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Midwest(中西部)というのは、テキサスと並んで、アメリカの中でも最もワイアードな地域ではないかと思う。それは異なる文化や生活スタイルが折り重なる地域だからなのではないだろうか。ワイアードというのは、変わってはいるが、魅力的な面も大いにあるということ。ミッドウェストは、都市的な気風を持ちながらも、田舎性を併せ持ち、独特のコミュニティがおのずと構築される。先日、Cap n’ Jazzのメンバーが「Still Living(まだ生きている!!)」というカットソーのシャツを着て、写真に写っていたのを見たとき、なにか安堵するものがあった。音楽ファンとしては、元気でいるぜと対外的にアピールしてくれることが一番の幸せだからだ。

 

グランジやスロウコアを生み出したシアトル/アバディーンとならび、中西部のシカゴは、Tortoise,Cap N' Jazz,Ministry、スティーヴ・アルビニを輩出したことからも分かる通り、アメリカのアンダーグラウンドミュージックの発信地でありつづけてきた。古くはTouch & Go、現在はPolyvinlの本拠地だ。他でもなく、近年、自分が最も注目してきたのは中西部である。また、その中には、地理的には異なる北部に該当するが、(ボストンや)ペンシルベニアなどのラストベルトの地帯にも注目していた。この地域は、工業地帯で、NINなどインダストリアルな響きを持つ音楽が出てくる。ただ、印象としては、工業的な生産などが下火になるにつれて、トレント・レズナーのような天才は出てこなくなった。そして、アイオワなどのより田舎の地域に音楽のシーンは変遷していった。なぜなら、工業的な音が街から徐々に消えてしまったからである。

 

シカゴのFacsは、志を同じくするシカゴのユニット''Disappears''の後進ともいえるバンドである。彼らの音楽性はアートパンク、もしくはイギリス風に言うなら、ポストパンクに属するが、少なくとも、ボストンやワシントンDCのハードコア、シカゴのポスト世代のパンクを受け継ぐトリオである。ニューヨークをはじめとする、従来のハードコアパンクは激情的であったが、時代を経ると、インテリジェンスの側面を押し出すようになった。語弊はあるかもしれないが、頭脳がおろそかでは、パンクやオルトロックソングは出来ないのである。とくに、Facsは、ミニマリズムと空間を駆使し、アブストラクトでモダンなアートロックを創り出し、ポストパンクとポストロックの交差点に立つダークで推進力のある音楽を奏でる。彼らは、2018年のデビューアルバム『Negative Houses』において、音楽を最も強固なリズムの基盤まで削ぎ落とし、2020年の『Void Moments』と翌年の『Present Tense』では、より実験的でメロディを付け加えた。


Disappearsのベーシスト、デイモン・カルルエスコが自身のビジュアル・アートとエレクトロニック・プロジェクト、Tüthに専念するために脱退し、バンドは2016年後半に結成された。たが、 残されたギタリスト/ヴォーカリストのブライアン・ケース、ギタリストのジョナサン・ヴァン・ヘリック、ドラマーのノア・レガーは一緒に音楽を作り続けたいと考えた。ケースはベースに転向し、プロジェクト名をFacsに改めた。 ウェブオンラインでデモを投稿後、バンドはトラブル・イン・マインドと契約し、2017年6月にシカゴのエレクトリカル・オーディオ・スタジオでジョン・コングルトンとデビュー・アルバム『Negative Houses』をレコーディングした。


2018年3月の『Negative Houses』リリース直前に、ヴァン・ヘリックがFacsを脱退。 その後、ケースはギターに戻り、バンドは旧友である元We Regazziのドラマー、アリアンナ・カラバにベースの後任を頼んだ。セカンド・アルバムを制作するため、Facsはジョン・コングルトンと再会し、ブライアン・ケースのエレクトロニック・プロジェクト”Acteurs”のメンバーであるジェレミー・レモスとも仕事をした。 カラバとレジェのインタープレイに焦点を当て、ケースのメルヘンチックなギターのテクスチャーも加えた『Lifelike』は、2019年3月にリリースされた。 Trouble in Mindから2020年3月にリリースされた『Void Moments』では、バンドのメロディックな側面が顕在化した。 この年末、Facsのメンバーはスタジオに戻り、Electrical Audioのエンジニア、サンフォード・パーカーと一緒に仕事をし、一連の創作のプロセスを通じて自発的なアプローチをとった。続いて、4枚目のアルバム『Present Tense』は2021年5月にリリースされた。




今回、2018年にデビューアルバム『Negative Houses』をリリースする直前にグループから離れたオリジナルメンバー、ジョナサン・ヴァン・ヘリックが、長年のベーシスト、アリアンナ・カラバに代わってカムバックしたことによって、新たな活力と観点がもたらされた。ヴァン・ヘリックが在籍していた頃と、ブライアン・ケースや強力なプレイで知られるドラマー、ノア・レガーとともにDisappearsに在籍していた頃とでは、役割分担が明らかに変わっている。 この役割の逆転は、バンドのダイナミズムを強調し、さらに以前とは異なる音楽的視点を提供し、現在ではトリオの長年のコラボレーションを、ある程度の距離と時間をおいて下支えしている。


ブライアン・ケースは、「Wish Defense」の歌詞はドッペルゲンガーや 「替え玉」をテーマにしていて、自分自身と向き合い、自分の考えや動機を観察するというアイデアに取り組んでいると述べている。テーマは内的な闘いで、自分ともう一人の自分のせめぎ合いでもある。ブライアン・ケースによれば、最終的な感情は次のような内容に尽きるのだという。「......ろくでなしに負けるんじゃない、この瞬間の向こうに何かがある、それは希望のようなものだ」


「Wish Defense 」のアートワークは、原点回帰を意味する。これは「Negative Houses」のアートワークへのさりげない言及でもあり、アルバムのモノクロの暗さとミニマリズムに回帰している。本作のチェッカーボードは、ジャケットの前面と中央に印刷された歌詞と鏡のように映し出され、いたるところに自己を映し出している。


『Wish Defence』は二人の著名なエンジニアのリレーによって完成に導かれた。シカゴの代表的なミュージシャン、スティーヴ・アルビニが生前最後にエンジニアを務めた作品である。 スティーブが早すぎる死を遂げる直前の2024年5月初旬、シカゴのエレクトリカル・オーディオ・スタジオで2日間レコーディングされ、その24時間後、著名なエンジニアでデビュー当時からの友人でもあるサンフォード・パーカーがセッションの仕上げに入り、ヴォーカルとオーバーダブの最後の部分をトラッキングした。 

 

スティーヴ・アルビニはご存知のとおり、昨年5月7日に亡くなった。このアルバムは半ば忘れ去られかけたが、ジョン・コングルトンがそのバトンを受け継いだ。長年の共同制作者のコングルトンは、アルビニの遺志を引き継ぎ、エレクトリカル・オーディオのAルームで、テープから外し、セッションに関するアルビニのメモを使い、アルバムをミックスして、このアルバムを完成させた。



FACS 『Wish Defence』/  Trouble In Mind






スティーヴ・アルビニのサウンドは1980年代から一貫しているが、少しずつ変化している。例えば、Big Blackのようなプロジェクトは、ほとんどデモテープのような音質であり、MTRのマルチトラックのようなアナログ形式でレコーディングが行われていたという噂もある。アルビニのギターは、金属的な響きを持ち、まるでヘヴィメタルのようなサウンドのテイストを放っていた。その後、ルイヴィルのSlintのアルバムでは、ギタートラックのダイナミック・レンジを極限まで拡大させ、他のベースやドラムが埋もれるほどのミキシング/マスタリングを施した。また、ベースに激しいオーバードライヴを掛けるのも大きな特徴なのではないか。

 

こういったアンバランスなサウンドスタイルが俗に言う「Albini Sound」の基礎を形成したのだ。その後、アルビニは、Nirvanaの遺作『In Utero』で世界的なプロデューサー(生前のアルビニは、プロデューサーという言葉を嫌い、エンジニアという言葉を好んだ。「自分は業界人ではなく、専門的な技術者」という、彼なりの自負であろうと思われる)として知られるようになった。この90年代のレコーディングでは、ギターの圧倒的な存在感は維持されていたが、デイヴ・グロールのドラムも同じくらいの迫力を呈していた。90年代に入り、楽器ごとの音圧のバランスを重視するようになったが、依然として「ロックソングの重力」が強調されていた。アルビニのサウンドは、聴いていると、グイーンと下方に引っ張られるような感覚がある。以後、アルビニは、ロバート・プラントの作品を手掛けたりするうち、シカゴの大御所から世界的なエンジニアとして知られるようになった。最近では、アルビニは、MONOのアルバムも手掛けているが、ポストパンクというジャンルに注目していただろうと推測される。まだ存命していれば、この後、イギリスのポストパンクバンドの作品も手掛けていたかもしれない。

