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Maria Somerville

アイルランド出身の謎めいたミュージシャン、Maria Somerville(マリア・サマーヴィル: NTS Radioのレギュラー・ホスト)が、3年ぶりとなるニュー・シングル「Projections」をリリースした。


この切なくロマンチックなシューゲイザー、ドリームポップトラックは、ファズアウトしたベースとかき鳴らされるギターによって憧れに浸され、サマーヴィルの催眠術のような静謐なヴォーカルに支えられている。この別世界のような、うねるようなシングルは、彼女が2019年に自主リリースしたデビューアルバム『All My People』からの顕著な進歩である。



本日リリースされた「Projections」には、サマーヴィル、マイケル・スピアーズ、ロイシン・バークレーによるヴィジュアルが添えられている。


マリア・サマーヴィルは2つの単発ライブも発表した。2019年以来のヘッドライン公演となる彼女は、11月にダブリン(ワークマンズ、11月19日)とロンドン(チャッツ・パレス、11月27日)で公演する。



「Projections」

【Weekly Music Feature】 belong

Belong

  ルイジアナ州ニューオーリンズの濃密な暑さの中で生まれたBelongは、ターク・ディートリッヒとマイケル・ジョーンズの共同プロジェクト。デビュー・アルバム『October Language』は、伝統的な曲の構造を超えて、メロディーの形象が曖昧になり、テクスチャーが華麗に音の海に彫刻される場所へと向かう。


Belongは2002年にニューオーリンズのウェストバンクで活動を開始したが、October Languageが制作されたのは2004年のことだった。このアルバムは、ディートリッヒの寝室で組み立てられ、分解された。しかし、曲のインスピレーションは壁をはるかに越えている。このアルバムには、彼らの故郷であるニューオーリンズが凝縮されており、陽光と色彩に包まれながらも、汗と腐敗と豊かな悲しみが漂う。アルバムは、摩耗し、朽ち果て、破壊されたものの美しさを表現しようとするものであり、地鳴りのような音の可能性の広大さと人間の条件の希望に満ちた研究でもある。


ターク・ディートリッヒは以前、テレフォン・テルアビブのジョシュア・ユースティスとベネリ名義でコラボレートしており、ナイン・インチ・ネイルズの「The Frail (version)」のリミックスは、高く評価されたNINのEP『Things Falling Apart』に収録されている。ユースティスは、アルバムのタイトル・トラックでスライド・ギターを弾いているほか、『October Language』の制作にも少し参加している。


ベロングことマイケル・ジョーンズとターク・ディートリッヒのデュオによる3作目のフルアルバム『Realistic IX』は、彼らの特徴であるアシッドに洗脳されたソングクラフトの拡張及び発掘でもある。抽象的なギター、メトロノミックな靄と催眠の移り変わるグラデーションの中で、メロディーは表層近くまで押し寄せてくる。メロディーは水面近くまで押し寄せ、形を変えてからフィードバックの流れの中に沈んでいく。他の場所では、要素は濁りと微小音の黄昏へと消え去り、電気は無限の夜へと解き放たれる。


クランキーからリリースした前作『コモン・エラ』から13年が経過しているが、このデュオの稀有な相乗効果はその間にまったく衰えていない。ジョーンズとディートリッヒのモーターリック・ドローンとリミナル・エモーションの斜に構えた状態へのこだわりは、進化を続け、ますます触覚的で非現実的な、魔女の時間に曇った窓から垣間見える魅惑的な輝きを放ち続けている。



『Realistic IX』/ kranky

 

  アンダーグラウンド・ミュージックのファンにとって、ロンドンのWarp、そして、シカゴのkrankyは、二つとも度外視することが出来ないレーベルである。アンダーグラウンド・ミュージックのメッカであり、作品の売上は別としても、90年代から新しい音楽を率先して紹介してきた。

 

現在のストリーミング世代において、アンダーグラウンド・ミュージックの役割というのは何なのだろうか。少なくとも、レコードマニアのような嗜好性により地下音楽を蒐集する意義は、2000年頃よりも薄れていることは事実である。なぜなら、現在はいかなるアンダーグラウンドミュージックも、デジタル・プラットフォームで簡単に試聴することができるからである。

 

少なくとも、レコードマニアとして言及するなら、こういったアルバムは十数年前くらいには、ショップで入手することはおろか、試聴することさえ出来なかった。そこで活躍したのが、MP3等を紹介するサイトや、それらの音源を配布するアンダーグラウンドのサイトであった。これらのサイトの多くは、ブログ形式で運営され、地下音楽の紹介という重要な意義や役割を担っていた。つまり、それが2000年代の著名なブロクメディアの台頭した理由であった。結局のところ、デジタルプラットフォームとストリーミングサービスの普及は、「音源としての希少性」という最後の牙城を曲りなりとも壊し、商業性をも破壊した。音楽ファンとしては喜ばしい反面、複雑な心境を覚えることがある。これらのサイトの多くは、逆に商業音楽を宣伝することにより、生き残ったという印象もあるが、結局、アンダーグラウンドミュージックを紹介する意義は、依然よりも希薄になっていることは事実かもしれない。そんなことを昨日、主要なサイトのウェブアーカイブの変遷を確認しながら、考えるところがあった。

 

一般的なリスナーとしてのアンダーグラウンド・ミュージックの希少性が2000年代頃よりも薄れてしまった、という点を踏まえて、今後、これらの音楽はどのように聴かれるべきなのだろうか。もしくは、どのように紹介されるべきか?  結論を出すのは早計となるだろうが、少なくとも、「商業主義の音楽とは別の基軸を持つ音楽が併存する」という事実を示さねばならない。音楽は、その固有性、多様性、特殊性が存在する余地が残されているからこそ、長い時代「文化」や「リベラルアーツ」として親しまれてきた。要するに、単一の形式にとどまらず、亜流(オルタネイティヴ)が存在するからこそ、長く生きながらえてきたのである。もし、商業主義しか、この世に音楽が存在しないとなると、それはすでに多くの多様性が失われていることの証左となる。つまり、それ以降、音楽という分野そのものが衰退していくことが予測される。この難しい局面に対抗するべく、アンダーグラウンド・ミュージックが存在している。そして間違いなく、未来の商業音楽の流行は、アンダーグラウンド・ミュージックが支えている。そして、前にも述べたように、メインストリームとアンダーグラウンドの持つ役割はそれぞれ異なる。さらに、一方の役割を拒否するとなると、もう一方が滅びゆく運命にあるのである。

 

belongに関しては、昨日まで名前すら知らなかったが、伝説的なシューゲイズプロジェクトと見ても違和感がないようだ。そして、このシューゲイズというジャンルはこれまで、オルタナティヴロックの系譜にある音楽と見なされることもあったが、ニューオリンズの二人組の音楽を聴くと、どうやらそんな単純なものではないということが判明したのである。例えば、MBVのギタリストであるケヴィン・シールズは、シューゲイズというジャンルに関して、それほど快く思っていないらしく、忌避することもある、という話を仄聞したことがある。おそらく、それは「ギターロックの系譜にある音楽」と看過されることを嫌がっているからではないだろうか。


ただ、ブリットポップのような水かけ論となるが、シューゲイズというジャンルが存在しないか、もしくは商業的なキャッチフレーズに過ぎないかといえば、それも考え違いである。そもそも、シューゲイズというジャンルは、Jesus & Mary Chainの音楽性とMBVの音楽性を比較対象として比べて見ると分かる通り、80年代後半のスコットランド/アイルランドのネオ・アコースティックやギター・ポップ、ロンドンのゴシック・パンク、さらには80年代のマンチェスターのアンダーグラウンドのクラブ・ミュージックが複合的に掛け合わされて生み出され出来上がった。さらに言及すると、マンチェスターのサイケデリックなエレクトロの要素が色濃い。

 

つまり、シューゲイザーは、クラブ・ハシエンダ(Factory Records)のベースメントのクラブミュージックがハードロックとして再構成されたと見るべきなのだ。つまり、クラブミュージック色が薄いシューゲイズは、このジャンルから少し逸れた音楽であると指摘できるのである。

 

 

 

