますし、新しいライブセットも現在開発中です。数ヶ月後には、ベルリンのKOMA Elektronik社と共同で製作・販売を開始した楽器、''Chromaplane''が多くの人の手元に届き、使われ始めるでしょう。自然はおそらく私たちにとって最もパワフルな音楽で芸術でもあるのです!

 

『Argot』に関するリリース情報はこちらからご覧ください。



【Episode In English】

 

The Passepartout Duo, formed by Nicoletta Favari (Italy) and Christopher Salvito (Italy/USA), create a carefully selected palette of electro-acoustic textures and mutable rhythms. Since 2015, the group has been traveling the world, presenting creative compositions they call “slow music”. The music ranges from environmental to experimental, but the common thread is that the duo's music is not part of a traditional musical lineage, but rather an experience of the unknown.


They continue to work without categorization as guests of prominent artist residencies and live performances in cultural spaces. He has had numerous artist residency opportunities around the world, including the Watermill Center (USA), Swatch Art Peace Hotel (China), Rogers Art Loft (USA), and Embassy of Foreign Artists (Switzerland). In 2023, they participated in the Nakanojo Biennale, and in April of the same year, they performed in “Daisy Holiday! Haruomi Hosono”. In 2024, they came to Japan as artists-in-residence for “Yui Port”, visiting Tohoku and Hokkaido.


The Passepartout Duo also performed on “KANKYO ONGAKU,” nominated for a 2020 Grammy Award in the Best Historical Album category, and released a collaborative album with Inoyama Land, “Radio Yugawara,” in the summer of 2024. Following this, he will release his new album “Argot” on November 29. 

 

This work was conceived during a residency in Stockholm, and was created through an encounter with modular synths "Buchla" and "Serge". We contacted with Nicoletta Favari, a member of the duo, pianist, and instruments developer.


--While the previous album "Radio Yugawara" was composed mainly of environmental music, the style of "Argot" is very different. On the album, we can hear an avant-garde live session of acoustic piano and analog synths. Can you tell us about the inspiration and general conception of the production of this album?

 

Passepartout Duo: Our practice aims to be quite omnivorous, so it is not really a surprise for us that our different projects fall into different scopes. Argot is a sort of sound research, something that we have been seeking and cultivating for a couple of years, and where we strive for very pristine and high quality sound recording too. It reconnects to our previous EP titled Epigrams, and the idea is to couple very unique analog synthesizers with the acoustic instruments we play, acoustic piano and percussion. 


In this album, we had the opportunity to use some specific Buchla and Serge synthesizers for the first time, and so we learned a lot about the logic of the machine and the kind of sound it can create. Because of this, we also started imagining new possibilities for writing for piano. Maybe what is in common between all of our work at a very basic level, is the understanding of music as the magic materialization of a possibility: in Radio Yugawara we were imagining what would be possible in a first time collaboration with Inoyama Land, and in Argot we are imagining what is possible pairing synthesizers and piano.


ーーWhat kind of equipment are synthesizers such as Buchla and Serge? Are there any differences between them and ordinary modular synthesizers?  Could you give us a general idea?


Passepartout Duo: When a synthesizer is made today, we can pull from its hundreds of predecessors to make decisions about the interface, materials, and functionality, but Buchla and Serge did not have this luxury. When a technology is new, there are no answers yet, just many questions - in the 60s and 70s when these models were made, it was possible to create pure electronic music, but creating an approach that made sense for musicians took time and effort, and so conventions were developed slowly. What is interesting about the older Buchla and Serge systems is that they are very unique attempts to answer all of these new questions.


Because the systems are largely analog, they have a very special character and instability that is very important to our treatment of the sound, and the process of collaborating with the machine. There are some digital elements to the systems (like the Buchla Time Domain Processor), but because they are similarly exploring early versions of the technology, they have interesting artifacts too.


--It seemed to me that improvisation was emphasized in the recording. What kind of sound did you aim for in this production? And if you had to name the most exciting moment in the production?


Passepartout Duo:  We mainly saw the process of the album as composing together with the synthesizer, treating the synthesizer as another active agent in the process contributing its own decisions. It was a sort of interview with the machine, where we pose some questions by setting up a patch and establishing a set of notes. The machine generates some answers back, answers that we cannot fully predict and sometimes cannot understand, even if they make sense based on the question asked. This creates a conversation that we’re reacting to when recording, and all the acoustic parts are derived from those musical conversations.


The piano parts are compositions that are extracted from the synthesizer part through transcription. We wanted to focus on primarily unison textures to highlight the most melodic and harmonic elements of the synthesizers’ sounds, notating out what we heard as accurately as we could, also making use of some transcription software that can produce interesting and unpredictable results. This second step helped our ears hear different directions the pieces could go, that we would elaborate or embellish in the acoustic instrument parts that were recorded next.


