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【Essential Guide】90年代のテクノの名盤ガイド  Aphex Twin、Plaid、Oval、Thomas Fehlman まで

■ 90年代のテクノ・ミュージック  Plaid  90年代のテクノの立役者デトロイトで始まり、隣接するシカゴを経て、海を渡り、イギリスに輸出されたテクノミュージック。現在でもハウスと並んで人気のあるダンス・ミュージックである。Kraftwerkから始まった電子音楽のイノベーションは、NEUの実験的な音楽の位置づけを経て、アメリカ、イギリスに渡り、それらの前衛的な性質を残しつつも、ベースメントの領域で独自の進化を辿るようになった。元々、アメリカではブラックミュージックの一貫として始まったこのジャンルがイギリスに渡ると、白人社会の音楽として普及し、80年代の後のクラブカルチャーを後押しした。1990年代のテクノ・ミュージックは、新しもの好きのミュージシャンがラップトップで制作を始めた時期に当たる。90年代のテクノが以前のものと何が異なるのかといえば、その音楽的な表現を押し広げ、未知の可能性を探求するようになったことだろうか。 このジャンルを一般的に普及させたデトロイトのDJ、ジェフ・ミルズは、この年代において「テクノはストーリーテリングの要素を兼ね備えるようになった」と指摘している。いわば、それまでは4つ打ちのハウスのビートのリズムをベースに制作されるDJの音楽という枠組みにとどまっていたテクノは、ナラティヴな性質を擁するに至る。そのおかげか、たとえ全体的なイメージが漠然としていたとしても、制作者やDJは、音楽の概念的なイメージをリスナーに伝達しやすくなった。 近年でも、これらの「ストーリーテリングの要素を持つテクノ」という系譜は受け継がれていて、Floating[....]

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Tychoが新作アルバム「Infinite Health」を発表 8月30日にNinja Tuneからリリース

 TYCHO(スコット・ハンセンによるエレクトロニック・プロジェクト)がニューアルバム「Infinite Health」のリリースを発表した。メロディアスで精妙なテクノをアウトプットするティコ。近年は、Saint Sinnerとのコラボレーション等を通して、ボーカル・トラックを中心に制作してきた。”聞きやすいテクノ”といえば、真っ先にティコを思い浮かべる人もいるはずだ。 ニューアルバム「Infinite[....]

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【Review】Four Tet 「Three」    英エレクトロニック・プロデューサー、キーラン・ヘブデンの見事なサウンド・デザイン 

  Four Tet 『Three』Label: Text RecordsRelease: 2024/ 03 /15Review 以前、Four Tetはライセンス契約をめぐり、ドミノと係争を行い、ストリーミング関連の契約について裁判を行った。結局、レーベルとの話し合いは成功し、ストリーミングにおける契約が盛り込まれることになった。 ジェイムス・ブレイクにせよ、フォー・テットにせよ、フィジカルが主流だった時代に登場したミュージシャンなので、後発のストリーミング関連については頭を悩ませる種となっているようなのは事実である。しかし、直近の裁判についてはレーベルとの和解を意味しており、関係が悪化したわけではないと推測される。 ともあれ、新しいオリジナル・アルバムがリリースされたことにエレクトロニック/テクノファンとしては胸を撫で下ろしたくなる。アルバム自体も曇り空が晴れたかのような快作であり、からりとした爽快感に満ちている。今回のアルバムはテクスト・レコードからのリリースとなる。フォー・テットことキーラン・ヘブデンは、エレクトロニック・プロデューサーの道に進む以前、ポスト・ロックバンドに所属していたこともあり、テクノ/ダウンテンポのアプローチを図るアーティストである。生のドラムの録音の中に、ジャズやグライム、フォーク・ミュージックを織り交ぜる場合がある。Warp[....]

