その兆候はすでに前作からはっきりとした形で見え始めていたが、ハルの4人組バンドbdrmm(ベッドルーム)は単なるシューゲイズバンドではない。エレクトロニクスを含めた多彩な音楽性をもとにして、新世代のロック・ミュージックを構築しようと模索しているところである。

 

bdrmmはニューシングル「Infinity Peaking」を公開した。同曲は、彼らをツアー中に発掘したモグワイの主宰するレーベル”Rock Action”から2月28日にリリースされるアルバム『Microtonic』に収録される。「And it feels like I'm losing my way/ And it feels like I'm losing the way」とライアン・スミスが歌うこの曲は、陰鬱だが、迷い込むには本当に楽しい曲だ。


「Infinity Peaking」は、シューゲイザーとエレクトロニカの慎重なバランスという、かつてのバンドと今のバンドを完璧に表現している。 イントロのエレクトロニクスからゆったりとしたドラムが始まり、そして創造性の高いロックソングが組み上がっていく。ボーカルにも注目だ。

 

「この曲はマラガにいた時に書いた。薄暗いベッドルーム以外で書いた最初の曲だ。 ドゥルッティ・コラムの『湖のホテル』(1990年)を彷彿とさせるロケーションを捉えているような気がする」


「歌詞とは裏腹に)真の喜びに満ちたトラックで、スタジオで作業するのが楽しかった」と彼は付け加えた。 「この曲は(歌詞とは裏腹に)真の喜びに満ちていて、スタジオで作業するのが楽しかった。 スタジオの床に座って、買ったばかりのペダルを囲んでいるときが一番幸せなんだ」

 


「Infinity Peaking」

 

bdrmm  三作目のアルバム『Microtonic』を発表 Rock Actionから2/28に発売

 

 

オークランドのエクスペリメンタルポップミュージシャン、クリスティア・カブラルによるプロジェクト、SPELLLINGは4枚目のアルバムを発表した。

 

『Portrait of My Heart』は、Sacred Bonesから3月28日にリリースされる予定だ。このアルバムには、Toro y Moi(トロ・イ・モア)のチャズ・ベアがヴォーカルで参加し、Turnstileのギタリスト、Pat McCrory、ZuluのBraxton Marcellousがインストゥルメンタルで参加している。

 

カブラルはプレス・リリースで、「タイトル・トラックの歌詞がまとまったとき、これまで私が取り組んできたような気まぐれな風景ではなく、よりエネルギッシュな方向へとすべてが変化し始めた」

 

「よりドライブし、より高いエネルギーを持ち、より集中するようになった。そのため、私はこの作品に大きな愛着を持っている。変容に耐えたような感じが気に入っている。時代を超越した感覚を持っていてほしい。こんな風に存在したり、あんな風に存在したり、こんな風に存在したりというように」


「Portrait of My Heart』をレコーディングするために、カブラルはツアー中のバンド仲間(ミステリー・スクールとして活動)であるワイアット・オーヴァーソン(ギター)、パトリック・シェリー(ドラムス)、ジュリオ・ザビエル・チェット(ベース)と一緒に参加した。 アルバムの最後にはMBVのカバーが収録されている。

 

エクスペリメンタルポップと紹介されることがあるSpellingであるが、今回のアルバムではよりジャンルを絞り、ドリームポップやシューゲイズを絡めたギターロックに傾倒しているようだ。


 

「Portrait Of Heart」

 




Spelling 『Portrait of My Heart』

Label:Sacred Bones

Release:2025年3月28日


Tracklist:

1. Portrait of My Heart
2. Keep It Alive
3. Alibi
4. Waterfall
5. Destiny Arrives
6. Ammunition
7. Mount Analogue
8. Drain
9. Satisfaction
10. Love Ray Eyes
11. Sometimes (My Bloody Valentine cover)

 

©Lub yFaye


NYのインディペンデントの名門/マタドールの看板バンドであるHorsegirlは、先日、米ローリング・ストーン誌で特集が組まれたばかりである。シカゴの正真正銘のDIYシーンから登場したインディーズトリオは、1stアルバムで大きな注目を集めたのち、コーチェラなどへの出演を足がかりにバンドとしてステップアップの気配を見せている。ホースガールはセカンド・アルバムを間近に控えているが、本日、アルバムから3作目のシングル「Switch Over」が配信された。

 

「2468」と「Julie」に続き、ノラ・チェンとペネロペ・ローウェンスタインのヴォーカルが催眠術のように行き来するこの曲は、ガイ・コザック監督によるミュージック・ビデオ付きでリリースされた。ザラザラとした硬質なギターワーク、手拍子、バンドのお馴染みのコーラスワークが秀逸だ。明らかに最初期のYo La Tengoのローファイ性を受け継いたナンバーである。



ケイト・ル・ボンがプロデュースし、ホースガールの原点であり音の故郷であるシカゴのザ・ロフトでレコーディングされた『Phonetics On and On』は、ポップ、ミニマリズム、遊び心のある実験の境界線を探る。

 

ホースガールは、ル・ボンの協力のもとヴァイオリン、シンセ、ガムラン・タイルなどの新しいツールを駆使し、明るくクリアな音の領域へと広がり、この世界に命を吹き込んだ。リースの踊るようなドラムのメロディーとローウェンスタインの明るいギターのリードが、バンドのケミストリーと熟達したフォームに注意を向けるように、このアルバムは踊るようなアルバムだ。


曲作りには自信に満ちたシンプルさがある。ホースガールは思いがけないほど正直な歌詞を書き、少女時代や青春時代の情景を、優しさがレコーディングを行き来するように私たちを導いてくれる。親友同士のバンドであることから生まれる愛が感じられる。それは、『Phonetics On and On』に常に存在する愛。

 

ホースガールの2ndアルバム『Phonetics On and On』は、マタドール・レコードから2月14日にリリースされる。

 

 

 「Switch Over」

 

 

ホースガールは、2月22日にシカゴのメトロでレコ発ライヴを行い、3月にはフリー・レンジのサポートで南東部と北東部をツアーし、その後2025年に英国とヨーロッパをツアーする予定。ツアーサポートは同レーベルの若手の新鋭、Lifeguardなどが務める。



Horsegirl Tour Date:

Saturday February 22, Metro (Record Release Show), Chicago IL ^
Friday March 21, First Unitarian Church, Philadelphia PA %
Saturday March 22, Black Cat, Washington DC %
Sunday March 23, Kings, Raleigh NC %
Monday March 24, The Warehouse, Richmond VA %
Wednesday March 26, Space Ballroom, Hamden CT %
Thursday March 27, Arts at The Armory, Somerville MA %
Friday March 28, Bearsville Theater, Woodstock NY %
Saturday March 29, Warsaw, Brooklyn NY %
Saturday June 7, Primavera Sound, Barcelona, ES
Tuesday June 10, Molotow Club, Hamburg, DE
Wednesday June 11, Badehaus Szimpla, Berlin, DE
Saturday June 14, Primavera Sound Porto, Porto, PT
Monday June 16, Bumann & Sohn, Cologne, DE
Tuesday June 17, Trix, Antwerp, BE
Wednesday June 18, Petit Bain, Paris, FR
Friday June 20, Scala, London, UK
Saturday June 21, Band on the Wall, Manchester, UK
Sunday June 22, Mono, Glasgow, UK
Tuesday June 24, The Workman's Club, Dublin, IE
Thursday June 26, Thekla, Bristol, UK

 ^ w/ Lifeguard & Answering Machines
% w/ Free Range

Darkside
©Lefteris Paraskevaidis


ダークサイドダークサイド(DARKSIDE)は、ニューヨークを拠点とするアメリカのバンド。バンドは2011年、当時ブラウン大学の学生だったエレクトロニック・ミュージシャンのニコラス・ジャーとマルチ・インストゥルメンタリストのデイヴ・ハリントンによってロードアイランド州プロビデンスで結成された。

 

ニューアルバム『Nothing』を発表し、リード・シングル「S.N.C.」のミュージック・ビデオを公開した。「Nothing』はMatadorから2月28日にリリースされる。