 

シカゴのFacsのアルバムは、 アルビニのお膝元である同地のエレクトリカル・オーディオ・スタジオで録音されたというが、奇妙な緊張感に充ちている。何かしら、真夜中のスタジオで生み出されたかのようで、人が寝静まった時間帯に人知れずレコーディングされたような作品である。トリオというシンプルな編成であるからか、ここには遠慮会釈はないし、そして独特の緊張感に満ちている。Facsはおそらく馴れ合いのために録音したのではなく、プロの仕事をやるためにこのアルバムを録音し、作品として残す必要があったのである。まるでこのアルバムがアルビニの生前最後の作品となるものとあらかじめ予測していたかのように、ケースを中心とするトリオはスタジオに入り、たった二日間で7曲をレコーディングした。これは驚愕である。『Wish Defense』は、80年代のTouch & Goの最初期のカタログのようなアンダーグラウンド性とアヴァンギャルドな感覚に充ちている。どれにも似ていないし、まったく孤絶している。

 

 

『Wish Defense』は、シンプルに言えば、イギリスの現行のポストパンクの文脈に近い。例えば、今週、奇しくもリリース日が重なったブリストルのSquid、ないしは、Idlesのデビュー当時のようなサウンドである。また、カナダのインディーロックバンド、Colaを思い浮かべる方もいるかもしれないし、日本のNumber Girlのセカンドアルバム『Sappukei』を連想する人もいるかもしれない。いくらでも事例を挙げることは出来るが、Facsは誰かのフォロワーにはならずに、オリジナルサウンドを徹底して貫いている。なぜなら、かれらの音楽は、中西部の奥深い場所から出てきたスピリットのようなものであり、上記のバンドに似ているようでいて、どれにも似ていないのである。もちろんサウンドの側面で意図するところも異なる。先にも述べたように、まるで四人目のメンバーにスティーヴ・アルビニが控えているかのようで、しかも、いくつかの曲のボーカルでは、アルビニ風の「Ha!」という特異なシャウトも取り入れられている。

 

そして、今回のアルビニ/コングルトンのサウンドは、ミックスの面でバランスが取れている。どの楽器が主役とも言えず、まさにトリオの演奏全体が主役となっていて、ボーカル、ギター、ベース、ドラムというシンプルな編成があるがゆえ、一触即発の雰囲気に満ちている。たとえば、オープナー「Taking Haunted」は、アルビニのShellac、ヨウのJesus Lizardに近く、グランジ・サウンドがベースラインを中心に構築される。ダークであり、90年代のアリス・イン・チェインズのような重力があるが、これらにモダンな要素をもたらすのが、ギターのピックアップの反響を増幅させ、倍音の帯域のダイナミクスを増強させたサウンドである。アトモスフェリックなギター、タムを中心とする音の配置を重視したタイトなドラム、それから、ケースのスポークンワードに近いボーカルが幾重にも折り重なっていく。ボーカルは重苦しく、閉塞感があり、ダークだが、その中にアルビニの最初期のボーカルからの影響も捉えられる。ニヒリズムを濃縮させたようなブライアン・ケースのボーカル、これは現実主義者が見た冷ややかなリアリズムであり、彼は決して目の前にある真実をごまかしたりしない。これらのストイックな風味を持つサウンドは、アルバムの序盤の独特な緊迫感にはっきりと乗り移っている。

 

2曲目の「Ordinary Voice」は画期的である。モグワイの最新作では惜しくも示しきれなかったポストロック/マスロックの新機軸を提示する。Big Blackの音楽性を彷彿とさせるメタリックなギターは、Dave Fridmann(デイヴ・フリッドマン)のマスタリングをはっきりと思い起こさせる。テープサチュレーターのような装置で最初の音源を濾過したようなサウンドで、ギターのフィードバックを強調させながら、アトモスフェリックなサウンドを組み上げていく。ざっくりとしたハイハットの4カウントが入ると、Facsのライブを間近で聴いているような気分になる。アトモスフェリックなギター、基音と対旋律を意識したベース、そして、和音的な影響を及ぼすドラム(ドラムは、リズムだけの楽器ではなく、和音や旋律の側面でも大きな影響をもたらす場合がある)そして、スロウテンポのタムが、これらのサウンドをぐるぐる掻き回していくような感じである。その中で、マイナー調のギターの分散和音が登場し、この曲のイメージをはっきりと決定づける。まさしくこの瞬間、オルタナティヴの音楽の魅力が真価をあらわすという感じなのである。そのあと、ドラムスティックでカウントを取り、曲はスムーズに転がっていく。ここにも、ケースのボーカリストとしてのニヒリスティックな性質が滲んでいる。そして、それは最終的に、バンドサウンドのタイトさと相まって、クールな印象をもたらす。

 

 

 「Ordinary Voice」

 

 

 

その後、このアルバムの音楽の世界は、シカゴの最深部に向かうのではなく、シアトルのアバディーンに少し寄り道をする。三曲目の「Wish Defense」では、例えば、Jesus Lizard、Melvins、それよりも古い、Green River、Mother Love Boneといったハードロックやメタルの範疇にある最初期のグランジを踏襲して、ベースを中心に構成が組み上げられていく。この曲では、例えば、デイヴィッド・ヨウのような90年代のメタリックなシャウトは登場しないが、楽節の反復ごとに休符を強調させる間の取れたミニマリズムの構成の中に、一貫して怜悧で透徹したブライアンのスポークンワードがきらめく。それは、暗闇の中に走る雷の閃光のようなものである。


そして、同じフレーズを繰り返しながら、バンドサウンドとしての熱狂的なポイントがどこかを探ろうとする。結果的には、昨年の秋頃、当サイトのインタビューバンドとして紹介したベルリンのバンド、Lawns(Gang of Fourのドラマー、トビアス・ハンブルが所属している)に近いサウンドが組み上げられていく。これらは、アルビニ/コングルトンという黄金コンビのエンジニアリングによって、聴いているだけで惚れ惚れしてしまうような艶やかな録音が作り上げられている。デイヴ・グロールのドラムのオマージュも登場し、バス、タムの交互の連打という、Nirvanaの曲などでお馴染みのドラムのプレイにより、曲のエナジーを少しずつ引き上げていく。少なくとも、このバンドの司令塔はドラムであり、アンサンブルを巧みに統率している。



アルバムの多くの曲は、似通った音楽のディレクションが取り入れられている。また、FACSのメンバーにせよ、録音の仕上げに取り組んだエンジニアにせよ、楽曲自体のバリエーションを最重視しているわけではないと思う。ところが、同じタイプの曲が続いたとしても、飽きさせないのが不思議である。そして、最も大切なのは、バンドのメンバーの熱量がレコーディングに乗り移っているということ。「A Room」では、Fugaziのようなサウンドをモチーフにし、ポストロックの曲が組み上げられる。しかし、Fugaziやその前身であるOne Last Wish、Rites Of Springに近いテイストがある一方、ギターのアルペジオにはミッドウェスト・エモや、それ以前のオリジナル・エモの影響が感じられる。従来のセンチメンタルな感覚ではなく、それとは対極的なNINのようなダークなフィーリングによってエモーショナルな質感が生みだされる。さらにバンドサウンド全般は、Sonic Youthの最初期のようにアヴァンギャルドということで、アメリカの多角的な文化的な背景や音楽観が無数にうごめくような一曲となっている。まさに、ワシントンDC、シカゴ、ニューヨークの従来のミュージックシーンが折り重なったような瞬間だ。

 

アルバムの序盤では、表向きには、不協和音、ミュージック・セリエル、ミュージック・コンクレートの要素がことさら強調されることはない。ただ、不協和音や歪みが強調されるのが、続く「Desire Path」となる。これはまた、Number Girl(向井秀徳/田淵ひさこのサウンド)を彷彿とさせる。あいかわらず、曲調そのものは、ダークで重苦しさに充ちているが、ある意味では、これこそが”オルタナティヴ・ロックの本質”を示唆している。イントロの後、ギターの波形を反復させながら、そこに、フェーザー、ディレイ、リバーブをかけ、グルーヴを作り出す。曲全体のイメージとしては、アブストラクトなアートパンクに変わるが、情報量の多いサウンドをまとめているのが、ドラムのリムショットを強調させたしなやかなビート。これらは、ドラムのダイナミックレンジを強調させ、ドラムの圧倒的な存在感を引き出し、ライヴサウンドに近づけるという、スティーヴ・アルビニの特徴的なサウンドワークを楽しむことが出来ると思う。

