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グラミー賞のはじまり  ハリウッドの商工会議所から始まった米国最大の音楽賞

▪️グラミー賞のはじまり ハリウッドから始まった米国最大の音楽賞第1回グラミー賞の授賞式 音楽賞というのは、他の一般的な映画賞、文学賞と同じように、一定の商業的な効果や作品の販売促進を見込んで表彰者が決定されるものである。また、それとは別に、音楽的な貢献をもたらした制作者や文化人の功績が称えられるという意味も込められている。そもそも、グラミー賞は、1958年に最初の受賞レコードが表彰された。これは米国映画界の最高の栄誉とされるアカデミー賞(オスカー賞)の創設から30年後のことだった。ハリウッドの映画産業とともエンターテイメント業界を発展させてきた米国であるが、少し遅れて同賞が開始されたのも、同じように経済効果を期待してのことだろう。もちろん、音楽産業が映画産業に付随するような媒体として一般的な市民のマインドに浸透させるという効果があった。 グラミー賞は、NARAS:[....]

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世界の有名なミュージックフェスティバル 10選  観光とともに音楽を楽しむ

ミュージックフェスティバルが商業的なイベントとして確立され始めたのは、1960年代後半のことでしょう。ロックやポピュラー音楽の世界的な普及とともに、ライブ興行として楽しみたいというファンが増えてきました。このフェスティバルは、日頃、ソロ公演に行く機会の少ない音楽ファンを取り込み、一大的な商業イベントとして発展してきた経緯がある。 モントレー・ポップ・フェスティバル、ウッドストック、ワイト島など、ハードなロックが人気を獲得する中で、大音量のPAシステムを組み上げることも可能になりました。特に、ライブ・フェスの普及に関しては、ビートルズ時代までは、音量やモニターの返しに限界があったため、満足のいくライブパフォーマンスになることは稀でした。当時は、マーシャルのアンプを渦高く積み上げ、ギターを鳴らすギターヒーローの姿も映像の中でご覧になったこともあるでしょう。それがPAシステムの機能の工場、そしてオーディオの進化により、大規模な観衆全体に聴取可能なサウンドシステムが構築された。 特に、音楽フェスティバルの発展と合わせてロック、ダンスミュージックがよりダイナミックな意味を持ち始めたのは事実でしょう。それまでは数千人規模にしか鳴り響かなかったサウンドが70年代ごろになると、数万人規模のライブ空間へと広がっていきました。1980年代にはニール・ヤングのファーム・エイドなど、慈善的な意味を持つフェスティバルも開催されるようになりました。以降、音楽フェスティバルは、多くのプロモーターが夢見る空間となり、商業的なベースを拡大し、エンターテイメントの中核を担うようになったといえるでしょう。 近年、顕著なのは、根幹となる地域とは別の地域や海外でサブ的なミュージックフェスバルが開催される傾向にあるようです。ロラパルーザ、プリマヴェーラなどはこの代表的な事例です。[....]

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お正月の定番曲 宮城道雄と春の海 瀬戸内海の鞆の浦との関わり

 お正月の定番曲 宮城道雄 「春の海」 瀬戸内海の鞆の浦との関わり瀬戸内海 鞆の浦 国立公園に指定されている  「風物」という言葉を使おうとすると、少しだけ古風な印象を覚えざるをえない。というのも、結局、日本的な光景という不確かな感覚が、今やどこかに忘れさられつつあるからなのだろうか。そこでつくづく思うのは、現代の日本において「日本的」とされているものの多くが、人為的に作られた文化であり、それはまた上辺の景物と言わざるを得ない。日本的な情緒を感じることは、年々少なくなりつつある。もしかりに、そういったものが見つかるとすれば、例えば、一般的に旅行のガイドブックやパンフレットには掲載されることの少ない「人の手の入らない原初的な場所や地域」であろう。もちろん、日本文化とて、多くの大陸国家と同様に、完全に独自の島国のカルチャーとして存続してきたわけではない。たえず、大陸との交流により発展し、例えば、清や唐、南蛮との貿易によって、文化の混交として成立してきたのだから、結局のところ、クロスオーバーという考えによって文明が構築されてきた経緯があるのだ。  写真:[....]

