©Ian Laidlaw

The Belair Lip Bombs(ザ・ベレア・リップ・ボムズ)がオーストラリアのバンドとして初めてサードマン・レコーディングスと契約を交わした。

 

バンドはサードマンとの記念すべき契約について次のように語った。「サード・マンとの契約は、僕らにとって夢のようなことで、特にレーベル初のオーストラリア人バンドとなった。レーベルのみんなは伝説的な存在で、彼らがリリースのひとつひとつにどれだけ愛情を注いでいるかは明らかだ。サードマン・ファミリーの一員になれて、これ以上嬉しいことはありません!」


フロントウーマンのMaisie Everett(メイジー・エヴェレット)が率いるBelair Lip BombsはギタリストのMike Bradvica、ドラマーのLiam De Bruin、ベーシストのJimmy Droughtonを擁する。彼らのデビューアルバム『Lush Life』は昨年、Cousin Willからリリースされた。今後、ジャック・ホワイトのレーベルから再発される。フィジカル盤は10月18日より発売される。


このアルバムについて、エヴェレットはこう語っている。


「アルバムのタイトルは『Lush Life』で、この言葉はアルバムを通して何度か言及されている。このアルバムで探求されているテーマやモチーフは、そこにないものへの憧れや、その何かが何なのかよくわからないということがよくあるんだ。Lush Life」という言葉は、何もかもが簡単な(しかし実際には存在しない)絵に描いたような完璧な世界を描写しているようなもの」


「私はこの曲を完璧なものにしたかったし、スタジオではメロディーやハーモニーの面でいろいろなことを試した。とても楽しかった。当時は別のバンドで演奏していて、常にツアーに出ていたから、アルバムを直線的に仕上げるのは難しかった。でも、時間をかけて作ってよかったと思っている」

 


2001年にデトロイトで始まったThird Man Recordsは、ジャック・ホワイトのレコード会社として知られ、現在はナッシュビルに豪華な社屋と工場を所有している。デトロイトは工業の街で、自動車生産の重要拠点でもあるが、20世紀半ばからレコード生産のメッカとしても知られてきた。

 

サードマンは、デトロイトの工業的な特色を受け継ぎ、次世代へとその技術を継承しようとしている。ブルー・ノートとの生産ラインの共有や独自のレコードの工業的な生産技術を擁する。これはレーベル・オーナーのレコード生産に対する流儀やこだわりが色濃く反映されている。


レコード企業は社会における工業生産の役割の一端を担う。第二次産業の分野でどのような役割を果たすのか。これは、紙出版とデジタルパブリッシングとの関係に近似している。紙の出版が無くならないのと同様、レコード生産も欠かさざる産業である。ストリーミングサービスの最盛期、ジャック・ホワイト氏は彼自身の事業を通じて、その意義を問いかけようとしている。

 

Half Waif


ナンディ・ローズのソロ・プロジェクトであるHalf Waif(ハーフ・ウェイフ)が、ニューアルバム『See You at the Maypole』を発表した。2021年の『Mythopoetics』に続くこのアルバムは、ANTI-から10月4日にリリースされる。ナンディ・ローズはニュージャージのインディーロックバンド、Pinegroveのオリジナルメンバー。

 

本作のリードシングル「Figurine」は、鳥の声で始まり、オーガニックな雰囲気を持つポップソングへと繋がっている。曲の冒頭では、アーティストが愛するものについて歌われ、それはとりもなおさず生命への感謝でもある。デリック・ベルチャムが監督し、ローズのニューヨーク北部の自宅で撮影され、コラ・ラデラが振り付けを担当したビデオと同時公開されている。アルバムのアートワーク(アニカ・タックスミスによる)とトラックリストは以下よりご覧下さい。


人生で体験せざるをえなかった悲しみが原動力となり、最終的には解決の糸口になることもある。「Figurine」は、『See You at the Maypole』の大部分と同様、流産をきっかけに書かれた。「誰もが流産を経験するわけではないけど、この曲は大切なものを失った後、どのように前に進むか、どのように再び自分の顔に光を見出すかを歌ったものだった」とローズは語った。


ナンディ・ローズは、2024年のEP『Ephemeral Being』に続く新作アルバムを、長年のコラボレーターであるズビン・ヘンスラーと共に制作した。

 

この作品には、パーカッショニストのジェイソン・バーガーとザック・レヴィーン、ギタリストのジョシュ・マーレ、ヴァイオリニストのハンナ・エパーソンとエレナ・ムーン・パーク、クラリネット奏者のクリスティーナ・チューシュラー、トロンボーン奏者のウィレム・デ・コッホ、ハープ奏者のレベッカ・エル・サレー、アップライトベーシストのスペンサー・ザーンらが参加している。

 

 

「Figurine」

 

 

 

Half Weif 『See You at the Maypole』


Label: ANTI-

Release: 2024年10月4日

 

Tracklist:


1. Fog Winter Balsam Jade

2. Collect Color

3. I-90

4. Figurine

5. Heartwood

6. Big Dipper

7. Shirtsleeves

8. Sunset Hunting

9. Dust

10. Slow Music

11. Ephemeral Being

12. Violetlight

13. Velvet Coil

14. The Museum

15. King of Tides

16. Mother Tongue

17. March Grass

 

 

悲しみという密室が無限に感じられる中、ローズは信頼できる友人であり、過去10年間の長年のコラボレーターであるズビン・ヘンスラーに曲を持ち込んだ。

 

2人は『Mythopoetics』では他のメンバーから離れ、ひとつひとつの音や装飾を慎重に作り上げたが、『See You At The Maypole』ではそれとは別の何かが必要だった。ローズは、キャンバスに水しぶきを散らしたり、ステッチを落としてしまったりしても、それがいずれにせよ美しくなることを知り、完璧さへのグリップを緩めることを学んでいた。

 

人生で最も重い素材を、どうしたら空気のように感じられるだろう? ライブテイクも、早朝にささやくようなボーカルも、歪んだ電話の録音も、すべて残された。それは、クレヨンの折れた線が滲んだ子供の塗り絵となった。


『The Wild Edge of Sorrow: The Sacred Work of Grief』(フランシス・ウェラー著)の中で、著者は儀式空間の重要性を強調している。これらの歌の多くは孤立して書かれたものだが、ローズの子守唄はやがて、自分だけの冬を経験する人々への集合的な呼びかけとして開花することになる。『See You At The Maypole』は、慟哭のための部屋であり、カタルシスだけでなく、繋がりのための部屋でもある。車の中で一人、肺を破裂させながら歌い続けるようなもの。

「これは私だけの物語ではない。人生の喪失、夢の喪失、信頼と希望と信仰の喪失。再び戻る道を見つける物語なのだ」 -ANTI


アイルランドのポストパンクバンド、フォンテーヌD.C.は、ボイコット、ダイベストメント、制裁(BDS)運動に連帯して、トルコのイスタンブールで予定されていたコンサートをキャンセルした。


バンドは8月20日にZorlu PSMで、近日発売のニューアルバム『Romance』を引っさげてコンサートを行う予定だった。ところがイスラエルのエネルギープラントであるDoradの共同所有者の企業Zorlu Holdingsが会場を所有しているのを理由に、バンドはボイコットの呼びかけに参加した形となった。


フォンテーヌは本日、インスタグラム・ストーリーでこのニュースを発表し、パレスチナのアーティストや人権活動家らと話し合った結果、8月20日(火)にイスタンブールのZorlu PSMで行われる公演をキャンセルすることを決定した。最大のパレスチナ人連合が率いる世界的なボイコット、ダイベストメント、制裁(BDS)運動は、ゾルルがイスラエルへのエネルギー供給から完全に手を引くまで、ゾルルPSMでの公演を拒否するようアーティストに呼びかけている。


「イスタンブールを訪れ、ステージでプレーすることをとても楽しみにしていましたが、今回は、自分たちのポリシーを明確にし、パレスチナの人々との連帯を第一に考えなければならないと思いました。可能な限りすぐにトルコで演奏することをお約束します」と同グループは述べ、チケット購入者には払い戻しが可能であると付け加えた。


パレスチナ人主導のボイコット、BDS運動は、イスラエルに対し、ヨルダン川西岸地区の占領を終結させ、パレスチナ人の権利を認め、パレスチナ難民の帰還を認めるよう、非暴力の圧力をかけるために展開された。


無差別の殺戮に正義などあるのだろうか。原爆の投下に始まり、NATOの旧ユーゴスラビアの空爆の時代を経ても、西側諸国は何一つ態度を改めようとしない。イスラエル政府は、平和の祭典を防御壁とし、あらゆる和平的な可能性の中で最も残虐な選択を続けている。ロイター通信によると、20時間前にイスラエル軍は学校を空爆し、少なくとも30人が死亡した。イスラエル側は、ハマスの拠点であるとの主張をしている。



レーベルからご提供いただいた作品を中心に、先々月、および先月に発表された日本のポップスを紹介するコーナー、J-POP Trends。


夏を感じさせるフレッシュなシングルが続々と到着しています。洋楽もリラックスした作品や、涼し気な音楽が多いですが、邦楽も全般的に、サイダーのように清涼感のある音楽が際立っていたという印象です。

 

 

 Aru-2 「Naked Shaker」- 『Anida』に収録



ビートメイカー/プロデューサーとして知られるAru-2は、6月上旬に新作アルバム『Anida』をリリースしたばかり。このアルバムは、J-HipHopシーンの次世代の担い手が複数参加する注目作だった。

 