 

こういった曲が続けば、このアルバムは佳作の水準に留まったかもしれない。しかし、それだけでは終わらないのがすごい。その点がおそらく、今後の評価を二分させる要因ともなりえるかもしれない。「Sometimes Only」は、アンダーグランドのレベルの話ではあるが、オルタナティヴの稀代の名曲だ。本作の二曲目に収録されている「Ordinary Voice」と並んで、2020年代のオルタナティヴロック/ポストロックのシンボリックな楽曲となるかもしれない。2000年代以降は、オルタナティヴという言葉が宣伝のキャッチコピーみたいに安売りされるようになってしまい、結局、明らかにそうではない音楽まで”オルタナティヴ”と呼ばれることが多くなった。


断っておくと、このジャンルは、ミーハーな気分で出来るものではないらしいということである。どちらかといえば、求道者のような資質が必要であり、本来は気楽に出来るようなものではない。なぜなら、王道ができないのにもかかわらず、亜流が出来るなんてことはありえない。曲の土台を支えるのは、アルビニの系譜にあるニヒリスティックなボーカル、ハードコアパンクの派生ジャンルとして登場したエモである。曲の最後の仕上げには、Don Caballeroが使用したアナログ機器によりBPMを著しく変速させる本物のドリルが登場する。まさしく、シカゴ出身のバンドにしかなしえない偉業の一つ。この曲は、ミッドウェストらしい気風を感じさせる。

 

「Albini Sound」の不協和音の要素である「調和というポイントから遠ざかる」というのは、西洋美学の基礎である対比の概念に根ざしていて、調和がどこかに存在するからこそ、不調和が併存するということである。ここにあるのは、単なる音の寄せ集めのようなものではなく、ユング的な主題を通して繰り広げられる実存の探求である。そして、調和がどこかに存在しつつも、不協和音が力強く鳴り響くという側面では、''現代のアメリカ''という国家の様相を読み解くことも出来る。それは、中西部からの叫びのようなもので、苛烈なディストーションギターの不協和音が本作のエンディングに用意されている。そして、その”本物の音”に接した時、一般的な報道では見ることの叶わない中西部の実像のようなもの、そして、そこにリアルな感覚を持って力強く生きぬく市井の人々の姿が、音楽の向こうからぼんやりと浮かび上がってくるのだ。

 

 

 

94/100 

 

 


High Vis 『Guided Tour』

 

Label: Dais

Release: 2024年10月18日


Review


あまり元気がないときに聴くと、エナジーが出てくる曲がある。それは実は、明るく温和な曲ばかりとは限らず、少し憂愁に溢れたロックソングである場合が多い。憂いは憂いによって同化され、吹き飛ばせるとも言える。この点において、ロンドンのポスト・ハードコアバンド、High Visの新作アルバム『Guided Tour』は天候不順や曇りがちの日々を見事に吹き飛ばす力がある。

 

High Visは、傷んだ兄弟や未知のパンクスのためにエナジーに満ち溢れたハードコアを提供する。当初彼らは今作で聴こえるよりも遥かに無骨なハードコアソングを特徴としていたが、『Guided Tour』はややエモーショナル・ハードコアに近い作風である。詳細に指摘すると、DiscordのワシントンDCのパンク、Minor Threat、One Last Wishのような最初期のポスト・ハードコアを基底にし、そこからJoy Divisionのような静謐なポスト・パンク性を抽出する。ロンドン的な都会性とマンチェスターの古き良き港湾都市の雰囲気を併せ持っている。

 

このアルバムのハードコアソングは表面的にはパンキッシュであるが、聴き方によったら、すごくナイーヴにも思えるかもしれない。しかし、そのナイーヴな感覚が癒やしの瞬間に変化するときがある。アルバムの冒頭を飾るタイトル曲「Guided Tour」、そして最初の先行シングルとしてリリースされた「Mind's A Lie」等を聴くと、彼らが何をやろうとしているのかつかめるはずだ。そして、なぜ痛みをストレートに吐き出しつつも、それが都会の夕暮れの切なさや、何か情景的なセンチメンタルなイメージを呼び覚ますのかといえば、ボーカルが公明正大で、その声がエナジーとともに吐露される時に、心に何の曇りもないからである。これらのクリアで透徹した感覚は、歌詞や表現に何らかの遠慮や偽りがあるとなしえない。そして音楽的には、イアン・マッケイの系譜にあるストレートなボーカルに、メロディアスなギターラインが特徴的である。これがバンドのサウンドに色彩的なイメージを添えることがある。

 

 

もう一つ、High Visの主要なハードコア・パンクソングの中には、古き良きUKハードコアの影響が含まれている。それはGBH,Dischargeを筆頭とする無骨で硬派なパンクバンドである。そしてこれらの80年代のバンドがそうだったように、ヘヴィメタル寄りの重力のあるギターやベース、そしてシンプルなドラムが特徴となっている。というのも、GBH等のバンドはヘヴィ・メタルを演奏しようとしたが、演奏力が巧緻ではなかったために、ああいったドタバタのサウンドになった。 けれども、多くの実力派のギタリストが言うように、「テクニックより表現したいことがある」ということが良い演奏者になるための近道となるかもしれない。High Visの場合も同じように、英国の古典的なハードコアバンクを受け継ぎ、現代の若者として何を表現したいのか、つまり、そういった一家言のようなものをしたたかに持ち合わせている。

 

特に、このアルバムではそれらは洗練されたモダンなポスト・パンクとして昇華される場合がある。「Worth The Wait」、「Fill The Gap」では、バックバンドの演奏自体はオルタナティヴロックであるが、ボーカルだけが硬派なハードコアスタイルという複合的な音楽を探求していることが分かる。

 

歌詞に関しても一家言があり、例えば、「Mob DLA」等では脳に障害を負う兄弟のために歌っている。結局のところ、彼らのパンクサウンドは、満たされた人々ではなく、憂いを抱える人々の心を揺さぶり、それらに勇気をもたらすために存在している。もちろん、そういったマジョリティとは距離をおいたパンクソングは、いかなる時代であろうとも貴重なのだ。今作の最大の成果は、別のアーティストからトラック提供を受けた「Mind's A Lie」のようなアンセミックなパンクソングを制作したことに加えて、「Untethered」のようなポストハードコアの静謐なサウンドの側面を示したことにあるだろう。そしてポスト・ハードコアはどちらかと言えば、ハードコア・パンクにおける激しさや過激さは控えめで、きわめて静謐な印象をもたらすのである。その中には隠された知性も含まれている。


High Visのパンクロックソングは、必ずしも一般的なものとは言いがたいかもしれない。しかし、彼らが今作で示したのはUKハードコアの新機軸であり、それは先にも述べたように「別ジャンルとのクロスオーバー」に求められる。今回のアルバムでは、EDMのダンスミュージックとの融合という側面を捉えることが出来る。このアルバム全般には、内的な痛みがあり、それはむしろ誰もが持ちうることがあるからこそ、カタルシスのような癒やされる瞬間に変わる。最後にそれは清々しさに変化する。

 




78/100

 

 

 


「Deserve It」

 


Lambrini Girlsが、デビューアルバム『Who Let the Dogs Out』を発表した。シティ・スラングから1月10日にリリースされる。ランブリーニ・ガールズはブライトンを拠点に活動するヴォーカリスト/ギタリストのフィービー・ルニーとベーシストのリリー・マキーラによるデュオ。


「世界的リーダーからハイテク企業のCEO、謙虚なソフトボーイまで、人間には様々な形がある。「しかし、彼らを結びつけるものは何だろう?社会は、彼らが常に誇示している、比喩的にも文字通りの意味でも巨大なディックを称賛している。なぜか? 有害な男らしさなのだ」


「彼らの権利意識と不安感を煽ることは、有害な行動につながる。それを放置しておくと、私たちはそのしっぺ返しを食らうことになる」と続けた。定義は、証明する必要のない自信である。では、その巨根は現実にはどれほどの大きさなのだろうか?もうお分かりだと思うが、それほど大きくない!!」


ランブリーニ・ガールズは、ギラ・バンドのダニエル・フォックスと『Who Let the Dogs Out』をレコーディングし、ミキシングはセス・マンチェスターが担当した。フリートウッド・マックが『Rumours』をコカインの売人に捧げようとしたのを知っているかい? このアルバムは、テスコで買った全ての酒に捧げるべきだと思う」

