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Maria Somerville

アイルランド出身の謎めいたミュージシャン、Maria Somerville(マリア・サマーヴィル: NTS Radioのレギュラー・ホスト)が、3年ぶりとなるニュー・シングル「Projections」をリリースした。


この切なくロマンチックなシューゲイザー、ドリームポップトラックは、ファズアウトしたベースとかき鳴らされるギターによって憧れに浸され、サマーヴィルの催眠術のような静謐なヴォーカルに支えられている。この別世界のような、うねるようなシングルは、彼女が2019年に自主リリースしたデビューアルバム『All My People』からの顕著な進歩である。



本日リリースされた「Projections」には、サマーヴィル、マイケル・スピアーズ、ロイシン・バークレーによるヴィジュアルが添えられている。


マリア・サマーヴィルは2つの単発ライブも発表した。2019年以来のヘッドライン公演となる彼女は、11月にダブリン(ワークマンズ、11月19日)とロンドン(チャッツ・パレス、11月27日)で公演する。



「Projections」

【Weekly Music Feature】 belong

Belong

  ルイジアナ州ニューオーリンズの濃密な暑さの中で生まれたBelongは、ターク・ディートリッヒとマイケル・ジョーンズの共同プロジェクト。デビュー・アルバム『October Language』は、伝統的な曲の構造を超えて、メロディーの形象が曖昧になり、テクスチャーが華麗に音の海に彫刻される場所へと向かう。


Belongは2002年にニューオーリンズのウェストバンクで活動を開始したが、October Languageが制作されたのは2004年のことだった。このアルバムは、ディートリッヒの寝室で組み立てられ、分解された。しかし、曲のインスピレーションは壁をはるかに越えている。このアルバムには、彼らの故郷であるニューオーリンズが凝縮されており、陽光と色彩に包まれながらも、汗と腐敗と豊かな悲しみが漂う。アルバムは、摩耗し、朽ち果て、破壊されたものの美しさを表現しようとするものであり、地鳴りのような音の可能性の広大さと人間の条件の希望に満ちた研究でもある。


ターク・ディートリッヒは以前、テレフォン・テルアビブのジョシュア・ユースティスとベネリ名義でコラボレートしており、ナイン・インチ・ネイルズの「The Frail (version)」のリミックスは、高く評価されたNINのEP『Things Falling Apart』に収録されている。ユースティスは、アルバムのタイトル・トラックでスライド・ギターを弾いているほか、『October Language』の制作にも少し参加している。


ベロングことマイケル・ジョーンズとターク・ディートリッヒのデュオによる3作目のフルアルバム『Realistic IX』は、彼らの特徴であるアシッドに洗脳されたソングクラフトの拡張及び発掘でもある。抽象的なギター、メトロノミックな靄と催眠の移り変わるグラデーションの中で、メロディーは表層近くまで押し寄せてくる。メロディーは水面近くまで押し寄せ、形を変えてからフィードバックの流れの中に沈んでいく。他の場所では、要素は濁りと微小音の黄昏へと消え去り、電気は無限の夜へと解き放たれる。


クランキーからリリースした前作『コモン・エラ』から13年が経過しているが、このデュオの稀有な相乗効果はその間にまったく衰えていない。ジョーンズとディートリッヒのモーターリック・ドローンとリミナル・エモーションの斜に構えた状態へのこだわりは、進化を続け、ますます触覚的で非現実的な、魔女の時間に曇った窓から垣間見える魅惑的な輝きを放ち続けている。



『Realistic IX』/ kranky

 

  アンダーグラウンド・ミュージックのファンにとって、ロンドンのWarp、そして、シカゴのkrankyは、二つとも度外視することが出来ないレーベルである。アンダーグラウンド・ミュージックのメッカであり、作品の売上は別としても、90年代から新しい音楽を率先して紹介してきた。

 

現在のストリーミング世代において、アンダーグラウンド・ミュージックの役割というのは何なのだろうか。少なくとも、レコードマニアのような嗜好性により地下音楽を蒐集する意義は、2000年頃よりも薄れていることは事実である。なぜなら、現在はいかなるアンダーグラウンドミュージックも、デジタル・プラットフォームで簡単に試聴することができるからである。

 

