Mamalarky 『Hex Key』


Label: Epitaph

Release: 2025年4月11日

 

Listen/Stream

 

Review


ロサンゼルスのMamalarkyは米国のパンクの名門レーベル、Epitaphと契約を結んで『Hex Key』を発表した。カルテットはおよそ8年間、LA、オースティン、アトランタに散らばって活動してきた。いつも一緒にいるわけではないということ、それこそがママラーキーのプロジェクトを特別なものにしたのか。ママラーキーのドラマーを務めるディラン・ヒルは次のように述べています。「私達は互いに大きな信頼を持っている。しかし、プロフェッショナルな空気感はありません。文字通り、四人の友人がブラブラして、なにかの底にたどり着くという感じです」

 

結局、ママラーキーの音楽の魅力は、雑多性、氾濫性、そして、クロスオーバーにあると言えるでしょう。ネオソウル/フィーチャーソウル、そしてパンクのエッセンスを込めたインディーロック、サイケ、ローファイ、チルウェイブなどなど、ベイエリアらしい空気感に縁取られている。


かしこまりすぎず、開けたような感覚、それがMamalarkyの一番の魅力である。これは、1960~70年代のヒッピームーブメントやフラワームーブメントのリバイバルのようでもある。ロックソングとしては抽象的。ソウルとしては軽やか。そして、チェルウェイブやローファイとしては本格的……。ある意味では、ママラーキーは、これまでにありそうでなかった音楽に、アルバム全体を介して挑戦している。明らかにロンドンっぽくはないものの、新しいカルチャーを生み出そうという、ママラーキーの独自の精神を読み取ることが出来るはず。これらは、異なる地域から集まった秀逸なミュージシャンたちのインスタントな音楽の結晶とも言える。

 

アルバムのオープニングを飾る「Broken Bones」はママラーキーの挨拶代わりの一曲である。サイケデリックな風味を持つインディーロックソングで、ベネットのボーカルは明らかにこの曲に新鮮なテイストを付け加えている。ハードロック、ポップ、プログレッシブ・ロック、いずれでもない宇宙的な壮大な感覚を持つボーカルを提供し、バンドサウンドの中に上手く溶け込んでいる。必ずしも歌をうたうというのではなく、ベネットのボーカルはごく稀に器楽的な役割を果たすことがあり、ジャズのスキャットをロック的に解釈した「ラララ〜」などのボーカルは、このアルバム全体のリスニングをする際に強烈な印象を残すかもしれない。これはママラーキーが音楽を難しく考えすぎず、ゆるく構えるというスタンスを持つことの証立てとなる。


しかし、アンサンブルとしては、プロフェッショナルで、高い演奏力を誇る。専門的ではないからこそ、インスタントなスタジオのジャムなどで高いレベルを追求してきたことが分かる。というよりも、楽しんでいたら、いつの間にか高いレベルに到達していたということかもしれません。これらはバンドとしての存在感を示すにとどまらず、ライブアクトとしても一定のエフェクトを及ぼしそうな雰囲気が出ている。つまり、バンドとしてのスター性は十分と言える。

 

''インディーロックバンド''と単に紹介するのは、Mamalarkyに礼を失するかもしれない。特に、このバンドは、Funkadelicやジョージ・クリントン界隈のファンク/ソウルの音楽性が強まることがある。序盤に収録されている「Won’t Give Up」、そして後半に収録されているメロウでアーバンな雰囲気を持つソウルバラード「Take Me」などは、アルバムの隠れたハイライトとなりえる。


そんな中で、チルウェイブやダンス・ミュージックの影響を絡めたスペシャルな音楽性も目立つ。そして、ロックソングという全体的な枠組みの中で、西海岸の幻想的で魅力的な光景を思い起こさせる曲も収録されている。心地よいヨットロック風のギターで始まる「The Quiet」は、その好例であり、テキサスのKhruangbin(クルアンビン)の音楽性をわずかに彷彿とさせる。しかし、このバンドの場合は、アフロソウルの要素は少し薄く、サザンソウルの渋さが漂う。これが近年のロックバンドとは異なる、''ビンテージに根ざしたモダン''という新しい要素を示唆するのである。もちろん、かっこよさや渋さという側面でも音楽全体に奥行きを与えている。

 

サイケデリックな要素が強まるタイトル曲「Hex Key」を聴くと、このアルバムの楽曲の多くはママラーキーの一面が表れ出たものに過ぎないと思わせる。ドラムに深いフィルターをかけ、ダンスミュージック的なサウンド処理を施し、その中でハイパーポップのようなトリッピーな音楽が展開される。 その中で、ボーカルは、ドリームポップに近づいたり、バロックポップに近づいたりと、まるで海の中を漂うかのように、音楽性を変貌させていく。例えば、海を泳いでいると、地上から降り注ぐ太陽によって海の中の景色が変わったりする。ママラーキーの音楽は、そういった類のもので、決め打ちをせず、バリエーションに富んだ音楽を展開させていく。


ベッドルームポップ風のインディーロックがお好きなリスナーには「Anhedonia」がおすすめ。軽妙なインディーロックソングを本曲では堪能することが出来る。しかし、先にも行ったようにソウルやファンクの要素が強い、この曲では特に、アフロソウルを反映させ、奥行きのある音楽に仕上げている。ビンテージレコードのようなアナログライクなプロデュース方法によって。

 

先行シングル「#1 Best of All Time」はママラーキーの魅力を体現している。ローファイ、チルウェイブといったベイエリアらしい音楽性に加え、 ママラーキーとしては珍しくドライブ感のあるパンキッシュなサウンドを展開させる。ミュージックビデオもユニーク。ロサンゼルスのストリートをオープンカーでバンドメンバーが疾走するという構成である。おそらく、現在、最も新しい西海岸の音楽を確立しようとしているのは、このバンドなのではないか。そのほか、アルバムの終盤もかなり聴き応えがあり、ママラーキーのポテンシャルの高さを伺わせる。

 

 

 「#1 Best of All Time」

 

 

 

「Take Me」は、4/8のバロックポップを下地にし、ソウル/ファンクバンドの性質が強まる。ボーカルも本格派のソウルで、聞き入らせる何かがあるかもしれない。ベースのヌーラ・カーンの演奏はファンクの跳ねるようなリズムをもたらし、そして、その上にローズ・ピアノの同音反復が続く。ドラムのしなやかな演奏もバッチリで、全体的なカルテットの演奏が傑出しているため、ボーカルが安心して遊び心のある歌唱を披露出来る。この曲ではインスタントな録音のバンドでは体験しえない、バンドとしての演奏の深さを堪能することが出来るはずである。

 

 

アンサンブルとして変拍子を組み込む場合があるのに注目したい。「MF」はフレーズごとに拍子を変え、カクカクとしたプログレッシヴなロックを提示している。そして、この曲の面白さは、ミルフィーユのような構造性にある。一つの音楽を捉えると、その向こうに別の音楽がまた一つ現れるということ。全体的にはサイケなプログレということも出来るでしょうが、曲のイメージとしてはドリーミーでファンシーな感覚に満ちている。こういった''体感的な音楽''という論理性だけで語り尽くせぬママラーキーの特性を掴むのには最適なトラックとなるかもしれません。


