©︎ Matthew Cross

 

ルー・リードはヴェルヴェット・アンダーグラウンドを設立する前、”ピックウィック・レコード”という会社で雇われのソングライターをしていた。この度、60年代半ばにピックウィック・レコードに在籍していた時期にリードが書いた曲が、アンソロジー『Why Don't You Smile Now』にまとめられた。サブタイトルは『Lou Reed at Pickwick Records 1964-65』である。

 

アンソロジーは、ローリー・アンダーソンとルー・リード・アーカイブとのパートナーシップにより、Light in the Atticから9月27日にリリースされる予定だ。ローリー・アンダーソンは、リードの配偶者であり、前衛芸術家、映画監督、作曲家、音楽家として活躍しているが、電子音楽の先駆者の一人。MIDIコントローラー、「トーキング・スティック」の開発者でもある。ルー・リードの音楽的なインスピレーションをもたらした重要人物であることに疑いはない。

 

このアルバムのオープニング・トラック、プリミティブスの「The Ostrich」が本日リリースされ、リード・ヴォーカルでリードが参加している。ジャケット・アートワークとトラックリストとともに、以下でチェックしてみよう。


リッチー・ウンターバーガーによるライナーノーツ、レニー・ケイによるエッセイなどが付属。


「The Ostrich」について、リッチー・ウンターバーガーは次のように説明している。「ダンス・ブームのロックンロールのパロディであると同時に、過密な分野への参入作でもある。しかし、ヒット・シングルの火付け役となるようなフックがないわけではなく、ロックンロールの最も悪魔的な一角で生き、呼吸している若者のような全力投球で演奏されている」

 

ルー・リードが共作したこの曲の発表後、ジョン・ケイルがPrimitivesのライブバンドのプロモーションツアーに参加したことで、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドの結成につながった。


Light In The Atticは坂本龍一の「戦場のメリー・クリスマス」等、コアな作品のリイシューを行うことで知られている。アートワークはグラミー賞を2度受賞している小池正樹氏が手掛けた。

 




『Why Don't You Smile Now: Lou Reed at Pickwick Records 1964-65』


Label: Light In The Attic

Release: 2024年9月27日


Tracklist:

1.The  Primitives - Ostrich

2.The Beachnuts - Cycle Annie

3.The Hi-Lifes - I'm Gonna Fight

4.The Hi-Lifes - Soul City

5.Ronnie Dickerson - Oh No Don't Do It

6.Ronnie Dickerson - Love Can Make You Cry

7.The Hollywoods - Teardrop In The Sand

8.The Roughnecks - You're Driving Me Insane

9.The Primitives - Sneaky Pete

10.Terry Philips - Wild One

11.Spongy And The Dolls - Really - Really - Really - Really - Really - Really Love

12.The Foxes - Soul City

13.The J Brothers - Ya Running, But I'll Getcha

14.Beverley Ann - We Got Trouble

15.The All Night Workers - Why Don't You Smile

16.Jeannie Larimore - Johnny Won't Surf No More

17.Robertha Williams - Tell Mamma Not to Cry

18.Robertha Williams - Maybe Tomorrow

19.Terry Philips - Flowers For The Lady

20.Terry Philips - This Rose

21.The Surfsiders - Surfin'

22.The Surfsiders - Little Deuce Coupe

23.The Beachnuts - Sad, Lonely Orphan Boy

24.The Beachnuts - I've Got a Tiger in My Tank

25.Ronnie Dickerson - What About Me


 Background:

 

9月27日にリリースされるこのLITAのルー・リード・アーカイブ・シリーズの最新作は、60年代半ばに解散したレーベル、ピックウィック・レコードのスタッフ・ソングライターとして活動していた時期にリードが作曲したポップ・ソングのコンピレーション。このコンピレーションは、ルー・リードの『Hudson River Wind Meditations』(2023年)と『Words & Music, May 1965』(2022年)に続く作品である。


音楽史上最も独創的で革新的な人物の一人であるリード(1942-2013)は、多大な影響力を持つヴェルヴェット・アンダーグラウンドの共同創設者兼フロントマンとして初めて認知された。ロックの殿堂入りを2度果たした彼は、50年にわたるキャリアの中で、1972年の『トランスフォーマー』のような時代を定義するアルバムや、1975年の前衛ノイズの名作『メタル・マシン・ミュージック』のような荒唐無稽で実験的な作品など、多彩な音楽活動に特異なビジョンをもたらした。

 

しかし、不朽のアイコン的シンガー、ソングライター、ミュージシャン、詩人としての地位を確立する以前に、彼は当時のメジャー・ポップ・ヒットを模倣したサウンド・アライク・レコーディング専門のレーベル、”ピックウィック・レコード”のインハウス・ソング・ライター(時折セッション・ギタリスト/ヴォーカリスト)としてスタートを切った。

 

ガレージ・ロック、ガールズ・グループ・ポップからブルー・アイド・ソウル、ティーン・アイドルのバラードまで、あらゆるジャンルを網羅したピックウィック・レコードでのリードの作品は、進化し続ける彼の真に無限の芸術性を垣間見ることができる。


このアルバムは、グラミー賞にノミネートされたマスタリング・エンジニア、ジョン・ボールドウィンによって修復され、リマスタリングされている。2枚組LPとCDの両エディションには、未公開写真を含む詳細なブックレット、リッチー・ウンターバーガー(著名な音楽ジャーナリスト、『White Light/White Heat: The Velvet Underground day-by-day』などの著者)によるライナーノーツ、レニー・ケイ(伝説的ギタリスト、パティ・スミス・グループの共同創設者、ライター、プロデューサー、ガレージ・ロックの代表的アンソロジー『Nuggets』のキュレーター)によるエッセイが収録されている。

 

2枚組LPのパッケージは、マルチ・グラミー賞受賞アーティストの小池正樹がデザインし、世界的に有名なOptimal(ドイツ)の工場でプレスされている。A/B面は "オックスブラッド "ワックス、C/D面は "ゴールド "ワックスでプレスされている。

 

このリリースは、ルー・リードのピックウィック・レコードにおける初の公式アンソロジーであり、レア音源、カルト・クラシック(ザ・プリミティブスの「The Ostrich」)、未発表音源(ザ・ビーチナッツの「Sad, Lonely Orphan Boy」)を収録している。

バラク・オバマ前大統領が毎年恒例の夏のプレイリストを公開 チャーリーXCX、ビリー・アイリッシュ、ビヨンセなど


今年もこの瞬間がやってきた。オバマズ・プレイリストの季節がついに到来。オバマ大統領は2024年、ビヨンセ、チャーリーXCX、ナイジェリア人シンガーのテムズといった業界の重鎮を選曲し、ヒップホップからR&B、ポップスまで、多種多様なジャンルを紹介している。このプレイリストは今や、世界中のファン及び音楽ファンから待望される文化的な定番となっている。


年末と夏の両方に発表されるオバマのプレイリストは、前大統領の個人的な嗜好を垣間見ることができ、アーティストにとっては広く認知される機会となる。今年のリストには、著名なアーティストと新進気鋭のアーティストが混在しており、オバマ大統領の好みがよく表れている。


ソング・オブ・ソング・オブ・チョイスは、チャーリーXCXの「365」であると伝えられている。その他には、ビリー・エイリッシュの「Chihiro」、ボニー・ライト・ホースマンの「Old Dutch」、ビヨンセの「Texas Hold 'Em」、トミー・リッチマンの「Million Dollar Baby」、ニック・ドレイクの「One Of These Things First」、テムズの「Love Me Jeje」、シャブージーの「A Bar Song (Tipsy)」、ローリング・ストーンズの「(I Can't Get No) Satisfaction」、ボブ・ディランの「Silvio」、スティングの「If You Love Somebody Set Them Free」などが選ばれている。


バラク・オバマ氏は今年も以下のような一口コメントを添えている。「夏も終わりに近づいてきたので、最近聴いている曲を紹介したいと思います。何か新しい聴きものが見つかるといいな!」

 beabadoobee  『This Is How Tomorrow Moves』

 

Label: Dirty Hit

Release:2024年8月9日

 

 

Review  

 

フィリピン/イロイロ島出身のロンドン在住のシンガーソングライター、beabadoobeeはデビューアルバムでは音楽性が定まらなかったが、このセカンド・アルバムでようやく「一家言を持つようになった」とも言える。一家言といえば大げさかもしれないが、主張性を持つようになったことは明確である。音楽的にも、スポークンワードに挑戦し、ロンドンの現代的な音楽を吸収しているのを見るかぎり、「海に飛び込む覚悟!!」という歌手の説明は、単なるブラフではあるまい。もちろん、海に飛び込んだ後、どこにたどり着くかは、依然としてはっきりとしていない。ドーヴァー海峡を越えて、別のユーラシアの国にたどり着くのか、それともほかに??


さて、最近、88risingのNIKIを見ると分かる通り、アジア系のシンガーソングライターに注目が集まっている。beabadoobeeもその一人には違いないが、このセカンド・アルバムにアジア的なテイストはあるのだろうか。フィリピン時代に、シンガーが聴いていたと思われる日本のポピュラー音楽の影響も微かに感じられるが、それは色付けや脚色のような範疇に留められている。(タイを始めとする東南アジア圏では、シティ・ポップをはじめとする日本の音楽が若者に親しまれている。)間違いなく、このアルバムの根幹にあるのは、モダンなロンドンのポップスであるが、ソングライターは自分らしいカラーをこの作品で探求しているように思える。ファースト・アルバムのようなアルバムを期待して、少し雰囲気が変わってしまったことに落胆を覚えるリスナーは、息子や娘が自分の元から旅立ってしまったとき、ショックを覚えるタイプの人々だろう。少なくともセカンドには、歌手としての成長のプロセスが示されているらしい。

 

Dirty Hitの所属アーティストは、それほど地域性という側面にこだわらないような気がしている。基本的には、Dirty Hitには商業的なポップスを制作するミュージシャンが多いが、彼らの共通点を挙げると、ローカルな音楽ではなくて、コスモポリタニズムの範疇にある音楽を制作するということである。つまり、彼らの出発は地域的だが、そこを飛び出し、より広いコスモポリタンとしての領域へと踏み出そうとするのである。唯一の例外は、オスカー・ラングだが、最もイギリスらしい曲を書く歌手である一方、やはりローカルなポップスとは言い難く、「インターナショナルなポピュラー」という点では共通している。そして、beabadoobeeのセカンドアルバムの作曲性についても、インターナショナルな観点を重視しており、イギリス的な音楽というよりも、ヨーロッパ的な音楽が、この二作目には通奏低音のように響いている。そしてそれは、現代のトレンドになりはじめているチェンバーポップのリバイバルから、イエイエのようなフレンチ・ポップの復権、バブリーな雰囲気を持つアジアのポピュラー等、多角的な音楽性を基底にして、デビューアルバムより完成度の高い作品が制作されたと見るのが妥当である。