 


「Big Dick Energy」



 Lambrini Girls『Who Let the Dogs Out』

 

Label: City Slang

Release: 2025年1月10日


Tracklist:


1. Bad Apple

2. Company Culture

3. Big Dick Energy

4. No Homo

5. Nothing Tastes As Good As It Feels

6. You’re Not From Around Here

7. Scarcity Is Fake (Communist Propaganda)

8. Filthy Rich Nepo Baby

9. Special, Different

10. Love

11. Cuntology 101


◆ MOULD  Bristol up-and-comer explains about making debut EP   -ブリストルの新進気鋭  デビューEPの制作について語る-

 



2023年、イギリス・ブリストルからフレッシュなパンクバンドがインディペンデント・レーベル''Nice Swan''から登場した。Stiff Little Fingersのような荒削りなリフ、エンジン全開で疾走するような爽快感、現代的なポストパンク/マスロックの複雑なリズム、さらには、Green Dayのようなメロディアスな要素を兼ね備えたバンドだ。まだ洗練されていないものの、今後の活躍がとても楽しみな3人組だ。


MOULD(モールド)は、ジェームズ、ジョー、ケインの3人で構成され、以前はそれぞれ別のバンドに在籍していたという。Mouldは最初の出発点であると共に現時点の彼らの''結果''でもあるのかもしれない。昨年末、デビューシングル「Birdsong」をリリースし、瞬く間に注目株の仲間入りを果たした。現在、メンバーのうちひとりはロンドンに、そして残りの2人はブリストルにいる。


バンドはシングル「Cable」、「Glow」の発表後、デビューEP『MOULD』をリリースした。ハードコアパンクやオルトロック、エモなど、彼らの音楽にはパンクに対する普遍的な愛が凝縮されている。


EPのリリース後、イギリスの気鋭のメディア、DORKでは特集が組まれたほか、続いて、彼らの楽曲はBBC 6 Musicでオンエアされた。コアな音楽ファンの興味を惹きつけることに成功している。


今回、彼らにコンタクトを取ったのは、今後どういったバンドになるかわからないところに期待し、現代のどのバンドにも似て非なるオリジナル性の高いサウンドに魅力されたからである。


フランス・パリでのライブを目前に、最も注目すべきパンクトリオの近況やデビューEPの制作について、メンバーにお話を簡単に伺いました。Q&Aのエピソードは下記よりお読み下さい。



ーー最近、あなた方は活動拠点をブリストルからロンドンに移したそうですね。最近の生活はいかがでしょうか?


Mould:  うん。ジェームズは、今ロンドンに住んでいて、ジョーと僕(ケイン)はブリストルにいる。今のところギグが目白押しでなかなか忙しくてね。とにかくEPをリリースできてとても満足しているよ。

 


ーー2023年末に 「Birdsong」でデビューし、今年8月に記念すべきデビューEP 『Mould』をリリースしました。このEPであなたがたが最も表現したかったことは何ですか?  また、どのようなサウンドを目指しましたか?


うーん。実は、特に特定の「サウンド」を追求したわけではなかったんだ。『Mould』に至るまで、実は僕たちは一緒に数々のバンドをやってきたのだから、それがようやくひとつの結果になったという感じかもしれない。僕たちは3人とも同じ音楽に影響を受けていて、音楽的な影響はかなり多岐にわたっている。それを共有しようとした感じなんだ。「注意力の足りない人向け」というキャッチフレーズをどこかで見た覚えがあるんだけど、まさしくそれが僕らの正体でもあるのさ。

 


ーーデビューEP『MOULD』のレコーディングはどうでしたか? 印象的な瞬間はありましたか??


Mould : EPのレコーディングは本当に楽しかった。ハイライトは、ロンドンのスタジオでハッリ・チェンバースと『Glow』をレコーディングしたことかな。EPの最後に収録されていて、4曲の中で一番気に入っている。ハリーとのレコーディングは最高だった!! 大きな屋上で演奏できたし、角を曲がったところにあるカフェでは巨大なオムレツが食べられたしね。理想的だったよ!!


ーーMOULDの曲作りの秘密をこっそり教えてもらえますか? 曲作りがどのように始まり、洗練されていくのか、そのプロセスについて知りたいです。


Mould: うーん、本当に曲によって変わるからなんとも言いがたい。僕(ジョー)がアイデアを持ってリハーサルに持ち込んで、それを一緒に曲にしていくこともある。

 

または、完成間近の曲を持ち込んで、皆で仕上げをしていくこともある。例えば、『Cables』は私が書いて、かなり完成された状態で持ち込んだ曲だし、『Glow』はケインのベースラインから始まった曲で、フル・ソングになるまで一緒に作業したんだ。


だから、曲作りには特定のやり方はなくて、何が上手くいくかをじっくり見ていくだけなんだ。僕たちはとてもラッキーなことに、一緒に部屋で音楽を演奏したりすることが大好きなんだ。リハーサルではたいてい、新しいアイデアのボイスノートが詰まった携帯電話を何台も持って出てくるよ。

 


ーーデビューEPを聴くと、現時点のMOULDのサウンドは、パンクからオルタナティヴロックまで、すべてを網羅しているように感じられました。普段皆さんはどんな音楽を聴いているのか教えていただけますか?


そうだね。パンク系(パンク、ハードコア、ポストパンク、ポストハードコア、マスロック、ポップパンクなど)が多いけど、結構何でも聴くよ。今はヒップホップとブラジリアンソウルを聴くことが多いかなあ。

 


ーーさて、デビューEP『MOULD』のリリース後、あなたたちはイギリスのメディアで取り上げられるなど、少なからず注目を集めるようになりましたね。将来、どんなバンドになりたいか、今後のビジョンはありますか?


たくさんのアルバムを出して、ゆくゆくはジャパン・ツアーをするようなバンドになれたらいいと思っているよ! 新曲も山ほどあるし、早く次の作品をリリースしたくてウズウズしているところさ!!

 

OUTSIDE/INSIDE SESSIONS

 


MOULD 『MOULD』EP      Now On Sale!!

  



Label: NICE SWAN

Release: 2024年8月2日

 

Tracklist:

 

1.Cabel

2.The Space You Take Up

3.Bird Song

4.Glow



 

◆Episode In English

 

 In 2023, a fresh punk band from Bristol emerged from ‘’Nice Swan‘’. The band ”MOULD” combines the rough-hewn riffs of Stiff Little Fingers and the exhilaration of a engine running at full throttle, the complex rhythms of modern post-punk/math rock, and the melodic elements of Green Day. This is a three-piece with a very promising future.


MOULD may be both a starting point and the result of the moment. After releasing their debut single ‘Birdsong’ late last year, they quickly became one of the hottest names in the game. Currently, one of the members is in London and the other two in Bristol.


The band released their debut EP, 『MOULD』, after the release of the singles ‘Cable’ and ‘Glow’. Their music is filled with a universal love of punk, including hardcore punk, alt-rock and emo.


Following the EP's release, the band were featured in the UK media DORK, and their music was subsequently aired on BBC Radio 6. They have succeeded in attracting the interest of core music fans.


We contacted them this time because we had high hopes for what the band would become and were attracted by their highly original sound, which is unlike any other band of the modern era.


Ahead of their upcoming live show in France/Paris, we were able to speak briefly to the band members about the most notable Punk Trio's recent developments and the making of their debut EP.

 

Please read the Q&A episode below.




--I understand that you have recently moved your base of operations from Bristol to London. How is life these days?


Mould:  We’re actually a hybrid of Bristol and London at the moment, James is living in London whilst Joe and I (Kane) are nestled away in Bristol. 

Life is grand, we’re busy boys at the moment with plenty of gigs on the horizon, and chuffed with the EP being out in the wilderness. 

 


--You debuted late last year with the release of "Birdsong", followed by your debut EP "Mould". What did you want to express with this EP? And what kind of sound did you aim for?


Mould: We didn’t go for a ‘sound’ particularly, we’ve been in many bands together leading up to Mould, It’s very much us, playing what we like at each other. We share the same influences and they’re pretty eclectic, we love a concise punky tune.. “for the short attention spanned” I’ve seen written somewhere. That we are. 

 


--How was the recording of your debut EP? Were there any memorable moments?


Mould: We had a great time recording the EP, the highlight would probably be recording Glow with Harri Chambers at his studio in London. It was the final one we did for the EP and it's our collective favourite of the four. We had the best time recording it with Harri - was a big fun day, big rooftop for us to play on and gigantic omelettes from the caf round the corner. Ideal. 