続いて「Blow Up」は、Deerhoofの最初期を想起させるローファイなインディーロック性に縁取られている。拡張器を思わせるボーカルのエフェクトをかけたりと、プロデュースの側面でもユニークさが際立ち、全体的な音楽の構造は入り組んでいるが、その中にはライブセッションからもたらされるルーズな感覚やラフな感覚に満ち溢れている。これらの''かっちりしすぎない''という要素はロックソングの醍醐味。70年代のロックにはあった魅力、それをママラーキーはきわめて感覚的に習得し、それらを現代のレコーディングで再現している。非常にお見事。

 

 

アルバムの後半では、インディーロックやプログレッシヴなロックの影に隠れていた本格派のビンテージソウルバンドとしての一面を見せる。「Blush」、「Nothing Lasts Forever」はロンドンのソウルやリトル・ドラゴンのような北欧のフューチャーソウルのバンドの完成度に肩を並べている。また、後者の楽曲は、Clairoの最新アルバムの音楽的なアプローチと重複する部分もある。特に、ファンクの文脈の中で繰り広げられるワウのギターが凄まじい。これらはジミ・ヘンドリックスが洗練された新しいモダンなサイケロックの一つの形とも言えるかもしれません。


ポップソングと80年代のディスコソウルを結びつけた「Feels So Good」もハイレベルに達している。ジョージ・クリントン周辺のバンド、あるいはカーティス・メイフィールドのバンドのようなコアなグルーヴを体感することが可能である。ママラーキーのアンサンブルの能力は、圧倒的に高いレベルにあるが、それらはすべて感覚的な表現としてバンドの演奏に定着している。

 

頭で考えてそれをやるというよりも、演奏を通じて自然に新しいものが溢れ出てくるというのは、彼らがインスピレーションを元にして音楽を制作している印象である。「バンドメンバーの目をしっかりと見つめて、次のテイクを信じられないものにしよう」というリヴィ・ベネットの言葉は、「Feel So Good」に明確に反映されている。この曲では、ボーカルの持つメロディーの良さに加えて、バンドアンサンブルとしての最も刺激的な瞬間を味わうことが出来ます。

 

レコーディングを体験のように捉えているのが『Hex Key』の音楽をアグレッシヴにしている理由なのでしょう。たぶん聴くたびに印象が様変わりするようなユニークな風味を感じ取ることが出来るはず。本作の最後を飾る「Here's Everything」も海岸のムードたっぷり。ヨットロックを彷彿とさせるディレイとリバーヴをてきめんにきかせたイントロで始まり、サイケソウル風の音楽へ変遷していく。と、同時に、次のアルバムに向けた伏線を残しているような気がします。”含みがある”といえば、少し誇張になるかもしれませんが、次の作品にも期待が持てますね。 



 

88/100

 

 

 「Nothing Lasts Forever」

 


ブライアン・イーノ(Brian Eno)とビーティー・ウルフ(Beatie Wolfe)は、二作のコラボレーション・アルバム『Luminal』と『Lateral』を6月6日にVerveからリリースすると発表した。 

 

それぞれのアルバムから1曲ずつ、Luminalのスペクタルでポップな「Suddenly」とLateralのアンビエント作品「Big Empty Country (Edit)」が本日公開された。


ブライアン・イーノとビーティー・ウルフは、2022年にSXSWでアートと気候変動について講演した際に出会い、ロンドンでアート作品を展示中に再会した。 「音楽とは感情を起こすことだ。 その感情の中には馴染みのあるものもあれば、そうでないものもあり、あるいはいくつかの異なる感情が複雑に混ざり合ったものもある。 「他の言語や文化には、そのような感情を表す美しい言葉がたくさんあります。 感情に名前をつけることで、私たちはその感情をより感じやすく、より具体的にすることができる。 アートは、私たちがこれまで感じたことのないような感情や、感情の混合を引き起こすことができる。 このように、アート作品はある種のフィーリングの "母 "となり、そのフィーリングを見つけ、再体験するための場所になり得るのです」


「Suddenly」




「Big Empty Country (Edit)」

 

 

Beatie Wolfe & Brian Eno 【Luminal】

 Tracklist:


1. Milky Sleep

2. Hopelessly At Ease

3. My Lovely Days

4. Play On

5. Shhh

6. Suddenly

7. A Ceiling and a Lifeboat

8. And Live Again

9. Breath March

10. Never Was It Now

11. What We Are



Beatie Wolfe & Brian Eno【Lateral】



 Tracklist:


1. Big Empty Country – I

2. Big Empty Country – II

3. Big Empty Country – III

4. Big Empty Country – IV

5. Big Empty Country – V

6. Big Empty Country – VI

7. Big Empty Country – VII

8. Big Empty Country – VIII



こちらの記事でもブライアン・イーノの名盤をご紹介しています:  アンビエントの名盤 黎明期から現代まで


韓国のインディー・ロックバンド、Say Sue Meが、4月30日にDamnablyからリリースするEP『Time Is Not Yours』を発表した。 このニュースと共に、Silica Gelのキム・ハンジュとのコラボ曲「Vacation」が公開された。 以下よりチェックしてほしい。


「現代人はすべてを考えすぎ、常に急いで生きている。 でも、ちょっと立ち止まって、ただ息をする時なんだ。韓国のパワーポップバンド、シリカゲルのヴォーカリスト、キム・ハンジュが「Vacation」に声を貸してくれた」

 

「私たちは2022年に日本で開催されたフェスで初めてつながり、そこで彼は私たちとのコラボレーションの希望を表明した。 彼の言葉が印象に残り、「Vacation」をレコーディングすることになったとき、彼の声が完璧にフィットすると確信した。 彼の貢献のおかげで、この曲はより豊かで生き生きとしたエネルギーを帯び、トラックに全く新しい色を加えることができた」

 

「Vacation」

 


Say Sue Me 『Time Is Not Yours』 EP


Label: Damnably

Release: 2025年4月30日

 

Tracklist:


1. Time Is Not Yours

2. Vacation [feat. Kim Hanjoo]

3. In This Mess

4. Mexico

5. Bone Pink




ジョニが「痛みとは、誰かを愛するために支払う代償」と言うのは、彼女自身の深い経験に依るものだ。 このシンガー・ソングライターは、長年のパートナーであり、最も親しい音楽的コラボレーターとともにLAからロンドンに移り住んだが、しかし、突然、深く不安にさせるような別れに直面した。


彼女の印象的なニュー・アルバム『Things I Left Behind』は、その前と後の旅の記録であり、そのスナップショットが示唆するように、深く個人的で力強い感動を与えてくれる。 10曲の新曲で構成されたこのアルバムは、ファイスト、スパークルホース、ダニエル・ジョンストンなどの影響を受けながら、その不完全さを受け入れている。