 

しかし、何かが変わったことは事実だが、デビュー作の音楽性が完全に立ち消えとなったかと言えばそうでもない。依然としてベッドルームポップの範疇にあるガーリーなポップスは引き継がれている。

 

「1- Take A Bite」は今最もストリーミングで人気がある一曲。いちばん興味を惹かれるのは、Tiktok、Instagramの時代の即時的な需要に応えながらも、曲全体の作り込みを軽視することがないということ。緻密に作り込まれているが、他方、聞きやすい曲を渇望するリスナーの期待にも応えてみせる。

 

このオープナーには、ソングライターとしてのbeabadoobeeの器用さが表れている。甘口のポップスを書くことに関しては人後に落ちないシンガーの真骨頂とも言うべきナンバーだ。それに加えて新しい音楽的な要素もある、チェンバーポップのリズムを交えながら、曲の後半では、アンセミックなフレーズを出現させる。しかしながら、それはオルトポップの位置づけにある。ここにはインディーズ音楽をこよなく愛するシンガーの好みのようなものが反映されている。


beabadoobeeの音楽性にはデビュー・アルバムの時代からオルタナティヴロックの影響が含まれている。

 

「2-Calfornia」では、オルタナティヴロックをベースに、それらをポップスの切り口から捉えている。サンプリング的なギターロックという側面では、Nilufur Yanyaに近く、また同時に80年代のハードロックの系譜にあるメタリックなギターのリフが際立っている。しかし、やはりオリジナリティがあり、それらのテイストを甘口のベッドルームポップで包み込む。好き嫌いが分かれるかも知れないが、アイスクリームのように甘いメロディーとツインリードを元にしたギターラインが組み合わされる時、このアルバムの序盤のハイライトとも称すべき瞬間が出現する。

 

「3−One Time」では、アーティストが語っていた「他者と自分の関係性」についてのテーマが見え隠れする。いわば前作までは、「他者の影響下にある自己」というテーマがフィーチャーされていたのだったが、今作では、環境に左右されることのない自律性を重んじており、「自分を主体とした他者」という以前とは真逆の見方や考え方が反映されているように思える。ドラムテイクを中心とするバンド形式での録音だが、ここでは前面に立つ自己を許容しており、またおそらく、「自分に自信や責任を持つことの重要性」を対外的に示そうとしているのではないか。それは前項とも関連性があるが、他者に惑わされることのない無条件の肯定感でもある。現代のソーシャルメディアが優勢の時代、一般的には承認を受けなければ価値に乏しいという考えに走りがちだが、それは一つの価値観に過ぎない。他者の承認というのは、一時的なものに過ぎず、それとは別の「無条件の自認」という考えがソングライティングの根幹に揺曳する。歌声自体にも、デビューアルバムに比べて、自負心や、勇敢な気風が備わっている。これは、実際的なライブ等で経験を積みながら、着実にファンベースを獲得してきたシンガーとしての実感のような思いが、歌声やソングライティングにリアリティを付与したと考えられる。

 

「4−Real Time」では、デビュー・アルバムにはなかったタイプの曲で、聞き手を驚かせるはずだ。ララバイやバラッドという西洋音楽の古典的な形式を踏襲し、ディキシーランドジャズのような米国の音楽的な要素を付け加えて、ビートルズの影響下にあるソングライティングに昇華させている。デビューアルバムの夢想的な楽しさという音楽的なテーマは2年を経て、別の感覚に転化したことが分かる。ソングライターとしての音楽性の間口の広さがこの曲に表れている。


「5- Tie My Shoes」では、アコースティックのオルトフォークのイントロから、やはりこのアーティストらしいベッドルームポップのブリッジやサビへと移行していく。そして、前作にはなかったカントリーやフォークの要素が、レビューの冒頭で述べたように、インターナショナルなポピュラー音楽としての機能を果たしている。特に、この曲ではアコースティックギターにバンジョーのようなフォーク音楽の源流にある楽器を使用することで、「モダンとクラシックのハイブリッド」としての現代の商業音楽というウェイブを巧みに表そうとしているのである。

 

 Best Track-「Tie My Shoes」

 

 

さらに、セカンド・アルバムでは音楽性として多彩なバリエーションが加わっている。中盤では、落ち着いた聞かせるタイプの楽曲が多く、シンガーソングライターとしての進化が伺える。


「6-Girl Song」では、オスカー・ラングが最新作で示したような70年代、80年代のビリー・ジョエルのソングライティングを踏襲し、beabadoobeeはピアノ・バラードの領域に踏み入れている。静謐なバラードの導入部には「帰れ ソレントへ」に代表されるカンツォーネからの影響も伺え、牧歌的なフォークの響きとポピュラーとしての深みが見事な合致を果たす。さらに、ジョエルのようなシンプルな構成を元に、”良いメロディーを聞きたい”という要求に、ソングライターは端的に応えている。亜流の音楽ではなく、王道の音楽にストレートに挑んでいる点に、頼もしさすら感じられる。一方、「音楽の楽しさ」という点を重視しているらしく、「7- Coming Home」では、古典的なワルツの形式を踏まえて、それらを遊園地のメリーゴーラウンドのようなきらびやかな楽しさで縁取っている。その中で、往年のイエイエのようなフランスの歌手のボーカルの形式を踏まえ、おしゃれな感覚のあるポップスという形に昇華させている。

 

一方、「5- Tie My Shoes」で登場したフォーク・ミュージックの要素が続く「8- Ever Seen」で再登場する。バンジョーの響きが、beabadoobeeの甘口のポップスと鋭いコントラストを描き、モダンとクラシカルという、このアルバムの副次的なテーマが、表向きのテーマの向こうにぼんやりと浮かび上がってくることがある。この曲では、The Poguesに象徴されるアイルランドのフォークとインディー・ポップの魅惑的な響きが掛け合わされて、このアーティストしか生み出し得ないスペシャリティが生み出される。この曲は最終的に、舞踊曲に変わっていき、踊りのためのポピュラーミュージックへと変遷していく。以前、beabadoobeeeは、彼女自身が出演したバレエのミュージックビデオも撮影していたが、舞踏曲としての予兆が込められていたのである。

 

すでにいくつかのワールドミュージックが登場しているが、続く「9- A Cruel Affair」では、ボサノヴァとイエイエのボーカルをかけ合わせて、南国的な音楽のムードを作り出す。これらは神経質なポピュラーとは対象的に、音楽の寛いだ魅力を呼び起こそうとしている。アルバムの中の休憩所となり、バリ島のリゾート地のようなリラックスした雰囲気を楽しめる。ただ、一貫してbeabadoobee のボーカルは、全盛期のフランソワ・アルディを意識しているのかもしれない。少なくとも、イエイエのようなフレンチ・ポップのおしゃれな語感を活かし、夢想的な感性に縁取ってみせる。途中に導入されるギターは天にも昇るような感覚があり、クルアンビンのサイケロックやホリー・クックのダブのようなトロピカル性やリゾートの感覚を呼び覚ます。



その後、オルタネイトなインディーロックが再登場する。「10- Post」は、バンド形式の録音で、現代的なバンガーとなるべく制作された一曲である。アコースティックのドラムと打ち込みのドラムを交互に配置し、ロックとエレクトロニックの印象を代わる代わる立ち上らせる。そしてボーカルにしても、ギター、ドラムの演奏にしても、従来のbeabadoobeeの曲の中ではパンキッシュな魅力を持つトラックに昇華されている。時々、曲はメタリックな性質が強まることもある。一方、デビューアルバムから一貫している、内省的な感覚を備える切ないメロディーが背後にちらつく。これらのエネルギッシュな側面とナイーヴな側面の融合が多彩性をもたらす。無論、表向きの音楽のみならず、背後に鳴り響く音楽としての性格も具備している。これが音楽に説得力と呼ばれるものや、何度も聞きたくなる要素をもたらすことは明確なのだ。

 

続く「11- Beaches」は、オルトポップ・アーティストとしての総括をするような一曲である。ベッドルームポップの系譜にあるギターの内省的なイントロから、それとは対象的にポップバンガーとして見ても違和感がないダイナミックなサビへ移行する瞬間は、beabadoobeeの最初期のキャリアを象徴付ける最高の一曲が誕生したと見るのがふさわしいかも知れない。この曲は、アーティストとして、次のステップへと進む予兆が暗示されている。さなぎが蝶へと進化し、やがて大空に羽ばたくように、別の存在へと生まれ変わる段階がこの曲には示唆されている。

 

 

終盤の「12- Everything I Want」以降では、本来は少し控えめな歌手の一面が伺えるが、自らのキャラクターを遠慮会釈なく対外的に提示することに大きな意義がもとめられる。実験音楽ではないものの、商業音楽としての実験性が示されていることは事実だろう。オルタネイトなギターロックやイエイエ、ワールド・ミュージック、それから、フォークという多角的な音楽をベースにして、独自のカラーを探っているように感じられる。これは従来の住み慣れた領域から別の地点に向け、ゆっくりと歩き出すシンガーソングライターの背中を捉えることができる。

 

今、beabadoobeeはギターを手にして、どこかへ向けて歩きだしたようだが、そのゴール地点はまだぼんやりとしていて見えない。夢想的でスタイリッシュな音楽という抽象的な概念、それを従来のポップやロックという視点を通して的確に表現する時、beaのポピュラーの概念が完成するのだろう。まだ、その旅程の途上であると思われるが、しかし、シンガーは理想とする音楽に一歩ずつ着実に近づいている。その核心を見出した時、本当の自己を見出すのかも知れない。


終盤の2曲は、シンプルなフォークミュージック、オルゴールのような音色を使ったポップスが心地よく鳴り響き、従来の夢見るような少女的な感覚を決定付けている。最終的には、自己を肯定するという重要な主題が見出すことができ、ポスト・サワヤマとしての歌手の立ち位置を表している。さらに、同時に、どうやらこのアルバムには、現在の自分に対する追憶、そして過去の自分に対する惜別のような際どい感覚がさりげなく織り交ぜられているように感じられる。


ロンドンのSSWのセカンドアルバム『This Is How Tomorrow Moves』は、現在と過去の自分の姿を明瞭に俯瞰した上で、それらを録音で体系的にまとめ、不透明な未来への予測と憧れを示すとともに、「シンガーソングライターとしてのスナップショット」を音楽という形で捉えようとしている。


 

 

 88/100

 


Best Track-「Beaches」

 

 

 

Details: 


「1- Take A Bite」 B+

「2 - Calfornia」 B

「3− One Time」B

「4− Real Time」B

「5- Tie My Shoes」A

 「6- Girl Song」A

「7- Coming Home」B

 「8- Ever Seen」A−

 