少なくとも、レコードマニアとして言及するなら、こういったアルバムは十数年前くらいには、ショップで入手することはおろか、試聴することさえ出来なかった。そこで活躍したのが、MP3等を紹介するサイトや、それらの音源を配布するアンダーグラウンドのサイトであった。これらのサイトの多くは、ブログ形式で運営され、地下音楽の紹介という重要な意義や役割を担っていた。つまり、それが2000年代の著名なブロクメディアの台頭した理由であった。結局のところ、デジタルプラットフォームとストリーミングサービスの普及は、「音源としての希少性」という最後の牙城を曲りなりとも壊し、商業性をも破壊した。音楽ファンとしては喜ばしい反面、複雑な心境を覚えることがある。これらのサイトの多くは、逆に商業音楽を宣伝することにより、生き残ったという印象もあるが、結局、アンダーグラウンドミュージックを紹介する意義は、依然よりも希薄になっていることは事実かもしれない。そんなことを昨日、主要なサイトのウェブアーカイブの変遷を確認しながら、考えるところがあった。

 

一般的なリスナーとしてのアンダーグラウンド・ミュージックの希少性が2000年代頃よりも薄れてしまった、という点を踏まえて、今後、これらの音楽はどのように聴かれるべきなのだろうか。もしくは、どのように紹介されるべきか?  結論を出すのは早計となるだろうが、少なくとも、「商業主義の音楽とは別の基軸を持つ音楽が併存する」という事実を示さねばならない。音楽は、その固有性、多様性、特殊性が存在する余地が残されているからこそ、長い時代「文化」や「リベラルアーツ」として親しまれてきた。要するに、単一の形式にとどまらず、亜流(オルタネイティヴ)が存在するからこそ、長く生きながらえてきたのである。もし、商業主義しか、この世に音楽が存在しないとなると、それはすでに多くの多様性が失われていることの証左となる。つまり、それ以降、音楽という分野そのものが衰退していくことが予測される。この難しい局面に対抗するべく、アンダーグラウンド・ミュージックが存在している。そして間違いなく、未来の商業音楽の流行は、アンダーグラウンド・ミュージックが支えている。そして、前にも述べたように、メインストリームとアンダーグラウンドの持つ役割はそれぞれ異なる。さらに、一方の役割を拒否するとなると、もう一方が滅びゆく運命にあるのである。

 

belongに関しては、昨日まで名前すら知らなかったが、伝説的なシューゲイズプロジェクトと見ても違和感がないようだ。そして、このシューゲイズというジャンルはこれまで、オルタナティヴロックの系譜にある音楽と見なされることもあったが、ニューオリンズの二人組の音楽を聴くと、どうやらそんな単純なものではないということが判明したのである。例えば、MBVのギタリストであるケヴィン・シールズは、シューゲイズというジャンルに関して、それほど快く思っていないらしく、忌避することもある、という話を仄聞したことがある。おそらく、それは「ギターロックの系譜にある音楽」と看過されることを嫌がっているからではないだろうか。


ただ、ブリットポップのような水かけ論となるが、シューゲイズというジャンルが存在しないか、もしくは商業的なキャッチフレーズに過ぎないかといえば、それも考え違いである。そもそも、シューゲイズというジャンルは、Jesus & Mary Chainの音楽性とMBVの音楽性を比較対象として比べて見ると分かる通り、80年代後半のスコットランド/アイルランドのネオ・アコースティックやギター・ポップ、ロンドンのゴシック・パンク、さらには80年代のマンチェスターのアンダーグラウンドのクラブ・ミュージックが複合的に掛け合わされて生み出され出来上がった。さらに言及すると、マンチェスターのサイケデリックなエレクトロの要素が色濃い。

 

つまり、シューゲイザーは、クラブ・ハシエンダ(Factory Records)のベースメントのクラブミュージックがハードロックとして再構成されたと見るべきなのだ。つまり、クラブミュージック色が薄いシューゲイズは、このジャンルから少し逸れた音楽であると指摘できるのである。

 

 

 

ルイジアナのBelongは、13年ぶりの復帰作「Realistic IX」において、アンダーグラウンドミュージックの隠れた魅力を掘り起こしている。すでにヒップホップのミックステープや、オルタネイトなロックバンドのローファイなテープ音楽のような作品は、年々探すのが難しくなっているが、「Realistic IX」は、そういった失われつつあるカルチャー性を見事に復刻させる。そして、このアルバムを聴くと、シューゲイザーは音楽性に磨きを掛けていくと、最終的にはアシッド・ハウスやノイズに近いアヴァンギャルド・ミュージックに変化することが分かる。このアルバムに、ポピュラー性とか聴きやすさといった商業性を求めることは穏当ではないだろう。アルバムの全編には、アシッド・ハウスのビートが駆け抜け、そして、苛烈なギターノイズが無尽蔵に暴れまくる。しかし、MBVのような蠱惑的な陶酔感を呼び起こすのである。

