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愛される作曲家でありエチオピアの修道女でもあるエマホイ・ツェゲゲ・マリアム・ゲーブル(Emahoy Tsege  Mariam Gebru)によるピアノ、オルガン、ハルモニウムを通じて奏でられるスピリチュアル・ミュージック。


今作は彼女が1972年に自主制作したアルバムに未発表のピアノ録音2曲を収録した「エチオピア教会音楽」へのアプロー チを探求した作品。


「Ave Maria」は彼女が録音した作品の中でも特に印象的な一曲であり、澄んだピアノの音色が古い石造りの壁に反響しています。


「Spring Ode - Meskerem」では彼女の親しみ深い旋律がハルモニウムを通じて新たな響きを表現。その他に彼女のヨーロッパ古典音楽の訓練と長年にわたるエチオピア宗教音楽の研究が融合した、壮大なオルガン演奏2曲も収録。


なかでも「Essay on Mahlet」では、エチオピア正教の典礼における自由詩の精神を一音一音ピアノで 表現し、独自の感性との融合が最も際立った楽曲。


どちらも1963年に自主制作したアルバム『Der Sang Des Meeres』 からの作品。ジャケットには、メタリックシルバーの箔押しが施され、学者でピアニストのトーマス・フェンによるライナーノーツを掲載した12ページのブックレットを収録。彼女の102年目の誕生日に合わせてリリースされます。 




Emahoy Tsege  Mariam Gebru  『Church of Kidane Mehret』



アーティスト : Emahoy Tsege Mariam Gebru (エマフォイ・ツェゲ・マリアム・ゲブル)

タイトル : Church of Kidane Mehret (チャーチ・オブ・キダネ・メレット)

レーベル : Mississippi Records

発売日 : 2025年5月23日


<国内流通盤CD>

品番 : AMIP-0377

価格 : 2,750円(税込)/2,500円(税抜)

バーコード : 4532813343778


<国内流通盤LP>

品番 : AMIP-0378LP

価格 : 5,940円(税込)/5,400円(税抜)

バーコード : 4532813343785

*限定Clear Vinyl



【Emahoy Tsege Mariam Gebru】


エチオピアの修道女であり作曲家/ピアニスト。エチオピアのアディスアベバの裕福な家庭に生まれる。


6歳のとき、姉とともにスイスの寄宿学校に入学し、そこでヴァイオリンを学んだ。帰国後は戦 争や国の情勢に振り回され音楽活動は出来なくなり、19歳の時エチオピア・ウォロ州のギッシェン・ マリアム修道院に逃げ込み21歳で修道女となる。


1960年代には、かつてエチオピア王国の首都が あったゴンダール県に住みそこでエチオピア正教会の聖楽を創始したとされる6世紀の聖ヤレドの 宗教音楽を学ぶ。その頃から母国の孤児院に資金を供給する為に楽曲制作を始める。


1984年、母の死後に彼女は共産主義のデルク政権を逃れエルサレムのエチオピア修道院に移り住む。彼女のレコードの収益は孤児院を支援するために使われています。2023年3月に惜しまれつつこの世を去りました。

 


「Bank On」は、David Longstreth(デイヴィッド・ロングストレス)、Dirty Projectors(ダーティー・プロジェクターズ)、s t a r g a z eによるコ『Song of The Earth(ソング・オブ・ジ・アース)』の3rdシングルである。この曲には(皮肉な)メッセージが込められている。 視聴はこちら


6分半にわたって、ロングストレスは丁寧なインディーロックとして聴き取れるような音楽を作るという見栄を捨て、その結果、力作が生まれた。

 

ダーティ・プロジェクターズのフェリシア・ダグラスのゴージャスなソロ、ハープシコードを使った『Songs In The Key of Life』(スティーヴィー・ワンダーによる1976年の傑作)のようなロングストレスのヴァース、ダーティ・プロジェクターズの特徴である女性ハーモニーのコーラス、グスタフ・マーラーのようなブラスのファンファーレ。 

 

”Bank On"は、地球の大規模な破壊を前に、資本主義と製造された自己満足との間の歪んだ関係に立ち向かっている。


デヴィッド・ロングストレスのコメント:

 

この曲のタイトルは、『Fast Times At Ridgemont High』のショーン・ペン演じるスピッコリの声で想像できる。 このタイトルは、歌詞の中のフレーズ、"bank on apocalypse(黙示録の銀行)"の略だ。


ショック・ドクトリン的な発想である。 コーラスは、未来からの逆反転の祈りの呼びかけであり、地球の管理に失敗したことへの恐怖と後悔を呼び起こす。 「Bank On」の中心的なイメージは、侵食されつつある砂の上に建てられた、大きな花崗岩のブロック、ドーリア式の柱のような、永続的な組織の象徴である。

 




 Photo: Marcus Maddox

デイヴィッド・ロングストレスのオーケストラと声楽のための歌曲集『Song Of The Earth(ソング・オブ・ジ・アース)』は2025年4月4日にリリースされる。 


ロングストレスと彼のバンド、ダーティ・プロジェクターズ(フェリシア・ダグラス、マイア・フリードマン、オルガ・ベル)、そして、ベルリンを拠点に活動する室内管弦楽団”s t a r g a z e”(アンドレ・ド・ライダー指揮)が共演するこのアルバムには、フィル・エルヴァーラム(マウント・イーリー)、スティーヴ・レイシー、パトリック・シロイシ、アナスタシア・クープ、ティム・ベルナルデス、アヨニ、ポートレイト・オブ・トレイシーが参加し、ジャーナリストのデイヴィッド・ウォレス=ウェルズが言葉を寄せている。

 