ルイジアナのBelongは、13年ぶりの復帰作「Realistic IX」において、アンダーグラウンドミュージックの隠れた魅力を掘り起こしている。すでにヒップホップのミックステープや、オルタネイトなロックバンドのローファイなテープ音楽のような作品は、年々探すのが難しくなっているが、「Realistic IX」は、そういった失われつつあるカルチャー性を見事に復刻させる。そして、このアルバムを聴くと、シューゲイザーは音楽性に磨きを掛けていくと、最終的にはアシッド・ハウスやノイズに近いアヴァンギャルド・ミュージックに変化することが分かる。このアルバムに、ポピュラー性とか聴きやすさといった商業性を求めることは穏当ではないだろう。アルバムの全編には、アシッド・ハウスのビートが駆け抜け、そして、苛烈なギターノイズが無尽蔵に暴れまくる。しかし、MBVのような蠱惑的な陶酔感を呼び起こすのである。

 

このアルバムではもうひとつ、シューゲイザーの要素と合わせて、ニューヨークの原始的なプロトパンクからの影響が含まれている。冒頭を飾る「1- Realistic」は、シューゲイザーのお馴染みのフィードバックノイズを生かしたギターで始まり、中性的なボーカルサンプリングで色付けをしている。アナログシンセ/サンプラーのレトロなマシンビートが、背景の4つ打ちのビートを形成している。これらの反復的な楽曲構成が、80年代のエレクトロに象徴されるようなサイケなクラブミュージック、アシッド・ハウスのエグみのある性質を生み出す。ギターサウンドには最初期のSonic Youth(サーストン・ムーア)からの影響もあり、前衛的な響きを帯びている。

 

「2- Difficult Boy」では同じようにフィードバック・ノイズを発生させ、うねるようなグルーヴを作り出した上で、一曲目と同じように、中性的なボーカルのサンプリングを導入し、甘美な感覚をもたらす。これらは、ギターロックによって構成されたアシッド・ハウスとも呼ぶべきだ。

 

一つのフレーズを元にし、ギターのピックアップから発生するトーンの変容を発生させ、ロックによるドローン・ミュージックを構築していく。ギターの音色に関しても、相当なこだわりを感じさせ、Stiff Little Fingers-「Suspect Device」、Swell Maps-「International Resque」の系譜にある、ザラザラとして乾いたファズ/ディストーションのプリミティヴなギターの質感を重視している。つまり、1970年代の最初期のガレージ・ロックのように、ストレートでリアルなギターサウンドが、フィードバックノイズによりシューゲイズ風の音作りへと組み替えられている。

 

「3- Crucial Years」は、ノイズ/クラブ・ミュージックとして聴くと圧倒される。ギターのフィードバックとアナログシンセで発生させたグリッチ音をビートに見立て、原始的なデトロイトのハウスや以後のアシッド・ハウスの魅力を再訪している。これらは、現在のクラブ・ミュージックから見ると、サンプリングで済ませてしまう要素を、実験音楽としてゼロから組み上げている。実際的に、これらのDIY的な試みは、この音楽にリアリティをもたらしている。荒削りなノイズは、最終的に、アシッド的な陶酔感をもたらす。そして、とっつきやすいわけでもないのに、何度も聞き返したくなるような得難い中毒性がある。これぞ実験音楽の醍醐味である。

 

「Souvenir」

 

 

中盤に収録されている「4- Souvenir」「5 - Image of Love」では、オールドスクールのシューゲイザーに回帰している。

 

ただ、belongが志向するのは、ケヴィン・シールズの作り出した中毒性のあるギターサウンドの再現にある。打ち込みで録音したマシンビートのシンプルさと、ギターのフィードバックノイズから発生する倍音を組み合わせ、独特なグルーヴを抽出している。これらは、バンドの演奏では「ノリ」とか言われるものを、たった二つの楽器により生み出しているのが凄い。もちろん、既視感のあるスタイルだが、これらが模倣の域を出ないというわけでもない。サイケデリックなエレクトロニクス、旋律的な側面での融合を起点にして、耽美的な感覚を生み出したMy Bloody Valentineに比べると、この曲では、プリミティヴなガレージロックの性質が強調されている。これはシューゲイズというジャンルに内包される「パンクの要素」を浮かび上がらせる。

 

MBVのシューゲイザーの本質には何があるのかといえば、それは名ギタリスト、ケヴィン・シールズの編み出した革新性である。端的に言うと、「ギターをシンセサイザーとして解釈する」ということにあった。つまり、彼はギターという楽器の未知の可能性に挑戦し、轟音のフィードバックノイズを活かしたトーンの変容に焦点を当てた。これらは、実際にはコードを大きく変更していないにも関わらず、アナログ機材の効果の信号の発生のエラーや、音がピックアップ内のコイルで増幅される過程において倍音を発生させ、最終的には、クラブミュージックのエレクトロのような重層的な音の広がり、同時に、トーンの複合的で色彩的な揺らめきを作り、それがシューゲイザーというジャンルの核心にある陶酔的と呼ばれる印象を生み出した。belongは、この点を体感的に知り尽くしているらしく、エレクトロニックの観点から、この音楽を再検討している。これはまた最も濃密で最もコアなシューゲイズへの旅を意味するのだ。



現在のエレクトロニックは、プラグインやソフトウェアが豊富であり、次から次へと新しい製品が発売される。ミュージシャンも、つい手早く便利な機材を使用しがちと思われるが、しかし彼らは、おそらくアナログの配線を組み、オシレーターを用い、電気信号によるビートを発生させるという、電子工学の基礎に回帰している。つまり、Aphex Twinもかつて大学で電子工学を専攻していて、また、一からプログラミングを組んでいたという話は一般的によく知られている。元々、このエレクロニックというジャンルは、Caribou(ダン・スナイス)を見ても分かる通り、理系の分野を得意とする音楽家が率先して取り組むべきジャンルで、そして、そこには、機械工学及び建築学の設計や図面の要素が入り込む。いや、入り込まざるを得ないのだ。

 

 

さらに、belongの音楽的な構築はかなりアナログであるため、時代錯誤の印象を覚えるかもれない。しかし、他方、そこには、リアルな音楽としての魅力や、エレクトロニックの本質的な醍醐味が宿っている。「Bleach」は、グランジ、カレッジロックどころか、それよりもさらに古い時代に遡り、アラン・ヴェガ擁するSuicide、Silver Applesを始めとするニューヨークのアンダーグラウンドミュージックの要素を受け継ぎ、それらを苛烈なノイズミュージックで縁取っている。

 

続く「7- Jealousy」では、『Loveless』の方法論を引き継いでいるが、しかし、もう一つの重要な要素である感覚的なシューゲイズ、内的な感情を表現するためのギターサウンドに焦点が絞られている。 そして、ここではケヴィン・シールズのボーカルのサンプリング的な側面を受け継ぎ、それを忠実に再現している。この曲に関してはマイブラの復刻という意図も感じさせる。

 

英国のレーベル”Creation”は、My Bloody Valentineの「Loveless」の制作後、巨額の費用を掛けすぎたため、レコード会社として資金繰りが立ち行かなくなり、破産申請をすることに。後にレーベルはラフ・トレードと同じように買収されることになった。しかし、それほどまでに、このアルバムが、時代を変えるような作品になるとレーベル側は見込んでいたという話である。

 

一瞬にしてミュージック・シーンを塗り変えてしまうような作品はいつ出てくるのか?? 後の爆発的なヒットを考えると、運に恵まれなかったが、「Loveless」はブリットポップの最盛期において、時代の先を行きすぎた作品だった。そして、シューゲイザーの次世代のバンドやアーティストが活躍しているが、まだまだこのジャンルは、世界的に見ても、生き残る可能性が高いのではないか。そのことを象徴付けるかのように、アルバムのクローズ曲「8- AM/ PM」では、画期的なシューゲイズを制作している。この曲では、やはり「アシッド・ハウスとしてのシューゲイズ」の性質を強調し、アンダーグラウンドなクラブミュージックに昇華させている。

 

 

「AM/ PM」- Best Track

 

 

84/100

 

 

belongのニューアルバム「Realistic Ⅸ」はkrankyから本日発売。アルバムのストリーミングはこちら

 

 

Details:


1.「Realistic」: C+

2.「Difficult Boy」: B+

3.「Crucial Years」:A-

4.「Souvenir」: B +

5.「Image of Love」: A-

6.「Bleach」: A-

7.「Jealousy」:B-

8.「AM/ PM」:S (A+)- Best Track

 

  Whitelands ©︎ Courtesy of The Artist


「I tend to find things that relate to my own emotions and have them as an influence」- 私は曲を制作するとき、自分自身の感情に関連するものを見つけて影響を受ける傾向がある。(Whitelands-Etienne)