 

このアルバムではもうひとつ、シューゲイザーの要素と合わせて、ニューヨークの原始的なプロトパンクからの影響が含まれている。冒頭を飾る「1- Realistic」は、シューゲイザーのお馴染みのフィードバックノイズを生かしたギターで始まり、中性的なボーカルサンプリングで色付けをしている。アナログシンセ/サンプラーのレトロなマシンビートが、背景の4つ打ちのビートを形成している。これらの反復的な楽曲構成が、80年代のエレクトロに象徴されるようなサイケなクラブミュージック、アシッド・ハウスのエグみのある性質を生み出す。ギターサウンドには最初期のSonic Youth(サーストン・ムーア)からの影響もあり、前衛的な響きを帯びている。

 

「2- Difficult Boy」では同じようにフィードバック・ノイズを発生させ、うねるようなグルーヴを作り出した上で、一曲目と同じように、中性的なボーカルのサンプリングを導入し、甘美な感覚をもたらす。これらは、ギターロックによって構成されたアシッド・ハウスとも呼ぶべきだ。

 

一つのフレーズを元にし、ギターのピックアップから発生するトーンの変容を発生させ、ロックによるドローン・ミュージックを構築していく。ギターの音色に関しても、相当なこだわりを感じさせ、Stiff Little Fingers-「Suspect Device」、Swell Maps-「International Resque」の系譜にある、ザラザラとして乾いたファズ/ディストーションのプリミティヴなギターの質感を重視している。つまり、1970年代の最初期のガレージ・ロックのように、ストレートでリアルなギターサウンドが、フィードバックノイズによりシューゲイズ風の音作りへと組み替えられている。

 

「3- Crucial Years」は、ノイズ/クラブ・ミュージックとして聴くと圧倒される。ギターのフィードバックとアナログシンセで発生させたグリッチ音をビートに見立て、原始的なデトロイトのハウスや以後のアシッド・ハウスの魅力を再訪している。これらは、現在のクラブ・ミュージックから見ると、サンプリングで済ませてしまう要素を、実験音楽としてゼロから組み上げている。実際的に、これらのDIY的な試みは、この音楽にリアリティをもたらしている。荒削りなノイズは、最終的に、アシッド的な陶酔感をもたらす。そして、とっつきやすいわけでもないのに、何度も聞き返したくなるような得難い中毒性がある。これぞ実験音楽の醍醐味である。

 

「Souvenir」

 

 

中盤に収録されている「4- Souvenir」「5 - Image of Love」では、オールドスクールのシューゲイザーに回帰している。

 

ただ、belongが志向するのは、ケヴィン・シールズの作り出した中毒性のあるギターサウンドの再現にある。打ち込みで録音したマシンビートのシンプルさと、ギターのフィードバックノイズから発生する倍音を組み合わせ、独特なグルーヴを抽出している。これらは、バンドの演奏では「ノリ」とか言われるものを、たった二つの楽器により生み出しているのが凄い。もちろん、既視感のあるスタイルだが、これらが模倣の域を出ないというわけでもない。サイケデリックなエレクトロニクス、旋律的な側面での融合を起点にして、耽美的な感覚を生み出したMy Bloody Valentineに比べると、この曲では、プリミティヴなガレージロックの性質が強調されている。これはシューゲイズというジャンルに内包される「パンクの要素」を浮かび上がらせる。

 

MBVのシューゲイザーの本質には何があるのかといえば、それは名ギタリスト、ケヴィン・シールズの編み出した革新性である。端的に言うと、「ギターをシンセサイザーとして解釈する」ということにあった。つまり、彼はギターという楽器の未知の可能性に挑戦し、轟音のフィードバックノイズを活かしたトーンの変容に焦点を当てた。これらは、実際にはコードを大きく変更していないにも関わらず、アナログ機材の効果の信号の発生のエラーや、音がピックアップ内のコイルで増幅される過程において倍音を発生させ、最終的には、クラブミュージックのエレクトロのような重層的な音の広がり、同時に、トーンの複合的で色彩的な揺らめきを作り、それがシューゲイザーというジャンルの核心にある陶酔的と呼ばれる印象を生み出した。belongは、この点を体感的に知り尽くしているらしく、エレクトロニックの観点から、この音楽を再検討している。これはまた最も濃密で最もコアなシューゲイズへの旅を意味するのだ。