--Can you give us a sneak peek into MOULD's songwriting secrets? I would like to know about the process of how songwriting begins and is refined.


Mould: It changes song to song really. Sometimes I'll (Joe) have an idea and will bring it to rehearsal and we'll turn it into a full song together. Sometimes I might bring in a nearly finished song and we'll just work it out together/put the finishing touches to it. For example, Cables was one I wrote and brought in pretty fully formed and Glow was one that started with Kane's bassline and we worked on it together until we had a full song. 


So no set method really, we just see what works - we're quite lucky in that being in a room together playing music, or otherwise is our favourite thing to do and we usually manage to come out of a rehearsal with a few phones full of voice notes of new ideas.

 


--From listening to the debut EP, it seems that MOULD's sound currently encompasses everything from punk to alternative rock. Can you tell us what kind of music you usually listen to?


Mould: Yeah there's a lot of punk stuff (punk, hardcore, post punk, post hardcore, math rock pop punk all that stuff etc) but we'll listen to absolutely everything. Lots of hip hop and Brazilian soul at the moment. 

 


-- After the release of your debut EP, you guys got a lot of attention, including being featured in the UK media. Do you have any vision of what kind of band you would like to become in the future?


Mould: Hopefully one that puts out lots of albums and gets to tour Japan! We've got stacks of new music on the way, can't wait to start pumping it out.

Interpol


Interpol(インターポール)のセカンドアルバム『Antics』は今週金曜日(9/27)で20周年を迎える。これを記念し、20周年エディションが発売される。

 

Interpolのメンバーはイギリス出身だが、ニューヨーク大学在学中に結成された。いわば、イギリスとアメリカの気風が混在する、どのシーンにも属さないバンドだ。

 

インターポールは、アークティック・モンキーズとほとんど同時期に登場したが、ゴシックパンク的な音楽性は、2000年代当時にデビューしたロックバンドの中でもかなり異彩を放っていた。いわばインターポールの存在は、20年後のポストパンクの流行を先取りするものだった。

 

デビューから20数年を経てリマスターされたオリジナルアルバムに加え、『Antics』拡張版には、2005年9月22日にメキシコ・シティの「パラシオ・デ・ロス・デポルテス」で行われたインターポールのライヴ音源が収録される。LP3枚組には、30ページのフォトブックも付属する。パラシオ・デ・ロス・デポルテスでのライヴから「Slow Hands」を演奏する様子は以下から。


インターポールは今年、12月3日、4日のニューヨークのブルックリン・スティールでの2夜を含む、ヨーロッパ、イギリス、アメリカで『Antics』をフルで演奏する。そろそろ単独来日公演を期待したい。

 


「Slow Hands」
 

 

 

 


Interpol 『ANTICS』

1. Next Exit

2. Evil

3. Narc

4. Take You on a Cruise

5. Slow Hands

6. Not Even Jail

7. Public Pervert

8. C’mere

9. Length of Love

10. A Time to Be Small

11. Direction (Digital-only, not included in 3xLP box)



INTERPOL LIVE @ PALACIO DE LOS DEPORTES 2005 

 

1. Next Exit

2. Say Hello to the Angels

3. Narc

4. A Time to Be Small

5. Slow Hands

6. Public Pervert

7. Not Even Jail

8. Leif Erikson

9. Evil

10. Obstacle 1

11. Take You on a Cruise

12. PDA

13. NYC

14. Stella Was a Diver and She Was Always Down

15. Roland

 


 『The Antics: 20th Anniversary Edition』は、アルバム、30ページのフォトブック、そして2005年に行われたインターポールの伝説的なPalacio de los Deportesコンサートの完全録音を収録した3xLPボックス・セット。ボックスの予約は本日より開始され、11月14日に締め切られる。配送は2025年初頭を予定している。



 2004年にリリースされた『アンティクス』は、彼らの世代で最も影響力のあるバンドのひとつとしてのインターポールの地位を確固たるものにした。このアルバムのダークでアトモスフェリックなサウンドスケープとフロントマン、ポール・バンクスの特徴的なヴォーカルは、「Slow Hands」、「Evil」、「C'mere」といった象徴的な楽曲を生み出し、「Antics」は世界中のファンの共感を呼び続け、モダン・クラシックとしての地位を確固たるものにしている。


 ニューヨークで結成されたインターポールは、ポスト・パンク、シューゲイザー、ダーク・ウェーブの影響を独自にブレンドし、瞬く間に頭角を現した。デビュー・アルバム『ターン・オン・ザ・ブライト・ライツ』は批評的にも商業的にも大成功を収め、オルタナティヴ・ミュージックにおける一大勢力としての地位を確立した。2022年7月にリリースされた『The Other Side of Make-Believe』を含む7枚のスタジオ・アルバムをリリースし、高い評価を得ている。

KEG

ブライトンのユニークな7人組のポストパンクバンド、KEGは、冬のさなかに海岸で寒中水泳をするような愛すべき人々であり、ポスト・パンクをひねりすぎて一回転してしまったバンドだ。

 

彼らのユーモアセンスには定評がある。それは生真面目なポスト・パンクシーンの中にあって、救いのようなものを意味する。KEGは、タイトル未定のデビュー・アルバムをAlcopop!から来年リリースされることを発表した。リード・シングル「Sate The Worm」も同時に配信中。


このアルバムは、最近リリースされた「Michael Phelps」と「Quip Quash」に続くもので、バンドの特徴である重層的なポストロックに、オルタナティブなテクスチャーとオーケストラの華やかさを融合させたものとなっている。


LPの1曲目について、KEGは謎めいたコメントを残している。「ワームは、人の骨の奥深くに寄生する生命力だ。この虫を殺すと、絆を深めようとするあまり、自分の深い秘密を同僚に打ち明けることになるかもしれない。路上で叫ばなければならない思い出や、不安のうずまく感情は、この下等な虫の餌となる」



「Sate The Worm」

 

The Murder Capital

アイルランドのロックバンド、The Murder Capital(マーダー・キャピタル)が、2024年最初のニューシングル「Can't Pretend to Know」をリリースした。この曲は、今年初めにロサンゼルスでプロデューサーのジョン・コングルトンとレコーディングされた。以下よりチェックしてみてください。


「"Can't Pretend To Know "は、色彩と息苦しさのハリケーンのように感じられるように作った曲の鞭だ」とフロントマンのジェイムズ・マクガヴァンは声明で語っている。

 

「子供時代の無邪気さと、その代わりとなるもの、青春の奇妙な道を進むときに私たちが燃やす繊細な橋をシュールなかたちで表現している。私たちが接触するすべてのものによってそれらは形成される。おもちゃから教訓を学んだり、求められる役を演じたり」


「Can't Pretend to Know」

 

Benefits


ミドルスブラのBenefitsがニューシングル「Land Of The Tyrants」を発表した。90年代のエレクトロソングに依拠しているが、キングズレイ・ホールのスポークンワードが独特な緊迫感を帯びている。


スティーヴ・アルビニの追悼のために公開されたBIG BLACKのカバー「The End of the Radio」と同様に、明確なシャウトはないが、ジェフ・バーロウ(Portishead)のレーベル''Invada''からのデビューアルバム『Nails』と変わらず、リリックには内的な怒りが込められているようだ。


ベネフィッツは昨年、デビューアルバムの発表後、グラストンベリーに急遽出演した。NMEによると、その後ベネフィッツはドラマー交代(最初は女性ドラマーが在籍していた)を経て、現在はフロントマンのキングスレイ・ホールとエレクトロニクスの名手ロビー・メジャーの2人組の編成に落ち着いた。デュオとして初の新曲を披露したベネフィッツは、最初のアルバムで捉えた魅力を維持させながら、新しい音楽的領域へとサウンドを押し進めたいと語っている。


その結末がニューシングル「Land Of The Tyrants」で、キングズレイ・ホールが現代生活やアイデンティティの操作に対する不満を、アンダーワールドを彷彿とさせる90年代のダンス風のリズムに乗せて吐き出す。


このシングルリリースと合わせて、ティーサイドの映画監督ジョン・カークブライドが監督した、80年代の映画『ロング・グッド・フライデー』からインスピレーションを得た、洗練された新しいビデオが公開済み。キングズレイ・ホールはこのミュージックビデオについて次のように説明している。