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Four Tet 新作アルバムの発表が間近?? ニューシングル「Loved」により2024年の始まりを告げる

 ©Gracia VillamilFour Tet(ロンドンを拠点に活動するキーラン・ヘブデンによるプロジェクト)は、オウテカと並んでテクノ・ムーブメントにとって不可欠な存在。ノンリズムを特徴とする”Autechre”と同じように、アヴァンギャルドなテクノのアプローチを行うことで知られている。リズムの画期的な変革、音階の前衛性に重点を据えるフォー・テットの電子音楽には、テクノ、ジャズ、ヒップホップ、UKグライム、フォークというように驚くべき多彩なクロスオーバーが敷かれている。 Four[....]

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Kraftwerk 「Autobahn」の制作における偉大な貢献者  エミール・シュルト

「Autobahn」のオリジナル盤のアートワーククラフトワーク(独:クラフトヴェルク)は、1970年代にビートルズを凌ぐほどの人気を獲得した。クラフトワークには象徴的なカタログがある。「Trans-European Express」、「Die Mensch Maschine」は当然のことながら、「Autobahn」も軽視することは出来ない。そしてクラフトワークはメンバーを入れ替えながら活動しているが、プロジェクトの主要なメンバーであるラルフ・シュナイダーとフロリアン・ヒュッターに加え、当時、画家として活動していたエミール・シュルトによる上記の3作品における功績を忘れてはならない。シュルトは、クラフトワークの複数のアルバムのカバーアート、歌詞を手がけ、デザインと詩の側面から多大な貢献を果たした人物である。そもそも、エミール・シュルトがクラフトワークのメンバーの一員となったのは、フロリアン・シュナイダーが彼のスタジオに姿を現したときだった。最初、シュナイダーはシュルトにバイオリンの弓を制作するように依頼し、シュルトはクラフトワークの使用していたスタジオに出入りするようになった。 当時から、シュナイダーとヒュッターは最新鋭のドラムマシン、エフェクトボードを所持しており、シンセサイザーのコレクションを多数所有していた。シュナイダーとヒュッターはともに、裕福な家庭の生まれだったが、シュルトは、デュッセルドルフ近郊のメルヒェングラートバッハで育った。この土地は、1960年代の頃、非常に制限的であり、文化的に貧しい場所であったという。その後、奨学金を得て、ニューヨークへと行き、様々な音楽に親しむことになる。いつもシュルトは彼らのスタジオを訪れるたびに、新しい機材が搬入されたことに驚きを覚えていた。その頃、すでにシュルトはクラフトワークのことを良く知っており、ディーサー・ロスのクラスで勉強をし、彼らの音楽を使い実験映画を作曲していた。流水の音、車の音といった音楽的な実体、現在でいう環境音を表現しようとしていた。 クラフトワークのスタジオを訪れるようになった後、エミール・シュルトは、ギター、ベース、ドラム、オルガンを用いて小さなジャムセッションを始めた。その後、実験音楽の方向性へと進んでいった。 フロリアンはシュルトに中古ギターを渡し、彼は周波数を調整していた。伝統的な高調波の仕組みまでは理解していなかったというが、周波数変調の技術を実験音楽として制作しようとすべく試みた。うまくいったこともあれば、うまくいかなかったこともあった。音の周波数を変更するため、送信機を使用していたというが、その送信機から物理的な距離があると機能しなかった。 実際、クラフトワークのライブステージでもこの送信機が使用された。ケーブルでの接続が出来なかったので、最終的にメンバーはローラースケートを使用してステージを走りまわり、送信機の受信範囲を超えると、激しいひび割れたようなノイズが発生した。しかし、エミール・シュルトに関しては、観客と折り合いがつかず、クラフトワークのライブメンバーとしての期間はあっという間に過ぎ去った。以降、彼はビジュアル・アーティストの経験を活かし、歌詞とアートワークの2つの側面で、いわば''裏方''としてクラフトワークの活動をバックアップしたのだった。曲の歌詞に関しては、「The[....]