この最新作は、Green Assassin Dollar、Kzyboost、SBK、Asei Muraguchi、STUTSという全国各地のアーティストとセッションして生まれた楽曲や、Daichi Yamamoto、Campanella、JJJ、MUTA、NF Zessho、写楽、ISSUGIという日本の実力派ラッパーが勢ぞろいした楽曲を収録しています。

 

アルバムの収録曲「Naked Shaker」をあらためてチェック。ローファイ/チルアウトを生かしたメロウなヒップホップで、夏から秋にかけてのプレイリストにこっそり忍ばせておきたい。


シンプルなビート、対旋律的な役割を持つベースの兼ね合いがジャズ風のメロウさを醸し出す。ローファイなヒップホップという側面では、西海岸のヒップホップが好きなリスナーは要チェックしておきたいシングルです。Kota the Frirendが好きなリスナーにはたまらないトラックの登場でしょう。

 


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KONCOS 「Tanabarta Elotica」

 

KONCOS(コンコス)は東京在住の、Keyboard、Guitar、Drumsの3ピースバンド。ファッションブランド”ALLEGE”の「2012 AW COLLECTION」の音楽製作をきっかけに活動スタート。

 

2015年4月より下北沢SHELTERを拠点に、自主企画[AFTER SCHOOL]を開催している。2016年7月20日に所属するAWDR/LR2より、Colors & Scaleを発売。Alternative Soulなサウンドをベースに、全国各地のライブハウス、クラブを中心に精力的にライブをこなしている。

 

女性コーラスをゲストに招いた「Tanabarta Elotica」は、七夕まつりに関する歌詞を織り交ぜ、シティ・ポップと和風のビートを織り交ぜている。シンセの古川さんは、この曲に関して、「僕の子供の頃の思い出と、仙台の七夕祭りをヒントに、2023年の夏前に制作を始めた絵の作品をテーマにしました」と説明している。ノスタルジックな気分に浸らせてくれる心地良いポップスです。

 

 




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Naive Super 「More Than Meets The Eyes」 - Best New Tracks (J-POP)


Space Showerに所属するNaive Super(ナイーヴ・スーパー)は、ニューウェーヴ/シティポップ/チルアウトを基点にエキゾチックな香りも漂わせる国籍不明なホームメイド・シンセポップ・プロジェクト。

 

2019年7月に数量限定でリリースしたCassette Tapeが即完売となり、次いで同年10月にリリースしたアナログ12INCHも即完売した。2020年の4月よりデジタルにて連続リリースを続けている。

 

先月配信されたニューシングルMore Than Meets The Eyesは、ロンドンのエレクトリックプロデューサー/DJ、Peggy Gou(ペギー・グー)のアウトプットに近い。


ニューシングルはレイヴやUKベースライン、ドラムンベースをベースにしたEDMで、Naive Superは、ベッドルームポップのようなDIYの音楽的なセンスに恵まれている。ボーカルに関してもセンス抜群で、エイベックス・サウンドをマイルドにした感じ。注目のエレクトロニックプロジェクトとして抑えておくべし。

 

 

「More Than Meets The Eyes」

 

 

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yomm  「ミラコー: Feat. Layone」

 

シンガーソングライターであり、モデルとしても活躍するチェ・ジョンユンのソロプロジェクト。韓国人シンガーでありながら、シティポップをベースにした音楽、そしてややあどけない発音の日本語で歌う。いよいよヒットしそうな気配が漂いはじめている。

 

ジョン・メイヤーやチャーリー・プースといった世界的アーティストを輩出するバークリー音楽大学で学んだ後、2017年に音楽活動を本格的に開始。SE SO NEONや10CMらが所属する”Magic Strawberry Sound”からシングルやEPをリリース。楽曲が韓国の連続ドラマ『花様年華』の挿入歌に起用。TikTok Spotlight TOP10に入り話題を攫う。ナイキやアンブロ、スターバックスのブランドや企業の広告、TV CMなどにモデルとして出演し、活動の幅を広げている。

 

シンセポップを前回のシングル「Alice」に続いて、ニューシングル「ミラコー」では、シンプルなJ-POPサウンドに挑んでいる。 ファンクギターを含めたアーバンなシティ・ポップで、夏の暑さを和らげてくれる。今後、日本のミュージックシーンでも一定の人気を博することが予測されます。

 


「ミラコー」

 

 

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Qnel  「裸のOH! SUMMER」


 Qnelはソウルフルなボーカル、そしてファンクを絡めたギターを中心とするバンドアンサンブルでファンを魅了する。卓越した演奏、そしてカラフルなサウンドについては、Band Apart、Riddim Saunterの後継的なバンドとも見ることができるかもしれません。

 

LUCKY TAPESのギタリスト・高橋健介のソロ・プロジェクト。LUCKY TAPESのアルバム『BITTER!』に収録曲「脚本」のトラックメイク、「NO AID」のリミックスを手がけたことをきっかけに活動をスタート。ライブでは、荒谷翔大(yonawo)とのツーマン・ライブ、ワンマン・ライブを行う。ギタリストとしてもsaccharinやUEBOに参加、プロデューサー/アレンジャーとしても、ゆいにしおや、peetoといったアーティストを手がけるなど活動の幅を広げている

 

ニューシングル「裸のOH! SUMMER」は、YONA YONA WEEKENDERSのヴォーカル/磯野くんをコラボレーターに迎えた爽快感と疾走感溢れるシティポップ。バブリーな雰囲気と軽やかさはJ-POPの王道のニューシングルの登場。この夏、海辺で遊ぶ人々のアンセムとなることは間違いなし!?

 


 「裸のOH! SUMMER」

 

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Haruhisa Tanaka  「Relief」

 

カナダに本拠を置き、ニューヨーク、ロサンゼルス、ロンドン、ハンブルグに支社を持つ国際的なレコードレーベル、Nettwerk Music Groupから続々と新作を発表する日本の新進気鋭のエレクトロニック・プロデューサーのハルヒサ・タナカ。


田中さんは自主レーベルを運営し、後進のアーティストやバンドを紹介する傍ら、自身のエレクトロニックを発表する注目のプロデューサーです。


ハルヒサ・タナカのニューシングル「Relief」は、キラキラとした音の粒が際立つような美しいシングルとなっている。ハルヒサ・タナカの作り出す音楽的な枠組みは、Four Tet、Caribouのようにサウンド・デザインに近い。ギターのテクスチャーの重ね方に卓越した才覚を感じさせ、背後のアンビエントのシークエンスが癒やしの質感を作り出す。夢想的、幻想的なアンビエントは夏の終わりの切なさを思わせる。


 





前回のJ-POPの注目のシングルはこちらからお読みください。

 ・柴田聡子が最新アルバムの新ヴァージョン「My Favorite Things」を10月23日にリリース

 

柴田聡子
柴田聡子

 

今年2月に待望の新作アルバム『Your Favorite Things』をリリースした日本のソングライター、柴田聡子。LPバージョンのリリースに続いて、最新作の新ヴァージョンの発売が決定しました。アルバムには、オリジナル曲の再編集(My Favorite Ver.)が収録されている。共同プロデュースは最新アルバムの録音、プロデュースでも参加している岡田拓郎さんが手掛けています。

 

タイトルはすばり「My Favorite Things」。リリース元はAWDR/LR2、発売日は10月23日に予定されています。

 

現在、Tower Records、HMV、Disc Unionを始めとする販売店舗でご予約いただいた方に、5月31日に行われたツアー・ライブの模様を収録したDVDが特典で配布される。特典の詳細については、各ECショップでお問い合わせ下さい。

 

この新ヴァージョンのアルバムの発売に関する、柴田聡子さんの声明は以下の通りです。

 

--先日リリースされたアルバム「Your Favorite Things」をいっしょに作ってくれた岡田拓郎さんから、このアルバムの弾き語り盤も作ったらどうかとアイデアをもらったことが「My Favorite Things」を作るきっかけだった。

 

--自分はこれまで、ひとりの演奏をやまほど繰り返してきたものの、この形態のサウンドへのこだわりも理想も薄く、だから弾き語りのアルバムを作ることにも指針がなくて、あんまり作れる気がしなくて、つねに二の足を踏んできた。ただ、今回は岡田さんもいっしょに取り組んでくれるとのことで、いいものが出来るかもしれないと録音に向かうことができた。

 

--案の定、実力不足やひとりでのアレンジへの考えの不足を実感して、よくこんな感じでやってきたな……と自分の傲慢さ・無神経さにいまさら冷え冷えして現状を直視する時間でもあって、はずかしさやふんばるつらさはあったけれども、この録音があってほんとうによかった。この一枚がなかったら、私はこの先どこまでもぼんやり弾き語りをつづけていただろうと思う。しずかな危機から救い出してくれたというか……。音楽の時間は、どんな形態であってもかんたんであることはなくて、おわることなく考えることがたくさんあると気づくことができて、ほんとうによかった。

 

--岡田さんというものすごい音楽人を迎えて、こんなはじめのはじめみたいなところを見つめ直せたことはとんでもないぜいたくだったと思う。さらに、葛西敏彦さんに初日にマイキングをしてもらった後の録音はすべて岡田さんを中心に、マネジメントの羽山さんと3人で、大きなSSL(編注: 音圧を上げるコンプレッサー、マスタリングソフトのこと)のミキサーと格闘しながらもやりきったこともものすごかった。(私はSSLをなにも理解できないうちに終わった)谷口雄さんには、鍵盤での弾き語りについていちから教えてもらって、録音にも立ち会ってもらって、もう弾ける気がしないと絶望するなか鼓舞してもらって感謝ばかりだった。

 

--みなさま、いっしょに作ってくれて、得難い経験をさせていただいて、ほんとうにありがとうございました!良いアルバムになったと思います。「Your Favorite Things」とともに、こちらもたのしんでもらえたらうれしいです、どうぞよろしくお願いいたします!! --柴田聡子

 

 

 
・柴田聡子「My Favorite Things」


DDCB-12123 | 2024.10.23 Release | 3,000 Yen+Tax
Released by AWDR/LR2

 

収録曲:

01. Movie Light (My Favorite Things Ver.)
02. Synergy (My Favorite Things Ver.)
03. 目の下 / All My Feelings are My Own (My Favorite Things Ver.)
04. うつむき / Look Down (My Favorite Things Ver.)
05. 白い椅子 / Sitting (My Favorite Things Ver.)
06. Kizaki Lake (My Favorite Things Ver.)
07. Side Step (My Favorite Things Ver.)
08. Reebok (My Favorite Things Ver.)
09. 素直 / Selfish (My Favorite Things Ver.)
10. Your Favorite Things (My Favorite Things Ver.)