「僕はボブ・ホスキンスになりきるのは苦手だけど、ロビーはピアース・ブロスナンになりきるのは驚くほどうまいのさ。ボンド映画を作る人たちが連絡を取りたければ、僕らのDMはいつもオープンだよ。『ロング・グッド・フライデー』のラストシーンを再現したいとか、真夜中に馬鹿げたアイデアを思いつき、それが数日後、ラップトップのスクリーンで、ちょっといびつなエッジを残しながら具現化するのを見るのは、本当に嬉しいものだよ。私たちの素晴らしい友人であるマーティン・フォックスは、素敵なモーターである彼の車を私たちに貸してくれた」



「Land of The Tyrants」



 

Honesty

イギリス/リーズを拠点に活動するポストパンクバンド、HONESTY(オネスティー)がデビューアルバム『U R HERE』を2025年2月7日にリリースすると発表した。


昨年の『WHERE R U EP』、今年の『BOX mix』に続き、『U R HERE』の最初のテイストは、推進力のあるニュー・シングル/ビデオ「MEASURE ME」。


流動的で爽快なクラブ・ミュージックのコレクションに、深く内省的なひねりを加えた''U R HERE''は、現代の心理的影響を音によりマッピングし、新たな始まりに伴う活力と自由を利用しようという、HONESTYによる斬新なチャレンジでもある。彼らの幅広い実験的な影響力を基に作られたU R HEREは、時に崩壊しそうな世界の中で、新たな創造的表現の感覚を表現している。


デビュー・アルバムについて、HONESTYはこう語っている。「このアルバムは、二次会でAUXケーブルを回すような、有機的な共同作業になった。シューゲイザーからUKベースラインにいたるまで、かなり幅広い音楽にインスパイアされたから、ひとつのジャンルにとらわれないようにしようと決めたんだ。リスナーには、自分たちだけのサウンドスケープの地図を自由に歩き回りながらも、''U R HERE''というピンポイントを明確に示すような感覚を味わってほしかった」



「MEASURE ME」




 ■2nd Single「Tormenter」



リーズを拠点に活動するグループ、HONESTYは、待望のデビュー・アルバム『U R HERE』からの最新曲、推進力のあるシングル「TORMENTOR」をリリースした。


この曲は、欺瞞に満ちた関係を反映したもので、ヴォーカリストのイミ・マーストンが陶酔を約束することで引き戻され続けている。このトラックは、催眠術のようなシンセサイザーの波の中で展開し、マーストンの操作されたヴォーカルは、ささやき声と叫び声を交互に繰り返す。「TORMENTOR」は、HONESTYが最もダークでありながら最もアンセミックであることを示しており、このトラックはすでに、高い評価を得ているグループのライブショーで際立っている。


このニューシングルについて、イミは次のように語っている。「Tormentorは、みんなと最初に取り組んだ曲のひとつで、おそらくヴォーカルを決めるのに一番時間がかかったと思う。ヴォーカルは簡単に歌えるものもあれば、もっと手間のかかるものもあり、一線を越えるには少し距離が必要なこともある。この曲はHONESTYの核となる部分だし、僕にとってはHONESTYの一員になるための序章のようなものだから、最終的に納得のいくものができてよかった」



「Tormenter」


 
 
 
HONESTY  『U R HERE』



Label: Partisan

Release: 2025年2月7日


Tracllist:

1.NO RIGHT 2 LOVE 

2.WWWWW?

3.U&I 

4.MEASURE ME

5.U R HERE

6.TORMENTOR

NORTH

EMPTY

9.NIGHTWORLD.

10.PITY

 

Lambrini Girls
Lambrini Girls

不気味な一角からのポスト・パンクの投石。ガレージ・パンク風の不穏なギター、皮肉を交えたボーカルが縦横無尽に飛び交う。表面的な派手さとは裏腹に、ランブリーニ・ガールズは暗く湿っぽい冷笑に浸されたポストパンク・ソングで、次世代のパンクシーンを塗り替えようと目論む。

 

ブライトンのポストパンクデュオ、Lambrini Girls(ランブリーニ・ガールズ)が、政治色の強いパーティー・スターターとして「Company Culture」を発表した。この曲は、最近リリースされた「God's Country」と「Body of Mine」に続く作品で、今回は有害な職場環境の陰湿な性質に取り組んでいる。このシングルのコンセプトについて、バンドはこうコメントしている。

 

「白人の中年男性が自分のアイデアを評価される一方で、2倍働くことにうんざりしている?ハラスメントを報告するのが怖い?衝突を避けるために常に二の足を踏んでいる?もしイエスと答えたなら、あなたはおそらく女性かクィアの人でしょう」


ランブリーニ・ガールズは、多くの女性やクィアな人々が職業生活で直面する「キャッチ22」について、次のように指摘する。


「そして、もし、成功すれば、あなたは詐欺師のように感じるでしょう。どんなに頑張っても、相手にされない。上司はあなたとヤリたがっていて、人事部はあなたをヒステリックだと思っている。文句を言わなければ煙臭いキッチンに逆戻り。さあ、ボーイズ・クラブへようこそ」


「Company Culture」


ロンドンのポストパンクバンド、ハイ・ヴィス(High Vis)が三作目のアルバム「Guided Tour」を10月18日にDais Recordsからリリースする。無骨なパンクサウンドを売りとするハイ・ヴィスは今回、ベースメントのクラブミュージックを取り込むことで、全く別のバンドへと生まれ変わろうとしている。


5人組は「Mob DLA」で新時代を幕開けを告げた。ダンスフロアの推進力とスタジアム・ロックのアンセムを行き来する新曲「Mind's A Lie」でも、感情を揺さぶる、社会政治的なメッセージは続いている。


サウス・ロンドンのプロデューサー/DJであるエル・マーフィーのヴォーカルと、リード・ヴォーカルのグラハム・セイルの擦れたヴォーカルが並置されたこのトラックは、ハウスやガレージを連想させる一方、過去のアルバム(2019年の「No Sense No Feeling」や2022年の「Blending」)のパンク・ポエティックな感触を保持している。憤懣やる方ない気持ちもHigh Visの手にかかるや否や、ストリートの匂いを吸い込んだ魅惑的なポストパンクへと変化してしまう。


「Guided Tour」でハイ・ヴィスは新たな高みへと舞い上がる。プロデューサーのジョナ・ファルコと常連のコラボレーター/エンジニアのスタンリー・グラベットとともにロンドンのホーリー・マウンテン・スタジオで数週間にわたりレコーディングされたアルバムの11曲は、"経験、仲間意識、社会的不満によって研ぎ澄まされた現代ギター音楽のスペクトラム "に及んでいる。


シンガーのグレアム・セイルは、彼らのサード・アルバム『Guided Tour』を競合する力の軸と表現している。

 

「希望に満ちたアルバムであると同時に、激しい作品でもある。ドラマーのエドワード・'スキー'・ハーパー、ベーシストのジャック・マンカスター、ギタリストのマーティン・マクナマラ、ロブ・ハマーレンを中心に、イギリスとアイルランドのDIYハードコア・シーンに深く根を下ろしたバンドは、落ち着きのなさと正しい怒りに等しく触発され、地に足をつけながらも成長を続けている。セイルが言うように、「誰もがスクラッチをしていて、いつも働いていて、彼らの考えるリラックスとは、ただファックして現実逃避することだ。このアルバムはそこからの逃避なんだ」


「Mind's A Lie」は、ウェールズのムーブメント・アーティスト、セム・オシアンを主演に迎え、マルティナ・パストーリが脚本・監督を手がけ、サウス・イースト・ロンドンで撮影されたシネマティック・ビデオとともに到着した。ストリート・レベルの硬質なビジュアルは、階級格差、孤立、孤独を探求するアルバムに命を吹き込んでいる。

 

 

 「Mind's A Lie」

 


上記のミュージックビデオについて、ボーカリストのセイルはこう語っている。「ポジティブで建設的なエネルギーのはけ口がないと、ネガティブな習慣に支配されてしまうことを見たかったんだ。”精神的な健康の提供”という言葉は、そのような状況の中で肥沃な土地を見出してきた」

 

 

 ■「Drop Me Out」

©︎Brage Pederson

ロンドンのポスト・パンクバンド、High Vis(ハイ・ヴィス)は、近日発売予定の次作アルバム「Guided Tour」からニューシングル「Drop Me Out」を発表した。以下よりチェックしてみよう。

 

このシングルは、「Mob DLA」と「Mind's a Lie」のフォローアップとなる。バンドの持ち味である硬派なパンクサウンドを堪能出来る。High Visのサウンドは、80年代のUKハードコアからのフォードバックも含まれており、インダストリアルでメタリックなテイストを漂わせる。


2022年の『Blending』に続く『Guided Tour』は、11月18日にDais Recordsからリリースされる。


「Drop Me Out」


High Vis 『Guided Tour』

Label:Dais 

Release:2024年10月18日

 

Tracklist:

 

1. Guided Tour

2. Drop Me Out

3.Worth The Wait

4.Feeling Bless

5.Fill The Gap

6.Farringdon

7.MOB DLA

8.Untethered

9.Deserve It

10.Mind's A Lie

11.Gone Foreve

Sleaford Mods reissues "Divide And Exit" to commemorate the 10th anniversary of its release.