ロンドンの四人組シューゲイザーバンド、Whitelandsはギターロックファンとしては注目しておきたいバンドである。エティエンヌ、ミカエル、ジャグン、そしてヴァネッサというラインナップで構成されている。バンドはボーカルのエティエンヌを中心に、英国のローハンプトン大学に在学中にキャリアを歩み始めた。当初、友達の誕生日にアコースティックセットを披露していたという。

 

今年始め、バンドは新作アルバム『Night- Bound Eyes Are Blind To The Day』をSonic Catherdalからリリースした。このアルバムは日本のシューゲイザーファンからも支持を獲得した。

 

今回、バンドのボーカリスト、またフロントマンでもあるエティエンヌに、最新アルバムについて、どのような音楽やカルチャーに影響を受けているのか、今後の展望について簡単に答えてもらうことが出来た。また、エティエンヌは、「日本にもシューゲイザーファンがいると聞いて嬉しい。日本語を勉強中」と教えてくれた。

 

2024年に入り、Whitelandsの快進撃はとどまることを知らない。Rough Tradeのイベントに出演したほか、8月上旬にはソニック・カテドラルが主催するイベントで、Slowdiveと共演を果たす。



--バンドはイギリスの大学で結成されたと聞きましたが、結成秘話みたいなものはありますか?

 

Whitelands- Etienne(エティエンヌ):  バンド名のWhitelandsは、私が在籍していたローハンプトン大学(ホワイトランズ・キャンパス)から取ったんだけど、実は大学にはあんまり行ってなかったんだ! よく友達の誕生日にアコースティック・セットをやっていて、それがバンドの始まりだろうね。


 ーーニューアルバムのタイトル 「Night-Bound Eyes Are Blind To The Day 」の由来を教えてください。


Etienne(エティエンヌ):  このアルバムのタイトルは、『預言者』という本の中に出てくる「夜に縛られた目が昼に見えないフクロウは、光の神秘を解き明かすことができない」という言葉から来ているんだ。アルバムのテーマと共鳴する、とてもかわいらしい言葉だと思っているよ。

 

ーー最新アルバムのレコーディングで印象に残ったことはありますか?



Etienne(エティエンヌ): 具体的には思い出せないんだけど、アルバムが完成したときの達成感かなあ。超集中していました!!



ーー日頃、どんな音楽を聴いている?



Etienne(エティエンヌ):  他の人たちのことはよくわからないけど、マイケルはジャングル、ドラムンベース、エイフェックス・ツイン、シューゲイザーのようなエレクトロニックなものをよく聴いているよ。ヴァネッサはメタルとパンクが好きなんだ。

 

ジャグンは、パラモア、ポップス、ヒップホップ、ラップをよく聴く。僕(エティエンヌ)もネオソウル、シューゲイザー系をよく聴くし、AKGは僕のプレイリストにちょっと増えてきているよ。



--音楽以外で影響を受けた文化やメディアを挙げるとしたら?


Etienne(エティエンヌ):  そうだね。面白いことに、アニメ、映画、本が多いかな。アニメは大きな存在だと思うよ。

 

なぜなら、実は、僕自身はアニメのオープニングがきっかけでロックに目覚めたから。思い返すと、Akgの「ハルカカナタ」と「アフターダーク」が最初に聴いた曲だったと思う。ジャグンとマイケルもアニメはよく見てると思う。僕とマイケルは「serial experiments lain」とか「welcome to nhk」みたいなニッチなものが好きなんだ。


僕は今までたくさんのアニメを見てきたから、特に2010年代のガレージ・サウンドに大きな影響を受けたのは間違いないよ。アルバムのレコーディングの頃、「エヴァンゲリオン」を見ていて、シンジにとても共感したんだ。映画も確かに大きな存在だよ。


「tell me about it」では、ウォン・カーウァイ(香港の映画監督)の「fallen angels」がパラレルになっている。私は、曲を制作するとき、自分自身の感情に関連するものを見つけて影響を受ける傾向がある。実はそれは、碇シンジのことでもあり、私のことでもあります。




ーーエヴァンゲリオンの碇シンジに共感しているということですが、どのような点で親近感を感じますか?


 

Etienne(エティエンヌ):  私は人とのつながりに苦労している部分があるので、そういう意味では似ていると思うよ!



ーー音楽制作やライブパフォーマンスを通して、ファンに何を伝えたいですか?



Etienne(エティエンヌ):  シューゲイザーは誰にでも演奏できるし、表現しがたい感情を持つこともできる! みなさんもぜひバンドを作ってください!!

 


ーー将来どんなバンドになりたい?



Etienne(エティエンヌ):  武道館をソールドアウトさせるようなバンドかな。でも、きっと多くのバンドがそう言うんだろうね...。

 


「Tell Me About It」- 『Night- Bound Eyes Are Blind To The Day』


London four-piece shoegaze band Whitelands are a band to watch out for as guitar rock fans. The line-up consists of Etienne, Michael, Jagun and Vanessa. The band, led by vocalist Etienne, began their career while studying at Roehampton University in the UK. Initially, they performed acoustic sets at friends' birthdays.


Earlier this year, the band released their new album ”Night- Bound Eyes Are Blind To The Day” on Sonic Catherdal. The album gained support from shoegaze fans in Japan.
 
We were able to ask Etienne, the band's vocalist and frontman, to briefly answer some questions about their new album, what kind of music and culture influences them and their future plans. Etienne also says: ‘I'm happy to hear that there are shoegaze fans in Japan. I'm studying Japanese’.
 
Entering 2024, Whitelands' rapid rise continues: in addition to appearing at Rough Trade events, they will perform with Slowdive at an event organised by Sonic Cathedral in early August.

 

--...I heard that the band was formed at a university in the UK, do you have any sort of secret story behind the formation of the band?

Whitelands(Etienne):  The band name came from Roehampton university where I had a performance, but I wasn’t actually going to the university! I was doing an acoustic set for my friend’s birthday, and it just happened to be there!

 

--Please tell us Origin of the title of the new album “Night-Bound Eyes Are Blind To The Day" .


Whitelands:  The title of the album came from a quote in the book The Prophet “The owl whose night-bound eyes are blind unto the day cannot unveil the mystery of light”. It is a very pretty quote that resonated with the themes in the album.


--Were there any memorable moments during the recording of the latest album?



Whitelands:  I cannot remember anything specifically, I think that feeling of having it finished hit us afterwards. We were super focused!



--What kind of music do you guys listen to on a daily basis?


Whitelands:  I’m not too sure about the others but Michael listens to a lot of jungle, drum and bass, Aphex Twin, very electronic stuff with some shoegaze. Vanessa loves metal and punk.

Jagun listens to a lot of paramore, poppy-stuff, hip-hop and rap. I (Etienne) listen to a lot of neo-soul, shoegaze stuff too, AKG has been coming up a bit more in my playlists and some number girl.



--If you had to name a culture or medium that has influenced you besides music, what would it be? 



Whitelands:  Funnily enough, lots of Anime, Films and Books. I think anime is a big one because it was my first introduction to Rock music because of the openings, when I think back I think 「Haruka Kanata」and 「After Dark」 by Akg were the first songs I heard.

I think Jagun and Micheal watch a lot of anime too, Jagun more than Michael, but me and Michael like the niche stuff like 「serial experiments lain」 or 「welcome to nhk」.

I have watched a lot of anime in my lifetime so it definitely did have a big influence especially that garage sound of the 2010s. I was also watching evangelion around the time of the album recording and related a lot to Shinji and he was the parallel for the song “chosen light”.

Films are definitely a big one, with “tell me about it” having “fallen angels” by wong kar wai as the parallel. I tend to find things that relate to my own emotions and have them as an influence when writing songs, so it can both be about shinji ikari and also about me.

 

--You say you identify with Shinji Ikari of  Evangelion, in what ways do you find a affinity with him?

 

Whitelands: I think I struggle a lot with human connection, so I think in that way, i am a lot like him, although his situation is probably a lot tougher than mine!

 

--What do you want to communicate to your fans through your music production and live performances?


Whitelands:  Anyone can play shoegaze, anyone can have emotions that are hard to describe, nothing can stop you! Make a band!


--What kind of band do you want to be in the future?


Whitelands:  The type of band that sells out the Budokan, but I bet a lot of bands say that….