・柴田聡子   ニューアルバム「My Favorite Things」(一部店舗にて)予約特典施策決定。

 

 
2024年10月23日(水)に発売が決定した柴田聡子「My Favorite Things」を2024年8月05日(月)正午~2024年9月8日(日)の期間中に対象店でご予約お客様に「柴田聡子 Tour 2024 “Your Favorite Things” 追加公演 2024.05.31 [DVD]」を差し上げます。

早期予約購入者特典| 柴田聡子 Tour 2024 “Your Favorite Things” 追加公演 2024.05.31 [DVD] 
           *SPACE SHOWER TVで放送した内容に2曲追加したスペシャルDVD。
対象期間|      2024年8月5日(月) ~ 2024年9月8日(日)各店舗閉店時まで
対象店舗|      TOWER RECORDS/HMV/diskunion/楽天BOOKS/COCONUTS DISK
           詳しくは各店・ECショップにお問い合わせください。
注意事項|      ・2024年9月8日(日)の予約終了時間は各店の閉店時間となり、各ECショップについては同日23:59までとなります。
           ・特典物は商品お受け取り時にお渡しいたします。
           ・早期予約特典の付いていないカートで商品を購入された方は対象外となりますのでお気をつけください。

 



・毎年恒例の弾き語りホールワンマン、今年はアルバム「My Favorite Things」リリースを受けて東京・大阪で開催決定! 

 

「柴田聡子のひとりぼっち’24 〜My Favorite Things〜」


【大阪公演】2024.11.13 [Wed] ABCホール | Open 18:30 / Start 19:00


【東京公演】2024.11.24 [Sun] ヒューリックホール | Open 16:00 / Start 17:00


Ticket | Adv. 5,000 Yen *一般発売日 2024.9.21 [Sat]


オフィシャルサイト先行 | 2024.8.05 [Mon] 12:00〜2024.8.15 [Sun] 23:59 

 

チケット詳細:   https://l-tike.com/shibatasatoko




・柴田 聡子 SATOKO SHIBATA



シンガー・ソングライター/詩人。北海道札幌市出身。武蔵野美術大学卒業、東京藝術大学大学院修了。2010年、大学時代の恩師の一言をきっかけに活動を始める。


2012年、三沢洋紀プロデュース多重録音による1stアルバム『しばたさとこ島』でアルバムデビュー。以来、演劇の祭典、フェスティバル/トーキョー13では1時間に及ぶ独白のような作品『たのもしいむすめ』を発表するなど、歌うことを中心に活動の幅を広げ、2022年、6枚目のオリジナルアルバム『ぼちぼち銀河』をリリース。


2016年には第一詩集『さばーく』を上梓。同年、第5回エルスール財団新人賞<現代詩部門>を受賞。詩やエッセイ、絵本の物語などの寄稿も多数。2023年、足掛け7年にわたる文芸誌『文學界』での連載をまとめたエッセイ集『きれぎれのダイアリー』を上梓。雑誌『ユリイカ』での特集も決定するなど、詩人としても注目を集めている。自身の作品発表以外にも、楽曲提供、映画やドラマへの出演、ミュージックビデオの撮影・編集を含めた完全単独制作など、その表現は形態を選ばない。


2024年2月28日、最新アルバム『Your Favorite Things』をリリースした。

 JPEGMAFIA 『I Lay Down My Life For You』


 

Label : AWAL

Release: 2024年8月1日

 

Review     


アブストラクト・ヒップホップの帝王の新作

 

JPEGMAFIAのラップは、いわゆる実験的で抽象的なヒップホップ、つまりアブストラクト・ヒップホップと呼ばれることがあり、リリックや音楽性の先鋭的な側面に焦点が絞られている。同時に、JPEGMAFIAは、ヒップホップというジャンルに必要以上にこだわることはあまりない。Danny Brownとのコラボレーションの時、彼はSlayerのカットソーを着ていた。ダニー・ブラウンもMayhemのシャツを着ていた。二人は揃って、どうやらコアなメタルのファンらしい。

 

当然のことながら、あるジャンルの音楽をやっているからと言えども、自分の関わる音楽ジャンルだけを聴いているアーティストはほとんどいないのではないか。そして、まったく無関係の音楽からヒントを得ることもあるだろうし、また、ライターズブロックが解消されるとき、想像もしないような方向から解消されるものである。最近のラップアーティストと同じように、JPEGMAFIAのラップも未知なる可能性に満ちていて、なにが次に起こるかわからないから興味深い。

 

このアルバムは、盟友であるダニー・ブラウンの昨年の最新作『Quaranta』に部分的に触発を受けたような作品である。序盤ではドラムのアコースティックの録音を織り交ぜ、不可解で予測不能なアブストラクトヒップホップが繰り広げられる。「i scream this in the mirror-」では、ノイズやロック、メタルを織り交ぜ、80年代から受け継がれるラップのクロスオーバーも進化し続けていることを感じさせる。メタル風のギターをサンプリングで打ち込んだりしながら、明らかにスラッシュ・メタルのボーカルに触発されたようなハードコアなフロウを披露する。そして、断片的には本当にハードコアパンクのようなボーカルをニュアンスに置き換えていたりする。ここでは彼のラップがなぜ「Dope」であると称されるのか、その一端に触れることができる。

 

そして、ターンテーブルの音飛びから発生したヒップホップの古典であるブレイクビーツの技法も、JPEGの手にかかるや否や、単なる音飛びという範疇を軽々と越え、サイケデリックな領域に近づく。「SIN MIEDO」は音形に細かな処理を施し、音をぶつ切りにし、聞き手を面食らわせる。ただ、これらは、Yves Tumorが試作しているのと同じく、ブレイクビーツの次にある「ポスト・ブレイクビーツの誕生」と見ても違和感がない。普通のものでは満足しないJPEGMAFIAは、珍しいものや一般的に知られていないもの、刺激的なものを表現すべく試みる。そして、音楽的には80年代のエレクトロなどを参考にし、ラップからフロウに近づき、激しいエナジーを放出させる。これは彼のライブでもお馴染みのラップのスタイルであると思う。

 

今回、JPEGMAFIAは、ダブ的な技法をブレイクビーツと結びつけている。そして、比較的ポピュラーな曲も制作している。「I'll Be Right Time」では、 背後にはEarth Wind & Fireのようなディスコ・ファンクのサンプリングを織り交ぜ、まったりとしたラップを披露する。そして、ブラウンと同様に、JPEGMAFIAのボーカルのニュアンスの変化は、玄人好みと言えるのではないだろうか。つまり、聴いていて、安心感があり、陶然とさせるものを持ち合わせているのだ。これは実は、70、80年代のモータウンのようなブラックミュージックと共鳴するところがある。


そして続く「it's dark and hell is hot」では、イントロにおいてドゥワップのコーラスをなぞられている。しかし、その後、何が始まるかといえば、ゲームサウンドに重点を置いたようなラップである。そしてそれらのイントロのモチーフに続いて、シュールな感じのヒップホップを展開させる。


ドラムを中心とする細かなリズム/ビートをAphexTwinの最初期のサウンドのようにアシッド・ハウス/アシッド・テクノの観点から解釈し、早回しのリリックさばきをし、彼の持ち味であるドープなフロウへと近づけようとする。フロウは、いきなり発生することはなく、ビートや言葉を辛抱強く続けた先に偶発的に起きるものである。そのことを象徴付けるかのように、ダークなラップを続けながら、JPEGはハイライトとなる瞬間、ハードコア・パンクやメタルのようなボーカルへと変化させる。この一瞬に彼のラップの特異なスペシャリティが発生するのである。 

 

 

 「I'll Be Right Time」

 

 

 

このアルバムの中盤には、いわゆるアブストラクトヒップホップ、そして、ニューヨークドリルの最も前衛的で過激な部分が出現する。ロサンゼルス/コンプトンのラッパー、Vince Staplesをゲストに招いた「New Black History」では、英国のモダンなエレクトロニックと多角的なリズムを織り交ぜたダブステップ以降のヒップホップを制作している。


ここでは、彼自らがブラックミュージックの新しい歴史を作るといわんばかりの覇気を込めて、ミュージックコンクレートやサンプリングを織り交ぜながら、刺激的なヒップホップの雛型を丹念に構築していく。「don't rely on other man」では、JPEGがアクション映画にあこがれているのではないかと伺わせるものがある。そしてブレイクビーツを生かしたビートやラップは、悪役の活躍するハリウッドのアクション映画のワンシーンを聞き手の脳裏に呼び覚ます。この曲では彼のラップが最もシネマティックな表現性に近づいた瞬間を捉えることができるはずだ。

