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Horsegirlが2ndフルアルバム『Phonetics On and On』からのセカンド・シングル「Julie」をドロップした。アルバムの発表とともに配信されたリード曲「2468」に続くこの曲は、ローファイな質感が生かされながらも、デビュー・アルバムのサウンドよりも洗練された響きがある。


ホースガールは2022年の『Versions of Modern Performance』でデビューを果たした。二年半ぶりのニューアルバム『Phonetics On and On』は、2月14日にMatadorからリリースされる。



アムステルダム在住のアニメーター、ダフナ・アワディッシュ・ゴランが監督したこのビデオは、1ヶ月半のアニメーション制作から始まり、新しい街への引っ越し、冬の寒さ、片思いという曲のテーマを表現している。彼女のアニメーション作品の多くは、動物を人間の代役として登場させる。ゴランは、背景のビデオの各フレームを個別にプリントし、その上にオイルパステルで手描きする。彼女はそれらのフレームをすべてスキャンし直して最終的な構図を作り上げる。彼女のスタイルとプロセスの手触りの良さは、トラックが作り出すムードを際立たせる。


「Julie」



 

Photo:Stéphanie Bujold

現在モロッコのタンジェに滞在し、ニューアルバムの制作に取り組んでいるAlex Henry Foster(アレックス・ヘンリー・フォスター)が、今年度3作目のリリースとなるEP『A Whispering Moment』を本日リリースします。

 

今年は、 4月に日本人アーティストとコラボレーションしたアルバム『Kimiyo』と、9月にインストゥルメンタルのみのアンビエントアルバム『A Measure Of Shape And Sounds』をリリースしており、 昨年の心臓手術によって思うように活動ができなかった時間を取り戻すかのように精力的に活動している。 


そして、今回は彼が2018年にリリースしたソロデビューアルバム『Windows in the Sky』を記念して、EP『A Whispering Moment』をリリース。

 

このEPは、楽曲「Shadows Of Our Evening Tides」が初めて形となったときから、様々なライブバージョンへと自然に開花していくまでの、その自由に進化する性質に焦点を当てたものだ。 深い感情への没入と繊細な音を示す感動的な作品「Shadows Of Our Evening Tides 」は、Alex Henry Fosterの心を解き放つ創造の世界を鮮やかに映し出すと同時に、昨今のステージに立つ最も魅力的で、情熱的で、挑発的なアーティストの一人としての彼の評判を完璧 に反映している。 


このEPについて、本人は次のように述べています。「この特別なプロジェクトは、僕の父が亡くなったあとの心の傷やその後に続いた長い悲しみのプロセスを表現した、個人的で親密な感情を含んだものであるだけ でなく、友人たちや愛する人たちが彼らの喪失や悲しみの中で、慰めを見つけるための独特な要素となり、その後、このアルバムを発見する多くの人たちによって、希望に満ちた作品として安らぎを与えるものとなったと信じてる」


「一見、または浅く解釈すると、この作品は愛の儚さや 混乱を嘆く悲しみを反映しているかのように思えるかもしれないけど、その本質は、最も暗い 時期において、平和と目的を見出すことについてなんだ」


さらに続けて、「そして、最も野心のない正直さと利己的ではない創造の解放のように、『Windows in the Sky』は、僕の音楽の旅を再定義し続け、そして、おそらく、より大事であろう、 僕の存在自体を再構築するきっかけとなってくれた」


「だから、この『A Whispering Moment』が、自分の人生をつくり、本当の意味で生きていると 感じる鮮やかな感覚を体験し、再体験できるよう、君を導いてくれることを願っている」

 

 「Shadows Of Everything Tides」

 

 

Alex Henry Foster 『A Wispering Moment』EP


Tracklist:

1. A Whispering Moment (Alternative Version, April 30, 2018) (4:48)
2. Shadows Of Our Evening Tides (Extended Version, April 13, 2019) (11:17)
3. Shadows Of Our Evening Tides (Live from the Upper Room Studio, April 28, 2020) (17:08)
4. Shadows Of Our Evening Tides (Live at Brückenfestival, August 12, 2022) (13:12)


Listen/ Stream: https://found.ee/ahf-awm

●rockin’on sonicに出演が決定したNY発のポスト・パンク・バンド、モノブロックが新曲「Take Me」リリース! 自主制作ミュージック・ビデオも公開!

Monobloc
 

ほぼ無名の新人ながら、2025年1月4日(土)・5日(日)の2日間に渡って幕張メッセにて開催されるニュー・イヤー洋楽フェスrockin’on sonicへの出演が決定したニューヨーク発のポスト・パンク・バンド、モノブロック(Monobloc)がニュー・シングル「Take Me」をリリースした。


ニューヨークのアンダーグラウンドDIYシーンから飛び出したモノブロックは、ヴォーカルのティモシー・ウォルドロンとベースのマイケル・シルバーグレードが率いる5人組バンド。2024年に入ってシングル「I'm Just Trying To Love You」「Where Is My Garden」「Irish Goodbye」と立て続けに3曲をリリース。


デビュー間もないながらも、すでにUKのオール・ポインツ・イースト・フェスティバル、フランスのロック・アン・セーヌ、メキシコのコロナ・キャピタル・フェスティバルやアイスランド・エアウェーブスに出演。そして、ロッキング・オンとクリエイティブマンがプッシュする新星として、rockin'on sonicへの出演が決定した。