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有名ミュージシャンに愛されたロードトリップの象徴  「Route 66」   親子に受け継がれる重要なカバーソングの系譜

 ・有名ミュージシャンに愛されたロードトリップの象徴  Route 66   シカゴからカルフォルニアに続く「Route 66」は、カーマニアには聖地のような場所である。かつてジョン・スタインベックが『The Grape of Wrath(怒りの葡萄)』でこのハイウェイを題材に取り上げた。  作中では、オクラホマの農民がカルフォルニアに向かい、ハイウェイを横断する話が書かれている。スタインベックは風景描写に定評があり、市民の暮らしとアメリカの風物の美しさを社会的な時代背景とリンクさせながら丹念に描いた。今やルート66は過去の遺構となり、現在ではカーマニアが集い、マザーロード・フェスティバルが毎年9月に開催される。その道半ばには、ダイナー、モーテルが点在し、今なアメリカのロマンティシズムを地政学的に象徴付けている。 つくづく思うのが、アメリカは自動車産業とともに発展していった国家でもある。その遺産はテスラ・モーターズに受け継がれているが、このルート66が愛された理由も、余暇に大陸を横断するハイウェイをクラシックカーで何日もかけて走るという営為が、アメリカ的なロマンティシズムの象徴でもあった。  そして、「American[....]

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ブラジルのトロピカリア  ポスト・コロニアニズムと創造的な自由の獲得  

 ・ブラジルのトロピカリア  ポスト・コロニアニズムと創造的な自由の獲得 アフリカの国々の事例を見ると分かる通り、従来の植民地支配から脱出した国家は、西洋主義による支配から離れ、独立した文化を構築する必要性に駆られる。結局のところ、海外文化に触発された後、独自のスペシャリティを探ることなくして、国家の文明は確立しえないことを象徴づけている。そして、ここで大切なのは、外側の文化や文明に揺さぶられることなくしては、本当の意味での独自の文明を獲得することは困難であることである。  例えば、今回のテーマとなる南米のブラジルの場合は、音楽や芸術運動、舞台、文学活動とならび、1960年代後半に独立的な意義を求め、こういった急進的なムーブメントが若者を中心に沸き起こった。それがトロピカリア(トロピカリズモとも称される)ーー熱帯主義ーーであった。例えば、音楽に関しては、旧来のブラジルの伝統的なボサ・ノヴァに否定的な趣旨もあるという見解も見受けられるが、必ずしもそうとはいいがたい。当時、流行したビートルズのロックと合わせて、ボサノヴァをよりアーバンにという趣旨も含まれていた。これは西洋的な音楽的な感性や感覚を踏まえた上で、ブラジル独自の音楽表現を追求するという動きであった。  1960年代後半に始まったトロピカリアは、軍事政権下のブラジルにおいて、およそ5年ほどの短いムーブメントで終わった。その理由は、これらの運動の政治的な弾圧が始まり、トロピカリアの中心人物、ジルベルト・ジル等がイギリスへの亡命したからである。(後に、ジルベルト・ジルは1969年に短期間の投獄という憂き目にあったが、社会的な信頼は回復し、2003年から2008年にかけて、ブラジル国内の文化大臣を務めた)しかし、この考え自体は次世代にも受け継がれ、ネオ・トロピカリアとして新しいアートの形式を支えることになった。  こういった新しい運動や主義が発生する要因として、”成熟した社会意識”というものが不可欠になってくる。つまり、大きな観点から言えば、個人、大小の組織、社会がどのように繋がるべきか、そして社会的に置かれている環境や立場を把握し、国家の文化、海外の文化や政治的な動向を鑑みた上で、自分たちがどのような位置にあるのか、そして、上記の二つの観点を踏まえた上で、どのようなアクションを起こすべきかという意味である。 結果として、社会に反映されるのは、文化活動の諸般ーー音楽、演劇、文学、建築、芸術、ジャーナリズムーーなどである。個人的な能力や役割によって、成熟した社会意識が多彩な形で出現するのは言うまでもない。これはたぶん、広義の意味での企業活動においても共通する事項ではないだろうか。そして、全体的な社会構造を鑑みたとき、個人的な立場、あるいは組織的な立場がそれぞれまったく異なるため、外側に出てくるものは必ずしも同じ内容にならない、ということである。 ・成熟した社会意識とは何か ブラジルの60年代のトロピカリアの事例 オズワルド・デ・アンドラーデ この点において、60年代から70年代にかけてブラジルで発生した”トロピカリア”という運動は画期的だった。[....]