 

JPEGMAFIAはどうやら、ギターロックやハードロックがかなりお好きなようである。実際的には80年代のギターヒーローの時代のメタリカ、アンスラックス、その周辺のハードロック/メタルからの影響を感じさせることがある。しかし、そうだとしても、やはりこのアルバムでは先鋭的なヒップホップのサウンド加工が施されると、「vulgar display of power」のように前衛的な響きを帯びる。そして近年のハイパーポップやエクスペリメンタルポップをラップという領域に持ち込むと、このような曲になる。ここでは彼のバックグランドにあるフレンドシップの感覚がパワフルなコーラスに乗り移る。そしてそれらのコーラスが熱狂的なエナジーを発生させる。ここまでを『I Lay Down My Life For You』の前半部とすると、続く「Exmilitary」から第二部となり、その音楽性もガラリと変化する。中には、ビンテージなソウルとブレイクビーツを組み合わせたデ・ラ・ソウルの系譜の古典的なヒップホップに傾倒している曲も含まれている。

 

「Exmilitary」はターンテーブルのスクラッチ音で始まり、古いラジオやレコードの時代の懐かしさへと誘う。その後、レゲエ/ダブのサンプリングを起点に、まったりしたボーカルのニュアンスを披露する。JPEGは東海岸のラッパーだが、西海岸及び南部的なニュアンスを持ち合わせている。これが良い癒やしの瞬間になり、いわばアーバンな雰囲気は南国的なリゾートの気分へと変わる。


曲の展開の仕方も見事である。「Exmilitary」の後半部では、JPEGのラップとしては珍しく、エモーショナルな性質、ややセンチメンタルな曲風へと変遷していく。これは従来のJPEGの作風から見ると、すごく新鮮に聞こえることがある。


もちろん、ラッパーとして、ユニークな表現も忘れてはいない。「Jihad Joe」は、政治に対する揶揄であるものと思われ、この人物がジハードを勃発させたことを暗にジョークで指摘している。ただ、ラップのスタイルがギャングスタ・ラップに影響を受けているとはいえ、表現や歌のニュアンスは、やや救いがある内容となっている。暗い側面を歌うことが現代的なラップのスタイルとなっているが、JPEGは、この画期的な曲の中で、旧来のヒップホップの時計の針を未来へと進め、むしろ暗さという概念の中にユニークな性質が見いだせることを指摘している。


このアルバムは、旧来のJPEGのアルバムの中で最も多彩な音楽性に縁取られていて、彼のカタログの中でもとっつきやすい。そして、ヒップホップがどこまでも純粋で楽しい音楽であることを教えてくれる。「JEPGULTRA!」は、澄んだ音の響きがあり、素晴らしいナンバー。聴いているだけで元気や明るさが漲ってくる一曲である。デンゼル・カリーが参加したこの曲では、アフリカ/カリブといったエキゾチックな民族音楽をヒップホップとつなぎ合わせ、最終的にハード・バップのようなジャズに組み換え、陽気なお祭り気分の楽しい音楽に昇華させている。そう、この曲ではヒップホップという表現を通して世界を結びつける試みが行われている。

 

このアルバムは、アブストラクトヒップホップとして複雑化した音楽の側面も内包されるが、その一方で、簡潔さという、それとは対極にある要素もある。そして、音楽を聞き進めていく内に、閉鎖的な感覚であったものが徐々に開けてくるような感覚がある。「either on or off the drugs」は古典的なソウル、もしくはネオソウルとして聴いても秀逸なナンバーである。女性ボーカルの録音を元に、ライオネル・リッチーやジャクソン、そしてホイットニー・ヒューストンの時代の愛に満ちあふれていたソウルの魅力を、彼はラップで呼び起こす。ラップのニュアンスも素晴らしく、こまやかなトーンや音程の変化には、ビンテージソウルの温かさが込められている。オーティス・レディングが現代に転生し、ラップしはじめたようにファンタスティック。続く「loop it and leave it」では、ピアノのサンプリングを断片的に配して、ミニマルミュージックをベースにしたヒップホップへと昇華させる。すでにフランク・オーシャンが行った試みだが、この曲では「Flllow me」というフレーズを通してアンセミックなフレーズを強調している。これは必ずしもJPEGの音楽がレコーディング・スタジオにとどまるものではないことを示唆している。つまり、ライブやショーケースでのパフォーマンスで生きるような一曲である。

 

曲単位で見ると、分散的に過ぎるように思えるこのアルバム。しかし、全体として聴くと、何らかの流れのようなものがある。そして、それは起承転結のような簡素なリテラチャーの形式に近いものである。

 

そして、アルバムのクライマックスにも聴きどころがしっかり用意されている。「Don't Put Anything on the Bible」では、最近のイギリスのヒップホップやクラブ・ミュージックと連動するように、フォーク音楽やクラシック音楽の領域に近づいている。それはカニエ・ウェストと同じように、クワイア(賛美歌)のような趣旨が込められているが、曲そのものがスムースで、透徹したものがある。表現そのものに夾雑物や濁りのようなものがほとんどない。これが参加したBuzzy Leeの美しいボーカルの持つ魅力を巧みに引き立てているように感じられる。曲の後半では、トリップ・ホップに触発されたようなクールなラップミュージックが展開される。

 

アルバムの最後でも、JPEGMAFIAは、これまでに経験したことがなかったであろう新たな音楽にチャレンジする。「i recovered from this」では、メディエーションの音楽を元に、これまで芸術と見なされることが少なかったヒップホップのリベラルアーツとしての側面を強調している。このアルバムを聴くと、ラップの固定概念や見方が少し変わる可能性がある。そして、音楽でそれを試みようとしていることに、アーティストの素晴らしい心意気を感じることができる。

 

 

90/100



 * JPEGのフェイスマスクには日本語で「不安な」と書いてある。アルバム・タイトルはラッパーとして神に殉ずる覚悟のほどが示されている。最近、彼は、ライブのフライヤーに「戦争」や「降伏」という言葉を使ってくれているのを見るかぎり、どうやら日本語に凝ってるらしい。


 

Best Track - 「vulgar display of power」






スマッシング・パンプキンズは最近発表された唯一のニュー・アルバム『Aghori Mhori Mei』をリリースした。メンバーチェンジを経てトリオとして発表された。


スマッシング・パンプキンズは世界中でツアーを行っており、現在は北米におり、秋には中南米に向かう。『Aghori Mhori Mei』は、スマッシング・パンプキンズがジミー・チェンバリン、ジェームス・イハ、ビリー・コーガンのオリジナル・ラインナップでリリースする。バンドは昨年、『メロン・コリーと無限の悲しみ』『マキナ/神の機械』の続編となる最終作『ATUM』をリリースしたばかりだ。『Aghori Mhori Mei』は、ここ数年のツアー中に完成した。


このアルバムについて、ビリー・コーガンはプレスリリースでこのように語っている。「この新しいアルバムを書くにあたって、私は『二度と家には帰れない』というよく知られた公理に興味を持った。この新しいアルバムを制作するにあたって、よく言われる "You can't go home again. "という格言に興味を持ったんだ。感傷に浸って過去を振り返るのではなく、むしろ前進するための手段として。成功と失敗のバランスの中で、1990年から1996年頃の私たちの音楽の作り方が、まだ何か啓示的なインスピレーションを与えるかどうかを確かめるためにね」

 

 Kanye West- ¥$- Ty Dolla Sign  『Vultures 2』 

Label : YZY

Release: 2024年8月3日


Review


『Donda 2』を独自のプラットフォームから発売し、主要な公式のチャートから除外されたことがわかった時、一方的な勝利宣言を表明したカニエ・ウェスト。彼は、その後、アディダスとのファッション・コラボに関して、ゴシップ的な話題を振りまいていた。彼の独自ブランドであるYeezyがアディダスとのパートナーシップが解消されたとき、大手のメディアはこの話題に真っ先に飛びついた。彼のパートナーシップ解消には、シオニズムに対する嫌悪が一因としてあったが、一方、まったくそれと無関係ではない企業のスケッチャーズにスニーカーの宣伝を行ったのは、悪手を踏んだと言える。近年、カニエ・ウェストは、ファッションブランドの展開に夢中になっていたが、タイダラー・サイン、そして、謎のラッパー、¥$とのトリプルコラボで、カニエの音楽がヒップではなくなったという音楽ファンに一矢報いようとしている。

 

アルバムのアートワークも意味深だ。以前の大統領選挙にも立候補したことがあるYeであるが、 やや彼の候補者としてのスピーチは、帳尻の合わないものだった。しかし、彼が政治的な話題に関心があり、そして、米国の腐敗した政治を変えようとする心意気だけは偽りのないものである。アルバムのアートワークに撮影された黒ずくめの男はほかでもない、カニエ本人かもしれない。首からぶら下げたポートレイトは何を意味するのか。追悼、もしくは哀悼、いくつかの可能性が考えられるが、このジャケットには銃をズボンに忍ばせ、黒人の生活の脅威を暗示したコンプトンのラッパーと同じように、何らかの政治的なメッセージが込められているのかもしれない。確かなことは言えないが、これは世界的な政治に対する暗示でもあるのだろう。

 

