ロンドンのシンガーソングライター、Dana Gavanski(ダナ・ガヴァンスキー)は、クレイロやケイト・ボリンジャーがバロックポップやチェンバーポップを米国の現代的なポピュラーソングに盛り込むより数年前に、このジャンルを自身の作曲の中に取り入れていた。セルビア系という個性的なルーツを持つ歌手であるが、それらのコスモポリタンの性質は2022年のアルバム『When It Comes」の収録曲「Bend Away And Fall」にはっきりとした形で表れ出ていた。
昨年、ダナ・ガヴァンスキーは2024年のアルバム『LATE SLAP』に続き、ピアノをミューズにした『Again Again EP』を3月14日にFull Time Hobbyからリリースする。バロックポップをベースにしたソングライティングのセンスは抜群で、従来はギターで曲を書いていたが、前作からはピアノを中心にソングライティングを行うようになった。
今年4月に3枚目のスタジオ・アルバム『LATE SLAP』を発表して以来、ガヴァンスキーは多忙を極めている。
イギリスでのヘッドラインツアー、(テキサスのフォークシンガー、ワクサハッチーとPlainsというユニット名で活動していた)ジェス・ウィリアムソンのサポートツアー、アドリア海での海水浴、銀細工の仕事をこなす傍ら、新曲にも取り組んでいる。「何かの終わりと、別のプロジェクトや探求の始まりの間には、絶妙なバランスがあることがある。人生に落ち着く時間を与えたい」
スタジオに戻ったガヴァンスキーはアップライトピアノで曲を書いた。この楽器への愛が再燃したことについて、ガヴァンスキーは語っている。「ピアノを弾いていると、大きな子供のような気分になるの。自分の手が上下に動くのが好き。コードを打つたびに、鷲が舞い上がるみたいにね」
EPのリードシングル「Business of the Attitude」では、彼女は子供っぽいというより大人っぽく、ボウイ風のコーラスやシンセを駆使したアート・ポップだった『LATE SLAP』とはサウンド的にかけ離れている。
物悲しい曲調ではあるが、ガヴァンスキーにとってこの曲は、「物事を解決しようとすること、あるいは物事を消し去ろうとすることのむなしさを歌っている部分もある」という内容だという。
セカンド・シングル「Living Home Again」は、変容と明るさを歌ったもので、「自分という人間と折り合いをつけることの冗談であり、生きていることの本質的な遊び心でもある」と彼女は語っている。物事を深刻に考えすぎず、人生の不確実性を受け入れることを歌っている。
新曲の制作中、ガヴァンスキーは自分の直感に従っていることに気づいた。「最初は意識的な決断ではなかった」と彼女は言う。
彼女はシド・ケンプ(ウルリカ・スペイセク、クラック・クラウド、HAHAサウンズ・コレクティブ)のスキルを借りて、より「完璧さにこだわることなく、その場にいるようなライブ感」を表現することに成功した。
「その頃、私はもっとピアノ・バラードの曲を聴いていて、声と1つの楽器だけというソングライティングの基本に立ち返っていたと思う」とソングライターは言う。イギリスというよりも、ヨーロピアンな雰囲気を持つシンガーソングライターの新作EP『Again Again』に注目したい。
Dana Gavanski 『Again Again』 EP
Label: Full Time Hobby
1.Business of the Attitude
2.Bolted Heart
3.Hang in for Us Both
4.Leaving Home Again 02:48
5.My Oh