Sleaford Mods

ノッティンガムのポストパンクデュオ、Sleaford Mods(スリーフォード・モッズ)がレア音源ボックスから2曲の未発表曲を探し出した。

 

ジェイソン・ウィリアムソンとアンドリュー・ファーンによるデュオは、当初、ウィリアムソンのソロ・プロジェクトだったが、後にファーンが合流し、ユニットの形になった。

 

ブレイクの瞬間であった「Divide And Exit」をリリースしてから10年が経った。スリーフォード・モッズは、スカ・パンクの伝説であるザ・スペシャルズとの共演を期に、プロミュージシャンとしての道を歩み始めた。それ以来、スリーフォード・モッズは上昇の一途をたどり、近年では、『Spare Ribs』『UK Grim』といった象徴的なカタログをラフ・トレードにもたらした。ライブ活動も順調であり、最近ではグラストンベリーで素晴らしいセットを披露している。

 

10周年を記念して、「Divide And Exit」の拡張版がRough Tradeから7月26日に CD/LPでリリースされる。この拡張版には、二作の未発表曲「Git Some Balls」と「Air Con」(アルバムカット「Air Conditioning」のリワーク)が収録されている。これらの2曲を彼らは気に入ってはいるものの、アルバムの収録曲としては相応しくないと考えていたようだ。

 

「"Git Some Balls "は、スタジオのフロアの切り抜きのひとつで、当時はあまりピンと来なかったけれど、今では素晴らしいサウンドになっている」とヴォーカルのジェイソン・ウィリアムソンは言う。

 

「私たちはアルバムに何を求めているかわかっていたし、これが『Divide and Exit』にふさわしいとは感じていなかった」

 

「不思議なのは、ボツになった曲は、アルバムに収録された曲と同じくらい、聴き直すといつも良い音に聞こえるんだ。あの時点で僕らがやっていたことをやってる人は、この国には誰もいなかったはずだよ。30年前のことのように感じるけど、まだ10年しか経っていないなんて、本当に狂気の沙汰だよね」

 

 

 

MOULD prepares to release debut EP 

 

MOULD

ヴォーカリスト/ギタリストのジョー・シェリン、ヴォーカリスト/ベーシストのケイン・イーグル、ドラマーのジェームス・ラクストンからなるブリストルのトリオ、MOULDは昨年デビューしたばかりの期待の三人組。

 

リバプールのSTONEに続いての注目のバンドの登場と言っても過言ではない。セカンドシングルの発表を期に、バンドはブリストルからロンドンに転居している。

 

勢いのある劇的なポストパンクアンセム「Birdsong」のリリースで注目を集めると、同じようにハードコア・パンクからの影響を感じさせる「Cables」で単なる見せかけのバンドではないことを示してみせた。

 

 

 

3作目のシングル「Glow」はハッリ・チェンバースがプロデュースしたシングル「Glow」は現在発売中。以下よりチェックしてほしい。


従来のシングルとは少し異なり、オルトロック/オルトフォーク調のシングルである。先行発売された2曲と同じようにニューウェイヴやオリジナル世代のポスト・パンクからのフィードバックが取り入れられている。

 

曲の最後では、やはり彼らの代名詞であるスクリームが登場するが、全般的にはやや落ち着いたメロディアスなインディーロックソングとなっている。ハードな印象もあったモールドの爽快感のある意外な一面をこのニューシングルで堪能することができる。

 

モールドは今回、デビューEPの計画を明らかにした。ナイス・スワン・レコードから8月2日にリリースされる。


"Glow "は、秋の空の下に座り、天候のイメージを使って詩的な文章を書く作家についての短編小説から取られています」とバンドは声明で説明している。「秋の天気は、人々がこのようなことをするのにうんざりしていて、激怒し、作家を攻撃したりもする」



「Glow」

 

©James Edson

 

ロンドンのポスト・パンクバンド、High Vis(ハイ・ヴィス)が2024年最初のシングル「Mob DLA」をリリースした。

 

このバンドにしては硬質なメタル風のナンバーとなっている。人好きのしないような無骨さだが、その底にはメラメラと熱がこもっている。彼らの本質から目を背けない姿勢に称賛を贈るより他ない。

 

「何年にもわたる公共サービスの削減は、英国のコミュニティに壊滅的な人的影響を及ぼして来た。人々は援助の必要性を正当化することを余儀なくされ、生涯続く障害に対する支援の適格性を精確に監視するため、非人間的なテストに耐えねばならない。疎外されたコミュニティは自活することを余儀なくされ、標的を絞ったメディアの中傷キャンペーンにより中傷される」

 

「これはすべて、政治家や産業界のエリートやその取り巻きのボーナスや給料が増え続ける裏側で起きている。私は自分の家族を見てきた。自分らに不利なように設計されつつある世界で、自分の居場所を見出そうとする人々のストレスと不安は手に取るようにわかる。そして、そのような状況下で、私は、無視され続けるコミュニティ活動の力を目の当たりにしてきたんだ」

 

「Mob DLA」

 

Honeyglaze


ロンドンを拠点に活動する3人組、Honeyglazeが、リード・シングル「Don't」と共に、セカンド・アルバム『Real Deal』を発表した。 「Don't 」は、2022年のセルフタイトル・デビューアルバムに続くReal Dealの印象的な名刺代わり。

 

フロントパーソンを務めるアヌースカ・ソコロウは、「私の大好きなデスティニーズ・チャイルドの曲『bills, bills, bills』(無駄な男とはおさらばとの歌)をベースにした『Don't』は、特にひどい恋愛が終わった後に書いた。攻撃的で直接的であることは、時にとても楽しいよ」


クラウディウス・ミッテンドルファー(Parquet Courts、Interpol)とのレコーディング中、ソコロウのパフォーマンスは彼女自身のバンドメンバーを驚かせた。若手バンドとは思えないほどの不敵なふてぶてしさが彼らの特徴でもある。下記のコメントを見てもそのことは瞭然だ。

 

「レコーディングスタジオのコントロール・ルームに座っていたときのことを鮮明に覚えている。雰囲気は穏やかで、少しだけ疲れていた。ヌーシュはヴォーカル・テイクを録るためにお茶を飲みながら、ちょうどライブ・ルームに入ってきたところだった。クラウディウスは、クレイジーなボール&ビスケット・マイクをセットして、かなり攻撃的なコンプレッサーをかけたんだ。ミドル・ファーム・スタジオにいる間、毛のない猫よりも実は彼女が一番怖かったよ」


Honeyglazeは、12月3日のヴィレッジ・アンダーグラウンドでの公演を含め、グラスゴー、マンチェスター、ブリストル、パリ、ベルリンなどでのUK/EUツアーも発表している。

 

 

「Don't 」

 

 

2nd Single 「Cold Cellar」

©Kalpesh Lathigra


ロンドンを拠点に活動するオルトロックトリオ、ハニーグレイズ(Honeyglaze)が、近日発売予定のニューアルバム『Real Deal』から新曲「Cold Caller」をリリースした。リードシングル「Don't」に続く作品です。

 

ミニマルなギターラインを中心に構成され、後半ではボーカルは叙情性を漂わせ、なだらかなウェイブを描き、ドラマティックなポイントを形作る。簡素さが売りのナンバーですが、やはりその中にはハニーグレイズの特性が込められている。以下よりこのセカンドシングルをチェック。


バンドは声明で、次のように述べています。「それは完全にダイナミックな逆転だから面白いです。あなたが通常注目されることを望む最後の人は、冷たい電話をかけてくる人です。もし、あなたが彼らから十分なものを得ていないとしたら、その人がどれほど孤独を感じるか想像できますか? 希望的観測と妄想は、あなたが思っている以上にあなたの現実を決定するんだ」


 

「Cold Caller」

 

 