ダークサイドは現在、ニコラス・ジャー、デイヴ・ハリントン、新メンバーのトラカエル・エスパルサの3人組のラインナップを組んでいる。待望のニューアルバム『Nothing』は、2021年の『Spiral』、2013年の『Psychic』に続くサード・アルバムとなる。このアルバムは南フランス、ロサンゼルス、パリの3箇所でレコーディングされ、即興的なジャムから構成されている。


アルバムのタイトルについて次のように詳しく説明されている。

 

「ジャールにとって、この "何もない "というコンセプトは、人生の他の側面にも当てはまるようになった。ジャールにとって、この "何もない "という概念は、人生の他の側面にも適用できるようになった。"何もない "というのは、何が問題なのかと尋ねられたときの反射的な答えであり、表現し始めることさえできないほど多くのことがあるときの答えなのだ」

 

「この枠組みでは、「何もない」はその鏡の反対を意味する。あるいは、「何もない」ことは、世界に変化がないことを示す忌まわしい説明にもなる。気候変動に対する気の遠くなるような不作為、政治的偽善、パレスチナやスーダンなどの人々に対する暴力の繰り返されるサイクル」

 

リードシングルではよりバンドサウンドにポイントが置かれている。ファンクをベースをしたカッティングギターがループサウンドの中で、様々な変容を見せながら拡張していく。反復の中で、ベース、ギター、パーカッションを中心に自由性の高い即興的な演奏やセッションが繰り広げられる。彼らのサウンドは見る角度によって異なり、ファンクにも、サイケにも、ジャジーなテイストを醸しだすロックにもなりえる。その多彩性こそが現在のダークサイドの魅力である。


「S.N.C.」



 

Darkside 『Nothing』

 Label: Matador

Release:2024年2月28日

 

Tracklist


1. Slau
2. S.N.C
3. Are You Tired
4. Graucha Max
5. American References
6. Heavy is Good For This
7. Hell Suite (Part I)
8. Hell Suite (Part II)
9. Sin El Sol No Hay Nada

 

Darkside Tour Date:


Thursday, March 13, 2025
Chicago, IL, US
Friday, March 14, 2025
Detroit, MI, US
Saturday, March 15, 2025
Toronto, ON, Canada
Sunday, March 16, 2025
Montreal, QC, Canada
Tuesday, March 18, 2025
Boston, MA, US
Wednesday, March 19, 2025
Philadelphia, PA, US
Friday, March 21, 2025
Brooklyn, NY, US
Saturday, March 22, 2025
Brooklyn, NY, US
Sunday, March 23, 2025
Washington, DC, US
Tuesday, March 25, 2025
Nashville, TN, US
Wednesday, March 26, 2025
Atlanta, GA, US
Thursday, March 27, 2025
Knoxville, TN, US
Friday, April 4, 2025
Portland, OR, US
Saturday, April 5, 2025
Vancouver, BC, Canada
Sunday, April 6, 2025
Seattle, WA, US
Friday, April 11, 2025
Indio, CA, US
Tuesday, April 15, 2025
Salt Lake City, UT, US
Wednesday, April 16, 2025
Denver, CO, US
Friday, April 18, 2025
Indio, CA, US


ミュージックフェスティバルが商業的なイベントとして確立され始めたのは、1960年代後半のことでしょう。ロックやポピュラー音楽の世界的な普及とともに、ライブ興行として楽しみたいというファンが増えてきました。このフェスティバルは、日頃、ソロ公演に行く機会の少ない音楽ファンを取り込み、一大的な商業イベントとして発展してきた経緯がある。

 

モントレー・ポップ・フェスティバル、ウッドストック、ワイト島など、ハードなロックが人気を獲得する中で、大音量のPAシステムを組み上げることも可能になりました。特に、ライブ・フェスの普及に関しては、ビートルズ時代までは、音量やモニターの返しに限界があったため、満足のいくライブパフォーマンスになることは稀でした。当時は、マーシャルのアンプを渦高く積み上げ、ギターを鳴らすギターヒーローの姿も映像の中でご覧になったこともあるでしょう。それがPAシステムの機能の工場、そしてオーディオの進化により、大規模な観衆全体に聴取可能なサウンドシステムが構築された。

 

特に、音楽フェスティバルの発展と合わせてロック、ダンスミュージックがよりダイナミックな意味を持ち始めたのは事実でしょう。それまでは数千人規模にしか鳴り響かなかったサウンドが70年代ごろになると、数万人規模のライブ空間へと広がっていきました。1980年代にはニール・ヤングのファーム・エイドなど、慈善的な意味を持つフェスティバルも開催されるようになりました。以降、音楽フェスティバルは、多くのプロモーターが夢見る空間となり、商業的なベースを拡大し、エンターテイメントの中核を担うようになったといえるでしょう。

 

近年、顕著なのは、根幹となる地域とは別の地域や海外でサブ的なミュージックフェスバルが開催される傾向にあるようです。ロラパルーザ、プリマヴェーラなどはこの代表的な事例です。


日本でも90年代頃から、大型フェスティバルが開催されるようになりました。自然一体型の音楽祭、フジロックフェスティバル、レディングの都市型を受け継いだサマーソニック、またそれに付随する補足的なフェスティバルなど、例を挙げるときりがありません。近年、日本では独立系の音楽祭も増加しており、注目すべきフェスも開催されるようになっています。ジャンルも多岐にわたり、ポピュラー、ダンス、クラシカルに特化したイヴェントも開催されるようになってきています。


音楽祭を楽しむ上では、観光的な楽しみとグルメ、グッズ販売などは切り離せません。現地の独特の空気感や風景、そして会場で楽しめる食事等、アーティストやイベントのグッズ等、その時にしか購入できないグッズもあります。ぜひ会場でこういったスペシャルな楽しみを探ると良いかもしれません。今回のセレクションでは、世界の10大ミュージックフェスティバルを選びました。




1. Lollapalooza (US)


8月上旬にシカゴのグラント・パークにて開催されるイベント。トレンドのポピュラーからロック、ダンス、パンク、ヒップホップまでジャンルレスに網羅している。US版グラストンベリーといえるでしょう。

 

ロラパルーザ(Lollapalooza)はアメリカ合衆国イリノイ州シカゴで毎年開催されるロック・フェスティバル、及び同名を冠した世界各地で開催されているフェスティバル・ブランド。現在は、シカゴの他に、チリ、ブラジル、アルゼンチン、ベルリン、パリ、ストックホルムで開催されています。


 

ミュージシャンの出演のほか、バラエティに富んだイベントが開催される。ダンスパフォーマンスやコメディなどの公演も行われる。1991年にジェーンズ・アディクションのボーカル、ペリー・ファレルが組織したロラパルーザは北米各地をツアーする形態をとったロックフェスティバルで、オルタナティブ・ミュージックの隆盛に伴い、1990年代のアメリカの若者文化の重要な一部を担いました。



1997年で終了した後、2003年に復活したが、チケットの売り上げが思わしくなかったこともあり2004年は開催されなかった。2005年以降、テキサス州オースティンに本拠をおくキャピタル・スポーツ・エンタテインメントが運営を行い、シカゴ都心の大規模公園グラント・パークを毎年の会場とする週末開催型の野外フェスティバルに変更された。2011年から国外進出をはじめ、シカゴの他にも世界各地で開催されるようになりました。 



2. Coachella(US)


コーチェラはカルフォルニアのインディオで開催される文字通り砂漠のミュージックフェスティバル。4月11日から三週にわたって開催され、一年の中で最も早い時期の音楽祭のひとつとなっています。米国内でも最大規模を誇る。毎年のように凄まじい総数のミュージシャンが出演するが、ヘッドライナーに注目が集まります。その年のアメリカのミュージック・シーンを占うような意味が込められている。また、例年、Youtubeで公式パフォーマンスが生中継される。

 

コーチェラ・バレー・ミュージック・アンド・アーツ・フェスティバル(Coachella Valley Music and Arts Festival)は、アメリカ合衆国カリフォルニア州インディオの砂漠地帯“コーアチェラ・バレー”(コロラド砂漠の一角)にて行なわれている野外音楽フェスティバルである。正式名称は「コーチェラ・バレー・ミュージック・アンド・アーツ・フェスティバル」だが、一般的にはコーチェラ・フェスティバル、あるいは単にコーチェラ(Coachella)と簡略化されて呼称される。