『Donda」、そして『Donda 2』で商業化されたラップの形骸化を予見していたものだとすれば、『Vulture』、『Vultures 2』ではその形骸化を乗り越え、シアトリカルなラップの領域へと踏み入れている。一作目ではやや演劇的な試みが散漫になりすぎた印象もあるが、次作ではややそれが解消されつつある。

 

そして、カニエ・ウェストの計画する理想的なラップとは、おそらく賛美歌のような高らかな世界、または、クワイアのような友愛的な世界であることが伺える。これは前作『Vulture』でも部分的に登場していたが、『Vulture 2』でも「The Moving Slow」で登場する。この曲ではゴスペルのルーツをたどり、アフリカの民族音楽のような開放的な音楽をクワイアで表現し、現代的なラップと融合させている。一方、「Fried」では、シカゴ・ドリルをシアトリカルな音楽という試みが見受けられる。この曲でも、祝福されたような音楽を表現しようとしている。


デビュー当時のカニエ・ウェストの持ち味とは、サイケデリックなソウルをターンテーブルのビートと結びつけて、それらをやや内省的な感覚と結びつけたのがとても画期的だった。いつしかブラックミュージックの歴史と連動するようにして、それらの音楽は、商業化のウェイブに飲み込まれていき、やや形骸化していった印象もあるが、少なくとも、最近では、完全な形になったとは言えまいが、そのエネルギッシュな側面の裏側にある内省的な感覚が徐々に戻ってきている。例えば、「Husband」や「Lifestyle」はその象徴的なトラックと言えるかもしれない。ラッパーとして重要なのは、なにか得難い迫力があるということ、そして、ラップやフロウ、さらにはニュアンスに味があるということ。何より後者のトラックでは、年齢を経たラッパーとしての渋さが出てきている。これらはまだニュアンスという側面では、ベストな領域まで到達していないが、ラッパーとしての復活の兆しが見られるような気がしている。


特に、ラップやフロウ、そしてニュアンスの側面から見ると、「530」がかなり良い線を行っている。女性ボーカルを交えたこの曲では、ソウルミュージックの系譜にあるヒップホップの持ち味を探っている。ただ、いわゆるドープとまではいかず、ややラップにリズム的な乱れが含まれている。そしてフロウに入りかけたとたん、その手前でつまずいたり、とまってしまうことがある。これはまだウェストがラップをすることに関して、何らかの戸惑いや困惑を感じているか、もしくは、心の奥深くに遠慮があることを感じさせる。しかし、もっと大胆なフロウを試みても面白くなるはずである。

 

一方、「FOREVER ROLLING」では、コラボレーターとのラップを通して、ややスリリングな瞬間を形づくる。結局、ラップのレコードというのは、レコーディングの白熱した感覚や、マイクバトルのような瞬間に刺激性があれば、それはおのずと聞き手にも伝わってくるし、その奇妙な熱狂がラップの醍醐味なのではないかと思うことがある。そういった側面では、この曲では、ラッパーとしての足がかりのようなものが見出されたのではないかと推測される。


カニエ・ウェストはラップアーティストがインディーロックや他の音楽を制作することの可能性を示したアーティストで、それはフランク・オーシャン、そしてトロイ・モアのような現代的なシンガーソングライターに受け継がれていったが、このアルバムでも、単なるヒップホップという枠組みにとらわれない曲も収録されている。断片的なマテリアル「Isabella」ではギターロックをやっているし、「Sky City」では、同じようにオルタナティヴロックとフォークミュージックを結びつけて、それらにソウルやチルウェイブの色合いを加えている。

 

アルバムのクローズ「My Soul」では、このシンガーがソウルミュージックに対する愛着がいまだ深いことをなんとなく伺わせる。

 

ラップ・アーティストとして名声を上げると、ついそのジャンルにこだわってしまう。しかし、ひとつの表現にこだわることはないのだし、他にも様々な可能性があることをこのアルバムは教えてくれる。スターダムに近くなるにつれ、他者の評価や名声という側面を念頭から振り払うことは困難になってくる。でも、そんなことは二の次である。自分が本当に面白いというもの、やっていて熱狂できるものを作ることが、ミュージシャンにとって最善の道である。そして、彼自身が本当に心から熱狂出来たとき、再び世界のファンがその音楽に熱中し、完全なる復活の時を迎えるだろう。



75/100

 

 

 Best Track- 「Fried」

 

©︎Donovan Novotny


ロサンゼルスのDJ、Nosaj Thing(ノサジ・シング)、カナダのDJ,Jacques Greene(ジャック・グリーン)がコラボレーションし、ディープハウス、ダブステップとベースライン、レイヴをミックスした「RB3」をリリースした。Nosaj Thingは才能あるプロデューサーで、今後の活躍が楽しみ。

 

彼らは2023年にもタッグを組んでおり、「Too Close」を発表している。それに続くこの曲は、来年リリース予定のフル・コラボレーション・アルバムに収録される予定だ。エレクトロニックデュオの声明は次の通り。


「クロスカントリー・セッション、エンドレス・バージョン、ロード・テスト......。ラップトップをリンクさせ、回転数を合わせる。「RB3」はダンスフロアのためのニューシングルなんだ」



「RB3」

 

 

Nosaj Thing:

 

ロサンゼルスのプロデューサー、Nosaj Thing(ジェイソン・チャン)は、Boards of CanadaやDJ Shadowからダニー・エルフマンやエリック・サティまで、幅広い影響を受けながら、シンセをベースにした重厚で幽玄なインストゥルメンタル・ヒップホップを制作している。

 

 

L.A.出身のチャンは、幼い頃、小学校に通うバスの運転手が流していたヒップホップ・ラジオ局、特にPower 106のビート・ジャンキーズのターンテーブリズムに影響を受けた。高校時代には、ドラムンベースやレイヴ・シーンのサウンドにのめり込み、学校のドラム・ラインでクワッドタムを叩いていた。さらに、ロサンゼルスのアンダーグラウンドなライブハウス、ザ・スメルでのD.I.Y.ロック・シーンに刺激され、より実験的な方向へ進むようになり、2004年にノサジ・シングとしてライブ・デビューを果たした。

 

オンラインや掲示板、そして最終的にはビート志向の音楽スポット、ローエンド・セオリーでの対面でのネットワーキングを通じて、はフライング・ロータス、ノーバディ、デーデラス、そしてD-スタイルズやダディ・ケヴといった地元の伝説的アーティスト(そして個人的なヒーロー)など、気心の知れたアンジェレノスと接触するようになった。

 

2006年に自主リリースした『Views/Octopus EP』(このEPのトラック「Aquarium」は、後にラッパーのキッド・クーディが「Man on the Moon」のベースとして使用した)に続き、2009年にはケヴのAlpha Pupインプリントと契約し、フルレングスのデビュー作『Drift』を発表した。また、MCのBusdriverやNocandoにビートを提供し、Flying Lotus、The xx、Daedelus、Radiohead、Smell staples Healthのリミックスも手がけている。

 

 


Jacques Greene:

 

ボーカリストのKaty B、Tinashe、How To Dress Wellのプロデュースや、Radiohead、Flume、Rhye、MorMorのリミックスを手がける。その一方、Givenchyやカルト・デザイナーのRad Houraniとのファッション・コラボレーション、ロンドンのテート・モダンをはじめとするアート施設とのコラボレーションなど、活動の幅を広げている。


ジャック・グリーンのきらめくオリジナル・プロダクションには、ジャンルを定義する「Another Girl」がある。その後、LuckyMeから'On Your Side'、'Phantom Vibrate'、'After Life After Party'などのEPをリリースし、アメリカ、カリフォルニア、イギリス、EU、アジアを回るワールドツアーを行い、ジュノー賞3部門にノミネートされた。「Feel Infinite」(2017年)と「Dawn Chorus」(2019年)の2枚のアルバムをリリースしている。


2019年以降も、グリーンの勢いは止まらない。2021年にリリースした『ANTH01』は、モントリオール時代からの彼の進化を示す、初期のレア音源集だ。このアルバムには、ディープ・カットに加え、"Another Girl "や "The Look "といったクラブ・ミュージックのヒットナンバーも収録されている。


また、グリーンは新たなコラボレーションにも挑戦している。イギリスのミュージシャンでプロデューサーのボノボ(Bonobo)とタッグを組んだ新曲 "Fold "は、サイモン・グリーンの主宰するレーベルOUTLIERからNinja Tuneと共同でリリースされた。このトラックは、2人のユニークなスタイルがブレンドされ、高揚感のあるハウス・ミュージックを作り出している。


さらに、ジャック・グリーンは、同じくエレクトロニック・ミュージック・シーンに影響力を持つNosaj Thingとコラボレーションし、モントリオールをフィーチャーしたシングル「Too Close」を2023年に発表している。


Charli XCXがBillie Eilishとタッグを組み、『Brat』に収録されている3曲の追加トラックのうちの1曲「Guess」のリミックスを制作した。リミックスを手がけたエイリッシュの弟でプロデューサーのフィニアスは、インスタグラムに「これは作るのが楽しすぎたみたい」と書いている。エイリシュはエイダン・ザミリのリミックスのビデオにも出演している。下記をチェックしよう。


「Guess」は、ニュージーランドのシンガーLordeとの「Girl, so confusing」、Yung LeanとRobynとの「360」、Addison Raeとの「Von dutch」に続き、最新アルバム『BRAT』の最新リミックス曲となる。『Brat』は先日、発表されたマーキュリー賞にノミネートされたばかりだ。

 

 

 「Guess」

 