フロントマンのティムは、躍進の年となった2024年最後のリリースについて次のように語っている。


「音楽的には『Take Me』はフィル・スペクターのウォール・オブ・サウンドの手法を模索していた頃に書かれた曲で、ただリバーブに浸るのではなく、幻想的なサウンドをうまく配置したマッシヴなサウンドなんだ。僕たちは、まだ自分達が演奏するには大きすぎるような会場のための曲を求めていた。これは僕らがバンドとして足場を固め、旅に踏み出すときのサウンドで、リスナーがモノブロックに最初に触れる曲になるといつも想像していたんだ。現実はそうではなかったかもしれないけれど、でも一部のリスナーにとっては、今でもそうなると思っているよ」


この度公開された「Take Me」の自主制作ミュージック・ビデオは、地元ニューヨークや世界各地で撮影され、国内外での気の遠くなるような12ヶ月間におよぶライヴ映像から構成されている。


「Take Me」

   


◾️お正月開催の新たな洋楽フェス、「ROCKIN’ON SONIC」にNY発のポストパンクバンド、モノブロックの出演が決定!



先日インターポール(Interpol)のブルックリン公演のサポートを終えた彼らの次なるステージはお正月の日本公演! メンバー一同、日本に来ることは長年の夢で非常に楽しみにしているとのことなので、ぜひ日本初のステージとなるrockin'on sonicをお見逃しなく!



【バイオグラフィー】

ティモシー・ウォルドロン(ヴォーカル)とマイケル・シルバーグレード、別名:モップ(ベース)が率いる、ニューヨーク発の5人組バンド。2023年にザック・ポックローズ(ドラム)、ベン・スコフィールド(ギター)、そしてニーナ・ リューダース(ギター)が加わり、正式に始動した。

 

バンドのサウンドは、1980年代のマンチェスターのインディー・レーベル、ファクトリー・レコードから影響を受けている。他にも、トニー・ウィルソン、ピーター・サヴィル、ジョイ・ディヴィジョン、ニュー・オーダーらの名を挙げており、また、スティーヴ・ライヒが制作した『Music for 18 Musicians』はとりわけバンドのギター・パートに大きな影響を与えたという。

 

2024年1月、シングル「I’m Just Trying to Love You」を、セルフ・プロデュースしたミュージック・ビデオと共にリリースすると、瞬く間に彼らの評判は知れ渡り、イギリスやヨーロッパへのフェス出演に次々と出演。2025年1月にはrockin'on sonicへの出演も決定し、早くも初来日することが発表された。

 


「I Read Palms」は、オレゴン州ポートランドのアーティスト、イライジャ・クヌッツェンによるゴシック調のサプライズ曲。近日発売予定のアルバム『Poltergeist』からのリード・シングルである。


このトラックは、ヘヴィ・ロックの領域におけるイライジャの多才さを示す、荒涼とした怒りに満ちたショーケースだ。ダークな雰囲気のヴェールの下で、ドキドキするドラム・マシーンとマントラのようなベースがノイズのカーテンに包まれる。


アルバム『Poltergeist』は、定評あるアーティスト、イライジャ・クヌッツェンが自身のレコードレーベルMemory Colorからリリースした、ダークでゴシック、スモーキーな作品。


ダーク・アンビエントとシューゲイザーの要素を取り入れたゴシック・ロックが渦巻き、殺伐としたローファイ・ベースメント・プロダクションにチューニングされている。Joy Division、The Cure、Interpol、New Order、The Twilight Sad、Sparklehorse、The Chameleonsなどのバンドのサウンドを彷彿とさせる。ダークな20世紀初頭の神秘主義のオーラを放つPoltergeistは、暗い占い、霊写真、降霊会、片思い、苦い後悔、「アイズ・ワイド・シャット」、「シャイニング」の舞踏会のシーン、廃墟となった神社、絶望的な黒い空について語っている。


このアルバムではイライジャのヴォーカル・テクニックが全開で披露されているが、物静かで控えめなこのアーティストにとっては初めてのことだ。イライジャは2020年に「Music For Vending Machines 1」のような環境音楽のレコードでスタートを切ったが、2018年初頭にはムーディーで泥臭いポストロックのインストゥルメンタル作品を発表し、音楽の旅を始めた。彼のニューウェーブの影響は、アンビエントなリリースにも常に存在している。"Heaven Red "や "Maybe Someday "を参照。


アルバムのプロデュース、ミックス、マスタリングは、イライジャ・クヌッツェンがオレゴン州ポートランドの自宅スタジオで行っている。このプレス・キットには、"I Read Palms "のラジオ・ミックスが特別に収録されており、この曲のローファイな部分をさらに引き立てている。


イライジャのカタログは、彼の会社''Music For Public Spaces''を通じて出版されている。日本での出版は、彼のサブ・パブリッシャーであるシンコー・ミュージックLLCによって管理されている。

 

米国のシンガーソングライター、ベッカ・ハーヴェイの音楽プロジェクト、girlpuppy(現在はトリオ編成)が新しいレーベル、Captured Tracksとのライセンス契約を発表した。また、最初のリリースとしてパンキッシュなロックソング「Champ」を発表した。(ストリーミングはこちら)