現在のエレクトロニックは、プラグインやソフトウェアが豊富であり、次から次へと新しい製品が発売される。ミュージシャンも、つい手早く便利な機材を使用しがちと思われるが、しかし彼らは、おそらくアナログの配線を組み、オシレーターを用い、電気信号によるビートを発生させるという、電子工学の基礎に回帰している。つまり、Aphex Twinもかつて大学で電子工学を専攻していて、また、一からプログラミングを組んでいたという話は一般的によく知られている。元々、このエレクロニックというジャンルは、Caribou(ダン・スナイス)を見ても分かる通り、理系の分野を得意とする音楽家が率先して取り組むべきジャンルで、そして、そこには、機械工学及び建築学の設計や図面の要素が入り込む。いや、入り込まざるを得ないのだ。

 

 

さらに、belongの音楽的な構築はかなりアナログであるため、時代錯誤の印象を覚えるかもれない。しかし、他方、そこには、リアルな音楽としての魅力や、エレクトロニックの本質的な醍醐味が宿っている。「Bleach」は、グランジ、カレッジロックどころか、それよりもさらに古い時代に遡り、アラン・ヴェガ擁するSuicide、Silver Applesを始めとするニューヨークのアンダーグラウンドミュージックの要素を受け継ぎ、それらを苛烈なノイズミュージックで縁取っている。

 

続く「7- Jealousy」では、『Loveless』の方法論を引き継いでいるが、しかし、もう一つの重要な要素である感覚的なシューゲイズ、内的な感情を表現するためのギターサウンドに焦点が絞られている。 そして、ここではケヴィン・シールズのボーカルのサンプリング的な側面を受け継ぎ、それを忠実に再現している。この曲に関してはマイブラの復刻という意図も感じさせる。

 

英国のレーベル”Creation”は、My Bloody Valentineの「Loveless」の制作後、巨額の費用を掛けすぎたため、レコード会社として資金繰りが立ち行かなくなり、破産申請をすることに。後にレーベルはラフ・トレードと同じように買収されることになった。しかし、それほどまでに、このアルバムが、時代を変えるような作品になるとレーベル側は見込んでいたという話である。

 

一瞬にしてミュージック・シーンを塗り変えてしまうような作品はいつ出てくるのか?? 後の爆発的なヒットを考えると、運に恵まれなかったが、「Loveless」はブリットポップの最盛期において、時代の先を行きすぎた作品だった。そして、シューゲイザーの次世代のバンドやアーティストが活躍しているが、まだまだこのジャンルは、世界的に見ても、生き残る可能性が高いのではないか。そのことを象徴付けるかのように、アルバムのクローズ曲「8- AM/ PM」では、画期的なシューゲイズを制作している。この曲では、やはり「アシッド・ハウスとしてのシューゲイズ」の性質を強調し、アンダーグラウンドなクラブミュージックに昇華させている。

 

 

「AM/ PM」- Best Track

 

 

84/100

 

 

belongのニューアルバム「Realistic Ⅸ」はkrankyから本日発売。アルバムのストリーミングはこちら

 

 

Details:


1.「Realistic」: C+

2.「Difficult Boy」: B+

3.「Crucial Years」:A-

4.「Souvenir」: B +

5.「Image of Love」: A-

6.「Bleach」: A-

7.「Jealousy」:B-

8.「AM/ PM」:S (A+)- Best Track

 

  Whitelands ©︎ Courtesy of The Artist


「I tend to find things that relate to my own emotions and have them as an influence」- 私は曲を制作するとき、自分自身の感情に関連するものを見つけて影響を受ける傾向がある。(Whitelands-Etienne)


ロンドンの四人組シューゲイザーバンド、Whitelandsはギターロックファンとしては注目しておきたいバンドである。エティエンヌ、ミカエル、ジャグン、そしてヴァネッサというラインナップで構成されている。バンドはボーカルのエティエンヌを中心に、英国のローハンプトン大学に在学中にキャリアを歩み始めた。当初、友達の誕生日にアコースティックセットを披露していたという。