ダーティ・プロジェクターズの『Lives Above』が、そのベースとなったブラック・フラッグの『Dameged(ダメージド)』とは似ても似つかないように、『Song Of The Earth(ソング・オブ・ジ・アース)』もその名の由来とは似ても似つかない。グスタフ・マーラーの1908年の歌曲『大地の歌(Das Lied Von Der Erde)』とは似ても似つかない。 しかし、ロングストレスは "マーラーの作品のテーマ、感情、そして矛盾を解消する精神が飽和状態にある "と指摘している。

 

ロングストレスは、s t a r g a z eの依頼で『大地の歌』の初稿を6週間かけて "躁状態 "で書き上げた。

 

パンデミックの混乱、新しい父親としての "ラディカル・サイケデリア"、大編成のアンサンブルのための作曲という斬新さなど、自分が置かれた状況に混乱しながらも、活力を感じていた。 その後3年間、オランダ、ロサンゼルス、ニューヨークのスタジオや自宅で、改訂、書き直し、編曲、レコーディングを行った。

 

『ソング・オブ・ジ・アース』は、ロングストレスがコンサート音楽の分野に進出した最大の作品である。 

 

この曲は、2024年3月にロサンゼルスのディズニー・ホールでLAフィルハーモニー管弦楽団と共演し、完売のうちにアメリカ初演された。 また、2022年から2024年にかけて、ロンドンのバービカン、ハンブルクのエルプフィルハーモニー、アムステルダムのムジークヘボウでもワークインプログレス公演が行われた。

 

ロングストレスは、「この音楽の必要性は、Tが娘を妊娠していた2020年秋の数日間に生まれた。 今年もそうだったが、カリフォルニアの大火は異常だった。 私たちはジュノー行きの空の便に乗った。 パンデミックの真っ最中で、誰も飛行機に乗っていなかった。 炭素を多く燃やすことで火災から逃れるという皮肉だ」。 アラスカの美しさと涼しさ。 サケの遡上後の腐った死骸に囲まれた沿岸の沼地の頁岩石の堤防に、泥だらけの白頭ワシが座っていた」と述べている。

 

ロングストレスは、『ソング・オブ・ジ・アース』は "気候変動オペラ "ではないが、"悲しみを超えた何かを見つけたかった "と言う。「希望、皮肉、ユーモア、怒りが散りばめられた認識」である。中東にせよ、東欧にせよ、現在の一筋縄ではいかない世界情勢を如実に反映するような音楽である。

 


 

 

 

 

David Longstreth/ Dirty Projectors/ stargaze 『Song of the Earth』


Label: Transgressive/ Nonsuch

Release: 2025年4月4日

 

Tracklist

 

1. Summer Light

2. Gimme Bread

3. At Home

4. Circled in Purple

5. Our Green Garden

6. Walk the Edge (with Anastasia Coope)

7. Opposable Thumb

8. More Mania

9. Spiderweb at Water’s Edge (with Patrick Shiroishi)

10. Mallet Hocket

11. So Blue the Lake

12. Dancing on our Eyelids

13. Same River Twice

14. Armfuls of Flowers (feat. Steve Lacy)

15. Twin Aspens (feat. Mount Eerie & Patrick Shiroishi)

16. Uninhabitable Earth, Paragraph One

17. Kyrie/About My Day

18. Shifting Shalestones

19. Appetite (with Tim Bernardes)

20. Bank On (with Portraits Of Tracy)

21. Paper Birches, Whole Scroll

22. Raven Ascends (with Patrick Shiroishi)

23. Blue of Dreaming (with Ayoni)

24. Raised Brow



デヴィッド・ロングストレスはグラミー賞にノミネートされたシンガー、ソングライター、プロデューサー。 ダーティ・プロジェクターズというバンドを立ち上げ、ソランジュ、ビョーク、リアーナなどとのコラボレーションで知られる。 ここ2年間は映画音楽を担当。インディペンデント長編映画『Love Me』(2025年)とA24の『The Legend of Ochi』(2025年2月28日全国劇場公開予定)。

 

レッドホットのコンピレーション『TRANSA』(2024年11月リリース)では、カーラ・ジャクソン、アイハ・シモンと「My Name」を共作・プロデュースしたほか、ケイト・ボリンジャー、ブレイク・ミルズ、ヴァンス・ジョイとの曲も手がけている。 

 

彼は、TBA-d/loシリーズの進行中の音源を携えて、選択的に全米ツアーを行っている。 ダーティ・プロジェクターズの最新作は、バンドのメンバーを紹介する連動EPシリーズ『5 EPs』(2020年)。 ダーティ・プロジェクターズは、フェリシア・ダグラス、マイア・フリードマン、オルガ・ベル、デヴィッド・ロングストレスの4人。

 

s t a r g a z eは、現代音楽家によるヨーロッパのオーケストラ集団で、現代的な作曲とオルタナティブな姿勢やサウンドを融合させ、著名なアーティストや場所との無数のコラボレーションを行いながら、クラシック音楽とポピュラー音楽の間にある冗長な溝を絶えず埋めながら、進化し続けるプロジェクトである。s t a r g a z eは、テリー・ライリー、ジョン・ケイル、ジュリア・ホルター、リー・ラナルド、ケイトリン・オーレリア・スミス等と過去に共演している。

 

アンドレ・デ・ライダーは、バロックから現代音楽まで、その多才なスタイルにより、多くの需要がある指揮者である。 2013年にs t a r g a z eを設立し、マックス・リヒター、ブライス・デスナー、ジョニー・グリーンウッドなどの作品を録音している。 デ・リダーは、アルバム『Africa Express Presents』に収録されたテリー・ライリーの『In C』のレコーディングを主導した。マリのミュージシャン、デーモン・アルバーン、ブライアン・イーノと共演している。