「Champ」は、2022年のデビュー・アルバム『When I'm Alone』に収録されたシングル「Wish」の "お姉さん "にあたるという。"また同じことが起こる、あなたは私の友達になりたくない "っていうのは、ランダムに友達と別れること、そしてその理由がわからないことについて歌っているの。この曲は基本的に、その友達がどんなに私を無視し、自分の人生に私を必要としていないことを示しても、私は私たちの友情が好きだったから、まだ頑張ろうという嘆願なの」


「Champ」

 

Why Bonnie

ニューヨーク発テキサス経由のプロジェクト、Why Bonnieがニューシングル「Rainbow And Ridges」を発表した。

 

2ndアルバム『Wish on the Bone』は、Pitchfork、Stereogum、Consequence、FLOODなどから多くの賞賛を受け、後者ではWhy Bonnieの "明るいギターと重厚なビルドアップに加え、(彼らの)ソングライティングを照らす揺るぎない希望の光を模倣した特徴的な西部劇の影響 "を称賛している。


「Rainbows and Ridges」はブレイズ・フォーリーの名曲のカヴァーで、『ウィッシュ・オン・ザ・ボーン』のレコーディング・セッションのカッティング・ルーム・フロアから持ち出された。

 

この曲では、ホワイ・ボニーらしい切ないボーカルを中心に、テープディレイなどを配した実験的なポップソングとなっている。曲の盛り上がりとともに、伸びやかなボーカルが音楽的な世界観の広がりを象徴付ける。

 

リード・シンガーのブレア・ハワートンは、「これは私の大好きな曲のカヴァー」と語る。「人生の二面性、つまり美しさと苦しみを浮き彫りにしています」

 

ホワイ・ボニーの "Rainbows and Ridges "のカヴァーは、今週木曜日のダラスのRuinsを皮切りに、サン・アントニオ、オースティン、ヒューストンを含むテキサス・ツアーに先駆けたものだ。来年、Why BonnieはVideo Ageと共に西海岸ツアーに出るほか、ロサンゼルス、サンフランシスコ、シアトルなどでヘッドライン公演を行う予定。

 

 

 「Rainbow And Ridges」

 


ロサンゼルスのインディーロックバンド、Cheekfaceがニューシングル「Hard Mode」をリリースした。この曲は、パンキーなインディー・ロック・ナンバーで、ハイハットの連打とバック・ヴォーカルが印象的だ。


「目新しさを楽しんで、次に進んだのか?""もちろん、私はそれが大好きなんだ」ボーカル/ギターのグレッグ・カッツが説明する。

 

「この曲は、成長について、そしてそれがどれほど厄介なものであるかについて歌っている。ハードモードで人生を生きる」というフレーズは、ツアー中のキーボード奏者AJが、日常的な仕事を不必要に難しくするようなことをするときに好んで言う言葉だ。例えば、誰かに渡してもらえばいいのに、不器用なやり方で何かに手を伸ばすようなことだ」

 

 


リバプールのハンナ・メリックとクレイグ・ウィトルによるオルタナティブロックユニット、King Hannah(キング・ハンナ)がクリスマスソング「Blue Christmas」をリリースしました。

 

キング・ハンナは、カート・ヴァイル、サーストン・ムーアとの共演を重ねながら、北米やヨーロッパでのツアーを行い、ファンベースを着実に拡大させてきた。2024年、制作の前年に行われたアメリカツアーの記憶に触発されたオルタナティヴ・ロックの良作『Big Swimmer』を、ドイツのCIty Slangから発表している。

 

昨日発表されたホリデーソングでは、くつろいだアコースティックギターに乗せ、温和なデュエットを披露している。「Blue Christmas」について、キング・ハンナは次のように説明している。


「私たちはここ数年、ブルー・クリスマスを一緒に歌ってきました。だから、私たちが知っている唯一の方法、つまり一緒に歌いハーモニーを奏でることで、1年の中で最も好きな時期を祝うのが正しいことだと感じました」

 

「伝統的に、クリスマスをひとりで過ごし、失った愛する人への慕情を歌ったラブソングですが、2人のボーカルと60年代のギブソン製アコースティック・ギター1本だけのシンプルなアレンジが、寒く静かな冬の夜に、この時期がもたらすロマンスと安らぎを引き立ててくれることを願っています」

 

 

「Blue Christmas」


ダブリンのロックバンド、Murder Capital(マーダー・キャピタル)は、近日発売予定のニュー・アルバム『Blindness』を発表し、新曲「Words Lost Meaning」を公開した。


「目の前にあるもの、視野の中にあるもの。触れることができるもの、感じることができる愛がある。そして、それ以外のすべてがある」とジェイムズ・マクガヴァンは言う。「盲目とは、歪んだ信念のことなんだ。私たちの背後にあるもの。隠れているもの。距離を置いた愛。否定された信仰。歪んだ愛国心。後姿に映る消えゆく瞬間の顔。盲目は、そのすべてに焦点を合わせる」


『Blindness』は、絶賛された『Gigi's Recovery』、そして2019年にリリースされたデビュー・アルバム『When I Have Fears』に続く作品である。


