ラベル Punk の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル Punk の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

  3月7日、パンクシーンのレジェンドがこの世を去った。伝説のUKパンク・バンド、The Damnedの結成時ギタリストであり、初期の主要ソングライターであったブライアン・ジェイムズさんが70歳で死去した。ジェイムズの死去は自身のフェイスブックで報告され、死因は記載されていない。 1955年ロンドン生まれのギタリストは、2月18日に70歳を迎えたばかりだった。


  ダムド以前は、ニューヨーク・ドールズ、モット・ザ・フープルのようなバンドを目指したロンドンSS(クラッシュのミック・ジョーンズ、ジェネレーションXのトニー・ジェイムスが在籍)、キャプテン・センシブルらと結成されたザ・サブタレイニアンズ(ダムドの前身バンド)、バスタードで活躍。 1976年、シンガーのデイヴ・ヴァニアン、ベーシストのキャプテン・センシブル、ドラマーのラット・スキャビーズとともにダムドを結成。


  ジェームズのミュージシャンとしてのキャリアは18歳に始まった。デビューギグから数カ月後のデビュー・シングルをリリースし、UKパンクの時の人となった。彼はバンドの最初の2枚のアルバム『ダムド・ダムド・ダムド』(10時間でレコーディングが行われた伝説的な作品)と『ミュージック・フォー・プレジャー』のほとんどの曲を書いた。 しかし、彼はこの2枚のアルバムがリリースされた1977年末にバンドを脱退した。彼は、少なくともパンクがメジャー化し形骸化する前に、もしくはその動きを察知して最初のパンクシーンから身を引いている。


  その後、Tanz Der Youthというバンドを結成した後、スティヴ・バートルズとThe Lords of the New Churchというグループを立ち上げ、80年代初頭に数枚のアルバムをリリースした。 ソロアルバムも数多くリリースしており、最新作は2015年の『The Guitar That Dripped Blood』である。


  ジェイムズは80年代後半に短期間ダムドを再結成し、2022年には英国での一連のライヴのために再びダムドを再結成した。 ギタリストのフェイスブックに掲載された声明全文は、彼のキャリアを次のように要約している。


  音楽界の真のパイオニアのひとりであり、ギタリスト、ソングライター、そして真の紳士であるブライアン・ジェームスの死を、大きな悲しみとともにお知らせします。 ダムドの創設メンバーであり、史上初のUKパンク・シングル「ニュー・ローズ」の作者であるブライアンは、1977年2月にリリースされたバンドのデビュー・アルバム『ダムド・ダムド・ダムド』の主要ソングライターだった。 


  ニック・メイソンがプロデュースしたセカンド・アルバム『ミュージック・フォー・プレジャー』のリリース後にダムドと袂を分かったブライアンは、短命に終わったタンツ・デル・ユースを結成し、その後、友人でロッカー仲間のスティヴ・ベイターズとザ・ローズ・オブ・ザ・ニュー・チャーチを結成した。


  ブライアン・ジェイムズとスティヴ・バトルスという興奮の波の中で、ロード・オブ・ザ・ニュー・チャーチは3枚のスタジオ・アルバムを成功させ、"Open Your Eyes"、"Dance with Me"、"Method to My Madness "といったシングルを生み出した。

 

   常に新たな挑戦を求め、様々なミュージシャンとの共演に意欲的だったブライアンは、その後数年間、ザ・ドリッピング・リップスを結成し、様々なレコードにゲスト参加する一方、ブライアン・ジェームス・ギャングを結成し、ソロ・アルバムに取り組んだ。


  ブライアンは、60年以上に及ぶキャリアの中で、その音楽は映画やテレビのサウンドトラックを飾り、ザ・ダムドやロード・オブ・ザ・ニュー・チャーチに加え、イギー・ポップからウェイン・クレイマー、スチュワート・コープランドからチーター・クロームまで、パンクやロックンロールの最高峰と数多く共演した。


  最近では、エポックメイキングな「New Rose」のリリースから40年以上を経て、ダムドのオリジナル・メンバーが2022年に一連の特別で感動的なイギリス公演のために再結成した。妻のミンナ、息子のチャーリー、そして義理の娘のアリシアのそばで、ブライアンは2025年3月6日木曜日に静かに息を引き取った」


  ダムドはデイヴ・ヴァニアン、キャプテン・センシブル、ラット・スカビーズ、ポール・グレイ、モンティ・オクシモロンというラインナップでツアーを続けている。この投稿の時点では、バンドはジェームスの死去に関する声明を発表していません。


