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Flip Top Head 『Triateral Machine』- EP


Label: Blitzcat

Release: 2026年1月30日

 

 

Review

 

英国/ブライトンのアートロックグループ、Flip Top Head(フリップ・トップ・ヘッド)はコレクティヴの編成で構成され、6人のメンバーを擁している。

 

彼らは、”カルトロック”を自称するグループであるが、Caroline、The Last Dinner Party、The New Evesの系譜にあるサウンドを特徴としていて、ロックオペラやフォーク、実験的なロックサウンドを織り交ぜ、個性的な音楽世界を構築している。


Flip Top Headを最初に当サイトで紹介したのは、2023年の「Alfred Street」だった。マスロック/ポストロック的なサウンド、Led Zeppelinのようなハードロック、物悲しさを感じさせるボーカルラインなど、 個性的な音楽センスが盛りだくさんだった。ミュージックビデオも古めかしい町並みをバンドメンバーが疾走するという、なかなか微笑ましい感じの内容だった。現在、Flip Top Headはベースメントやインディーズの範疇に収まるバンドではありながら、独創的なサウンドを制作しようとしている。

 

現時点では、Flip Top Headの作品はシングルとEPの発売にとどまっている。『Trilateral Machine 』は確認出来たかぎりでは、二作目のミニアルバムのリリースとなる。シングルではバラバラに散らばっていたマテリアルがミニアルバムという形で収められると、明確な形になってきたという気がする。Flip Top Headは、6人という分厚いアンサンブルを象徴するかのように、メインボーカルに加え、複数のボーカリストが メイン的な役割を担う。メインは女性ボーカルだが、他のイギリスのロックバンドのように、一人のフロントパーソンだけが大活躍するという感じではない。それぞれが個性を持ち寄り、どんなサウンドができるかの試作、あるいは実験である。

 

彼等は、マスロックやポストロックのような変拍子のサウンドを織り交ぜたり、曲の展開がいきなりジャンプしたりと、予想出来ない独創的な音楽性をはらんでいる。現時点では、メインボーカルのペーソス溢れる切ないメロディーセンスがカルト的なロックサウンドの支柱となっている。ボーカリストはアイルランド民謡のような地域性のある古典的な音楽を、ロックオペラのようにドラマティックに歌い上げ、それらが現代的なロックサウンドの基底に組み込まれる。


まだ、全体的には、完成されたサウンドとは言い難いが、その荒削りな魅力はインディーズロックのファンの心に響く何かがあるに違いない。そして、The Who、Led Zeppelinのような70年代のロックバンドの影響を感じさせるとはいえ、その中には、80年代後半のブリットポップへの親しみもある。


例えば、後半の収録曲「What I Really Want To Know」は、ザ・スミスのサウンドに近い。一般論として、The Smithsの追走者になることを、多くのバンドは避けてきた印象もあるのだが、ここでは、マーやモリッシー的なセンスを受け継いでいる。

 

今作もまた、ポストロックのセンスが健在であるが、実際の音楽性については深度を増したように感じる。「Porcelain Plugs」では、複数のギターのアルペジオの重なり、そしてゆったりとしていて安定感のあるドラム、そして悲しみと癒しに満ちたヴォーカルが混在し、その中で、アイルランド民謡に根ざしたメロディーが独創的な音楽世界を作り上げる。短調を中心とした曲展開の中で、その中で雲間から一筋の光が差し込むように曲調が明るくなることもある。

 

さらに、2分後半以降は、変拍子が随所に散りばめられ、プログレッシヴロック寄りの展開を見せることも。やがて、ロック的な曲展開から、オペラやバラードのような別の音楽性へと繋がっていく。これらの予測出来ない音楽性へと繋がる瞬間は、やはりコレクティヴならではのものだろう。特に、彼らはリズムの側面で独創的な才覚があり、曲の後半では、6/8の性急な拍子へと構成を様変わりさせる。イントロは、基本的な四拍子であるが、後半では三拍子中心の拍動へとドラスティックな転換を遂げる。すると、同じような歌の旋律でも、まったく異なる音楽であるように聞こえるのだ。

 

2曲目に収録されているタイトル曲などは、彼らのマスロックの嗜好が滲み出た一曲である。80年代後半から90年代は、アメリカのインディーズに限られていたこの音楽が、最近ではイギリスのバンドを中心に再興しつつある。これらはエモやパンクを経た後の実験的なロックサウンドとして注目を浴びつつある。「Trilateral Machine 」では、それらのマスロック/ポストロックの文脈を強かに踏襲し、フォークサウンドと結びつけ、新鮮味溢れる音楽性を築き上げている。この曲は、ロンドンのバンド、Honeyglazeのサウンドにも近い風味が感じられるかもしれない。曲のリズムやアンサンブルはかなり複雑なのだが、ボーカルはシンプルで聞きやすさがある。例えば、この曲の後半を聴くと、英国のロックは新しいステップにさしかかっていることを実感する。

 

「My Greatest Hits」は、Carolineのアートロックのサウンドをスポークワードなどを散りばめて、再構築しようとしている。イギリスのニューウェイヴを近年のポストパンクという視点を通して、どう組み替えられるかの試みだ。 また、ボーカリストのスポークンワードの語りの中には、The Last Dinner Partyのようにロックオペラからの参照もあり、また、舞台芸術の音楽性を感じさせることもある。楽曲そのものに、舞台芸術や演劇が付随するような音楽だ。

 

おのずと楽曲の中には、視覚的な効果が組み込まれていることは明らかだろう。それらが、このグループらしい独創的な音楽性で組み上げられ、ドラマティックな瞬間を呼び起こす。それは、六人組としての個性の化学反応ーースパークーーが生じた貴重なモーメントでもある。また、Flip Top Headのサウンドは、必ずしも轟音やノイズの側面だけが特徴ではない。特に、静けさや沈黙にフォーカスが絞られるときもある。それは、この曲の四分半以降のクワイアの合唱に宿る。こうした多角的なサウンド構成を織り交ぜながら、最終的には、一体感のあるアルトフォークに行き着く。言ってみれば、一曲の中に、ミルフィーユのように様々な構造が混在していておもしろい。