 「9- A Cruel Affair」B+

 「10- Post」B+

 「11- Beaches」S

 「12- Everything I Want」C+

 「13 - The Man Left Too Soon」B

 「14- This Is How It Went」 B+


* beabadoobeeのデビューアルバム「Beatopia」のレビューはこちらからお読みください。

 John Coltrane 稀代のサクスフォン奏者  コルトレーンの代表作



ジョン・コルトレーンは、いかなる分野であれ、天才的な人物は驚くほど早く世を去ることがあるという、歴史的に惜しむべき事実を明確に反映している。他の人が気づいたときには、そういった人物は、普通の人々のはるか先を歩いているものだ。一般的な人々がその人を追いかけ始はじめた時、その人は踵を返し、別の道を歩み出す。そして一般の人々がそのことに注目するようになると、全然違うことを始める。だから、一般的な人々の理解に及ばない部分がある。


コルトレーンの十年のジャズの作曲法、及び、主要な演奏法には、古典的なものから、対象的に、まったく以前の形式とは異なる前衛的なものまで幅広いスタイルが含まれている。ハード・バップからモード奏法へのこだわりなど...。もちろん、前衛的な演奏法についても、アリス・コルトレーンと併せて称賛されて然るべきだが、サクスフォン奏者としては、ブルー・ジャズにこそ彼のプレイの醍醐味がある。ミュート奏法を用いたコルトレーンの演奏は、ブレスに神妙な味わいがあり、トランペットに近い深みのある音響性をもたらすことがある。


セロニアス・モンクとのコラボレーションでは、前衛的な奏法にも挑戦しているコルトレーン。それと同時に、彼はまた、スタンダードジャズの普及に多大なる貢献を果たした演奏家でもあった。特に、現代的なサクスフォニストとは異なり、彼の演奏の核心には、メロウなサックスというテーマを発見できる。コルトレーンは、無名の時代が長く、有名になったのは十年ほどであったという。それは、彼が従来のハード・バップから離れ、前衛的なジャズを探訪していたからである。ではなぜ、後世に名を馳せたかを推察してみると、彼の演奏は、それ以後、新しい形式を捉えつつも、「古典性の継承」という重要なサブテーマを掲げていたからである。もしかりに、コルトレーンの演奏法が前衛性だけに焦点を絞っていたとするなら、「ジャズの巨匠」と呼ばれるまでには至らなかったのではないだろうか.......。そして、いついかなる時代のコルトレーンの演奏についても、彼の演奏には慎み深さがある。要するに、音楽に対する一歩引いた感覚があり、音楽をいつも主体とし、多彩なサックスの演奏を披露するのである。

 

つまり、それがセロニアス・モンクやマイルス・デイヴィス、ビル・エヴァンスといった数々の名だたるプレイヤーとのコラボレーションでも重要な役割を果たす要因ともなった。もし、彼が存在感を出しすぎたり、プレイヤーとしての自分自身のキャラクター性を重要視するような演奏家であったなら、どうなっていただろう。もしかすると、数々の共同制作の名盤は秀作の域にとどまっていた可能性もあるかもしれない。コルトレーンは、前に出たり、後ろに退いたり、いつも柔軟性のあるスタンスを取っている。だから、彼の演奏は作品ごとにまったくその印象が異なる。古典的であるかと思えば、前衛的。前衛的かと思えば、古典的。そして、脇役かと思えば、主人公になる。主役になったかと思えば、名脇役にもなる。つまり、彼は10年に及ぶジャズの系譜において、自分の演奏者としての立ち位置を固定したことは一度もなかったのだ。

 

ジョン・コルトレーンの演奏はたいてい、レコーディングであれ、ライブであれ、その空間に鳴っている音楽に対して謙虚で慎ましい姿勢を堅持している。それが音楽としての心地良さをもたらし、このプレイヤーしか持ち得ない霊妙な感覚、そして、人々を陶酔させるジャズを構築したのである。

 

クラシックであれ、ジャズであれ、超一流の音楽家はプレイスタイルを持つようでいて持たない。いつも、彼らは苦心して築き上げたものを見放し、ときには壊してしまう。世に傑出した芸術家はたいてい、自分の築き上げたものが「砂上の楼閣」に過ぎぬか、「現実の影」に留まると認識しているのである。こういった「天才」と称される人々は、一つのやり方に固執することはほとんどなく、変幻自在な性質を持つことを特徴としている。しかしながら、同時に、 演奏や作曲性に関しては、その人物しか持ち得ないスペシャリティ(特性)が出現することがある。

 

その作品を見れば、制作者の人となりが手に取るように分かる。同じように、演奏についても表現者の人柄を鏡のごとく鮮明に映し出す。残酷なまでに.......。不世出のサクスフォニスト、ジョン・コルトレーンは、薬物問題に絡め取られることもありながら、紳士性を重んじ、何より敬虔なる人物であったと推察される。それがゆえ、ジャズの未来を塗り替えることが出来たのだ。また、だからこそ、彼の演奏は時代を越えて、多くの聞き手を魅了しつづけるのだろう。

 

 ・Vol.1を読む BILL EVANS   ビル・エヴァンスの名曲  クラッシックとジャズを繋げた名ピアニスト


 

・「Blue Train」/ Blue Note 1958

 

マイルス・デイヴィス・クインテットを1957年に離脱したジョン・コルトレーンがその翌年に発表したアルバム。3管編成で録音。タイトル曲には、モード奏法からのフィードバックも含まれている。コルトレーンは、この作品において、作曲全体の規律性を重視し、ジャズの概念を現代的に洗練させている。ただ、「Lady Bird」に代表付けられるように、従来の自由度の高いベースに支えられるハードバップに重点が置かれている。また、「I'm Old Fashioned」には、古典派への回帰という、以後の時代の重要な主題も発見できることにも着目したい。

 

 

 

・「Giant Steps」/ Atlantic  1960

 

 

「Love Supreme」、「Bluetrane」、「My Favorite Things」等、名盤に事欠かないコルトレーン。しかし、ジャズそのものの多彩さ、音楽の幅広さを楽しめるという点において「Giant Steps」を度外視することは難しい。このアルバムは「Blue Train」と並び、稀代のジャズの名盤として名高い。

 

本作は、中期に向けての変遷期に録音。チャーリー・パーカーのビバップの形式を元に、「コルトレーン・ジャズ」という代名詞を作り上げた作品でもある。演奏法を見ると、70年代のフリー・ジャズを予見したアルバムと称せる。ただ、ジョン・コルトレーンの演奏法が従来のスケールや和音に束縛されていないとしても、全体的な作曲はスタンダード・ジャズを意識している。これが自由で開放的な気風を感じさせるとともに、聞きやすい理由である。現在のブルーノートのライブハウスで聴けるようなジャズグループの演奏の基礎が集約され、ジャズ・ライブでお馴染みのコール・アンド・レスポンスの演奏も含まれている。世紀の傑作「Blue Train」と並んで、「ジャズの教科書」として見なされるのには、相応の理由があるわけなのだ。

 

 

 

・「Ballads」/ Impulse!  1963



コルトレーンがハード・バップ/ビバップから脱却を試みた作品。そして、次なる形式は「古典性への回帰」によって生み出されることに。現在のスタンダードジャズの基本的な形式の基礎は、このアルバムに全て凝縮されている。また、以降の時代の多くのサックス奏者の演奏法の礎を確立した作品でもある。「Ballads」では、ニューオリンズの「ブルー・ジャズ」の古典性に回帰しながら、モード奏法を異なる形に洗練させている。もちろん、遊び心もある。「All Or Nothing At All」では、アフリカのリズムを織り交ぜ、率先してアフロ・ジャズに取り組んでいる。彼の代表的なナンバー「Say It(Over and Over Again)」はジャズ・スタンダードとして名高い。


ジョン・コルトレーンは、新しい形式を生み出すために、古典に回帰する必要があることを明示している。これはデイヴィスが教会旋法からモード奏法を考案したことにヒントを得たと考えられる。(モード奏法は、ドリア、フリギア、リディア、ミクソリディアという旋法の基礎からもたらされた)さらに、現行の米国のミュージシャンが取り組む「古典性の継承」というテーマ、それはすでに1963年にジョン・コルトレーンが先んじて試みていたことであった。

 

 


【JAZZ AGE】 BILL EVANS   ビル・エヴァンスの名曲  クラッシックとジャズを繋げた名ピアニスト

 【Interview】Tanukichan  新作EP「Circles」についてのアーティストによる解説

Tanukicyan
©︎Alex Mnriquez

 

カリフォルニア州オークランドのハンナ・ヴァン・ルーンの音楽プロジェクト、Tanukichanは、Toro y Moiのチャズ・ベアと初めてコラボレートした2016年以来、モダン・シューゲイザー・ミュージックで著名な存在となっている。

 

ベアーズ・カンパニー・レコードからEPと2枚のフルアルバムをリリースし、2023年の『GIZMO』で頂点に立った。2024年9月20日にCarpark Recordsからリリースされる新作EP『Circles』で、ヴァン・ルーンは初めて新しいプロデューサー、フランコ・リードと組み、新たな領域に踏み出した。



2人のパートナーシップの始まりは、GIZMOキャンペーンにさかのぼる。リードがインスタグラムのプレス写真でインキュバスのシャツを着ているヴァン・ルーンに気づいたのだ。ヴァン・ルーンが本物のファンかどうか興味をそそられた彼は、彼女にDMを送った。2人の共通の音楽的関心が対話を呼び起こし、最終的に2023年のシングル「NPC」の制作につながった。

 

リード・シングルの「City Bus」は、ヴァン・ルーンが幼少期にサンフランシスコでバスに乗っていたことを振り返る曲で、ハードなドラムと重厚なギターのフィードバックがミックスにフェイズ・イン/アウトし、通勤時のストップ・アンド・ゴーのリズムを想起させる。自己反省と社会への帰属というテーマがトラック全体に浸透し、ヴァン・ルーンが現在進行中の個人的な旅と呼応している。



『Circles』の多くは内面的な葛藤を掘り下げているが、「It Gets Easier」は苦難に対処する際に成熟した感覚を身につけたことにヴァン・ルーンが気づくにつれ、より祝福的なトーンになっている。「自分に役立たない状況や人を手放すのは簡単な気がする」とヴァン・ルーンは振り返る。

 

今回のQ&Aでは、新作EPについて、ハンナ・ヴァン・ルーンに答えていただくことが出来ました。エピソードは以下より。

 

 

日本語のエピソード:


ーー新作EP『Circles』が9月20日にリリースされます。今作の全体的なテーマや指針があれば教えてください。また、前作『GIZMO』と比べてサウンド・アプローチに大きな変化はありましたか?