Softcult  『Heaven』 

 

 

Label: Easy Life Recordings

Release; 2024/05/24



Review

 

カナダの双子のシューゲイザーデュオ、ソフトカルトは、基本的にデビュー当時からシングルを中心に発表してきた。デュオの編成とは思えないほどの重厚なギターサウンドがプロジェクトの特徴となっている。


シューゲイザーというのは、My Bloody Valentineのケヴィン・シールズが述べているように、独立した音楽のジャンルを意味するのではなく、轟音のフィードバックノイズから発生するギターサウンドの抽象的な響きを示唆する。つまり、これは、ギターサウンドの特徴を音楽評論の側面から定義付けたものに過ぎない。


ソフトカルトのギターにはサウンドデザインのような要素が含まれており、また、苛烈なディストーション/ファズ・ギターからもたらされる音像に関しては、ドゥームメタルやアンビエントに近似するものがある。


ただ、デュオが''Riot Shoegaze''というジャンルを掲げて活動していることからも分かる通り、ソフトカルトの音楽性の中に、パンキッシュな性質が含まれていることは、ファンであればご承知のことと思われる。それらがアブストラクト、要するに抽象的なポップサウンドという形で最終的にアウトプットされる。パンクの影響下にあるシンプルなボーカルのフレーズは、近年、日本公演を行っていることからも分かる通り、実は大型のライブスポット向けの音楽でもある。


デュオの音楽には明確にフィードバックノイズを多用したシューゲイズのサウンドがある。それは90年代のMBV、RIDE、Slowdiveの次のポスト世代の音楽性の範疇にある。


例えば、Amusement Parks On Fire、Radio Dept.もしくはDIIVの最初期のようなポスト世代のシューゲイズサウンド。それに加えてソフトカルトのボーカルの最大の特徴は、Mewのような北欧のエレクトロポップの影響を受けた甘美的な雰囲気にある。ソフトカルトの音楽の魅力は厳密に言えば、スケールの進行やボーカルの旋律進行の巧みさにあるのではなく、ノイズアンビエントのような抽象性にあるというわけなのだ。


オープナーを飾る「Haunt You Still」は、Amusement Parks On Fireの「In Flight」のようなサウンドを彷彿とさせる。ドリーム・ポップの甘美的な雰囲気はコクトー・ツインズを彷彿とさせることもある。


「One Of The Pack」は姉妹が掲げるライオット・ガールという考えが上手く体現されており、ライブなどではかなりスリリングな熱狂を呼び起こしそう。 しかし、一方でそういった清冽なイメージは、ライトなポップネスやEvanescenesのようなニューメタルの後追いのようなサウンドに至ると、とたんに鮮烈なイメージが薄れて、旧態依然としたサウンドの中に絡め取られてしまう。プレスリリース等で、ラディカルな政治的な発言、政治信条、クイア・コミュニティに関するステートメントを率先して発信してきたソフトカルトだが、意外にも音楽的な側面では”保守的なバンド”に位置づけられる。

 

ただ、意外にも、実質的なデビューEPの最大の魅力は、シューゲイズとは異なる箇所に表れている。例えば、「Spiralling Out」のフェーザーをかけたグランジ風のギターは現在のオルタナティヴロックの中ではかなり良い線を行っていると思うし、それらがデュオの持つ独特な清涼感のあるボーカルのコーラスと溶け合った時、ようやくこのデュオが双子であったことを思い出させる。


そして、続く「9 Circle」では、Sigur Rosのようなポストロック/音響派の影響を感じさせるイントロに続いて、シャリッとしたギターが入ってくる瞬間はクールな雰囲気がある。その後のミステリアスな音楽的な効果、そして、サイレンスからラウドへとダイナミックに移り変わる瞬間も、ソフトカルトの抜群のセンスが滲み出ていると言える。しかし、これらのサウンドは、インクを水で薄めたような印象があり、オルタナティヴの核心にはいまだ至っていない。これはもしかすると、デュオという編成の弱点を埋めようとして重厚なサウンドを作り込んだ結果、落とし穴に入り込んだようにも感じられる。最近では、チープな音楽性を生かしたポストパンクバンドもそれなりに出てきているので、少し工夫すべき点が残されているかも知れない。


そんな中でも良質なメロディーを追求しようとする姿勢が、続く「Shortest Fuse」で花開いている。デュオの作り出すボーカルのハーモニーの美しさはメタルと結びついて、他のどのバンドにも求めがたいスペシャリティーに変容している。それらが少しゴシックの影響を受けたシューゲイズサウンドとして昇華される。特異なのは暗鬱なイメージから切ない情感が引き出されることである。


EPのタイトル曲「Heaven」は、デュオの描くユートピアのイメージが体現される。この曲にもデュオの抜群のメロディーセンスが繊細なハーモニーを生み出す。ダークアンビエント、ニューメタル、ポストロック/音響派、エモ、ドリームポップというように、複合的な要素を織り交ぜ、甘美的な音楽とは何かを示している。次作にも期待してます!!

 

 

 

74/100

 

 

 

Best Track- 「Shortest Fuse」 

 


『A Far From Home Movie』は、1990年代のシューゲイザー・アイコン、LUSHの新しい短編ドキュメンタリー映画で、1992年から1996年のツアー中にベーシストのフィリップ・キングが撮影したスーパー8の映像が元になっている。

 

この映画は本日、クライテリオン・チャンネルで初公開された。以下は、バンドのレーベル、4ADが公開した予告編(トレイラー映像)である。35分に及ぶ映画全編はクライテリオン・チャンネルで視聴可能です。


この映画の限定版ポスター2種も公開された。リゾグラフ印刷のA3限定ポスターで、1枚は上、もう1枚は下。4ADから予約注文できる。


キングはプレスリリースで次のように語っている。 「1996年10月にドラマーのクリス・アクランドが悲劇的な早すぎる死を遂げるまで、さらに320回ほどプレイすることになる。私は信頼できる三共のスーパー8カメラをツアーによく持って行ったが、フィルム代が高かったので、映像は控えめに撮るようにしていた。このフィルムがツアー中の興奮(と退屈さ)をとらえていてくれることを願っている。

 

「そして、悲しいことだが、振り返ってみると、私たち全員がクリスを惜しんでいたことにふさわしい追悼となることを願っている」


昨年、4ADはLushの3枚のスタジオ・アルバム、Spooky (1992)、Split (1994)、Lovelife (1996)をリイシューした。


1月には、LUSHのシンガー/ギタリストであり、現在はピロシカのメンバーでもあるミキ・ベレニイが、5月と7月にLUSHのアルバムをリリースすることを発表した。

 

Official Trailerー『A Far From Home Movie』


Flyer


 

©Pat Piasecki

 

日本人ギタリスト、安江さんを擁するデトロイトのシューゲイザーバンド、ドロップ・ナインティーンズ(Drop Nineteens)は、デビューアルバム『Delaware』の再発リリースを発表した。このアルバムは6月21日にWharf Catからリリースされる。バンドは2曲の新曲「Nest」とラナ・デル・レイ(Lana Del Rey)の「White Dress」のカバーを公開した。試聴は以下から。


「バンドリーダーのグレッグ・アッケルは声明の中で、「私はラナに遅れをとったんだ。それでも、この曲は僕の心を掴んで離さなかったから、バンドに持ち込むことに決めた。ラナ・デル・レイの'White Dress'をカヴァーしようと提案した時、バンドは少し横目で僕を見たんだけど、僕が考えていたことを一緒にやり始めた瞬間、彼らはこの曲にロックオンしてくれたんだよ」


『Nest』については、次の通りである。「『Nest』はもともと、最新アルバム『Hard Light』のオープニングかエンディングを飾るつもりだった。より良いオープニングとクローザーがあることに気づいたとき、アルバムに収めるのに最適な場所が見つからなかったんだ。この曲は、『White Dress』のB面として適切なクローズだよ。なぜなら、この曲はドロップ・ナインティーンズがしばらくの間、いや、おそらくこれまでリリースする最後の曲なのだからね」


バンドは再発のため、アルバムのカバー・アートも変更し、少女が手に持っている銃を花に置き換えた。

 