  

 「What I Really Want To Know」もまた興味をそそられる一曲である。先にも述べたように、マー、モリッシーの系譜にあるThe Smithsのようなペーソスに満ちたサウンドがベースになっている。しかし、カクカクとしたマスロックのリズムがそれに加わると、やはり独創的なサウンドが生み出される。決してポピュラーな音楽とは言えないが、全体的なメインボーカルには、何らかの親しみを感じさせ、ついつい聴き込んでしまうのが不思議だ。この曲の中には、おそらく、ブライトンの寛容的な多彩な文化観が盛り込まれているという気がする。また、彼らの音楽的なアイディアは瞬発的に終わることはない。彼らはじっくりと曲の次のセクションへ繋げて、スムーズに展開させる術を知っている。これもまた演奏力の高さや音楽の理解力の賜物であろう。そういった中で、この曲は、アンセミックなフレーズを呼び起こすことに成功している。サビ(コーラス)で聞かれるような癖になるボーカルのフレーズが魅力だ。

 

メインボーカルの節回しは、オペラ風になったり、民謡風になったりと、変幻自在なキャラクターが沢山盛り込まれている。本作のクローズ曲「The Ladder」は、レトロなシンセを活かしたプログレッシヴロックソングで、フロントパーソンやボーカリストとしての存在感が際立った一曲だ。独特なボーカルの節回し、ドラムのパーカッシヴな迫力も然ることながら、この曲には得難い魅力が滲んでいる。


めくるめくようなアンサンブルや全般的な楽曲の展開は、UKプログレッシヴロックの系譜に属しているが、その中でじっと耳を澄ましていると、メインボーカルの音楽的な感性が明瞭に浮かび上がる。そこには、なにか大きく期待すべき音楽性が偏在していることに気がつく。曲のクライマックスでは、EPに似つかわしくない、壮大な音楽的な感性を捉えることができる。まだまだアイディアが沢山あるという感じで、これからの活躍がとても楽しみな存在だ。

 

 

 

80/100 

 

 

 


ボブ・モールド率いる90年代のバンド、Sugarが再結成ツアーを発表した。春に英国と欧州、夏の終わりから秋にかけて北米を巡る。「Love You Even Still 2026 World Tour」は、5月にニューヨークのウェブスター・ホールとロンドンのO2フォーラム・ケントイッシュ・タウンで行われる既に完売した公演に続く。 秋の公演の大半はジャウボックスのJ・ロビンスとの共演が予定されている。


シュガーの30年ぶりの新曲「House of Dead Memories」が7インチ・シングルとして5月1日にBMGよりリリースされる。


B面には別の新曲「Long Live Love」を収録。今回この新曲がミュージックビデオで公開された。Sugarらしいメロディアスなロックソングで、おのずと元気がみなぎってくるような一曲である。「『Long Live Love』は2007年、ワシントンDC在住時に書いた曲だ」とボブは語る。 


「ジョージ・W・ブッシュ政権下で、BlowoffのDJ活動に没頭しながらもギターでポップソングを書き続けていた時期だ。『Garbage 2.0』は、私の無人島に持っていくアルバムの一つなのだから、『Long Live Love』が忘れ去られたGarbageの曲を彷彿とさせるのも当然だろう!!」

 

「Long Live Love」


オーストラリアのシンガーソングライター、Courtney Barnett(コートニー・バーネット)の4作目のアルバム『Creature of Habit』が3月27日にMom+Popよりリリースされることが発表された。


本作には先行シングル「Stay In Your Lane」を収録。新たに公開された新曲「Site Unseen」では、ワックサハッチーのケイティ・クラッチフィールドがハーモニーを担当。コットニー・バーネットらしいジャングリーなインディーロックソングで、良い雰囲気が滲み出ている。

 

「この曲を2年間で3度もレコーディングを試みたけど、毎回完成しなかったり、納得のいく音にならなかったりして、毎回最初からやり直さなきゃいけなかった」とコートニーは述べている。 

 

「頭の中でずっと高音のハーモニーが響いていたので、4度目にして最後のバージョンでケイティに一緒に歌ってくれないかとお願いしたの。私はワックサハッチーの大ファンで、ケイティのソングライティングと歌声が大好きだから、『Site Unseen』で歌ってもらえたのは光栄だったわ」と語っている。

 

 

「Site Unseen」- ft. Waxahatchee 


Courtney Barnett 『Creature of Habit』

Label: Mom+Pop

Release:  2026年3月27日

 

Tracklist: 

 

1.Stay In Your Lane

2.Wonder

3.Site Unseen (featuring Waxahatchee)

4.Mostly Patient

5.One Thing At A Time

6.Mantis

7.Sugar Plum

8.Same

9.Great Advice

10.Another Beautiful Day

 

Pre-save: https://cbmusic.lnk.to/CreatureOfHabit 

©︎Daria Kobayashi Ritch

Snail Mail(スネイル・メール)が3rdアルバム『Ricochet』のリリースを発表し、先行シングル「Dead End」を公開した。ニューアルバムは3月27日にマタドールから発売される。


5年ぶりのアルバムで、彼女は新たな明晰さと統制力を携えて帰還し、研ぎ澄まされた視点を持つ世代を代表するソングライターとしての地位を確立した。初期作品が若き恋の感情的な激動を描いたのに対し、『Ricochet』はより深い執着を露わにする——時間、死、そして愛するものが静かに消えゆくのを眺める恐怖を。 収録された11曲は内省と不安、そして受容に満ちている。それは、たとえ個人の小さな世界では何が起ころうと、世界は変わらず回り続けるという認識の表れだ。 


『Ricochet』はシンガーソングライター、リンジー・ジョーダンによるプロジェクト、スネイル・メールにとって2021年のアルバム『Valentine』以来のリリースとなる。発表と同時に公開された先行シングル「Dead End」は、ジョーダンが郊外の青春時代を悼む楽曲で、ノースカロライナ州の田舎で撮影されたミュージックビデオが同時に公開された。