ニューヨークとロサンゼルスの両方で、20代の大半を他のアーティストのためのソングライティングに費やしてきたジョニは、パンデミックによって共作セッションが不可能になったとき、自分の音楽に焦点を戻した。 ロンドンでは、ローラ・ヴィアーズ、アクアラング、オールド・シー・ブリゲード、ダン・クロールなどのツアーに参加し、成功の片鱗を見せた。


ルーク・シタル=シンとのツアー中、ついに事態は収束に向かった。 「以前の交際中、レコーディングのプロセスはとても不健康なものだった」


「私の音楽が良いのは、元彼のプロダクションと彼の極端な仕事のやり方によるものだと信じていた。 レコーディング・セッションのほとんどは涙で終わった。 影から抜け出すには時間がかかった。 ある晩、ルークと一緒にツアーをしていたとき、心が折れてしまって、自分がどれほど迷っているかを彼に話してみた。彼は、一緒にレコーディングしてみないかと言ってくれた」


彼らが最初に取り組んだ曲は「Still Young」で、アルバムの最後を飾る曲であり、後にLP『Things I Left Behind』となる作品のキッカケとなった瞬間だった。 この4分間の "Still Young "は、ジョニが放つ魅力、告白的な歌詞、疲れた心を、愛らしく説得力のあるポップ・ハートで昇華させたことを示している。


皮肉なことに、ルーク・シタル=シンと新しいレコーディングで一緒に仕事をし続けることを誓ったジョニは、ルークが住んでいたLAに戻って次の章を始めることになった。 「元カレと住んでいた場所に戻るのはシュールだった。 昔の生活について書いていたら、突然そこに戻ってきたの」


潜水艦乗りの娘であるジョニの幼少期は、アメリカ、ヨーロッパ、アジアを転々とした。 そして今、失恋と喪失の新鮮な鋭さを胸に、彼女はその感情を自由かつ鋭く、心の底から書き始めた。


アルバムのファーストシングルである「Avalanches」は、アルバムのトーンや感触を音で表現するのに適した入り口であると同時に、その鼓動の中心をテーマ的に要約している。 「この曲は、人間関係の終わりという痛みと傷心について歌っている。 "痛みとは、誰かを愛するために支払う代償"。 光り輝く3分弱の珠玉のこの曲は、夢のような空間を切り開く彼女のコツを象徴しており、常に何か半分埋もれたもの、水面下の暗い陰謀の波紋をほのめかしているようだ。


これはタイトル・トラック「Things I Left Behind」で前面に出てくるもので、成長することの多くがいかに人や場所やものを失うことに集中しているか、前進するにつれていかに自分自身の断片を置き去りにしてしまうかを魅惑的に語っている。 シャッフルするようなドラム・ビートに支えられながら、曲は永遠に前進を続け、ジョニの歌声は、微妙に渦巻くギターと様々な音色の変化に対して適切に魅力的に感じられ、この曲に妖艶なエッジを与えている。


他にも、「ストロベリー・レーン」では、明らかに痛ましいスライドドアのような瞬間が詳細に描かれている。 この曲は、ジョニが当初想像していたように彼女の関係が続き、2人が一緒に年をとり、すべてがうまくいく理想的な場所をフィクションとして垣間見せている。


しかし、ご存知の通り、人生にはそれなりの計画があることが多く、全体として見れば、『Things I Left Behind』は、そのようなものへの痛烈で喚起的な頌歌である。 揺れ動く始まりから、ジョニは片足を前に出し、自分自身に戻るだけでなく、アーティストとしても個人としても成長できる新しい道を見つける方法を見つけたのだ。


アルバムのエンディングを飾る "PS "は、このアルバムのために書かれた最後の曲でもあり、ジョニがある種の解決、ある種の勝利に辿り着けたと確信した瞬間でもあった。 「なぜか、物語が一区切りしたような気がして、私はふいにそこに安らぎのような感覚を見出したのです」とジョニは言う。 「もしあの日、すべてが変わるとわかっていたら、私はレコードを聴かせていただろうに。 私は戦わず、あなたを手放し、あなたを愛したことを喜んだだろうに」



Joni  『Things I Left Behind』- Keeled Scales


 

ニューヨーク、ロサンゼルス、アジア、そして現在はロンドンというように、音楽の主要な文化都市を渡り歩いてきたシンガーソングライター、Joniはデビューアルバム『Things I Left Behind』をテキサスのインディペンデントレーベル、キールド・スケールズからリリースした。

 

このレーベルはソロシンガーの発掘に特化しており、Why Bonnie、Meerna,Will Johnsonなど良質な才能を見出してきた。ポピュラー、ロック、フォークなど、音楽的には幅広く、それほど画一的ではないものの、ポピュラーシンガーの才能を上手く引き出すようなレコーディングを幾つも残している。Joniに関しても、ロックシンガーというよりもポピュラーシンガーの性質が色濃い。デビュー・アルバムということで、溌剌とした印象を持つインディーポップソングがオープニングを飾るが、その後は意外な音楽の変遷を辿る。まるでそれは、何らかの音楽的な壁に突き当たるごとに、少しずつその音楽性を変貌させてきたことを暗示するかのようである。

 

Joniの音楽活動は最近始まったというわけではなくて、2015年から断続的にシングルのみをリリースしてきた。デビュー・アルバムをリリースするまでに実に10年もの歳月を費やした。

 

アルバムは表向きには、ルーシー・ローズのようなインディーポップソングの印象が強い。しかし、同時に10年の月日が録音作品全体に音楽的な奥深さをもたらしている。このアルバムでロンドンのシンガーソングライターは、過去の自分を振り返り、回想するが、そこには深い憂いが漂う。旅の記憶というモチーフで制作された本作は、ジョニの人生の流れを反映させている。聞き手は映画さながらにシンガーの人生の転変のトランジションを垣間見ることになるだろう。

 

このアルバムは映画やアニメのシナリオなどにもよくあるように、 転変の多い人生を表している。映画などでは、そのなかで主人公は何らかの経過を通して、その停滞を打開しようとする。首尾よく行けば、ハッピーエンドとなるが、ところが、実際の人生はそのようにいかない場合もある。映画のエンディングのようにスカっとはせず、何らかの気持ちの落とし所がつかず、もやもやすることがある。それは心の中の凝りのようなものとしてわだかまりつづける。このアルバムは実際的に、その心残りのようなものを解消するための”魂の内在的な旅路”である。

 

楽しい思い出、悲しい思い出といった、いくつかの出来事を回想しながら、それらにさりげない別れを告げる。アルバムの音楽は一見すると、後ろ向きのように思える。しかしながら、いくつかの音楽を経て、それらがまったく最初のモチーフやテーマから印象が転化する瞬間がある。それを何らかの形で感じとれるかどうかが、アルバムの評価を分け隔てる。悲観的な考えを出発点とし、その出発点からどれだけ遠ざかることができるのか。そしてあるとき、後ろを振り返ったとき、まったく違う地点にいることに気がつく。それが人間の成長であり、同時に音楽の進化でもある。自分でも信じられない存在に生まれかわることも出来る。それがソロのシンガーソングライターの魅力なのであり、歌や音楽というのはそのための媒体の意味を持つ。

 