1993年にパール・ジャムが行ったインディオでの大規模野外ライブを前身として、その興行ノウハウを整えた運営組織がアメリカ合衆国西海岸のロックフェスとして1999年に開催をスタートさせました。当初は、2日間の開催(2000年は開催せず、2001年の第2回のみ1日開催)でしたが、2007年より3日間開催に移行。さらに2012年より金・土・日のラインナップを固定して行う2週間開催に拡大した。現在その開催規模はロラパルーザ、ボナルーと並びアメリカ合衆国最大を誇り、今や世界屈指の音楽フェスとして認知される。イギリスのグラストンベリー、日本のフジロックと同様に大自然の中で開催される巨大フェスティバルです。 

 

 

3.Primavera Sound (Spain)


スペイン最大級のミュージックフェスティバル。主要開催地のバルセロナのほか、ポルト、サンパウロでも開催されます。

 

解釈の仕様によっては最もヨーロッパ的な音楽イベントのひとつに挙げられます。特に、ダンスミュージックに力を入れまくっている印象を受けるが、全般的なラインナップはオルトロック、メタル、ジャズ、ヒップホップとジャンルレス。現在は6月5日から7日に開催されます。フェスティバルの参加と合わせて、フェスティバル主催側はバルセロナ観光も推奨しています。

 

当初、プリマヴェーラ・サウンドは1990年代からバルセロナで小規模なイベントとして開催されていました。2001年にPoble Espanyolで大規模イベントとして複数のステージで開催されるようになり、約7,700人がこのイベントに集まるようになりました。それ以降、スペインで最も規模の大きいフェスティヴァルへと成長した。2010年には10万人、2017年には20万人を超える観客を動員した。 現在ではヨーロッパの最大規模のイベントへと発展しています。



4.Rock In Rio(Brazil)


南米で最も情熱的なミュージックフェスティバル、ロックインリオ。メタルやロックの大御所が出演し、時々、伝説的なライブ・アルバムもこの音楽祭からは登場することも。ただ、隔年で開催されることが多く、不定期のイベントとして知られている。22年に開催されてから音沙汰がありません。

 

最初の開催は1985年1月11日から20日までの10日間開催され、クイーン、アイアン・メイデン、ジョージ・ベンソン、ジェームス・テイラー、ロッド・スチュワート、ゴーゴーズ、ニーナ・ハーゲン、AC/DC、スコーピオンズ、オジー・オズボーン、イエス、B-52'sらが出演、特にクイーンが出演した11日と19日の公演はグローボを通じ世界60カ国で中継され、2億人が視聴したとも言われています。


第2回は1991年1月18日から27日まで開催。プリンス、ガンズ・アンド・ローゼズ、ジョージ・マイケルらが出演した。第3回は2001年1月に開催。スティング、R.E.M.、オアシス、ブリトニー・スピアーズ、ニール・ヤング、レッド・ホット・チリ・ペッパーズらが出演しました。

ロック・イン・リオは2004年にポルトガルのリスボンにて海外初公演を実施。その後マドリード、メキシコシティでも開催された。2011年9月には第4回ロック・イン・リオが開催されました。

 

 

5.Glastonbury(UK)



1980年代から世界的なミュージックフェスティバルとして知られてきたグラストンベリー。ヘッドライナーの3日目には伝説的なミュージシャンが抜擢され、注目が集まります。元々はイギリスのロックミュージシャンが強かったが、近年ではアメリカのヒップなミュージシャンがサブヘッドライナーに抜擢されることも。特色を挙げるとすれば、キリスト教区で開催され、キャンプを設営したりというように、自然との一体型フェスティバルの原型でもある。間違いなくイギリス国内では最も人気がある音楽祭です。チケットは販売開始後、一時間ほどでソールドアウト。サイトがダウンするときもあり、ファンは緊張した一時間を過ごすことになる。

 

近年ではチケットの高騰やヘッドライナーの選出に関して問題視されることもあるが、私自身最も好きな音楽フェスの一つ。近年では、BBCが放映権を所有し、Youtubeの公式チャンネルで動画が分割して公開されます。 とくに、メインとなるピラミッドステージの他、複数のステージでタイムテーブルが組まれる。特に面白いのは、イベントの開始時にはピントンの門が開かれ、主催者がフェスティバル開始の合図を行う。大物ミュージシャンがお忍びで参加しているのも確認される年もある。ピントンの丘であの有名ミュージシャンに出会うことも不可能ではありません。


6.South By Southwest(US)



テキサス州オースティンで開催されるイベント。 一般的な音楽フェスティバルが音楽に特化したイベントを組む中で、音楽という枠組みにとらわれない多彩な企画を発案し、フェスティバルという考えに革新性をもたらしています。都市型フェスティバルに位置づけられ、ミュージシャンやバンドも多数出演しますが、サウスバイサウスウェストの魅力はそれだけにとどまりません。

 

サウス・バイ・サウスウエストの特色は、ビジネスの側面で新しさをPRすることにある。起業家が集う対話型のカンファレンスも開催されるほか、TVやフィルムも上映されるという多面体のイベントである。どの分野に注目するのかは参加者次第で、また見え方というのも異なる。特に、このイベント内のインタラクティヴフェスティバルでは、注目のマルチメディアがPRされる。サウス・バイ・サウスウエストは2007年にTwitterを表彰し、このメディアの普及に貢献しました。

 

サウス・バイ・サウスウエストは音楽だけではなく、マルチメディアとしての核心的なイベントの一つであり、今後も注目が集まりそう。ロンドンでの開催を発表しており、今後複数の都市での開催が期待されます。


 

7.Fuji Rock Festival(Japan)


グラストンベリーの自然一体型をより強調付けたイベントがフジロックである。通例では、7月26日から28日にかけて開催される。日本の夏を象徴するようなイベントの一つ。海外の有名アーティストから日本の新人アーティストまで幅広く出演します。

 

自然を楽しみながら音楽に夜中まで浸ることが出来る。例年、南魚沼の苗場スキー場で開催され、音抜けの良いイベントとして知られています。例年ではスペシャルグッズが販売され、かわいらしいマスコットみたいなのも登場します。サマーソニックと並んで、アーティストの招聘も素晴らしく、近年ではコーチェラやグラストンベリーに匹敵する豪華なラインナップが組まれる。また、同時並行型のタイムテーブルが組まれるのは、サマーソニックと同様である。苗場まで遠くてアクセスしづらいという方には朝霧JAMへの参加がおすすめ。こちらは10月に開催されます。

 

 

8.Summer Sonic(Japan)



こちらも日本の夏を象徴するライブ・イベント。東京・大阪の二都市で例年は8月17日から18日に開催されます。東京は、メイン会場であるZOZOマリンスタジアムの他、幕張メッセでも同時開催されます。大阪は、万博記念公園に会場を移転しました。自然一体型のフジロックとは対象的にレディング・フェスティバルの都市型をより強調付けるイベントとなっている。

元々はインディーズミュージックを推進しており、当時一般的に知られていなかったレディオヘッドを国内に紹介し、知名度を高めました。フジロックのラインナップとかぶる点もあるが、ヘッドライナーに関しては、主催者側の特色が力強く反映されるという印象を受けます。ある意味では、その年の洋楽を占うようなイベントに位置づけられるでしょう。もちろん邦楽の注目アーティストも出演します。

 

昨年、東京/大阪の主要都市に加え、アジア開催を行い、話題を呼んだ。最近では、ソニックマニアのほか、パンクロックに照準を絞ったパンクスプリング、ロッキング・オン誌との共催で行われるロッキング・オン・ソニックとジャンルごとに狙いを絞ったイベントを開催しています。基本的にはフジロックと同様にジャンルレスで楽しめますが、伝統的にロックに力を入れている印象を受けます。


 

 

9.Tomorrow Land (Belgium)