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フィル・スペクターがたどり着いた「ウォール・オブ・サウンド」  機材の制限からもたらされる録音の無限の可能性

 フィル・スペクターの「ウォール・オブ・サウンド」とはロネッツに始まり、ビートルズ、ビーチ・ボーイズ、そして、ブルース・スプリングスティーン、ラモーンズに至るまで、60年代以降の録音技術に革新をもたらしたフィル・スペクター。彼は、パンデミックの最初期に亡くなっている。日本のポップスにも影響を与え、大瀧詠一や山下達郎の録音作品にも影響を与えたとの諸説がある。フィル・スペクターが生み出した録音技術の中で、最も有名なのが「Wall[....]

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音楽に治癒効果はあるのか 音の周波数が与える人体への影響  多次元の周波数、単一の周波数 

 音楽に治癒効果はあるのか 音の周波数が与える人体への影響音楽の複合的な性質 音楽そのものは、物理学の観点から言えば、音の周波数や振動数から成立していることは明らかである。そして、光と同様に物理学的な性質を擁する。 一般的に言えば、周波数が高くなれば、波長が短く小刻みになり、低くなれば、長く緩やかな波長を作る。そして、無線/有線等の技術にも応用されるように、電波を送るための伝達装置として使用される場合には、両方の周波数の音の伝わる性質が適用され、周波数が高い場合、特定の方向に対し、より多くの情報を伝達することが可能になる。 それとは対象的に、周波数が低い場合、広い方向に対し、情報が伝達することが出来るが、反面、伝えられる情報数は減少する。周波数の高低のそれぞれの特性を上手く活用しながら、技術者は人類のテクノロジーを進化させて来た。この磁石のような両極的な伝達手段の手法は、ラジオ短波やFMラジオを比較すると、より分かりやすいのではないか。音の周波数の理論は、無線/有線の技術として適用されるにとどまらない。例えば、物理学者のニコラ・テスラは、振動数が物質に与える影響について指摘し、実際的に音の振動数が物理学的に大きな力学を及ぼすことがあり、地球を真っ二つにするほどの力を有することを指摘している。これは実際的な実験が行われていて、音の周波数が物質を形作る結晶を変化させる力を持つという研究結果にも表れている。例えば、より一般的な話題では、人間から発せられる言葉が物質の構造を変化させるという実験も行われている。これはなかなか見過ごせない話題だ。 音楽的な視点からこのことを見ていきたい。一般的には、クラシック音楽が全般的に周波数が高いと言われ、例えば、JSバッハ、モーツァルトの楽曲には頻繁に高い周波数が取り入れられているというのが通説である。それが時々、クラシック音楽を聴いていると、心地よく眠たくなる理由であると言われている。 例えば、退屈だから眠気を催すとは限らず、音楽の力学としての周波数が人体の意識より高い場合に眠たくなる場合があるという説もある。これらはアンビエント・ミュージックに癒やしや眠気を催す要素があるのと同様である。しかし、一般的には周波数が低いと言われているノイズやメタル、ロックミュージックが、必ずしも人体に悪影響を及ぼすとも限らないのが不思議である。 例えば、こういった音楽を聴いて、不思議とパワーがみなぎってきたことはないだろうか。上記のような音楽には、電流のような力学的なエネルギーを発生させる力があり、それが「グルーヴ」の正体なのである。これらは、例えば、ジャンルごとに振動数や周波数の偏りがあるだけで、本質的にはすべてが同類の性質を有することを表し、音楽自体が複数の周波数から同時的に成立している証ともなる。 つまり、実際的には、クラシック音楽にも、低い周波数を持つ音楽が存在し、さらに、ロックのような音楽にも高い周波数が存在する。表向きには、ロックにはノイズのような振動数の低い要素が含まれていることは明確だが、しかし、対象的に、複数の楽器の発生させる振動数が折り重なったとき、現象学として異なる周波数が発生し、稀に、高い周波数を保持することがある。これがロック・ミュージックなどに見受けられる快適さ、治癒の効果なのであり、こういった一般的な音楽に大きな感動を覚える理由でもある。つまり、低い周波数と高い周波数が混在する森羅万象の音楽と言えるのである。単一の周波数という考え ソルフェジオ周波数音楽 以上のように、こういった複数の周波数を持つ音楽という概論を踏まえた上で、単一の周波数を抽出し、それらを治療効果があるのではないかとする考えもある。近年、[....]