音楽が徐々に変遷を経ながら、曲がりくねったり、まっすぐになったり、伸びていったり、しぼんだり、一筋縄ではいかないのが、ジョニのポップソング。しかし、それが音楽性に説得力を付与し、派手ではないが、音楽に一貫性と聴きごたえをもたらす。そして全般的には過去の自分をオルゴールの子守唄のような音楽で包み込む。それは過去の自己や恋人の関係との決別を意味するが、同時に、悲しい経験や痛み、それらを容認したり許容する音楽でもある。これが同じような状況にある人々の心にシンパシーをもたらし、癒やされるような瞬間を生み出す。


このアルバムはスターへの憧れを示すというような一般的なポピュラーアルバムで取り上げられるようなものではなく、名も無いシンガーソングライターのささやかな日記のような内容である。にもかかわらず、その音楽は、一般性があり、そして普遍的な感覚に満ちている。もちろん、言語圏をえらばず、広く聞かれるべき要素をもたずにはいられないのである。

 

 

ジョニは、例えば、デル・レイ、ミツキやザウナーのように圧倒的なスター性に恵まれたシンガーではないかもしれない。 ところが、等身大のソングライティングとも称すべき彼女の作曲は、個人的な趣旨と内容に縁取られ、普遍的な魅力に満ちあふれている。アートワークに連動するように、歌手は孤独というレンズを通し、もちろんそれを恐れず、自己に向き合い、それらを幻想的な眼差しで捉えようとする。そして、ぼんやりとした霧の向こうに憧れと容認を見い出す。しかし、その核心は音楽の彼方に存在し、非常にかすかに鳴り響くにとどまっている。音楽的な方向性がロック、インディーポップにいたろうとも、その中には淡い静けさがある。

 

 

シンガーソングライターの音楽が最も輝かしい瞬間を得るのは、個人的な出来事を歌っているのに、それが一般的な意味を持つような場合である。個人性と一般性の並立は、矛盾しているように思えるが、音楽としては併存することが可能である。そして個人的な営みに思える音楽も、聞き手側との共感というルートを通して何らかの通じあうような瞬間がある。これがポップソングの最大の強みである。


そして意外なことに、それが一般的ではないように思える歌の方が共感性をもたらすことがある。これは例えば、旧来の日本の歌謡曲のヒット・ソングなどを聴けば痛感出来る。聞き手に対して、共感性を及ぼすのは、一般的なシチュエーションではないような出来事が歌われ、それが音楽というある種の装置を通して濾過され、普遍性を獲得する瞬間なのである。そしてこれが形骸化していく音楽とそうでない音楽の別れ目ともなりえる。

 

 

 『The Things I Left Behind』を制作するために、ジョニは数年を費やして音楽性に磨きをかけてきた。本作の冒頭を飾る「Your Girl」で、その成果ははっきりと見えている。現在の洋楽のトレンドでもあるドリームポップに属する甘美なメロディーを元にし、プロデューサーの魔法のようなサウンド処理を通じて心地よい音楽性を作り出す。


この曲は、リングモジュラーのシンセサイザーで作り出したオルゴールのようなアルペジオで始まり、ファンシーな歌声で甘いメロディーを歌い、独自のポピュラー・ワールドを構築していく。


ルーク・シタル=シンのプロデュースは、この曲にダンス・ポップ/シンセ・ポップの要素をもたらし、The Japanese Houseを彷彿とさせるようなモダンなポップソングの印象へと変遷していく。アルバムの中では、最近のイギリスのミュージックシーンの影響を感じさせる。続く「Strawberry Lane」は、ベッドルームポップのソングライティグをベースにして、ファンシーな風味のポップソングを書いている。

 

「Your Girl」

 

 

 

アルバムの序盤ではポップソングの”軽さ”という側面を強調し、それらが現代のミュージックシーンとどのように連動するのかを探る。その中で、ニューヨークのPorchesやロサンゼルスのローファイなどの影響を上手く活かし、「Avalanches」が作り出された。これらは現代のレコーディングシステムから見て、チープな感覚のある音質を強調させ、ローファイなポップソングを作り出す。全体的には、ドリーム・ポップの範疇にあるサウンドアプローチもギターの演奏が入ると、ロックの印象に様変わりし、ソングライターの動きの多い人生を上手く反映している。全てを語らずとも、その人間性の一端を感じさせる。それがこのポップソングの魅力なのだ。そしてスペーシーなシンセを導入し、この曲の持つ世界観はだんだんと広がりを増していく。

 

本作の音楽は、ジョニが暮らしてきたロンドン、ニューヨーク、ロサンゼルスをクロスオーバーするかのように進んでいく。ロンドン風の音楽が登場したかと思えば、ニューヨーク風の音楽が出てくる。タイトル曲はニューヨークの2010年代のベースメントのロックの影響を感じさせ、DIIV、Beach Fossilsの系譜にあるスタイリッシュなロックソングとしてたのしめる。こういった2010年代のインディーロックはストリートの雰囲気を吸収し、ロックソングをヒップホップの音楽と劇的に融合させて登場したが、それを改めておさらいするような内容である。新しい要素としては、これらを男性的な観点ではなく女性的な観点から再考していることだ。軽快なドラミングに支えられるようにしてジョニのボーカルが最も溌剌とした印象を持つ瞬間。

 

アルバムの前半部では一貫してインディーポップシンガーとしてのイメージを打ち出しているが、後半になると印象が一変する。また、プレスリリースでも示されるように音楽の旅というモチーフが明らかになる。明確には、場所や地域などはタイトルに付けられていないが、それらの体験のようなものを、人生の出来事を通して音楽的なジャンルに制限されずに体現させていく。


「Castle」では音楽の印象が一変し、アンティークなピアノの演奏を通したピアノバラードが登場する。伴奏となるピアノのシンプルなアルペジオをオルゴールのように見立て、ジョニは癒やしのポップソングを提供する。ポスト・クラシカルのような音楽とも連動しているが、ジョニの曲の場合はジャズボーカルの音楽の気配が強い。''ファーザー・ジョン・ミスティの女性版''とも言えるジャズの古典的なボーカルの雰囲気を受け継いで、それらをディズニー的な雰囲気を持つバラードに仕上げている。さらに、シンセサイザーによって作り出されたコントラバスのピチカートを伴奏に配することにより、この曲を現代的なジャズ・ボーカルへと接近させる。この瞬間、部分的にデル・レイ、ミツキのようなシンガーの持つ夢想的な領域へと近づく。

 

 

ジョニは次の曲でアコースティックギターを用いた、ささやかなフォークソングを披露している。「Birthday」は過去の誕生日を思い起こさせ、ケーキのろうそくを吹き消すというシーンをレコーディングにより実際に表現している。二曲目の「Strawberry Lane」のようなローファイな録音性を活かし、どこまでもパーソナルでささやかなフォークバラードを書いている。この曲はビートルズのデモソングのような気楽な雰囲気を生み出し、アルバムの癒やしの瞬間をもたらす。

 