リンジー・ジョーダンは映像についてこう語る。「『Dead End』のMVは、人生で最も寒い夜の一つに、午後5時から午前4時までかけてノースカロライナ州の田舎のあちこちで撮影しました。花火を目立たないようにするのが目的でしたが、誰かが警察に通報してしまったんです」


本作は、ジョーダンがニューヨークからノースカロライナへ移住した時期に執筆され、プロデューサー兼ベーシストのアーロン・コバヤシ・リッチ(Momma)と共にノースカロライナのFidelitorium Recordings、ブルックリンのNightflyおよびStudio Gで録音された。彼女の創作プロセスにおける新たな方向性を示す作品と評されている。 


「これまでやったことのない手法でしたが、ピアノやギターで全インストゥルメンタルとボーカルメロディを書き上げ、その後1年かけて歌詞を一気に詰め込みました」と彼女は説明し、レコーディングセッションについて「新鮮で、信頼感があり、居心地が良かった」とコメントしている。


「Dead End」

 

 

Snail Mail 『Ricochet』


Label:  Matador
Release: 2026年3月27日

Tracklist

1. Tractor Beam

2. My Maker

3. Light On Our Feet

4. Cruise

5. Agony Freak

6. Dead End

7. Butterfly

8. Nowhere

9. Hell

10. Ricochet

11. Reverie 


ニューヨークのシンガーソングライター、ミツキ(Mitski)が8枚目のスタジオ・アルバム『Nothing’s About to Happen to Me』を2月27日にDead Oceansよりリリースすることを発表しました。

 

先行シングル「Where’s My Phone?」のミュージックビデオを公開。ライブバンドとオーケストラを従えた本作では、ミツキが荒れ果てた家に引きこもる女性を主人公とした豊かな物語世界に没入している。 家の外では彼女は逸脱者であり、家の中では自由である。 


本日公開のファズが効いたロック曲「Where’s My Phone?」は、アルバム全体に広がる音とエネルギーの幅をほのめかす。

 

「どこに行ったの? // 私の電話はどこ? // 私の電話はどこ? // どこに置いたの? // どこへ行ったの? // どこへ行ったの?」と彼女は歌う。ニューヨーカー誌の漫画家エミリー・フレイクが、その解釈を下記の漫画で描いている。


「Where's My Phone?」はノエル・ポール監督による、狂気じみた感情の万華鏡のようなミュージックビデオと同時に公開された。シャーリー・ジャクソンの小説『我らは常に城に棲む』を基に、遊び心のある原始的な映像手法を用い、ミツキがゴシック調の屋敷で妹を守ろうとする偏執的な女性を演じ、次第に荒唐無稽化する人間の障害と戦う姿を描く。 複雑な心理的パレットを創り出す侵入者たち——脅威的であれ友好的であれ——が次々と押し寄せ、完全なる大混乱へと発展していく。 


ミツキが全楽曲を作詞作曲し、全ボーカルを担当した『Nothing’s About to Happen to Me』。パトリック・ハイランドがプロデュースとエンジニアリングを担当し、ボブ・ウェストンがマスタリングを手掛けた本作は、2023年発表の『The Land Is Inhospitable and So Are We』で確立された音楽的テーマを継承。ツアーバンド「The Land」による生演奏とアンサンブル編曲が特徴となっている。 オーケストラ録音はサンセット・サウンドとTTGスタジオで行われ、ドリュー・エリクソンが編曲・指揮を担当、マイケル・ハリスがエンジニアリングを担当した。


先行曲「Where's My Phone」はミツキとしては珍しくインディーロックソングである。ただし、ミツキ節は健在。ミュージックビデオは真摯さと笑い、狂気とユーモアが混在した絶妙な内容となっている。

 

 

 「Where's My Phone」

  


Mitski 『Nothing’s About to Happen to Me』


Label: Dead Oceans

Release: 2026年2月27日


Tracklist:

1.In a Lake

2.Where’s My Phone

3.Cats

4.If I Leave

5.Dead Women

6.Instead of Here

7.I’ll Change for You

8.Rules

9.That White Cat

10.Charon’s Obol

11.Lightning

 

▪Pre-order: https://mitski.lnk.to/NATHTM 

シカゴのインディーロックバンド、ラットボーイズが2月6日にニューウエストからアルバム『Singin' to an Empty Chair』をリリースする。その4枚目のシングル「The World, So Madly」を公開した。カントリーとインディーロックが融合したセンチメンタルな楽曲である。


バンドはヴォーカリスト/ギタリストのジュリア・スタイナー、ギタリストのデイヴ・サガン、ドラマーのマーカス・ヌッチオ、ベーシストのショーン・ノイマンで構成されている。


スタイナーはプレスリリースでニューシングルについて次のように語っている。「ボイスメモを振り返ってみると、この曲の原案は2023年1月1日に録音したもので、新しい始まりの曲のように感じられる。セッション中はほとんど午前中にレコーディングしたし、歌詞は人生の大きな変化、そして人生の変化し続ける性質との折り合いをつけることに焦点を当てている。当時、ニュースで展開されていたある出来事についていろいろ考えていたんだけど、歌詞はオープンにしたかった。"誰もが聴いて、この曲の中に自分の人生を見つけることができるようにね。



バンドはウィスコンシン州のドリフトレス・エリアにある75エーカーの土地のキャビンで新曲を書き、デモを行った。そして数ヵ月後、彼らはそこに戻り、共同プロデューサーのクリス・ワラ(デス・キャブ・フォー・キューティー、テガン&サラ)と1週間仕事をした。その後、ワラと共にシカゴにあるスティーヴ・アルビニのエレクトリカル・オーディオ・スタジオに移り、最終的にはイリノイ州エバンストンにあるローズバッド・スタジオに移った。


