【Essential Guide】90年代のテクノの名盤ガイド Aphex Twin、Plaid、Oval、Thomas Fehlman まで
■ 90年代のテクノ・ミュージック Plaid 90年代のテクノの立役者デトロイトで始まり、隣接するシカゴを経て、海を渡り、イギリスに輸出されたテクノミュージック。現在でもハウスと並んで人気のあるダンス・ミュージックである。Kraftwerkから始まった電子音楽のイノベーションは、NEUの実験的な音楽の位置づけを経て、アメリカ、イギリスに渡り、それらの前衛的な性質を残しつつも、ベースメントの領域で独自の進化を辿るようになった。元々、アメリカではブラックミュージックの一貫として始まったこのジャンルがイギリスに渡ると、白人社会の音楽として普及し、80年代の後のクラブカルチャーを後押しした。1990年代のテクノ・ミュージックは、新しもの好きのミュージシャンがラップトップで制作を始めた時期に当たる。90年代のテクノが以前のものと何が異なるのかといえば、その音楽的な表現を押し広げ、未知の可能性を探求するようになったことだろうか。 このジャンルを一般的に普及させたデトロイトのDJ、ジェフ・ミルズは、この年代において「テクノはストーリーテリングの要素を兼ね備えるようになった」と指摘している。いわば、それまでは4つ打ちのハウスのビートのリズムをベースに制作されるDJの音楽という枠組みにとどまっていたテクノは、ナラティヴな性質を擁するに至る。そのおかげか、たとえ全体的なイメージが漠然としていたとしても、制作者やDJは、音楽の概念的なイメージをリスナーに伝達しやすくなった。 近年でも、これらの「ストーリーテリングの要素を持つテクノ」という系譜は受け継がれていて、Floating[....]