「"Words Lost Meaning "は、愛が死に行く場所だ」とマクガヴァンはニューシングルについて語る。"愛している "という言葉が、考えもなく、感情もなく、会話を締めくくる方法としてさえ使われると、陳腐で拡散してしまうことがある。この3つの組み合わせ以上に意味のある言葉はない。


「Words Lost Meaning」



ロンドンのインディーロックバンド、Goat Girl(ゴート・ガール)がニューシングル「gossip」をリリースした。(ストリーミングはこちら

 

この曲はバンドがプロデュースし、最新アルバム『Below the Waste』のレコーディング中にアイルランドでジョン'スパッド'マーフィーがミックスした。この曲には、シンガー/ギタリストのロッティ・ペンドルベリーが監督・編集したビデオが付属している。


「アイルランドでジョン'スパッド'マーフィーと一緒に『Below The Waste』のゴシップ・レコーディングを始めたんだ。ダブリンで録音したものを、ロンドンでルビーと一緒に作り直したんだ。エレクトロニックなポテンシャルに寄り添い、サウンド的にまったく違うことをしたかったんだ。リリックでは、自然のイメージを、伝聞や破壊的な行動を熟考するメタファーとして使っている」

 

今年、ゴート・ガールは新作アルバム『Below The Waste』をラフ・トレードから6月にリリースした。



「gossip」

 


カナダのシューゲイズデュオ、Bodywash(ボディーウォッシュ)がWham!のクリスマスの定番ソングをカバーした。


モントリオールのデュオは、「Last Christmas」にアレンジを加え、憧れという甘美な装いを、ファジーなギターとメランコリックなヴォーカルという文字通りのものに変えた。一足早くクリスマス気分に浸ってみよう。


「この新しい解釈は、ジョージ・マイケルのソングライティングにおける心の痛みを前景化している」とボディウォッシュはプレスリリースで述べている。


「ホリデーは、クリスマス気分を盛り上げるためのものであると同時に、内省や切ない後悔(家族のドラマは言うまでもない)の時期でもある。一年で最も素晴らしい時期は、時に最も孤独な時期でもあるんだ」


"ラスト・クリスマス "は、3月の "ノー・リペア "に続き、ボディウォッシュが今年リリースした2枚のシングルのうちの1枚。彼らはまた、昨年の『I Held the Shape While I Could』を引っさげてツアーを行った。


「Last Christmas」-Wham! Cover

Our Girl 『The Good Kind』


 

Label: Bella Union

Release : 2024年11月8日

 

 

Review

 

『The Good Kind』は派手さがないからといって素通りすると、ちょっともったいない作品である。最新のオルトロックバンドは、全般的に音楽のイメージの派手さがフィーチャーされることが多いが、実際的には、堅実で素朴なロック・バンドの方が長期にわたって活躍するケースがある。

 

ロンドンのOur Girl(アワー・ガール)は、爆発的なヒットこそ期待出来ないかもしれないけれど、渋く長く活躍してくれそうなバンドだ。アワー・ガールのオルトロックのスタイルは、90年代から00年代のカレッジ・ロックの系譜に属している。ソリッドさとマイルドさを兼ね備えたギター、ライブセッションの醍醐味を重視したベース、曲のイメージを掻き立てるシンプルなドラムによって構成されている。取り立てて、新しい音楽ではないかもしれない。しかし、こういった普遍的なオルトロックアルバムを聴くと、なんだかホッとしてしまうことがある。

 

 

アワー・ガールは、最初にレコーディングスタジオに入ってセッションを行った後、少し曲を作り込み過ぎたと感じたという。以降、一度曲を組み直した後、友人の自宅のレコーディングスタジオに入った。その結果、ラフだけど、親しみやすいオルトロックが作り上げられることになった。 結局、このアルバムを聴くと、オルトロックというのは、マジョリティのための音楽ではなく、マイノリティのための音楽なのかもしれない。つまり、音楽自体がマジョリティに属した瞬間、本義のようなものを見失う。バンドは、この作品で、セクシャリティ、リレーションシップ、コミュニティ、イルネスといった表向きには触れにくい主題を探求しているという。

 

それらのどれもが日常生活では解きほぐがたい難題であるため、音楽で表現する必要性がある。実際的に、バンドのメンバーがクイアネス等の副次的なテーマを織り交ぜながら、どの地点までたどり着いたかは定かではない。しかし、何かを探求しようとする姿勢が良質なロックソングとして昇華されたことは明らかである。たとえ、すべてが解き明かされなかったとしても。

 

バンドが曲を組み直したということは、レコーディングの趣向に、ライブセッションのリアルな質感を付け加えたことを示唆している。それは卓越性や完璧主義ではなく、程よく気の抜けた感じの音楽に縁取られている。アルバムでは、Guided By Voices、Throwing Musesといった90年代ごろのオルトロックのテーマ、アート・ポップやシューゲイズ風のギターの音色が顕著に表れている。

 

アルバムのオープナー「I'll Be Fine」では、心地よくセンチメンタルなアンサンブルがライヴセッションのような形で繰り広げられる。複数のギターの録音を組み合わせて、エモな響きを生み出し、ストレリングスのアレンジを添えて叙情的な響きを生み出す。音楽性は抑えめであり、派手さとは無縁であるが、良質なオルトロックソングだ。さらに、このバンドがコクトー・ツインズの音楽性を受け継いでいることは、続く「What You Made」を聴くと明らかである。彼らはJAPANやカルチャー・クラブのようなニューロマンティックの要素を受け継いでいる。それはノスタルジアをもたらすと同時に、意外にもフレッシュな印象を及ぼすこともある。