「ノイマンはプレスリリースの中で、「私たちはこのレコードをキルトのように作りたかった。「曲ごとに違うシーンがあるようにアプローチしたんだ。曲のある部分は異なる空間で録音され、それぞれの曲のストーリーを伝えるために、アルバムを通してその空間を行ったり来たりしているんだ。


スタイナーは、『Singin' to an Empty Chair』の制作に取り掛かる前に初めてセラピーを受け始め、それがアルバムの歌詞に影響を与えた。そのタイトルは、"The Empty Chair "テクニックにちなんでいる。


「このアルバムの大きな、包括的なテーマは、親しい愛する人と疎遠になった経験を記録しようとしたことです」と彼女は言う。「目標は、私の人生で何が起こっているのかをこの人に報告し、その行き詰まりを埋め、空白の時間に手を差し伸べようとすることです」。


『Singin' to an Empty Chair』の制作を総括して、スタイナーは言う。「このレコードを作った経験は、次に何が起ころうと、間違いなく私に希望を与えてくれる。いい日、友情と愛に満ちた日もたくさんあるし、くよくよしてその溝を埋めたいと切実に思う日もある。それが私の人生なんだ。だから、私にとってこのアルバムは、タイムカプセルの中のキルトのように、それらの日々をつなぎ合わせた記録であり、時が来れば掘り起こされるのを待っているものなんだ」



「The World, So Madly」

ロンドンのインディーロックバンド、Daughterが未発表曲「Not Enough」をリリースしました。この曲は、セカンドアルバム『Not To Disappear』の10周年を記念して発売された。

 

この新曲は、2023年のアルバム『Stereo Mind Game』以来、約3年ぶりの新曲となる。「Not Enough」は元々『Not To Disappear』のレコーディングセッション中に書かれたもので、バンドはデモも録音していたが、最終的なトラックリストには収録されず、長らくお蔵入りしていた。 

 

2025年11月、ドーターはこの楽曲を再構築し、ロンドンのTotal Refreshmentスタジオで再録。ギタリストのイゴール・ヘーフェリがプロデュースを担当し、ニコラス・ヴァーン(Deerhunter、Animal Collective、War On Drugs)がミキシングを手掛けた。


バンドはこの曲について次のように語る。「『Not Enough』は『Not To Disappear』に収録されなかったが、私達はこの曲を愛していた。ライブで数回演奏したこともあったが、ハードドライブに埋もれたデモのままになっていた。今回、アルバム発売10周年を記念し、あの時代に未完成のまま残された楽曲の数々を再訪したいと思った。 2025年11月、ついに全員で再びロンドンに集結し、スタジオで『Not Enough』を共に録音した。今はそれぞれ別の場所に住み、最近の作業はリモートで行われることも多いが、この瞬間は昔を思い出させるものだった」

 

 「Not Enough」


キム・ゴードン(元ソニック・ユース)が新ソロアルバム『PLAY ME』を発表。ミュージックビデオを通じて先行シングル「NOT TODAY」を公開した。『PLAY ME』は3月13日にマタドールよりリリース予定。ケイト&ローラ・マルーヴィーが「NOT TODAY」のビデオを監督。下記でビデオを視聴後、アルバムのトラックリストとジャケットアートワークを確認できる。


『PLAY ME』はゴードンの3枚目のソロアルバムで、2024年発表の『The Collective』に続く作品となる。(レビューを読む


前作同様、プロデューサーのジャスティン・レイゼン(チャーリーXCX、スカイ・フェレイラ、イヴ・トゥーマー)と再びタッグを組んだ。


キム・ゴードンはプレスリリースでこう語っている。「曲を短くしたかった。本当に早く作りたかった。より集中していて、おそらくより自信に満ちている。私はいつもリズムを基に作業するタイプで、前回よりもさらにビートを重視したかった。ジャスティンは私の声と歌詞を本当に理解し、私の作業方法を把握している——このレコードではそれがさらに顕著に表れている」

 

前作アルバムでは、先鋭的な音楽性を選んだアーティストだが、ニューシングルでは、ソニック・ユース時代の実験的なオルタナティヴロックに回帰し、ローファイな質感が強調されている。 


「NOT TODAY」



Kim Gordon 『PLAY ME』


Label:Matdor 

Release: 2026年3月13日 

 

Tracklist:


1. PLAY ME

2. GIRL WITH A LOOK

3. NO HANDS

4. BLACK OUT

5. DIRTY TECH

6. NOT TODAY

7. BUSY BEE

8. SQUARE JAW

9. SUBCON

10. POST EMPIRE

11. NAIL BITER

12. BYEBYE25!


 

Panda Bearの「Venom's In」デモバージョンが、キャス・マコームズとのコラボレーションで録音され、初のデジタルリリースを果たした。「Venom's In」は、2月にリリースされたパンダ・ベアの8作目となるアルバム『シニスター・グリフト』に初収録された楽曲である。

 

アニマル・コレクティブの共同創設者ノア・レノックスの別名であるパンダ・ベアは、当初この曲をシンガーソングライターの仲間であるキャス・マッコムズへの贈り物として書き上げたが、マッコムズは自身の作品としてリリースすることはなかった。 マッコムズ版はこの曲の隠れた存在であり続け、4月のレコードストアデイ向けに特別プレスされた7インチ盤で初めて公開された。この盤ではA面にパンダ・ベア版、B面にマコームズ版が収録されていた。本日、このデモ音源が各ストリーミングサービスで配信開始となった。

 


「Venom’s In」 

 


ロンドンの四人組、Dry Cleaning(ドライ・クリーニング)が「Let Me Grow and You’ll See The Fruit」をリリースした。


「Let Me Grow and You’ll See The Fruit」には、BULLYACHE が振り付けを担当した別のダンスビデオが付属しており、今回はシカゴを拠点とする実験的なジャズおよびメタルミュージシャン、ブルース・ラモントが主役を務めています。ラモントのサックスは「Let Me Grow…」の大部分で聴くことができます。


Secret Love は、フロントマンのフローレンス・ショー、ギタリストのトム・ダウズ、ドラマーのニック・バクストン、ベーシストのルイス・メイナードの深い友情をこれまでで最もよく表現した作品です。