 

今年始め、バンドは新作アルバム『Night- Bound Eyes Are Blind To The Day』をSonic Catherdalからリリースした。このアルバムは日本のシューゲイザーファンからも支持を獲得した。

 

今回、バンドのボーカリスト、またフロントマンでもあるエティエンヌに、最新アルバムについて、どのような音楽やカルチャーに影響を受けているのか、今後の展望について簡単に答えてもらうことが出来た。また、エティエンヌは、「日本にもシューゲイザーファンがいると聞いて嬉しい。日本語を勉強中」と教えてくれた。

 

2024年に入り、Whitelandsの快進撃はとどまることを知らない。Rough Tradeのイベントに出演したほか、8月上旬にはソニック・カテドラルが主催するイベントで、Slowdiveと共演を果たす。



--バンドはイギリスの大学で結成されたと聞きましたが、結成秘話みたいなものはありますか?

 

Whitelands- Etienne(エティエンヌ):  バンド名のWhitelandsは、私が在籍していたローハンプトン大学(ホワイトランズ・キャンパス)から取ったんだけど、実は大学にはあんまり行ってなかったんだ! よく友達の誕生日にアコースティック・セットをやっていて、それがバンドの始まりだろうね。


 ーーニューアルバムのタイトル 「Night-Bound Eyes Are Blind To The Day 」の由来を教えてください。


Etienne(エティエンヌ):  このアルバムのタイトルは、『預言者』という本の中に出てくる「夜に縛られた目が昼に見えないフクロウは、光の神秘を解き明かすことができない」という言葉から来ているんだ。アルバムのテーマと共鳴する、とてもかわいらしい言葉だと思っているよ。

 

ーー最新アルバムのレコーディングで印象に残ったことはありますか?



Etienne(エティエンヌ): 具体的には思い出せないんだけど、アルバムが完成したときの達成感かなあ。超集中していました!!



ーー日頃、どんな音楽を聴いている?



Etienne(エティエンヌ):  他の人たちのことはよくわからないけど、マイケルはジャングル、ドラムンベース、エイフェックス・ツイン、シューゲイザーのようなエレクトロニックなものをよく聴いているよ。ヴァネッサはメタルとパンクが好きなんだ。

 

ジャグンは、パラモア、ポップス、ヒップホップ、ラップをよく聴く。僕(エティエンヌ)もネオソウル、シューゲイザー系をよく聴くし、AKGは僕のプレイリストにちょっと増えてきているよ。



--音楽以外で影響を受けた文化やメディアを挙げるとしたら?


Etienne(エティエンヌ):  そうだね。面白いことに、アニメ、映画、本が多いかな。アニメは大きな存在だと思うよ。

 

なぜなら、実は、僕自身はアニメのオープニングがきっかけでロックに目覚めたから。思い返すと、Akgの「ハルカカナタ」と「アフターダーク」が最初に聴いた曲だったと思う。ジャグンとマイケルもアニメはよく見てると思う。僕とマイケルは「serial experiments lain」とか「welcome to nhk」みたいなニッチなものが好きなんだ。


僕は今までたくさんのアニメを見てきたから、特に2010年代のガレージ・サウンドに大きな影響を受けたのは間違いないよ。アルバムのレコーディングの頃、「エヴァンゲリオン」を見ていて、シンジにとても共感したんだ。映画も確かに大きな存在だよ。


「tell me about it」では、ウォン・カーウァイ(香港の映画監督)の「fallen angels」がパラレルになっている。私は、曲を制作するとき、自分自身の感情に関連するものを見つけて影響を受ける傾向がある。実はそれは、碇シンジのことでもあり、私のことでもあります。




ーーエヴァンゲリオンの碇シンジに共感しているということですが、どのような点で親近感を感じますか?


 

Etienne(エティエンヌ):  私は人とのつながりに苦労している部分があるので、そういう意味では似ていると思うよ!



ーー音楽制作やライブパフォーマンスを通して、ファンに何を伝えたいですか?



Etienne(エティエンヌ):  シューゲイザーは誰にでも演奏できるし、表現しがたい感情を持つこともできる! みなさんもぜひバンドを作ってください!!

 


ーー将来どんなバンドになりたい?