 

アワー・ガールは、比較的、現実的なテーマを探っているが、アルバムの音楽はそれとは対象的に夢想的な雰囲気に縁取られている。ギターロックによって色彩的なタペストリーを描き、それを透かして、理想的な概念に手をのばすような不思議な感覚でもある。「What Do You Love」は淡々とした曲にも思えるが、ダイナミクスの変化が瞬間的に現れることもある。ダイナミックスの変化はボーカルとギターのコントラストによって生じる。Wednesday、Ratboysといったオルトロックの気鋭の音楽性に準ずるかのように、絶妙なアンサンブルを発生させることがわる。そして、それは、まったりとした音楽性とは対象的なギターのクランチな響きに求められる。彼らの優しげな感覚を縁取った「The Good Kind」は、むしろこのバンドがロックにとどまらず、Future Islandsのようなオルトポップバンドのような潜在的な魅力を持つことを表す。

 

ギターロックとしても聴かせどころが用意されている。「Something About Me Being A Woman」は、現代的な若者としてのセクシャリティを暗示しているが、幽玄なギターのデザインのような音色によって抽象的な感覚が少しずつ広がりをましていく。ゆったりしたテンポの曲であるけれど、ドリームポップ風のアプローチは、音楽の懐深さと味わい深さを併せ持っている。特に、バンドアンサンブルを通じて最も感情性が顕著になる3分以降の曲展開に注目したいところ。中盤から終盤にかけては、BPMを意図的に落とした曲が続いている。続く「Relief」、「Unlike」は、現代的な気忙しいポップソングの渦中にあり、安らぎと癒やしを感じさせる。微細な音を敷き詰めるのではなく、休符に空間や空白を作りながら、夢想的な音楽世界を生み出す。

 

オルト・ロック、ドリーム・ポップに依拠した音楽性が目立つ中、続く「Something Exciting」は、かなり異色の一曲だ。この曲では、ヴィンセントの最初期のシンセポップ、グリッターロックの手法を選び、スタイリッシュさとユニークさを併せ持つ楽曲に仕上げている。むしろ、基本的な上記の二つの音楽性よりも、この曲に見受けられるようなオリジナリティに大きな期待を感じる。そして、少しシリアスになりがちな作風に、ユニークなイメージをもたらしている。 

 

アルバムの終盤にもしっかり聴かせる曲があり、アワー・ガールの音楽の深さを体感できる。「I Don't Mind」のような曲は、コクトー・ツインズやスローイング・ミュージズの未来形とも言え、また、ドリーム・ポップの知られざる一面を示したとも言えるかもしれない。続く「Sisiter」は、DIIV、Real Estateの最初期に代表される2010年代のインディーロックのスタイルを受け継ぎ、ネオシューゲイズ/ポストシューゲイズの軽めのポップネスに転じる。クローズを飾る「Absences」では、AOR/ソフィスティ・ポップへと転じ、未知の領域へと差し掛かる。


 

 

80/100

 

 

 

 Best Track-「Something Exciting」

bdrmm
©Stew Baxter

 

ハルを拠点とする4人組、bdrmm(bedroom)は、2月28日にモグワイの主宰するレーベル”Rock Action”からリリースされる3枚目のフルアルバム『Microtonic』を発表しました。bdrmmは、モグワイとのツアー中に彼らから見初められ、レーベルとの契約を結ぶことになった。2ndアルバム『I Don’t Know』では、気鋭のオルトロックバンドとしての存在感を示した。シューゲイズという括りで紹介されることの多い彼らであるが、特にエレクトロニクスとの融合に最大の魅力が宿る。まさしくモグワイの後釜とも言えるような実験的なロックバンドです。

 

2023年の『I Don't Know』に続く本作は、シングル「John on the Ceiling」がリード曲となっている。ダンスミュージックとロックの融合はまた次の段階に差し掛かっていることが分かる。


「ジョン・オン・ザ・シーリングを取り巻くテーマは、混乱と疑念についてなんだ」ヴォーカル兼ギタリストのライアン・スミスは声明で説明しています。「何かが終わり、別のことが始まると、犯した過ちは二度と起こらないという誤った安心感に誘われる。これは、宙ぶらりんの状態で麻痺するまで、何度も何度も繰り返される。人は本当に変わることができるのだろうか?」


バンドの長年のコラボレーターであるアレックス・グリーヴスと共に録音された『マイクロトニック』には、ワーキング・メンズ・クラブのシドニー・ミンスキー・サージェントとナイトバスのオリヴェスクがゲスト参加している。

 

「私たちが得意としていた)ジャンルに合うように、ある種の音楽を書くことにとても制約を感じていたんだけど、何かが解けて、もっと自由に自分の好きなものを作れるようになったんだ」とスミスは付け加えた。

 

「ダンス・ミュージックからアンビエント、より実験的なソースまで、エレクトロニカの様々な範囲から影響を受けている」

 


bdrmm 『Microtonic』

Label: Rock Action

Release: 2025年2月28日


Tracklist: 


1. goit [feat. Sydney Minsky Sargent]