2000年代はヨーロッパを中心にダンスミュージック、EDMが流行した。その流れを受けてか、2010年代にはヨーロッパでダンスミュージックに特化したイベントが注目を浴びるようになってきた。その流れを決定付けたのがベルギーのトゥモローランド・フェスティバル。アントワープは歴史あるヨーロッパ建築が多く、観光がてらフェスティバルに参加するのもおすすめ。

 

このイベントはマニュ・ベアーズとマイケル・ベアーズの兄弟によって発案され、2005年にデ・ショール州立レクリエーション公園内で開催。インターナショナル・ダンス・ミュージック・アワードでは、5回連続で「年間最優秀音楽イベント」に選ばれるなど、数々の賞賛や賞を受賞しています。



Tomorrowlandの成功は、スピンオフ・フェスティバルの創設につながった。2013年から2015年にかけて、このコンセプトは、TomorrowWorldという名前でアトランタ近郊のアメリカに短期間輸出されました。 2015年には、Tomorrowland Brasilとして知られるフェスティバルが第三国のブラジルで始まりました。2019年からは、フランスのアルプ・デュエズというオリンピック・リゾートの中心部で、冬季版「Tomorrowland Winter」が開催されるようになりました。


 

10.Green Man Festival(Wales)


グリーンマン・フェスティバルは、ウェールズのブレコン・ビーコンズで毎年8月中旬に開催される音楽、科学、アートを中心とする独立系のフェスティバル。グラストンベリーと同じように、自然一体型のイベントに位置づけられます。ウェールズらしさのあるお祭りといった感じで、独特な巨大な人形が登場します。総合型マルチメディアのイベントとして注目したいところでしょう。

 

グリーン・マンはオルタナティブ、インディー、ロック、フォーク、ダンス、アメリカーナを中心にライブミュージックを紹介する、25,000人収容の1週間にわたるイベントに発展しました。フェスティバル会場は10のエリアに分かれ、文学、映画、コメディ、科学、演劇、ウェルネス、ファミリー向けのアクトが催されます。

 

このフェスティバルは、グリーンマン・トラスト(Green Man Trust)と呼ばれる慈善事業部門を設立したり、グリーンマン・グロウラー(Green Man Growler)と呼ばれる独自のビールシリーズを発売するなど、他の事業にも進出しています。これまでのヘッドライナーは、クラフトワーク、ビセップ、ローラ・マーリング、ヴァン・モリソン、マイケル・キワヌカなどが務めています。


 スポティファイのアーティストに対する収益率の低下が問題視されている。ロイヤリティがこの一年間で大幅に低下したことにより、同社への不満が高まっている。


今回、この問題が顕在化している。2025年のグラミー賞のソングライター・オブ・ザ・イヤー部門の候補者がSpotifyのパーティーへのボイコットを表明した。ジェシー・アレクサンダー(ルーク・コムズ)、エイミー・アレン(サブリナ・カーペンター)ジェシー・ジョー・ディロン(ダン+シェイ)、レイ(レイ)の四組のソングライターがスポティファイの主催するソングライター・オブ・ザ・イヤーへの不参加を明らかにした。この報道はビルボードが最初に報じている。

 

 そもそも、このボイコットの発端は、スポティファイが昨年4月からソングライターのロイヤリティを大幅に低下させたことにある。これは同プラットフォームの階層ににオーディオブックのダウンロードをプレミアム会員向けに追加したことで、サブスクリプション・サービスに変更が加えられたことが要因となっている。ビルボードによると、システムの変更前と比較して12ヶ月で約1億5000万ドルの損益を被ったとされている。しかし、昨年度の同社の営業収入は過去最高を記録し、四半期の売上高は40億9800万ドルに達し、営業利益は2億8400万ドルを越えた。

 

 こういった収益は一体どこに消えたのだろうか。利益があがれば、当然、著作権所有者や制作者に対して、正当な報酬が支払われるべきではないか。

 

 ポスト・マローンやモーガン・ウォーレンとの仕事で知られるジェシー・ディロンはビルボードに対して、「ロイヤリティをバンドルする彼らのやり方を考えると、このイニシアチブを指示することは難しい。表彰されること自体は個人的に嬉しいことですが、ソングライターコミュニティ全体にとっては芸術に対して公平な対価を貰い受けることが大切です。ソングライターなくして歌は存在しないのですから」

 

 さらにビヨンセからChali XCXまでポップスターに楽曲を提供してきたRAYEは、代理人を通して次のような声明を発表した。「ソングライターの権利のために率直な擁護者であり、この話題に関する業界全体の話題に火をつけた」とコメントしており、今後、ロイヤリティに関する問題が紛糾しそうだ。少なくとも、制作費に対して正当な対価が支払われることを期待したい。

 

 スポティファイは、昨今、営業利益は増加傾向にあるものの、コストカットや人件費削減を続けている。CEOのダニエル・エクは、2023年末までに従業員1,500人を解雇している。さらにサービスの収益性を増加させるため、ゴースト・アーティストと銘打たれたプレイリストを優先させるなど、アーティストや音楽に対する軽視の傾向が見受けられることは明らかである。


 同社は、ロイヤリティの費用を抑えながら、チャート上位にランクインするミュージシャンよりも大きな収益を得ているとの指摘もなされている。私見としては、音楽がなければ、同社のビジネスが成立しえないことを考えると、アーティストやSSWに対して大きなテイクバックがあってしかるべきではないだろうか。いずれにせよ、同社の今後の動向に注目していきたい。

Weekly Music Feature: Moonchild Sanelly 『Full Moon』  

 

・南アフリカ発 フューチャー・ゲトゥー・ファンクの女王の誕生

 

ミュージシャンでクリエイティブなビジョナリー、Moonchild Sanelly(ムーンチャイルド・サネリー)は、アマピアノ、Gqomから 「フューチャー・ゲットー・ファンク」と呼ばれる彼女自身の先駆的なスタイルまで、南アフリカの固有ジャンルを多数網羅したディスコグラフィーを擁する。

 

ポート・エリザベス出身のこの異端児は、活動当初から独自の道を切り開いてきた。''ムーンチャイルド・サネリー''として親しみやすく、唯一無二の存在であり続けるように努めながら、実験と革新を巧みに取り入れたキャリアを通じて、溌剌とした比類なきスタイル、肯定的なリリックとストーリーテリング、そしてインスピレーションを与える誠実さで知られるようになった。

 

スタジオデビューアルバム『Rabulapha!』(2015年)、ジャンルを超えた2ndアルバム『Phases』(2022年)に続き、変幻自在の彼女は、2025年1月に新作スタジオ・アルバム『Full Moon』をリリースする。

 

南アフリカのアフロハウスの女王”ヨハン・ヒューゴ”のプロデュースによる『Full Moon』は、サネリーの大きな自負と覚悟の表れでもある。独自のサウンド、陽気なアティテュード、個性的なヴォーカル、ジャンルを超えたヒット曲、さらに、彼女の特徴的なシグネチャーであるティールカラーのムーンモップに彩られた輝かしい美学が表現された12曲から構成される作品集だ。

 


『Full Moon』はツアーの移動中に複数の場所で録音され、内省的でありながら彼女の多才ぶりを示すアグレッシブな作品。「どんなジャンルでも作れるし、制限されないから音楽を作るのが楽しくてたまらない」という彼女の言葉にはサネリーの音楽の開放的な感覚という形で現れ出る。

 

エレクトロニック、アフロ・パンク、エッジの効いたポップ、クワイト、ヒップホップの感性の間を揺れ動くクラブレディなビートなど、音楽的には際限がなく、きわめて幅広いアプローチが取り入れられている。南アフリカのコミュニティでポエトリーリーディングの表現に磨きをかけてきたサネリーは、リリックにおいても独自の表現性を獲得しつつある。例えば、ムーンチャイルドが自分の体へのラブレターを朗読する「Big Booty」や、「Rich n*ggah d*ck don't hit Like a broke n*ggah d*ck」と赤裸々に公言する「Boom」のような、リスナーを自己賛美に誘うトラックである。 ムーンチャイルドの巧みさとユーモアのセンスは、テキーラを使った惜別の曲「To Kill A Single Girl」の言葉遊びで発揮されている。そして、ファースト・シングルであり「大胆なアンセム」(CLASH)でもある「Scrambled Eggs」では、平凡な日常業務にパワーを与える。