Tanukichan:  このEPの包括的なテーマは、繰り返されるサイクル、パターンについてです。物事が良くも悪くも繰り返されていることに気づく。また、通勤で同じ道を行ったり来たりするような、日常生活の循環的な性質や出来事.....。まあ、一番大きな変化は、違うプロデューサーと仕事をすることだったろうね。今までの音楽よりも「GIZMO」に近いかもしれないけれど、新しいEPの中では、ドラムが入っていない「In A Dream」という曲が面白いだろうね。



ーーリード・シングルの「city bus」は、マイ・ブラッディ・ヴァレンタインの「Loveless」のような80年代のサイケデリック・エレクトロからの影響が感じられます。この曲では、シューゲイザーのルーツ、つまり、ギター・ロックとエレクトロの融合に立ち返ろうという意図も感じます。あなた自身はどう考えていますか??



Tanukichan:  確かにMBVはたくさん聴いてきたし、一番好きなのはEP『You made me realize』かもしれないけれど、必ずしも意図的にそこに行ったとは言えないと思う。ギター・リフはアルト・ロックに影響を受けているけれど、その反復性とメロディーはサイケデリックに感じられる。また、ドラムの処理の仕方も、演奏されたものであるにもかかわらず、よりサンプリングされているように感じられたし、それが一種のエレクトロ的な雰囲気を与えているんだと思う。


ーーまた、この印象的なシングルには、サンフランシスコでの青春時代の思い出が織り込まれているようですね。フランコ・リードとのプロデュースを通して、あなたの過去がどのように浮かび上がってきたのか、具体的に教えてください。



Tanukichan:  正確にはわからないけど、ギターを聴いていると、中学から高校にかけてサンフランシスコでバスに乗っていた頃のことがふと蘇ってくることがあるの。おそらくこのEPを作るにあたって、もう少し楽しんで、流れに身を任せようとしたんだと思う。オーケストラでヴァイオリンを弾き、公共交通機関を乗り継いで、どこへでも出かけていた子供の頃から、自分がどれだけ進歩したかを振り返ることができたと思う。

 


ーー「It Gets Easier」には、シューゲイザーの新星、Wisp(ウィスプ)がゲスト参加しています。このエキサイティングなコラボレーションはどのようにして実現しましたか?



Tanukichan:  フランコはウィスプとセッションする予定があり、EPの完成が間近に近づいていたんだけど、彼は彼女が曲に参加したら面白いだろうと思ったみたいで、私たちはお互いのファンだったから、"It Gets Easier "で一緒に時間を過ごすことになったという感じです。

 


ーーあるアメリカのミュージシャンから「ミュージシャンというのは、音楽を通して何かを追求する人が多い」と聞いたことがあります。「Circles」の制作を通して、あなたが追求したかったことは何ですか? また、それはどのような方法で見つけましたか?



Tanukichan: フランコと私は少し前からアイデアを出し合っていたんだけど、まとまりのある楽しい作品に仕上げることができて、とても興奮していたと思う。テーマはもう少し有機的に生まれたと思う。私たちのインキュバスへの愛を楽しい形で表現しているし、私のソングライティングをよりポップでロックな方向へと導いてくれました。



ーー最後にファンにメッセージをお願いします。また、今後の活動予定を教えてください。



Tanukichan: うーん、メッセージ? 好きなことをやり続けることかな (笑)。でも、本当に言いたいことがあるとしたら、ヒントは歌詞の中にあるかな。別のアルバムの制作を始めているから、いつ完成するかはわからないけど、そう遠くない将来にまた何か音楽ができるといいな!!

 

 

「City Bus」- Lead Single



〚企画/編集 Music Tribune   取材協力:P-Vine/ Carpark〛

 

* Tanukichanの新作EP「Circles」は、Carparkから9月20日に発売されます。日本盤は P-Vineから発売。日本盤にはボーナストラックが一曲追加収録されます。


Episode in English:

 

Tanukichan, the musical project of Oakland, CA’s Hannah van Loon, has been a prominent figure in modern shoegaze music since 2016, when she first collaborated with Chaz Bear of Toro y Moi. Together, they released an EP and two full-length albums under Bear's Company Records, culminating in 2023's GIZMO. With her new EP Circles, out September 20th, 2024, via Carpark Records, van Loon ventures into new territory by teaming up with a new producer for the first time – Franco Reid.

The genesis of their partnership dates back to the GIZMO campaign, when Reid noticed van Loon wearing an Incubus shirt in a press photo on Instagram. Intrigued by whether or not van Loon was a genuine fan, he sent her a DM. Their shared musical interest sparked a dialogue that eventually led to the creation of the single "NPC" in 2023.

Lead single “City Bus,” offers a reflection on van Loon's childhood bus rides in San Francisco, evoking the stop-and-go rhythm of commuter life through hard-hitting drums and heavy guitar feedback phasing in and out of the mix. Themes of self-reflection and societal belonging permeate the track, echoing van Loon's ongoing personal journey.

While much of Circles delves into internal struggles, “It Gets Easier” takes on a more celebratory tone as van Loon realizes she’s developed a heightened sense of maturity when dealing with hardship. “It feels easier to let go of situations or people that don’t serve me,” reflects van Loon, “Or if they can’t be avoided, at least I don’t have to dwell on the sadness or discomfort I feel when letting someone down.” Introduced by Reid, nu-gaze sensation Wisp, contributes a verse in her similarly ethereal vocal style.

There is a notable shift on Circles when you consider the first three Tanukichan releases were produced by a pioneer of the chillwave genre. With van Loon’s consistently dreamy songwriting and Reid at the helm, Tanukichan enters new sonic territory that feels larger, arena-ready, and more like a highspeed night drive than the hazy summer dream of its predecessors.


In this Q&A, we were able to ask Hannah Van Loon to answer some questions about her new EP. Read the episode below.


--Your new EP "Circles" is scheduled for release on September 20. What is the overall theme or guiding principle of this work, if any? Also, have there been any major changes in your sound approach compared to your previous work, "GIZMO"?

Tanukichan: The EP features themes of repeating cycles, or patterns. Realizing things are repeating for good or bad. Also the cyclical nature and events of daily life, like taking the same path back and forth for a commute. Well, I think the biggest change would be working with a different producer. I think this might be more similar to GIZMO than the previous music I’ve made, but a fun outlier on the new EP is the song “In A Dream” which has no drums.


--The lead single "city bus" showed influences from the psychedelic electro of the 80s, like My Bloody Valentine's "Loveless". With this song, I also sense an intention to go back to the roots of shoegaze, that is, the fusion of guitar rock and electro. What are your own thoughts on this? 


Tanukichan: I definitely have listened to a lot of MBV, though I think my favorite might be the EP You made me realize, but I wouldn’t say that it was necessarily intentional to go there. To me the guitar riff is kind of alt-rock influenced, but the repetitive nature of it and the melody do end up feeling kind of psychedelic. Also the way we processed the drums, even though they are performed, made them feel more sampled and I think that could give it a kind of electro vibe.


--Also, this impressive single seems to be interwoven with memories of your youth in San Francisco. Can you tell us specifically how your past came to light through the production with Franco Reed?

Tanukichan: I don’t know exactly what it was but the guitar just brought me back to riding the bus in San Francisco in middle school and high school. I think perhaps making this EP, I was trying to have a little more fun and just let things flow. Making these songs felt a little easier to me then in the past and I think it was making me reflect kind of how far I’ve come since I was a kid playing violin in the orchestra, taking public transportation everywhere.


-- "It Gets Easier" features a guest appearance by Wisp, a rising shoegaze star. How did this exciting collaboration come about?

Tanukichan: Franco had a session scheduled with Wisp, and we were getting close to finishing the EP, but he thought it would be fun to have her on a song, and we were both mutual fans of each other so they ended up spending some time on “It Gets Easier”


--I have heard from an American musician that "musicians are often people who pursue something through their music. What was it that you wanted to explore through the creation of "Circles"? And did you find it in any way?

Tanukichan: Franco and I had been kicking around ideas for a little bit, and I think we were really excited to be able to put together a body of work that was cohesive and fun. I think the theme came about a little more organically, but I’m really excited about the collection of songs that we have. It gives a nod in a fun way to our mutual love of incubus, and takes my songwriting in a more pop/rock direction which I think is super fun.


--Finally, do you have a message for Tanukichan's fans around the world? Also, what are your future plans for the future?

Tanukichan: Hmm a message? I guess keep doing what you love lol. But if there’s anything I really have to say it’s probably in the lyrics. Starting to work on another album, so not sure when that will be done but hopefully have some more music in the not so distant future. 

 

〚Planning and editing: Music Tribune   Courtesy of P-Vine/ Carpark〛

 

The Get Up Kids
The Get Up Kids


The Get Up Kids(ザ・ゲット・アップ・キッズ)は先日、彼らの代表的アルバム『Something to Write Home About』の25周年記念リイシューを発表した。Promise Ring,Jimmy Eat World、Sunny Day Real Estate、Mineralと並び、最初期のエモシーンをリードしたロックバンドの傑作の再編集盤が登場します。


本日、彼らは『サムシング・トゥ・ライト・ホーム・アバウト』の25周年記念リイシューに収録される愛すべき楽曲「Ten Minutes」のミュージック・ビデオと同曲のデモ音源を初公開した。このミュージック・ビデオは貴重なアーカイヴ映像で構成され、バンドの長年の友人であるジョシュ・バーワンガーが監督を務めた。


カンザス・シティのThe Get Up Kids(ザ・ゲット・アップ・キッズ)は、マット・プライアー(ギター、ヴォーカル)、ジム・スープティック(ギター、ヴォーカル)、ロブ・ポープ(ベース)、ライアン・ポープ(ドラム)、ダスティン・キンゼイ(キー)で構成されている。


この曲について、ギター/ボーカルを務めるJim Supticはプレスリリースでこのように語っている。ジム・スプティックの発言から、若さに対する煩悶という重要なテーマが浮かび上がってくる。

 

「”Ten Minutes”のオープニングのギター・リフを書いた時、インスピレーションを受けたのは、Superdragの”Do the Vampire”という曲だった。聴けば、一目瞭然だろうね」

 

「彼らのアルバム『Head Trip in Every Key』は、『Something to Write Home About』を書いているときにヘビーローテーションしていた。この曲をあらためて聴き返して、新しいビデオを見てみると、私たちが”いかに若かったか”ということが先んじて印象に残る。何人かは、文字通りティーンエイジャーだったわけだし。特に、私のボーカルは、今の私とはまるで別人のように聞こえることがあるんだ。とはいえ、だからこそ、このアルバムは多くの人とつながることができたのかもしれないね。私たちは、誰もがその年齢で悩むことについて歌っていたのだった。つまり、『サムシング・トゥ・ライト・ホーム・アバウト』の核心は、青春の記録でもあったんだ」