ロンドン南部の 4 人組は、ロックの前衛的な地位を確立し、80 年代初頭のアメリカのパンクやハードコアに見られたレーガノミクス的なパラノイアを、キース・リチャーズの乾いたストゥート、ストーナー・ロック、 ディストピア的な退廃、遊び心のあるノーウェーブ、牧歌的なフィンガーピッキングを融合させた。


一方、フローレンスの歌は、バンドメイトたちのサウンドスケープに細心の注意を払って調整されており、ローリー・アンダーソンからライフ・ウィズアウト・ビルディングズのスー・トンプキンスに至る、スポークンワードアーティストの系譜に彼女を位置づけている。


「Let Me Grow and You’ll See The Fruit」は、先行リリース曲「Cruise Ship Designer」と「Hit My Head All Day」に続く、次期アルバム『Secret Love』からの3rdシングル。ボーカル兼作詞家のフローレンス・ショーは「この曲は過度の集中と孤独について。日記のような告白的で、意識の流れのスタイルで書かれた作品です」と語っている。


「Let Me Grow and You’ll See The Fruit」


新曲発表と同時に、ドライ・クリーニングが北米ツアー日程を来年へ延期せざるを得ないことが明らかになった。バンドはこの決定について声明を発表した。


「本日『Let Me Grow…』を皆様と共有できる喜びとは別に、重い心で重要な知らせをお伝えしなければなりません。2026年1月/2月の米国ツアーを5月に延期するという苦渋の決断を下さざるを得ませんでした。これは複数の要因によるもので、特に現代のツアーを支配するますます厳しい経済的要因が大きな理由です」


「幸いにも、当初の公演の大半は日程調整が可能となり、ご希望の方には全チケットを有効とさせていただきます。ご希望でない場合は払い戻しにも対応いたします。残念ながら、旅程短縮の影響で全日程の調整が叶わなかった公演もございます。払い戻しは購入場所にて承ります。私たちは可能な限り早く皆様の前で演奏できるよう全力を尽くします。皆様のご理解と変わらぬご支援に心より感謝申し上げます。愛を込めて、D.C」


ロサンゼルスのテラグラム・ボールルームで行われた3公演を収録したライブ・コンサート体験映画『Boiled Alive』をDIIVがリリースする。 明日(12月5日)公開される新作映画『Boiled Alive』には、完全版ライブアルバムが付属。デジタル配信に加え、CDとカセットテープで物理リリースされる。


本作は、クリス・コーディがプロデュースした同時発売のライブアルバムと共に初公開される。アルバムには2024年リリース作『Frog In Boiling Water』の全曲が収録されている。バンドはライブパフォーマンスの質へのこだわりを強調し、より多くの観客に届けるとともに、ポストパンク/シューゲイザーサウンドの世界観をさらに構築することを目指している。


今年初頭、同グループはロサンゼルスのテラグラム・ボールルームで3夜連続公演を行い、ジャクソン・ウィッティントン監督が実験的なコンサート映画の編集を任された。


「バンドとして、私たちは常にライブ環境で最高のパフォーマンスを発揮してきました」とバンドは語る。「アルバム制作と同じくらい、ライブのクオリティにもこだわっています。フロッグでのセットを撮影することは、私たちのライブをもっと多くの人に届ける方法であり、アルバムの世界観をさらに広げる機会だと感じました。この作品を楽しんでいただければ幸いです」 

 

監督ジャクソン・ウィッティントンは付け加える。「DIIVのスタジオで一度会っただけで、彼らがこのプロジェクトを説明してくれた方法に非常に刺激を受け、彼らと仕事をするのが楽しみだと確信しました。バンドはすでにアルバムを取り巻く美しく複雑な世界を構築しており、それが非常に興味深く、発展させるのが容易でした。他のメンバーや他の時期では、この作品は生まれなかったと思います」

 

DIIVの魅力を再訪ためのまたとない機会である。ライブフィルムの詳細はこちらから確認出来る。


「Reflected」 

 


シカゴのロックバンド、Ratboys(ラットボーイズ)が新作アルバム『Singin’ to an Empty Chair』に収録される3曲目のシングル「What's Right」をリリースした。

 

「What's Right」は、カントリー、ロック、パワーポップの要素が凝縮された爽快感のあるナンバーです。「I think you know what's  right time」のフレーズが心に染みる。

 

「この曲はスタジオでの実験的なアプローチで制作しました。3つの異なる音響環境で録音したドラム演奏を組み合わせ、楽曲内の劇的な場面転換を導くように構成したのです。” The War On Drugs”のようなタイトでありながら広がりのあるサウンドと、映画『テルマ&ルイーズ』の砂漠の風景を参考にしました。この曲の後半部分は、夢の中で思い浮かんだもので、目覚めた直後にそのアイデアをすぐに録音した、数少ない例のひとつです」

 

「歌詞とメロディーのほとんどはその瞬間に生まれたもので、今でもそのことに驚くと同時に、とても感謝しています」と、フロントマンのジュリア・スタインは新曲について語っている。

 

Ratboysのニューアルバム『Singin’ to an Empty Chair』は2026年2月6日に発売される。

 

「What's Right」


Cootie Catcherは、トロントのインディーポップシーンに触発されたサウンドを特徴としながらも、エレクトロニックのサウンド処理、ドライブ感のあるドラムや意外性のある展開など、同地のニューウェイブを象徴する楽曲を制作している。収穫したてのレモンのような新鮮味と酸味にあふれるクーティ・キャッチャーの音楽は、次年代のインディーズ音楽の登場をなんとなく予感させる。Alvvays,The Bethのポスト世代のバンドとして、ぜひチェックしておきたいところだ。なお、米国のメディア、Stereogumがベスト新人アーティストに特集している。新人発掘に余念がないCarpark Recordsの象徴的なグループが登場したといえるかもしれない。

 