 


ムーンチャイルド・サネリーは、サウンド面でも独自のスタイルを確立しており、オリジナル・ファンから愛されてやまないアマピアノと並び、南アフリカが提供する多彩なテックハウスのグルーヴをより一層強調付けている。当面のサネリーのスタジオでの目標は、ライブの観客と本能的なコネクションを持てるような曲を制作すること。さらに、彼女は観客に一緒に歌ってもらいたいという考えている。



しかし、『Full Moon』は対照的に自省的な作品群である。サネリーは自分自身と他者の両方を手放し、受容という芸術をテーマに選んだ。曲作りの過程では、彼女は自己と自己愛への旅に焦点を絞り、スタジオはこれらの物語を共有し、創造的で個人的な空間を許容するための場所の役割を担った。


彼女が伝えたいことは、外側にあるもとだけとは限らず、内的な感覚を共有したいと願う。それは音楽だけでしか伝えづらいものであることは明らかである。「私の音楽は身体と解放について歌っている。自分を愛していないと感じることを誰もOKにはしてくれないの」と彼女は説明する。

 

『Full Moon』は、ムーンチャイルド・サネリーの様々な側面を垣間見ることができる。実際的に彼女が最も誇りに思っている作品であるという。

 

秀逸なアーティストは必ずしも自分を表現するための言葉を持つわけではない。いや、彼らは制作を通して、自分を表現するための言葉や方法をたえず探し続ける。ミキサールームやレコーディングスペースで制作に取り組む時、歌詞を書いて歌う時、自分の本当の姿を知ることが出来るのである。もちろん、過去の姿でさえも。サネリーはこのように言う。「私の弱さ、つまり、この旅に入るために、以前はどんなに暗かったか、表現する言葉を持っていなかったとき、私が”ファック・ユー”と言っていた状況を的確に表現する言葉を見いだすことなのです」



サネリーの新作の節々には南アフリカの文化が浸透している。それはまた彼女一人の力だけで成しえなかったものであると明言しえる。ダーバンのポエトリー・シーン、そしてヨハネスブルグのプール・パーティーから国際的なスターダムにのし上がったサネリーの活動の道程は、生来の創造性、ユニークな自己表現、並外れた自信に加えて、志を同じくするアーティストとチームを組むことによって大きく突き動かされてきた。自他ともに認める 「コラボレーション・ホエアー 」であるサネリーは、2019年の『ライオン・キングス・サウンドトラック』でビヨンセの「マイ・パワー」をヴォーカルで盛り上げた火付け役として多くの人に膾炙されている。

 

さらに彼女は、共同制作を通じて音楽を深く理解するように努めてきた。サネリーはエズラ・コレクティヴ、スティーヴ・アオキ、ゴリラズといったアーティストとコラボレートを続けている。現在、イギリスのスター、セルフ・エスティームと共作したジェンダーの役割を探求した「Big Man」(2024年の夏の一曲[ガーディアン紙])は、大成功を収め、その余韻に残している。

 

ライブ・パフォーマンスの華やかさにも定評がある。テキサスのSXSWからバルセロナのプリマベーラ・サウンドにいたるまで、世界的な音楽フェスティバルで多数のオーディエンスを魅了し、今年だけでもグラストンベリー・フェスティバルで10回という驚異的なパフォーマンスを行った。昨年末にはBBCのジュールズ・ホランドの番組にも出演し、本作の収録曲を披露した。

 

ムーンチャイルドサネリーは世界の音楽を塗り替える力量を持っている。彼女はユニークでユーモアのある表現力を活かし、女性権利、同国の文化と歴史を背負いながら、南アフリカのオピニオンリーダーとして、世界のミュージックシーンに挑戦状を力強く叩きつける。シングル「Scrambled Eggs」、「Sweet & Savage」、「Big Booty」、「Do Your Dance」に導かれるようにして、星は揃った。2025年はムーンチャイルド・サネリーのブレイクスルーの年になるだろう。

 

 

*本記事はTransgressiveより提供されたプレス資料を基に制作しています。

 



・Moonchild Sanelly 『Full Moon』 Transgressive


 

最近では、もっぱら”アマピアノ”の方が注目を浴びるようになったが、2016年頃、日本のハードコアなクラバーの間で話題になっていたのが、南アフリカのGqom(ゴム)というジャンルだった。このクラブミュージックのジャンルは、UK Bassの流れを汲み、サンプリングなどをベースにした独特なダンス・ミュージックとしてコアな日本のクラブ・ミュージックファンの間で注目を集めていた。m-flo(日本のダンスミュージックグループ)が主催する”block.fm”、そしてスペースシャワーのオウンドメディアなどが、もう十年くらい前に特集していて、アフロ・トロピカルが次にヒットするのではないかと推測を立てていたのだ。このGqomというジャンルは例えば、ビヨンセがアルバムの中で試験的に取り入れたりもしていた。

 

あれから、およそ8年が経過した今、ようやくというか、このジャンルの重要な継承者が出てきた。それがムーンチャイルド・サネリーである。彼女はヒップホップとアマピアノを吸収し、そして教会の聖歌隊でゴスペルを歌った時代から培われたソウルフルで伸びやかなボーカルをもとに、オリジナリティ溢れるアフロ・ハウスを三作目のアルバムにおいて構築している。基本的には、マンチェスターの雑誌、CLASHが説明するように、アンセミックであるのだが、よく聴くと分かる通り、彼女が組み上げるGqomとアマピアノのクロスオーバーサウンドには、かなりのシリアスな響きが含まれている。それはムーンチャイルド・サネリーが南アフリカのこのジャンルが生み出されたダーバンのコミュニティで育ち、そしてその土地の気風をよく知っているからである。サネリーは、とくにアフリカ全体の女性の人権意識に関して、自分を主張することに蓋をされてきたように感じていた。アフリカは現在でも女性の地位が脅かされることがあり、それはときどき社会問題としての暴力のような行為に表れでることもある。 長い間、おそらくサネリーのように意見を言うレディーはマイノリティに属していたのである。

 

ムーンチャイルド・サネリーが実際的にどのような意識を持って音楽活動や詩の活動に取り組んできたのかはわからないが、三作目のアルバムを聴いていたら、なんとなくその考えのようなものがつかめるようになった。このアルバムは、音楽的にはその限りではないが、かなりパンクのフィールドに属する作品である。旧来、パンクというジャンルはマイノリティのためのものであり、自分たちの属する位置を逆転するために発生した。それは過激なサウンドという形で表側に表れ出ることが多かった。それとは異なるのは、ムーンチャイルド・サネリーのサウンドは、アンセミックでキャッチー、そしてストレート。なんの曇りや淀みもない。きわめて痛快なベースラインのクラブミュージックが現代的なポップセンスをセンスよく融合しているのだ。

 

アルバムの中心は、スパイスとパンチのある楽曲が目白押しとなっており、アンセミックな曲を渇望するリスナーの期待に答えてみせている。UKドリルを吸収したグリッチサウンドに乗せて、クラブテイストのポピュラーソング「Scrambled Eggs」が、冒頭からマシンガンのように炸裂する。ヒップホップの文脈を吸収させ、その中で、グルーブの心地よさを踏まえたボーカルをサネリーは披露する。オートチューンを使用したボーカルは、ハイパーポップ系にも聞こえるが、明確に言えば、近年のポップスのように音程(ピッチ)を潰すためのものではない。ムーンチャイルド・サネリーはヒップホップの重要なスキルであるニュアンス(微妙な音程の変化)を駆使して、背景となるバックトラックにリズミカルな効果を与える。そしてボーカリストとしてもハイテンションと内省的という二つの性質を交えながら絶妙なテイストを醸し出す。

 