 

「Ten Minutes」
 

 

 「Ten Minutes(Demo)」  

  


The Get Up Kids 『Something to Write Home About』(20th Anniversary Edition)』- Reissue




Label: Polyvinyl

Release: 2024年8月23日(Digital)/ 2024年9月20日(Physical)



Tracklist:


1 Holiday (Remastered 2024)
2 Action & Action (Remastered 2024)
3 Valentine (Remastered 2024)
4 Red Letter Day (Remastered 2024)
5 Out of Reach (Remastered 2024)
6 Ten Minutes (Remastered 2024)
7 The Company Dime (Remastered 2024)
8 My Apology (Remastered 2024)
9 I'm a Loner Dottie, a Rebel (Remastered 2024)
10 Long Goodnight (Remastered 2024)
11 Close to Home (Remastered 2024)
12 I'll Catch You (Remastered 2024)
13 One Year Later (Demo)
14 Close to Home (Demo)
15 Out of Reach (Demo)
16 Holiday (Demo)
17 Valentine (Demo)
18 My Apology (Demo)
19 Red Letter Day (Demo)
20 Ten Minutes (Demo)
21 Central Standard Time (Four Track Demo)
22 Long Goodnight (Four Track Demo)
23 The Company Dime (Four Track Demo)
24 I'll Catch You (Four Track Demo) 


Pre-order(海外盤の予約):   https://thegetupkids.ffm.to/stwha-25

 

 

制作背景:



レコードには、私たちを遠い昔の場所に連れ戻す力がある。ザ・ゲット・アップ・キッズの代表的な2ndアルバム『サムシング・トゥ・ライト・ホーム・アバウト』は、今年25周年を迎えるにあたって、デラックス・リマスター・エディションがリリースされる。



ザ・ゲット・アップ・キッズの中心メンバー4人にとって、このアルバムはロサンゼルスのシルバーレイク地区にあるマッド・ハッター・スタジオへと彼らをいざなう。「レコーディングしたスタジオの音が聞こえてくるようだ」とベーシストのロバート・ポープは言う。「その多くは環境だった」

 


1997年のデビュー作『Four Minute Mile』は、わずかな予算でシカゴの週末を利用してレコーディングされた。「世の中にいるメジャー・レーベルのA&Rのほとんど全員と交渉をしました」とポープは言う。「彼らは僕らのバンドに変な期待を寄せていたけど、僕らはメジャー・レーベルよりも少し高い場所を目指していたんだと思うよ」



マッド・ハッターでのゲット・アップ・キッズの目標は、『Four Minute Mile』が内包していたリレーションシップとエネルギーを失うことなく、ファースト・アルバムのソングライティングとサウンドのクオリティを超えることだった。「私たちのファースト・アルバムは、そのままのものである」


『サムシング・トゥ・ライト・ホーム・アバウト』は、アグレッシブなものから繊細なものまで、曲によって、時には曲の中でさえも変化するバンドの音楽性の成長をとらえている。ジェームス・デュースによるキーボードの質感をフィーチャーし、剥き出しのパンクを超えようとするバンドの野望を実現した。

 

「このレコードは、実際よりも大きく、高価に聞こえることがある」とギター/ボーカルのマット・プライアーは言う。「これは、バンドとしての私たちの能力と、プロデューサーとしてのブリンマンの能力の両方の証だと思う」


さらに、ドラマー、ライアン・ポープは、ソングライティングとアレンジメントにおける "小さな魔法のような瞬間 "について振り返っている。「それはとても自然なことだった」と彼は言う。「クールなことの多くは、考え過ぎないことで起こるものだ」



バンドがスタジオにこもってからわずか数ヵ月後にリリースされた『Something to Write Home About』は、コマーシャル・ロック、ポスト・グランジ、ニュー・メタルに支配されたロック界に登場した。リード・ギタリストのジム・スプティックは言う。「しかし、惜しむらくは、あのスタイルの音楽はメインストリームではなかったらしい」

 

しかし、後世のミュージックシーンに対する影響は計り知れないものがある。『サムシング・トゥ・ライト・ホーム・アバウト』は、ジミー・イート・ワールドの『クラリティ』やプロミス・リングの『ヴェリー・エマージェンシー』といった1999年にリリースされた作品とともに、新世紀におけるこのジャンルの爆発的なヒットを導く、ポップで広がりのあるエモの規範を確固たるものにし、フォール・アウト・ボーイやマイ・ケミカル・ロマンスといったプラチナ・セールスを記録したバンドや、エモのリヴァイヴァル・アクトに次々とインスピレーションを与えることになった。もちろん、のちのスクリーモも彼らのサウンドがなければ生み出されなかったかも知れない。



2024年リイシューのために、オリジナル・アルバムのトラックはスターリング・サウンドのジョー・ラポルタによってリマスタリングされ、パッケージには拡張アートワークと、プライアーによる4トラックのアコースティック録音を含むアルバム1枚分のデモが収録されている。「サムシング・トゥ・ライト・ホーム・アバウト」の曲の頑丈さ、つまり、何百回ものライブでテストされたトラックリストが明らかになった。

 

このデモは、アルバムのオープニングを飾る「Holiday」のように、歌詞の重要な変更や、録音時に放棄された楽器のアイデアも明らかにしている。「今聴くと、とても面白い。きっと私のセンスが勝ったんだろうね」 


ゲット・アップ・キッズにとって、これらのデモは完成したアルバムと同じように、カンザス・シティのダウンタウンや、月額100ドルで彼らの練習場となった5階建ての退役したROTC訓練施設にワープさせるようなトランスポート性を持っている。「そう。あのデモを聴くと、あのリハーサル・ルームにすぐに戻れるような気がする」とロブ・ポープは昨日のことのように回想する。


『サムシング・トゥ・ライト・ホーム・アバウト』の決定版に収録されている初期の草稿とリマスターされたトラックリストの双方において、長年の彼らのファンは、馴染み深く形成された場所に戻り、最初にこの傑作を聴いたときと同じように鮮明な瞬間、そして感動を数多く再発見するかもしれない。- Polyvinyl

 



アンビエント/ドローンミュージシャン、Chihei Hatakeyama(畠山地平)、ジャズドラマーの石若駿のコラボレーションシリーズの第二弾となる『Magnificent Little Dudes Vol.2』のデジタルリリースが10月18日(金)に決定。


 
ラジオ番組の収録で出会って以来、ライヴ活動などでステージを共にすることがあった二人、今回のプロジェクトが初めての作品リリースとなった。今年5月に発売された二部作の第一弾、『Magnificent Little Dudes Vol.1』には、日本人ヴォーカリストのHatis Noitが「M4」でゲスト参加していた。Hatis Noitは、ロンドンのレーベル、Erased Tapesからデビューアルバム「Aura」を2022年にリリースし、このアルバムはLoud & Quietから高評価を受けた。


アンビエントプロデューサーとジャズドラマーという異色のコラボレーション。スタジオでのライブセッションの形式で収録された本作。そして、Vol.2の制作について、畠山は次のように話している。

 

ーーVol.2にはセッションの後半が収められています。その日は3月のある日の午後でした。長い冬が終わろうとしているのを感じましたし、日本ではコロナの影響が諸外国より長く続いていたので、そんな マスクを付けた日々も終わろうとしていました。ーー

 

ーー『M3』では私たちの演奏にセシリア・ビッグナルがチェロで参加してくれました。これは遥か昔に私がアメリカ人シンガー・ソングライターのデヴィッド・グラブスから受けた影響が見え隠れしています。彼のアルバムの『ザ・スペクトラム・ビトウィーン』に入っている『Stanwell Perpetual』という曲ですーー

 

ーーしかし、この曲は私が頭の中で何度も形を変えてしまったので、今回の『M3』とは直接は関係がないように思えます。ーー



『Magnificent Little Dudes Vol.2』は10月18日(金)にデジタルで先行リリース。その後、CD /2LP(140g)フォーマットでもリリース予定となっている。(アルバムのご予約はこちらから)

 

昨日、『Magnificent Little Dudes Vol.2』の先行シングルとして公開された「M6」は、ポスト・クラシカル風の楽曲である。

 

ピアノのシンプルな演奏が背後のシークエンスに対して自由な旋律を描き、曲のランタイムごとに全く異なる表情を作り出す。オーガニックなアンビエントのシークエンスの向こうからピアノの演奏が浮かび上がってくる。美しさと癒やし、優しさが共存するナンバーとなっている。

 

 

 

 

 *畠山地平の過去のインタビューはこちらからお読みください。


 「M6」- New Single

Label: Gear Box

Release: 2024年8月9日

 

Tracklist:

 

1.M6(Radio Edit)

2.M6

 

Add/ Save(配信リンク); https://bfan.link/m6



『Magnificent Little Dudes Vol.2』- New Album

Label: Gear Box

Release: 2024年10月18日(Digital)

 

Tracklist:

1. M3 (feat. Cecilia Bignall)
2. M2
3. M5
4. M6

 

Pre-order/ Pre-add(配信予約): https://bfan.link/magnificent-little-dudes-volume-02

 


<Chihei Hatakeyama / 畠山地平>


2006年に前衛音楽専門レーベルとして定評のあるアメリカの<Kranky>より、ファースト・アルバムをリリース。以後、オーストラリア<Room40>、ルクセンブルク<Own Records>、イギリス<Under The Spire>、<hibernate>、日本<Home Normal>など、国内外のレーベルから現在にいたるまで多数の作品を発表している。

 

デジタルとアナログの機材を駆使したサウンドが構築する、美しいアンビエント・ドローン作品を特徴としており、主に海外での人気が高く、Spotifyの2017年「海外で最も再生された国内アーティスト」ではトップ10にランクインした。2021年4月、イギリス<Gearbox Records>からの第一弾リリースとなるアルバム『Late Spring』を発表。その後、2023年5月にはドキュメンタリー映画 『ライフ・イズ・クライミング!』の劇中音楽集もリリース。映画音楽では他にも、松村浩行監督作品『TOCHKA』の環境音を使用したCD作品『The Secret distance of TOCHKA』を発表。

 

第86回アカデミー賞<長編ドキュメンタリー部門>にノミネートされた篠原有司男を描いたザカリー・ハインザーリング監督作品『キューティー&ボクサー』(2013年)でも楽曲が使用された。また、NHKアニメワールド:プチプチ・アニメ『エんエんニコリ』の音楽を担当している。2010年以来、世界中でツアーを精力的に行なっており、2022年には全米15箇所に及ぶUS ツアーを、2023年は2回に渡りヨーロッパ・ツアーを敢行した。2024年5月、ジャズ・ドラマーの石若駿とのコラボレーション作品『Magnificent Little Dudes Vol.1』をリリース。10月には同作のVol.2の発売が決定している。