2. John On The Ceiling

3. Infinity Peaking

4. Snares

5. In The Electric Field [feat. Olivesque]

6. Microtonic

7. Clarkycat

8. Sat in the Heat

9. Lake Disappointment

10. The Noose



「John On The Ceiling」

 

©Barbora Krizova


ロンドンを拠点に活動するシンガー・ソングライター、Joni(ジョニ)はKeeled Scalesとの契約を発表し、シングル「Avalanches」をリリースした。下記をチェックしてほしい。


ジョニは、プロデューサーのルーク・シタル・シンのロサンゼルスのスタジオで新曲を完成させた。「Avalanches、は愛と失恋の二面性について歌った曲です。そして、もう一方がなければ、一方を手に入れることはできない。そして、すべての痛み、恐怖、爽快感、リスクにもかかわらず、私はもう一度、何度も何度もそれを行うだろう...」と彼女は声明を発表した。

 

ジョニは潜水艦乗りの娘で、幼少期はアメリカ、ヨーロッパ、アジアを転々とした。しかし、特に最近のある年、彼女は著しく孤独だった。同じようなロサンゼルスに幻滅を感じた彼女は、移り変わる季節と新しいインスピレーションを求めてロンドンに移り住んだ。秋には、10年来の恋人であり、バンド仲間であり、最も親しい音楽仲間との関係が破壊的に終わった。その冬、彼女は30歳になった。異国で失恋した彼女の人生は、つながりのない馴染みのないものに感じられた。しかし、何かが彼女にここに留まれと言った。そして春の訪れとともに、悲しみの庭から新しい歌が育ち始めた。


ジョニは、ローラ・ヴィアーズ、アクアラング、ダン・クロール、オールド・シー・ブリゲードといったアーティストとツアーを行ってきた。RIAA認定のプラチナ・レコードを持ち、Netflixの『Never Have I Ever』のような映画やテレビ番組にも出演している。

 

ジョニのソングライティングの中心は、地震による失恋、大きな喪失のトラウマ、そしてその余波から得られる痛烈な教訓である。曲は暗さと明るさの間をたゆたう。スパークルホース、ザ・ストロークス、ジョン・ブリオンといったインディー・ロックからの影響は、彼女の切ないヴォーカルとクライロ、ビーバドビー、フィーストのようなポップ・センスによって、女性的な軽快さを生み出している。


「Avalanches」

 



 The Horrorsはニューアルバム『Nightlife』のセカンドシングル「Trial By Fire」をリリースした。ゴシック、ポストパンク、インダストリアル、ダンスロックが結びついたアンセミックなナンバーだ。


バンドはプレスリリースで、このニューシングルについて次のように語っている。「Trial By Fire」は『Night Life』の攻撃的な曲のひとつで、僕らの2つのインダストリアルEPと新作の間のギャップを埋める内容なんだ。リースはサウスエンドで孤独にデモを作り始めた。この曲は、人生につきまとう呪いについて歌っています。ホラーズにとっては、毎日がハロウィンなんだ」

 

『Nightlife』はバンドにとって8年ぶりの新作となり、ラインナップを変更した。ホラーズの最後のアルバムは2017年の『V』だが、2021年には『Lout』と『Against the Blade』のEPをリリースしている。バンドにはまだヴォーカルのファリス・バドワンとベーシストのリース・ウェブが在籍している。これら結成時のメンバーに、キーボードのアメリア・キッドとドラムのジョーダン・クック(バンドTelegram)が新たに加わった。オリジナル・メンバーのジョシュア・ヘイワードもアルバムでギターを弾いている。オリジナル・メンバーのキーボーディスト、トム・ファース(2021年にバンドを脱退)とドラマーのジョー・スパージョンは不在だ。


バドワンとウェブは、ウェブのノース・ロンドンのアパートでデモ制作を始め、レコーディングはロサンゼルスでプロデューサーのイヴ・ロスマン(Yves Tumor、Blondshell)と行った。その後、ギタリストのヘイワードとともにロンドンでアルバムが完成した。


ザ・ホラーズのニューアルバム『ナイトライフ』をフィクションから2025年3月21日にリリースされます。


「Trial By Fire」





◾️THE HORRORS(ザ・ホラーズ)がニューアルバム『NIGHTLIFE』を発表 3月21日にリリース

 

©Elizabeth De La Piedra

米国のシンガーソングライター、Bartees Strange(バーティーズ・ストレンジ)はハロウィーンに合わせて次作『Horror』からのニューシングルを発表した。ケイト・アーサーが監督したミュージックビデオは、ボルチモアのお化け屋敷で撮影された。


「これはアルバムの音のテーゼだ」とストレンジは声明の中で「Too Much」について語っている。「これが好きなら、他の曲も全部好きになると思うよ。このアルバムは、私を怖がらせるものについて歌っているんだ。そしてこの曲は、人生に圧倒される感覚について歌っている。この曲はそんな気持ちを歌っている。抱えきれないほど、触れることもできないほどにね」

 

Bartees Strangeの新作アルバム『Horror』は2025年2月14日に4ADからリリースされます。 


「Too Much」




 


インディアナポリスのインディーロックバンド、Wishyが新曲「Planet Popstar」を発表した。今年初めのデビューアルバム『Triple Seven』のリリース以来、バンドにとって初めての新曲だ。アウトテイクの曲とのことですが、他の収録曲とはやや毛色が異なる。以下からチェックしてみよう。