「Big Booty」は、Gqomの流れを汲んだ一曲で、また、アマピアノのサンプリング等の要素を付け加えている。特に、UK Bassからの影響はかなり分厚い対旋律的な構成を持つサブベースによって、この楽曲に力強いイメージをもたらしている。もちろん、それに負けじと、ムーンチャイルド・サネリーは、アンセミックなフレージングを意識しつつ、痛快なポピュラー・ソングを歌い上げる。実際的に背景となるトラックメイクに彼女の声が埋もれることはない。これは何度となく、ダーバンのコミュニティで声を上げ続けてきた彼女しかできないことである。サネリーの声は、なにか聴いていると、力が湧いてくる。それは、彼女が、無名時代から人知れず、ポエトリー・リーディングなどの活動を通して、みずからの声を上げ続けてきたからなのだ。ちょっとやそっとのことでは、サネリーのボーカル表現は薄められたりしないのである。

 

ムーンチャイルド・サネリーが掲げる音楽テーマ「フューチャー・ゲットゥー・ファンク」というのをこのアルバムのどこかに探すとするなら、三曲目「In My Kitchen」が最適となるかもしれない。ケンドリック・ラマーが最新作において示唆したフューチャーベースのサウンドに依拠したヒップホップに近く、サネリーの場合はさらにゲットゥーの独特な緊張感をはらんでいる。表向きには聴きやすいのだが、よくよく耳をすましてみてほしい。ヨハネスブルグの裏通りの危険な香り、まさにマフィアやアウトライダーたちの躍動する奇妙な暗黒街の雰囲気、一触触発の空気感がサネリーのボーカルの背後に漂っている。彼女は、南アフリカの独特な空気感を味方につけ、まるで自分はそのなかで生きてきたといわんばかりにリリックを炸裂させる。彼女はまるで過去の自分になりきったかのように、かなりリアルな歌を歌い上げるのだ。

 

続く「Tequila」は、前曲とは対照的である。アルコールで真実を語ることの危険性を訴えた曲で、 ムーンチャイルドのテキーラとの愛憎関係を遊び心で表現したものだ。酩酊のあとの疲れた感覚が表され、オートチューンをかけたボーカルは、まるでアルバムの序盤とは対象的に余所行きのように聞こえる。しかし、序盤から中盤にかけて、開放的なアフロ・トロピカルに曲風が以降していく。イントロのマイルドな感じから、開放的な中盤、そしてアフロ・ビートやポップスを吸収した清涼感のある音楽へと移ろい変わる。アルコールの微妙な感覚が的確に表現されている。さらに、BBCのジュールズ・ホランドのテレビ番組でも披露された「Do My Dance」は、アルバムの中で最も聴きやすく、アンセミックなトラックである。この曲はまた、南アフリカのダンスカルチャーを的確に体現させた一曲と称せるかもしれない。アフロハウスの軽妙なビートを活かし、ドライブ感のあるクラブビートを背景に、サネリーは音楽を華やかに盛り上げる。しかし、注目すべきはサビになると、奇妙な癒やしや開放的な感覚が沸き起こるということだ。

 

 

「Do My Dance」

 



アルバムは中盤以降になると、クラブ・ミュージックとしてかなり複雑に入り組むこともあるが、曲そのもののアンセミックなテーストは維持されている。「Falling」では、Self Esteenとのコラボレーション「Big Man」で学んだポップセンスをふんだんに活かしている。ここでは、センチメンタルで内省的なメロディーセンス、そして、ダブステップの分厚いサブベースと変則的なビート、UKドリルのグリッチの要素を散りばめ、完成度の高いポピュラーに仕上がっている。一方、ヒット・ソングを意識した曲を収録する中でも、個性的な側面が溢れ出ることがある。

 

 

「Gwara Gwara」は、サネリーらしさのある曲で、アフロハウス、Gqom、アマピアノといったサウンドの伝統性を受け継いでいる。しかし、トラックそのものは結構シリアスな感覚があるが、サネリーのユーモアがボーカルに巧みに反映され、聴いていてとても心地よさがある。そして渦巻くようなシンセリードを背景に、タイトルを歌うと、強烈なエナジーが放出される。曲の節々には南アフリカやダーバンのポップスの要素がふんだんに散りばめられている。さらにクラブミュージックとして最もハードコアな領域に達するのが、続く「Boom」である。アンセミックな響きは依然として維持されているが、アマピアノのアッパーな空気感と彼女自身のダウナーな感性が融合し、「フューチャー・ゲットゥー・ファンク」のもうひとつの真骨頂が出現する。

 

 

「Sweet & Savage」では、ドラムンベースが主体となっている。ブンブンうなるサブベースを背景に、南アフリカの流行ジャンルであるヒップホップと融合させる。現地の著名なDJは、アマピアノはもちろん、Gqomというジャンルがラップと相性が良いということを明らかにしているが、この点を踏まえて、サネリーは、それらをポストパンクの鋭い響きに昇華させる。また、この曲の中ではサネリーのポエトリーやスポークンワードの技法の巧みさを見いだせる。そして同時に、それはどこかの時代において掻き消された誰かの声の代わりとも言えるのかもしれない。ラップやスポークンワードの性質が最も色濃く現れるのが、続く「I Love People」である。ここでは、他の曲では控えめであったラッパーとしてのサネリーの姿を見出すことが出来る。おそらく南アフリカでは、女性がラップをするのは当たり前ではないのだろう。そのことを考えると、ムーンチャイルド・サネリーのヒップホップは重要な意義があり、そして真実味がある。もちろん、ダーバンには、ヒップホップをやりたくてもできない人も中にはいるのだろう。

 

 

多くの場合、自分たちがやっていることが、世界的には常識ではないということを忘れてしまうことがあるのではないだろうか。音楽をできるということは、少なくとも非常に贅沢なことなのであり、この世界には、それすらできない人々もたくさんいるのだ。ムーンチャイルド・サネリーの音楽は、常識が必ずしも当たり前ではないことを思い出させてくれる。サネリーにとっては、歌うこと、踊ること、詩をつくるときに、偉大な感謝や喜びという形で表面に立ち現れる。言っておきたいのは、表面的に現れるのは、最初ではなくて、最後ということである。


えてして、音楽の神”アポロン”は、そういった人に大きな収穫と恩恵を与える。それは音楽的な才覚という形かもしれないし、ラップが上手いということになるかもしれない。もしくは、良いメロディーを書くこと、楽器や歌が上手いということなのかもしれない。少なくとも、サネリーは、こういった慈愛の感覚を内側に秘めている。それがソングライターとしての最も重要な資質でもある。世界の人々は、経済に飢えているのではない。愛情に飢えている。そのことを考えると、サネリーのような存在がスターダムに引き上げられるとすれば、それは必然であろう。

 

久しぶりに音楽の素晴らしさに出会った。「Mintanami」である。私は、この曲はアルバムの中で一番素晴らしいと思い、そして、アーティストが最も今後大切にすべき一曲であると考えている。 この曲があったおかげで、このアルバムの全体的な評価が押し上げられたと言えるだろう。

 

 

 

95/100

 


 

Best Track 「Mintanami」

 

 

Moonchild Sanellyのニューアルバム「Full Moon」はTransgressiveより本日発売。ストリーミングはこちら

 



本日(1/10)放送開始のテレ東系ドラマ25「風のふく島」エンディングテーマ曲「Passing」を柴田聡子さんが手掛けました。このエンディング・テーマがシングルとして1月15日にリリース決定。ドラマの放映の詳細と合わせてニューシングルの詳細について下記よりご確認ください。



【番組概要】

タイトル| ドラマ 25「風のふく島」

放送日時| 2025年1月10日スタート 毎週金曜深夜24時42分〜25時13分


放送局 | テレビ東京、テレビ大阪、テレビ愛知、テレビせとうち、テレビ北海道、TVQ 九州放送
      【BSテレ東】2025年1月13日スタート 毎週月曜深夜24時00分〜24時30分
      【福島テレビ】2025年3月放送予定


配 信 | 広告付き無料配信サービス「ネットもテレ東」(テレ東HP・TVer)にて見逃し配信
      ▶テレ東HP [ https://video.tv-tokyo.co.jp]
      ▶TVer [ https://tver.jp/series/srif80nxez ]
       各話放送終了後から、動画配信サービス「U-NEXT」にて順次見放題配信
      ▶U-NEXT [ https://t.unext.jp/r/tv-tokyo_pr]