The Offspring

カルフォルニア/オレンジ・カウンティのメロディックパンクバンド、Offspring(オフスプリング)がニューシングル「Light It Up」をリリースした。この曲は、コンコード・レコードから2024年10月11日にリリース予定のアルバム『SUPERCHARGED』に収録される。メタリカの『Ride The Lightning』を意識したようなアルバムのアートワーク/タイトルがとてもユニークだ。


オフスプリングのパンクは、現代のTurnstileのようなバンドに比べると、先鋭的とは言えないかもしれないが、むしろその直情的なパンク性、ストレートな表現に魅力があると思う。2000年代のメロディックパンクをリードしたバンドの新作は、旧来のバンドのファンの期待を裏切ることはないだろう。いや、むしろあらためてオフスプリングのことを見直すかもしれない。

 

「Light It Up」は、彼らの代名詞である疾走感のあるテンポとシャウトするようなメロディーを持つポップ・パンクである。メロディック・パンクのパイオニアであったザ・オフスプリングの初期に戻ったような熱狂的なナンバー。ヴォーカルのデクスター・ホランドは、この曲で、「背中にロケットを背負っている」と歌い、「良い人であることにうんざりしている」と主張し、バンドは曲の爆発的なクライマックスに達するにつれ、エネルギー・レベルを高めていく。

 

デクスター・ホランドは、世の中の綺麗事や見えすいた偽り、そして上辺だけの虚栄心をなによりも嫌っているようだ。彼は声明の中で、「ライト・イット・アップ」を「全速前進のジャガーノート」と見なしている。


「この曲の登場人物はうんざりしている。彼は戦う準備ができている。そして、私の周りにも、そのような雰囲気が漂っている。子供の頃、私の好きな曲のいくつかはパンク・バンドのものだった。それはそれでいいんだ! そういう感情を持ち、それを表現することは、ネガティブなことではなかった。」


「『Light It Up』もそんな雰囲気だと思う。あなたはとてもうんざりしていて、でも何かやりたいと思っている。それは、私がパンクロックについて常に愛してきたことのひとつだ。パンク・ロックは常に、自分の攻撃性を吐き出すためのものだったし、それは今でも同じだと思う。僕は今でもそういう曲を書くのが大好きなんだ」


『SUPERCHARGED』はオフスプリングの11枚目のアルバムで、10月11日に発売される。彼らは6月上旬に新譜の発表と同時に、パワーポップ/ジャングル・ポップ調のシングル「Make It All Right」を発表している。

 

一方、オフスプリングの2024年ツアー・スケジュールには、Riot Fest、Louder Than Lifeなど、主要なパンク・フェスティバルへの出演がのこされている。以下からニューシングルをチェックしてみよう。



「Light It Up」

Luby Sparks
Luby Sparks Via Music Video


東京のオルタナティヴロックバンド、ルービー・スパークス(Luby Sparks)が最新EPより、打ち込みサウンドを導入した「NOTOkay」のミュージックビデオを公開した。


EDMをベースにしたダンサンブルなシューゲイザーサウンド。イントロのディストーションギターとシンセがこの曲の土台を形作っている。エリカ・マーフィーのボーカルはそれとは対比的な清涼感のあるポップネスをもたらす。いわば、バンドとして、異なる性質や個性が見事な形で昇華され、一体感のあるサウンドを構築する。今回、ライブを撮影したミュージックビデオでは、躍動感のあるイメージを見事に演出。ゴシックなメイクを施しているエリカ・マーフィーにも注目したい。今回のMVでは、EPのハイライト曲の隠れた魅力が明らかになるに違いない。

 

今年に入り、Luby Sparksは単独のシングル「Stay Away」、ニューヨークのカレン・O率いるYeah Yeah Yeahsのカバーソング「Maps」を発表後、新作EP「Songs for The Daydreamers」をリリースした。この最新EPでは、彼らのルーツであるシューゲイザー/インディ・サウンドに立ち返っている。EPのリリース情報と合わせて下記よりチェックしてみよう。


Luby Sparksは、フィリピン/イロイロ出身、ロンドンの大人気インディーポップシンガー、Beabadoobeeの最新シングルのMVで、スペシャル・サンクスとしてクレジットされていた。ワールドワイドなフレンドシップを築く東京のオルトロックバンドの今後の活躍に大きく期待。

 

 

「NOTOkay」- MV

 

 


Luby Sparks「Songs for The Daydreamers」




LSEP-4 | 2024.05.31 Release | Released by AWDR/LR2

 

Save/Add(配信リンク):  https://lubysparks.lnk.to/SfTD


1. Stayaway


Lyrics : Natsuki Kato

Music : Tamio Sakuma, Natsuki Kato


Vocal : Erika Murphy

Backing Vocal, Bass, Synthesizers & Programming : Natsuki Kato

Electric Guitar : Taimo Sakuma

Electric Guitar : Sunao Hiwatari

Drums : Shin Hasegawa


2. Somebody Else


Lyrics : Natsuki Kato

Music :  Natsuki Kato


Vocal : Erika Murphy

Backing Vocal, Bass & Synthesizers : Natsuki Kato

Electric Guitar & Acoustic Guitar : Tamio Sakuma

Electric Guitar & Wind Chimes : Sunao Hiwatari

Drums : Shin Hasegawa

Triangle & Tambourine : Genya Ishizaki

Shaker : Ryu Kawashima


3. NOT Okay


Lyrics : Natsuki Kato

Music :  Natsuki Kato


Vocal : Erika Murphy

Backing Vocal, Synthesizers & Programming : Natsuki Kato

Electric Guitar & Programming : Taimo Sakuma

Electric Guitar : Sunao Hiwatari

Drums : Shin Hasegawa


4. Maps


Lyrics & Music : Brian Chase, Karen Lee Orzolek, Nicholas Joseph Zinner

© 2003 Chrysalis Music Ltd. Permission granted by FUJIPACIFIC MUSIC, Inc.


Vocal : Erika Murphy

Bass, Synthesizers & Programming : Natsuki Kato

Electric Guitar : Taimo Sakuma

Electric Guitar & Tambourine : Sunao Hiwatari

Drums : Shin Hasegawa

Triangle : Genya Ishizaki



All songs arranged by Erika Murphy, Natsuki Kato, Taimo Sakuma, Sunao Hiwatari & Shin Hasegawa


Recorded by Ryu Kawashima at Red Bull Studios Tokyo

Mixed by Zin Yoshida at Garden Wall

Mastered by Kentaro Kimura (Kimken Studio)

 

 


Luby Sparks:

 

Natsuki (ba/vo) Erika (vo) Sunao (gt) Tamio (gt) Shin (dr)。

 

2016年3月結成。2018年1月、Max Bloom (Yuck) と全編ロンドンで制作したデビューアルバム「Luby Sparks」を発売。2019年9月に発表したシングル「Somewhere」では、Cocteau TwinsのRobin Guthrieによるリミックスもリリースされた。


2022年5月11日にMy Bloody Valentine、Rina Sawayamaなどのプロデュース/エンジニアを手掛けるAndy Savoursを共同プロデューサーに迎え、セカンド・アルバム「Search + Destroy」をリリース。同年6月には、初のワンマンライブ「Search + Destroy Live」(WWW X) も行い、ソールドアウトとなった。


10月にはタイ・バンコクでの海外公演を行い、2023年3月17日より、NY、ボストン、フィラデルフィア、サンフランシスコ、シアトル、サンディエゴ、LAの全7都市にて「US Tour 2023」、9月には中国「Strawberry Music Festival 2023」を含む全7都市「China Tour 2023」、10月には韓国のストリートカルチャー・コンベンション「FLOPPY 1.0 - Let’s FLOPPY」、11月にはインドネシア「Joyland Festival」へ出演。海外での展開も積極的に行なっている。現在の最新作は2024年5月にリリースした4曲入りEP「Songs for The Daydreamers」。

Weekly Music Feature -  april june   マドリッド発 インディーポップのニューウェイブ 




エイプリル・ジューンは2020年代後半の新しいポピュラーミュージックのウェイブをマドリッドから世界へ巻き起こそうとしている。最近では、アーバンフラメンコを中心にスポットライトを浴びているスペインの音楽は、米国や英国に続くもう一つのメインストリームの中心になりつつあるらしい。エイプリル・ジューンの才気煥発なサウンドは、夢想的なドリームポップの範疇にあり、エクスペリメンタルポップを吸収し、次世代のニューミュージックを作り出す。


注目すべきは、人間の内面をテーマに取り、哲学的な省察を交えて陶酔的なポピュラーに昇華する。少し逃避的な音楽かもしれないが、巧みな音作りには治癒が込められている。


エイプリル・ジューンのサウンドスケープは、抽象的で、暗く濃密で、永遠の黄昏の魅力に輝く境界の間を躍動する。彼女の曲は、物思いにふけるヴォーカル、ムーディーな色合い、それから、80年代と90年代のポップ・カルチャーに牽引されたノスタルジアへの憧れとともに、メロディックな行程を旅している。その音楽は、愛、情熱、欲望、親密さ、多くの複雑な側面についての物語的な探求に人々の心を引き込み、若い年代の感情を鋭く描出している。リスナーが現実という枠組みから離れ、自分自身を発見する方法を探すことができるように手助けをする。


エイプリル・ジューンは、これまでノスタルジックなオルタナティヴ・ミュージックを中心に制作し、「人々の心に深く響く曲を制作しようと努めてきた」という。彼女は憂鬱と憧れの物語を紡ぎ出し、いかなる季節のエッセンスもメロディックな白昼夢に変えてしまう。