「これは自己キャンセルのためというよりも、今日の情勢において、銃を手にした若者のイメージを世に出すわけにはいかなかったというのが理由なんだ。公正を期しておくと、1992年のリリース当時でさえ、このコンセプトは誇張されすぎていたかもしれない。私たちは、この新しいジャケット・デザインをものすごく気に入っている。このデラウェアの再発盤の売り上げの一部を慈善団体、Artist For Action To Prevent Gun Violenceに寄付できることを誇りに思っています」


昨年、ドロップ・ナインティーンズ(Drop Nineteens)はカムバック・アルバム『Hard Light』をリリースした。

 

 

 





Drop Nineteens 『Delaware』 ーReissue



Label:  Wharf Cat

Release: 2024/06/21

 

Tracklist:


1. Delaware

2. Ease It Halen

3. Winona

4. Kick the Tragedy

5. Baby Wonder’s Gone

6. Happen

7. Reberrymemberer

8. Angel

9. My Aquarium

10. (Plus Fish Dream)


 


カナダのシューゲイザーデュオ、Softcultが新作EP『Heaven』の詳細を発表した。この発表に伴い、彼らは新曲「Spiralling Out」とビデオを公開した。

 

「この曲は、ある状況を何度も何度も反芻してしまう時のことを書いた。そのスパイラルから抜け出すには、いくらセルフトークをしても無駄だと感じることがある。すべてがコントロール不能で、世界がカーニバルの乗り物のようにぐるぐる回っているように感じる」


ビデオについて、ソフトカルトのメルセデスは「モーションはミュージック・ビデオの大きな要素でした。不安なスパイラルに引き込まれていく感覚を呼び起こしたかった。世界が自分の周りで制御不能に回転している感覚を再現したかった」と説明している。


"スパイラル・アウト "は、資本主義に対する批評である "Shortest Fuse"、デュオが過去の人間関係で受けた影響の余韻を解き明かした "Haunt You Still"、そしてEPのタイトル・トラックである "Heaven "に続く、4曲目のトラックである。


EP全体について、バンドは次のように語っている。「このEPには根底にあるテーマがある。私たちは、私たちの社会の中の矛盾や、理想的な世界がどのようなものなのか、そして私たちがその現実にどれだけ近づいているのか、あるいは遠ざかっているのかについて書きたかったのです。そもそも「天国」とは何なのか?それはおそらく、誰に尋ねるかによる...。天国はご褒美?この惑星で生きている間、カードを正しく使い、決められたルールのリストに従って生きていれば、いずれは行ける場所なのか?そのルールは誰が決めたのか?そのルールは私たちにどのような影響を与えるのか?」


「もしかしたら天国は、気まぐれに入る価値があると判断された人々のためのユートピア的な目的地ではないのかもしれない。もしかしたら、現在この地球上で生きている私たちの人生は、私たちがその存在を知ることのできない死後の世界を保証する、つまらないテスト以上のものなのかもしれない」


「私たちの人生の総和は、私たちが残した遺産であり、生きている間に起こした変化であり、私たちが触れた人々と私たちが起こした影響なのかもしれない。私たちは、自分が死んだ後により良い場所を望むのではなく、生きている間に、自分の住む世界を人類にとってより良い場所にすることにもっと集中すべきなのかもしれない。天国」とは、私たちがまだここにいて体験できる間に、私たちの生活や愛する人たちの生活の中に、地上に存在する場所になり得る。死後の世界で何が待っているかに執着するのではなくて、私たちはこの地上にあるものに注意を払うべきなのかもしれない」


「Spiralling Out」



新作EPからタイトル曲「Haunt You Still」が先行シングルとして公開されています。



Soft Cult 『Heaven』

 

Tracklist:


Haunt You Still

One Of The Pack

Spiralling Out

9 Circles

Shortest Fuse

Heaven

 Whitelands 『Night-bound Eyes Are Blind To The Day』

 


 

 

Label: Sonic Cathedral 

Release: 2024/02/23


Purchase /Listen



Review

 

「黒人のミュージシャンがシューゲイズをやってはいけない」などと考えるのは、Whitelandsの音楽を聴けば、迷妄であり、アナクロニズムや過去への埋没に過ぎないとわかる。ロンドンから登場したホワイトラインズは、ポリティカル・コネクトネスが持つ意味合いとは裏腹に、音楽そのものがもつ未知の可能性を呼び込み、将来のロックバンドの理想像がどうあるべきかを示す。

 

スペシャルズ、リバティーンズ、ブロック・パーティを筆頭に、ロンドンのロックミュージックは、いつも人種の融和によって新しい表現性が生み出されてきたということを、彼らはありありと思い出させてくれる。上記の偉大なロックバンドが示したのは排他ではなく、融和だった。ホワイトランズもまた無限の可能性に充ちている。


驚くべきことに、ホワイトランズは四人組で活動しているというが、そのうち3人が黒人のミュージシャンだ。彼らの音楽は、実際の音そのものが持つ響き以上に何らかの共鳴を呼び起こし、そして、何らかのメッセージ性を孕み、示唆に富んでいる。もちろん、すでにその予兆は見られる。ニューヨークのLutaloのような優れたソロアーティストの台頭はオルタナティヴロックがすでに白人だけのものではなく、人種的に開かれた音楽になりつつあることを示している。


ヴァネッサはオルタナティブ・ロックに隠されたレイシズムに関して言及する。「白人男性がロマンチックで、繊細で、感情的で、ドリーミーな音楽を作るのはOKなのに、対照的に、若い黒人男性は怒りに満ちた音楽を作るべきという物語が根底にある。私たちは皆、このようなステレオタイプで育ってきたから、ホワイトランドを目にした時、人々は不思議に思うのだと思う」

 

「私は多くのメディアを消費している」とエティエンヌは幅広い影響について言う。「テレビゲーム、音楽、ニュース、絵画、漫画、アニメ、映画、特に、アニメが私のお気に入り。表現の重みを理解し、感じたい欲求がある。だから、曲は、他の曲、絵、美学、「バイブス」であるべきで、誰かが感じた感情をベースにしている。基本的にあなた自身はあなたが食べたもので出来ているのです」

 

ヴァネッサは続ける。「私たちは、建前主義、微々たる行動、妬み、憤りを経験してきた。だから私たちは、自分たち自身を証明し続けなければならないと感じています。自分たちが良い影響を与えていることは分かっていますが、ホワイトランズには本当に壁を打ち破ってほしいのです」

 


オープニングを飾る「Setting Sun」が示すように、ボーカルそのものは失意や哀愁を元にして、JAPANの音楽性を思わせるようなニューロマンティック調の夢想的なメロディーがゆるやかな速度で流れていく。

 

ボーカルは、理想的な高所に手をのばすかのように歌われ、その合間をシューゲイズ・ギターがぼんやりと彷徨う。しかし、それらの空白や隙間は、ため息をつくほど深く、どれほど手を伸ばそうとも、理想的な領域には近づきがたい。一見すると、出発点の失意や絶望を生み出すように思えるが、必ずしもそうではない。理想的な場所に近づこうとするリスナーの心に、それらの哀愁のあるボーカルが定着して、共鳴的な感覚を呼び起こす。何より頼もしいのは、彼らの音楽が、高い場所から見下ろすのではなしに、自分たちと同じ立場にいる人々に向けて発信されていることである。このことは、モグワイがその才覚を見出したbdrmmと共通している。

 

繊細かつきらびやかなギターラインと甘美的なボーカルのメロディーの融合は「Prophet &Ⅰ」にも共通している。一曲目と比べると、ポピュラーな印象があり、ジョニー・マーのギターのように抒情的なフレーズが光っている。しかし、それらは必ずしも80年代に埋没することもなく、はたまたアナクロニズムに堕することもなく、比較的モダンな印象に彩られている。それはアンセミックなボーカルのフレーズを配し、そして、リズムに重心を置いているからである。


バンドは、時々、ハウス・ミュージックの要素を取り入れ、バスドラムのシンプルな4つ打ちを織り交ぜ、効果的なビートを生み出す。これはMBVが志向していたギターロックとハウスの融合という、このジャンルの重要な核心を受け継いでいるといえる。ただ、ホワイトランズの場合は、轟音性は少しだけ控え目である。アイルランドのNew Dadのような夢想的な旋律性を擁しながらも、アンダーワールドのようなクラブ・ミュージックを基調としたリズムを取り入れることにより、楽曲そのものに、親しみやすさやわかりやすさを付与している。良いメロディーだけではなく、曲の節々に溜めを作ることで、トラック全体に起伏をもたらそうとしている。

 