主 演 |      佐藤大樹(EXILE/FANTASTICS) 駿河太郎 桜井ユキ 豊本明⻑(東京03) 渋川清彦 北乃きい 本田響矢
           三浦貴大 ⻘木柚 大友康平 黑木華 小⻄桜子(話数順)


声の出演|      釘宮理恵


監 督 |      池田千尋 川元文太(ダブルブッキング) 住田崇 戶田彬弘 二宮健 広瀬奈々子 三木聡 (50音順)


脚 本 |      石黑麻衣 金子鈴幸 川元文太(ダブルブッキング) 熊本浩武 広瀬奈々子 深見シンジ 三木聡 (50音順)


音 楽 |      會田茂一


企画・プロデュース| ⻘野華生子


プロデューサー|   梅山文郁(テレビ東京) 植田郁子(テレビ東京) 伴健治(さざなみ) 三好保洋(さざなみ)


制 作 |      テレビ東京 さざなみ


制作協力|      福島イノベーション・コースト構想推進機構 ふくしま12市町村移住支援センター


公式H P |      [ https://www.tv-tokyo.co.jp/kazenofukushima ]


公式X |       @tx_fukushima


ハッシュタグ     #風のふく島

 

柴田聡子「Passing」



 

2025.01.15 Release  テレ東系 ドラマ25「風のふく島」エンディングテーマ曲。


柴田聡子「Passing」
Digital | 2025.01.15 Release | Released by AWDR/LR2

 

PRE-ADD/PRE-SAVE[ https://ssm.lnk.to/Passing

 



【柴田聡子によるコメント】


ーーこの度はこのようなすてきな機会に恵まれとてもうれしく、感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございます。ドラマで描かれていくような、決して平坦ではないけれど、 自分の人生を自分でいつくしんで進んでいく人たちのさまざまなすがたに、私なりのエールを送るような曲になればと思いながら、最高の皆さんと共に作りました。ドラマの風景のひとつとなっていけたらさいわいです。私も放送をたのしみにしています! ーー




柴田 聡子 SATOKO SHIBATA



シンガー・ソングライター/詩人。北海道札幌市出身。武蔵野美術大学卒業、東京藝術大学大学院修了。


2010年、大学時代の恩師の一言をきっかけに活動を始める。


2012年、三沢洋紀プロデュース多重録音による1stアルバム『しばたさとこ島』でデビュー。以来、演劇の祭典、フェスティバル/トーキョー13では1時間に及ぶ独白のような作品『たのもしいむすめ』を発表するなど、歌うことを中心に活動の幅を広げ、現在までに8枚のアルバムを発表。


2016年には第一詩集『さばーく』を上梓。同年、第5回エルスール財団新人賞<現代詩部門>を受賞。エッセイや詩、絵本の物語など、寄稿も多数。2023年、足掛け7年にわたる文芸誌『文學界』での連載をまとめたエッセイ集『きれぎれのダイアリー』を上梓。2024年、「しずおか連詩の会」に参加。詩人・文筆家としても注目を集めている。


2024年2月28日、アルバム『Your Favorite Things』、10月23日『My Favorite Things』をリリース。12月26日、第二詩集「ダイブ・イン・シアター」の上梓を予定。客演や曲提供なども多数で、その創作はとどまるところを知らない。

 

 

 

 

 


ニューフェイスながら、〈Beams Plus〉とロンドン発のスケートブランド〈PALACE SKATEBOARDS〉との初コラボレーション・ラインの広告に楽曲「Tortuga (For Me Mam) 」が使用された若手5人組、ナッツ(Knats)。この度、待望のセルフ・タイトル・デビュー・アルバムの詳細を発表した。2月26日(水)に日本盤が発売され、3月28日(金)にデジタル・リリースとなる。



2024年はナッツにとって大きな飛躍の年となった。ジョーディー・グリープ(元ブラック・ミディ)のサポートや、R&Bのレジェンド、エディ・チャコンのUKツアーのバックバンドを務めるなど、ナッツにとって多忙を極めた1年となった。

 

また、“ジャズ・リフレッシュド”のヘッドライナー、Str4ta(ストラータ)のサポートをソールド・アウトさせた他、”London Jazz Festival(ロンドン・ジャズ・フェスティバル)”にも出演した。

 

ニューカッスル出身の2人の親友、スタン・ウッドワード(ベース)とキング・デイヴィッド=アイク・エレキ(ドラム)を中心とするナッツは、洗練されたアレンジ力で、力強いメロディ、ダンサンブルなグルーヴを持つ(ニューカッスル生まれの)ジョーディー・ジャズを制作している。その熱狂的なエネルギーは、Spotifyのプレイリストに特集されたほか、The Guardian、Jazzwiseなどの大手メディアから賞賛されるなど、羨望の的となっている。 

 

デビューアルバムの発表を記念してバンドは、本日 「Rumba(r) 」という遊び心のあるタイトルのニューシングルを発表した。タイトルが示すように、同楽曲にはルンバ・クラーベのグルーヴが取り入れられており、メロディ的には、スタンがラム・バー(ラム酒専門のバー)にいたときに思いついたという。この曲は簡潔さを追求したもので、スタンが70年代と80年代のフュージョンと20世紀のロマンチック音楽のメロディシズムの双方をこよなく愛することを表す。

 

 

 「Rumba(r) 」

 

 

 

・ニューシングル「Rumba(r) 」のストリーミング/ダウンロードはこちら

 

 

 

【アルバム情報】



 
アーティスト名:Knats(ナッツ)
タイトル名:Knats(ナッツ)
品番:GB4003CD (CD) / GB4003 (LP)
発売日:
2025年2月26日(水)日本盤発売
2025年3月28日(金)デジタル配信
レーベル:Gearbox Records

<トラックリスト>
(CD)
1. One For Josh
2. Miz (featuring Anatole Muster)
3. 500 Fils (featuring Parthenope)
4. Black Narcissus
5. Rumba(r)
6. Makina Thema
7. Tortuga (For Me Mam)
8. Se7en (featuring Tom Ford)
9. In The Pitt
10. Adaeze

(LP)
Side-A

1. One For Josh
2. Miz (featuring Anatole Muster)
3. 500 Fils (featuring Parthenope)
4. Black Narcissus
5. Rumba(r)
Side-B
6. Makina Thema
1. Tortuga (For Me Mam)
2. Se7en (featuring Tom Ford)
3. In The Pitt
4. Adaeze



・アルバム『Knats』予約受付中! 


https://bfan.link/knats


Credits:
Stan Woodward: bass guitar
King David Ike Elechi: drums
Ferg Kilsby: trumpet
Cam Rossi: tenor saxophone
Sandro Shar: keyboards
Parthenope: alto saxophone on “500 Fils”
Richie Sweet: congas on “Rumba(r)” and “Adaeze”
Tom Ford: electric guitar on “Se7en”
Anatole Muster: accordion on “Miz"
Miro Treharne: vocals on “In The Pitt”
Otto Kampa: alto saxophone on “In The Pitt”
Matt Seddon: trombone on “In The Pitt”
Enya Barber: violin on “Tortuga (For Me Mam)”
Sam Booth: cello on “Tortuga (For Me Mam)”

All tracks written and arranged by Stan Woodward and King David Ike Elechi
apart from “Black Narcissus”, written by Joe Henderson.

Produced by Darrel Sheinman

Recorded at Studio 13, London by Giacomo Vianello, assisted by Ishaan Nimkar

All tracks mixed at The Friary Studios, Aspley Guise by Hugh Padgham apart from “Tortuga (For Me Mam)”, mixed by Chris Webb

Mastered by Caspar Sutton-Jones 

 


【Knats Biography】

ニューカッスル・アポン・タイン出身の2人の生涯の親友、スタン・ウッドワード(ベース)とキング・デイヴィッド・アイク・エレキ(ドラムス)が率いるクインテット。それぞれのルーツであるジャズ、ドラムンベース、ハウス、ゴスペルから派生したダンス・ミュージックを特徴とする。

 

シーンに登場して間もない彼らは、すでにSoho Radio、BBC Newcastle、WDR3によって認知され、Spotifyの ‘All New Jazz’プレイリストに選曲された他、‘Jazz Fresh Finds’のカヴァーも飾っている。

 

さらに、BBC Introducing North Eastからも絶大な支持をされている。 全くの新人ながら、 2024年10月に発表された〈Beams Plus〉とロンドン発のスケートブランド〈PALACE SKATEBOARDS〉との初コラボレーション・ラインの広告に楽曲「Tortuga (For Me Ma)」が使用された。

 

同年にはジョーディー・グリープ(ブラック・ミディ)のUKツアーでのサポートや、ソールドアウトした“ジャズ・リフレッシュド”のヘッドライナー、ジャズ・カフェでのStr4ta(ストラータ)のサポート、”ロンドン・ジャズ・フェスティバル”への出演、さらにはR&B界のレジェンド、エディ・チャコンのバック・バンドとして英国ツアーにも参加した。2025年2月、待望のセルフ・タイトル・デビュー・アルバムのリリースが決定。こちらの新作にも乞うご期待!!