ラナ・デル・レイ、ガール・イン・レッド、ザ・マリアスなどから影響を受けたエイプリル・ジューンの主な音楽的なテーマは、原子化、混乱、ノスタルジア、人間関係、不確かさといった感情を中心に展開される。


ストリーミング再生数でアーティストの人気が左右される現代の音楽業界。そしてジューンは現代のストリーミングのトレンドの波を上手く乗りこなしている。エディトリアル・プレイリスト、ローファイ・ミックスに登場し、音楽のエモーショナルな重厚さでリスナーを魅了する。2022年ヨット・クラブがアシストしたシングル "Stuck On You "は、1400万以上のSpotifyストリーミングを獲得し、"biking to your house "や "summer bruises "といった楽曲がその記録に続く。


「1年間『ザ・ソプラノズ』にどっぷり浸かっていた。この番組は人間の心理、潜在意識、文化的な象徴の探求なのだと気づいた」エイプリル・ジューンは語っている。「特にトニーがラスベガスでペヨーテを使ったギャンブルに興じるエピソードがとても印象的だった。複雑な層を持つシリーズは百科事典のような役割を果たしている。ルーレット・ホイールの象徴的な性質に関するRedditの引用を振り返ると、人生の予測不可能性についての思索に拍車がかかることがある」


「これらの洞察は、''自分の運は自分で切り開く''という考えに疑問を投げかけ、運命を受け入れ、避けられないことを受け入れるよう促している。行動パターンが運命の暗喩であるかを自分に問いかけ、不利な人間関係を引き寄せることについての内省を促す。パターンを繰り返すことが普遍的なデザインに合致しているのか、宇宙の秩序について考えさせられることがあった。個人間の不思議な繋がりは、2人の出会いにおける運命の役割について疑問を投げかける」



april june  『baby's out of luck again』- Nettwerk Music Group

 



マドリッドでは、Hindsが英国や近隣諸国のメディアを中心に注目を受けているが、ダークホースとして控えている"april june"も見過ごすことができない。2010年代のPorches、Black Marbleなど、New Orderの系譜にあるシンセポップを踏襲し、それらをドリーム・ポップとして包み込む。

 

エイプリル・ジューンの次世代のインディーポップ/オルトポップは、Beabadoobee、Yeule,mui zyu、Ashnikko、Jordanaといった、ローファイとオルトポップ、エクスペリメンタルポップという2020年代の若い年代のポップスの流行に準じている。これらの女性シンガーを中心とするファンシーなポップの一群は勢いがあり、今やウェイブを形成しつつあるようだ。ベッドルームポップ、ノイズやメタルを絡めたハイパーポップに継ぐ何らかのムーブメントとなりそうだ。


エイプリル・ジューン(4月ー6月)というアーティスト名もシュールで面白いが、SSWの作り出すシンセ・ポップを基調にしたサウンドはさらにユニーク。JAPANなどのニューロマンティックの70年代の音楽に触発されたゴシック的な響きも含まれているが、シンガーソングライターの持つファンシーさでそのイメージは帳消しになり、ワンダーランドのような世界が構築される。

 

ファンシーなシンセポップと聞くと、アイスランドのmumのような童話的な電子音楽を思い浮かべるかもしれない。しかし、実際は、エイプリル・ジューンの音楽はchvrchesに近く、商業性に重きが置かれ、無駄な脚色や編集的な要素は削ぎ落とされている。強いて言うなら、プラグインとしての主要なエフェクトは、ボーカルのオートチューン、楽器のリバーブ、ディレイに留められている。そして、ニューロマンティックの系譜にある音楽性をガーリーな印象で彩り、アートワークに象徴付けられるような、 幻想的なドリームポップワールドを打ち出そうとしている。

 

しかし、もしエイプリル・ジューンの音楽に「オルタナティヴ・ポップ」というジャンル名が付与されるとしても、実際の音楽性はシンプルかつストレート、そして聞きやすさがある。難解なスケールを排したドリーム・ポップで、オルタネイトな要素はほとんど削ぎ落とされている。


収録曲の中には、Ⅰ-Ⅴ-Ⅵの進行しか出てこないものもある。これはコード進行やスケール、プロデュース的な側面でも、複雑化したポップスに「単純化」という一石を投じるカウンター的なアルバムといえる。これらの戦略的なイメージは、少なくとも、EPという単位では功を奏しているのではないか。

 

プロデューサー、音楽ファン、メディアの辛口の評論家はたいてい、現在のシーンを一新する画期的な音楽の台頭を心待ちにしている。しかし、他方、そういった音楽を聴くことが日常的である人々が理解できないものが、一般的なリスナーに理解されるはずがないことは念頭に置いておくべきだろう。


つまり、一般的に理解しきれない要素は、部分的または限定的に留めておくべきかも知れない。もし、売れる音楽ーーヒットソングーーを作りたいと思うなら、どこかで聞いたことのあるフレーズを一つか二つくらいは用意しておく方が得策だろう。もし一般的ではない要素が曲の中にあるとするなら、(前衛主義や実験音楽という側面では容認できるかもしれないが)商業主義においては、改善の余地が残されているのである。そのことを考えあわせると、音楽そのものを、デジタル技術、録音機器、プラグインで過剰に派手にしたり、また、それとは反対に徹底して薄めたとしても、ポピュラーミュージックとしては必ずしも相乗効果があるとはかぎらない。


そして、こういった複雑化し、進化し続ける音楽を追求する勢力とは対極的な存在として、ノスタルジックな音楽にモダンなテイストを添えるグループが、徐々に台頭してきているのを痛感している。これらは、すでにある過去の成功例を基にしているため、先鋭的な音楽よりも強い説得力が込められている。リベラルアーツという分野が長い歴史を持つことを考えあわせると、最新の音楽が以前の文化と無関係であることはありえない。新しく聞こえるサウンドも実はたいてい、以前の系譜を再検討して作り出されるものである。つまり、新しい表現がゼロから生ずることはあり得ないのだ。この動向は、実はオルタナティヴロックのシーンで2010年代頃に試験的に導入されていた。それらが10年でロックからポップへと移行したような印象を受ける。

 

スペイン/マドリッドのシンガーソングライターは、70年代のシンセポップを元にして、現代的なオートチューンの要素、ドリーム・ポップというアーティストの持ち味を駆使し、シンプルなポップ・ワールドを構築している。このEPは、耳にすんなり馴染み、作品を聞き終えた後、驚くほど後味が残らない。要は、どこまでも純粋で爽やかな音楽という点で一貫している。あらかじめ、音楽的な枠組みや構想を決めておき、一気呵成にレコーディングしたようなEPである。

 

EPのオープナー「baby's out of luck again」では、キラキラとしたギター、シンセによるレトロなマシンビート、シーケンスを散りばめ、シンセ・ポップのノスタルジックな印象を押し出している。音楽の構成は至ってシンプルだが、個性的な性質を添えているのがボーカル及びコーラスワークだ。リバーブとディレイを多角的に施し、空間性を作りだし、いわばレコーディングスタジオのアンビエンスを生かしたポップスを構築している。ジューンのボーカルは、少しファンシーな感覚を意識しているが、それは不思議とひけらかすような感じにはならない。70年代/80年代のソフィスティ・ポップのような純粋さと清涼感のある印象すら覚えることもある。

 

このEPは、シンセポップによるツリー構造により制作されている。つまり、あれもこれもと手を伸ばさずに、一つの音楽的な興味をもとにして、7つの分散された曲が制作されたとも言える。そしてミュージシャンとして音楽的なセンスの瞬間的なきらめきが見いだせる箇所もある。

 

「starstruck」は、シンセ・ピアノをベースにした切ない感覚を漂わせるナンバー。オートチューンが掛けられているため、未来志向のポップにも聞こえるかもしれない。しかし、実際の曲の構成は、70年代、80年代のポップスのソングライティングを意識している。これらはクラシックとモダンという、二つの音楽的な解釈を取り巻くように、その間を揺らめくような抽象性がある。そして、抽象派の絵画のように絵の具で薄められたアブストラクトポップが生み出される。曲には明確なサビがあるわけでもなく、大きな起伏もなく、むしろ淡々としているが、流れをせき止めるものはほとんどなく、スムースに音が駆け抜けていく。その音楽には、静かに聞き入らせるものがあり、そしてシンプルでストレートなので、長く聴き続けることができる。コード/スケールの過剰な進行は、何度も繰り返していると、どうしても気疲れすることがある。その点において、DIIVの最初期のギターロックをベースにしたようなこの曲は、女性ボーカルという側面で新たな要素が加わり、ドリームポップの未知なる要素を作り出す。歌詞の側面では、哲学的な考察をもとにして、それらを個人的な体験と照らし合わせている。いわば若い年代の共感を誘うとともに、ふと考えこませるようなフレーズが出現することもある。

 

アーティストのイメージの演出は、売り込む側にとって大変魅力的であるが、実は諸刃の剣ともなり得る。やりすぎて、宙に浮かび上がり、大気圏に突入し、そのまま見えなくなった事例もある。これは、すでに音楽業界では何度も実例として示されたことで、地面に足がついていないことが原因により、実力に見合うものがないと、長く生き残ることがむつかしいからである。

 

しかし、『baby's out of luck again』は、なぜなのかはわからないが、ファンシーなのに地にしっかりと足がついている。これは、アーティストが永遠の命を持たないことの代償として与えられたパトスなのか。いつ枯れてしまうか分からない。けれど、花が美しいかぎり咲き誇ろうとする生命の美しい本質を体現している。言い換えれば、音楽の神様であるアポロン(Apollon)は、いつも才能を付与すべき人間を見定めていて、そして、かなり厳しい目で選別しているのである。