「Cheer」はよりドリーム・ポップに近いアプローチが敷かれ、その中にニューロマンティックやブリット・ポップ前夜の雰囲気が漂う。どちらかと言えば、ノスタルジックな楽曲となっているが、冒頭の2曲と同じく、Mewのような透き通るようにクリアなボーカルの声質が存在感を放つ。スロウバーナーのタイプの曲であるが、注目すべきは、そこには90年代から00年代のクラブ・ミュージックからのリズム的な引用が精彩な感覚の揺れ動きを反映させていることだろう。

 

続く「Tell Me About It」は、アルバムのハイライトで、ポストシューゲイザーの名曲である。ハウスを反映したイントロから始まり、4ADの幻のドリーム・ポップバンド、Pale Saintsの「Kinky Love」を彷彿とさせる夢想的な感覚へ続く。ホワイトランズは、この曲でツインボーカルのスタイルを取っているが、これがより抽象的な音像の領域に差し掛かる。それはリスニングの背後にある音楽の源に近づくことであり、それは人種的な超越と性別の超越によって発生している。曲は、Cocteau Twinsのドリーム・ポップの核心に迫るかのようで、RIDEのダンスミュージックの影響も反映されている。混合のボーカルのユニゾンは、声の性質の違いにより、むしろその美しさが強調され、冬の夜空を舞う粉雪を眺めるような美しさが留められている。


「How It Feels」はシューゲイズのメインストリームにある曲で、アルバムの中では、フィードバック・ノイズと、シャリシャリとしたパーカッションの硬質な響きが強調される。ただ、他に比べると、ギターノイズは苛烈なのだが、効果的なサウンド・デザインには至っていない。メロディーや音像は一見するとクリアなようだが、音の流れが相殺されてしまっている。これはもしかすると、作曲よりもミックスやマスタリングソフトの選別に原因があるかもしれない。

 

しかし、続く「Chosen Light」では、美しいメロディー性とギターサウンドの幻惑が還ってくる。フィードバックノイズをベースにしたギターラインはアイルランド的な哀愁に彩られており、他方、ボーカルのフレーズは、現行のロンドンのポストパンクバンドに比する才気煥発さがある。そして、その中にはバンドやアーティストとしての奇妙に光るセンスも含まれている。しかし、それはまだはっきりした完成形になったとまでは言いがたいものがある。シューゲイズバンドとしての本領発揮とまでは至らず、暗闇の向こうに、かすかにぼんやりと揺らめくに過ぎない。一方で、その弱点を補って余りあるのが、「Tell Me About It」と同じように男女混合のボーカルである。これらは二人のボーカリストの声質も相まって、見事なハーモニーを作り出す。それはもちろん、このジャンルの重要な要素である聞き手を酔わせる情感を擁している。

 

「Born In Understanding」は、ハルのbdrmmがデビューアルバムで示したようなポストシューゲイズの範疇にある音として楽しめる。これらはモダンなUKロックの一角を捉え、それらをキュアーやライドのような象徴的なバンドのフォロワー的な立場を示そうとしている。夢想的なメロディー、浮遊感のある、ふわりと浮き上がるような感覚には心惹かれる。バンドは、以上のように、シューゲイズ/ドリーム・ポップを主体とする幾つかの手法を示した上で、クローズ曲「Now Here's The Weather」で目の覚めるようなナンバーを書いている。このことは注目に値する。

 

ミニマルなフィードバックギター、夢想的でアンセミックなボーカル、そして、重力を備えるベースラインという、バンドの中核を担う3つの要素はそのままに、ホワイトランズはこの曲で彼らにしかなしえないキャラクター性を発現させる。現在のポストシューゲイズ・シーンは世界的に見ても飽和状態にあるため、頭一つ抜けるのは相当困難となっている。しかしそれでも、このバンドは、ロンドンやイギリスのシーンにたいして良いエフェクトを及ぼす可能性が高い。それが憎しみや怒りではなく、より融和的な考えであったら、とても理想的なのだが。。。

 

 

80/100


 

 

Best Track- 「Tell Me About It」

 

©Shervin Lainez


ポストシューゲイザー、DIIVが4枚目のアルバムを発表した。『Frog in Boiling Water』は5月24日にファンタジー・レコードからリリースされる。本日、アンドリュー・ベイリー、コリン・コールフィールド、ベン・ニューマン、ザッカリー・コール・スミスの4人は、ニュー・シングル「Brown Paper Bag」を発表した。アルバムのジャケットとトラックリストは以下を参照のこと。


2019年の『Deceiver』に続くこの作品は、クリス・コーディがプロデュースした。プレスリリースによると、アルバム完成までの4年間のプロセスはバンドを壊しかけたという。「この旅は、家族、友情、経済という多くの複雑な力学が絡み合い、疑惑、憤り、傷ついたエゴ、不安な疑問と相まって、互いの関係にほころびを残した。」


アルバム・タイトルは、ダニエル・クインの1996年の小説『Bの物語』にちなんでいる。「しかし、ぬるま湯の鍋にそっと入れ、弱火にすると、カエルは、まさに熱い風呂に入った私たちのように、静かな昏睡状態に沈み、やがて、微笑みを浮かべながら、抵抗することなく、茹で殺されるのを許すだろう。


「私たちは、この比喩を、末期の資本主義の下での、ゆっくりとした、病的な、そして圧倒的に平凡な社会の崩壊についてのものだと理解している。それは沸騰したお湯で、僕らはゆでカエルみたいなものなんだ」

 

「Brown Paper Bag」




DIIV 『Frog in Boiling Water』

Label: Fantasy

Release: 2024/05/24



Tracklist:


1. In Amber

2. Brown Paper Bag

3. Raining On Your Pillow

4. Frog In Boiling Water

5. Everyone Out

6. Reflected

7. Somber the Drums

8. Little Birds

9. Soul-net

10. Fender on the Freeway

 

 

Pre-order(INT):

 

https://found.ee/FrogInBoilingWater/ 

 



伝説のブリティッシュ・シューゲイザー、ライドが3月29日にウィチタとPIASからニュー・アルバム『Interplay』をリリースする。今回、彼らはセカンド・シングル「Last Frontier」を発表し、今年5月の北米ツアーを含む新しいツアー日程を発表した。曲とツアー日程は以下をチェック。


ライドは1988年に結成され、現在もギタリスト/ヴォーカリストのアンディ・ベルとマーク・ガーデナー、ドラマーのローレンス・"ロズ"・コルバート、ベーシストのスティーヴ・ケラルトが在籍している。


ベルはプレスリリースで『ラスト・フロンティア』についてこう語っている:「この曲は、マークのOX4スタジオで行われた最初のジャム・セッションの中で一番小さい曲だった。この曲の可能性を見出したのは、プロデューサーのリッチー・ケネディだった。バッキング・トラックとアレンジの全面的な見直しが必要だったので、基本に立ち返り、ジョイ・ディヴィジョンのようなドキドキするフィーリングに近づけた。


「トップラインは、マイクで即興的に歌ってみたり、いろいろな歌い方をしてみたり、その場で新しいパートを思いついたりした。でも、友達の中にいるんだから、新しい書き方を試すのはいいことだ "って自分に言い聞かせたんだ。今までやってきたどのボーカルとも違う感じ。僕にとってはまだ新しいやり方だけど、より良いヴォーカル・ラインになると思うから、これからも試していきたい。書いたものと即興のいいとこ取りだ」

 

「Last Frontier」


 

Ride Tour Dates:


5/11 - Boston, MA @ Big Night Live

5/13 - Montreal, QB @ Theatre Fairmount

5/14 - Toronto, ON @ Concert Hall

5/15 - Detroit, MI @ Majestic Theatre

5/16 - Chicago, IL @ Metro

5/17 - Minneapolis, MN @ Fine Line

5/19 - Denver, Colorado @ Gothic Theater

5/22 - Vancouver, BC @ Commodore Ballroom

5/23 - Portland, OR @ Mission Theater

5/25 - Seattle, WA @ Showbox

9/2 - Belfast, UK @ Limelight

9/3 - Dublin, Ireland @ Olympia 

9/4 - Cork, Ireland @ Cyprus Avenue 

9/6 - Sheffield, UK @ Leadmill

9/7 - Newcastle, UK @ Boilershop

9/8 - Glasgow, UK @ SWG 3 TV Studio

9/10 - Liverpool, UK @ Invisible Wind Factory

9/12 - Leeds, UK @ Stylus

9/13 - Manchester, UK @ New Century 

9/14 - Bristol, UK @ SWX

9/16 - Falmouth, UK @ Princess Pavilions

9/17 - Portsmouth, UK @ Guildhall 

9/18 - Brighton, UK @ Chalk 

9/20 - London, UK @ Roundhouse

9/21 - Wolverhampton, UK @ Wulfrun Halls 

9/22 - Cambridge, UK @ Junction





カナダ/オンタリオのメルセデスとフェニックスのデュオ、Softcult(ソフトカルト)は、スペーシーでドリーミーなインディー・ロックを制作することで知られ、プレスリリースのコメントも箴言に近い内容で注目を集めている。