こういった遊び心のある音楽性はシンガーソングライターのアルバムを聴くときに、近づきやすさをもたらすに違いない。フラットな感覚を持つ「Bucket List」が終盤の収録曲とのつなぎ目や連結のような役割を担う。エレアコの心地よいギターが、ジョニの持つ幻想的な音楽性と結びついて、アートワークに表されるような、牧歌的な音楽性が生み出されている。この曲では、歌手の浮き立つような気持ちが軽やかなアルペジオを配したギターソングにより表現される。

 

 

アルバムの終盤では、リバプールの同名の川の流域で流行った懐かしき「マージー・ビート」を登場させる。「The Tide」では、彼女のルーツともいえる港の舟歌のような音楽性に挑戦し、ブルースやパブロック、The La's、オアシスはもちろん、ビートルズの最初期の音楽性でもあるマージービートをゆったりとしたテンポで縁取っている。アルバムの序盤では、キュートなポップソングのイメージを打ち出しているが、シンガーの持つ渋い一面がこの曲以降で明らかに。


「The Tide」は、波の雄大さを港から見守るようなかっこよさを体現させている。このアルバムはロンドンに始まり、そして、ロサンゼルス、ニューヨークを経て、その後、リバプール経由でマンチェスターにたどり着く。遠い船旅を試みるようなこのアルバムは、インディーポップという音楽性を塗り替えるような意味合いが込められている。「Still Young」は、オアシス、リアム・ギャラガーのソロ、ビートルズの直系の一曲である。こういった曲は、今、女性のシンガーが積極的に歌う時代に到来しているのだろうか。ある意味、お約束ともいえる音楽も、ジョニのファンシーかつドリーミーな感覚に包まれると、優しげなキャラクターを持つようになる。

 

 

クローズを飾る「PS」は、ジョニがみずからに当てた手紙なのか。ギターのローファイなレコーディングを活かし、デモソングの延長線上にある、ささやかなバラードで本作は終わる。音楽の持つ世界を去るのが名残惜しいが、さっぱりとしている奇妙なアルバム。しかし、その音楽の余韻はとても心地良く、子守歌のような慈しみと温かいエモーションに満ち溢れている。

 

 

84/100 

 

 

「Still Young」

 

 

 

▪Joniのニューアルバム『The Things I Left Behind』はKeeled Scalesから本日より発売中です。ストリーミングはこちらから。

 

©Katie Silvester

ブライトンの4人組、The New Eves(ザ・ニュー・イヴス)が本日、新曲「Highway Man(ハイウェイ・マン)」のシングル/ビデオをリリースし、トランスグレッシヴ・レコードとの契約を発表した。

 

バンドとジョー・ジョーンズ、ジャック・オズボーン(ビンゴ・フューリー)の共同プロデュースによる "Highway Man "は、アルフレッド・ノイズの1906年の古典的なロマンチックな詩を、ダークにエネルギッシュに、女性初で再構築したものだ。 

 

衝動的で直感的なこの曲は、コントロールされた音楽のカオスの一片であり、レンズを反転させる。 

 

オリジナル・バージョンでは、男は男らしく、女は何もせずに死んでしまう。 だから私は、"私たちはそれを支持することはできません... "って感じだった。

 

 

同時公開のミュージックビデオについて、監督のALFREDは次のように語っている。


『ハイウェイ・マン』は、ザ・ニュー・イヴスからのオファーのように感じた。 私たちが様々な映像言語を試し、探求することへの信頼と意欲が、私たちを興味深い場所へと導いてくれた。

私たちはトラックにストーリーを語らせ、私たちの映画は現実と超現実の間のどこかに存在するようにしたかった。すべての人がゴールを理解し、すべての瞬間を的中させるために貢献したんだ。



パティ・スミスの熱狂的で魅惑的な歌声にうなずきながら、呪文のようなバッキング・ヴォーカルと、ドライブするようなリズムの集団的なセンスで、境界のない4人組の最新曲は、彼らのロックンロールの側面を前面に押し出している。 

 

 「Highway Man」

 

 

ヴァイオレットによるワイルドなギター・ソロ(「基本的に奇妙なノイズとバッシングだけの自分のギター・スタイルを見つけ始めたときだった」と彼女は言う)や、クラウトロック、フリーク・フォークなどのニュアンスもある。 

 

しかし、ザ・ニュー・イヴスのあらゆる活動と同様、『ハイウェイ・マン』のエネルギーは、4人のミュージシャンが一緒に演奏することで生まれる独特の錬金術から生まれている。


ザ・ニュー・イーブスは、グリーン・マン、ワイド・アウェイク、そして最近ではロンドンのザ・ブルー・ベースメントとICAで魅惑的なライブを披露し、観客を魅了してきた。

 

マンチェスターのサウンズ・フロム・ザ・アザー・シティ、ブライトンのグレート・エスケープ、ブリストルとノッティンガムのドット・トゥ・ドット・フェスティバルの出演を含む、新たなフェスティバルのライブ日程を発表した。 ライブ日程の全リストは以下を参照。

 

ザ・ニュー・イヴスは、ニーナ・ウィンダー・リンド(チェロ、ギター、ヴォーカル)、エラ・オーナ・ラッセル(ドラムス、フルート、ヴォーカル)、ケイト・メイガー(ベース、ヴォーカル)、ヴァイオレット・ファラー(ヴァイオリン、ギター、ヴォーカル、ダンス)からなる。

 

Live dates:

April 12th - Homegrown Festival, Brighton

April 25th - Salutations Festival, Sheffield

May 4th - Sounds From The Other City, Manchester

May 15th - The Great Escape, Brighton

May 16th - The Great Escape, Brighton

May 24th - Dot to Dot Festival, Bristol

May 25th - Dot to Dot Festival, Nottingham

July 31st - Aug 3rd - Wilderness Festival

August 28th - 31st - End of The Road Festival

 

 

アンビエント/ドローン・ミュージシャンChihei Hatakeyama(畠山地平)とジャズ・ドラマーの石若駿とのコラボレーション・アルバムの第二弾『Magnificent Little Dudes Vol.2』のフィジカルCD/LPがついに発売されます。

 

さらに、リリース翌日となる4月24日(木)、新宿ピットインにて"リリース記念Live"の開催も決定しました。アルバムのリリース詳細と合わせて公演情報も下記よりご覧下さい。


昨年10月にデジタルのみで先行リリースとなった『Magnificent Little Dudes Vol.2』。4月23日(水)にCDが、5月7日(水)にLPが、いずれもボーナス・コンテンツとして3曲のリミックスを追加収録してリリースされる。

 

また、そのリミックス3曲を収録したデジタルEP『Magnificent Little Dudes (The Remixes)』も4月25日(金)に配信リリースとなる。



今回、リミックスを手がけたChihei Hatakeyama(畠山地平)から次のコメントが届いた。


「元々のミックスはレコーディング現場の雰囲気を強く再現したものだった。それはとても良かった。レコーディングから時間が経過すると、他の可能性に気付く時がある。今回もある日違うミックスを作ったら面白いんじゃないかと思った。以前はドローン・サウンドの海に沈んだドラムという感じだったが、今回はより空間を作り、音と音の間の空気感を大事にしました」


▪️畠山地平の過去のインタビューはこちらからお読み下さい。

 

 

【ライヴ情報】『Magnificent Little Dudes vol.2』 リリース記念 Live

 



開催日:2025年4月24日(木)

開場/スタート:Open19:00 / Start19:30


チケット: 前売り:¥3,850税込 ¥3,500+税(1DRINK付)
当日:¥4,400税込 ¥4,000+税(1DRINK付)


出演:畠山地平(G)石若 駿(Ds)

スペシャルゲスト:角銅真実 


詳細(新宿 Pit-Inn): http://pit-inn.com/artist_live_info/250424hatake/

 

なお、4月24日(木)の新宿ピットイン公演会場では来場者限定に一足先に『Magnificent Little Dudes Vol.2』のLPを販売するので、ぜひお見逃しなく!