 

以後、EPの自体は、目眩くワンダーランドのような感覚が奥行きを増し、音楽の持つ空間性を押し広げていこうとする。続く、「it's all my fault」は、親しみやすいボーカルのフレーズをもとに、ダンサンブルなシンセ・ポップを構築している。メインボーカルとコーラスワークにおいて、エイプリル・ジューンは、一人で二役を演ずるかのように、異なる雰囲気のボーカルを披露している。

 

 

 「it's all my fault」- Best Track

 


 

エイプリル・ジューンの音楽は今のところ、ある一つのポイントに焦点がしっかりと絞られている。そして、外側にエネルギーを分散させるというよりも、どんどんとその内側の深くへ潜っていく。ソングライティングとして大きく傑出しているというわけでもないのに、分散的な音楽よりも興味を惹きつけることがある。続く「emotion problems」は、Porches、Black Marbleの系譜にあるニューヨークのレトロなシンセ・ポップをベースにしているが、モチーフの反復性を辛抱強く続け、ベースラインを加えて迫力味のある展開に繋げることで、魅惑的な音楽へと昇華させる。Yeuleの系譜にあるオートチューンを用いたインディーポップと思いきや、ベースラインやシンセリードやドラムのハイハットがコアなグルーヴを付与することがある。シンプルな曲作りを意識しながらも、徹底して細かな部分を軽視しないスタンスが、曲の完成度を高め、ハイクオリティにしているのかもしれない。爽やかに終わるアウトロも素晴らしい。


ドリーミーなシンセポップは以降も続く。「pretty like a rockstar」は、Beabadoobeeのデビュー作と共鳴するものがあり、ベッドルームポップアーティストから見たロックスターへの憧れを表する。これらの理想的な自己像を見上げ、それを夢見がちに歌うような姿勢は、一般的なリスナーの心にも響く何かがあるかもしれない。マシンビートのリズム、そして、レトロなシンセの音色は、2010年代のシンセポップの最初のリバイバルを想起させるが、現代的なTiktok、Yeuleのサブカルチャーやナードな文化への親しみのような感覚が、キラキラした印象を曲に付与する。そしてやはり、オートチューンを部分的に掛けることにより、デジタル・ポップの最新鋭の音楽をアップデートさせ、ベッドルームポップやハイパーポップの次なる世代の音楽に直結させる。ガーリーでファンシーなイメージを突き出した、ソフトな感覚を持つポップネスへ。

 

しかし、このEPの魅力は、2020年代のYeuleのような新しいタイプのポップだけにとどまらない。その中には、米国のポピュラーシーンと連動しながら、ノスタルジックや古典的なものに対する親和性も含まれている。「sweeter than drugs」は、どちらかといえば、ニューロマンティックのようなサウンドに依拠している。2020年代の並み居るベッドルームポップアーティストが最新のポップスを書こうとする意識を逆手に取り、それとは反対に古典的なポピュラーへと潜り込む。特に、クラシカルやビンテージに対する憧憬というのは、ミドル世代以上のミュージシャンよりも、若い年代のミュージシャンに多く見受けられる傾向である。自分が生きている間に生み出されなかったもの...…。それらに何らかの不思議な魅力を感じるのは当然のこと。また、音楽そのものは、十年、そして数十年だけで語り尽くせるものではないのだから。

 

 電子音楽をベースにしたポップスであるため、無機質な印象を覚えるかもしれない。しかしながら、このEPの音楽は、シンセポップとしての淡いエモーションが全編に揺曳している。どういうわけか、クローズ「carry you on my broken wings」では、音楽から温かいエモーションが微かに立ちのぼってくる。これぞ人工知能では制作しえない人間の手によるエレクトロポップの真髄だ。軽く聴きやすい清涼感のあるポップス、夢想的なテーマを織り交ぜた最新EPを足がかりにして、マドリッドのシンガーは今後、より大きなファンベースを獲得することが予想される。

 

 

 

85/100




「carry you on my broken wings」


 

* april juneの『baby's out of luck again』EPはNettwerkから本日発売。ストリーミング等はこちらから。

Dawes ©Jon Chu

テイラー/グリフィン・ゴールドスミス兄弟からなるロサンゼルスのフォーク・ロックバンド、Dawes(ドーズ)が新作アルバム『Oh Brother』を発表した。国内盤CD、及び輸入盤CD/限定LPで今年10月に発売される。

 

ドーズは近年、日本でも知名度を着実に高めている。フジロック”Field Of Heaven"のトリを任されたほか、単独公演も大絶賛だった。彼らの渋さのあるキャッチーなロックは、年齢を問わず、そして、それほど洋楽に詳しくない人々にいたるまで、幅広いリスナーに支持されるはずだ。 

 

『Oh Brother」は、テイラー/グリフィン・ゴールドスミス兄弟だけで制作された。15年に及ぶ彼らの音楽的な関係をより深める作品である。テイラーがギター/ヴォーカルを担当、そしてグリフィンがドラムを担当し、ライブレコーディングされた後、ツアーギタリストのトレヴァー・メニア、そして長年の共同制作者として知られるマイク・ヴィオラと共同プロデュースで制作された。

 

昨晩、フルアルバムの9曲を試聴してみたが、ウェスト・コーストロックとフォーク・ロックというゴールドスミス兄弟の持ち味が最大限に発揮されている。渋さと親しみやすさを兼ね備えた良作の登場である。

 

『Oh Brother』の前半部はウェストコーストロックを中心に収録されている。The Byrds等の70年代のUSロックを、 Bon Iver以降のモダンなテイストを持つ作風に置き換えている。他方、アルバムの後半部では、カントリー/フォークをベースにしたロックサウンドが展開され、全体的に幅広いサウンドが楽しめる。また、AOR/ソフト・ロックなど80年代のロックサウンドからの影響も感じられた。特に、アルバムの中盤の収録曲にハイライトがあり、聞きどころたっぷりのロックアルバムとなりそうだ。

  

アルバムの発表と合わせて、先行シングル「House Parties」のミュージックビデオが公開された。こちらも下記よりチェックしてみよう。



 「House Parties」

 

 

 

Dawesの三作目のアルバム『Oh Brother』は10月11日にDead Ringersからリリースされる。

 

 

 Dawes  『Oh Brother』



アーティスト : Dawes (ドーズ)
タイトル : Oh Brother (オー・ブラザー)
発売日 : 2024年10月11日
レーベル : Dead Ringers

<国内流通盤CD>
品番 : AMIP-0366
バーコード : 4532813343662
店頭価格 : 2,500円(税抜)

<輸入盤CD>
品番 : DRR013
バーコード : 617308081268
卸価格 : 1,490円(税抜)

<輸入盤LP>
品番 : DRR013LP-C1
バーコード : 617308081251
卸価格 : 2,990円(税抜)
*限定Turmeric Vinyl
 
 
 
Dawes:
 
 
LAを拠点とするテイラー (ギター、ボーカル) とグリフィン (ドラム、ボーカル)のゴールド スミス兄弟によるバンド。2009年にアルバム『North Hills』をATOからリリースしてデビュー する。その後に8枚のスタジオアルバムに2枚のEP、そしてライブアルバムをリリースしている。
 

『All Your Favorite Bands』が米ビルボード・フォーク・アルバム・チャートで1位、ロック・ア ルバム・チャートで4位を獲得するなど世界的にも大きな評価を受けている。ジャクソン・ブラ ウン、ジョン・フォガティらのバック・バンドやボブ・ディランのツアー・サポートを務めるなど卓 越した演奏力も魅力のバンド。2022年にはフジロックのField of Heavenのトリを務め会場 を盛り上げた。2023年には初の単独公演を行うなど日本にも熱狂的なファンを持つ。

 

Suki Waterhouse
Suki Waterhouse ©Jeremy Soma


Sub Pop所属のシンガーソングライター、スキ・ウォーターハウス(Suki Waterhouse)がニューシングル「Blackout Drunk」を公開した。近日発売予定のアルバム『Memoir of a Sparklemuffin』に収録。シンセサイザーをベースにした軽快なダンス・ポップで今年の夏を決定付ける。

 

 「Blackout Drunk」は、スウィングするハンドクラップ、ウージーなリフ、ドゥーワップ・ハーモニー、コーラスで酔わせる。フレッド・ボール、ヘイジー・アイズ、アルバムのエグゼクティヴ・プロデューサー、イーライ・ハーシュがプロデュースし、スキ、ボール、ナタリー・フィンドレイが作曲した。

 

この曲は、ウォーターハウスの「My Fun」と「Faded」のミュージックビデオを監督した、映像作家でアニメーターでもあるカラム・スコット=ダイソンによるビジュアルとともに公開された。

 

コーチェラ・フェスティバルに出演したばかりのスキは、多忙な一年を送る予定だ。ニューアルバムを引っ提げ、北米25都市を巡るヘッドライナー・ツアー『The Sparklemuffin Tour』を予定している。

 

さらに、9月27日(金)のソルトレイク・シティの”Love Letters Festival”を皮切りに、ロサンゼルス、ニューヨーク、シカゴ、ボストン、トロント、モントリオールでツアーが行われる。このツアーに先立ち、Sukiは、ロンドンのオール・ポインツ・イースト(8月18日)に出演し、オレゴン州ポートランドのモーダ・シアター(9月21日)ではミツキのサポートを務める。

 


「Blackout Drunk」