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Aphex Twin 『Blackbox Life Recorder 21f / in a room7 F760』- Review

  Label: WarpRelease: 2023/7/28 Review2015年のアルバム『Computer Controlled Acoustic Instrument Pt.2』以来のリチャード・D ・ジェイムスの復帰作となる。近年は、実験音楽に親しんでいて、ジョン・ケイジ調のプリペリド・ピアノのサンプルを配したり、また、ドラム・フィルを集めてアコースティックなブレイクビーツとして配したりと実験的なIDMに取り組んでいた。その過程ではノイジーなハードコア・テクノも生まれたが、一方でピアノ・アンビエントとも称せる「aisatsana[102]」のような静謐な音楽も作り出されている。[....]

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Jan Jenelik  『SEASCAPE -polyptych』/ Review

 Jan Jenelik  『SEASCAPE -polyptych』 Label: FaticheRelease: 2023/4/28Reviewドイツ/ベルリンを拠点に活動するJan Jenelik(ヤン・イェネリック)は、20年以上にもわたり、グリッチ/ノイズの製作者として活動して来た。オリジナルアルバムとして有名な作品は、『Loop-Finding-Jazz-Records』(2001年)がある。2000年代から一貫して、イェネリックはドイツのレーベル”Fatiche”からリリースを行っており、今回のアルバムも同レーベルからのリリースとなる。 さて、グリッチ/ノイズシーンでは、ベテラン・プロデューサーの域に達しつつあるヤン・イェネリックの最新作は、映画のためのサウンドトラックで、より正確に言えば、映画をもとに制作された実験音楽でもある。この度、ヤン・イェネリックは、1956年のジョン・ヒューストン監督の映画『白鯨』(原作はハーマン・メルヴィルの同名小説)のエイハブ船長の独白をモチーフにして、それを電子音楽として組み直そうという試みを行った。つまり、純粋な音楽作品というよりかは、二つの媒体を融合させたメディア・アートに属する作品と称せる。映像や作中人物の声のデータをグリッチ/ノイズ、アンビエントとして再現させるという内容である。 ヤン・イェネリクは『SEASCAPE[....]

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【Weekly Music Feature】 Tim Hecker 「No Highs」  カナダのDJ/ プロデューサーによるドローン音楽の進化系 

Weekly Music Feature Tim Hecker 『Infinity Pool』、『The North Water』シリーズのサウンドトラックのオリジナルスコアを手がけたティム・ヘッカーが、『Konoyo(コノヨ)』『Anoyo(アノヨ)』の後継作の制作のためにスタジオにカムバックを果たしました。シカゴのKrankyからリリースされた『No[....]

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Clark、新作アルバム『Sus Dog』の最新シングル「Dismmisive」を公開

 イギリスの敏腕エレクトロニック・プロデューサー、CLARKが5月26日にThrottle Records発売される新作『Sus Dog』の最新シングル「Dismmisive」を公開しました。 このニューアルバムには、クリス・クラークの旧友であるトム・ヨークがエグゼクティブ・プロデューサーとして名を連ねています。 ファン待望の次作アルバム『Sus[....]

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Ricardo Villalobos,Ela Minus&DJ PythonのコラボレーションEP『♡』のリミックスを手掛ける

 Ricardo Villalobos/DJ Python & Ela Minus チリ出身のエレクトロニック・プロデューサー、Ricardo Villalobos(リカルド・ヴィラロボス)がEla MinusとDJ Pythonの2曲のリミックスを担当しました。 リカルド・ヴィラロボスはテクノ/ハウスの作曲の他、リミックスの領域で天才的な才覚を発揮するプロデューサー。ECMの再構築アルバム『Re:ECM』におけるグリッチの再プロデュースの手腕は傑出している。今回、リカルド・ヴィラロボスが手掛けたリミックスEPは拡張リミックスで、「Kiss[....]