「この曲は、どう考えても手の届かないような誰かや何かに憧れる気持ちを歌っている」とバンドのケヴィン・クラウターは「Planet Popstar」について語った。

 

「距離は心を豊かにするという。この曲は昨年末のトリプル・セブン・セッションでレコーディングしたんだけど、結局アルバムには入らなかったんだ」


「Planet Popstar」

 


 

©︎Xaviera Simmons

TV on the Radioのフロントマン、Tunde Adebimpe(ツンデ・アデビンペ)がニューシングル「Magnetic」を発表した。

 

この曲は、彼のソロ・デビュー曲であると同時に、新しいレーベル、サブ・ポップ・レコードからの初リリースでもある。アデビンペは、この曲のミュージック・ビデオも監督しており、以下で見ることができる。


サブ・ポップの共同設立者であるジョナサン・ポネマンは、今回の契約について次のように語っている。「トゥンデ・アデビンペをサブ・ポップのアーティストとして心から歓迎します。彼の加入により、サブ・ポップはより良く、より上品になる! 私たちはサブ・ポップがツンデ・アデビンペのレーベルになるチャンスを得るために、20年以上待ち続けてきました」


TV on the Radioは、デビューアルバム『Desperate Youth, Blood Thirsty Babes』の20周年を記念して、ニューヨーク、ロサンゼルス、ロンドンでソールドアウト公演を行う。


「Magnetic」

Soccer Mommy 『Evergreen』

 

Label: Loma Vista/ Concord

Release: 2024年10月25日


Review


当初、ベッドルームポップシンガーとして登場したサッカー・マミーは、前作『Sometimes , Forever』(2022)では、ブラック・サバス等のゴシック色を吸収したダークな作風を選んだ。最新作ではそれまでの霧が晴れたかのような爽やかなソングライティングに回帰している。良質な曲を作りたいというスタンスはすでにオープニング「Lost」に反映され、事実、ポピュラーとしての一級品の曲が誕生したと言える。従来は、インディーロックやギターロックという形にこだわっていたような印象もあるソフィーアリソンであるが、この新作ではギターのソングライティングという面に変更はないものの、画一的なギターロックからは卒業しつつあるようだ。

 

「プロデューサーを選ぶのに苦労した」というプレスリリース時のコメントは、このアルバムに、クレイロと同じようなチェンバーポップやオーケストラ楽器の要素を加えようとした意向によると推測出来る。アルバムの序盤から、フォークソングに依拠したソングライティングにゴージャスなオーケストラ・ストリング等が登場し、タイトルである青春の雰囲気が醸し出される。また、収録曲の全般には、草原のようなサウンドスケープが登場し、これらのアルバムの印象を力強く縁取るのである。いうなれば、アトモスフェリックな一作とも言えるだろうか。

 

タイトルを見ると分かる通り、シンガーソングライターが今作で探求しようとしたのは、おそらく多感な時代の繊細な感情や叙情性、デジタルの全盛期にはなかった”アナログな感覚”である。端的に言えば、デジタル・ゾンビになることを、アーティストはやめたのだ。それはミッドファイの範疇にあるやや荒削りな質を取るロックソングに現れることがあり、「M」はその象徴的なナンバーだ。そして、ボーカルやギターの繊細なハーモニーから、得難いようなエモーショナルな感覚、ナイーブさ、さらにはエバーグリーンな感覚が立ち上る。アルバムの序盤は、自然豊かな場所で、風が優しく通り抜けていくような爽やかさを感じ取ることが出来る。 そして青春という不思議な感覚と合わせて、これらの爽やかな感覚が重視されている。この曲では、アコースティックギターの多重録音で分厚い音像を作り出し、曲の最後で今流行りのメロトロンを使用し、ノスタルジックな感覚を作り出す。作曲家としての成長が感じられる。

 

最初期のベッドルームポップ、そして、その後のオルタナティヴロックという二つの時期を経て、ソングライターは今まさにミュージシャンとして次の道を歩みはじめているところだ。「Driver」は旧来のファンの期待に応えるようなグッドソングである。ワイルドな雰囲気を重視し、そして力強いソングライターのもう一つのアメリカン・ロック好きの一面が垣間見える。さらに、アルバムの序盤から印象的に登場する草原のようなイメージはその後も維持される。「Some Sunny Day」では、繊細で切なさを併せ持つオルタナティヴフォーク・ソングを聴くことが出来る。ベースの進行との兼ね合いの中で、琴線に触れるような切ないハーモニーを生み出す。近年のソングライターの苦心の跡が見えるような一曲。必ずしも最初期のような音楽を第一義にしていない証拠でもある。結果として、普遍的なポピュラーソングに近くなりつつある。

 

現在、サッカー・マミーはおそらくモダンなベッドルームポップやインディーフォーク、それからロックソングという旧来の楽曲性を踏まえた上で、今後、どのような青写真を描くのかを模索している最中であるように思える。それは例えれば、雲の切れ端が空を多い、少しずつ流れ、別の形に変わっていく様子によく似ている。

 