▪️The Damnedの作品の詳細についてはUKパンクの名盤ガイドをご覧下さい。

 

©︎Steve Gullick

イギリス・クルーの4人組、UNIVERSITYが生々しい衝動的なパンクロックソング「Massive Twenty One Pilots Tatoo」をトランスグレッシヴからリリースした。 オールドスクールの荒削りなパンクロックソング。バンドの生々しい生命力の表れ。(楽曲のストリーミングはこちらから)


ニューシングルは、バンドとKwes Darko(Slowthai、Overmono)、Andrea Cozzaglio(Inhaler、Beebadoobee)の共同プロデュースによる楽曲である。

 

「世界で最悪のタトゥーは何だろう」というゲームから名付けられた。ヘヴィでハードコアなサウンドはそのままに、「Massive Twenty One Pilots Tattoo」は、広大で煽情的なパンク・ロックの中に、よりソフトで明瞭な音楽の瞬間を切り取っている。


 
UNIVERSITYはザック・ボウカー(ヴォーカル/ギター)、ユアン・バートン(ベース)、ドラマーのジョエル・スミス、エディ(マスコット)の4人で結成された。無粋なユーモアは、彼らの音楽に溶け込んでいる。レーベルと契約し、「ビジネス面 」に真剣に取り組んだ後、彼らは自分たちの音楽をより過激に、より不条理な場所へと押し進めることで、この大人びた態度を相殺することにした。バンドは、自分たちの最も奇妙で滑稽な衝動を信じようと決意している。


 

2023年5曲入りのデビューEP『Title Track』には、「King Size Slim」、「Notre Dame Made Out Of Flesh」、「Egypt Tune」が収録されている。

 

『タイトル・トラック』は、その揺るぎない爆発的なサウンドとエネルギーが評価され、Dork誌は「ノイズ・パンク界で最も有望な新人バンドが放つ暴動的な耳の虫」、NME誌は「今年聴いたことのないエネルギーの爆発」と評した。

 

UNIVERSITYはこれまでに魅力的なライブイベントに出演してきた。グレート・エスケープ、グリーン・マン、エンド・オブ・ザ・ロード、ミューテーションズ・フェスティバル、ピッチフォーク・フェスティバル・パリ。そして、最近ではカーディフのSWNフェスティバルとブリクストンのインディペンデント・ヴェニュー・ウィークのザ・ウィンドミルに出演し、フェスティバルのサーキットを切り拓いてきた。

 

この若きカリスマは、テキサス州オースティンで開催される今年のSXSWに複数回出演するほか、4月10日にはサード・マン・レコードのザ・ブルー・ベースメントでロンドン公演を行う。 

 

 

 「Massive Twenty One Pilots Tatoo」(*センシティブな表現があるのでご視聴の際はご留意下さい)

 

 



サンタクルーズのニュースクール・ハードコアバンド、Scowl。この五人組はターンスタイルに続く、今最もホットなパンクアウトフィットとして名乗りを上げている。すでに北米の大規模なパンクフェスにも出演済みであるが、知名度という側面で懸念があった。しかし、彼等は名門レーベル、デッド・オーシャンズとの契約を経て、世界規模のバンドへと成長しつつある。

 

先月、Scowlはニューアルバム『Are We All Angels』を発表したのに続いて、本日、最新曲 「Tonight (I'm Afraid) 」を配信した。ボーカリストのモスのボーカルとスクリームが混在した次世代のハードコアナンバー。彼等の音楽的なアプローチには90年代のミクスチャーロックやヘヴィーロックも含まれているが、現代的なハードコア/メタルの要素がそれらにアンセミックな要素をもたらしている。この先行シングルは従来の中で最も重力を持ったトラックである。

 

「Tonight (I'm Afraid) "は、アンセミックなコーラスとパンチの効いたベースライン、そしてキャット・モスの直感的なスクリームによってドライブされる、スカウルの最も繊細な一面を垣間見ることができる。この曲は、AdultSwim.comのクリエイティブ・ディレクターであるアダム・フックスがイラストを手掛けたフリップブックのMVと同時に到着した。この曲は、これまでのシングル 「B.A.B.E」、「Not Heaven, Not Hell」、「Special」 に続いて配信された。


最新プロジェクト『Psychic Dance Routine EP』を手掛けたウィル・イップ(Turnstile、Title Fight、Mannequin Pussyなど現代のUSパンクハードコアの錚々たるバンド)がプロデュースした『Are We All Angels』は、毒舌で拮抗的なバンドが、自分たちの攻撃性をより拡大した形で表現している。