 

デュオは最新シングル「Heaven」をリリースした。フェニックス・アーン=ホーンがこの曲をプロデュースし、メルセデスがミュージック・ビデオを監督した。プレスリリースでバンドは次のように語っている。

 

「この曲は、誰もがありのままの自分を受け入れられ、経歴やアイデンティティによって社会からの受け止め方が左右されることのない世界、特権や長所が認められ、より強固なコミュニティを築くために共有される世界、多様性、違い、他者性を長所として称賛する社会を描いている」

 

現在、トロントは、モントリオールの華やかなジャズ・シーンとは別に、特異なウェイブが形成されつつあり、Softcult、Living Hour、Bodywash、See Oleenaというように、ドリーム・ポップの一大拠点となりつつある。

 

カナダのアンダーグラウンド・シーンの一角を担うSoftcultは、シューゲイズ、グランジを融合させた個性的なサウンドを作り上げる。デュオはこのところ、立て続けにニューシングルを発表しているが、現時点ではEPやフルレングスの発表には至っていない。今後の動向に注目したい。


 

「Heaven」



 

©Mel Butler

スコットランド/グラスゴーのギターロック/ネオアコースティックの祖であり、シューゲイザーの先駆者でもあるJesu And  Mary Chain(ジーザス&メリー・チェイン)が待望の新作『Glasgow Eyes』の制作を発表した。3月8日にFuzz Clubからリリース予定。次作のリード・シングル「jamcod」とアルバム・ジャケット、トラックリストを以下をチェックしてみよう。


2017年の『Damage and Joy』に続く『Glasgow Eyes』は、グラスゴーにあるMOGWAIの所有するキャッスル・オブ・ドゥーム・スタジオでレコーディングされ、ジム/ウィリアム・リード兄弟は、「スーサイド、クラフトワーク、そしてジャズに見られるような規律に縛られない姿勢への新鮮な評価からインスピレーションを得た」とプレスリリースを通じて説明している。

 

「しかし、メリー・チェインがジャズになると期待してはいけない」という。「人々はジーザス・アンド・メリー・チェインのレコードを期待すべきで、”Glassgow Eyes”がそうであることは確かなんだ」

 

「僕らのクリエイティブなアプローチは、1984年当時と驚くほど変わらない。たくさんの曲を持ってスタジオに入り、成り行きに任せる。ルールはなく、必要なことは何でもやる。そして、そこにはテレパシーがある。私たちは、互いの文章を完成させる奇妙な双子みたいなものなんだ」 

 

 

「jamcod」




Jesus & Mary Chains『Glasgow Eyes』

Label: Fuzz Club

Release: 2024/3/8 


Tracklist:


1. Venal Joy

2. American Born

3. Mediterranean X Film

4. jamcod

5. Discotheque

6. Pure Poor

7. The Eagles and The Beatles

8. Silver Strings

9. Chemical Animal

10. Second of June

11. Girl 71

12. Hey Lou Reid


カナダ/オンタリオのバンド、 Softcultがニューシングル「Haunt You Still」を発表した。3月にイージー・ライフ・レコードからリリースされた6曲入りEP「See You in the Dark」に続く作品。

 

「これは防衛機制なのかもしれないけれど、私たちは、かつて身近にいた人がいなくなると、その人を悪者にする傾向がありますよね。それは自分を守るための反応的な方法でもあるんだ」

 

「曲は、2人の間で物事が上手くいかない時、悪いのは必ずしも一方ではないことを表している。過去を振り返ってみると、私たちは自分が演じてきた部分や、意図せずに残したかもしれないダメージについて反省しなければ…。その人々が私たちのことを思い出す時、好意的に振り返ってくれるのか、それとも、私たちが登場した人生の一章が辛い思い出になってしまっているのか…」



 


デトロイトの伝説的なシューゲイズバンド、Drop Nineteensが、近日リリース予定のフルアルバム『Hard Light』のラスト・プレビュー「The Price Was High」を公開しました。


Drop Nineteensの30年ぶりとなるアルバム『Hard Light』は、Wharf Cat Recordsより11月3日に発売される。すでにシングル「Scapa Flow」「A Hitch」でプレビューされている。

 

 新作アルバム『Hard Light』は、Wharf Cat Recordsから11月3日にリリースされます。バンドにとって30年ぶりとなる新作アルバムには、バンド・リーダーのグレッグ・アッケル、スティーヴ・ジマーマン、ポーラ・ケリー、モトヒロ・ヤスエ、ピーター・ケプリンのオリジナル・メンバー員が参加しています。Drop Nineteensの新作アルバム『Hard Light』はWharf Catより11月3日発売される。

 

「The Price Was High」

 

Drop Nineteens

ボストンのシューゲイザーの大御所、日本人ギタリストを擁するDrop Nineteens(ドロップ・ナインティーンズ)が昨年、ニュー・アルバム制作のために再結成すると発表していたが、その旨が今年8月に正式に発表されました。もちろん、30年ぶりのニューアルバムというプレゼントを引っ提げて。今回、ドロップ・ナインティーンズは、この待望の復帰作からセカンド・シングル「A Hitch」を公開している。リード・カット「Scapa Flow」に続くシングルだ。


「”A Hitch"はバンドが再結成して最初に書いた曲なんだよ。この曲は、新しいドロップ・ナインテンスの曲がどのようなサウンドになり得るか、アルバムの残りの曲調を決めていったんだ」

 

 

新作アルバム『Hard Light』は、Wharf Cat Recordsから11月3日にリリースされます。このアルバムには、バンド・リーダーのグレッグ・アッケル、スティーヴ・ジマーマン、ポーラ・ケリー、モトヒロ・ヤスエ、ピーター・ケプリンのオリジナル・メンバー全員が参加しています。 Drop Nineteensの新作アルバム『Hard Light』はWharf Catより11月3日発売される。

 

「A Hitch」

©Ingrid Po


Slowdiveは、ニューアルバム『everything is alive』からの最終シングル「alife」を公開した。このシングルは、前作「the slab」「kisses」「skin in the game」に続くものである。以下のミュージック・ビデオをチェック。




「alife」は、このアルバムのために完成させた最初の曲のひとつだ。「ショーン・エヴァレットがミックスで本当にいい仕事をしてくれた。ショーン・エヴァレットがミックスを担当してくれたんだ。もし彼がこのミックスをこなせるなら、きっと全曲をこなせると思ったんだ。友人のジェイク・ネルソンは、この曲のためにとても素晴らしいアニメーションを作ってくれた。

 

ファン待望のニューアルバム『everything is alive』は、明日、9月1日にDead Oceansよりリリースされる。


「alife」



 


Hotline TNT(ウィル・アンダーソンのプロジェクト)はサード・マン・レコードと契約を交わしたと発表しました。

 

同レーベルからの初リリースは剣を振り下ろすことについて歌ったシューゲイザー・ノイズ・ポップ・ソング 「Protocol」です。「関係性を守ることに専念するのは非難を受けるに値することなんだ」

 

この曲には、フィオナ・ケインが監督したミュージック・ビデオが付属しており、彼は「夏のためのロックンロール・プッシュ&プル・サイレント・コメディです。ぜひ以下よりチェックしてみて下さい。

 

©Ingrid Pop


Slowdive(スロウダイヴ)が新曲「skin in the game」を発表した。これは、先月リリースされた「kisses」に続く、アルバム『everything is alive』からのセカンド・シングルである。以下よりチェックしてほしい。


スローダイヴの6年ぶりとなるアルバム『everything is alive』は、9月1日にDead Oceansからリリースされる。

 

「skin in the game」

 



4ADは、イギリスの幻のシューゲイザー/ドリームポップバンド、Lushの3作のスタジオ・アルバム『Spooky』、『Split』、『Lovelife』を8月11日に再発する。