「Changes」は米国的なフォーク音楽というよりも、ヨーロッパ的なフォーク音楽を志向した結果でもある。部分的にはジョニー・マーのような繊細なギターラインが登場することがあり、これは旧来のソングスタイルには見られなかった新しい要素で、今後の一つの音楽的な指針にもなる可能性があるように思える。

 

しかし、そういった幾つかの新しい試みもある中で、アルバムの音楽性の核心を形成するのは、従来のような聴きやすく琴線に触れる”切ないポップソング”である。発売日前に公開された「Abigail」は本作のハイライトで、ときめくような人生の瞬間を音楽的に表現している。楽曲としても構成やダイナミクスの側面で、より起伏や抑揚のある曲を書こうという姿勢が反映されている。曲の最後では驚くようなサウンド効果が用意されている。これもまた新しい試みの一つ。

 

オルトロックとしてのヘヴィーさを強調した前作に比べると、落ち着いた音楽性が際立ち、安定感のあるアルバムとなっている。そしてどうやら、ハイファイなサウンドのみに焦点が絞られるわけではなく、「Thinking of You」ではスラッカーロックに近いローファイに近いスタイルを選んでいる。しかし、サビの部分では他曲と同じように清涼感に溢れるボーカルが登場する。

 

「Dream of Falling」は、アメリカのスタンダードなポピュラー音楽を基にして、普遍的なサウンドを探求し、心地よいドラムのミュートが、ギター/ボーカルのマイルドな感覚を引き立てる。「Salt In Wound」は、オルタナティヴ・ロックとして聴かせるものがあり、それは明るさと暗さの間を揺れ動くようなボーカルの旋律進行に反映されている。これらが、従来のベッドルームポップのスタイルと的確に結び付けられている。未知の音楽への挑戦は、この後も部分的に登場する。

 

「Anchor」では、ダブやトリップホップ的なサウンドとギターロックの融合に取り組んでいる。続く、本作の最後を飾るタイトル曲は、サッドコアのインディーサウンドからピクチャレスクなフォークソングへと移行する。どちらかと言えば、米国というよりも、アイリッシュフォーク、ケルト民謡に近いダイナミクスを描く。この表題曲でアルバムジャケットのイメージは結実を果たす。最初から分かるというよりも、聴いていくうちに分かってくるようなアルバム。


結論づけると、『Evergreen』はフォーク、ロック、ポップ、オーケストラという複数の方式で繰り広げられる一連の抒情的なストーリーのようでもある。また、従来のサッカー・マミーの作品に比べ、バンドの性質の強い作風となったのは事実だろう。個人的には、米国の短編小説「The Strawberry Season(苺の季節)」(Erskin Caldwell)に近いセンチメンタルな感覚が感じられた。

 


 

 

84/100

 

 

Best Track- 「M」



◾️REVIEW / SOCCER MOMMY 「SOMETIMES,FOREVER」

 

©Daniel Topete


シカゴのFrikoは、デビューアルバム『Where we've been, Where we go from here』のデラックス・エディションを発表した。ATOから11月22日にリリースされ、スタジオ・アウトテイクのデモ曲、ライヴ音源、マイ・ブラッディ・ヴァレンタインの「When You Sleep」のカヴァー、新曲「If I Am」を含む11曲のボーナス・トラックが収録されている。試聴は以下から。


「If I Am」は、この拡大版に収録されている他の新曲とともに、2019年まで遡ることができる」とフリコは説明した。「シカゴのDIYや小さなクラブでのライヴで最初に演奏した曲のいくつかだ。レコードのために曲を書いた後、置き去りにされたようなものだったけれど、バンドとして最初に書いた曲の一部だったから、日の目を見ることができてとても嬉しく思っています」



Friko 『Where we’ve been, Where we go from here  (Expanded Edition)

 

Label: ATO

Release: 2024年11月22日

 

Tracklist:


1. Where We’ve Been

2. Crimson to Chrome

3. Crashing Through

4. For Ella

5. Chemical

6. Statues

7. Until I’m With You Again

8. Get Numb To It!

9. Cardinal

10. I Could

11. If I Am

12. Love You Lightly

13. Pride Trials

14. Sliip Away

15. Where We’ve Been (Live In Chicago at Metro 3/1/24)

16. Statues (Live In Chicago at Metro 3/1/24)

17. Cardinal (Live In Chicago at Metro 3/1/24)

18. Get Numb To It! (Demo Version)

19. Repeat Yourself (Demo Version)

20. When You Sleep

 

Pre-order : https://atorecords-ffm.com/wwbexpanded

 

 

 

 

■Friko 

 

シカゴのインディー・ロックの系譜に欠かせない存在であるフリコは、歌を集団のカタルシスへと変える。ロラパルーザ、フジロック、ロイエル・オーティスとのアメリカ・ツアーなど、世界中のステージでエネルギッシュなライブを披露してきたフリコは、「Where we've been, Where we go from here」のエクスパンデッド・エディションのリリースを準備している。この新バージョンは、未発表トラック、デモ、ライブ録音、カヴァーを通して、バンドの音楽的DNAにある音の複雑さと原始的なロックをさらに探求している。



「フリコは、彼ら独自のトーンを打ち出している。このアルバムの高揚した感情を支えるソングライティングの才能で、Frikoは彼らの影響の総和をはるかに超えるデビュー作を成功させた。」-Consequence