 

アルバムのミックスはリッチ・コスティ(フィオナ・アップル、マイ・ケミカル・ロマンス、ヴァンパイア・ウィークエンドなど)が担当。 このアルバムは、疎外感、悲嘆、そしてコントロールの喪失が特徴的で、その多くは、過去数年間バンドを受け入れ、彼らを避雷針のような存在にしたコミュニティであるハードコア・シーンにおける彼らの新たな居場所と格闘している。


Are We All Angels』では、バンドはあらゆる場面で野心的な新しい方向性を模索し、ジャンルの常識を曲げている。モスの進化が最も顕著に表れているのは、バンドの前作にあった唸らせるようなサウンドをやめ、より質感のある、時には繊細なアプローチに変えていることだ。彼女は、熱心なスカウルファンをも驚かせるハーモニーとメロディックな感性を発揮している。

 

モスは、ビリー・アイリッシュからレディオヘッド、カー・シート・ヘッドレストからジュリアン・ベイカーまで、ハードロック以外の幅広い影響を受けている。「このバンドが始まったとき、私たちの大半は本当にミュージシャンとして熟練していなかった」と彼女は認めている。

 

赤ちゃんの最初のハードコアバンドのようなものだった。でも今は、自分たちが何をやっているのかまだわからないけれど、自分たちが何をしたいのかよくわかるようになった。

 

ツアー経験を経て、演奏面でも洗練され、原石がダイヤモンドになりつつある。インストゥルメンタルの面では、Negative Approach、Bad Brains、Hole、Mudhoney Garbage、Ramones、Pixies、Sonic Youth、Rocket From The Cryptなどからの影響を挙げている。ベーシストのベイリー・ルポは、「新譜の曲作りは、これまでのスカウルの歴史の中で最も協力的だった。

 

みんながたくさんのアイデアを持ち寄ってくれて、それをじっくり分析することができた。私たちは皆、折衷的な嗜好、影響、個性を持っていて、このアルバムの隅々までそれを感じることができるはずだ。


「Tonight(I'm Afraind)」


カナダのパンクバンド、PUPが5thアルバム『Who Will Look After The Dogs?』のリリースを発表した。

 

PUPは、ステファン・バブコック、ネスター・チュマック、ザック・マイクラ、スティーヴ・スラドコウスキーからなる。彼らは、『The Unraveling Of PUPTHEBAND』に続く作品を5月2日にLittle Dipper / Rise Recordsからリリースする。

 

彼らはまたニューシングル『Hallways』のプレビューを行い、ステファン・バブコックがその裏話を語っている。

 

偶然にも『The Unraveling Of PUPTHEBAND』というタイトルの前作を発表した数日後、私の人生は予期せず崩壊した。

 

『Hallways』の歌詞を書いたのは、そんなことが起こっている最中だった。 奇妙な1週間だった。 『Who Will Look After The Dogs? 』というタイトルは破壊的だと思うけど、”なんてこった、これは大げさなんだ!”という感じだ。 少なくとも、その前の行の文脈から見ればね。 それが僕らにとっては面白いんだ。

 

私たちが暗いときに言う大げさな言葉も、少し冷静になれば滑稽なものになる。 それを面白ろがる人がいるかどうかはわからないんだけど、時には自分自身を笑うことも必要なんだよ。 それが奈落の底から抜け出す唯一の方法なんだ。 信じてほしい。

 

「Hallways」



PUP 『Who Will Look After The Dogs?』


Label:Little Dipper / Rise Records

Release: 2025年5月2日

1. No Hope

2. Olive Garden

3. Concrete

4. Get Dumber

5. Hunger For Death

6. Needed To Hear It

7. Paranoid

8. Falling Outta Love

9. Hallways

10. Cruel

11. Best Revenge

12. Shut 

 

 

最も冒険的でマキシマムなフルアルバム、2022年の『The Unraveling of PUPTHEBAND』のリリース後、バンドの生活は大きく変化した。ギタリストのスティーヴ・スラドコフスキーは結婚し、ベーシストのネスター・チュマックは父親としての生活に落ち着き、ドラマーのザック・マイクラはトロントの新しい場所に引っ越し、自宅スタジオを拡張することができた。他のメンバーたちが大きな決断を下し、行動を共にする中、バブコックは孤独を感じていた。彼は10年来の交際に終止符を打ち、バンドメンバーとも距離を置いたばかりだった。