 

 

【新譜情報】 

 



アーティスト名:Chihei Hatakeyama & Shun Ishiwaka(畠山地平&石若駿)
タイトル名:Magnificent Little Dudes Vol.2(マグニィフィセント・リトル・デューズ・ヴォリューム 2)
発売日:CD:4/23(水) / LP:5/7(水)
レーベル:Gearbox Records
品番:CD: GB1595CD  / 2LP (140g盤): GB1595

※日本特別仕様盤特典:日本先行発売、帯付き



<トラックリスト>


(CD)
1. M3 (feat. Cecilia Bignall)
2. M2
3. M5
4. M6
5. M1_Space Age Mix
6. M4 (feat. Hatis Noit)_Future Days Mix
7. M3 (feat. Cecilia Bignall)_Unreliable Angel Mix

(LP)
Side-A

1. M3 (feat. Cecilia Bignall)
2. M1_Space Age Mix
 
Side-B

2. M2
3. M4 (feat. Hatis Noit)_Future Days Mix
 
Side-C
1. M5
 
Side-D
1. M6
2. M3 (feat. Cecilia Bignall)_Unreliable Angel Mix

<クレジット>


Chihei Hatakeyama: electric guitar and sound effects
Shun Ishiwaka: drums and percussion, piano on ‘M6’
Cecilia Bignall: Cello on ‘M3’
Hatis Noit: voice on ‘M4_Future Days Mix’
 
Composed by Chihei Hatakeyama and Shun Ishiwaka
‘M3’ composed by Chihei Hatakeyama, Shun Ishiwaka and Cecilia Bignall
‘M4_Future Days Mix' Composed by Chihei Hatakeyama, Shun Ishiwaka and Hatis Noit
 
Produced by Darrel Sheinman
 
Recorded at Aobadai Studio
Engineered by Masato Hara
 
‘M3’, ‘M2’, ‘M5’ mixed by Caspar Sutton-Jones
‘M6’, ‘M1_Space Age Mix’, ‘M4_Future Days Mix’, ‘M3_Unreliable Angel Mix’ mixed by Chihei Hatakeyama
Mastered by Caspar Sutton-Jones


EP『Magnificent Little Dudes (The Remixes)』4/25(金)配信スタート!


<トラックリスト>


1. M1_Space Age Mix
2. M4 (feat. Hatis Noit)_Future Days Mix
3. M3 (feat. Cecilia Bignall)_Unreliable Angel Mix

 

・配信リンク: https://bfan.link/magniificent-little-dudes 


・アルバム『Magnificent Little Dudes Vol.2』のデジタルバージョン:https://bfan.link/magniificent-little-dudes

 

 

 <Chihei Hatakeyama / 畠山地平>

 



2006年に前衛音楽専門レーベルとして定評のあるアメリカの<Kranky>より、ファースト・アルバムをリリース。以後、オーストラリア<Room40>、ルクセンブルク<Own Records>、イギリス<Under The Spire>、<hibernate>、日本<Home Normal>など、国内外のレーベルから現在にいたるまで多数の作品を発表している。

 

デジタルとアナログの機材を駆使したサウンドが構築する、美しいアンビエント・ドローン作品を特徴としており、主に海外での人気が高く、Spotifyの2017年「海外で最も再生された国内アーティスト」ではトップ10にランクインした。

 

2021年4月、イギリス<Gearbox Records>からの第一弾リリースとなるアルバム『Late Spring』を発表。その後、2023年5月にはドキュメンタリー映画 『ライフ・イズ・クライミング!』の劇中音楽集もリリース。

 

映画音楽では他にも、松村浩行監督作品『TOCHKA』の環境音を使用したCD作品『The Secret distance of TOCHKA』を発表。第86回アカデミー賞<長編ドキュメンタリー部門>にノミネートされた篠原有司男を描いたザカリー・ハインザーリング監督作品『キューティー&ボクサー』(2013年)でも楽曲が使用された。

 

また、NHKアニメワールド:プチプチ・アニメ『エんエんニコリ』の音楽を担当した。2010年以来、世界中でツアーを精力的に行なっており、2022年には全米15箇所に及ぶUS ツアーを、2023年は2回に渡りヨーロッパ・ツアーを敢行。2024年5月、ジャズ・ドラマーの石若駿とのコラボレーション作品『Magnificent Little Dudes Vol.1』をリリース。その後同作のVol.2も発売した。

 

 

 

<Shun Ishiwaka / 石若駿>

 

©︎Makoto Ebi


1992年北海道生まれ。東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校打楽器専攻を経て、同大学を卒業。卒業時にアカンサス音楽賞、同声会賞を受賞。2006年、日野皓正special quintetのメンバーとして札幌にてライヴを行なう。

 

2012年、アニメ『坂道のアポロン』 の川渕千太郎役ドラム演奏、モーションを担当。2015年には初のリーダー作となるアルバム「Cleanup」を発表した。また、同世代の仲間である小西遼、小田朋美らとCRCK/LCKSも結成。


2016年からは「うた」をテーマにしたプロジェクト「Songbook」も始動させている。近年はゲスト・ミュージシャンとしても評価が高く、くるりやKID FRESINOなど幅広いジャンルの作品やライヴに参加している。2019年には新たなプロジェクトAnswer To Rememberをスタートさせた。

 

2023年公開の劇場アニメ『BLUE GIANT』では、登場人物の玉田俊二が作中で担当するドラムパートの実演奏を手がけた。2024年5月、日本を代表するアンビエント/ドローン·ミュージシャン、畠山地平とのコラボレーション作品『Magnificent Little Dudes Vol.1』をリリース。その後同作のVol.2も発売した。

 


Tune-Yards(チューン・ヤーズ)はシングル「Heartbreak」をバンドのメリル・ガーバスが監督したミュージックビデオで公開した。数週間前、バンドはCBSサタデーモーニングでこの曲を披露した。ヒップホップのバックビートを背景に、ガーバスは軽やかな歌を披露している。


チューンヤーズはメリル・ガーバスとネイト・ブレナーで構成され、結婚もしている。最初の先行曲「ライムライト」は、家族でジョージ・クリントンの音楽に合わせて踊っているところからインスパイアされたもので、続く曲では彼らの3歳の子供が歌っているのを聴くことができる。