新年の幕開けとして、ポリヴァイナルは、シカゴのインディーズシーンの重要なバンドであり、また、エモコアの源流を形作ったキャップン・ジャズのアルバム『ブリトー』、『インスピレーション・ポイント』、『フォーク・バルーン・スポーツ』、『カード・イン・ザ・スポークス』、『オートマティック・バイオグラフィー』、『カイト』、『カンフー』、『トロフィー』、『バナナの皮で滑った』、『卵の殻をつま先で踏んだ』(愛称:シュマップン・シュマッツ)の30周年記念ヴァイナル・リイシューを発表する。


この新しいプレス盤は、レコードのオリジナル・テープから制作されたリマスター・オーディオをフィーチャーし、その影響力のあるサウンドをレコードに蘇らせた。


1991年、シカゴ郊外に住む4人の子供たち、ティム&マイク・キンセラ兄弟、ヴィクター・ヴィラレアル、サム・ズリックがキャップン・ジャズを結成した。その3年後、デイヴィ・フォン・ボーレンの助けを借りて、エモ・カルテットは唯一のフル・アルバムをレコーディングした後、解散した。


昨年ラスベガスで開催されたベスト・フレンズ・フォーエヴァー・フェスティバルでの砂漠での記念すべき再結成に続き、バンドは今年プリマベーラ・サウンド・バルセロナとポルトのステージに戻ってくる予定だ。


元々Man With GunレーベルからリリースされたShmap'n Shmazzは、バンド解散後すぐに廃盤となり、最終的に1998年にJade Tree RecordsからリリースされたAnalphabetapolothologyコンピレーションに収録された。


オープニング・トラックの「Little League」で聴ける比類なき激しさと、エキセントリックで詩的な歌詞が相まって、この象徴的なアルバムはリリース以来、数え切れないほどのアーティストに影響を与えてきた。ピッチフォークはこのアルバムを「中西部エモの試金石」と呼び、ヴァルチャーは「史上最も偉大なエモ100曲」の第3位に「リトル・リーグ」を選んだ。ミュージシャンのデヴェンドラ・バンハートは、2017年のジョーン・オブ・アークのドキュメンタリーでバンドへの愛を表明し、ティムの力強く印象的なヴォーカルを 「動物園にクアールードを飲みに行くが、他の動物はみんなスピードに乗っている 」ようだと表現した。


バンドの影響力のある遺産に加え、キャップンジャズは、アメリカン・フットボール、オーウェン、バースマーク、ジョーン・オブ・アーク、オウルズ、プロミス・リング、メイク・ビリーヴ、ゴースト・アンド・ウォッカなど、オリジナル・メンバーを擁する他の著名なバンドの結成のきっかけとなった。


昨年、キャップンジャズは、キンセラ兄弟を交えてシカゴでライブ活動を始めており、ヨーロッパツアーを計画している。2025年に本格的な活動を開始すると言う話も。いずれにしても続報に期待したい。



Cap N' Jazz   「Shmap'n Shmazz」(Burritos, Inspiration Point, Fork Balloon Sports, Cards in the Spokes, Automatic Biographies, Kites, Kung Fu, Trophies, Banana Peels We’ve Slipped on, and Egg Shells We’ve Tippy Toed Over)



Tracklist


1. Little League

2. Oh Messy Life

3. Puddle Splashers

4. Flashpoint: Catheter

5. In The Clear

6. Yes, I am Talking to You

7. Basil's Knife

8. Bluegrassish

9. Planet Shhh

10. Precious

11. ¡Qué Suerté! 


パンク界のレジェンド、ハスカー・ドゥのボーカリスト、Bob  Mould(ボブ・モールド)が15枚目のソロ・スタジオ・アルバム『Here We Go Crazy』の詳細を発表した。Granary Music/BMGレコードから3月7日にリリースされる本作は、2020年のアルバム『Blue Hearts』に続く待望の作品だ。


「表面的には、これはストレートなギター・ポップ・ソングのグループだ。 シンプルさ、簡潔さ、明瞭さを通して、自分の主なサウンドとスタイルに磨きをかけているんだ」とボブは次のアルバムについて語っている。 「その裏には、対照的なテーマがいくつもある。 コントロールとカオス、過敏さと無力さ、不確かさと無条件の愛」


このアルバムの発表は、タイトル曲のリリースと同時に行われた。「ここ数年、南カリフォルニアの砂漠で過ごしており、ビデオはそこで撮影された。 山の上にある肌寒い荒野、丘の下に広がる広大な景色、人生の日常から逃れるための遠い場所」とボブは言う。 "クレイジーになる "ということは、さまざまなことを意味する。 無謀なことをする喜び、世界の将来への不安、孤独の静寂......」


 


 ニュー・アルバムのファースト・シングルは、アルバムの冒頭を飾るタイトル曲だ。 高鳴るメロディと力強さを備えた簡潔なパワーポップソング。 ビデオは、彼が最近よく過ごしている南カリフォルニアの砂漠で撮影された。 



モールドは、ウースターとナルドゥシーのバックを従えての北米ツアーも発表しており、ライブではヒュスカー・デューとシュガーの曲を演奏するとのこと。 モールドと同じミネソタのインディー・ロック・アイコンであるクレイグ・フィンは、これらの日程のいくつかでオープニングを飾る予定だ。 


Bob  Mould 『Here We Go Crazy』


Label: Granary Music/BGM

Release: 2025月3月7日


Tracklist

1. Here We Go Crazy

2. Neanderthal

3. Breathing Room

4. Hard To Get

5. When Your Heart Is Broken

6. Fur Mink Augurs

7. Lost Or Stolen

8. Sharp Little Pieces

9. You Need To Shine

10. Thread So Thin

11. Your Side


ブリストルの注目のポストパンクバンド、Squidはニューシングル「Building 650」のミュージックビデオを公開した。ニューアルバム『Cowards』の2枚目のシングル「Building 650」は、バンドの静謐な一面、そして不協和音のなかに滲むエモーショナルなメロディー性を印象づけている。


スクイッドのオリー・ジャッジはこのシングルについて次のように述べている。


「この曲は、僕らの初来日からインスパイアされた曲なんだ。2022年にSummersonicフェスティバルに出演したんだけど、幸運にもCOVIDの渡航禁止が解除された2日後に出演することになったんだ」


「飛行機の中で、私は興奮のあまり村上龍の『インザミソスープ』を読み、『ロスト・イン・トランスレーション』を観た。その後、日本を訪れるアウトサイダーであることについて歌詞を書くことにした。この孤独感は東京では大げさに感じられる。表面的には慌ただしく、人でいっぱいだが、耳を傾けると不気味なほど静かだ」


今回のミュージックビデオは日本で撮影された。長年のコラボレーターであるフェリックス・ギーンが、現地の監督である長谷川大輔と空也達城とともに制作した。オリーはこう続ける。


「大輔と空也が人間味を加えてくれたおかげで、ビデオ全体がとてもうまくまとまったと思う。広大で解体された街のショットを楽しむことができたし、彼らの生々しく自然な8mmフィルムの作品によって、すべてが地に足がついたものになった」


 Squidによるニューアルバム「Cowards」はワープ・レコードから2月8日にリリースされる。


「Building 650」




◾️SQUID 三作目のアルバム『COWARDS』を発表   WARPから2月7日に発売