 


<Shun Ishiwaka / 石若駿>


1992年北海道生まれ。東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校打楽器専攻を経て、同大学を卒業。卒業時にアカンサス音楽賞、同声会賞を受賞。

 

2006年、日野皓正special quintetのメンバーとして札幌にてライヴを行なう。2012年、アニメ『坂道のアポロン』 の川渕千太郎役ドラム演奏、モーションを担当。2015年には初のリーダー作となるアルバム「Cleanup」を発表した。また同世代の仲間である小西遼、小田朋美らとCRCK/LCKSも結成。

 

さらに2016年からは「うた」をテーマにしたプロジェクト「Songbook」も始動させている。近年はゲスト・ミュージシャンとしても評価が高く、くるりやKID FRESINOなど幅広いジャンルの作品やライヴに参加している。2019年には新たなプロジェクトAnswer To Rememberをスタートさせた。

 

2023年公開の劇場アニメ『BLUE GIANT』では、登場人物の玉田俊二が作中で担当するドラムパートの実演奏を手がけた。2024年5月、日本を代表するアンビエント/ドローン·ミュージシャン、畠山地平とのコラボレーション作品『Magnificent Little Dudes Vol.1』をリリース。10月には同作のVol.2の発売が決定している。

 

フジロックで来日公演を行ったGirl In Red(ガール・イン・レッド)は最近、オーストラリアのラジオ番組「Like A Version」に出演し、ビリー・エイリッシュの「LUNCH」のカバーを披露した。


ビリー・エイリッシュの最新作『HIT ME HARD AND SOFT』に収録されている "LUNCH "をカヴァーしたことについて、彼女は次のように語っている。

 

「彼女の他の曲とは全然違うし、ちょっとセクシャルなところがクールだと思ったの。でも、単にヴァイブスだとも思う。フックがあって、キャッチーで、耳に残るよね」




 

Green Day
Green Day

パンクファン歓喜の一枚が登場。グラミー賞受賞アルバム『American Idiot』の今年20歳の誕生日を記念して、グリーン・デイは『アメリカン・イディオット 20周年記念デラックス・エディション』を発表した。


この限定スーパー・デラックス・ボックス・セットには、オリジナル・アルバムに加え、15曲の未発表アメリカン・イディオット・デモ、9曲の未発表ライブ音源(クイーンの「We Are The Champions」のカヴァーを含む)で締めくくられたニューヨークのアーヴィング・プラザで録音された15曲の2004年コンサート、そして、B面曲やボーナス・トラックとしてのみ入手可能だった14曲など、多数の重要な特典が収録されている。


さらに、映画『Heart Like A Hand Grenade』、BBCの2枚のブルーレイディスクも収録されている:トップ・オブ・ザ・ポップス "ミニ・ギグ"』と『ラテ・ウィズ・ジュールス・ホランド』、そして最後に110分の新ドキュメンタリー『アメリカン・イディオットの20年』が収録されている。ロブ・カヴァロとローリング・ストーンのデイヴィッド・フリックによる新しいライナーノーツがパッケージを完成させた。


「Holiday/Boulevard of Broken Dreams (Demo)」の未発表デモ、ファン待望のB面「Favorite Son」、「Minority (Live from Irving Plaza)」の3曲は現在ストリーミングで試聴可能。


2004年の夏、グリーン・デイはロブ・カヴァロと共にスタジオに入り、先の見えない『アメリカン・イディオット』を制作した。彼らは大胆で、反抗的で、当時の国の状況にストレスを感じていた...。このレコードを作ったとき、2,300万枚の売り上げ、6倍のプラチナム、複数のグラミー賞、ブロードウェイ・ミュージカルなど、これから起こるであろう衝撃を予測することはできなかった」

 



American Idiot (20th Anniversary Deluxe Edition) 




Tracklist:


■CD 1 / LP 1 & 2 (original album)

01. American Idiot

02. Jesus of Suburbia

I. Jesus of Suburbia

II. City of the Damned

III. I Don’t Care

IV. Dearly Beloved

V. Tales of Another Broken Home

03. Holiday

04. Boulevard of Broken Dreams

05. Are We the Waiting

06. St. Jimmy

07. Give Me Novacaine

08. She’s A Rebel

09. Extraordinary Girl

10. Letterbomb

11. Wake Me Up When September Ends

12. Homecoming

I. The Death of St. Jimmy

II. East 12th St.

III. Nobody Likes You

IV. Rock and Roll Girlfriend

V. We’re Coming Home Again

13. Whatsername


CD 2 / LP 3 & 4 (B-Sides & Bonus Tracks – previously released)


01. American Idiot (Live)

02. Jesus of Suburbia (Live)

I. Jesus of Suburbia

II. City of the Damned

III. I Don’t Care

IV. Dearly Beloved

V. Tales of Another Broken Home

03. Holiday Live)

04. Are We the Waiting (Live)

05. St. Jimmy (Live)

06. Boulevard of Broken Dreams (Live)

07. Favorite Son

08. Shoplifter

09. Governator

10. Too Much Too Soon

11. Are We the Waiting (Live)

12. St. Jimmy (Live)

13. Give Me Novacaine (Live)

14. Homecoming (Live)


CD 3 / LP 5 & 6 (Demos)


01. American Idiot

02. American Idiot (Alt. Version)

03. Jesus Of Suburbia

04. Holiday/Blvd. Of Broken Dreams

05. Are We We Are/St. Jimmy Opera

06. Novacaine

07. She’s A Rebel

08. Radio Bagdad

09. Cluster Bomb

10. Wake Me Up When September Ends

11. Homecoming (Nobody Likes You)

12. Everyone’s Breaking Down

13. Just Another Year

14. Lowlife

15. What’s Her Name


CD 4 / LP 7 & 8 (Live Irving Plaza, NYC, Sept 21 ’04)


01. American Idiot (Live)

02. Jesus of Suburbia (Live)

03. Holiday (Live)

04. Boulevard of Broken Dreams (Live)

05. Are We the Waiting (Live)

06. St. Jimmy (Live)

07. Give Me Novacaine (Live)

08. She’s A Rebel (Live)

09. Extraordinary Girl (Live)

10. Letterbomb (Live)

11. Wake Me Up When September Ends (Live)

12. Homecoming (Live)

13. Whatsername (Live)

14. Minority (Live)

15. We Are The Champions (Live)


Blu-Ray 1


Heart Like A Hand Grenade


Blu-Ray 2


20 Years of American Idiot (New Documentary)


BBC Live


St. Jimmy (Live)

Give Me Novacaine (Live)

She’s A Rebel (Live)

Welcome To Paradise (Live)

Wake Me Up When September Ends (Live)

Jesus of Suburbia (Live)

American Idiot (Live in Studio)

Boulevard of Broken Dreams (Live in Studio)

 


トム・ウェイツは、13枚目のスタジオ・アルバム『Mule Variations』の25周年を記念して、ロッカーは「Get Behind the Mule 」の新バージョンをリリースした。(各種ストリーミングはこちら


ウェイツの作品はデビュー当時から私生活にまつわる物語か織り交ぜられてきた。その中にはリアルとフィクションが境目を失うかのごとく混在している。「Get Behind the Mule (Spiritual)」は、ウェイツがウーリッツァーだけを伴奏に、殺人と逃亡の不吉な物語に新たな次元をもたらす。


『Mule Variations』は、このアルバムをリリースするために設立されたエピタフ・レコードの姉妹レーベル、ANTI- Recordsから1999年4月にリリースされた。本作はグラミー賞の最優秀コンテンポラリー・フォーク・アルバム賞を受賞、3曲目の「Hold On」は最優秀男性ロック・パフォーマンス賞にノミネートされた。


「トム・ウェイツと彼のアルバム『ミュール・ヴァリエーションズ』は、私たちのレーベルを立ち上げるきっかけとなっただけでなく、信頼、創造性、芸術の境界を押し広げることへの愛によって築かれた永続的なパートナーシップの火付け役となりました。」


ANTI-社長のアンディ・コールキン氏はさらに補足している。「私は個人的に、物心ついたときからトム・ウェイツの大ファンでした。彼の音楽をリリースするためにレーベルを立ち上げました。トムの芸術的な真正性と回復力の精神の体現は、私たちがスタートしたときの北極星であり、彼の比類なき創造性は、私たちの活動すべてにインスピレーションを与え、原動力となり続けている」

 

 

 「Get Behind the Mule(Spiritual)」



このアルバムでは、エッジの効いたストンプ、ユーモア、実験が、彼がこれまでに書いた最も美しく個人的な曲のいくつかに散りばめられている。


今年、レーベルとアルバムの25周年を記念して、「Get Behind The Mule」の未発表音源が公開された。アルバムの象徴的な曲の別テイクでは、ウェイツのゴスペルのうめき声が、硬質なウーリッツァーだけを伴奏に、生の感情で共鳴している。このストリップダウンされた演奏は、殺人と忍耐の暗い物語を増幅させ、ウィットに富んでいる。


1983年、アルバム「Swordfishtrombones」をリリースしたウェイツは、70年代のノワール・ロマンティシズムや伝統的なティン・パン・アレイのソングライティングから離れ、生来の叙情性、メロディーの洗練性、人間性はそのままに、激しく独創的なサウンド・スカルプター、抽象的なオーケストレーター、潜在意識の採掘者となった。


歌詩で物語を語る代わりに、彼は印象主義的なオーラル・ランドスケープで言葉を縁取るようになった。ウェイツの最初の10年間のレコーディングのトレードマークであったピアノとコンボの基盤(時折オーケストラの下支え)は、カリオペ、バリの金属製アウングロン、グラス・ハーモニカ、ベース・ブーバム、ブレーキ・ドラム、パレード・ドラム、弓付きのこぎり、ポンプ・オルガン、アコーディオン、メロトロン、オプティゴン、ファラフィサ、プリペアド・ピアノ、バンジョー、さらにはウェイツが自作した打楽器、彼がコンダードラムと名付けた楽器など、さまざまなものに変化していった。 

 

『ミュール・ヴァリエーションズ』は、彼の輝かしいキャリアの両段階の要素を発展させたものだ。


超現実的な外見と不穏な内面がひとつに溶け合い、初期を代表するダークでブルージー、そして、しばしば優しく、痛烈な意識の流れの語り口('The Heart of Saturday Night')が「Mule Variations」には確かに存在し、アイランド・レコード時代のより角ばった破壊的な実験的サウンド('Swordfishtrombones')もあることは注目に値する。 


 
「シュールとカントリーの中間をいくようなことをやろうというのが、当初のアイデアの一部だったのは間違いない」とウェイツは説明する。

 