Goldmundがニューアルバム『Layers of  Afternoon』を発表した。本作はウエスタン・ビニールから6月13日に発売され、国内盤も同時に発売予定です。キース・ケニフは、叙情的なピアノ作品を音楽的な特徴としている。『Sometimes』では、坂本龍一とコラボレーションをしたこともある。ニルス・フラーム、オーラヴル・アーノルズ、小瀬村晶のファンは必聴のアーティスト。

 
ピアノ/ストリングスをフィーチャーしたインストゥルメンタル「Darnly」が公開された。この曲はどちらかと言えば、ヨーロッパ的な響きが込められている。従来はミニマリズムの範疇にある作曲性を重視していたが、今作は音楽の展開の要素が内包される。フレーズが次のフレーズをなめらかに呼び起こし、一曲の中で時間の緩やかな起伏のようなものが感じられる。曲のクライマックスでは、エレクトロニクスのアンビエントが登場し、オーガニックな余韻を残す。
 
 
最近、ゴールドムンドはパートナーで音楽的な盟友でもあるホリー・ケニフの楽曲のプロデュースも手掛けているが、2024年のアルバム『For Forever』と連動する作品になりそうな予感がする。
 
 
 





Goldmund -  『Layers of Afternoon』


アーティスト : Goldmund (ゴールドムンド)

タイトル : Layers of Afternoon (レイヤーズ・オブ・アフタヌーン)

レーベル : Western Vinyl

発売日 : 2025年6月13日


<国内流通盤CD>

品番 : AMIP-0379

価格 : 2,750円(税込)/2,500円(税抜)

バーコード : 4532813343792

*日本独占流通


<輸入盤CD>

品番 : WV283

卸値 : 1,540円(税抜)

バーコード : 843563182710

*日本独占流通


<輸入盤LP>

品番 : WV283LP

卸値 : 3,040円(税抜)

バーコード : 843563182703

 

 

【作品の紹介】


今作は、ある種の時間の経験を反映することを意図している―それは具体的でありながら曖昧で、感じ取ることはできても簡単には言葉にできないものだ。

 

こうした瞬間は時に短く、時に長く続くが、常に私たちの内面に影響を与えるパターンとして現れる。私たちはそれらの特別さを認識しつつも、無意識のうちにそのパターンを見つけて浸ることを求めるのかもしれない。Keith Kennif(Goldmund)にとって、言葉はこうした経験を伝えるには不十分であり、芸術や音楽こそがその特別さを 捉える最も近い手段だと考えている。

 

キース・ケニフは次のようにこのアルバムについて語る。「『Layers of Afternoon』はその“狭間”の場所を見つけ、そこから作曲することを目指しました。目標や音楽的な訓練、複雑な感情から解放された理想的な世界としての私の経験を表現したかった。この空間を訪れ、創作の中で自由に”瞬間”が浮遊するようにしたかった。」

 

ヴァイオリニストのScott Mooreと共に彼はノスタルジアと儚い存在の間を漂う音の風景を生み出し、聴く者を記憶のぼやけた境界線へと誘う。

 

 

【Goldmund】

 

米国ペンシルバニア出身で現在はメイン州在住のアーティスト。 Goldmund、Heliosの他にもKeith Kenniff、Mint Julepとしても作品を 発表し、それぞれの名義にて様々な才能を発揮している。

 

本名(キース・ケニフ)名義ではアップル、フェイスブック、グーグルなどのCM音楽も幅広く手掛ける人気音楽家。


Goldmundとして『Corduroy Road』(2005年)『、the malady of elegance』(2008)、『Famous Places』(2010)、『All Will Prosper』 (2011)、『Sometimes』(2015)『、Occasus』(2018)、『The Time It Takes』(2020)をリリース。

 

モダンとクラシカルが融合した独特のピアノ・ サウンドはモートン・フェルドマンとブライアン・イーノが出会ったようなサ ウンドで、シンプルながら深みのある響きを伝えてくれます。2019年にはピアノの祭典『PIANO ERA』で10年ぶりに来日を果たした。



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ロンドンのボーカリスト、Hatis Noit(ハチスノイト)の”オーラ・ワークス・シリーズ”は、アメリカ/バルティモアの作曲家Alex Somer(アレックス・ソマーズ)と、彼女の作品「Angelus Novus」の心を揺さぶる再創造を提供する。今回、2年前にリリースされた原曲のリワークが配信された。

 

リワークバージョンはボーカルコラージュやサンプリングを基にした神秘的なテイストを持ち、音楽は生と死の境界を彷徨うかのよう。シンセによるアレンジは賛美歌やレクイエムのような厳かさをトラック全体に及ぼしている。同楽曲はErased Tapesから発売中。ストリーミングはこちら



父が亡くなったとき、私は北海道の雪景色を旅し、父の遺体を確認し、彼の人生の痕跡を探した...それは、私が人生でほとんど知らなかった人の本質を明らかにする孤独な旅だった。

 

その旅の間、ヨンシとアレックスが創り出した『Riceboy Sleeps』の音楽は、単純な悲しみや手に入れられる愛への憧れを超えて、まるで目の前の荒れ狂うホワイトアウトの風景に音楽が呼応するかのように、私を未知の記憶の穏やかな風景へと導いてくれた。

 

それから10年以上が経ち、アレックスに人生の葛藤と癒しの両方を反映した「Angelus Novus」をリワークしてもらったことは、私にとって深い運命的なものを感じる。- ハティスノイト





ボーカルというのは、私たちが持っている楽器の中で最も即効性のあるものだ。 ハティス・ノイトの『Angelus Novus』を初めて聴いたとき、霧のように幾重にも垂れ込める声をフィーチャーしたアウトロに惹かれた。 その世界に住んで、その出発点から新しい曲を作りたいと思った。 

  

原曲のその動きをループさせた後、私はヴォーカルのレイヤーを新しい音の破片に分断する方法を聴き始めた。

 