「今の時代にアートを作るということは、集中するための戦いなんだ」とガーバスは述べている。チューン・ヤーズは5月26日にニューアルバム『Better Dreaming』を4ADからリリースする。

 

「Heartbreak」

 


 


フロリダの四人組エモ/インディーロックバンド、Home Is Whereはニューアルバム『Hunting Season』を発表した。クジラのアートワークが印象的な2023年のアルバム『The Whaler』に続く作品。


4人組はリードシングル「migration patterns」も同時に発表した。この曲では、エモ/パンク、アメリカーナ、ブルース、インディーロックを融合させ、痛快な響きを生み出している。ギター/ボーカルは、トゥインクル・エモだが、ブルース・ハープが入ったり、スティールギターが入ったりというように、楽しい雰囲気が満載だ。曲のアウトロにかけてのシンガロングも最高。

 

ヴォーカルのブレア・マクドナルドはこう語っている。「これは平凡な運命との闘いについて歌っている。死ぬまで働くんだ」


ボー・マクドナルドは新しい時代の『偉大なるアメリカの歌』を書きたかったという。彼女のバンド、Home Is Whereによる3rdアルバム『Hunting Season』には13曲が収録されており、そのひとつひとつが、自動車事故で噴煙と炎に飲まれたエルヴィスのモノマネ芸人の死にゆく思いを詳細に歌っている。このアルバムではブラックユーモアと風刺が滲んでいる。

 

はっきりさせておきたいのは、これらの曲はすべて同じ瀕死のエルヴィスの物まね芸人の視点から歌われているのではなく、13人の異なるエルヴィスの物まね芸人が、13台の車の玉突き事故で死んでいくということだ。

 

不運な数のエルヴィスの真似をした者たちが、それぞれ別々の車の中で燃え尽きながらも、残骸の中で、そして死の中で一緒になりながら、最後の命の屑を掴んでいる。これ以上にアメリカ的なものがあるだろうか?

 

 

 「migration patterns」



 

『Hunting Season』は、マクドナルドの言葉を借りれば 「本物のサザン・ロック」だ。フロリダの沼地出身のHome Is Whereは、この国が住民に放ち続けている最悪の大惨事を知らないわけではない。

 

このアルバムは、しばしばメイソン・ディクソン線の南側に最も集中する、アメリカの混乱に対する彼らの愛憎関係を見事に包み込んでいる。

 

このアルバムのクローズ「Drive-By Mooning 」でマクドナルドはこう歌っている。「愛してる、でも、時々、私は今までで最悪の人間になるかもしれない」 火は燃え続け、煙は壊された車の山から立ち上り、13人のエルヴィーズの顔が割れた窓ガラスに映る。これぞアメリカの不条理。


Home Is Where 『Hunting Season』


Label: Wax Bodega

Release:  2025年5月23日

 

Tracklist:


1.reptile house
2.migration patterns
3.artificial grass
4.black metal mormon
5.stand-up special
6.bike week
7.everyone won the lotto
8.shenandoah
9.milk & diesel
10.mechanical bull
11.the wolf man
12.roll tide
13.drive-by mooning

 

Pre-save: https://go.mhe.fm/hiw_migrationpatterns

 


 
Stereolabが15年ぶりのニューアルバム『Instant Holograms on Metal Film』を発表した。同時に、ファーストシングル「Aerial Troubles」のミュージックビデオを公開した。Instant Holograms on Metal Film』は5月23日にDuophonic UHF Disks/Warpから共同でリリースされる。先行シングル「Aerial Troubles」のビデオはローラン・アスキナジーが監督しました。
 
 
 
Stereolabの最後のスタジオアルバムは2010年の『Not Music』だった。無期限の活動休止にもかかわらず、バンドはその後も旧作を再発し、2019年からはツアーも開催している。バンドは創設メンバーのレティシア・サディエとティム・ゲインが率いており、アンディ・ラムジー、ジョセフ・ワトソン、グザヴィエ・ムニョス・ギメラも参加。インスタント・ホログラム・オン・メタル・フィルムには、クーパー・クレイン、ロブ・フライ、ベン・ラマー・ゲイ、リック・エルズワース、ホルガー・ザップ、マリー・メレ、モリー・リードも参加している。
 

 
『Instant Holograms on Metal Film』は、一部のファンに郵送された「Aerial Troubles」7インチ(B面は同曲のインストゥルメンタル・ヴァージョン)で予告された。Stereolabの単語検索をフィーチャーした謎めいたポスターも主要都市に掲示された。
 


「Aerial Troubles」



Stereolab 『Instant Holograms on Metal Film』


Label: Duophonic UHF Disks/Warp

Release:2025年5月23日

 

Tracklist:

1. Mystical Plosives

2. Aerial Troubles

3. Melodie Is a Wound

4. Immortal Hands

5. Vermona F Transistor

6. Le Coeur et la Force

7. Electrified Teenybop!

8. Transmuted Matter

9. Esemplastic Creeping Eruption

10.. If You Remember I Forgot How to Dream Pt. 1

11. Flashes From Everywhere

12. Colour Television

13. If You Remember I Forgot How to Dream Pt. 2

©︎Saoirse Fitzpatrick


現代アンビエント・シーンの注目株と称されるUKの作曲家、The Vernon Spring(ヴァーノン・スプリング)。本日、5/9に発売予定のニューアルバム『Under a Familiar Sun』より先行シングルとして「Esrever Ni Rehtaf (feat. aden) 」が配信開始されました。 この曲ではボーカリストのadenがフィーチャーされ、美麗な雰囲気を漂わせる。(ストリーミングはこちらから)


UK/ノースロンドン生まれブライトン在住のアーティスト/作曲家/ピアニスト/プロデューサーのThe Vernon Spring(ザ・ヴァーノン・スプリング)ことサム・ベステ。大きな飛躍を遂げる可能性に満ちた待望のニューアルバム『Under a Familiar Sun』が来月ついにリリースされる。 

 

 

 「Esrever Ni Rehtaf (feat. aden) 」


Ólafur Arnaldsのレーベル”OPIA Community”、ニューヨークの実験音楽のレーベル”RVNG Intl”、そして”インパートメント”の3レーベルからの共同リリースが示すとおり、2025年のアンビエント・シーンで大きな注目を集める可能性を秘めています。


最新作『Under a Familiar Sun』は、彼の芸術的進化の幅の広さと深みを物語る作品です。作曲とプロセスに基づく長い実験期間を経て生まれたもので、これまでの即興的なプロダクションから、より複雑なアプローチへの転換を果たしました。

 

プロデューサーのIko Nicheとともにアルバム制作を進めるプロセスのなかで、ヒップホップの影響や、サンプリングを活用した手法を取り入れながら、The Vernon Springならではのピアノ・コンポジションを全編にわたって貫き、前人未到のサウンドスケープを描き出しています。


近年、The Vernon Springの音楽は、静かで美しい音楽を求めるリスナーの耳を魅了しつづけています。

 

その芸術的ヴィジョンを抽出し、拡張させた本作は、このプロジェクトが新たな革新の段階へと向かう転換点となるもので、優雅でありながら勇敢なアプローチに驚嘆する意欲作となっています。