「僕らはそれをシュール・ルーラルと呼んでいる。それがこの曲たちなんだ。何か古いものの要素があり、それでいてちょっと混乱させるような...」とウェイツは回想する。


アルバム曲「Hold On」は、その年のグラミー賞で最優秀男性ロック・パフォーマンス賞にノミネートされ、アルバムはグラミー賞の最優秀コンテンポラリー・フォーク・アルバム賞を受賞した。
 

2023年の終わり頃、トム・ウェイツは久しぶりに活発に活動していた。イギー・ポップのラジオ番組のエピソードに参加したほか、シェーン・マクゴーワンへのトリビュートを書いたほか、SFFILMアワード・ナイトで、ニコラス・ケイジに生涯功労賞を贈るために珍しく公の場に姿を見せている。

 

Finneas
Finneas

音楽界で最も多忙な男の一人であるFinneas(フィニアス)は、今年後半にセカンド・ソロ・アルバムをリリースする計画を発表した。ビリー・アイリッシュの最新作でも重要な役割を果たし、ライブでもアイリッシュは彼を帯同させることで知られている。


グラミー賞とアカデミー賞を受賞したプロデューサーである彼は、2021年のデビュー作「Optimist」に続く新作の詳細を発表し、10月4日にポリドール/インタースコープ・レコードから新作「For Cryin' Out Loud!」をリリースする。


ロサンゼルスでの一連のスタジオ・ライヴ・セッションから生まれ、彼の親しい友人や仲間をひとつの部屋に集めたこのアルバムは、デビュー作と同じく10曲収録で、プロデューサーはより伝統的な "バンド "のダイナミクスに挑戦するようだ。


アルバムの全トラックリスト(下記参照)と共に、彼はアルバムのタイトル曲も発表した。アイザック・ラヴィシャンカラが監督したビデオも公開されている。以下からチェックしてほしい。


「For Cryin' Out Loud!」



グラミー賞やアカデミー賞を何度も受賞しているアーティスト、ソングライター、プロデューサーのフィニアスが、2枚目のスタジオ・アルバム「For Cryin' Out Loud!」はフィニアスのセルフ・プロデュースによるもので、ロサンゼルスでの一連のスタジオ・ライブ・セッションから生まれた。 


デビュー・アルバムの「OPTIMIST」が、彼自身によって書かれ、演奏されたインストゥルメンタル曲をフィーチャーしていたのとは対照的に、「For Cryin' Out Loud!!!」は、フィニアスの創造的な視野をクラシックなスタジオ/バンド環境へと広げ、フィニアスを自由にし、最終的に、これまでで最も高揚感のある生々しい作品群を生み出した。


「For Cryin' Out Loud!」は、妹のビリー・アイリッシュの3枚目のスタジオ・アルバム「HIT ME HARD AND SOFT」のリリースに続く作品となり、同世代で最も高い評価を受け、受賞歴もあるプロデューサー兼ソングライターのひとりとして、さらに確固たる地位を築き上げた。



Finneas 「For Cryin’ Out Loud」-Second Album


Label:  Polydor/Interscope

Release:2024年10月4日


 Tracklist:

1. Starfucker

2. What’s It Gonna Take To Break Your Heart?

3. Cleats

4. Little Window

5. 2001

6. Same Old Story

7. Sweet Cherries

8. For Cryin’ Out Loud!

9. Family Feud

10. Lotus Eater

 

©︎Mic Stand

Mercury Rev(マーキュリー・レヴ)がニューシングル「A Bird of No Address」を発表した。以前にリリースされた「Patterns」と「Ancient Love」に続く曲で、次回作『Born Horses』に収録される。以下よりチェック。


この曲について、バンドのショーン・"グラスホッパー"・マコウィアックは声明の中で次のように述べている。「レベッカ・ソルニット(希望の桂冠詩人)が書いているように、『希望の根拠は影の中にある、誰も見ていない間に世界を発明している人々の中にある。宛名のないすべての鳥たちへ。飛べ!」


9年ぶりのオリジナル・アルバム『Born Horses』は、9月6日にベラ・ユニオンからリリースされる。


「A Bird of No Address」

Kele

 

Bloc Partyのフロントマン/ボーカリストを務めるKeleが、今年後半にリリース予定のソロ・プロジェクトの第一弾となる「Hometown Edge」を公開した。昨年の「The Flames Pt.2」以来の新曲である。この曲ではケレ・オケレケのホームタウンであるロンドンへの敬愛が捧げられている。


「ロンドンはソングライターとして常にインスピレーションの源であることに気づいた。「私の曲作りにおいて、ロンドンは常に周辺に存在していたけれど、この街への愛情を前面に押し出した作品を作るのは正しいことだと感じた。何年もの間、首都での生活は私が誰であるか、何であるかを形成してきた。


彼のニュー・シングルは、ブロック・パーティーのフロントマンが今年後半にKOLA Records / !K7からリリース予定の新しいソロ・プロジェクトのテイスト。

 

2000年代に気鋭のロックバンドとして登場したケレ。もう一度現地の音楽シーンを盛り上げてもらいたいものだ。

 

「Hometown Edge」

【Weekly Music Feature】 belong

Belong

  ルイジアナ州ニューオーリンズの濃密な暑さの中で生まれたBelongは、ターク・ディートリッヒとマイケル・ジョーンズの共同プロジェクト。デビュー・アルバム『October Language』は、伝統的な曲の構造を超えて、メロディーの形象が曖昧になり、テクスチャーが華麗に音の海に彫刻される場所へと向かう。


Belongは2002年にニューオーリンズのウェストバンクで活動を開始したが、October Languageが制作されたのは2004年のことだった。このアルバムは、ディートリッヒの寝室で組み立てられ、分解された。しかし、曲のインスピレーションは壁をはるかに越えている。このアルバムには、彼らの故郷であるニューオーリンズが凝縮されており、陽光と色彩に包まれながらも、汗と腐敗と豊かな悲しみが漂う。アルバムは、摩耗し、朽ち果て、破壊されたものの美しさを表現しようとするものであり、地鳴りのような音の可能性の広大さと人間の条件の希望に満ちた研究でもある。


ターク・ディートリッヒは以前、テレフォン・テルアビブのジョシュア・ユースティスとベネリ名義でコラボレートしており、ナイン・インチ・ネイルズの「The Frail (version)」のリミックスは、高く評価されたNINのEP『Things Falling Apart』に収録されている。ユースティスは、アルバムのタイトル・トラックでスライド・ギターを弾いているほか、『October Language』の制作にも少し参加している。


ベロングことマイケル・ジョーンズとターク・ディートリッヒのデュオによる3作目のフルアルバム『Realistic IX』は、彼らの特徴であるアシッドに洗脳されたソングクラフトの拡張及び発掘でもある。抽象的なギター、メトロノミックな靄と催眠の移り変わるグラデーションの中で、メロディーは表層近くまで押し寄せてくる。メロディーは水面近くまで押し寄せ、形を変えてからフィードバックの流れの中に沈んでいく。他の場所では、要素は濁りと微小音の黄昏へと消え去り、電気は無限の夜へと解き放たれる。


クランキーからリリースした前作『コモン・エラ』から13年が経過しているが、このデュオの稀有な相乗効果はその間にまったく衰えていない。ジョーンズとディートリッヒのモーターリック・ドローンとリミナル・エモーションの斜に構えた状態へのこだわりは、進化を続け、ますます触覚的で非現実的な、魔女の時間に曇った窓から垣間見える魅惑的な輝きを放ち続けている。



『Realistic IX』/ kranky

 

  アンダーグラウンド・ミュージックのファンにとって、ロンドンのWarp、そして、シカゴのkrankyは、二つとも度外視することが出来ないレーベルである。アンダーグラウンド・ミュージックのメッカであり、作品の売上は別としても、90年代から新しい音楽を率先して紹介してきた。

 

現在のストリーミング世代において、アンダーグラウンド・ミュージックの役割というのは何なのだろうか。少なくとも、レコードマニアのような嗜好性により地下音楽を蒐集する意義は、2000年頃よりも薄れていることは事実である。なぜなら、現在はいかなるアンダーグラウンドミュージックも、デジタル・プラットフォームで簡単に試聴することができるからである。

 

少なくとも、レコードマニアとして言及するなら、こういったアルバムは十数年前くらいには、ショップで入手することはおろか、試聴することさえ出来なかった。そこで活躍したのが、MP3等を紹介するサイトや、それらの音源を配布するアンダーグラウンドのサイトであった。これらのサイトの多くは、ブログ形式で運営され、地下音楽の紹介という重要な意義や役割を担っていた。つまり、それが2000年代の著名なブロクメディアの台頭した理由であった。結局のところ、デジタルプラットフォームとストリーミングサービスの普及は、「音源としての希少性」という最後の牙城を曲りなりとも壊し、商業性をも破壊した。音楽ファンとしては喜ばしい反面、複雑な心境を覚えることがある。これらのサイトの多くは、逆に商業音楽を宣伝することにより、生き残ったという印象もあるが、結局、アンダーグラウンドミュージックを紹介する意義は、依然よりも希薄になっていることは事実かもしれない。そんなことを昨日、主要なサイトのウェブアーカイブの変遷を確認しながら、考えるところがあった。

 

一般的なリスナーとしてのアンダーグラウンド・ミュージックの希少性が2000年代頃よりも薄れてしまった、という点を踏まえて、今後、これらの音楽はどのように聴かれるべきなのだろうか。もしくは、どのように紹介されるべきか?  結論を出すのは早計となるだろうが、少なくとも、「商業主義の音楽とは別の基軸を持つ音楽が併存する」という事実を示さねばならない。音楽は、その固有性、多様性、特殊性が存在する余地が残されているからこそ、長い時代「文化」や「リベラルアーツ」として親しまれてきた。要するに、単一の形式にとどまらず、亜流(オルタネイティヴ)が存在するからこそ、長く生きながらえてきたのである。もし、商業主義しか、この世に音楽が存在しないとなると、それはすでに多くの多様性が失われていることの証左となる。つまり、それ以降、音楽という分野そのものが衰退していくことが予測される。この難しい局面に対抗するべく、アンダーグラウンド・ミュージックが存在している。そして間違いなく、未来の商業音楽の流行は、アンダーグラウンド・ミュージックが支えている。そして、前にも述べたように、メインストリームとアンダーグラウンドの持つ役割はそれぞれ異なる。さらに、一方の役割を拒否するとなると、もう一方が滅びゆく運命にあるのである。

 

belongに関しては、昨日まで名前すら知らなかったが、伝説的なシューゲイズプロジェクトと見ても違和感がないようだ。そして、このシューゲイズというジャンルはこれまで、オルタナティヴロックの系譜にある音楽と見なされることもあったが、ニューオリンズの二人組の音楽を聴くと、どうやらそんな単純なものではないということが判明したのである。例えば、MBVのギタリストであるケヴィン・シールズは、シューゲイズというジャンルに関して、それほど快く思っていないらしく、忌避することもある、という話を仄聞したことがある。おそらく、それは「ギターロックの系譜にある音楽」と看過されることを嫌がっているからではないだろうか。