Etienne(エティエンヌ):  武道館をソールドアウトさせるようなバンドかな。でも、きっと多くのバンドがそう言うんだろうね...。

 


「Tell Me About It」- 『Night- Bound Eyes Are Blind To The Day』


London four-piece shoegaze band Whitelands are a band to watch out for as guitar rock fans. The line-up consists of Etienne, Michael, Jagun and Vanessa. The band, led by vocalist Etienne, began their career while studying at Roehampton University in the UK. Initially, they performed acoustic sets at friends' birthdays.


Earlier this year, the band released their new album ”Night- Bound Eyes Are Blind To The Day” on Sonic Catherdal. The album gained support from shoegaze fans in Japan.
 
We were able to ask Etienne, the band's vocalist and frontman, to briefly answer some questions about their new album, what kind of music and culture influences them and their future plans. Etienne also says: ‘I'm happy to hear that there are shoegaze fans in Japan. I'm studying Japanese’.
 
Entering 2024, Whitelands' rapid rise continues: in addition to appearing at Rough Trade events, they will perform with Slowdive at an event organised by Sonic Cathedral in early August.

 

--...I heard that the band was formed at a university in the UK, do you have any sort of secret story behind the formation of the band?

Whitelands(Etienne):  The band name came from Roehampton university where I had a performance, but I wasn’t actually going to the university! I was doing an acoustic set for my friend’s birthday, and it just happened to be there!

 

--Please tell us Origin of the title of the new album “Night-Bound Eyes Are Blind To The Day" .


Whitelands:  The title of the album came from a quote in the book The Prophet “The owl whose night-bound eyes are blind unto the day cannot unveil the mystery of light”. It is a very pretty quote that resonated with the themes in the album.


--Were there any memorable moments during the recording of the latest album?



Whitelands:  I cannot remember anything specifically, I think that feeling of having it finished hit us afterwards. We were super focused!



--What kind of music do you guys listen to on a daily basis?


Whitelands:  I’m not too sure about the others but Michael listens to a lot of jungle, drum and bass, Aphex Twin, very electronic stuff with some shoegaze. Vanessa loves metal and punk.

Jagun listens to a lot of paramore, poppy-stuff, hip-hop and rap. I (Etienne) listen to a lot of neo-soul, shoegaze stuff too, AKG has been coming up a bit more in my playlists and some number girl.



--If you had to name a culture or medium that has influenced you besides music, what would it be? 



Whitelands:  Funnily enough, lots of Anime, Films and Books. I think anime is a big one because it was my first introduction to Rock music because of the openings, when I think back I think 「Haruka Kanata」and 「After Dark」 by Akg were the first songs I heard.

I think Jagun and Micheal watch a lot of anime too, Jagun more than Michael, but me and Michael like the niche stuff like 「serial experiments lain」 or 「welcome to nhk」.

I have watched a lot of anime in my lifetime so it definitely did have a big influence especially that garage sound of the 2010s. I was also watching evangelion around the time of the album recording and related a lot to Shinji and he was the parallel for the song “chosen light”.

Films are definitely a big one, with “tell me about it” having “fallen angels” by wong kar wai as the parallel. I tend to find things that relate to my own emotions and have them as an influence when writing songs, so it can both be about shinji ikari and also about me.

 

--You say you identify with Shinji Ikari of  Evangelion, in what ways do you find a affinity with him?

 

Whitelands: I think I struggle a lot with human connection, so I think in that way, i am a lot like him, although his situation is probably a lot tougher than mine!

 

--What do you want to communicate to your fans through your music production and live performances?


Whitelands:  Anyone can play shoegaze, anyone can have emotions that are hard to describe, nothing can stop you! Make a band!


--What kind of band do you want to be in the future?


Whitelands:  The type of band that sells out the Budokan, but I bet a lot of bands say that….