ボーカルのテクスチャーをすべてコラージュして、再サンプリングし、そこに新しいハーモニーを加え始めた。 やがてヴォーカルのコラージュの下にコードが聴こえるようになったので、環境全体を支える低音域のサブベース・コードのパッセージをゆっくりと書いて録音した。

 

最後に、曲全体を3半音遅くした。 私はヴァリスピードが大好きで、聴き慣れたものから聴き慣れないものへと何かを変化させるお気に入りの方法なんだ。 聴いてくれてありがとう! アレックス・ソマーズ

 

 

 「Angelus Novus」(Alex Somers Rework)

 Interview:  Midori Hirano

 

Midori Hirano & Bruder Selke ©Sylvia_Steinhäuser
 

 

互いの異質さや存在感をぶつけ合うのではなく、逆に互いの最大公約数を見出し、そこにフォーカスする- Midori Hirano

 

 

ベルリンを拠点に活動するピアニスト、シンセ奏者、作曲家として世界的に活躍するMidori Hiranoは、2025年に入り、ポツダムの兄弟デュオ、Bruder Selke(ブルーダー・ゼルケ)とのコラボレーションアルバム『Spilit Scale(スピリット・スケール)』をThrill Jockeyから1月末に発表しました。エレクトロニック、チェロ、ピアノを組み合わせたアルバムで、スケールの配置をテーマに制作された。

 

らせん階段のように、GからAのスケールが配置され、旧来のバロック音楽、現代的なエレクトロニックのメチエを組み合わせ、変奏曲、連曲、組曲ともつかない、珍らかな構成を持つモダンクラシカル、エレクトロニック作品に仕上がった。Yoshimi O、灰野敬二、Boredoms、石橋英子をはじめとする、日本のアンダーグランドの象徴的な実験音楽家を輩出するスリル・ジョッキーからのリリースは、ミュージシャンにとって象徴的なレコードの誕生を意味するでしょう。


今年は続いて、ロシア出身でスウェーデンを拠点に活動するミュージシャン、CoH(Ivan Pavlov)とのアルバム『Sudden Fruit』がフランスのレーベル”ici,d'alleurs”から4月に発売予定。エレクトロニックとピアノの融合した、オランダのKettelを彷彿とさせるアルバム。また、アーティストは今年4月に日本でライブを行う予定です。こちらの詳細についてもご確認下さい。

 

今回、平野さんはご旅行中でしたが、『Spilt Sacale』の制作全般について、最近のベルリンの暮らしや政治情勢について教えていただくことが出来ました。お忙しい中、お答えいただき、本当にありがとうございました。今後の活躍にも期待しています。以下よりインタビューをお読みください。

 

 

ーー1月24日にコラボレーションアルバム『Spilit Scale』がThrill Jockeyから発売されました。この作品の大まかな構想についてあらためて教えて下さい。



平野みどり: このアルバムの構想は最初にゼルケ兄弟から提案されたのですが、一曲ごとのキーを西洋音階のピアノでいうところの白鍵にあたるAからGまでに設定して作るというとてもシンプルなものでした。ですので、一曲目がA-Minorで始まって、最後にまたA-Minorで終わる形になっています。マイナーキーにするかメジャーキーにするかまでは決めてなかったのですが、互いの音楽の内省的な傾向が影響したのか、自然にFとG以外は全部マイナーキーになりました。



このアルバムは、全てファイル交換のみで制作したのですが、段取りを明確にする為に、A, C, E, Gは私発信で、それ以外のB, D, F, AAはゼルケ発信で始める事にしました。


アイデアとしてはとてもシンプルだし、新鮮さは特にありませんが、私は自分の作品を作るときはこんなに分かりやすいルールを決めてから始めるという事はあまりなかったです。私に取っては決められたルールの中で、彼らの作る音も尊重しながら、どれだけ自由に表現を広げられるかという点では、とても新鮮な試みでしたね。



ーーゼルケ兄弟との親交は、いつ頃から始まったのでしょうか? 実際に一緒に制作を行ってみていかがでしたか。



平野: 最初にゼルケ兄弟と知り合ったのは、彼らの拠点でもあるポツダムで主催している「Q3Ambientfest」というフェスティバルに呼んでくれたのがきっかけでした。2017年の春で、その年が彼らにとっても第一回目のフェス開催でした。その当時は彼らは”CEEYS”というユニット名で活動していましたが、数年前からブルーダー・ゼルケと名乗るようになっていました。


その後にも何度か同じフェスだけでなく、別の主催イベントにも対バンで何度も呼んでくれるようになって、それを通じて次第に仲良くなっていったという感じです。

 

それから2021年に彼らの”Musikhaus”というリミックスアルバムの為に、一曲リミックスを依頼されて制作したのですが、そのリミックスを気に入ってくれたみたいで、その後に割とすぐコラボレーションをしないかと誘われたのが、このアルバムを作る事になったきっかけですね。

 

最初に調性などのルールは決めたものの、それ以外は自分の直感に従い、自由に音を重ねていったように思います。ゼルケ兄弟の2人は本当に人が良くて平等精神に溢れた人達ですので、お互いに尊重するべきポイントもとても把握しやすく、最後まで気持ち良く作る事が出来ました。




ーー最新作ではピアノ、チェロ、シンセサイザーを中心にモダンクラシカル/アンビエントミュージックが展開されます。作曲から録音に至るまで、どのようなプロセスを経て完成したのでしょうか。



平野: 彼らが住んでいるポツダムから私の住むベルリンまでは電車で1時間弱と近いので、一緒にスタジオに入って録音する事も物理的には可能ではありましたが、3人のスケジュールを合わせるのはなかなか大変ですし、それぞれ自分のペースでゆっくり考えながら制作したいという思いもありましたので、先に話したように、全てファイル交換のみで仕上げました。途中、何ヶ月か中断しながらでしたが、2年ほどかけて丁寧に作りました。