 

「レコードを作っているときは仲が悪いから、引きこもりがちになるんだ」とバブコックは言う。「以前は別の人に安らぎを見出したものだが、今回は一人だった。退屈で寂しかったから、ただひたすら曲を書き始めたんだ」。以前のアルバムでは、12曲を完成させるのに2〜3年かかったが、『Who Will Look After The Dogs?』では一年で30曲をスピーディーに書き上げた。

 

作曲中、バブコックには内省する時間があり、もしかしたら成長したかもしれない。「初期の曲の多くは、自分がいかにダメな人間であるかを歌っていた。「それは今でも変わらないけど、若い頃ほど自分を嫌いになることはなかったし、周りの人たちもありのままの自分を受け入れてくれた。PUPの前作がバブコックの人生の6ヵ月を覗く窓のような役割を果たしたのに対し、このアルバムでは彼の恋愛関係、交友関係、そして若い頃から現在に至るまでの自分自身への接し方を全体的に捉えている。ある意味、このアルバムを書くことは、彼の心の成長を映し出す鏡のような役割を果たした。それは大変で、時には最悪だったが、最終的にはそれだけの価値があった。
 

彼らはアルバム全体を3週間でレコーディングした。『The Unraveling of PUPTHEBAND』を作るのにかかった時間の半分以下だ。「このアルバムのために歌詞を書き始めたとき、すべてが本当に重く感じられた」とバブコックは言う。

 

「レコーディングする頃には、暗い曲でさえ軽くて楽しいものに感じられた。このアルバムを作っている間は、喧嘩もしなかった。すべてがクソ素晴らしい感じだった」

 

 

【PUP — 2025 Tour Dates】

 
05/07/25 – Birmingham, UK @ XOYO Birmingham*&
05/08/25 – Leeds, UK @ Project House*&
05/10/25 – Manchester, UK @ O2 Ritz*&
05/11/25 – Glasgow, UK @ SWG3 (TV Studio)*&
05/12/25 – Newcastle, UK @ Newcastle University*&
05/13/25 – Bristol, UK @ Marble Factory*&
05/15/25 – Southampton, UK @ Engine Rooms*&
05/16/25 – London, UK @ O2 Forum Kentish Town*&
05/18/25 – Amsterdam, NL @ Melkweg*
05/20/25 – Cologne, DE @ Club Volta*
05/21/25 – Hamburg, DE @ Logo*
05/22/25 – Berlin, DE @ Hole44*
05/23/25 – Munich, DE @ Strom*
05/25/25 – Paris, FR @ Bellevilloise*
05/27/25 – Madrid, ES @ Sala Mon
05/28/25 – Barcelona, ES @ Upload
05/29/25 – València, ES @ Loco Club
05/30/25 – San Sebastian, ES @ Dabadaba



* support from Illuminati Hotties
& support from Goo

  Lambrini Girls 『Who Let The Dogs Out』

 

Label: City Slang

Release: 2025年1月10日


Listen/Download


Review


ブライトンのノイズパンクデュオ、ランブリーニ・ガールズのデビュー・アルバム『Whor Let The Dog Out』は年明け早々、痛撃だったと言える。デビュー・アルバムらしからぬ完成度、あるいはデビューアルバムらしい初期衝動を収めこんだ正真正銘のハードコア・パンクアルバムとなっている。ランブリーニ・ガールズこと、フィービー(ボーカル)、リリー(ベース)は、Banksyという謎めいたドラマーとレコーディングに挑んでいる。ランブリーニ・ガールズはライオット・ガールパンクの先駆者的な存在、Bikini Kllを聴いて大きな触発を受けたという。そして、彼女たちもまた次世代のライオット・ガールのアティテュードを受け継いでいるのは間違いない。

 

プレスリリースでは、すでに家父長制度や女性に対する性的搾取など、現代の社会が抱える病理のようなものに対し唾を吐きかける。吐きかけるというのは、実際的に、ランブリーニ・ガールズのボーカル(実際にはスポークンワードとスクリームによる咆哮)にはっきりと乗り移り、すさまじい嵐のようなハードコアサウンドが疾駆する。実際的には、ランブリーニガールズのパンクは、現在のポスト・パンクの影響がないとも言いがたいが、Gorlilla Biscuits、Agnostic Frontといったニューヨークのストレート・エッジがベースにありそうだ。ゴリゴリというべきか、無骨なパンクサウンドは、ベースとギターの唸るようなハイボルテージにより、地獄の底から業火が吹き上がるようなサウンドがオープナー「Bad Apples」から炸裂する。ランブリーニ・ガールズは実際的なサウンドにとどまらず、ウィットに富んだ表現を兼ね備えている。さらにタブーをタブとも思わない。続く「Company’s Culture」において悪しき企業文化(どのような国家にも存在する)をチクリとやり、オフィスで性的な視線を向ける男性社員をシニカルに描写し、アメリカンコミック的な雰囲気でやり込める。実際的に、バンドの二人はステージでセクハラを受けたこともあるというが、これらもまた人生から引き出された個性的なサウンドである。そしてヴォーカルのフレーズごとに抑揚を変化させ、怒りを巧みに表現する。