The contributions that guest musicians gave to different tracks on flutes, double bass, and string quartet live more clearly in the world of improvisation, and this was possibly the most exciting moment of the production for us! First of all, it was a step that we took with complete trust, because we see all of them as incredible musicians; and secondly, it was just incredible to hear these tracks come alive again in a completely new dimension: something that we thought we knew so well, was now sounding like we could have never imagined on our own, and this was really magical!


--On this album, Sumiyoshi-san, a Japanese drummer, plays the Japanese flute. What made you choose him as your collaborator?


Passepartout Duo:  Earlier this year we spent a couple of months as artists in residence in Niigata, and we were so lucky to meet a bunch of wonderful people involved with music. On a spontaneous trip we were taken to visit Kodo on Sado Island and Yuta hosted us as such a wonderful host. He also shared with us a bit about his 0on project, his music label, his own music, and his recording setup. 


Soon after, we had the chance to improvise during a small live set in Niigata, and it was so incredible how easily Yuta could jump into a project and seamlessly weave in his own unique voice. So we are very grateful for the chance to work together, and thankful for meeting such a generous soul! When we were deciding to reach out to collaborators for Argot, we also thought that these flutes would add an interesting layer because their phrasing is, like language, strongly connected to the duration of the breath.


--The two of you have appeared on Haruomi Hosono's radio program before, and your last album was recorded in the hot spring resort of Yugawara. How did your relationship with Japan begin? Also, what do you find favorable about Japanese culture?


Passepartout Duo:  A friend who is very fond of everything that is Japanese once told me that she would never want to visit Japan, because she would realize that the Japan she had cultivated in her mind through literature and different accounts does not exist in real life. 


It happened that Chris and I had many opportunities to travel back to Japan in the last few years, and I feel like every time our imagination of Japan meets reality and then has some time to grow on its own when we are away, and then back to reality again. That is a sort of interesting dynamic relationship.


--So you have gained a deeper understanding. Specifically, when did you find your view of Japanese culture unexpected?


Passepartout Duo: I think I was able to visit different parts of Japan geographically and feel the differences! From Aomori to Sado, from Tokyo to Kyoto, from Nagano to Tokushima, it was always surprising and refreshing to see the different rhythms in different regions and the different meanings of life in different seasons.


--You guys describe the musicality of Passepartout Duo as "slow music". Is this music defined as "relaxing, laid-back music that makes you feel at home"? Can we apply this idea to "Argot" as well?


Passepartout Duo:  When we speak of “slow music” we generally refer to our overall approach to music making as a process, made of many time-consuming phases from conception and instrument design to final fruition of the music. In fact, if from one side we are quite specific in the control that we have over the production of the music, on the other side we really don’t have predictions about the state of mind that people should have when listening to our music. 


And especially with Argot, we are really not sure how to describe the emotive state after we listen to some of the tracks. Maybe what we are particularly interested in when we listen to music is this push and pull between understanding and not understanding the music, so that in fact the act of listening is expanding our own understanding. In our view, music exists as a communicator of ideas outside of language, and we don’t feel language is normally sufficient to describe the purpose, response, and feeling of a piece. But from our side, what we can certainly tell about Argot is that it is music of no compromises.


Now, does Argot fall in the process of “slow music” that we were talking about? I think only partially, because this project did not require us to invent and build new musical instruments, and also because it does not really exist in the format of a live performance, so every listener will be curating their own listening experience depending on how and where they are listening to it.


--It seems that you two often travel around the world. Do the people, cultures, and sights you encounter on your travels have any influence on your work? Can you tell us about the beauty of travel?


Passepartout Duo:  We have been continually traveling for the past seven years, and we know we are really fortunate. This travel is first changing us as people, and in this way seeping through into the music too. Because of the shifting grounds and circumstances where we are called to present our work, we are constantly reframing our practice, and we are often inspired by newly discovered music techniques, materials for musical instruments, rhythms or ideas. 


Everywhere we go we encounter incredible artists and musicians, but also beautiful communities, and ways of running artist spaces, and the dedication of all of these people give us a lot of strength and motivation.


Argot is really a clear example of this subtle process, because it was originally inspired by our encounter with the Buchla synthesizer at a residency in Austria, it actually was made possible thanks to residencies in Sweden, France, and the US, and also includes inspiration from travels in China and Japan.


We truly think that if more people had the chance to travel or travel more often, our societies would improve!


--“Argot" can be listened to as music and interpreted as a work of art. What do you hope people who come into contact with this album will find interesting?


Passepartout Duo:  We hope that listeners of Argot will find it a refreshing album that allows them to discover new ways of thinking about both electronic music and acoustic piano, which is exactly what happened to us in the process of making it too.


--Can you tell us about the future of Passepartout Duo? Also, what is the most ideal form of music and art for you?


Passepartout Duo:  We continue to have plans for new travels, and we are developing at the moment a new live set as well, that will include some older and some newer instruments. 


In a few months many people will also start receiving and using the Chromaplane, the instrument that we have started producing and selling together with the Berlin-based company KOMA Elektronik, so we are really excited to see where that will take understanding of the instrument and of electronic music.Nature is probably the most powerful form of music and art for us!