 

録音したファイルは、毎回、4曲ずつをまとめてお互いに送り合って進めましたが、ファイルが往復した回数は2年の間で合計3回ぐらいだったと思います。

 

最終的な仕上げとミックスは私に任せるとゼルケ兄弟が言ってくれたので、最後の調整は私が1人で数ヶ月かけてやりました。最後の段階では曲によって10分以上あるものも多く、ちょっと長すぎるかなと思ったところを私の判断でいくつか切って短くしたり、さらに私が追加でピアノとパッド系のシンセを入れた曲も結構あります。



最終調整作業は、なかなか大変でしたが、結果的には満足のいくものに仕上がったと思っています。私は自分のソロでは結構実験的なアプローチで作っていたり、ピアノがメインの曲でもピアノの音自体を大きく加工して作ることも多いので、こんなに直球なモダンクラシカル的な作品をアルバム単位で作ったのは、私にとっては実は初めてかもしれませんね。




ーー今回のアルバムでは、ピアノ/シンセサイザー奏者が二人いるわけですが、それぞれの演奏パートをどのように割り振ったのか教えていただけますか? また、ゼルケさんと平野さんの演奏者としての性質の違いのようなものはあるのでしょうか?



平野: 3人の中でチェロを演奏するのはセバスチャンだけなので、ここの割り振りは初めからはっきりしていました。ピアノに関してはダニエルと私で特別最初に申し合わせをした訳ではないのですが、ダニエルがピアノを弾いているのは「Scale C」と「E」だけで、それ以外の曲のピアノはほぼ全て私が担当しました。


最初に彼らから送られてきた曲のファイルにあまりピアノが入っていなかったので、あえて私の為に入るスペースを残してくれていたのかなとも思いました。逆に、私も自分発信の4曲の中の「Scale C」と「E」には、ダニエルがもしかしたらピアノを弾くかもしれないと思い、シンセしか使いませんでした。


段取りについては最初に明確にルールを決めたものの、楽器の割り振りについては毎回録音する度にお互いに探り合いをしながら、慎重に選んでいったように思います。最終ミックスの段階で、初めて何か足りないと思ったところを、私がシンセやピアノで一気に追加したような感じですね。



ピアノとパッド系のシンセや「Scale C」のイントロに出てくるようなデジタル感の強い音は主に私で、ダニエルはエレクトロニックパイプで控えめなノイズっぽい音と、時折シンセベースを出したりしています。


あと、「Scale AA」でのシンセのアルペジオもダニエルが演奏しています。アナログ機器とチェロの音がメインのゼルケ兄弟の音と、ピアノ以外ではデジタルシンセを多く使っている私の音をミックスするのはなかなか難しかったですが、その割には意外とうまくまとまったなと思っています。



ーー『Split Scale』は、インプロヴァイゼーション(即興演奏)の性質が強いように感じられました。トリオでの制作において、共通するイメージやコンセプトのようなものはありましたか。そして、そのイメージが通じる瞬間はありましたか?



平野: ゼルケ兄弟も私も最初の録音の際には即興に近いスタイルで演奏したと思いますが、あとはお互いの音を聞きながら録音を重ねていっているのと、後から編集も結構加えているので、厳密に言えば、即興と作曲の中間のようなものです。



それでも、3人ともクラシック音楽のバックグラウンドがあるからなのか、ハーモニー構成の癖が似ている部分もあるかもしれません。ステージで一緒に演奏する時でもほぼ全部即興であるにもかかわらず、横も縦もはまりやすい。即興演奏として、それが面白いかどうかというと、人それぞれの意見があるとは思いますが......。でも、お互いの異質さや存在感をぶつけ合うのではなく、逆に互いの最大公約数を見出し、そこにフォーカスするような控えめな「即興演奏」を、私達はこの作品で繰り広げたのだと思ってますし、そこから生まれる美しさもあると思います。

 

 

Photo:Sylvia Steinhäuser

 



 

ーー最近のベルリンの生活はいかがでしょう? 現在の現地のミュージックシーンがどうなっているのかについてお聞きしたいです。



平野: ベルリンに住んでもう16年が経ちますので、最初に引っ越してきた頃に感じていたような新鮮さは薄れかけていますが、私個人の印象では日本と比べると、風通しの良い人間関係を築きやすい気がします。そして、女性が自信を持って生きやすい場所だとも思えるところは変わらないです。ベルリンというのは、いろいろな人達が移住してきてはまた去っていく都市ですので、長く住んでいる身としては、たまに”部活の先生”みたいな気持ちになる事があります。



音楽シーンは変わらず活発です。地元のアーティストもそうですが、世界各地から頻繁にさまざまなミュージシャンがベルリンにツアーのために訪れますし、毎日のように、いつもどこかで大小様々なライブイベントが開かれています。運営側からすると、客取り合戦みたいになりがちです。それでも、この活発さがベルリンの特色だと思っています。例えば、エクスペリメンタル・ミュージックのような、ニッチなジャンルのイベントでも、日本の数倍規模の集客がある場合が多いです。そこはベルリンの文化助成が支えて育ててきた部分も大きい気がしますね。



とはいえ、2024年の暮れから、ベルリンの文化助成予算が大幅に削減される事になりましたので、少しずつ運営が難しくなるライブハウスやイベントも出てきているようです。当然、この政治的な変化に対する反対運動も大きく、今後どうなっていくのかなとは思っています。色々な意味で、今後、アーティストとして、どう生きていくかが問われてきているように思います。



ーー女性が自信を持って生きやすいということですが、日本や他のヨーロッパの国々と何か異なる文化的な背景や慣例があるのでしょうか?
 