Cootie Catcher(クーティ・キャッチャー)は、ニューアルバム『Something We All Got』を発表した。先日、バンドは新曲「Gingham Dress」を発表し、Carparkと契約を結んだばかり。新作は同レーベルより来年2月に発売される。リードシングル「Straight Drop」が配信中だ。


音楽シーンは一回りした後、次なるステップに差し掛かろうとしている。クーティ・キャッチャーの音楽を聴くと、インディーロックはまだまだ進化していると実感する。トロントを拠点とするこの4人組は、脆弱さと奔放な興奮の両方を放ち、ツイーポップの心を開いた優しさを、渦巻くシンセと浮き立つようなエレクトロニクスでハイパーチャージしたサウンドを生み出している。『Something We All Got』は、甘さ、緊張感、期待感に満ちた曲が無防備に輝きを放つ、クティキャッチャーのビジョンをこれまでで最も明確かつ鮮やかに表現した作品だ。

 

 「Straight Drop」についてボーカル兼ベーシストのアニタ・ファウルは説明する。「この曲は、『間違った』場所で弱さを見せてしまうことへの苛立ちから生まれました」また、ファウルは続けている。「バスに乗っている時なら見知らぬ人の前で思い切り泣くことができるのに親しい人の前では口を閉ざしてしまうんです。それは、ライブパフォーマンスでの私の経験とよく似ています。直接会うととても不安になるのに、ステージに立つとたくさん表現できるのです」

 

 

「Straight Drop」



Cootie Catcher 『Something We All Got』


Label: Carpark
Release: 2026年2月27日 
 
Tracklist: 
 

1. Loiter for the love of it

2. Lyfestyle

3. Straight drop

4. From here to Halifax

5. No biggie

6. Rhymes with rest

7. Quarter note rock

8. Take me for granted

9. Wrong choice

10. Gingham dress

11. Puzzle pop

12. Stick figure

13. Going places

14. Pirouette

アイルランド・コーク出身のバンド、Cardinalsがデビューアルバム『Masquerade』からの最新曲「Barbed Wire」を発表した。『Masquerade』は2月13日にSo Young Recordsよりリリース予定。


「この曲は、私たちの街の歴史と、何年も前に南門橋に建っていた刑務所(Gaol house)から強く影響を受けています。歌詞では、シルエットとなった城壁や防護柵のイメージを喚起したかったのです。時に美学が、曲の構想から完成までを導くことがあります。ケヴィン・バリーの小説『ボハーンの街』も、コークをゴシック風に再構築するインスピレーションとなりました」と、フロントマンのユーアン・マニングは語る。


ザンダー・ルイスによるモノクロ映像と共に公開された「Barbed Wire」は、デビューアルバム『Masquerade』からの4曲目となる楽曲で、先行シングル「Big Empty Heart」「The Burning of Cork」に続くリリースとなる。


バンドは年末を締めくくる11月下旬にヨーロッパでのヘッドラインツアーを実施。さらに3月には『Masquerade』を引っ提げた英国・アイルランドでのヘッドライン公演を全日程発表し、パリ、ベルリン、ダブリン、ロンドン、グラスゴーなどで公演を行う。ポスト・フォンテインズD.C.として着目したいバンド。


「Barbed Wire」


先日、来日公演を行ったロンドン発8人組バンド、Carolineは『Caroline 2』のデラックスをリリース。未発表曲7曲を収録。「これらの曲は主に『キャロライン2』収録曲の初期バージョンです」とコメントしている。 「『Total euphoria』、『Coldplayカバー』、『U R UR ONLY ACHING』のミニマルなアコースティック・バージョン、『When I get home』の2022年ペッカム・ライ公園での即興演奏版、『Song two』の核となる部分を初めて演奏した際の録音」


「私たちは、携帯電話やポータブルマイクによる録音の質を愛してきました。そのカジュアルで気取らない雰囲気だけでなく、曲が固形化する前の貴重な創作段階で、より自由で探求的な演奏を捉えやすい」と彼らは続ける。 

 

「これらの録音には、再現も模倣も不可能な、神秘的な何かが働いているように感じられます。『When I get home』や『Song two』といった主要なデモトラックに加えて、本作の最終トラック『greek2go』もモバイルによるレコーディングです。当時、ギリシャの暗く薄汚いキッチンの廃墟だった場所で録音されたもので、その後、私たちのスタジオとなった場所です。空っぽで反響の大きい部屋の中で、3本のギターと歌による即興演奏で録音した。アルバムには収録されませんでしたが、私たちが本当に誇りに思っている楽曲です」と彼らは付け加えています。


「『When I get home』の前半部分のクラブ・トラックの録音も追加収録しています」と彼らは付け加えます。「これは、Avalon Cafeのフロントバスルームで録音されたもので、友人である、ダニエル・S・エヴァンスとジェニファー・ウォルトンがプロデュースしたトラックです」


『caroline 2 deluxe』をストリーミングで聴き、新しいライブビデオ「Two riders down」を以下でご覧ください。


「Two Riders Down」

 

 

 



カナダ/トロントのロックバンド、Kiwi Jr.(キウイ・ジュニア)が、最新アルバム『Chopper』以来となる、およそ3年ぶりの新曲「Hard Drive, Ontario」でカムバックを果たした。


ジェレミー・ゴーデット、マイク・ウォーカー、ブローハン・ムーア、ブライアン・マーフィーで構成される2015年ごろから活動するバンドだ。

 

シンセサイザーとインディーロックの融合は、Kiwi Jr.の主要なサウンドである。この曲では、カナダのColaのテクニカルなインディーロックを意識しているように思えるが、やはりキウイJr.らしい温和な空気感が曲の全体に漂っている。ボーカルの雰囲気も背後の演奏とうまく合致している。


この曲は、青春映画のような実際の出来事から生まれたという。ジャック・ケルアックの代表作「On The Road」を想像する人もいるかもしれない。だが、ビート・ジェネレーションのような主題が込められているとしても、そこにはデジタル社会に生きざるを得ない現代的な課題が反映されているのを見てとることができる。「歌詞のアイデアは、どこかの未舗装道路沿いの納屋の壁に書かれたWi-Fiパスワードを見た時に浮かんだ」とジェレミー・ゴーデットは明かす。