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Clark,新作アルバム『Sus Dog」の最新シングル「Clutch Pearlers」を公開 トム・ヨークがボーカルを担当

 ClarkClarkは4thアルバム『Sus Dog』の最新シングル「Clutch Pearlers」を公開した。ニューシングルは前作シングル「Town Crank」と同様、クラークの作品にしては珍しいヴォーカルトラックとなっている。トム・ヨークは自身がボーカル録音を提供したコラボレーションについて、次のように語っている。「クリスは私に、歌を始めたので感想やアドバイスが欲しい、彼にとっては新しいサメの入り江のようなものだ、と書いてきたんだ。 私は彼がやっていることに何年ものめり込んでいて、結局、彼がその奇妙なことをつなぎ合わせている間、私は後部座席の運転手のような存在になってしまったんだ。 私は、彼が歌と言葉について、まったく別の扉から入ってきたことを発見しても驚かなかったし、それが私にとって最も興味深く、刺激的な部分だった。 彼が最初に送ってきたのは、2つのフロアの間に挟まれたことを歌っているもので、私はすでに納得していました。それは、彼が作曲やレコーディングに取り組む方法と同じでしたが、今回は人間の顔をしていたのです」  Clarkは昨年、初期の代表作『Body[....]

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New Album Review  Pole 『Tempus』

 Pole  『Tempus』   Label: Mute Release: 2022年11月18日  Review  ドイツ/ベルリンのプロデューサー、ステファン・ベトケは、既に長いキャリアを持つ電子音楽家で、ドイツのテクノ・ミュージックの伝統性を受け継ぐミュージシャンとして知られている。2000年代後半に発表した、三部作『I』『Ⅱ』『Ⅲ』において、このサウンド・デザイナーの持つ強固な個性を見事な電子音楽として昇華した。この三部作は、コンピューターシステムのエラーを介して発生するグリッチを最大限に活かした傑作として名高い。冷徹なマシンビートが重層的に組み合わされて生み出される特異なグルーブ感は、ベトケの固有の表現性と言えるだろう。先週金曜日に発売された『Tempus』は、ステファン・ベトケ曰く、2020年の前作アルバム『Fading』の流れを受け継いだもので、その延長線上にあるという。しかし、2000年代の三部作とは異なる作風を今作を通じてベトケが追い求めようとしているのは、耳の肥えたリスナーならばきっとお気づきのことだろう。ステファン・ベトケは、今回の制作に際して、母親の認知症という出来事に遭遇したのを契機として、その記憶のおぼつかなさ、認知症の母に接する際の戸惑いのような感覚を、今作に込めようとしたものと推測される。しかし、記憶というのは、常に現在の地点から過去を振り返ることによって発生する概念ではあるが、ーー過去、現在、未来ーー、と、ベトケは異なる時間を1つに結びつけようとしている。これが何か、本作を聴いた時に感じられる不可思議な感覚、時間という感覚が薄れ、日頃、私達が接している時間軸というものから開放されるような奇異な感覚が充ちている理由とも言えるのである。今作のアプローチには、2000年代のグリッチ/ミニマルの範疇には留まらず、実に幅広いベトケの音楽的な背景も窺える。そこには、メインとするグリッチの変拍子のリズムに加え、CANの『Future[....]

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Daphni 新作アルバム「Cherry」の制作を発表  先行シングル「Cloudy」をリリース

 カナダ出身のDan Snaith(ダン・スナイス)は、”Caribou”の名を冠するグリッチテクノシーンの大御所であるが、さらに、もうひとつ、電子音楽家、”Dephni”としての顔も併せ持つ。さらに、彼は天才数学者でもある。 ダン・スナイスは、これら2つのプロジェクトにおいて若干の方向性の相違を示してきた。彼は、しばしば、カリブーとダフニの両方でフェスティバルに出演し、自分のバンドで伝統的なショーを行った後、もう一つのアイデンティティでDJを行う。先月のこと、ダン・スナイスは、ダフニとして、新曲「Cherry」をリリースしたが、これは2019年のEP『Sizzling』以来の同プロジェクトからの新曲となった。そして、今回、新たなシングル「Cloudy」をリリースした。この秋、ダフニは、ニュー・アルバム『Cherry』を10月7日にJiaolongからリリースする予定で、これは2017年の『ジョリ・マイ』以来のダフニとしてのフルレングス・プロジェクトとなる。このアルバムには、シングル「Cherry」のほか、先日公開されたばかりの新曲「Cloudy」が収録される。この曲は、宇宙的であり、さらに、緻密かつ濃密な7分にも及ぶ壮大なダンス・トラックである。瞑想的なピアノの上に会話のようなボーカルのサンプリングがオーバーダビングされている。さらに、シカゴ・ハウスのようなファンキーで推進力のあるベースラインが提示され、Caribouにおけるグリッチノイズのアプローチとは明らかに一線を画している。     Daphni[....]