 

平野: 私は、日本以外ではベルリンにしか住んだことがないので、あくまでも個人的な体感に過ぎませんが、ドイツのみならずヨーロッパは全体的に、社会における女性の存在感が大きいように思います。勿論、もっと厳密に分析すれば、北欧、東欧、西欧と南欧では、文化的背景がそれぞれ異なってくるため、一概には定義できませんが、自由と平等、人権の扱い方や平和構築など、いわゆる大義としての西洋の理念みたいなものは欧州全体で共有されているという実感はあります。
 

女性に限らず、男性同士でもおそらくそうだと思うのですが、日本に比べると年齢によって作られるヒエラルキーをあまり感じなくて済むし、何歳になったからと言って、こうであるべきだ、みたいな固定観念も無くはないんですけど、日本よりはその意識がかなり薄いという気がします。
 

また、メルケル元首相が、2005年にドイツで女性として初めての首相に就任し、その後16年も政権を築いてきたことも、ドイツにおける女性の地位向上を目指す気運をさらに高めたと思います。
 
 
それでも、3年ほど前にメルケルさんが引退してからショルツ首相に変わり、この数年の間に国際情勢も大きく変わってしまった。ドイツ政治崩壊の危機と言われてしまうぐらいに状況も変わってしまいましたが……。先に挙げた文化助成予算の削減もその一つの影響でしょう。今月下旬にドイツで総選挙が行われますが、移民排除を掲げた右派政党も台頭してきています。今まで”正義”とされてきた西洋の理念がドイツでも少しづつ揺らいできているように思います。
 

イタリアのメローニ首相もイタリア初の女性首相なのは喜ばしいことですが、相当の保守派で、ドイツの右翼政党AfDの共同党首も女性です。アリス・ヴァイデルという人物なのですが、この間、ヒトラーを擁護するような発言をし、ドイツのメディアがひっくり返るような大騒ぎでした。
 
 
ですので、女性が地位さえ持てば、かならずしも良い結果に繋がるとは私も思っていませんが、ジェンダーバイアスにとらわれず、一人一人の思想や資質が可視化されるような時代になってきているのだと思いますし、それはそれで社会としての一つの進歩に繋がっていると思います。
 
 

CoH&Midori Hirano Photo: Markus Wambsganss



ーー今年4月には、グリッチサウンドを得意とするロシア出身のエレクトロニック・プロデューサー、CoH(Ivan Pavlov)とのアルバムがフランスのレーベル”Ici d’ailleurs”からリリースされます。

 

さらに、同月に日本でのCoHとのライブも決定していますが、新作とライブについて簡単に教えていただければと思います。また、セットリストは決まっていますか。楽しみにしていることはありますか?



平野: CoHのイヴァンとのアルバム「Sudden Fruit」は、ゼルケ兄弟とのアルバムと同じように途中中断しながらも、2022年から2年近くかけて、ファイル交換だけで完成させました。

 

私が仕上げをした「Split Scale」とは違って、次のアルバムでは、私が先にピアノとシンセだけで録音した全曲のファイルを一曲ずつイヴァンに送り、その後の仕上げは全てイヴァンにお任せでした。一曲だけ私の方でピアノを追加録音したものがあるくらいで、他の曲はファイルが往復する事なく、彼が私が最初に送ったピアノの全録音を再構築する形で出来上がっています。


 

ピアノの録音時に、各曲それぞれ、高音域、中音域、低音域と、いくつかのレイヤーに分割して録音したものを送っているので、イヴァンの方で、低音だけベースラインらしく人工的な音に作り変えたり、さらに、そこにビートが加えられたりしながらも、元のメロディラインやハーモニーは、最初の構想がそのまま生かされている場合が多いです。ですので、録音の時点では、BPMなどが明瞭ではなかったピアノの曲が、CoHの手を通して明確なBPMとグルーブが付与されたような感じになり、結果的にはとても上品でかっこいい作品になったと思いますね。

 


4月の日本でのイヴァンとのライブは私達にとって初めての経験となります。今頑張って準備中です。セットリストはライブ用にアレンジし直していますが、基本的にアルバムの曲を再現するような形でやろうと思っています。

 

イヴァンがラップトップ(PC)、MIDIコントローラー、私がピアノを担当するという、シンプルなセットアップですが、シンプルなので、原曲のハーモニー感とリズミックなパートが実際のステージで映えて聴こえると理想的であると考えています。おそらく、2月中には、ツアーの詳細を発表できる予定です。また、京都の公演では、ロームシアターのノースホールでマルチチャンネルシステムを使用してのライブになりますので、とてもスペシャルな体験になりそうです。

 

ちなみに、ゼルケ兄弟とも、そのうち日本でライブが出来ればと考えています。こちらのセットは使用する楽器の数が多くなりそうです。CoHとのセットのように、フットワークを軽くとはいかないかもしれませんが、ロジスティック(輸送)の問題さえクリアできるならいつか実現したいですね。

 


 

【アルバム情報】Brueder Selke & Midori Hirano 『Split Scale』:  Thrill Jockeyから1月24日に発売

 




 

Tracklist:

1.Scale A
2.Scale B
3.Scale C
4.Scale D
5.Scale E
6.Scale F
7.Scale G
8.Scale AA 

 


「Scale A」

 

 

 


 

Midori Hirano & CoH 『Sudden Fruit』   マインド・トラベルズ・コレクション、Ici d'Ailleurs レーベル  2025年4月発売予定




陰で熟した果実のように、『Sudden Fruit(突然の果実)』は2人のアーティストのユニークな錬金術を表現している。


日本人ピアニストで作曲家の平野みどりと、CoHとして知られるサウンド・アーキテクトのイヴァン・パブロフ。 この2人のコラボレーションは、アコースティックとデジタルの間に宙吊りにされた作品を生み出し、自然と人工物が融合する繊細な瞬間をとらえ、まるで時間そのものが開花と消滅の間で逡巡しているかのようだ。