Softcult  『Heaven』 

 

 

Label: Easy Life Recordings

Release; 2024/05/24



Review

 

カナダの双子のシューゲイザーデュオ、ソフトカルトは、基本的にデビュー当時からシングルを中心に発表してきた。デュオの編成とは思えないほどの重厚なギターサウンドがプロジェクトの特徴となっている。


シューゲイザーというのは、My Bloody Valentineのケヴィン・シールズが述べているように、独立した音楽のジャンルを意味するのではなく、轟音のフィードバックノイズから発生するギターサウンドの抽象的な響きを示唆する。つまり、これは、ギターサウンドの特徴を音楽評論の側面から定義付けたものに過ぎない。


ソフトカルトのギターにはサウンドデザインのような要素が含まれており、また、苛烈なディストーション/ファズ・ギターからもたらされる音像に関しては、ドゥームメタルやアンビエントに近似するものがある。


ただ、デュオが''Riot Shoegaze''というジャンルを掲げて活動していることからも分かる通り、ソフトカルトの音楽性の中に、パンキッシュな性質が含まれていることは、ファンであればご承知のことと思われる。それらがアブストラクト、要するに抽象的なポップサウンドという形で最終的にアウトプットされる。パンクの影響下にあるシンプルなボーカルのフレーズは、近年、日本公演を行っていることからも分かる通り、実は大型のライブスポット向けの音楽でもある。


デュオの音楽には明確にフィードバックノイズを多用したシューゲイズのサウンドがある。それは90年代のMBV、RIDE、Slowdiveの次のポスト世代の音楽性の範疇にある。


例えば、Amusement Parks On Fire、Radio Dept.もしくはDIIVの最初期のようなポスト世代のシューゲイズサウンド。それに加えてソフトカルトのボーカルの最大の特徴は、Mewのような北欧のエレクトロポップの影響を受けた甘美的な雰囲気にある。ソフトカルトの音楽の魅力は厳密に言えば、スケールの進行やボーカルの旋律進行の巧みさにあるのではなく、ノイズアンビエントのような抽象性にあるというわけなのだ。


オープナーを飾る「Haunt You Still」は、Amusement Parks On Fireの「In Flight」のようなサウンドを彷彿とさせる。ドリーム・ポップの甘美的な雰囲気はコクトー・ツインズを彷彿とさせることもある。


「One Of The Pack」は姉妹が掲げるライオット・ガールという考えが上手く体現されており、ライブなどではかなりスリリングな熱狂を呼び起こしそう。 しかし、一方でそういった清冽なイメージは、ライトなポップネスやEvanescenesのようなニューメタルの後追いのようなサウンドに至ると、とたんに鮮烈なイメージが薄れて、旧態依然としたサウンドの中に絡め取られてしまう。プレスリリース等で、ラディカルな政治的な発言、政治信条、クイア・コミュニティに関するステートメントを率先して発信してきたソフトカルトだが、意外にも音楽的な側面では”保守的なバンド”に位置づけられる。

 

ただ、意外にも、実質的なデビューEPの最大の魅力は、シューゲイズとは異なる箇所に表れている。例えば、「Spiralling Out」のフェーザーをかけたグランジ風のギターは現在のオルタナティヴロックの中ではかなり良い線を行っていると思うし、それらがデュオの持つ独特な清涼感のあるボーカルのコーラスと溶け合った時、ようやくこのデュオが双子であったことを思い出させる。


そして、続く「9 Circle」では、Sigur Rosのようなポストロック/音響派の影響を感じさせるイントロに続いて、シャリッとしたギターが入ってくる瞬間はクールな雰囲気がある。その後のミステリアスな音楽的な効果、そして、サイレンスからラウドへとダイナミックに移り変わる瞬間も、ソフトカルトの抜群のセンスが滲み出ていると言える。しかし、これらのサウンドは、インクを水で薄めたような印象があり、オルタナティヴの核心にはいまだ至っていない。これはもしかすると、デュオという編成の弱点を埋めようとして重厚なサウンドを作り込んだ結果、落とし穴に入り込んだようにも感じられる。最近では、チープな音楽性を生かしたポストパンクバンドもそれなりに出てきているので、少し工夫すべき点が残されているかも知れない。


そんな中でも良質なメロディーを追求しようとする姿勢が、続く「Shortest Fuse」で花開いている。デュオの作り出すボーカルのハーモニーの美しさはメタルと結びついて、他のどのバンドにも求めがたいスペシャリティーに変容している。それらが少しゴシックの影響を受けたシューゲイズサウンドとして昇華される。特異なのは暗鬱なイメージから切ない情感が引き出されることである。


EPのタイトル曲「Heaven」は、デュオの描くユートピアのイメージが体現される。この曲にもデュオの抜群のメロディーセンスが繊細なハーモニーを生み出す。ダークアンビエント、ニューメタル、ポストロック/音響派、エモ、ドリームポップというように、複合的な要素を織り交ぜ、甘美的な音楽とは何かを示している。次作にも期待してます!!