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バロックポップ/チェンバーポップの系譜  ビートルズからメロディーズ・エコーズ・チェンバーまで

バロックポップとチェンバーポップの原点 The Beatles-Strawberry Fields他のジャンルと同様に、ポピュラーミュージックの中には、数えきれないほど無数のジャンルがある。例えば、この中にチェンバーポップ、バロックポップというジャンルが存在するのを皆さんはご存知だろうか。大まかに言えば、これらの2つの専門用語ともに古典音楽の影響を含めるポピュラー音楽を意味する。チェンバーポップ、バロックポップの原点は間違いなくビートルズにある。そう、勘が鋭い読者はお気づきのことだろう、「Strawberry[....]

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「Dub Music」 ダブの系譜を追う  ジャマイカから始まったダビング録音の系譜  その音楽の本質とは

 Dub Musicの系譜  レゲエから始まったダビング録音Dub Tech ダブ・ミュージックは、当初は、レゲエの派生ジャンルとして始まった。そして、現在、ドキュメンタリー映画の上映で話題になっているボブ・マーリー(&ウェイラーズ)も実は、このダブ(ダビング)という手法に注目していたというのである。 そして、このダブにおける音楽制作のプロセスは、エレクトロニックのグリッチノイズと類似していて、音をダビングすることにより、本来の意図した出力とは相異なる偶発的な音響効果が得られることを最初のダブのクリエイターらは発見したのである。他にも、例えば、昔のアナログビデオテープ、音楽のテープのように、再生を重ねたリールは擦り切れると、映像や音が正常に再生されなくなり、''セクションの映像や録音が飛ぶ''というエラーによる現象が発生することがある。これは映像や音が瞬間移動するような奇妙な感覚があったことを思い出させる。 ダブ・ミュージックの特徴はこれによく似ている。音を正常に再生するのではなく、”音が正常に発生しない”ことに重点を置く。音の誤った出力・・・、それは制作者が意図した音とは異なる音が現象学として発生することである。予期したものが得られない、その偶然性から発生するサプライズに音楽制作の醍醐味が求められるのではないか? つまり、ダブ・ミュージックは、ギターにしろ、アナログシンセにしろ、リズムトラックにしろ、アナログ録音やテープのリールを巻き付けて重ねていくうち、サウンドのエラーが生じたことから始まった偶然性の音楽ーーチャンス・オペレーションーーの系譜にある実験音楽として始まったと言えるのである。 全般的には、キング・タビー、リントン・クウェシ・ジョンソン、リー・スクラッチ・ペリー、マッド・プロフェッサー等が、ダブの先駆的なプロデューサーと見なされている。そして、これらのプロデューサーの多くは、アナログの録音のプロセスを経るうち、ターンテーブルの音飛び、スクラッチに拠る”キュルキュル”というノイズーーブレイクビーツのような効果が得ることを面白がり、ダブという不可解な未知の音楽的な手法を探求していったのかもしれない。また、ポスト・パンク/ニューウェイブの先駆的な存在であるキリング・ジョークがかつて語ったように、イギリスには、スカを除けば、当初、固有のリズムや音楽性が求められなったため、編集的な録音やミックス技術を用い、英国の独自のビートを求めたとも言えようか。つまり、以後のGang[....]

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