ヨーロッパを代表する音楽レーベル〈ECM〉。1969年にマンフレート・アイヒャー(Manfred Eicher)によってドイツ・ミュンヘンで創設され、「沈黙の次に美しい音(The Most Beautiful Sound Next To Silence)」というコンセプトのもと、他のレーベルとは一線を画す透明感のあるサウンドと澄んだ音質、そして洗練されたジャケット・デザインで、世界中のファンを魅了してきました。
今年はレーベルの創立から55周年を迎え、1984年にスタートしたクラシック・シリーズ「ECM New Series」も40周年を迎えます。この節目を記念して、12月13日(金)から12月21日(土)まで、日本で初めてのエキシビションが東京都千代田区の九段ハウスにて開催されます。
エキシビションのテーマは「Ambience of ECM」、ECMのサウンドをさまざまな環境で楽しむプロジェクトです。楽曲はレーベル第1弾作品であるマル・ウォルドロン(Mal Waldron)の『Free at Last』(1969年)からクラシック・現代音楽を含む「ECM New Series」まで、レーベルの広大な音世界から岡田拓郎、岸田繁、原雅明、三浦透子、SHeLTeR ECMFIELD (Yoshio + Keisei)が九段ハウスのそれぞれのリスニング環境に合わせて選曲。部屋の建築様式とペアリングされたサウンド・システムで、全く異なるリスニング体験をお楽しみいただけます。
さらに、ミュンヘンから輸入した貴重なポスターアート38点を特別展示。ECMレコードが保有するこれらのアートは日本では初公開となるもので、館内を巡りながらECMの世界観を視覚と聴覚の両面で堪能することができる特別な機会です。
日程:2024年12月13日(金)~21日(土) ※12月21日(土)はレセプションのため招待者のみ
時間:10:00/14:00/18:00 (所要時間:1時間程度、事前予約制)
入場料:無料 (要予約)
予約:Peatix特設ページ(https://ambienceofecm.peatix.com)
会場:kudan house (東京都千代田区九段北1丁目15-9)
ECM:
独立系レコードレーベルECM(エディション・オブ・コンテンポラリー・ミュージック)は、1969年にプロデューサーのマンフレッド・アイヒャーによって設立され、今日までにさまざまなイディオムにまたがる1700枚以上のアルバムを発行してきた。
小さな文化事業として始まったこのレーベルの特別な資質は、すぐに認識されるようになった。1972年、『シュピーゲル』誌はECMに関する最初の記事として、ミュンヘンに住む29歳のプロデューサーが米国の著名な音楽家たちの関心を集めているというレポートを掲載した。シュピーゲル誌によると、ECMが「最高のジャズ録音」、つまり「サウンド、臨場感、プレスのゴールド・スタンダード」をリリースするようになったからだという。この時点では、ミュンヘンのレーベルは設立からまだ2年半しか経っていなかった。
ドイツのリンダウで生まれたマンフレート・アイヒャーは、ベルリンでコントラバスを学んだ。すぐにビル・エヴァンス、ポール・ブレイ、マイルス・デイヴィス、そして彼のベーシストであるポール・チェンバースといったアーティストの音楽への愛を知った彼は、ジャズに夢中になった。ドイツ・グラモフォンのプロダクション・アシスタントとして、彼はクラシック音楽の録音において最高水準を目指すとはどういうことかを学んだ。そして今、彼は即興音楽を同じ精度と集中力で録音し始めた。
新レーベルの最初のタイトルは、米国のピアニスト、マル・ウォルドロンの『フリー・アット・ラスト』だった。キース・ジャレット、ヤン・ガルバレク、チック・コリア、ポール・ブレイ、ゲイリー・バートン、エグベルト・ジスモンティ、パット・メセニー、ジャック・デジョネット、アート・アンサンブル・オブ・シカゴといったアーティストの先駆的な録音により、ECMは侮れないレーベルとしての名声を確立した。
1970年代後半には、メレディス・モンクやスティーヴ・ライヒなどの名前が定期的にECMのカタログに掲載されるようになり、1984年には楽譜に特化したニュー・シリーズを発表した。『タブラ・ラサ』でアルヴォ・ペルトの音楽を紹介したのを皮切りに、ニュー・シリーズは1200年にパリでペロタンが作曲したオルガナから現代作曲まで、幅広い範囲をカバーするようになった。