ランブリーニ・ガールズは、ウィットとユーモアも忘れていない。「Big Dick Energy」は、下卑た笑いを湧き起こすが、実際的に風刺的なシニカルさは乾いたような笑いを巻き起こす。しかしながら、両者は、パンクという枠組みの中で、空想や絵空事を描こうというのではない。実際的な恐怖や腐敗、退廃等を相手取り、それらに痛快な一撃をお見舞いする。それらはオールドスクール・ハードコアの領域に属した荒削りなパンクソングーーBad Brains、Gorlilla Biscuitsーーといった原初的なハードコアパンクのイディオムの中で繰り広げられる。そのサウンドは、Black Flagのようなカルフォルニアパンクの元祖から、ストレイトエッジの原点に迫る場合もあり、このジャンルの祖であるTeen Idlesのような衝動に任せたパンクソングが組み上がる。Bad Religionのように政治的でないがゆえ、むしろ直情的なパンクとも言える。しかし、曲の途中では、スポークンワードというよりも、ステートメントのように変わるのも面白い。フィービーはヴォーカルの性格を曲の途上でたえず変化させ、別人のように変わることもある。

 

 

パンクソングという側面から見ると、Bikini Killの系譜にある「No Homo」もかなり楽しめるはずだ。カルフォルニアパンクの文脈を受け継いだ上で、同じ海岸沿いという都市の性質を活かし、それを見事にブライトン一色に染め上げる。この曲では、彼女たちはパンクというよりも、それ以前のロックンロール性に照準を絞り、タイトなロックソングに昇華している。ギターのプレイに関しては、グレッグ・ギンの系譜にあり、スリーコード中心であるが、ザラザラとした音作り、分厚い音像を徹底的に突き出し、ライブサウンドに相応しいサウンドを創り出す。ライブアクトとして国内で旋風を巻き起こしているランブリーニガールズの象徴的なトラックと言える。中盤でも、モチベーションを保持しながら、バランスの取れたサウンドで勢いを維持している。特に、「You're Not From Around Here」はロックソングとして聴いてもかっこいいし、ライブでも映えるようなナンバーであると思う。ローファイの側面を強調した分厚いギターで始まり、ハイハットの裏拍の強調により、この曲は見事なほどまでにドライブ感を増す。さらに、それらのサウンドにフィービーのボーカルは引けを取らない迫力で聴覚を捉える。

 

全般的にはオールドスクールハードコアをベースにしたサウンドであるが、「Filthy Rich Nepo Boy」は、どちらかといえば、メタルをクロスオーバーさせたニュースクールハードコアに属する。基本的には、オールドスクールとニュースクールの相違点は、縦ノリか横ノリかという違い、もしくは観客のダンスという点でモッシュ的な動きか、腕を振り回しながら踊るという違いでしかないが、ここではカオティックハードコアの系譜を踏まえ、これらの二つの乗りを同期させ、曲の構成ごとに異なるビート感覚を組み上げる。これらはむしろ、ストップ&ゴー(ブレイクを挟んで早いテンポに変わる)が満載だったストレイトエッジのサウンドの次世代の象徴とも成りうる。表面上はストレートで直情的なようでいて、入念にサウンドが作り込まれているのに驚き。さらに不協和音を生かしたギターはグレッグ・ギンに匹敵するかっこよさ。

 