 

「現代ではどこかでリセットし再スタートすることは不可能で、田舎の奥深くにいてもインターネットに縛られている。田舎暮らしの幻想を追う若者たち——都会っ子が田舎者を演じるような——の物語だが、ガソリンが切れて、道で危険な連中に出くわす。結末はホラー映画さながらさ」

 


「Hard Drive, Ontario」


マンチェスターのオルタナティヴロックバンド、cruushはニューシングル「Rupert Giles」をリリースした。これは「感情的な大惨事」であることについての、澄んだ音色とほろ苦さを帯びた曲だという。ほどよい轟音のギターワークの中で、琴線に触れるボーカルのメロディーが光る。この曲は、cruushの等身大の姿を反映したと言える。バンドはプレスリリースでこう述べている。


「ウェールズでの合宿中、私たちはペニガダー山で日の出ハイキングをした。聴いていたのはニール・ヤング、ブラウンホース、それから、ヴァン・ヘイレンの「パナマ」だけだった。午前6時、日の出と共に湖畔に座って、その曲をじっと聴いていると、すべてがうまくいっているように感じた。素晴らしい曲が書けたと確信し、皆睡眠不足で汗だくだったが、星が揃った瞬間でもあった」

 

同時公開されたミュージックビデオでは、ウェールズの雄大な平原を闊歩する四人のメンバーの姿が印象的だ。ニューシングル「Rupert Giles」はダブルシングルの先行曲。ストリーミングはこちら。 


「Rupert Giles」

 

UK/マンチェスターを拠点とする3人組バンド、The Orielles(ザ・オリエルズ)が、新曲「スリー・ハーフズ」のリリースと共に、次作アルバム『Only You Left』を発表した。2026年3月13日、Heavenly Recordingsより発売される。

 

新曲「Three Halves」についてバンドは次のように語っている。「新作制作初期段階で興味を持ったアイデアを引用した『Three Halves』は、その名の通り不条理な対比の間を行き来する。ドローンを効かせたオルガン、ギター、チェロのサウンドスケープを基盤に、ノイズと虚無、精密さとカタルシスの間を漂い、それぞれの半分の展開が次へと導いていく」


ハンブルクと自動車通行禁止のギリシャ・イドラ島で録音され、長年のコラボレーターであるジョエル・アンソニー・パチェットがプロデュースした本作は、前作『Tableau』(2022年)の実験性をさらに発展させている。


アルバムアートワークは、ルイ・モリスが特別に制作した三連作で、「Three Halves」のテーマを引き継いでいる。 「アルバムアートワークを物理的なオブジェ、撮影用の彫刻的形態として制作しました。蝶番付き木製パネルで構成され、14世紀のオリジナルを現代風に再現したレプリカのように見えるように設計されています。この三連祭壇画が経年劣化を続け、保管する中で不完全さや時の経過を浮き彫りにしていくことを願っています」とバンドは説明しています。

 

 「Three Halves」

 

 

The Orielles 『Only You Left』 


Label: Heavenly Recordings

Release:  2026年3月13日


Tracklist:

1.Three Halves

2.Shadow of You Appears

3.Tears Are

4.Embers

5.Tiny Beads Reflecting Light

6.The Woodland Has Returned

7.All in Metal

8.You are Eating a Part of Yourself

9.Whenever (I May Not Feel So Close)

10.Wasp

11.To Undo the World Itself

 

Pre-save: https://ffm.to/theorielles-onlyyouleft

  


シカゴのインディーロックバンド、Rat Boysがニューアルバム 『Singin’ to an Empty Chair』のリリースを発表した。本作は、New Westから2026年2月6日にリリースされる予定だ。


ラット・ボーイズのニューアルバムは不足を強調するというわけではない。むしろ、ボーカリストのジュリア・スタインが疎遠になってしまった、親しい愛する人との重要な対話の始まりである。

 

6枚目のスタジオアルバムとなる本作は、その人物が残した空白を、ラット・ボーイズの絶頂期を象徴する11曲で埋め尽くしている。その音楽は、これまで以上に自信に満ち、おそらくはかつてないほど感情的に問いかけを投げかける、トワンと響く、活気に満ちたものとなっている。


シカゴ出身のバンドは、2023 年に高評価を得た『The Window』に続き、共同プロデューサーのクリス・ワラと再び協働し、ウィスコンシン州の田舎のキャビンでレコーディングを開始した。

 

その後、スティーブ・アルビニの有名なElectrical Audio Studio、そしてイリノイ州エヴァンストンの Rosebud Studio で録音を行った。その結果、「Anywhere」の陽気なパワーポップから「Penny in the Lake」のポストカントリー、「Just Want You to Know the Truth」のような胸を打つバラード、それからスタインがバンドの巨大な「ワームホールジャム」と表現する「Light Night Mountains All That」の爽快な宇宙への脱線まで、さまざまな楽曲が生まれた。


 『Singin’ to an Empty Chair』は、ジュリア・スタインがセラピーを始めてから初めて制作したラットボーイズのフルアルバムとなる。

 

歌手であり作詞家でもあるスタインは、このアルバム全体を通して、人間関係や自己について揺るぎない考察が明確に表現されていると評価している。このアルバムは、虚無に向かって、手を差し伸べる場面から始まり、穏やかな場面で終わるという、まさにふさわしい構成となっている。

 

その間、率直な誠実さ、ユーモア、混沌、そして気まぐれさが織り込まれている。 「すべてが悲観的なわけではない」とスタインは言う。「このアルバム制作の経験は、今後何が起こっても、間違いなく私に希望を与えてくれる」

 

「Anywhere」

 



Ratboys 『Singin’ to an Empty Chair』

Label: New West

Release:  2026年2月26日

 

Tracklist:

 

1.Open Up

2.Know You Then

3.Light Night Mountains All That

4.Anywhere

5.Penny in the Lake

6.Strange Love

7.The World, So Madly

8.Just Want You to Know the Truth

9.What’s Right?