京都に生まれ、現在はベルリンを拠点に活動する平野みどりは、アコースティック・ピアノとエレクトロニック・テクスチャーがシームレスに融合した、ミニマルで幽玄な音楽を創作している。 坂本龍一の後期の作品(『Async』、『12』)に倣い、平野はクラシック音楽の伝統的な枠組みを探求、解体、再発明し、ピアノの一音一音を内省的で没入感のある旅へと変える。 彼女はまた、MimiCofという別名義で、よりエレクトロニックでアンビエントなテクノ/IDM志向の作品も制作している。 そのため、ミドリがイヴァン・パブロフと交わるのは、ほぼ必然的なことだった。


現在フランス在住のこのロシア人アーティストは、過去30年にわたるエクスペリメンタル・エレクトロニック・ミュージックの重要人物である。 数学と音響学のバックグラウンドを持つ元科学者のCoHは、外科的な鋭さを持つ自由な精神を持っている。 1990年代後半、前衛的で精密なポスト・テクノで頭角を現した後、グリッチに傾倒し、後に音響やアンビエント・サウンドを音の彫刻に取り入れた。 


ピーター・クリストファーソン(COIL)、コージー・ファンニ・トゥッティ、アブール・モガード(COH Meets Abul Mogard)とのコラボレーションや、ラスター・ノトーン、エディションズ・メゴといった高名なレーベルからのリリースは、アヴァンギャルドなエレクトロニック表現への彼の影響力と、コラボレーションにおける彼の卓越した能力の両方を裏付けている。


『Sudden Fruit』で、CoHと平野みどりは没入感のあるキメラ的な作品を発表した。 1曲目の「Wave to Wave」から、オーガニックとデジタルの微妙なバランス、自然の流動性、そして平野のピアノが体現する詩情と、イワン・パブロフの機械の低周波の重厚さが並置されているのが感じられる。 


アルバム3曲目の "Mirages, Memories "は、平野が奏でる一音一音が、ゆっくりとこの新しい空間に没入するよう誘う。 タイトル曲「Sudden Fruit」のように、アンビエントというよりインテリジェント・ダンス・ミュージック寄りの曲もあり、アルバムが進むにつれて、パブロフの音のテクスチャーは驚くべき物語性を発揮し、作品に思いがけない深みを与えている。


『Sudden Fruit』は、『Mind Travels』コレクションの理念と完璧に合致しており、ジャンルの枠を超え、分類にとらわれない。 調和のとれた共生の中で、平野みどりとCoHは、唯一無二でありながら普遍的なハイブリッド作品を作り上げた。 『Sudden Fruit』は大胆な音の探求であり、その領域に踏み込む勇気を持つ人々に深く共鳴することを約束する未知の領域である。

 

 

 


Midori Hirano:

 

京都出身の音楽家。ピアニスト、作曲家、シンセ奏者、そしてプロデューサーとして世界的に活躍する。現在はベルリンを拠点に活動している。”MimiCof”という別名義で作品を発表することもある。音楽的な蓄積を活かし、ドイツの電子音楽の系譜を踏まえたエレクトロニック、ポストクラシカルの系譜にある静謐なピアノ作品まで広汎な音楽を制作し発表しつづけている。 


平野みどりは、現代のデジタルサウンドをベースにし、モジュラーシンセを中心とする電子音楽、フィールドレコーディングを用いた実験的な作風で知られている。ピアノ作品としては、『Mirrors In Mirrors』(2019)、『Invisible Island』(2020)がある。ハロルド・バッドの音楽にも通じる澄んだ響きを持つ作品集。

 

2006年にデビューアルバム『LushRush』を発表。2008年、セカンドアルバム『klo:yuri』を発表し、TIME、BBC Radio、FACT Magazine(The Vinyl Factory)から称賛を受けた。2000年代後半からベルリンに拠点を移し、ドイツのシーンに関わってきた。ベルリンのレーベル、Sonic Piecesから二作のアルバム『Minor Planet』、『Invisible Island』 を発表している。


平野みどりは、ソロ名義と別名義の作品を発表する中で、音楽という枠組みにとらわれない多角的な活動を行う。ドキュメンタリー音楽や映画音楽のスコアを制作し、著名なアートレジデンスに音楽作品を提供している。


ベルリン国際映画祭、クラクフ映画祭、SXSW映画祭で上映されたダンス・パフォーマンス、ビデオ・インスタレーション、映画音楽を担当した。2024年には、第40回ワルシャワ国際映画祭で初演された長編ドキュメンタリー映画「Tokito」のスコアを手掛けたほか、プレミアリーグのドキュメンタリーのサントラも制作している。Amazonで配信されたフットボールのドイツ代表に密着したドキュメンタリーの音楽も手掛けおり、ドイツ国内では著名な音楽家と言える。

 

さらに、リミックス作品も数多く手掛けている。Rival Consoles(Erased Tapes)、Robert Koch,Foam And Sand、Liarsなどのリミックス制作し、プロデュースの手腕も高い評価を受けている。

Elliot Galvin


先日、ニューシングル「From Beneath」を発表したエリオット・ガルビンが、来年2月にニューアルバム『The Ruin(ザ・ルイン)』をリリースすることがわかった。この発表と合わせて新曲「A House, A City」が配信された。


受賞歴もある作曲家で、シャバカ・ハッチングスのピアニストとしても知られる即興演奏家のエリオット・ガルビンは、英国ジャズ界のスーパーグループ、ダイナソーのメンバーで、マーキュリー賞にもノミネート経験をもつ。