 ■3rd Single 「Pretty Girls」

Honeyglaze
©Kalpesh Lathigra


ロンドンのトリオ、Honeyglaze(ハニーグレイズ)が、近日発売予定のアルバム『Real Deal』からの最新シングル「Pretty Girls」をリリースした。この曲は、前作「Cold Caller」と「Don't」に続くもの。ジェイムズ・オグラム監督によるユニークなビデオは以下よりご覧下さい。


「Pretty Girls'は今までで一番ポップな曲で、2、3年かけて断続的に作り直した。私たちは普段、アレンジを推し進めたり、型にはまらない部分を追求するのが好きだ。私たちはこの曲を本当にシンプルにし、複雑にしすぎないようにして、ただ楽しくグルーヴィーな曲であることを楽しんだ」

 

「この曲は、悪い習慣に溺れたいという衝動に抵抗することを歌っている。私はいつもピンクの服を着て、自分のフェミニンな部分に触れている "というセリフは、実際に耳にした会話から取られたもので、皮肉なのかそうでないのかいまだに分からないので、私のお気に入りの歌詞のひとつ」

 

 

「Pretty Girls」

 

 

 

 

Honeyglaze 『Real Deal』

 


Label: Fat Possum

Release: 2024/09/20    

                
                       
Tracklist :   

                       
                           
1.Hide

2.Cold Caller

3.Pretty Girls

4.Safety Pins

5.Don’t

6.TMJ

7.I Feel It All

8.Ghost

9.TV

10.Real Deal

11.Movies

 

 

 Pre-order: https://honeyglaze.ffm.to/dont.OYD


 


ブリストル出身のパンクトリオ、Mould(モールド)は2023年にデビューシングル「Birdsong」を引っ提げて登場し、パンクシーンの新星と目されるようになった。


モールドは今回、イギリスのインディペンデントレーベル、Nice Swan Recordingsと新しい契約を結び、2ndシングル「Cables」を発表した。(曲のストリーミングはこちら)


「"Cables "は、何の計画もなくブリストルからロンドンに引っ越してきて、一体何をすればいいんだろうと思った後に書いた。この曲は、方向性がなく、目的もない。しかし、方向性がなく、目的もないことがどれほどエキサイティングだったかを歌ってる。ケーブルの話でもあるんだ」

 


「Cables」

 

©Amy Fort

Colaがニューシングル「Albatross」をリリースした。6月14日に発売される『The Gloss』からのニューシングル。

 

モントリオールにルーツを持つバンドColaは、元OughtのメンバーであるTim Darcy「ティム・ダーシー)とBen Stidworthy「ベン・スティッドワーシー)によって結成された。新進気鋭のポストパンクトリオとして注目。彼らは現在破竹の勢いで快進撃を続けるFire Talkに所属している。

 

Colaのメンバーは、U.S.ガールズやブロディ・ウェストなど、トロントの活気あるジャズ/エクスペリメンタル・シーンでセッション・ミュージシャンとして活躍し、コラボレーターとしても需要の高いエヴァン・カートライトが、2019年の初練習後に加入。結成当初から、彼らはDischordやSST時代のd.i.y.エチシックを発展させ、ドラム/ベース/ギターのミニマルなパレットから強力なサウンドを生み出し、愛嬌のある一発芸や社会的なコメントを散りばめてきた。


歌詞は繰り返し聴くことで深い意味が見えてくる。デイヴィッド・バーマンの詩によるガレージ風の軽快な文章は、UKのファースト・ウェーブ「ニューウェーブ)やダニーデン・サウンドの軽快な側面と同様にインスピレーションを付与している。その結果、ある時はまばらで詩的であり、またある時はスリリングでフック満載の楽しい時間を呼び起こす。例えば一夜限りの関係を描いた生意気なロマンチック・スケッチは、当てこすりやジャーナリズム・トークに溢れ、セルフ・パロディになりかけている。が、その結果、軽快さと誠実さが見事に融合している。
 

 

最新シングルについて、「この曲は、最終的な形になるまで、いくつかの人生があった」とバンドのティム・ダーシーは声明で説明している。

 

「後のDeep in Viewのツアーでは、歌詞を変えてもっと速いバージョンを演奏した。最終的にスタジオに入った時、ベンのオリジナル・デモを再検討し、スローダウンしてヘヴィなフィーリングを再び取り入れることにしたんだ」

 


「Albatoross」

 

©Vanessa Heins


METZはカナダのパンクシーンを担う存在である。2012年からSUB POPに所属し、在籍13年目に差し掛かろうとしている。彼らのガレージテイスト漂うロックは、現代的なポスト・パンクと結びつき、唯一無二のサウンドに組み上がる。しかし、その中にハイヴズのようなプリミティブなロックの魅力があることは、旧来のファンであればご承知と思われる。METZはアレックス・エドキンス、ヘイデン・メンジーズ、クリス・スロラッチから構成されるトリオだ。

 

バンドは、今週金曜日にSUB POPからリリースされるニューアルバム『Up On Gravity Hill』に先駆けて、最終のプレビューシングル「Superior Mirage」を配信した。この作品は、前作「99」、「Entwined (Street Light Buzz)」、「Light Your Way Home」に続く。ジョン・アンドリュースが監督したミュージック・ビデオも公開された。以下よりチェックしてみよう。


フロントマンのアレックス・エドキンスは声明の中で述べる。「この曲は僕らにとって間違いなく新しい領域で、実現できたサウンドが本当に大好きだ。Linn Drumと自家製サンプルをブレンドして、このアドホックなジャンクヤードドラムサウンドを作ったんだ。バック・ビートを曲の特徴にしようとした。サビの盛り上がりもかなり大きい。ギターの壁で横殴りにしたかった」 

 


「Superior Mirage」

 

©︎Pooneh Ghana

ニューヨークのポスト・パンクバンド、Bodegaは、4月12日にChrysalisからリリースされるアルバム『Our Brand Could Be Yr Life』の新曲「Cultural Consumer III」を発表した。ルカ・バルサーが監督したビデオが公開された。


「"文化的消費者 "は、BODEGAのソングライティングに欠かせないキャラクターになっている」とヴォーカルのベン・ホジーは説明する。

 

「『Cultural Consumer I』は、バンドのソングライティングの声を見つけたような気がする最初に書いた曲だ。文化的消費者とは、文化(ハイ・アートとポップ・カルチャーの両方)を研究することにはまり、それゆえに抑圧されている中産階級のボヘミアンである」


「"文化消費者III "では、彼はニューエイジャーとなり、台湾の瞑想リトリートへ飛ぶために空港へ向かう車の中で、キラー・キュレーションされたプレイリストを爆音で流している。ボブ・ディランと違って、彼は一度も "自由のチャイムが点滅するのを見つめた "ことがない。彼はガラクタを買っているだけなのだ」


「Cultural Consumer III」

 

 

Bodega 『Our Brand Could Be Yr Life』



 

Label: Chrisalis

Release: 2024/01/08

 

Tracklist:

 

1. Dedicated To The Dedicated

2. G.N.D. Deity

3. Bodega Bait

4. Tarkovski

5. Major Amberson

6. Stain Gaze

7. Webster Hall

8. ATM

9. Set The Controls For The Heart Of The Drum

10. Protean

11. Born Into By What Consumes

12. Cultural Consumer I

13. Cultural Consumer II

14. Cultural Consumer III

15. City Is Taken

 

Pre-order:

 

https://bodegabk.bandcamp.com/album/our-brand-could-be-yr-life

 

 


カナダのポストパンクバンド、METZはブラック・マウンテンのアンバー・ウェバーがヴォーカルを務めた新曲「Light Your Way Home」を発表しました。


「"Light Your Way Home "は間違いなく、Up On Gravity Hillからのお気に入りのひとつ。この曲を書くときは、(冬によく聴くように)JesuとLowをたくさん聴いていた。リリックでは、現実を見失うほど愛する人を恋しく思うことを歌っている」とフロントマンのアレックス・エドキンスは言う。


「ドラムを歪ませたり、機械的なスラップを戻したりして、ワイルドで巨大なサウンドを作り出した。この曲のプロダクションの大きさが気に入っている。サウンド的にもリリック的にも、今までに作ったことのないような作品に仕上がった。アンバー・ウェバー(ブラック・マウンテン、ライトニング・ダスト)との仕事はとても素晴らしく、彼女の声がこの曲を別の成層圏へと導いてくれたんだ。コリン・メドレーによるビデオは、曲の雰囲気と意図を完璧に捉えていると思う」


シングル「Light Your Way Home 」はMETZの次のアルバム『Up On Gravity Hill』に収録。バンドの4年ぶりのアルバムは、2020年の『Atlas Vending』に続く作品です。



「Light Your Way Home」