ランブリーニ・ガールズにとって「ノイズ」というのは、この世に蔓延る仕来り、倫理観、常識といった道徳とは正反対にある概念に対する違和感である。それらが内側に蓄積され、そしてそれらが長いあいだ堆積を経たのち、怒りによってメラメラと燃えあがると、表面上にハードコア・パンクという形で現出することになる。ノイズ、軋轢、退廃、アナーキズムといったパンクの原初的なイデアを濾過し、現代的な感覚に置き替えたともいえるだろう。アルバムの終盤にも興味をひかれる曲が満載となっている。「Special Different」ではランブリーニ・ガールズが他の並み居るバンドとは一線を画すことを示し、最初期のデイヴ・ムスティンのようなスラッシーでメタリックなサウンドが炸裂。この瞬間、多くの現代のパンクバンドが見失いかけていた”重力”をランブリーニ・ガールズは手中に収めることになった。これらのヘヴィネスは、アルバムの終盤でも維持され、そしてやはり十分な勢いを保ったまま突き進んでいく。「Love」はニューメタルの代名詞的なトラックで、今後のランブリーニの布石となりそうだ。デュオは、ニューメタルの止まりかけた時計の針を一秒だけすすめ、去り際に痛烈なポストメタルソングをリスナーにお見舞いする。最後はエレクトロポップな感じでサラッと終わるのも◎。

 

 

 

85/100

 


Best Track 「You're Not From Around Here」


新年の幕開けとして、ポリヴァイナルは、シカゴのインディーズシーンの重要なバンドであり、また、エモコアの源流を形作ったキャップン・ジャズのアルバム『ブリトー』、『インスピレーション・ポイント』、『フォーク・バルーン・スポーツ』、『カード・イン・ザ・スポークス』、『オートマティック・バイオグラフィー』、『カイト』、『カンフー』、『トロフィー』、『バナナの皮で滑った』、『卵の殻をつま先で踏んだ』(愛称:シュマップン・シュマッツ)の30周年記念ヴァイナル・リイシューを発表する。


この新しいプレス盤は、レコードのオリジナル・テープから制作されたリマスター・オーディオをフィーチャーし、その影響力のあるサウンドをレコードに蘇らせた。


1991年、シカゴ郊外に住む4人の子供たち、ティム&マイク・キンセラ兄弟、ヴィクター・ヴィラレアル、サム・ズリックがキャップン・ジャズを結成した。その3年後、デイヴィ・フォン・ボーレンの助けを借りて、エモ・カルテットは唯一のフル・アルバムをレコーディングした後、解散した。


昨年ラスベガスで開催されたベスト・フレンズ・フォーエヴァー・フェスティバルでの砂漠での記念すべき再結成に続き、バンドは今年プリマベーラ・サウンド・バルセロナとポルトのステージに戻ってくる予定だ。


元々Man With GunレーベルからリリースされたShmap'n Shmazzは、バンド解散後すぐに廃盤となり、最終的に1998年にJade Tree RecordsからリリースされたAnalphabetapolothologyコンピレーションに収録された。


オープニング・トラックの「Little League」で聴ける比類なき激しさと、エキセントリックで詩的な歌詞が相まって、この象徴的なアルバムはリリース以来、数え切れないほどのアーティストに影響を与えてきた。ピッチフォークはこのアルバムを「中西部エモの試金石」と呼び、ヴァルチャーは「史上最も偉大なエモ100曲」の第3位に「リトル・リーグ」を選んだ。ミュージシャンのデヴェンドラ・バンハートは、2017年のジョーン・オブ・アークのドキュメンタリーでバンドへの愛を表明し、ティムの力強く印象的なヴォーカルを 「動物園にクアールードを飲みに行くが、他の動物はみんなスピードに乗っている 」ようだと表現した。


バンドの影響力のある遺産に加え、キャップンジャズは、アメリカン・フットボール、オーウェン、バースマーク、ジョーン・オブ・アーク、オウルズ、プロミス・リング、メイク・ビリーヴ、ゴースト・アンド・ウォッカなど、オリジナル・メンバーを擁する他の著名なバンドの結成のきっかけとなった。


昨年、キャップンジャズは、キンセラ兄弟を交えてシカゴでライブ活動を始めており、ヨーロッパツアーを計画している。2025年に本格的な活動を開始すると言う話も。いずれにしても続報に期待したい。



Cap N' Jazz   「Shmap'n Shmazz」(Burritos, Inspiration Point, Fork Balloon Sports, Cards in the Spokes, Automatic Biographies, Kites, Kung Fu, Trophies, Banana Peels We’ve Slipped on, and Egg Shells We’ve Tippy Toed Over)



Tracklist


1. Little League

2. Oh Messy Life

3. Puddle Splashers

4. Flashpoint: Catheter

5. In The Clear

6. Yes, I am Talking to You

7. Basil's Knife

8. Bluegrassish

9. Planet Shhh

10. Precious

11. ¡Qué Suerté!