 

バンドのフロントパーソン/ヴォーカリスト、ミキ・ベレーニは、ハンガリーと日本人のハーフ。彼女はバンドを結成する以前、ロンドンの大学で英文学を専攻していた。バンドはRIDEとともにUKのオルトロックシーンの一角として90年代に活躍した。バンドはこの数年間で、『Gale』(90年)、『Spooky』(92年)、『Spilit』{94年)、『Lovelife』{96年)、『Topolino』{96年)の4作のアルバムを発表した。96年、メンバーのクリスが自殺をし、翌年、Lushは解散することになった。その後、ミキ・ベレーニは元ウィーザーのマット・シャープのレンタルズの作品に参加している。バンドは2015年に再結成し最終ライブを行った。

 

2023年現在の4ADの幅広いレーベルのラインナップからは想像できないが、当初このレーベルには、Cocteau Twins、Pale Saints、LUSHを含め、秀逸なドリーム・ポップ/シューゲイズバンドが活躍し、インディーズシーンを牽引した。無論、オルタナティヴロックバンドとしては米国/ニューポートのThrowing Musesもレーベルの歴史を作った最重要バンドの一つに挙げられる。

 

90年代以来、入手不可能だったLUSHの再プレス盤は、レーベルのドリーム・ポップ/シューゲイズの音楽性に再度脚光を当てる内容と言っても差し支えないだろう。エンジニア兼プロデューサーのケヴィン・ヴァンバーゲンのオリジナル・テープからリマスターされて発売が決定した。

 

『Spooky』と『Split』はオリジナル・アートワークをそのままに、『Lovelife』は2016年のボックスセットのアートを使用し、1996年のオリジナル・プレス専用の印象的な集合トレーシング・ペーパー・スリーブをそのまま残して発売される。

 


「Hypocrite」

 

 


Spooky


 



 

A1. Stray


A2. Nothing Natural


A3. Tiny Smiles


A4. Covert


A5. Ocean


A6. For Love


B1. Superblast!


B2. Untogether


B3. Fantasy


B4. Take


B5. Laura


B6. Monochrome

 


『Split
』

 



 

A1. Light From A Dead Star


A2. Kiss Chase


A3. Blackout


A4. Hypocrite


A5. Lovelife


A6. Desire Lines


A7. The Invisible Man
B1. Undertow


B2. Never-Never


B3. Lit Up
B4. Starlust


B5. When I Die



『Lovelife
』



 

A1. Ladykillers


A2. Heavenly Nobodies


A3. 500
A4. I’ve Been Here Before


A5. Papasan


A6. Single Girl


A7. Ciao!


B1. Tralala


B2. Last Night


B3. Runaway


B4. The Childcatcher


B5. Olympia






Lush  Biography(Wikipediaより)
 
 
 イングランドのクイーンズカレッジで、14歳だったハンガリー人と日本人のハーフであるミキ・ベレーニと、エマ・アンダーソンが知り合う。
 

1988年にロンドンのPolytechnic Universityで英文学を勉強していたミキは、そこでクリス・アクランドとスティーヴ・リッポン、メリエル・バーハムと知り合い、エマと一緒に「The Baby Machines」というバンドを結成する。



 

エマの友人であるケヴィン・ピカリング (Kevin Pickering)がバンドを「ラッシュ (Lush)」と命名する。1988年の3月に最初のライブを行い、プレスから好意的な評価を受けた。しかし、当時ボーカルだったメリエルが脱退してペイル・セインツに加入したため、代わりにミキがボーカルを取ることになる。
 

1989年に4ADと契約して、ジョン・フライアー (John Fryer)のプロデュースで6曲入りミニアルバム『Scar』をリリースする。翌1990年、コクトー・ツインズのロビン・ガスリーによるプロデュースでシングル「Mad Love」をリリースし、続けてティム・フリーズ・グリーンのプロデュースで「Sweetness and Light」をリリースする。また、これまでの3つのリリースの曲をまとめた編集盤『ガラ』がアメリカでリリースされる。このタイトルは、画家のサルバドール・ダリの妻ガラ・エリュアールの名前から取っている。 
 

1991年にはライドと共にアメリカ・ツアーを行う。同年末にスティーヴが小説を書くことに専念するために脱退し、代わりに元『NME』誌の記者であるフィル・キングが加入する。1992年、ロビン・ガスリーのプロデュースでファースト・アルバム『スプーキー』をリリースし、全英アルバムチャートで7位に入るヒットとなる。
 

1994年、マイク・ヘッジ (Mike Hedges)のプロデュースとアラン・モウルダーのミックスによるセカンド・アルバム『スプリット』をリリース。また、同時に『Hypocrite』と『Desire Lines』の2枚のEPをリリースする。
 

1996年、最後のアルバムとなる『ラヴライフ』をリリースする。シューゲイザー的なサウンドは薄れ、パルプのフロントマンであるジャーヴィス・コッカーが参加するなど、当時流行していたブリットポップの影響を受けた作風に変化し、全英アルバムチャートで8位に入っている。



同年10月、クリスが実家で首を吊って自殺。残されたメンバーは長い間悲嘆に暮れ、翌1997年2月に解散(公式に解散が宣言されたのは翌年2月)

 


解散後、ミキは、レンタルズのアルバム『セヴン・モア・ミニッツ』や、コクトー・ツインズのサポートメンバーだったタテ・ミツヲのソロユニットFlat7の『Lost in Blue』にゲストとして参加している。エマは、リサ・オニール (Lisa O'Neil)とSing-Singを結成する。フィルは、ジーザス&メリーチェインに参加している。
 

2015年、20年ぶりに再結成を発表。翌年5月6日にロンドンのラウンドハウスにて、再結成後初ライブを行った。ドラマーには元エラスティカのジャスティン・ウェルチが参加した。10月18日にベースのフィル・キングが抜け、モダン・イングリッシュのマイケル・コンロイのベース演奏による最終ライブを11月25日にマンチェスター・アカデミーで行った。


©︎Parri  Thomas


今年、フジロックで来日公演を行う、Slowdiveがニューアルバムを発表しました。9月1日、Dead Oceansから『everything is alive』をリリースします。彼らが公開した最初のシングルは「kisses」という曲で、以下よりミュージックビデオをご覧ください。


ニール・ハルステッドは声明の中で、「今、本当に暗いレコードを作るのはしっくりこないだろう」と語っている。「このアルバムは感情的にかなり折衷的なものだが、希望を感じることができる」

 

「kisses」



Slowdive 『everything is alive』





Tracklist:

 

1. shanty
2. prayer remembered
3. alife
4. andalucia plays
5. kisses
6. skin in the game
7. chained to a cloud
8. the slab




Tour Date:


July 26 – Auckland, NZ @ Powerstation
July 29 – Niigata Prefecture, JP @ Fuji Rock Festival (フジロック公演)
Aug. 5 – Mysłowice, PL @ Off Festival
Aug. 11 – Sicily, IT @ Ypsigrock Festival
Aug. 18 – Brecon Beacon, GB @ Green Man Festival
Sep. 23 – Toronto, CA @ Queen Elizabeth Theatre
Sep. 25 – Boston, MA @ House of Blues
Sep. 27 – New York, NY @ Webster Hall
Sep. 28 – New York, NY @ Webster Hall
Sep. 29 – Philadelphia, PA @ Union Transfer
Sep. 30 – Washington, DC @ 9:30 Club
Oct. 2 – Cleveland, OH @ The Roxy
Oct. 3 – Chicago, IL @ Riviera Theatre
Oct. 4 – St. Paul, MN @ Palace Theatre
Oct. 6 – Denver, CO @ Cervantes Masterpiece Ballroom
Oct. 7 – Salt Lake City, UT @ The Union Event Center
Oct. 9 – Portland, OR @ Crystal Ballroom
Oct. 10 – Seattle, WA @ Showbox Sodo
Oct. 12 – San Francisco, CA @ Warfield Theatre
Oct. 14 – Los Angeles, CA @ The Bellwether
Oct. 30 – Glasgow, UK @ QMU
Oct. 31 – Manchester, UK @ Ritz
Nov. 1 – Bristol, UK @ SWX
Nov. 3 – London, UK @ Troxy
Nov. 5 – Belfast, UK @ Mandela Hall
Nov. 6 – Dublin, IR @ National Stadium