【先行情報】


THE VERNON SPRING(ザ・ヴァーノン・スプリング)、ヒプノティックなニューシングル「OTHER TONGUES」をリリース  ニューアルバム『UNDER A FAMILIAR SUN』に収録




【新譜情報】

 

アーティスト:The Vernon Spring (ザ・ヴァーノン・スプリング)

タイトル: Under a Familiar Sun(アンダー・ア・ファミリア・サン)

品番: CD: PDIP-6612 / LP: PDIP-6613LP

価格:CD: 2,500円(税抜) / 2,750円(税込)

LP: 5,000円(税抜) / 5,500円(税込)

発売日:2025年5月9日(金)

バーコード:CD: 4532813536125 / LP: 4532813536132

フォーマット:国内盤CD / LP / デジタル

ジャンル: ポスト・クラシカル / ジャズ / アンビエント

レーベル:p*dis

販売元・発売元:株式会社インパートメント

 

・プリセーブ: https://pdis.lnk.to/PDIP-6612

・国内盤の詳細(インパートメント): https://www.inpartmaint.com/site/41237/


トラックリスト:

1. Norton

2. The Breadline (feat. Max Porter)

3. Mustafa (feat. Iko Niche)

4. Other Tongues

5. Under a Familiar Sun

6. Fume

7. In The Middle

8. Fitz

9. Esrever Ni Rehtaf (feat. aden)

10. Counted Strings (feat. aden)

11. Requiem For Reem

12. Known


<プロフィール>

 

UKノース・ロンドン生まれブライトン在住のアーティスト/作曲家/ピアニスト/プロデューサー、サム・ベステによるソロ・プロジェクト。

 

弱冠17歳でエイミー・ワインハウスのワールド・ツアーのピアニストに抜擢されキャリアをスタート。UKロンドンのオルタナ・ソウル・トリオHejira(ヘジラ)のメンバーとしても活動し、エイミー・ワインハウスのほか、MF DOOMやハーバートなどの作品にも参加する経験豊富なマルチ・インストゥルメンタリストでもある。


2021年にリリースしたソロデビューアルバム『A Plane Over Woods』がロングセラーを記録する。同年、発売から50周年を迎えたマーヴィン・ゲイの代表作『What’s Going On』に対するレスポンスとなる作品『What’s Going On』をリリース。同アルバム収録の名曲群を独自の解釈でカヴァーしたこの作品は各所で大絶賛された。



 

 

カナダのロックバンド、Arcade Fire(アーケイド・ファイア)がニューアルバム『Pink Elephant』を発表。同時にファーストシングル「Year Of The Snake」のビデオを公開した。Pink Elephant』は2025年5月9日にコロンビアからリリースされる。

 

2022年にバンドのウィン・バトラーに対して複数の女性から性的不品行疑惑が持ち上がって以来、バンドにとって初のアルバム。『Pink Elephant』はバンドにとって7枚目のスタジオ・アルバムで、2022年の『WE』に続く作品となる。

 

バンドのラインナップは、ウィン・バトラー、レジーヌ・シャサーニュ、ジェレミー・ガラ、ティム・キングスバリー、リチャード・リード・パリー。バトラーとシャサーニュは結婚している。共同設立者であるウィル・バトラーは2022年にアーケイド・ファイアを脱退しているが、その数ヵ月後に弟のウィンに対する疑惑が浮上した。


ウィン・バトラーとレジーヌ・シャサーニュは、ダニエル・ラノワとともにピンク・エレファントをプロデュース。この作品は、バトラーとシャサーニュがニューオーリンズに所有するグッド・ニュース・レコーディング・スタジオでレコーディングされた。


このアプリは、"アーケイド・ファイアのニュース、音楽、ビデオ、チケットの早期入手、限定グッズ、Santa Pirata Radioのプレミア・エピソード、バンドがファンに直接語りかけ、アーケイド・ファイアに関する個人的な洞察や舞台裏の情報を提供する "とプレスリリースにある。

 

このアプリには、ニューアルバムには収録されていない限定曲「Cars and Telephones」も含まれている。この曲は未発表の旧曲で、バトラーがシャサーニュのために初めて演奏した曲である。

 


「Year Of The Snake」


Arcade Fire 『Pink Elephant』

Label: Columbia

Release: 2025年5月9日

 

Tracklist:


1. Open Your Heart or Die Trying

2. Pink Elephant

3. Year of the Snake

4. Circle of Trust

5. Alien Nation

6. Beyond Salvation

7. Ride or Die

8. I Love Her Shadow

9. She Cries Diamond Rain

10. Stuck In My Head

 

Pre-save:https://arcade-fire.lnk.to/PinkElephantAY

 

©︎Steve Gullick


ザック・ボウカー(ヴォーカル/ギター)、ユアン・バートン(ベース)、ドラマーのジョエル・スミス、エディ(マスコット)からなるイギリス/クルー(Crewe)の4人組”UNIVERSITY”に注目しよう。デビューアルバム『McCartney, It'll Be OK』を2025年6月20日にTransgressiveよりリリースすることを発表した。本日、彼らはニューシングル「Curwen」(試聴はこちら)も発表した。


 
プロデューサーのKwes Darko(Sampa The Great、Denzel Curryの作品をプロデュース)とロンドンにあるDamon AlbarnのStudio 13でレコーディングされた『McCartney, It'll Be OK』は、UNIVERSITYの2023年のデビューEP『Title Track』の非常にエキサイティングな始まりをさらに発展させたもので、フックはより明るくメロディアスに、ブレイクダウンはよりヘヴィに、歌詞はより洗練されている。

 

バンドは『McCartney, It'll Be OK』を完全ライヴでレコーディングし、これまでの彼らの作品を特徴づけてきた、すべてが今にも崩れ落ちそうなスリリングで狂おしいエネルギーを保持している。


 
このアルバムについて、ジョエル・スミスはこう語っている。

 

「より感情的にバラエティに富んだ作品にするために、意識的に曲を書いたんだ。より幅広い感情を内包している。僕らのバンドをもっと軽やかに見ることができるようになった。EPのサウンドを色づけてくれた。

 

僕らはエモや過激な音楽に影響を受けているから、何か対照的なものがないと、物事は惨めなものにしかならないと気づいたんだ。光を感じてこそ、暗闇を正しく感じることができるように。すべてのジャンプを感じたい...。『ホワイト・アルバム』みたいにね・・・」

 
インスタントコーヒーが燃えかすのようにブラックになり、呟くような隠れ家、古ぼけたベッドルーム、貧血のような通りを通り抜け、あなたを圧倒的な世界へと導く。


「Curwen」




UNIVERSITY 『McCartney, It'll Be OK』

 


Label: 2025年6月20日

Release: Transgressive

 

Tracklisti:


1.Massive Twenty One Pilots Tattoo
2.Curwen
3.Gorilla Panic
4.Hustler’s Metamorphosis
5.GTA Online
6.Diamond Song
7.History Of Iron Maiden Pt. 1
8.History Of Iron Maiden Pt. 0.5