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電子音楽家 caribou Daphni名義のニューシングル「Cherry」をリリース

Cariou  アメリカの電子音楽家、さらに天才数学者として知られるCaribou、ダン・スナイスは、ダフニ名義でのニューシングル「Cherry」をリリースしました。これは2019年のEP「Sizzlng」に続くシングルとなります。これまでのCaribouの作風と同様に、リズムそのものの複雑性とアナログシンセサイザーの音色に重点が置かれている。[....]

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Weekly Recommend  Apifera 「6 VISITS」

 Apifera アピフェラは、イスラエル出身のYuvai Havkin、Nitaii Hershkovis、Amir Bresler、Yonatan Albarakの四人によって結成されたジャズ・カルテット。音楽性は、電子音楽、ジャズ、民族音楽、また、オリジナルダブのような様々な音楽のクロスオーバーしたものであるといえるでしょう。 テルアビブに活動拠点を置くアピフェラは、2020年、LAの比較的知名度のあるインディペンデントレーベル”Stone[....]

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Weekly Recommend  SQUAREPUSHER 「FEED ME WEIRD THINGS」

Squarepusher 「Feed Me Weird Things」2021    英国のWarp Recordの象徴的な存在、この二十年の英国のクラブシーンをエイフェックス・ツインと共に牽引して来たスクエアプッシャーのデビュー作「FEED ME WEIRD THINGS」の25周年記念リマスター・バージョンが6月4日に再発される。 オリジナル版はLPリリースのみで、今回デジタル版としては最初のリリースとなります。ファンは泣いて喜びましょう。 「高音質UHQCD」という聞き慣れない圧縮形式が、技術的にどんなものなのかについての詳細は、ハイ・クオリティCD-Wikipediaを参考にして頂き、ここではスクエアプッシャーの新譜の感想のみを述べておこうと思います。      [....]

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Clark 「Playground In A Lake」

   Clark「Playground In a Lake」     Clarkは、クリス・クラークのソロプロジェクトで、スクエアープッシャーやエイフェックスと共に既にテクノ界の大御所ともいえる存在。   現在、イギリスからドイツに移住し、ワープレコードから移籍し、今作も前作に引き続いてドイツ・グラムフォンからのリリースです。   クリス・クラーク自体は、オラフソンの作品への参加など近年、クラシカルアーティストに近い活動を行うようになり、その辺りは彼の最近のドイツ移住に関連しているのかもしれません。   元々、クラークというのは、イギリスのワープ・レコーズの代表的な存在であり、元々はコアなテクノ、エレクトロを追求するアーティストでしたが、2016年「The[....]

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ダンスミュージックの一大革命 Squarepusher 「Ultravisitor」