10.Burn It Down

11.At Peace in the Hundred Acre Wood

 

Pre-save:  http://newwst.com/singin 

 


今週最後に紹介するシングルは、アメリカのエージェント経由のシューゲイザーアーティストのニューシングルです。彼女の新しい音楽は、全体的にファンタジー小説との深い関連性を持ち、2026年初頭にリリース予定の待望のEPにおいて、創作の大きなウェイトを占めている。

 

Mel Denisse(メル・デニッセ)の新曲「going nowhere」は 、女性アーティスト主導のシューゲイズ・リバイバル・ムーブメントを象徴付ける。ファンタジー小説『The Serpent & the Wings of Night』(キャリッサ・ブロードベント著)に触発されたメランコリックなオルタナティブロック/シューゲイザーソングは、ノスタルジックで内省的な雰囲気の中、目立たず生き延びること、忠誠心と自己保存の葛藤、行き場のないまま前進しようとするテーマが織り込まれている。 


メル・デニスは、Failure、DeftonesからTori Amosに至るまで、無尽蔵のサウンドに影響を受けてきた。自ら「制御された衝突」と呼ぶものを追い求める。彼女の声は、煙のように漂い、次のビートでは唸り声をあげ、ひび割れる。その下ではギザギザのギター・ループが脈打つ。


彼女は音楽制作の秘訣について「トラックを『フランケンシュタイン』のように組み立てるのが好き」と語る。「ヘヴィなリフと繊細なメロディが紙の上では不釣り合いに見えても、まさにそれが私を惹きつけるの」


ジャンルを超越するアーティスト兼プロデューサー、メル・デニスはの楽曲は、生々しいギターの荒々しさと型破りなポップの間を漂う。10歳で父のアコースティックギターに魅了され、10代はクラック版ソフトでデモを録音し、18歳までにマイスペース時代のツアーに駆け込んだ。

 

その後、ナッシュビルとロサンゼルスを行き来する日々が作曲とプロデュース技術を磨いた。歪んだオルタナティブロックの基盤に、幽玄でクラシック調のボーカルを重ね、幼少期をフロリダとトルコで過ごした経験から吸収した東洋の旋律を散りばめる。歌詞では、二面性、執着、自己保存と自己破壊の綱引きを掘り下げている。

 

過去のデニスの作品はBBCラジオ1のオルタナティブ番組でオンエアされたほか、Spotifyの「All New Rock」プレイリストに選出。音楽メディア”Vanyaland”は「90年代ギターロックの荒削りな野心」と称賛し、”Wolf in a Suit”はデビュー作を「魂の奥底に響く催眠的な作品」と評した。 

 

ファンに向けた音楽のパーソナライズについて彼女は語る。「もし、その曲が優しくも胸を打つような感覚を与えるなら、それが狙いなの。鏡を曲の中に忍ばせて、そこに映るものと向き合わざるを得ないようにしているのよ」

 

デニスは、レコーディング・スタジオでは、カルロス・デ・ラ・ガルザ(パラモア、ベスト・コースト)、ケン・アンドルー(パラモア、M83)、マイカ・トークス(ヘイリー・ウィリアムズ、ノア・カハン、アッシュ)、そして、長年の共同制作者であるプロデューサー、スティーブン・ローレンソンと仕事をしてきた。プライベートでは、オンラインゲームのWorld of Warcraftのセッションをストリーミングで視聴したり、ファンタジー小説に没頭したりしている。


「going nowhere」

 

 

 

▪EN

 

The final single featured this week is a new release from a shoegaze artist represented by an American agency. 

 

Her new music bears a profound connection to fantasy novels overall, forming a significant creative focus within her highly anticipated EP scheduled for release in early 2026.

 

Mel Denisse's new track “going nowhere” epitomises the female-led shoegaze revival movement. Inspired by the fantasy novel “The Serpent & the Wings of Night” by Carissa Broadbent, this melancholic alternative rock/shoegazer song weaves themes of surviving unnoticed, the conflict between loyalty and self-preservation, and striving to move forward while feeling lost, all within a nostalgic and introspective atmosphere.

 

Mel Dennis has drawn from an inexhaustible array of sounds, from Failure and Deftones to Tori Amos. She pursues what she calls a “controlled collision”. Her voice drifts like smoke, then growls and cracks on the next beat, beneath which jagged guitar loops pulse.


On her approach to music-making, she says, ‘I like to assemble tracks like Frankenstein.’ ‘Even if heavy riffs and delicate melodies seem mismatched on paper, that's precisely what draws me in.’

 

Mel Dennis, an artist and producer transcending genres, crafts music that hovers between raw, gritty guitar and unconventional pop. Captivated by his father's acoustic guitar at ten, she recorded demos using cracked software during his teens and embarked on MySpace-era tours by eighteen.


Subsequent years shuttling between Nashville and Los Angeles honed her songwriting and production skills. She layers ethereal, classical-tinged vocals over a foundation of distorted alternative rock, sprinkling in Eastern melodies absorbed from her childhood spent in Florida and Turkey. Her lyrics delve into duality, obsession, and the tug-of-war between self-preservation and self-destruction.

 

Dennis's past work has been aired on BBC Radio 1's alternative programme and featured on Spotify's “All New Rock” playlist. Music media outlet Vanyaland praised it as ‘the raw ambition of 90s guitar rock’, while Wolf in a Suit described the debut as ‘a hypnotic work that resonates deep within the soul’.


Speaking about personalising music for fans, she says: ‘If a song gives you that tender yet heart-stirring feeling, that's the aim. I slip a mirror into the song so you can't help but confront what's reflected there.’

 

In the studio, she’s worked with Carlos de la Garza (Paramore, Best Coast), Ken Andrews (Paramore, M83) , Micah Tawlks (Hayley Williams, Noah Kahan, Ashe), and longtime collaborator/producer Stephen Laurenson. Off the clock, you’ll catch her streaming marathon World of Warcraft sessions or disappearing into fantasy novels.