 

 

 

74/100

 

 

 

Best Track- 「Shortest Fuse」 

 


『A Far From Home Movie』は、1990年代のシューゲイザー・アイコン、LUSHの新しい短編ドキュメンタリー映画で、1992年から1996年のツアー中にベーシストのフィリップ・キングが撮影したスーパー8の映像が元になっている。

 

この映画は本日、クライテリオン・チャンネルで初公開された。以下は、バンドのレーベル、4ADが公開した予告編(トレイラー映像)である。35分に及ぶ映画全編はクライテリオン・チャンネルで視聴可能です。


この映画の限定版ポスター2種も公開された。リゾグラフ印刷のA3限定ポスターで、1枚は上、もう1枚は下。4ADから予約注文できる。


キングはプレスリリースで次のように語っている。 「1996年10月にドラマーのクリス・アクランドが悲劇的な早すぎる死を遂げるまで、さらに320回ほどプレイすることになる。私は信頼できる三共のスーパー8カメラをツアーによく持って行ったが、フィルム代が高かったので、映像は控えめに撮るようにしていた。このフィルムがツアー中の興奮(と退屈さ)をとらえていてくれることを願っている。

 

「そして、悲しいことだが、振り返ってみると、私たち全員がクリスを惜しんでいたことにふさわしい追悼となることを願っている」


昨年、4ADはLushの3枚のスタジオ・アルバム、Spooky (1992)、Split (1994)、Lovelife (1996)をリイシューした。


1月には、LUSHのシンガー/ギタリストであり、現在はピロシカのメンバーでもあるミキ・ベレニイが、5月と7月にLUSHのアルバムをリリースすることを発表した。

 

Official Trailerー『A Far From Home Movie』


Flyer


 

©Pat Piasecki

 

日本人ギタリスト、安江さんを擁するデトロイトのシューゲイザーバンド、ドロップ・ナインティーンズ(Drop Nineteens)は、デビューアルバム『Delaware』の再発リリースを発表した。このアルバムは6月21日にWharf Catからリリースされる。バンドは2曲の新曲「Nest」とラナ・デル・レイ(Lana Del Rey)の「White Dress」のカバーを公開した。試聴は以下から。


「バンドリーダーのグレッグ・アッケルは声明の中で、「私はラナに遅れをとったんだ。それでも、この曲は僕の心を掴んで離さなかったから、バンドに持ち込むことに決めた。ラナ・デル・レイの'White Dress'をカヴァーしようと提案した時、バンドは少し横目で僕を見たんだけど、僕が考えていたことを一緒にやり始めた瞬間、彼らはこの曲にロックオンしてくれたんだよ」


『Nest』については、次の通りである。「『Nest』はもともと、最新アルバム『Hard Light』のオープニングかエンディングを飾るつもりだった。より良いオープニングとクローザーがあることに気づいたとき、アルバムに収めるのに最適な場所が見つからなかったんだ。この曲は、『White Dress』のB面として適切なクローズだよ。なぜなら、この曲はドロップ・ナインティーンズがしばらくの間、いや、おそらくこれまでリリースする最後の曲なのだからね」


バンドは再発のため、アルバムのカバー・アートも変更し、少女が手に持っている銃を花に置き換えた。

 

「これは自己キャンセルのためというよりも、今日の情勢において、銃を手にした若者のイメージを世に出すわけにはいかなかったというのが理由なんだ。公正を期しておくと、1992年のリリース当時でさえ、このコンセプトは誇張されすぎていたかもしれない。私たちは、この新しいジャケット・デザインをものすごく気に入っている。このデラウェアの再発盤の売り上げの一部を慈善団体、Artist For Action To Prevent Gun Violenceに寄付できることを誇りに思っています」


昨年、ドロップ・ナインティーンズ(Drop Nineteens)はカムバック・アルバム『Hard Light』をリリースした。

 

 

 





Drop Nineteens 『Delaware』 ーReissue



Label:  Wharf Cat

Release: 2024/06/21

 

Tracklist:


1. Delaware

2. Ease It Halen

3. Winona

4. Kick the Tragedy

5. Baby Wonder’s Gone

6. Happen

7. Reberrymemberer

8. Angel

9. My Aquarium

10. (Plus Fish Dream)