グラミー賞、マーキュリー賞、MOBOにノミネートされたレコーディング&ミキシング・エンジニア、ソニー・ジョンズ(トニー・アレン、アリ・ファルカ・トゥーレ、ローラ・ジャード)との3回のセッションでレコーディングされた今作『ザ・ルイン』は、エリオットの新たな出発点となる作品だ。「このアルバムは、ジャンルや位置づけを気にすることなく、僕に影響を与えたすべての音楽を組み合わせた、これまでで最もパーソナルな作品だ。自分という人間を最もピュアに表現したアルバムだと思う」とエリオットは話している。


アルバムには、著名なベーシスト兼ヴォーカリストのルース・ゴラー、ポーラー・ベアのドラマーでパティ・スミス/デーモン・アルバーンのコラボレーターでもあるセバスチャン・ロックフォード、そして長年のコラボレーターであるリゲティ弦楽四重奏団といったUK音楽シーンの錚々たるミュージシャンたちが参加している。


すでにファースト・シングル「From Beneath」が公開となっているが、本日新たな新曲「A House, A City」が配信された。同楽曲は、エリオットにとっての最初のピアノで弾いた最後の即興演奏をiPhoneで録音したものから始まり、その後、彼の家と成長期の思い出にインスパイアされた個人的で繊細なソロ曲へと発展していく。


そしてこの度、エリオットと映像作家のアレポとジェイムス・ホルコムが古いアップライトピアノに火をつけるというドラマティックなミュージック・ビデオも公開された。ビデオはアナログのボレックスカメラで撮影され、出来上がったフィルムは化学的に劣化させられ、ピアノの火がフィルムそのものを燃やしているように見える。このコンセプトは、アルバム全体に流れる廃墟と記憶の劣化(ruin)というテーマと結びついており、エリオットが新しい何かを求めて、これまでやってきたことをすべて解体するということを表している。


今回のシングル「A Horse, A City」とミュージック・ビデオについて、エリオットは次のように話している。


「子供の頃に使っていたピアノを売る直前に、座って即興演奏を録音したんだ。このピアノは祖父が亡くなった後に彼のお金で買ったもので、すごく特別な意味を持つ。アルバムの核になるとわかっていた即興曲があったんだけど、それを作るまでに5年くらいかかった。レコーディングしていたスタジオにボロボロになった古いピアノがあって、それでこの曲を録音するのが相応しいと感じたんだ。人生を生きてきたピアノには、壊れやすくて美しいものがある。音の不完全さには、この音楽の核心となる人間味がある」

 

 

 「A House, A City」



 

Elliot Galvin 『The Ruin』


【アルバム情報】

アーティスト名:Elliot Galvin(エリオット·ガルビン)

タイトル名:The Ruin(ザ・ルイン)

品番:GB4005CD (CD) / GB4005 (LP)

発売日:2025年2月発売予定

レーベル:Gearbox Records


<トラックリスト>

Side-A


1. A House, A City

2. From Beneath

3. Still Under Storms

4. Gold Bright

5. Stone Houses

Side-B


1. High And Wide

2. In Concentric Circles

3. As If By Weapons

4. Giants Corrupted

5. Fell Broadly

6. These Walls



アルバム『The Ruin』のご予約:  https://bfan.link/the-ruin

Credits:

Elliot Galvin – Piano, Synthesizers and Electronics

All Tracks

 

Ruth Goller – Bass and Voice

Tracks 2, 3, 4, 5, 7, 10

 

Sebastian Rochford – Drums

Tracks 2, 3, 4, 5, 7, 8

 

Ligeti Quartet

Freya Goldmark – Violin I

Patrick Dawkins – Violin II

Richard Jones – Viola

Val Welbanks – Cello

Tracks 3, 4, 5, 7, 9

 

Recorded at Giant Wafer Studios, Powys 

Recorded, Mixed and Co-produced by Sonny Johns

Mastered by Caspar Sutton-Jones

Co-produced by Sebastian Rochford

Produced by Elliot Galvin

 

All Music Composed by Elliot Galvin

All Music Published by Gearbox Music Publishing



Elliot Galvin:

 

受賞歴のある作曲家、ピアニスト、即興演奏家。作品は主に、即興演奏の取り入れと、様々な環境と文脈における音の折衷的な並置の使用で知られている。Downbeat誌とJazzwise誌の両方で2018年の年間最優秀アルバムに選ばれ、2014年には栄誉ある"ヨーロピアン・ヤング・ミュージシャン・オブ・ザ・イヤー"を受賞した。

 

これまでシャバカ・ハッチングス、ノーマ・ウィンストン、マリウス・ネセット、マーク・ロックハート、エマ・ジーン・サックレイ、マーキュリー賞ノミネート・バンドのダイナソーなどとのレコーディングや国際的なツアーを数多くこなしてきた。

 

即興演奏家としては、マーク・サンダース、ビンカー・ゴールディングとのアルバムや、パリのルイ・ヴュイトン財団でのコンサートで録音された全曲即興のソロ・ピアノ・アルバムをリリースしており、Guardian誌の"アルバム・オブ・ザ・マンス"やBBCミュージック誌の"アルバム・オブ・ザ・イヤー"に選ばれている。

 

作曲家としては、ロンドン・シンフォニエッタ、リゲティ弦楽四重奏団、アルデバーグ・フェスティバル、ジョンズ・スミス・スクエア、ロンドン・ジャズ・フェスティバルなど、一流のアンサンブルやフェスティバルから委嘱を受けている。また、オーディオ・アーティストとしても活動し、ターナー・コンテンポラリー・ギャラリーや、最近ではオックスフォード・アイデア・フェスティバル等でインスタレーションを展示している。2024年10月、Gearbox Recordsからの初リリースとなるシングル「From Beneath」を発表。2025年2月にはアルバム『ザ・ルイン』が発売決定。