ただ、ブリットポップのような水かけ論となるが、シューゲイズというジャンルが存在しないか、もしくは商業的なキャッチフレーズに過ぎないかといえば、それも考え違いである。そもそも、シューゲイズというジャンルは、Jesus & Mary Chainの音楽性とMBVの音楽性を比較対象として比べて見ると分かる通り、80年代後半のスコットランド/アイルランドのネオ・アコースティックやギター・ポップ、ロンドンのゴシック・パンク、さらには80年代のマンチェスターのアンダーグラウンドのクラブ・ミュージックが複合的に掛け合わされて生み出され出来上がった。さらに言及すると、マンチェスターのサイケデリックなエレクトロの要素が色濃い。

 

つまり、シューゲイザーは、クラブ・ハシエンダ(Factory Records)のベースメントのクラブミュージックがハードロックとして再構成されたと見るべきなのだ。つまり、クラブミュージック色が薄いシューゲイズは、このジャンルから少し逸れた音楽であると指摘できるのである。

 

 

 

ルイジアナのBelongは、13年ぶりの復帰作「Realistic IX」において、アンダーグラウンドミュージックの隠れた魅力を掘り起こしている。すでにヒップホップのミックステープや、オルタネイトなロックバンドのローファイなテープ音楽のような作品は、年々探すのが難しくなっているが、「Realistic IX」は、そういった失われつつあるカルチャー性を見事に復刻させる。そして、このアルバムを聴くと、シューゲイザーは音楽性に磨きを掛けていくと、最終的にはアシッド・ハウスやノイズに近いアヴァンギャルド・ミュージックに変化することが分かる。このアルバムに、ポピュラー性とか聴きやすさといった商業性を求めることは穏当ではないだろう。アルバムの全編には、アシッド・ハウスのビートが駆け抜け、そして、苛烈なギターノイズが無尽蔵に暴れまくる。しかし、MBVのような蠱惑的な陶酔感を呼び起こすのである。

 

このアルバムではもうひとつ、シューゲイザーの要素と合わせて、ニューヨークの原始的なプロトパンクからの影響が含まれている。冒頭を飾る「1- Realistic」は、シューゲイザーのお馴染みのフィードバックノイズを生かしたギターで始まり、中性的なボーカルサンプリングで色付けをしている。アナログシンセ/サンプラーのレトロなマシンビートが、背景の4つ打ちのビートを形成している。これらの反復的な楽曲構成が、80年代のエレクトロに象徴されるようなサイケなクラブミュージック、アシッド・ハウスのエグみのある性質を生み出す。ギターサウンドには最初期のSonic Youth(サーストン・ムーア)からの影響もあり、前衛的な響きを帯びている。

 

「2- Difficult Boy」では同じようにフィードバック・ノイズを発生させ、うねるようなグルーヴを作り出した上で、一曲目と同じように、中性的なボーカルのサンプリングを導入し、甘美な感覚をもたらす。これらは、ギターロックによって構成されたアシッド・ハウスとも呼ぶべきだ。

 

一つのフレーズを元にし、ギターのピックアップから発生するトーンの変容を発生させ、ロックによるドローン・ミュージックを構築していく。ギターの音色に関しても、相当なこだわりを感じさせ、Stiff Little Fingers-「Suspect Device」、Swell Maps-「International Resque」の系譜にある、ザラザラとして乾いたファズ/ディストーションのプリミティヴなギターの質感を重視している。つまり、1970年代の最初期のガレージ・ロックのように、ストレートでリアルなギターサウンドが、フィードバックノイズによりシューゲイズ風の音作りへと組み替えられている。

 

「3- Crucial Years」は、ノイズ/クラブ・ミュージックとして聴くと圧倒される。ギターのフィードバックとアナログシンセで発生させたグリッチ音をビートに見立て、原始的なデトロイトのハウスや以後のアシッド・ハウスの魅力を再訪している。これらは、現在のクラブ・ミュージックから見ると、サンプリングで済ませてしまう要素を、実験音楽としてゼロから組み上げている。実際的に、これらのDIY的な試みは、この音楽にリアリティをもたらしている。荒削りなノイズは、最終的に、アシッド的な陶酔感をもたらす。そして、とっつきやすいわけでもないのに、何度も聞き返したくなるような得難い中毒性がある。これぞ実験音楽の醍醐味である。

 

「Souvenir」

 

 

中盤に収録されている「4- Souvenir」「5 - Image of Love」では、オールドスクールのシューゲイザーに回帰している。

 

ただ、belongが志向するのは、ケヴィン・シールズの作り出した中毒性のあるギターサウンドの再現にある。打ち込みで録音したマシンビートのシンプルさと、ギターのフィードバックノイズから発生する倍音を組み合わせ、独特なグルーヴを抽出している。これらは、バンドの演奏では「ノリ」とか言われるものを、たった二つの楽器により生み出しているのが凄い。もちろん、既視感のあるスタイルだが、これらが模倣の域を出ないというわけでもない。サイケデリックなエレクトロニクス、旋律的な側面での融合を起点にして、耽美的な感覚を生み出したMy Bloody Valentineに比べると、この曲では、プリミティヴなガレージロックの性質が強調されている。これはシューゲイズというジャンルに内包される「パンクの要素」を浮かび上がらせる。

 

MBVのシューゲイザーの本質には何があるのかといえば、それは名ギタリスト、ケヴィン・シールズの編み出した革新性である。端的に言うと、「ギターをシンセサイザーとして解釈する」ということにあった。つまり、彼はギターという楽器の未知の可能性に挑戦し、轟音のフィードバックノイズを活かしたトーンの変容に焦点を当てた。これらは、実際にはコードを大きく変更していないにも関わらず、アナログ機材の効果の信号の発生のエラーや、音がピックアップ内のコイルで増幅される過程において倍音を発生させ、最終的には、クラブミュージックのエレクトロのような重層的な音の広がり、同時に、トーンの複合的で色彩的な揺らめきを作り、それがシューゲイザーというジャンルの核心にある陶酔的と呼ばれる印象を生み出した。belongは、この点を体感的に知り尽くしているらしく、エレクトロニックの観点から、この音楽を再検討している。これはまた最も濃密で最もコアなシューゲイズへの旅を意味するのだ。



現在のエレクトロニックは、プラグインやソフトウェアが豊富であり、次から次へと新しい製品が発売される。ミュージシャンも、つい手早く便利な機材を使用しがちと思われるが、しかし彼らは、おそらくアナログの配線を組み、オシレーターを用い、電気信号によるビートを発生させるという、電子工学の基礎に回帰している。つまり、Aphex Twinもかつて大学で電子工学を専攻していて、また、一からプログラミングを組んでいたという話は一般的によく知られている。元々、このエレクロニックというジャンルは、Caribou(ダン・スナイス)を見ても分かる通り、理系の分野を得意とする音楽家が率先して取り組むべきジャンルで、そして、そこには、機械工学及び建築学の設計や図面の要素が入り込む。いや、入り込まざるを得ないのだ。

 

 

さらに、belongの音楽的な構築はかなりアナログであるため、時代錯誤の印象を覚えるかもれない。しかし、他方、そこには、リアルな音楽としての魅力や、エレクトロニックの本質的な醍醐味が宿っている。「Bleach」は、グランジ、カレッジロックどころか、それよりもさらに古い時代に遡り、アラン・ヴェガ擁するSuicide、Silver Applesを始めとするニューヨークのアンダーグラウンドミュージックの要素を受け継ぎ、それらを苛烈なノイズミュージックで縁取っている。

 

続く「7- Jealousy」では、『Loveless』の方法論を引き継いでいるが、しかし、もう一つの重要な要素である感覚的なシューゲイズ、内的な感情を表現するためのギターサウンドに焦点が絞られている。 そして、ここではケヴィン・シールズのボーカルのサンプリング的な側面を受け継ぎ、それを忠実に再現している。この曲に関してはマイブラの復刻という意図も感じさせる。

 

英国のレーベル”Creation”は、My Bloody Valentineの「Loveless」の制作後、巨額の費用を掛けすぎたため、レコード会社として資金繰りが立ち行かなくなり、破産申請をすることに。後にレーベルはラフ・トレードと同じように買収されることになった。しかし、それほどまでに、このアルバムが、時代を変えるような作品になるとレーベル側は見込んでいたという話である。

 

一瞬にしてミュージック・シーンを塗り変えてしまうような作品はいつ出てくるのか?? 後の爆発的なヒットを考えると、運に恵まれなかったが、「Loveless」はブリットポップの最盛期において、時代の先を行きすぎた作品だった。そして、シューゲイザーの次世代のバンドやアーティストが活躍しているが、まだまだこのジャンルは、世界的に見ても、生き残る可能性が高いのではないか。そのことを象徴付けるかのように、アルバムのクローズ曲「8- AM/ PM」では、画期的なシューゲイズを制作している。この曲では、やはり「アシッド・ハウスとしてのシューゲイズ」の性質を強調し、アンダーグラウンドなクラブミュージックに昇華させている。

 

 

「AM/ PM」- Best Track

 

 

84/100

 

 

belongのニューアルバム「Realistic Ⅸ」はkrankyから本日発売。アルバムのストリーミングはこちら

 

 

Details:


1.「Realistic」: C+

2.「Difficult Boy」: B+

3.「Crucial Years」:A-

4.「Souvenir」: B +

5.「Image of Love」: A-

6.「Bleach」: A-

7.「Jealousy」:B-

8.「AM/ PM」:S (A+)- Best Track

 

Honeyglaze
©Kalpesh Lathigra


ロンドンのトリオ、Honeyglaze(ハニーグレイズ)が、近日発売予定のアルバム『Real Deal』からの最新シングル「Pretty Girls」をリリースした。この曲は、前作「Cold Caller」と「Don't」に続くもの。ジェイムズ・オグラム監督によるユニークなビデオは以下よりご覧下さい。


「Pretty Girls'は今までで一番ポップな曲で、2、3年かけて断続的に作り直した。私たちは普段、アレンジを推し進めたり、型にはまらない部分を追求するのが好きだ。私たちはこの曲を本当にシンプルにし、複雑にしすぎないようにして、ただ楽しくグルーヴィーな曲であることを楽しんだ」

 

「この曲は、悪い習慣に溺れたいという衝動に抵抗することを歌っている。私はいつもピンクの服を着て、自分のフェミニンな部分に触れている "というセリフは、実際に耳にした会話から取られたもので、皮肉なのかそうでないのかいまだに分からないので、私のお気に入りの歌詞のひとつ」

 

「Pretty Girls」