Squarepusher 「ultravisitor」今回は、ここで、あらためてくだくだしく説明するまでもなく、Aphex Twinと双璧をなすワープ・レコードの代名詞的な人物にして、現代エレクトロニカ界の大物アーティスト、スクエアプッシャー!! まず、この人のすごすぎるところは、電子楽器、たとえば、シンセやシーケンサーにとどまらず、生楽器の演奏というのも自分でやってのけ、しかも、ほとんど専門プレイヤー顔負けの超絶技巧を有している点です。音楽性自体も非常に幅広く、電子音楽家という範囲で語るのが惜しくなるような逸材です。おそらく彼にとっての音楽というのは人生そのものなのでしょう。特に、ベーシストとしても才能はずば抜けており、後の彼のジャズ・フュージョンのエレクトリックベースソロ・ライブは、音楽史において革命の一つであり、ジャズベースの名プレイヤー、ジャコ・パストリアスにも全く引けを取らない名演でした。そして、このアルバムもまたスクエアプッシャー節、いわゆるドラムンベースの怒濤のラッシュとともに、さまざまな音楽のエッセンスが盛り込まれている辺りで、彼の代表作のひとつとして挙げても良いでしょう。一曲目の「Ultravisitor」のライブのような音作りを聞いた時は、かなりヒッと悲鳴をあげ、少なからずの衝撃を受けました。はじめはこれはライブアルバムなのかと面食らったほどの生音感、また、そこには観客の歓声もサンプリングされており、スクエアプッシャーのライブをプレ体験できます。いや、それ以上の興奮感でしょう。後のスクエアプッシャーの数あるうちの方向性のひとつを定めたともいえる楽曲であり、彼自身も相当な手応えを持って、リリース時にこの曲「ultravisitor」を一曲目にすることを決断したのではないでしょうか。これはクラブミュージック屈指の名曲。疾走感、ドライブ感があり、よくいわれるグルーブ感という概念、つまり音圧のうねりというのがはっきりと目の前に風を切って迫って来るような感じがあって、この曲を聞けば、その意味が理解できるだろうと思います。そして、ボノボのようなチルアウト感をもったアーティストとは異なり、彼は非常に熱いエレクトロニカを展開しています。これはほとんライブ会場内で、生々しい音を体感しているかのようなサウンドプロダクションといえ、他にこういった熱狂的なダンスミュージックは空前絶後。この曲で、彼は現代クラブミュージックシーンを、ひとりで、いや、リチャードDと二人で塗り替えてしまったといっていいでしょう。 このアルバム「ultravisitor」の興味深いのは、全体的にはライブの生音的なサウンド面でのアプローチが見られる所でしょう。もうひとつ挙げるべき特徴は、ドラムンベース・スタイルのダンスミュージック的な性格もありながら、それでいて多彩なジャンルへの探究心を見せている。例えば、ジャズ・フュージョンや古典音楽的な楽曲の才覚を惜しみなく発揮しているところに、ひとつのジャンルとして収めこもうと造り手が意識すること自体がきわめてナンセンスだというメッセージがここにほの見えるかのようです。つまり、ジャンルというのは、売る側が決める都合であり、作り手は絶対にそんなことを考えてはいけないということなんでしょう。まさに彼はそういった意味で、一種のラベリングに対する無意味さを熟知しているといえますね。 とりわけ、アルバムのなかで異彩を放っている「Andrei」という楽曲、これは甘美な響きがある現代音楽家の古典音楽へのつかの間の回帰ともいえるでしょう。イタリアの古楽のような響きがあり、中世リュートの伝統的な和音進行が、実に巧みに使いこなされ、バッハのコラール的な対旋律ふうに、ベースが奏でられています。これは本当に、彼の美しい名曲のひとつに挙げられます。もうひとつ、最後のトラックでも同じようなアプローチが見られ、「Every[....]

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ダブステップの進化  Andy Stott 「Luxury Problems」  

Andy Stott  「Luxury Problems」2012  アンディ・ストットを最初に聞いたとき、音のニュアンスが”Burial”に近いのかなとも思いましたが、よく聴くと全然違うようです。確かにダブステップのニュアンスもありますが、その実、似て非なる存在かもしれません。 上記の二人は、古いダブといわれるスタイルの代表格、同じ英国のリントン・クウェシ・ジョンソンあたりの古典的なアーティストと比べると、現代のイギリスのダブ・ステップというのは、レゲエ、スカ色は薄まり、ダビング的な玄人好みの複雑で立体的なリズム性だけが引き継がれています。 とりわけ、このアンディ・ストットを唯一無二の存在たらしめているのは、インダストリアルの硬質な香りでしょうか。都会で鳴り響くような洗練された雰囲気、それがとてもクールに表現されています。そして、彼の音楽性には、必ずしもフロアで鳴らされるだめだけに作られたものではないところが興味深いです。ボノボあたりのひとりで家のなかで聴くような、鑑賞するための絵画的な音楽としても楽しめるでしょう。 [....]

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